2018年度の記録

研究集会「第20回北東数学解析研究会」
2019年 2月 18日(月)--19日(火)

会場
東北大学大学院理学研究科 川井ホール
プログラム
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2019 年 1月 21 日 (月) 14:40--16:30

会場
東北大学 理学研究科 数学棟2階201室
第一発表者
桐原 一哲 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「距離空間上の非自励的な勾配流に対する Minimizing Movement スキーム」
第二発表者
岡 大将 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「Space-time periodic homogenization for nonlinear diffusion equation based on two-scale convergence theory (2スケール収束理論に基づく非線形拡散方程式に対する時空間周期的均質化法)」

2019 年 1月 17 日 (木) 14:40--17:30

会場
東北大学 理学研究科 合同A棟8階801室
第一発表者
菊地 柾貴 氏(東北大学 大学院情報科学研究科)
「ジャンプ過程を伴う多孔質媒体方程式の解の挙動」
第二発表者
合田 修人 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「弱ルベーグ空間における4階非線形シュレディンガー方程式の解の存在と一意性」
第三発表者
佐々木 啓 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「デルタポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式の散乱問題」

研究集会「East Asian Core Doctoral Forum on Mathematics 2019
2019年 1月 9日(水)--11日(金)

会場
東北大学片平さくらホール
プログラム
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2019 年 1月 10 日 (木) 14:40--16:30

会場
東北大学 理学研究科 合同A棟8階801室
第一発表者
吉澤 研介 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「高階放物型障害物問題に対する変分的アプローチ」
第二発表者
青柳 裕郎 氏(東北大学 大学院情報科学研究科)
「複合媒質からなる球対称領域におけるMaxwell方程式の解の波動関数展開について」

2019 年 1月 7 日 (月) 14:40--16:30

会場
東北大学 理学研究科 数学棟2階201室
第一発表者
ザンペイソフ エルボル 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「Blow-up rate of sign-changing solutions to nonlinear parabolic systems」
第二発表者
立石 優二郎 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「逆二乗冪ポテンシャルをもつ熱方程式の導関数評価」

2018 年 12月 20 日 (木) 14:40--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
第一発表者
勝呂 剛志 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「Beckner の対数型 Sobolev の不等式と対数型不確定性原理」
第二発表者
橋爪 健吾 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「分数冪Laplacianを有するBurgers方程式のentropy解と特異性に関して」
第三発表者
松井 竜也 氏(東北大学 大学院理学研究科)
「Fourier-Lebesgue空間における熱方程式の最大正則性と消散波動型磁気流体方程式への応用」

2018 年 12月 13日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
舘山 翔太 氏 (東北大学大学院 理学研究科)
題目
完全非線形方程式の弱ハルナック不等式とその応用
要旨
本発表では, 低階項(一階微分項)に非有界係数を持つ完全非線形一様放物型方程式の$L^p$-粘性解に対する弱ハルナック不等式を導 き, その応用としてPhragmén-Lindelöf定理や両側障害問題の$L^p$-粘性解の存在に関する結果を紹介する. $L^p$-粘性解は非発散型方程式に有 効な弱解であり, 特に方程式に対して非斉次項が$L^p$関数である場合を扱うために導入された概念である. なお, 本発表は部分的に小池茂昭 教授(東北大学)とAndrzej Święch教授(Georgia Institute of Technology)との共同研究に基づく.

2018 年 12月 6日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
星埜 岳 氏 (大阪大学 理学研究科)
題目
Scattering for solutions of a dissipative nonlinear Schrödinger equation
要旨
消散型のべき乗型非線形項をもつNLSの時刻プラス無限大における解の散乱を考える. 初期値は考える関数空間においてそのノルムが任意の大きさを持つものを考える. 初期値を適当な重みつきルベーグ空間からとって構成した時間局所解に対して, 分数階ソボレフ空間におけるアプリオリ評価式を示すことができる. これにより解の時間大域的延長と時間減衰評価式を示すことができ解の散乱が言える. 非線形項が反発と呼ばれる場合に知られている結果では非線形冪がストラウスの指数以上の場合に散乱が示されているが本研究ではそれより小さな指数に対しても同様の結果を得た.

2018 年 11月 29日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
Lai Ning-An 氏 (Lishui University)
題目
Lifespan of critical semilinear wave equations in exterior domain in 4-D and 2-D.
要旨
In this talk I want to show the upper bound of lifespan estimate for the initial boundary value problem of critical semilinear wave equations in 4-D and 2-D. Then we we show the sharpness of the lifespan obtained by Zha and Zhou in the 4-D case.

2018 年 11月 15日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
桑村 雅隆 氏 (神戸大学発達科学部)
題目
Dynamics of localized unimodal patterns in reaction-diffusion systems for cell polarization by extracellular signaling
要旨
細胞の極性は、運動の向きをもつ細胞移動や、異なる機能をもつ娘細胞への分化などにおいて重要な役割を果たしていることがよく知られている。近年、自発的な細胞の極性化を理解するための枠組みの1つとして、保存量をもつ反応拡散方程式系による概念的なモデルが提唱されている。 それらのモデルでは、細胞の極性は反応拡散方程式系の安定な定常局在解として解釈されている。 本発表では、保存量をもつ反応拡散方程式系モデルに、外部シグナルの影響を表す効果を摂動項として加えたときに、(非摂動系の定常)局在解がどのように動くのかを考察する。 本研究は、李聖林(広大)、栄伸一郎(北大)先生との共同研究である。

2018 年 11月 8日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
上田 好寛 氏 (神戸大学海事科学部)
題目
Characterization of the dissipative structure for the symmetric hyperbolic system with non-symmetric relaxation
要旨
In this talk, we discuss the dissipative structure for a hyperbolic system with relaxation. If the relaxation term of the system has symmetric property, Shizuta-Kawashima(1984,1985) introduced a stability condition which induces the decay estimate for the solution of Cauchy problem. However, there are some complicated physical models which possess a non-symmetric relaxation term and we can not apply this stability condition to these models. Under this situation, our purpose of this talk is to extend the stability condition for complicated models and get the quantitative decay estimate. Furthermore, we shall explain the new dissipative structure by using the several concrete examples.

「集中講義」
2018年10月30日(火),31日(水),11月1日(木),2日(金) 15:00 -- 18:00

会場
東北大学 大学院理学研究科 川井ホール
講師
石渡 哲哉 氏(芝浦工業大学)
講義題目
曲率流方程式の数理解析
プログラム
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2018 年 10月 25日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
肥田野 久二男 氏 (三重大学教育)
題目
Global existence and regularity of solutions to systems of quasi-linear wave equations satisfying the null condition
要旨
"null condition" をみたす準線形波動方程式系に対する 初期値問題が小さな初期値に対して時間大域解をもつという, ChristodoulouとKlainermanが異なる手法で 独立に得た定理の証明方法をまず振り返る. Klainermanの証明方法と結果は, のちにHörmanderにより無駄の省かれたものに洗練されたが, それでもなお初期値のなめらかさと 遠方での減衰の条件の面からは Christodoulouの方法で得られる結果の方に軍配が上がることに注意する. AlinhacとLindblad-Rodnianskiが導入した, 特別な導関数に対する時空$L^2$評価式と いわゆるKSS評価式を使うことで, Klainerman, Hörmanderの結果からさらに無駄が省かれて, 結果的にChristodoulouの方法で得られる成果よりも 初期値の遠方での減衰の条件の面から優れた結果が得られることを説明する. なお,本発表は横山和義氏(北海道科学大学)との共同研究に基づく.

「集中講義」
2018年10月16日(火),17日(水),18日(木),19日(金) 15:00 -- 18:00

会場
東北大学 大学院理学研究科 川井ホール
講師
森本 芳則 氏(京都大学)
講義題目
非切断型ボルツマン方程式の数学解析
プログラム
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2018 年 10月 11日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
山本 宏子 氏 (東京大学数理科学連携基盤センター)
題目
ある微分方程式に対する反応拡散近似
要旨
反応拡散系は連立の非線型放物型偏微分方程式で表され,化学反応系や燃焼系,生物系など多くの方程式に現れる.本研究では,反応拡散系の解の大域的挙動や方程式の類を調べることを目的として,反応拡散系により近似可能な方程式を考察する.この近似は反応拡散近似と呼ばれる.例えばD. Hilhorst, R. van der Hout, L. A. Peletier(1996)により,ある二成分の反応拡散系の解が,一相Stefan問題の近似解になることが示された.また非線型拡散問題に関して,交差拡散系と呼ばれる準線型放物型方程式の解の近似を行った飯田-三村-二宮(2006)や,多孔性媒質方程式などの退化する非線型拡散問題の解を近似した村川(2007)などの結果が知られている.本発表では,ある非局所発展方程式と半線形波動方程式の反応拡散近似に関する結果を報告する. なお,本研究は,二宮広和氏(明治大学),田中吉太郎氏(はこだて未来大学)との共同研究に基づく結果を含むものである.

「OS特別セミナー」
2018 年 10月 5日 (金) 16:00--

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
清水 一慶 氏(京都大学)
題目
Schrödinger map方程式について
要旨
Schrödinger map方程式とは、自由Schrödinger方程式の幾何学的一般化に相当する偏微分方程式である。 この方程式は幾何学的側面から生じる複雑な非線形性を有しており、 これをいかにうまく処理するかが先行研究における一つの大きな主題となっている。 その中で最も有効な手法として知られているのが、未知関数の微分を接空間の正規直交基底を用いて書き下す方法である。 これにより方程式が内部に含み持つ分散性と非線形性を、非線形Schrödinger方程式の形で巧妙に捉えることができる。 本発表では上述の主題を軸に先行研究の概観を説明した後、 正規直交基底を用いた手法について解説し、最後にこの手法に関連して講演者が得た結果を簡単に紹介する。

2018 年 10月 4日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
三村 与士文 氏 (日本大学文理)
題目
Keller-Segel系におけるエネルギー汎関数の強圧性の質量依存性
要旨
1998年のJordan-Kinderlehrer-OttoによるFokker-Planck方程式の変分的な考察を皮切りに, 移流項を含む拡散方程式も 確率測度空間上の勾配流として定式化されるようになった. 本発表ではこの知見に立ち, 走化性モデルであるKeller-Segel系に対してエネルギー汎関数の導出を行い, さらにそのエネルギー汎関数の強圧性が質量に依存することを示す. また, この性質から, Keller-Segel系の第一未知関数の総質量がエネルギー汎関数の強圧性を成立させる臨界値よりも小さければ. 時間大域的な弱解が構成されることを述べる.

「OS特別セミナー」
2018 年 8月 3日 (金) 16:00--

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
熊谷 大雅 氏(東京工業大学)
題目
ある大きな移流項を持つハミルトン・ヤコビ方程式の解の漸近挙動について
要旨
自由度1のハミルトン流の確率摂動の漸近解析については、Freidlin-WentzellやIshii-Sougainidisなどによって研究がさ れている。 これらの研究は、偏微分方程式の言葉で言えば、ハミルトン流を定めるハミルトンベクトル場で決まる大きな移流項を持つ2階線形楕円型 偏微分方程式の解の漸近挙動を調べることに対応する。 Freidlin-Wentzell等の確率摂動に対して、制御項によるハミルトン流の摂動を考えると、対応する方程式は1階完全非線形偏微分方程式で あるハミルトン・ヤコビ方程式となる。 本発表では、そのハミルトン・ヤコビ方程式の解の漸近挙動について得られた結果を、粘性解理論における基本的な事項を交えつつ紹介す る。

「集中講義」
2018年7月24日(火),25日(水),26日(木),27日(金) 15:00 -- 18:00
(25日(水)は15:30 -- 18:30)

会場
東北大学 大学院理学研究科 川井ホール
講師
加藤 圭一 氏(東京理科大学)
講義題目
波束変換の基本的性質と偏微分方程式への応用
プログラム
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「OS特別セミナー」
2018 年 7月 20日 (金) 16:00--

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
佐川 侑司 氏(大阪大学)
題目
Lower bound estimate for the lifespan of small solutions to nonlinear Schrödinger equations
要旨
本発表では非線形シュレディンガー方程式の初期値問題の解のライフスパン(最大存在時間)について考察する。先行研究 において、解のライフスパンが初期値および非線形項の形状のみから決まる量で下から評価されることが知られている。しかし先行研究で は初期値や非線形項に条件が課せられており、扱える非線形項が限られていた。最近砂川秀明氏(大阪大学)と保田舜介氏との共同研究によ り、先行研究で課されていた条件を緩和することに成功した。本発表ではそのことについて話す。

2018 年 7月 19日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
藤江 健太郎 氏(東京理科大学 理学部第一部)
題目
1次元準線形Keller-Segel系の臨界現象の非存在性
要旨
本発表では,1次元準線形放物・放物型Keller-Segel系の初期値境界値問題を考察する.特に,拡散項が臨界指数のべきをもつ場合を扱う .大域可解性・解の有界性を導くことで,臨界現象が起こらないことを示す.Cieslak-Laurencot (2010)で示唆されているKeller-Segel系 の新しいエネルギー評価の導出が鍵である.

2018 年 7月 12日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
津川光太郎 氏(中央大学理工学部)
題目
Ill-posedness of derivative nonlinear Schrodinger equations on the torus
要旨
本発表では,非線形項に1階の微分を含むSchrodinger方程式の周期境界条件下での初期値問題 を考え,十分に滑らかな初期値に対して時間局所適切となるための非線形項の必 要十分条件を与える.証明の主な道具はエネルギー法とゲージ変換であるが,非 適切となる場合については非線形項が持つ放物型平滑化効果を引き出す点が鍵と なる.

2018 年 7月 5日 (木)

お休み

2018 年 6月 28日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
谷内 靖 氏 (信州大学)
題目
ある対数型不等式とNavier-Stokes方程式の解の爆発判定条件
要旨
本発表では、ある対数型不等式(Brezis-Gallouet-Wainger型不等式)について考察する。また、その不等式の 非圧縮性Navier-Stokes方程式への応用も考察する。具体的には、適当な条件の下で、Brezis-Gallouet-Wainger型不等式を満たす最大のノルム空間を求める。さらに、ここで求めたノルム空間を用いて、Navier-Stokes方程式の解のBeale-Kato-Majda型の爆発判定条件を改良す る。また、時間があれば、Brezis-Gallouet-Wainger型不等式とTrudinger型不等式の関係についても述べたい。

2018 年 6月 21日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
宮崎 隼人 氏 (津山工業高等専門学校)
題目
The initial value problem for the generalized KdV equation with low degree of non-linearity
要旨
非線形項がKdV方程式よりも低次のべきをもつ一般化KdV方程式の初期値問題について考察する. この方程式の非線形項は原点での特異性をもつため, 解のクラスとして通常考えられるSobolev空間等の枠組において, Lipschitz連続とならない. 本発表では, このような非線形項の正則性が低い場合にも, 初期値があるクラスに属するならば時間局所解を構成できること, またその解が正則性の伝播と呼ばれる性質をもつことを報告する. 時間局所解を構成するためには, 非線形Schrödinger方程式において, 非線形項よりも高い正則性をもつ解の存在を示すために, T. Cazenave, I. Naumkin (2016)により導入された初期値の非退化性に関する条件を用いる. 非線形分散型方程式は放物型のような比較原理をもたないが, この条件が時間発展しても引き継がれるような解のクラスを設定することで, 非線形項の原点での特異性を回避し, 時間局所解を構成することができる. なお本発表はUCSBのGustavo Ponce氏, IMPAのFelipe Linares氏との共同研究に基づく.

2018 年 6月 14日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
深尾 武史 氏 (京都教育大学)
題目
Recent advances in Cahn-Hilliard system with dynamic boundary condition
要旨
本発表では, 力学的境界条件あるいは動的境界条件と呼ばれる境界条件を課した Cahn-Hilliard方程式系の適切性を中心に近年の研究動向について紹介する. 境界条件に時間微分を含むこの種の境界条件を課したCahn-Hilliard方程式系に ついて, 相関数には力学的境界条件下を, 化学ポテンシャルにはNeumann境界条件を課し た問題が 数多く研究されてきた. これに対し, 近年GalやGoldstein-Miranville- Schimpernaらが提唱した, 境界上でもCahn-Hilliard方程式系を考察するシステムでは 領域内部と境界上での相関数の積分量の和が保存するという「総体積保存則」が 成立する. この特徴的な性質を下に適切な関数空間を用意し, 発展方程式の抽象論の立場から可解性を論じる. また関連する最適制御問題や Cahn-Hilliard方程式系から 退化放物型方程式への接近についても, 証明の着想を紹介する.

研究集会「8th Euro-Japanese Workshop on Blow-up
2018年 6月 4日(月)--8日(金)

会場
東北大学大学院理学研究科 青葉サイエンスホール(青葉山北キャンパス 合同C棟2F)
プログラム
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「OS特別セミナー」
2018 年 6月 1日 (金) 16:00--

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
福田 一貴 氏(北海道大学)
題目
一般化されたKdV-Burgers方程式の時間大域解の漸近挙動
要旨
本発表では, 一般化されたKdV-Burgers方程式に対する, 初期値問題の時間大域解の漸近挙動について取り扱う. この方程式は, 移流・分散 ・拡散の効果を併せ持った非線形波動の方程式の一つで, 浅水波やプラズマ中の波動などのモデルとして知られている. 今回は, 初期値は 十分小さく, 多項式減衰している場合を考察する. この初期値問題の解については, 非線形散逸波と呼ばれるBurgers方程式の自己相似解が 漸近形となることが知られている. 本研究では特に, 初期値の減衰率に着目し, その減衰率に対応した, 解の非線形散逸波への漸近レート を導出した. 更に, 初期値に応じた解の第2漸近形を構成することによって, 得られた漸近レートの最良性を示すことにも成功した. 本発表 では, はじめにHopf-Cole変換などのBurgers型の方程式で用いられている基本的な手法を解説し, 次にそれを用いた漸近レートの導出法と , 解の第2漸近形を構成するための考え方を紹介する.

2018 年 5月 31日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
生駒 典久 氏 (慶應義塾大学)
題目
2つの制約条件を持つ最小化問題の可解性
要旨
本発表では,2成分非線形連立シュレディンガー方程式系に関連する最小化問題について考察する. 本最小化問題において,2つの成分の $L^2$ ノルムを予め固定し, エネルギー汎関数(系のハミルトニアン)を最小化する元が存在するかどうかを考える. 本問題の特徴としてはポテンシャル関数による空間非均質性,複数の制約条件, 相互作用項に劣2次の項が現れることがある等が挙げられる. このような特徴のため,対称減少再配分等の方法を適用することが難しい. 本発表ではこの点を克服し,最小化元の存在を示すことができたので その方法について述べたい. なお本発表は東京大学の宮本安人氏との共同研究に基づく.

2018 年 5月 24日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
杉山 裕介 氏 (滋賀県立大学)
題目
Global existence and degeneracy in finite time for 1D quasilinear wave equations
要旨
本発表では, まず 1 次元双曲型保存系で書ける準線形波動方程式の初期値問題を考察する. 伝播速度が未知関数に依存するこのモデルにおいては, 伝播速度が時刻 0 で 0 でない(方程式の非退化性)という条件を初期値に仮定 する. この条件によって, 方程式が双曲型となり一意に解くことができる. しかしながら, 時刻 0 で方程式が退化していなくても, 有限時間で「方程式の退化」が起こることがある. 一般に, 双曲性が失われた方程式においては, 解の滑らかさの透徹性が保証されない. この講演では, まず「方程式の退化」が起こるための条件を、 関連する圧縮性オイラー方程式の結果を述べながら考察する. 次に関連するモデルとして, 保存則系の構造を崩しながら, 保存則系の持 つある性質を 保持するモデルを考察し, 保存則の構造が崩れたときの「方程式の退化」が起こる条件の変化について考える.

「OS特別セミナー」
2018 年 5月 18日 (金) 16:00--

会場(変更になりました)
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
佐野 めぐみ 氏(東京工業大学)
題目
変分法を用いた非線形楕円型偏微分方程式の解析と非コンパクト現象について
要旨
よく知られているように、一般に偏微分方程式を具体的に解く(初等関数を用いて表す)ということは非常に困難である。 そこでまず問題となるのは、「与えられた偏微分方程式に解が存在するかどうか」である。 本発表では、まず初めに非線形楕円型偏微分方程式の解の存在を示す手法として有力な「変分法(特に、峠の補題)」について、 具体的な非線形偏微分方程式を例にとって解説する。 次に、変分法で解析する際に重要な事柄である「ソボレフ空間の埋め込みの(非)コンパクト性」について解説する。 最後に、最近得られた研究結果について時間の許す限り紹介する。

2018 年 5月 17日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
菊地 光嗣 氏(静岡大学)
題目
非線形の強粘性項を持つ発展方程式に対する解の存在と一意性
要旨
本発表では,準線形双曲型方程式に対してラプラシアンを時間で微分した項を付加して考察することがある。この項のことを強粘性項と呼ぶ。ラプラシアンは線形の作用素であるが,本発表ではこの部分を非線形にした方程式に対して,エネルギー汎函数の増大度が適当な条件を満たせば解が一意的に存在することを報告する。

「OS特別セミナー」
2018 年 5月 11日 (金) 16:00--

会場
東北大学 理学研究科 数学棟2階201室
発表者
水上 雅昭 氏(東京理科大学 理学研究科)
題目
感応性関数をもつKeller-Segel系の大域解の存在と有界性
要旨
本発表では, 感応性関数をもつKeller-Segel系の初期値境界値問題について考察する. Keller-Segel系は化学物質に引き寄せられる生物の運動に関する数理モデルであり, 感応性関数を導入することで化学物質の濃度の高いところでは走化性が抑制されるという現象を記述している. 先行研究において, 特異な感応性関数をもつKeller-Segel系については, Winklerがある条件の下で大域解の存在を導出し, Fujieがその解の有界性を導出した. しかし, 生物学上重要な意味をもつ一般の感応性関数の場合には, 有界な時間大域解の存在を導く条件はまだ得られていない. 本発表では一般の感応性関数の場合について扱い, 感応性関数を用いたエネルギー関数に対する評価を導出することで, 解の時間大域的存在と有界性を導出する感応性関数の適切な条件を明確にする. また, それにより, 特異な場合と一般の場合を数学的につなげることを目指す. 本発表は横田智巳先生(東京理科大学)との共同研究に基づく.

2018 年 5月 10日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
白川 健 氏(千葉大学)
題目
非等方的効果と方位の回転効果を取り入れたエネルギー勾配系による数学モデル
要旨
本発表では、 エネルギー汎関数に非等方的効果を取り入れることでリアリスティックな現象再 現を実現しようという試みには、「非等方的曲率流」に代表される結晶成長を表 す自由境界問題の分野などに、多くの先行研究の報告例がある。よくある研究手 法として、自由境界の幾何学的構造をWulff図形と呼ばれる非Euclid距離の単 位閉球を用いて特徴づけする方法が挙げられるが、実際にこの手法に則ってエネ ルギーに多面体構造を持つWulff図形を組み込んで勾配流を構成すると、例えば ミョウバンや氷などの結晶形成に近いプロセスを再現することが可能となる。ま た最近では、Wulff図形が方位 (角度) の変化によって回転する効果を取り入れ ようというアイデアも加わり、このアイデアを取り入れた結晶粒界運動の数学モ デルや、画像の高精度なノイズ除去のアルゴリズムなど、数理・工学の幅広い分 野において研究成果が報告され始めている。本発表では、こうした非等方的効果 と方位の回転効果とを組み合わせたエネルギーの勾配系による数学モデルをいく つか取りあげ、これらのモデルにおける「共通した解析手法・困難」や「モデル の導出・数学解析の着眼点に現れる相違点」等について考察する。更に時間が許 すならば、近年得られた新しい試作モデルの例を示し、導出のアイデア等を説明 しながら研究の今後の展望についても紹介する。

2018 年 5月 3日 (木)

お休み

2018 年 4月 26日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
小薗 英雄 氏(早稲田大学 理工学術院基幹理工学部/東北大学 数理科学連携研究センター)
題目
Characterization of harmonic $L^r$ vector fields in 3D exterior domains
要旨
In this talk, we characterize the space of harmonic vector fields in $L^r$ on the 3D exterior domain with smooth boundary. There are two kinds of boundary conditions. One is such a condition as the vector fields are tangential to the boundary, and another is such one as those are perpendicular to the boundary. In bounded domains, both harmonic vector spaces are of finite dimensions and characterized in terms of topologically invariant quantities which we call the first and the second Betti numbers. These properties are closely related to characterization the null spaces of solutions to the elliptic boundary value problems associated with the operators div and rot. We shall show that, in spite of lack of compactness, spaces of harmonic vector fields in $L^r$ on the 3D exterior domain are of finite dimensions and characterized similarly to those in bounded domains. It will be also clarified a significant difference between interior and exterior domains in accordance with the integral exponent $1 < r < \infty$. This is based on the joint work with Profs. Matthias Hieber, Anton Seyferd, Senjo Shimizu and Taku Yanagisawa.

2018 年 4月 19日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
坂本 祥太 氏(東北大学 大学院理学研究科)
題目
速度重みつきChemin-Lerner空間におけるボルツマン方程式のコーシー問題の大域解
要旨
本発表では、希薄気体中の粒子の運動を記述するボルツマン方程式の、定常解周りでのコーシー問題を考える。分子の衝突の効果を記 述する衝突作用素は適当な積分核を持つ積分作用素で記述されるが、これは衝突の速度因子・角度因子それぞれに関して特異性を持ちうる 。Duan-Liu-Xu (2016)ではどちらの因子にも特異性がない場合において、空間変数に関してベソフ空間を用い他変数の $L^p$ 空間混合型の、C hemin-Lerner型と呼ばれる空間で小さな初期値に対して一意大域解を構成した。この結果は速度変数に関して $L^2$ 空間を用いているが、角度 ・速度両因子の特異性(特に速度の特異性が相対的に弱い場合)を仮定し速度 $L^2$, 空間 $H^s$ (両因子の特異性に応じて十分正則なソボレフ空 間)で解を構成したArexandre-Morimoto-Ukai-Xu-Yang (2011-12) や、特異性の仮定の下DLXと同じChemin-Lerner型空間を用いたMorimoto- Sakamoto (2016)の方法では、角度の特異性がないが、速度の特異性が非常に高い場合を扱うことができないと予想された。このため速度に 関して重みつき $L^\infty$ 空間を用いてコーシー問題を定式化し、一意大域解を得た。発表ではChemin-Lerner空間の定義、$L^2$ 空間が働かな いと予想された理由などを述べながら、この結果の証明を概説する。本発表の内容は、香港中文大学の段仁軍教授との共同研究に基づく。

2018 年 4月 12日 (木) 16:00--17:30

会場
東北大学 理学研究科合同A棟8階801室
発表者
高村 博之 氏(東北大学 大学院理学研究科)
題目
非線形波動方程式の解析から非線形消散波動方程式の解析へ
要旨
単独非線形波動方程式の初期値問題に対する一般論が完成したのが2001年、 その最適性に関する議論が終結したのが2014年である。 それと並行して解の時間大域存在に対する必要十分条件の解明が行われてきたが、 高次元空間ではいわゆる微分損失が大きく関わることがわかってきた。 その微分損失の方程式上での表現は、形の上では消散項のように見えなくもない。 そこで発表者は、あまり進展していなかった強い時間減衰のある消散項付き非線形波動方程式の研究を開始した。 最近の一連の研究で、減衰の強さがある閾値を超えると、解は今まで明らかにされてきたの熱的な振る舞いを するのではなく、波動的な振る舞いをすることが部分的にわかってきた。 本発表では、若狭恭平氏(東京理科大学)やNing-An Lai氏(中国・麗水学院)との共同研究に基づき 上記の全体像を紹介したい。