2005年度の記録

2006年1月26日 16:00--17:30

講演者
高坂 良史 氏(室蘭工大)
題目
有界領域における表面拡散方程式による相境界運動について
要旨
有界領域内で運動している相境界の幾何学的時間発展モデルの 1つである表面拡散方程式について考える.表面拡散方程式は 非線形の4階放物型偏微分方程式であり、あるエネルギー対する 勾配流方程式である. 本講演では、この方程式の変分構造に着目しつつ、このモデルの 定常解の安定性について解説する.

2006年1月19日 15:30--17:40

講演者及び題目
第一講演
15:30?16:30
講演者:大森 健太郎 氏(東北大 理)
題目:経過時間と年齢構造をもつ感染症の数理モデル

第二講演
16:40?17:40
講演者:長谷川 貴博 氏(東北大 理)
題目:成体期と幼体期をもつ生物種の個体群密度のダイナミクス

2006年1月12日 15:30--17:40

講演者及び題目
第一講演
15:30?16:30
講演者:川上 竜樹 氏(東北大 理)
題目:Porous Medium 方程式の解の $L^1$ 空間における漸近挙動

第二講演
16:40?17:40
講演者:佐藤 翔大 氏(東北大 理)
題目:半線型熱方程式の解の Life Span

2005年12月15日 16:00--17:30

講演者
中島 主恵 氏(東京海洋大)
題目
Allen Cahn 方程式の球対称定常解のモース指数について
要旨
Allen Cahn 方程式において, 拡散係数 \epsilon を微小にすると 球対称な遷移層をもつ定常解があらわれる.遷移層は密集して 現れることもある.これらの解のモース指数が、拡散係数を用いて どのように評価されるか調べる.とくにある解のモース指数は、 拡散係数を微小とすると無限大となるが、このモース指数の 増加レートを \epsilon を用いて評価する.

2005年12月1日 16:00--17:30

講演者
浦野 道雄 氏(早稲田大 理工)
題目
空間非一様な双安定型反応拡散方程式に現れる遷移層とスパイクについて
要旨
空間非一様な双安定型非線形項を持つ反応拡散方程式について考える.この ような方程式は、拡散係数が微小のとき、遷移層やスパイクを持つ解を有する ことがよく知られている.本講演では、その定常問題における遷移層やスパイク を持つ解の形状について詳しく議論する.特にそれらの現れる場所を完全に決 定する. また、その安定性についてもふれる.

2005年11月24日 16:00--17:30

講演者
津川 光太郎 氏(名古屋大 多元数理)
題目
滑らかさの低い外力を持つKdV方程式の可解性
要旨
KdV方程式は運河のように底が浅い水の表面波を記述している. 特に、底が平らで無い場合など、外力項付きのKdV方程式が導出される. この方程式に対して、外力がL^2の場合にはL^2タイプのアプリオリ評価式を 利用して時間大域可解性が論じられる.L^2より低い滑らかさの場合には、 対応する保存則が存在しないが、本講演では外力が時間に依存せず、空 間についてデルタ関数の1階微分という非常に滑らかさの低い場合について、 アプリオ・兜]価式を導き、時間大域的可解性を示す.

2005年11月17日 16:00--17:30

講演者
和田出 秀光 氏(東北大 理)
題目
Lorentz 空間と BMO を含む Gagliardo-Nirenberg 型不等式と その他の不等式への応用
要旨
Sobolev空間とLebesgue空間やHolder空間との包含関係を表す所謂 Sobolevの埋蔵定理はよく知られたものである.Gagliardo-Nirenberg 型不等式は、その埋蔵定理の一部を示す補間不等式と言える.近年、 小澤徹氏は、論文“On critical cases of Sobolev's inequalities”にて分 数階微分を含むGagliardo-Nirenberg型不等式をある意味でsharpな 定数と共に導出した.今回我々は、この不等式をLebesgue空間を一般 化したLorentz空間やある意味でSobolev空間の極限に位置するBMO を含む補間不等式に拡張する.後半は、その一般化された不等式を利用 して同不等式と同値なTrudinger型不等式を導くと共に、分数階微分を 含む熱方程式の熱核を用いてBrezis-Gallouet-Wainger型不等式を導出し たい.

2005年11月10日 16:00--17:30

講演者
川下 美潮 氏(広島大 理)
題目
Rayleigh 波の散乱について
要旨
弾性体を伝わる波にはRayleigh波と呼ばれる表面を伝わるものが存在する. この表面波の境界の摂動による散乱をLax-Phillips式の散乱理論で定式化する. それを通じて導入される散乱現象を記述する量の一つである散乱核とRayleigh波 との関係について述べる.

2005年10月27日 16:00--17:30

講演者
舟木 直久 氏(東大 数理)
題目
粒子系に対する流体力学極限
要旨
流体力学極限とは,大きな自由度をもつ相互作用系から時空のスケール変換 を経て非線形偏微分方程式へと導く極限操作の一種である.背後には局所 平衡状態あるいは局所エルゴード定理とよばれるものがあり,その数学的 裏付けはエントロピーおよびその時間微分であるエントロピー生成 (= Dirichlet 形式) を用いて与えられる.初学者にも理解できるようにとの主催者からの要請 であり,できるだけそれに応えられるよう努めたいと考えている.

2005年10月20日 16:00--17:30

講演者
Khin Phyu Phyu Htoo 氏(東北大 理)
題目
バクテリアコロニーに見られるパターン形成のモデル方程式系の大域解とその 漸近漸動
要旨
三村昌泰先生が提唱したバクテリアのコロニーパターン が形成されるメカニズムを記述するモデル方程式系を考察する .これは、バクテリアの個体群密度u(x,t) 、栄養の分布n(x,t) とバクテリアが分泌する誘引化学物質の濃度c(x,t) の三つの 未知関数に対する非線形放物型偏微分方程式系である.空間1 次元の場合、初期値?境界値問題の解が大域的に存在すること を述べる.次に解の漸近挙動について述べる.

2005年10月13日 16:00--17:30

講演者
三浦 英之 氏(東北大 理)
題目
交換子評価とその消散項付き準地衡近似方程式への応用
要旨
消散項付き準地衡近似方程式は地球物理学に現れる方程 式である.この方程式の初期値問題について,大きい初期デー タに対する解の存在定理を述べる.講演においては証明のキー となる変形されたFujita-Katoの方法及びLittlewood-Paley作 用素に対する交換子評価などを説明したい.

2005年7月7日 16:00--17:30

講演者
乾 勝也 氏(慶大 理工)
題目
回転場におけるナヴィエ・ストークス方程式の非減衰解について
要旨
回転場におけるNavier-Stokes方程式(NS)のコーシー問題について考える. 空間方向に周期を持つ初期値や解に対しては 回転速度が十分大きければ、時間大域解が存在することが知られている. ここでは、周期や減衰を仮定しない初期値に対する 時間局所解の一意存在定理について述べる. 次に、法線方向を回転軸とする半空間で(NS)を考える. 気象学において、大気や海洋の境界付近に現れる流れとして知られる エクマンスパイラルのまわりの非定常問題について、 法線方向には減衰するが接線方向には減衰を仮定しない初期値 に対する時間局所解の一意存在定理について述べる. なお当講演は、儀我美一氏、Alex Mahalov氏、松井伸也氏、Juergen Saal氏 との共同研究に基づくものである.

2005年6月16日 16:00--17:30

講演者
三沢 正史 氏(熊本大 理)
題目
m 調和写像の存在と時間発展の特異性発表概要
要旨
滑らかなコンパクトリーマン多様体への m調和写像の時間発展問題を考える.m調和写像はmエネルギー (一階導関数のm乗積分)の最小化問題の解(臨界点)として定まり 調和写像の自然な一般化となっている. mエネルギーの(負の向きの)勾配流の解曲線である m調和写像流の存在とその正則性について考える. 一般に滑らかな初期値から出発しても解は滑らかになるとは限らないが 一方で幾何的な性質から自然にエネルギー不等式を満たすことがわかる. これにより時間大域的な弱解を構成することが可能である. また, エネルギー不等式を局所化することにより 弱解の正則性を調べることもできる. 本発表では, 弱解の特異性と定常解の存在との関連について考察する.

2005年6月9日 16:00--17:30

講演者
福泉 麗佳 氏(北大 理)
題目
Stability of standing waves for nonlinear Schr\"odinger equations  with inhomogeneous nonlinearities
要旨
The effect of inhomogenity of nonlinear medium is discussed concerning the stability of standing waves $e^{i \omega t}\phi_{\omega}(x)$ for a nonlinear Schr\"odinger equation with an inhomogeneous nonlinearity $V(x)|u|^{p-1}u$, where $V(x)$ is proportional to the electron density. Here, $\omega>0$ and $\phi_{\omega}(x)$ is a ground state of the stationary problem.

2005年5月26日 16:00--17:30

講演者
中村 健一 氏(電通大)
題目
Speed of propagation of traveling fronts in periodic media governed by a bistable nonlinearity
要旨
近年、反応拡散方程式のもつ空間非一様性が進行波の伝播速度 に与える影響について盛んに研究されている.本講演では、 双安定型の非線形項を持つ単独の反応拡散方程式に対する最近の 結果を紹介する.

2005年5月19日 16:00--17:30

講演者
斉藤 義実 氏(University of Alabama)
題目
The Euler equation of Hardy operators

2005年5月12日 16:00--17:30

講演者
宇佐美 広介 氏(広島大 総合科学)
題目
楕円型方程式(系)の解の振動性
要旨
ユークリッド空間の外部領域で定義される連続函数は零点集合が非有界なときに 振動的と呼ばれる.そうでないとき;つまり無限遠点のある近傍において定符号 になっているときには非振動的と呼ばれる.本講演では楕円型方程式(系)の解 の振動性について論じる.比較定理などを用いて常微分方程式(系)の漸近論の 話に帰着させるという方法で考察していく.

2005年4月14日 16:00--17:30

講演者
渡部 拓也 氏(東北大 理)
題目
Adiabatic transition problems for a tangential level crossing
要旨
2つのエネルギーレベルの交差における固有状態の遷移を記述する二元連立一階 常微分方程式系に対し, この遷移を特徴付ける散乱行列や遷移確率を調べる問 題を考える.特にエネルギーの交差が線型である場合、遷移確率を与える Landau-Zenerの公式が知られている.しかし交差が線型でない場合は、 Landau-Zener公式は使えない.  本講演では後者の場合に対するLandau-Zenerの公式のある意味での一般化とな る遷移確率の断熱極限に関する結果を述べ,この解析の鍵となる断熱極限におけ る解のStokes現象及びexact WKB法について説明する.