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談話会情報
月曜日、16:00 から 17:00 まで理学部数理科学記念館(川井ホール)にて行ないます。オンラインで参加を希望される方は、以下のフォームから登録をお願い致します。
※数学専攻・情報科学研究科数学教室・数理科学共創社会センターのスタッフ、PDおよび院生の方々には、
談話会案内のメールにてログイン情報をお知らせいたしますので登録はご不要です。
これからの談話会
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2023.5.29(月) | 談話会
※対面とリアルタイム配信講演者:石渡 聡 氏 (山形大学)
題目: 多様体上の非対称拡散過程の離散近似
概要:
リーマン多様体上のラプラシアンにドリフト項(ベクトル場)、ポテンシャル項(関数)を加えた作用素が生成する半群の離散近似について解説する。本講演の内容は慶應義塾の河備浩司氏との共同研究に基づく。
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2023.6.5(月) | 談話会
※完全対面開催 (オンライン配信なし)講演者:大野 泰生 氏 (東北大学)
題目: 多重ゼータ値の双対関係式の拡張
概要:
多重ゼータ値は Riemannゼータ値の積を考えると自然に現れる多重級数とも思えるが, 有理数体上で Riemannゼータ値の多項式の張る空間よりも幾分広い空間を生成すると考えられる.多重ゼータ値の理解に重要となる, 双対関係式と呼ばれる一般的な関係式が知られている.談話会ではこの公式と一般化について, また, 中筋麻貴氏(上智大学・東北大学)との共同研究で得られた Schur多重ゼータ値における双対関係式とその一般化についてお話する.
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2023.6.12(月) | 談話会
※対面とリアルタイム配信講演者:白石 大典 氏 (京都 大学)
題目: ループ除去ランダムウォークと一様全域木
概要:
ループ除去ランダムウォークとはランダムウォークのパスからループを順々に取り除いて得られる確率過程のことである。1980年にGreg Lawlerにより導入されて以降、一様全域木やSchramm-Loewner evolution(SLE)等の確率モデルとの関係が見出され、活発に研究がなされてきた。本講演ではすでに示されていることと今後の課題をできるだけ分かりやすく説明する。
過去の記録
2023年度
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2023.4.17(月) | 談話会
※対面とリアルタイム配信講演者:高橋 良輔 氏 (東北大学)
題目: deformed Hermitian-Yang-Mills方程式の解の存在問題
概要:
deformed Hermitian-Yang-Mills (dHYM)方程式はKähler多様体上の標準計量を与える方程式の1つであり,半平坦SYZミラー対称性の文脈においてspecial Lagrangian方程式のミラー版の対応物として自然に現れる.dHYM方程式の研究は,近年,複素幾何側から多くの専門家が参入し,急速に発展を遂げてきた.本講演では,dHYM方程式についての基本事項から研究の最先端までのあらましを,自身の結果も紹介しながら解説する.
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2023.4.24(月) | 談話会
※対面とリアルタイム配信講演者:Lorenzo Cavallina 氏 (東北大学)
題目: 多相優決定問題における対称性と非対称性について
概要:
本講演では, 楕円型偏微分方程式における多相優決定(過剰決定)問題を考える. 一相の場合, 一つの優決定条件を境界上に課した優決定問題の解は球に限ることは知られている. 同様に, 二相の場合, 二つの優決定条件を境界上に課した優決定問題の解は同心球に限ることを示す. また, 三相以上の場合では以上のパターンが成立しないことを示す. 具体的には, 陰関数定理を用いて, 境界上に無限個の優決定条件を課した優決定問題の球対称でない解を構成する.
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2023.5.15(月) | 談話会
※対面とリアルタイム配信講演者:見村 万佐人 氏(東北大学)
題目: 不変擬準同型を巡る
概要:
川崎盛通氏(青山学院大学)、木村満晃氏(京都大学)、松下尚弘氏(琉球大学)、丸山修平氏(名古屋大学)との一連の共同研究に基づきます。群上の実数値関数 φ が準同型写像であるとは、群の任意の元 g,h に対し |φ(gh)-φ(g)-φ(h)| が 0 と等しいことでした。これを緩めて、上記の絶対値が g,h に依らず一様有界であることを要請したときの φ を擬準同型(quasimorphism, quasi-homomorphism)といいます。例えば、加法群 Z 上の整数値擬準同型全体の集合を適切な同値類で割ることで、「Z から R を作る」ことができます。(φ に対し、"lim_n (φ(n)/n)" を対応させるイメージです。)
群を固定して、群上の擬準同型全体の空間をその中で "簡単に作れる" もの:真の準同型+上下に有界な関数の形のもののなす部分空間で割ることで、「群上の "簡単には作れない" 擬準同型のなす空間」が作れます。この空間は群の交換子と関係したり興味深いものなのですが、多くの "自然に" 現れる群で「ゼロ空間になるか、無限次元空間になるか」という極端な振る舞いをします。一連の共同研究でこの設定を "相対化" し、群とその正規部分群 (G,N) の組に対し G 上の擬準同型の代わりに N 上の「G-不変擬準同型」を調べています。この設定では適切な商空間を考えると、G や N に対する非常に緩やかな仮定の下でその空間が有限次元になります。例えば、N が G の交換子部分群のときは、G が有限生成でありさえすれば OK です。その上で、我々はその空間の次元計算も進め、非ゼロな有限次元となる例も与えました。これにより、擬準同型そのものを分かり尽くすことは無理でも、不変擬準同型の適切な「類」なら「分かり尽くせる」可能性があることが分かってきました。一連の共同研究にて、この「非ゼロな有限次元」部分がシンプレクティック幾何や粗い幾何(coarse geometry)に効いてくる例も見つかっています。
「不変擬準同型」を巡る旅を、群や正規部分群の定義くらいの前提知識から始めてお話しします。
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2023.5.22(月) | 談話会
※対面とリアルタイム配信講演者:三柴 善範 氏(東北大学)
題目: 関数体上の周期の線型独立性について
概要:
複素数に値をとる通常の周期の類似物として,tモチーフの周期というものが正標数の関数体の世界において研究されている.円周率の類似物や正標数多重ゼータ値など,興味深い対象が関数体上の周期として現れる.与えられた周期の間の関係式を全て決定せよ,という基本的な問題がある.標数0の世界では,この問題は主に関係式の非存在性の観点から非常に難しいものと考えられている.一方で関数体の世界では,周期の間の関係式の非存在性に関する結果が次々と証明されている.本講演では,関数体上の周期の間の線型独立性に関する結果と,その証明で重要となる道具について紹介する.