談話会情報

月曜日、16:00 から 17:00 まで理学部数理科学記念館(川井ホール)にて行ないます。

これからの談話会


過去の記録

2024年度

  • 2024.4.22(月) | 談話会

    ※対面とリアルタイム配信

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    講演者:山崎 雅人 氏 (東京大学)

    題目: 量子力学の数学とは何か
    概要:
    量子力学は20世紀初頭に誕生した物理学の一大理論体系であり、その有用性は理論的にも実用的にも明白である。しかし一方、その「本質」が何であるのか、また量子力学がなぜ現在の形をとっているのかについては議論の余地がある。本談話会では、このトピックに関連したいくつかの数学的話題について紹介し、この問題に数学的にアプローチする可能性について議論する。講演者はこの話題について通常の意味での専門家ではないことには注意する必要があるが、皆さんが「量子力学そのものの数学」について考える端緒となれば幸いである。

  • 2024.5.13(月) | 談話会

    ※対面

    講演者:山木 壱彦 氏 (東北大学)

    題目: 代数多様体の算術と非アルキメデス的幾何
    概要:
    アラケロフ幾何では、代数体上の代数多様体の算術的性質を調べるにあたって、無限素点上での解析が重要な役割を果たす。たとえば、「ある種の代数多様体上の高さの小さい点が少ない」という型の主張はボゴモロフ予想と呼ばれるが、その証明では無限素点上の複素解析空間において代数的点がどのように分布するかを標準測度を参照して記述することが鍵となった。さて、函数体上の代数多様体においても高さの概念があるので、同様の主張を考えることができる。しかしながら、代数体上の場合と同様の考察をしようとしても、函数体上には無限素点が無く対応する複素解析空間を考えることができない。そこでどの代替物となるのが、非アルキメデス的素点上のベルコビッチ解析空間である。実際、幾何的ボゴモロフ予想においては、ベルコビッチ解析空間における標準測度を詳しく調べることにより代数体上の場合と似た議論が回るということが、解決に向けての大きなステップとなった。本講演では、(幾何的)ボゴモロフ予想を題材に、こうした算術的問題とベルコビッチ解析空間等の非アルキメデス幾何との関係について概説する。時間が許せば、講演者が最近研究を進めている(算術的問題とは直接関係は無いが幾何的ボゴモロフ予想の研究を通じて触発されたテーマである)ベルコビッチ空間の骨格とそのトロピカル化についても紹介する。

  • 2024.5.20(月) | 談話会

    ※対面

    講演者:納谷 信 氏 (名古屋大学)

    題目: ラプラシアン第1固有値の最大化について
    概要:
    ラプラシアンの第1固有値を最大化する問題は、多様体(連続)の場合はBerger (1973)、グラフ(離散)の場合はFiedler(1990)に遡る。この講演では、これらの問題の進展を概観するとともに、それぞれの離散、連続類似を定式化して比較する。

  • 2024.5.27(月) | 談話会

    ※対面

    講演者:清水 伸高 氏 (東京工業大学)

    題目: 数学と理論計算機科学の相互作用: 擬似ランダムネス
    概要:
    かの有名な物理学者Einsteinは量子が確率的に振る舞うという考え方に対し「神はサイコロを振らない」と否定的な見解を持ったとされている。では、恐れ多いことだが神の(6面の)サイコロを(2面の)コインにすり替えて騙してしまうことは可能だろうか? 原理的にはコイントス1回で6面サイコロをシミュレーションすることは不可能であり、実際に情報理論の枠組みで考えると厳密な枠組みで議論し証明できる。
    しかし、騙す対象を全知全能な神ではなく、実行時間が限られた多項式時間アルゴリズムに限定すると大きく話は変わってくる。大雑把にいうと、能力が制限された敵対者にとって「ランダムに見える」という性質を擬似ランダムといい、その敵対者の性能によっては騙すことが可能であることが知られている。この概念は計算機科学において非常に重要な研究トピックである。例えば暗号化された文章は敵対者にとって擬似ランダムに振る舞わなければ何かしらの情報を与えてしまうことにつながる。
    また、擬似ランダムネスの概念は数学と理論計算機科学を繋げる大きな橋である。例えば加法的組合せ論においても重要な役割を果たしており、例えば素数全体の集合が無限の長さの等差数列を含むことを主張するGreen-Taoの定理の証明の一部(Szemerédiの定理の相対化の部分)は擬似ランダムネスの枠組みで解釈できる。また、幾何学的群論の重要な成果の一つであるラマヌジャングラフ(より一般にエクスパンダーグラフ)は計算量理論においてある種の擬似ランダムネスの結果の証明に重要な貢献を与えている。
    本発表では理論計算機科学と数学の間にかかっている擬似ランダムネスという大きな橋について、かいつまんで紹介する。

  • 2024.6.3(月) | 談話会

    ※対面

    講演者:猪奥 倫左 氏 (東北大学)

    題目: 非線形増大度の分類に基づく半線形楕円型方程式の特異解の構成
    概要:
    半線形楕円型方程式の球対称特異解の構造は,べき乗非線形項の場合にはよく理解されている.本講演では既存の結果を概観したのち,単調増大する一般の非線形項に対して増大度の分類を導入し,それに基づく球対称特異解の構成方法について説明する.

  • 2024.6.24(月) | 談話会

    ※対面

    講演者:宮本 安人 氏 (東京大学)

    題目: 拡大する円環領域における球対称解のモース指数の漸近公式
    概要:
    円環領域上の半線形楕円型偏微分方程式のノイマン問題の非自明球対称解について考える.円環の幅を1に固定して内径Rを大きくすると,球対称解からなる滑らかな解の枝が存在する.このとき,Rが大きくなるとともに無限個の固有値が次々と原点を通過してモース指数が無限大に増大し,それに伴って対称性破壊分岐を起こすことが知られている.しかしモース指数の増大度についてはこれまであまり研究がなされていなかった.ここでは,アレン・カーン方程式とスカラーフィールド方程式の球対称解のモース指数の漸近公式を導出し,解の形状がモース指数に与える影響について考える.本講演は中島主恵氏(東京海洋大学)との共同研究に基づく.

  • 2024.7.8(月) | 談話会

    ※対面

    講演者:井上 瑛二 氏 (理化学研究所)

    題目: Kahler時空のPerelmanエントロピー
    概要:
    PerelmanエントロピーはもともとRicciフローに沿った単調量としてPerelmanが導入した汎函数で、局所非崩壊定理の証明に用いられることは有名である。PerelmanエントロピーがRicciフローの文脈から切り離して語られることは多くないが、最近の研究でPerelmanエントロピーがKahler時空の多重ポテンシャル論を介して定スカラー曲率Kahler計量、代数多様体のK安定性や最適退化問題と結びつき、Ricciフローそのものより重要な幾何学量であることが示唆されつつある。これを紹介したい。

  • 2024.7.22(月) | 談話会

    ※対面

    講演者:中野 史彦 氏 (東北大学)

    題目: Temperley - Lieb 演算子の持ち上げとRazumov - Stroganov 予想について
    概要:
    Razumov - Stroganov 予想とはリンクパターン上の生成する線型空間上のあるハミルトニアンの基底状態に対応するFPLの個数が現れるという予想で、2010年に解決されたが、O(1)-loop model, 交代符号行列を介して2次元統計力学の模型や組み合わせ論との様々なつながりがあり、今も注目されている。Temperley - Lieb 演算子の持ち上げを用いたRS予想のより平易な証明について議論する。


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