セミナー情報

今週のセミナー

  • 2024.4.22(月) | セミナー

    整数論セミナー(13:30--14:30 【会場:数学棟201号室】)

    発表者:角野 裕太 氏 (東北大学)
    題目:An Introduction to Central Binomial Series
    概要:
    1978年のApéryによる $\zeta(2)$ と $\zeta(3)$ の無理数性の驚くべき証明は、Riemannゼータ値の中央二項級数表示を考察することで証明されている。この中央二項級数は、種々のゼータ値との関わりが知られており、非常に興味深い対象である。本講演では、Apéryが扱った中央二項係数を含む、より広範な級数とその特殊値に関する研究のうち、以下の二つを紹介する。一つ目は、Borwein, Broadhurst, Kamnitzerによる論文"Central binomial sums, multiple Clausen values and zeta values"である。これは、中央二項級数と多重ゼータ値との関係をlog-sine積分の視点から研究した内容で、特に多重ゼータ値の基本的な関係式である双対公式の拡張にあたる結果と次元予想の類似物が得られる。二つ目は、Lehmerによる論文"Interesting series involving the central binomial coefficient"である。これは、中央二項級数を2つの系列に分けて、それぞれに対して特殊値の明示的公式を求める内容である。また、時間が許せば、Benyi, Matsusakaによる論文"Remarkable relation between the central binomial series, Eulerian polynomials, and poly-Bernoulli numbers"を紹介したい。これは、中央二項級数の正の整数点での特殊値と多重Bernoulli数との関係を調べた内容である。
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  • 2024.4.23(火) | セミナー

    幾何セミナー(15:00--16:30 【会場:数学棟305号室】)

    発表者:木村 直記 氏(東京理科大学)
    題目:双対平坦多様体のPoisson幾何の観点からの一般化
    概要:
    Poisson多様体はシンプレクティック多様体の一般化であり、シンプレクティック多様体から交代テンソルの非退化性を落としたものである。また、Jacobi多様体はPoisson多様体と接触多様体の両方の一般化である。一方、平坦な統計多様体は双対平坦多様体と呼ばれるが、双対平坦多様体から対称テンソルの非退化性を落とした一般化として、Koszul-Vinberg多様体がBenayadi-Boucettaにより導入された。Koszul-Vinberg多様体は、余接束にLie亜代数の構造が入る等、Poisson多様体と多くの類似を持ち、Poisson多様体の対称版類似とみなせる。本講演では、Koszul-Vinberg多様体の一般化として、Jacobi多様体の対称版類似に相当するクラス、Jacobi-Koszul-Vinberg多様体を定義する。この研究は中村友哉氏(工学院大学)との共同研究である。この講演では予備知識を仮定せず、シンプレクティック多様体や統計多様体の定義から紹介する。
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  • 2024.4.25(木) | セミナー

    応用数理解析セミナー(16:30--18:00 【会場:合同A棟8階801室(ハイブリッド開催)】)

    発表者:Erbol Zhanpeisov 氏 (沖縄科学技術大学院大学)
    題目:Liouville-type theorem for fully nonlinear elliptic and parabolic equations with boundary degeneracy
    概要:
    We study a general class of fully nonlinear boundary-degenerate elliptic or parabolic equations that admit a trivial solution. Although no boundary conditions are posed together with the equations, we show that the operator degeneracy actually generates an implicit boundary condition. Under appropriate assumptions on the degeneracy rate and regularity of the operator, we then prove that there exist no bounded solutions other than the trivial one. Our method is related to the uniqueness arguments for viscosity solutions of state constraint problems for Hamilton-Jacobi equations. This talk is based on joint research with Prof. Qing Liu from OIST.
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  • 2024.4.26(金) | セミナー

    ロジックセミナー(15:00--16:30 【会場:合同A棟801(ハイブリッド開催)】)

    発表者:一倉 海斗 氏(東北大学)
    題目:爆発律に関連する直観主義論理より弱い論理上での数学
    概要:
    爆発律は推論規則として奇妙に見える。しかし、爆発律を除いた論理上での数学では不都合なことが起こる。このことから爆発律の数学での働きを調査すべく先ず爆発律を取り巻く環境を変えた。古典論理、直観主義論理も爆発律を持ちMinimal logicは爆発律を持たないが爆発律を加えると直観主義論理になってしまう。故に、Minimal logicより弱い論理(Subminimal Logics)で爆発律を観察した。その結果、新たな論理の構造が明らかになった。 この話では新たな論理上で数学に関する新たな事実を紹介する。
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  • 2024.4.26(金) | セミナー

    確率論セミナー(16:30--18:00 【会場:合同A棟8階 803室】)

    発表者:山内 卓也 氏 (東北大学)
    題目:超特殊アーベル多様体上の同種グラフの第二固有値の評価について
    概要:
    正整数 g, 素数 p, ℓ に対して, 標数 p の有限体上の次元 g をもつ superspecial abelian varieties であって ℓ-marking が指定されたもの全体の成す類から有限向き付き正則グラフを構成することができる. 講演ではこのグラフに対するランダムウォーク行列の性質を対応するBruhat–Tits buildings を解析することで調べることができることを非専門家にもわかるように, g=1, つまり楕円曲線の場合から始めて丁寧に説明したい. また, 保型形式, 保型表現論の観点からランダムウォーク行列の固有値に関して何が期待されるかも説明する. 本研究は東京大学の相川勇輔氏、京都大学の田中亮吉氏との共同研究である.
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来週以降のセミナー

  • 2024.4.30(火) | セミナー

    幾何セミナー(15:00--16:30 【会場:数学棟305号室】)

    発表者:青井 顕宏 氏(和歌山高専)
    題目:ある特異測度に関するSkoda-Zeriahi型の可積分性と相対エントロピーに関するコンパクト性について
    概要:
    Chen-Chengは, コンパクトな複素多様上のスカラー曲率が定数となるケーラー計量の存在が, 満渕汎関数と呼ばれるエネルギー汎関数のある種の変分法的性質と同値であることを証明した. またこれに錐的特異点を許容したものについても, 類似の結果がK. Zhengによって与えられた. これらをポアンカレ型と呼ばれる, 体積が有限な特異完備ケーラー計量について考えることが大きな目標であるが、対応する特異測度に関する多重劣調和関数のある種の可積分性が, 上記の状況に比べ非常に微妙な問題として現れる. 今回の講演では, 大沢-竹腰の拡張定理を用いてこの問題にアプローチする. また, log-log thresholdというある種の境界条件を導入し, それが一様であるという仮定の下で, 満渕汎関数に含まれる相対エントロピーに関するコンパクト性が成り立つことを見る.
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2024年度

過去の記録

  • 2024.4.9(火) | セミナー

    幾何セミナー(15:00--16:30 【会場:数学棟305号室】)

    発表者:宮武 夏雄 氏 (東北大学)
    題目:Cyclic volume forms for a nonnegative singular Hermitian metric on the canonical bundle over Kähler manifolds
    概要:
    Kähler多様体$(X,\omega_X)$の標準束上の半正値かつ零でない曲率を持つ特異Hermite計量$e^{-\varphi}h_{\rm ref}$と 2 以上の自然数 r に対して, 巡回体積形式 (cyclic volume forms) と本講演においては呼ぶ, r 個の(退化も許容する)体積形式を新たに定義します. 体積形式が従う楕円型偏微分方程式の, Dirichlet問題の解の存在と一意性と境界の無いコンパクトKähler多様体上での解の存在と一意性に関する定理が本講演の主定理です. また上述した体積形式の定義と, 巡回Higgs束上の調和計量との関連について説明します. $e^{-\varphi}h_{\rm ref}$に変化が生じたときの, 体積形式の変化の度合いを調べる, という方向に発展性があるのではないかと考えています.
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  • 2024.4.11(木) | セミナー

    応用数理解析セミナー(16:30--18:00【会場:合同A棟8階801室(ハイブリッド開催)】)

    発表者:喜多 航佑 氏 (東北大学)
    題目:On Nakao's problem in three space dimensions
    概要:
    本発表では中尾の問題と呼ばれる波動方程式と消散波動方程式の連立系の初期値問題に対する時間大域解の存在・非存在について得られた結果について考察する. 特に, 空間3次元における単独線形消散波動方程式の解の時空重み付き各点評価を見直し, その応用として中尾の問題に対する時間大域解の存在について部分的に得られた結果を中心に述べる. 尚, 本講演はピサ大学の V. Georgiev 先生との共同研究に基づく.
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  • 2024.4.15(月) | セミナー

    整数論セミナー(13:30--14:30 【会場:数学棟201号室】)

    発表者:菅野 隼 氏 (東北大学)
    題目:多重Eisenstein級数の正規化について
    概要:
    多重Eisenstein級数(MES)はGangl-Kaneko-Zagierによって導入された二重Eisenstein級数を一般化した上半平面上の正則関数である.多重ゼータ値(MZV)との関わりとして,そのFourier級数展開がMZVに対応する形式的反復積分の余積の計算から得られることがBachmann-Tasakaによって明らかにされた.また,彼らはそれを用いて正規化多重Eisenstein級数を構成した.本講演では,まず,一般のレベルのMZVを紹介する.その後,一般のレベルのMESについて,Bachmann-Tasakaの結果を拡張する.
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  • 2024.4.16(火) | セミナー

    幾何セミナー(15:00--16:30 【会場:数学棟305号室】)

    発表者:後藤 倫 氏(大阪大学)
    題目:複素力学系の乗数スペクトルとモジュライ空間の非線形代数
    概要:
    非線形代数は、力学系の力学的な不変量について不変式論的に分析する分野である。射影直線上の有理関数fの各周期軌道P=(p_i)について、その乗数λ(f,P) = Π_i f'(p_i)は力学的不変量の例である。各nについてのΛ_n(f) = {λ(f,P)| Pはfの周期nの周期軌道}をfの乗数スペクトルという。乗数スペクトルは力学系のメビウス変換共役に関する不変量である。この講演では、乗数スペクトルによるfの分類や、メビウス変換共役を同一視した有理関数のモジュライ空間の構成について、非線形代数的なアプローチにより得られた結果を中心に紹介する。
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  • 2024.4.18(木) | セミナー

    応用数理解析セミナー(16:30--18:00 【会場:合同A棟8階801室(ハイブリッド開催)】)

    発表者:内田 俊 氏 (大分大学)
    題目:ハイパーグラフラプラシアンを主要項とする非線型多価発展方程式について
    概要:
    ハイパーグラフとは, 頂点とこれを接続する線分からなる通常のグラフを一般化した概念で, 複数の頂点のグループからなるネットワーク構造の総称である. 吉田 悠一 氏 (国立情報学研究所) はハイパーグラフの幾何学的構造を解析する為に, 通常のグラフに対して定義されるグラフラプラシアン行列の一般化として, ハイパーグラフラプラシアンと呼ばれる作用素を導入した. ハイパーグラフラプラシアンは有限次元ヒルベルト空間上の劣微分作用素として定義され, 本質的に多価な非線型作用素である. またネットワークの構造に応じて作用素も複雑になるため, 抽象理論以上の詳細な解析は一見困難であるように思われる. 本発表ではまずハイパーグラフラプラシアンの定義を述べ, この非線型多価作用素の基本的な性質として Poincarè-Wirtinger 型の不等式が成立することを示す. またこの不等式を応用し, ハイパーグラフラプラシアンを主要項とする非線型発展方程式に対する解の時間大域的挙動について考察する. 時間に余裕があれば, 複数の頂点における熱量が既知関数で与えられた場合 (ネットワーク内部から系全体を制御する場合) について最近得られた結果も紹介する. なお本講演は池田 正弘 氏 (理化学研究所/慶應義塾大学理工学研究科) , 深尾 武史 氏(龍谷大学先端理工学部) との共同研究に基づく.
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  • 2024.4.19(金) | セミナー

    ロジックセミナー(15:00--16:30 【会場:合同A棟801(ハイブリッド開催)】)

    発表者:横山 啓太 氏(東北大学)
    題目:Ekeland’s variational principle and reverse mathematics
    概要:
    In the study of reverse mathematics for analysis, it is observed that many theorems on minimal value principles for continuous functions are provable within the system of arithmetical comprehension (ACA_0) since they are usually depended on compactness. In contrast, we will see that Ekeland’s variational principle, which is a variation of minimization theorem in non-compact situation, is equivalent to Pi^1_1-comprehenstion. In this talk, we will overview the reverse mathematics for analysis and then see the idea for the above result.
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  • 2024.4.19(金) | セミナー

    確率論セミナー(16:30--18:00 【会場:オンライン】)

    発表者:南 就将 氏 (元 慶應義塾大学)
    題目:ランダムなシュレーディンガー作用素のスペクトルについて
    概要:
    1970年代の旧ソ連の数学者たちによって始められたランダム・シュレーディンガー作用素の厳密な取り扱いの歴史をたどりつつ、そのスペクトルの性質について概観する。
    確率論セミナーHP



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