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今週のセミナー
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2024.10.29(火) | セミナー
幾何セミナー(15:00--16:30【会場:数学棟305号室】)
発表者:下山 翔 氏(東京大学)
題目:距離空間上の勾配流のパラメータ変換
概要:
距離空間上の関数とパラメータ $p \in (1, +\infty)$ 対し,距離空間上の $p$-勾配流とは,関数値の最急降下方向を表し発展の速さが $p$ でコントロールされる,距離空間内の曲線である.これは,ユークリッド空間上の滑らかな関数に対する勾配流の一般化である. 距離空間が”内積空間っぽい”かつ関数がある凸性を満たす場合,$2$-勾配流は様々な良い性質,特に一意性,を満たすことが知られている.一方で,$p=2$ 以外の場合における $p$-勾配流の一意性は不明であった. 本講演では,距離空間上の勾配流の基本事項から始め,上記設定において $p=2$ 以外の場合に生じる問題点,それを回避する方法を紹介する.
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2024.10.31(木) | セミナー
応用数理解析セミナー(16:30--18:00【会場:合同A棟8階801室】)
発表者:小林 孝行 氏 (大阪大学)
題目:On the diffusion wave phenomenon for the solutions to the compressible Navier--Stokes--Korteweg system
概要:
本発表では, 圧縮性 Navier--Stokes--Korteweg 方程式の初期値問題における定数平衡状態の安定性について考察し, 解の拡散波動現象について得られた結果を述べる. 圧縮性 Navier--Stokes--Korteweg 方程式は, 蒸気と液体の2相流の運動を記述しており, その相転移境界を薄い遷移ゾーンと見なしたモデル方程式である. 圧縮性 Navier--Stokes 方程式における定数平衡状態の安定性の研究で, D. Hoff and K. Zumbrun 等によって得られた解の拡散波動現象の考察を, $L^2$ および Fourier--Besov 空間の枠組みで, 圧縮性 Navier--Stokes--Korteweg 方程式の場合に拡張した結果を述べる. 前者は九州産業大学の 津田 和幸 氏, 後者は信州大学の 中里 亮介 氏との共同研究である.
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2024.11.1(金) | セミナー
ロジックセミナー(14:30--16:00【会場:合同A棟8階801室(ハイブリッド)】)
発表者:鈴木 悠大 氏 (小山工業高等専門学校)
題目:On some restricted variants of the leftmost path principle
概要:
In the studies of reverse mathematics and problem reductions, principles stating the existence of a path through a given tree play a central role. For example, WKL, KL, C_{ω^ω} and LPP are widely studied in those contexts. Here, WKL is the assertion that any infinite binary tree has a path, KL is the assertion that any finitely branching infinite tree has a path, C_{ω^ω} is the principle to find a path from an ill-founded tree, and LPP is the assertion that any ill-founded tree has a leftmost path. Recently, Towsner[Tow] introduced a new principle called the relative leftmost path principle stating the existence of a pseudo leftmost path. It is known that the proof-theoretic strength of relative LPP is strictly between ATR_0 and Pi^1_1-CA_0, and relative LPP is useful to study the complexity of some theorems which are stronger than ATR_0[FDSTY]. In this talk, I will present my contribution[SuY, Suz] to the studies of relative LPP, and consider LPP and relative LPP restricted to WKL or KL. A part of this talk is joint work with Keita Yokoyama. [Tow] Henry Towsner. Partial impredicativity in reverse mathematics. J. Symb. Log., 78(2):459–488, 2013 [FDSTY] David Fern´andez-Duque, Paul Shafer, Henry Towsner, and Keita Yokoyama. Metric fixed point theory and partial impredicativity. Philosophical Transactions of the Royal Society A, 381(2248):20220012, 2023. [SuY] Yudai Suzuki and Keita Yokoyama. Ann. Pure Appl. Logic 175, No. 10, Article ID 103488, 31 p. (2024; Zbl 07894021) [Suz] Yudai Suzuki Relative leftmost path principles and omega-model reflections of transfinite inductions’, Preprint, arXiv:2407.13504 [math.LO] (2024)
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2024.11.1(金) | セミナー
確率論セミナー(16:30--18:00 【会場:合同A棟8階 803室】)
発表者:渡辺 孝佳 氏 (東北大学)
題目:クリフォード代数上に構成されたマリアヴァン解析について
概要:
ブラウン運動の汎関数に対する解析学としてマリアヴァン解析がある. カオス展開と呼ばれる汎関数に対する級数展開を考えると2乗可積分な汎関数全体とボゾンが対応し, ボゾンに対するマリアヴァン解析が行えることが知られている. しかし, ボゾン以外の非可換な確率空間に対するマリアヴァン解析はあまり考えられてこなかった. この講演では, クリフォード代数上に構成されるマリアヴァン解析について説明し, 確率解析の手法がどの程度クリフォード代数上でも利用できるかを紹介する.
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来週以降のセミナー
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2024.11.7(木) | セミナー
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2024.11.7(木) | セミナー
応用数理解析セミナー(16:30--18:00【会場:合同A棟8階801室】)
発表者:田中 和永 氏 (早稲田大学)
題目:Perturbation from symmetry and periodic bounce trajectories in moving domains
概要:
時間周期的に動く領域における周期的な bounce trajectory (ビリヤード解) の存在問題に対する変分法を用いたアプローチについてお話したい. Bahri--Berestycki (1981), Struwe (1980) らにより開発されたいわゆる "perturbation from symmetry" と呼ばれる方法を用いる. Perturbation from symmetry では有界領域 $\Omega\subset \mathbb{R}^N$ における非線形楕円形方程式 $-\Delta u=|u|^{p-1}u + f(x)$ in $\Omega$, $u=0$ on $\partial\Omega$ ...$(*)$ の解の存在問題が扱われ, 任意に与えられた $f(x)\in L^2(\Omega)$ に対して $(*)$ の解集合は $H^1_0(\Omega)$ において非有界集合となることが示されている. ここでは perturbation from symmetry のレヴューからはじめ, bounce trajectory の存在問題にどのように perturbation from symmetry を適用するか等について述べたい.
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2024.11.14(木) | セミナー
応用数理解析セミナー(16:30--18:00【会場:合同A棟8階801室】)
発表者:山本 征法 氏 (新潟大学)
題目:非圧縮性 Navier–-Stokes 流の放物型スケーリングに基づく一意的な高次漸近展開
概要:
半線形拡散方程式の全空間における初期値問題を考えるとき, その積分方程式表示に現れる積分核の Taylor 展開から解の時間大域挙動を表す漸近展開が得られる. これは Escobedo--Zuazua (1991) により convection--diffusion 方程式の解の近似として導入されたものであり, 展開の各項が持つ放物型スケーリングに基づいて一意的な時間大域表現を与える. この手法は後に Carpio (1996) および Fujigaki--Miyakawa (2001) によって非圧縮性 Navier--Stokes 流の時間発展を与えるものに拡張された. 一方, この手法で高次の近似を導入しようとすると, 展開項の係数に対数的な時間発展が現れるため漸近展開が定義できなくなる. さらに, Navier--Stokes 流の場合は質量保存則に由来して係数の空間積分にも困難が生じる. これまでの研究により, Navier--Stokes 流の時間発展を調べる際に Biot--Savart 則と「繰り込み」を組み合わせるとこれらの問題を同時に解決可能であり, 一意的な高次展開が得られることが分かった. さらに, 解に含まれる対数的な時間発展を明示できることが判明したので報告する.
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2024年度
過去の記録
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2024.10.3(木) | セミナー
応用数理解析セミナー(16:30--18:00【会場:合同A棟8階801室】)
発表者:Ulisse Stefanelli 氏 (University of Vienna)
題目:Free-boundary problems for accretive growth
概要:
Accretive growth is a fundamental process in biological systems, as well as in various technological contexts, including epitaxial deposition and additive manufacturing. The interaction between growth and mechanics in deformable bodies gives rise to a wealth of very challenging mathematical questions. I will provide a brief overview of the fundamental concepts of morphoelasticity, namely, the theory of elastic deformations in growing bodies. In contrast to the classical case, the reference state of a growing body evolves over time, also in response to external stimuli and stress. In some situations, this calls for free-boundary formulations, as the actual shape of the undeformed body is also unknown. I plan to discuss the case of surface accretion, which poses specific challenges. The focus will be the development of a variational framework where the existence of three-dimensional morphoelastic evolution can be proved, both in the infinitesimal and in the finite deformation case. This is work in collaboration with Andrea Chiesa (University of Vienna), Elisa Davoli (TU Vienna), Katerina Nik (TU Delft), and Giuseppe Tomassetti (Roma 3).
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2024.10.8(火) | セミナー
幾何セミナー(15:00--16:30【会場:数学棟305号室】)
発表者:谷口 東曜 氏(東京大学)
題目:ループ演算と非可換微分幾何
概要:
有向曲面上のループ空間のホモロジーには, 閉曲線たちの交差から定まる Turaev Lie 余代数と呼ばれる構造があり, これは純粋に位相的な演算として定義される. 境界の空でないコンパクトな曲面のときは, その代数的な記述が Alekseev-河澄-久野-Naef により得られている. 本講演では, そこに現れる発散写像を紹介し, さらにそれを理解する枠組みとして非可換幾何における接続の理論との関連について説明する. これを応用して, 閉曲面の場合に同様の結果を得た.
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2024.10.9(水) | セミナー
東北大学OS特別セミナー(16:00--18:00【会場:数学棟2階 209室】)
発表者:出口 直人 氏 (東京工業大学)
題目:圧縮性 Navier--Stokes 方程式の定常解の安定性解析
概要:
3次元全空間における定常外力付き圧縮性 Navier--Stokes 方程式の定常解の安定性について考察する. 外力が小さいときの定常解の存在及び摂動問題の可解性については Shibata--Tanaka (2003) による結果が既に得られている. 本発表では定常解周りの初期摂動が十分小さい時の摂動の時間減衰評価及び減衰レートの最適性について得られた結果を紹介する.
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2024.10.10(木) | セミナー
応用数理解析セミナー(16:30--18:00【会場:合同A棟8階801室】)
発表者:仙葉 隆 氏 (福岡大学)
題目:非線形知覚関数を持つ走化性方程式系の球対称解の性質について
概要:
本発表では, 非線形知覚関数を持つ走化性方程式系の球対称解の性質について考察した結果を述べる. この方程式系の知覚関数は一つのパラメータで表現されている. Winkler 氏は, 関連する方程式系の解がこのパラメーターの大きさによって, 爆発解が現れる場合と現れない場合を研究し, このパラメーターに閾値があることを示した. 本発表では, Winkler 氏が考察した方程式系を単純化しその球対称解のみを考察した. その結果として, 球対称な解の性質が線形知覚関数を持つ走化性方程式系のそれと類似することがわかった. さらに, 空間2次元の場合の線形知覚関数を持つ走化性方程式系に現れる定常解と類似したものが3次元以上でも現れることがわかった. 本発表ではこれらの定常解の性質から特徴的な性質を持つ時間発展する解を構成することができることも述べたい.
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2024.10.15(火) | セミナー
幾何セミナー(15:00--16:30【会場:数学棟305号室】)
発表者:坂井 健人 氏(大阪大学)
題目:Geometric limits of hyperbolic surfaces with boundary along harmonic map rays
概要:
曲面間の調和写像を用いると,曲面上の双曲構造を,あるリーマン面上の正則2次微分でパラメトライズすることが可能になる.曲面が閉測地的な境界や王冠状に尖った境界を持つ場合,パラメータ空間は,穴あきリーマン面上の有理型2次微分の空間になる.本講演では,有理型2次微分の空間におけるrayに沿って,双曲構造の極限を取ることを考え,その幾何学的(Gromov-Hausdorff)極限,およびTeichmüller空間論的な極限について,お話ししたい.
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2024.10.18(金) | セミナー
ロジックセミナー(15:00--16:30【会場:合同A棟8階801室(ハイブリッド)】)
発表者:竹田 侑人 氏 (東北大学)
題目:鳩ノ巣原理の階層と Tree Theorem
概要:
逆数学における鳩ノ巣原理はラムゼイの定理の最もシンプルなバージョンとして計算可能性理論及び証明論の観点から広く研究が行われてきた. そして近年では鳩ノ巣原理の複雑さによる階層が発見され, その他のラムゼイ型定理や帰納法公理との関係性についても研究が進んでいる. 本発表では鳩ノ巣原理の階層について, 最新の研究を紹介するとともに, 発表者が関心を持っている Tree Theorem との関係についても論じる.
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2024.10.18(金) | セミナー
確率論セミナー(16:30--18:00 【会場:合同A棟8階 803室】)
発表者:正宗 淳 氏 (東北大学)
題目:回転対称な特異点をもつ非完備リーマン多様体のラプラシアンの本質的自己共役性について
概要:
完備リーマン多様体のラプラシアンは本質的自己共役性を持ち,その自己共役実現はディリクレ・ラプラシアンに限ることはよく知られている.一方,非完備多様体に対しては,完備多様体からコンパクト集合$\Sigma$を取り除くことで得られるような非完備多様体の場合は,この性質は$\Sigma$が(2-2)容量に対して極であることと同値であることが,Hinz=Masamune=Suzuki(2022)により明らかになった.本講演では,回転対称な特異点を有限個もつ非完備リーマン多様体の本問題に対する,井上 敦史 氏とRadoslaw Wojciechowski 氏との共同研究で得た結果を報告する.
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2024.10.22(火) | セミナー
幾何セミナー(15:00--16:30【会場:数学棟305号室】)
発表者:米原 修平 氏(大阪大学)
題目:Poisson幾何学とシンプレクティック亜群
概要:
Poisson多様体は滑らかな関数環の上にPoisson括弧が与えられた多様体であり、シンプレクティック亜群はPoisson多様体の「積分」にあたる概念である。本講演では、Poisson幾何学におけるシンプレクティック亜群の役割を、
(1)シンプレクティック簡約定理の一般化
(2)Poisson多様体の森田同値性の理論
の観点から紹介する。また、講演者による余シンプレクティック亜群(シンプレクティック亜群の奇数次元アナロジー)に関する結果についても述べる。
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2024.10.24(木) | セミナー
応用数理解析セミナー(16:30--18:00【会場:合同A棟8階801室】)
発表者:渡邊 圭市 氏 (公立諏訪東京理科大学)
題目:Keller--Segel--Navier--Stokes system with nonlinear boundary conditions via maximal regularity
概要:
本発表では, 滑らかな境界を持つ有界領域において, 非線形境界条件を含む Keller--Segel--Navier--Stokes 方程式系の初期値問題について考察し, 小さな初期値及び外力に対する時間大域適切性の結果を述べる. この方程式系は Xue と Othmer (2009) によって提唱されたものであり, 感応性関数が行列値として与えられる点が特徴的である. これまでの既存の研究では, 非線形境界条件に起因し, 時間大域的弱解の存在を示す際に, 適切な切り落とし関数と一様エネルギー評価に基づいて収束部分列を構成していたため, いずれも解の一意性は議論されていない. 本発表では熱方程式とストークス方程式の解の最大正則性評価式を組み合わせることで時間大域的強解の一意存在を示す. さらに, 十分な正則性を持つ既知関数に対する解の正則性についても考察し, 最大値原理と組み合わせて細胞密度及び化学誘因物質の濃度を表す関数が非負となることも報告する. 本研究は 武内 太貴 氏 (九州大学) との共同研究に基づく.
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2024.10.25(金) | セミナー
ロジックセミナー(15:00--16:30【会場:合同A棟8階801室(ハイブリッド)】)
発表者:一倉 海斗 氏 (東北大学)
題目:直観主義論理の部分体系上の算術の分類
概要:
爆発律を subminimal logics (Minimal logic の否定を弱めた部分体系を subminimal logic と呼ぶ)上で観察することから始め、そうすることで得られる論理上の算術を証明される論理式の多さに対する関係について調べる。
ロジックセミナーHP