セミナーの予定
2025年4月10日(木) 16:30-18:00
会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Lorenzo Cavallina 氏 (東北大学)
題目
「二相」を超えて— 無限相の場合を含む多相複合媒質における楕円型及び放物型優決定問題
要旨
本発表では, 多相複合媒質における Serrin 型優決定問題を考察する. 媒質は, 有界領域 $\Omega$ 上で定義された区分的定数関数 $\sigma$ を係数に持つ楕円型作用素で表現される. 関数 $\sigma$ が一定値をとる部分集合を「相」と呼び, 境界に接する相をshell, 内部の相をcore, 異なる相の境界面を界面と呼ぶ. また, $\sigma$ の取る値の数によって, 「一相」, 「二相」, 「多相」設定に分類する.
本発表では, 斉次Dirichlet境界値問題の解uを扱い, $\partial\Omega$ の連結成分 $\Sigma$ 上で法線微分 $\partial_\nu u$ が一定であるという追加条件を課した優決定問題を考える. このとき, $\Sigma$ 上では二つの境界条件を課しているため, 解が存在するとは限らないことに注意する.
Sakaguchi (2016年, 2020年) は以上の優決定問題が解を持つための必要十分条件を与えた. 具体的には, $C^2$ 級の界面と連結なshellを持つ二相複合媒質に対して, $\Sigma$ が球面の場合, $\partial\Omega$ と界面が同心球面であるときに限り解が存在することを示した. 本発表では, 弱形式を用いて Sakaguchi (2016年, 2020年) の定理の初等的な証明を与え, さらに粗い界面を有する多相設定に対する楕円型及び放物型優決定問題への応用について述べる.
なお, 本研究は Giorgio Poggesi 氏 (University of Western Australia) との共同研究に基づく.
2025年4月17日(木) 16:30-18:00
会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Dongyuan Xiao 氏 (東北大学材料科学高等研究所)
題目
TBA
要旨
TBA
「解析セミナー」
2025年4月24日(木) 16:30-18:00
会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
梶野 直孝 氏 (京都大学)
題目
一様領域上の反射壁拡散過程の境界跡に対する熱核評価
要旨
本発表では, Mathav Murugan 氏 (University of British Columbia) との最近の共同研究
(arXiv:2312.08546) で得られた「劣 Gauss 型熱核評価を満たす対称拡散過程, およびその状態空間内の一様領域が与えられたとき,その一様領域上に自然に定まる反射壁拡散過程の境界跡過程は安定型 (stable-like) 熱核評価を満たす」という結果を紹介する. この結果は, それら自身興味深い結果である次の事実を証明することにより得られる:
(1) 調和測度 (拡散過程の境界への初到達位置の確率分布) の上下評価とdoubling性
(2) 領域上の Naïm 核 ( Martin 核のある種の「対称化」) の領域境界への連続拡張の存在
(3) 境界跡過程の Dirichlet 形式が, 調和測度に関する跳躍核が Naïm 核 (の連続拡張)
であるような純跳躍型 Dirichlet 形式で与えられることを意味する Doob--Naïm の公式