談話会情報

月曜日、16:00 から 17:00 まで理学部数理科学記念館(川井ホール)にて行ないます。

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※数学専攻・情報科学研究科数学教室・数理科学共創社会センターのスタッフ、PDおよび院生の方々には、
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これからの談話会


過去の記録

2023年度

  • 2023.4.17(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:高橋 良輔 氏 (東北大学)

    題目: deformed Hermitian-Yang-Mills方程式の解の存在問題
    概要:
    deformed Hermitian-Yang-Mills (dHYM)方程式はKähler多様体上の標準計量を与える方程式の1つであり,半平坦SYZミラー対称性の文脈においてspecial Lagrangian方程式のミラー版の対応物として自然に現れる.dHYM方程式の研究は,近年,複素幾何側から多くの専門家が参入し,急速に発展を遂げてきた.本講演では,dHYM方程式についての基本事項から研究の最先端までのあらましを,自身の結果も紹介しながら解説する.

  • 2023.4.24(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:Lorenzo Cavallina 氏 (東北大学)

    題目: 多相優決定問題における対称性と非対称性について
    概要:
    本講演では, 楕円型偏微分方程式における多相優決定(過剰決定)問題を考える. 一相の場合, 一つの優決定条件を境界上に課した優決定問題の解は球に限ることは知られている. 同様に, 二相の場合, 二つの優決定条件を境界上に課した優決定問題の解は同心球に限ることを示す. また, 三相以上の場合では以上のパターンが成立しないことを示す. 具体的には, 陰関数定理を用いて, 境界上に無限個の優決定条件を課した優決定問題の球対称でない解を構成する.

  • 2023.5.15(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:見村 万佐人 氏(東北大学)

    題目: 不変擬準同型を巡る
    概要:
    川崎盛通氏(青山学院大学)、木村満晃氏(京都大学)、松下尚弘氏(琉球大学)、丸山修平氏(名古屋大学)との一連の共同研究に基づきます。群上の実数値関数 φ が準同型写像であるとは、群の任意の元 g,h に対し |φ(gh)-φ(g)-φ(h)| が 0 と等しいことでした。これを緩めて、上記の絶対値が g,h に依らず一様有界であることを要請したときの φ を擬準同型(quasimorphism, quasi-homomorphism)といいます。例えば、加法群 Z 上の整数値擬準同型全体の集合を適切な同値類で割ることで、「Z から R を作る」ことができます。(φ に対し、"lim_n (φ(n)/n)" を対応させるイメージです。)
    群を固定して、群上の擬準同型全体の空間をその中で "簡単に作れる" もの:真の準同型+上下に有界な関数の形のもののなす部分空間で割ることで、「群上の "簡単には作れない" 擬準同型のなす空間」が作れます。この空間は群の交換子と関係したり興味深いものなのですが、多くの "自然に" 現れる群で「ゼロ空間になるか、無限次元空間になるか」という極端な振る舞いをします。一連の共同研究でこの設定を "相対化" し、群とその正規部分群 (G,N) の組に対し G 上の擬準同型の代わりに N 上の「G-不変擬準同型」を調べています。この設定では適切な商空間を考えると、G や N に対する非常に緩やかな仮定の下でその空間が有限次元になります。例えば、N が G の交換子部分群のときは、G が有限生成でありさえすれば OK です。その上で、我々はその空間の次元計算も進め、非ゼロな有限次元となる例も与えました。これにより、擬準同型そのものを分かり尽くすことは無理でも、不変擬準同型の適切な「類」なら「分かり尽くせる」可能性があることが分かってきました。一連の共同研究にて、この「非ゼロな有限次元」部分がシンプレクティック幾何や粗い幾何(coarse geometry)に効いてくる例も見つかっています。
    「不変擬準同型」を巡る旅を、群や正規部分群の定義くらいの前提知識から始めてお話しします。

  • 2023.5.22(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:三柴 善範 氏(東北大学)

    題目: 関数体上の周期の線型独立性について
    概要:
    複素数に値をとる通常の周期の類似物として,tモチーフの周期というものが正標数の関数体の世界において研究されている.円周率の類似物や正標数多重ゼータ値など,興味深い対象が関数体上の周期として現れる.与えられた周期の間の関係式を全て決定せよ,という基本的な問題がある.標数0の世界では,この問題は主に関係式の非存在性の観点から非常に難しいものと考えられている.一方で関数体の世界では,周期の間の関係式の非存在性に関する結果が次々と証明されている.本講演では,関数体上の周期の間の線型独立性に関する結果と,その証明で重要となる道具について紹介する.

  • 2023.5.29(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:石渡 聡 氏 (山形大学)

    題目: 多様体上の非対称拡散過程の離散近似
    概要:
    リーマン多様体上のラプラシアンにドリフト項(ベクトル場)、ポテンシャル項(関数)を加えた作用素が生成する半群の離散近似について解説する。本講演の内容は慶應義塾の河備浩司氏との共同研究に基づく。

  • 2023.6.5(月) | 談話会

    ※完全対面開催 (オンライン配信なし)

    講演者:大野 泰生 氏 (東北大学)

    題目: 多重ゼータ値の双対関係式の拡張
    概要:
    多重ゼータ値は Riemannゼータ値の積を考えると自然に現れる多重級数とも思えるが, 有理数体上で Riemannゼータ値の多項式の張る空間よりも幾分広い空間を生成すると考えられる.多重ゼータ値の理解に重要となる, 双対関係式と呼ばれる一般的な関係式が知られている.談話会ではこの公式と一般化について, また, 中筋麻貴氏(上智大学・東北大学)との共同研究で得られた Schur多重ゼータ値における双対関係式とその一般化についてお話する.

  • 2023.6.12(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:白石 大典 氏 (京都大学)

    題目: ループ除去ランダムウォークと一様全域木
    概要:
    ループ除去ランダムウォークとはランダムウォークのパスからループを順々に取り除いて得られる確率過程のことである。1980年にGreg Lawlerにより導入されて以降、一様全域木やSchramm-Loewner evolution(SLE)等の確率モデルとの関係が見出され、活発に研究がなされてきた。本講演ではすでに示されていることと今後の課題をできるだけ分かりやすく説明する。

  • 2023.7.3(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:田中 敏 氏 (東北大学)

    題目: 三次元単位球面上の scalar-field 方程式の正値解の一意性と多重存在性
    概要:
    三次元単位球面内の円環領域上の scalar-field 方程式のディリクレ問題を考える.考える領域は三次元単位球面から北極と南極を中心とする同じ大きさの小さな2つの測地球を取り除いた円環領域とする.そのような問題の極角にのみ依存する正値解の存在性について調べる.考える領域は赤道について対称なので問題は赤道で対称な解をもち得る.また, 赤道について対称でない解も現れる.方程式に含まれるパラメータとそのような解の個数との関係について紹介する.本講演は渡邉宏太郎氏(防衛大学校)と塩路直樹氏(横浜国立大学)との共同研究に基づくものである.

  • 2023.7.19(水) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信
    13:00--14:00. 曜日と時間がいつもと異なります.

    講演者:鈴木 大慈 氏(東京大学)

    題目: 深層基盤モデルの学習理論
    概要:
    本発表では,拡散モデルやTransformerといった深層基盤モデルの学習能力について,主にノンパラメトリック推定理論の観点から議論する.拡散モデルは画像生成などで広く用いられ,Transformerは大規模言語モデルにも用いられている基本的なモデルである.本発表では,真の分布および関数がある滑らかさの条件を持っている状況でそれぞれの基盤モデルが適切にモデルの構造を推定し次元の呪いを回避しつつほぼミニマックス最適なレートを達成することを紹介する.また,時間が許せば平均場ニューラルネットワークの最適化に関する最近の話題についても触れる.

  • 2023.7.24(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:小川 将輝 氏(東北大学)

    題目: Weinstein trisection of trivial surface bundles
    概要:
    4次元多様体のtrisectionはGayとKirbyによって定義されて以降、さまざまな方面からの研究がなされてきた。その中において近年活発に研究されているものとして、Weinstein trisectionがある。Weinstein trisectionは4次元多様体がシンプレクティック構造を持つときに定義されるtrisectionで、それぞれの1ハンドル体が全体のシンプレクティック構造と整合性のあるWeinstein構造を持つものとして定義される。このWeinstein trisectionを用いることでシンプレクティックトポロジーの問題のみならず微分トポロジーの問題へのアプローチを与えられる。今回の講演ではWeinstein trisectionについて紹介し、閉曲面の直積の場合において得られた結果について述べる。

  • 2023.10.9(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:Martin Guest 氏 (早稲田大学)

    題目: Solving differential equations from quantum cohomology
    概要:
    Quantum cohomology originated (as the name suggests) in physics, but it has led to unexpected links between different areas of mathematics: topology, differential geometry, integrable systems, and various novel algebraic structures. After an introduction to these ideas we shall explain a concrete example, the tt*-Toda equations. These are nonlinear p.d.e. which admit special solutions related to geometry and physics. Solving these differential equations requires a non-standard combination of techniques, but the results exhibit interesting algebraic structure.

  • 2023.10.16(月) | 談話会

    ※完全対面開催 (オンライン配信なし)

    講演者:阿蘇 愛理 氏 (東北大学)

    題目: 結び目とねじれ Alexander 多項式について
    概要:
    ねじれ Alexander 多項式とは, 古典的な結び目不変量である Alexander 多項式の一般化として1990年代に導入された結び目の不変量である.Alexander 多項式が結び目補空間の基本群(結び目群)のみから定まるのに対し, ねじれ Alexander 多項式は結び目群とその線形表現との組に対して定まり, 計算が比較的容易であるという Alexander 多項式の利点を受け継ぎながらも, より多くの幾何的情報をもつことが知られている.
    本講演では, 結び目に関する基礎的事項を説明し, 結び目の種数やファイバー性, 双曲体積などの幾何的な性質とねじれ Alexander 多項式との関係について紹介する.

  • 2023.10.30(月) | 談話会

    ※対面開催 (オンライン配信あり)

    講演者:伊藤 和広 氏 (東北大学)

    題目: 整p進Hodge 理論と代数幾何学への応用について
    概要:
    p 進 Hodge 理論とは,p 進数体上定義された代数多様体の様々なコホモロジー(etale,de Rham, crystalline など)を比較する理論であり,複素幾何学における Hodge 理論の p 進類似である.近年,p 進 Hodge 理論の精密化として,様々なコホモロジーを整係数で比較する「整 p 進 Hodge 理論」が大きな進展を遂げている.とくに Bhatt-Morrow-Scholze 及び Bhatt-Scholze が導入した prismatic コホモロジーとよばれる新しいコホモロジー理論は,多岐にわたる分野で応用が発見された.
    本講演では,整 p 進 Hodge 理論とその代数幾何学への応用を,講演者が与えた K3 曲面論への応用を中心として紹介する.

  • 2023.11.6(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:竹内 潔 氏 (東北大学)

    題目: Fourier transforms of holonomic D-modules and irregular characteristic cycles
    概要:
    望月と Kedlaya の理論により、不確定特異点を持つホロノミーD加群の理論は近年劇的な発展を遂げた。特に D'Agnolo と柏原は、不確定特異点を持つホロノミーD加群にたいするリーマンヒルベルト対応を確立した。一方フーリエ変換はD加群の理論において基本的な対象であるが、高次元の場合の性質は、あまりよくわかっていない。本講演では、D'Agnolo と柏原の新しいリーマンヒルベルト対応を用いて最近、高次元のホロノミーD加群のフーリエ変換のより詳しい構造がわかってきたことについて報告したい。特にその特異集合を具体的に記述し、それに沿う不確定度(指数因子)が元のホロノミーD加群の指数因子や特性多様体を用いて幾何学的に記述できることを示す。このフーリエ変換の幾何学的記述においては、我々が``irregular characteristic cycle" と呼ぶ、ホロノミーD加群の特異性を加味した(錐的とは限らない)ラグランジュ輪体が本質的な役割を果たす。これにより、多くの場合にホロノミーD加群のフーリエ変換と対応する偏微分方程式系にたいして、その正則関数解の特異点集合や一般点における次元、特異点集合に沿う増大度などが得られたことになる。

  • 2023.11.13(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:小関 祥康 氏 (神奈川大学)

    題目: アーベル多様体のねじれ点とクンマー忠実体
    概要:
    クンマー忠実体は遠アーベル幾何学の「基礎体」のひとつと考えられており、どのようなものがこれに該当するのかという基本的な問題がある。 代数体やp進体が代表例だが、他にも多くの例が知られるようになってきた。 一方、クンマー忠実性はアーベル多様体のねじれ有理点の有限性とも密接に関係している。 こういった事柄に関連して最近講演者が考えていることをお話ししたい。

  • 2023.11.27(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:Philippe Laurençot 氏 (CNRS & Université Savoie Mont Blanc)

    題目: A chemotaxis system with indirect signal production and phenotype switching
    概要:
    The dynamics of a chemotactic model for a species featuring two phenotypes is investigated in a two-dimensional domain. Phenotypes distinguish individuals which move randomly in space, with a bias induced by an external signal (chemoattractant), and those which produce the attractant without moving. Switching phenotypes is also taken into account. Global existence and boundedness of classical solutions to this model will be discussed, after recalling its connection to the classical Keller-Segel system for chemotaxis, along with properties of the latter. Joint work with Christian Stinner (Darmstadt)

  • 2023.12.4(月) | 談話会

    ※リアルタイム配信

    講演者:池上 大祐 氏 (Sun Yat-sen University)

    題目: 無限の数と無限ゲームについて
    概要:
    みなさんは、数学的帰納法や再帰的定義を自然数全体より「長い」長さで行いたいと思ったことはあるでしょうか?19世紀後半、カントールはその必要にかられ、自然数を拡張した無限の「数」(順序数)を導入し、無限を探求する学問として集合論が始まりました。本講演では、集合論という数学の分野の紹介をし、その中でも講演者が興味を持っている無限の数と無限ゲームの関係についてお話しします。

  • 2023.12.11(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:山内 貴光 氏(愛媛大学)

    題目: 非コンパクト空間上の作用に対する同変漸近次元
    概要:
    同変漸近次元(equivariant asymptotic dimension)は、離散群のコンパクト空間上の連続な作用に対する次元概念で、作用する離散群の漸近次元と関係があります。本発表では、非コンパクト空間上の作用のStone-Cechコンパクト化への拡張を考え、その同変漸近次元について得られた結果を紹介します。本発表は知念直紹氏(防衛大学校)との共同研究に基づきます。

  • 2023.12.18(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:稲場 道明 氏(京都大学)

    題目: 代数曲線上の有理接続のモジュライ空間とモノドロミー保存変形
    概要:
    確定特異点をもつ線形常微分方程式の族について、対応する基本群の表現が一定に保たれる時、モノドロミー保存変形と呼ばれる。これはSchlesinger方程式と呼ばれる代数的微分方程式に対応し、特別な場合としてパンルヴェ第6方程式が知られる。本講演では、岩崎克則氏、齋藤政彦氏との共同研究に基づく、放物接続のモジュライ空間を用いたモノドロミー保存変形の記述、及び関連する話題について説明する。

  • 2023.12.25(月) | 談話会

    ※完全対面開催 (オンライン配信なし)

    講演者:安東 弘泰 氏 (AIMR, 東北大学)

    題目: 物理リザバーコンピューティングにもとづく実データ活用と環境予測計算〜渋滞予測などを例にして〜
    概要:
    本講演では、環境予測計算における実データ活用について、物理リザバーコンピューティングに基づいた予測の方法論を中心に解説する。特に環境予測の精度と実現可能性を確かめるために、実際のデータセットを活用した予測モデルの意義について掘り下げる。
    具体的な応用例として、交通渋滞の発生予測を取り上げる。物理リザバーコンピューティングの原理を用いることで、高速道路で取得される交通データを解析し、渋滞発生を予測する方法を示す。また簡易な理論モデルから予測における渋滞の意義を検討する。

  • 2024.1.15(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:大川 領 氏 (大阪公立大学)

    題目: $K$-theoretic wall-crossing and transformation formulas for multiple hypergeometric series
    概要:
    枠付き箙表現のモジュライ上のK理論的同変積分について壁越え現象を利用して調べる. 特にA_1型手鋸箙多様体の場合を詳細に調べる. 2種類のK理論類の積分を考え、それらを係数とする母関数それぞれについて関数等式を与える. またこれらの母関数の明示公式により、多重超幾何級数の変換公式を幾何学的に証明する. 本講演内容は東京大学の白石潤一氏との共同研究に基づく.

  • 2024.1.22(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

    講演者:片山 聡一郎 氏 (大阪大学)

    題目: 非線形波動方程式系の大域解と漸近挙動
    概要:
    非線形波動方程式系の初期値問題で主として未知関数の導関数に非線形項が依存するような場合を考える. 初期値が小さいときには, 非線形項の次数がある臨界次数よりも大きければ(時間)大域解が存在する. 臨界次数の場合には, 非線形項のより詳しい構造に応じて大域解の存在・非存在が分かれる. そのような構造条件としてnull条件が有名であるが,近年はそれよりも弱い条件下でも大域解の存在が得られている. このような弱い条件下での大域解の存在と漸近挙動について自身の結果を交えて解説する.


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