セミナーの予定
2026年1月22日 (木) 15:00-18:00
(いつもと開催日時が異なりますのでご注意下さい.)
会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
迫田 將裕 氏 (東北大学)
題目
Elastica と非古典的弾性曲線をつなぐ勾配流軌道の構成
要旨
膜を構成する分子の密度配置に依存した生体膜の形態形成に関する研究を動機として, 密度配置と曲線形状を同時に決定する変分問題が Brazda et al. (2023) によって提唱された.
この変分問題の特徴の一つは, 密度配置と曲線形状の相互作用を表現する, 剛性係数函数を付した一般化弾性エネルギーを扱う点にある.
提唱の動機となった実験では, 古典的な弾性曲線 (elastica) と異なる形状をもつ曲線が観測されており, 滑らかでない剛性係数函数を付すことによってそれらを数学的に捉えることが期待されている.
変分問題が数理モデルとして適切であるかを検証するためには, 各臨界点を繋ぐ軌道を与える勾配流の構成が重要である.
Dall'Acqua et al. (2024) は対応する $L^2$-勾配流を導出し, 剛性係数函数を滑らかとする仮定のもとで, 自明な臨界点である elastica へと収束する軌道を構成した.
しかし, この結果では elastica と異なる非古典形状をもち, 滑らかでないと予想される臨界点を極限として捉えることはできない.
本発表では, 非古典形状をもつ臨界点の存在, およびそれらと他の臨界点を結ぶ軌道の存在を数学的に初めて証明した結果を紹介する.
特に, 変分的時間離散近似解法を用いることによって得られた, (i) $L^2$-勾配流の一意な弱解の存在, (ii) 自明な臨界点である elastica と非古典形状をもつ臨界点を結ぶ軌道の存在, について詳しく述べる.
発表者
川田 悠斗 氏 (東北大学)
題目
ある1次元 Cahn--Hilliard 方程式系における動的準安定性
要旨
本発表では, Gross--Pitaevskii 系を定常問題とするある Cahn--Hilliard 方程式系 (CHS) における動的準安定性について考察する.
動的準安定性とは, 物理現象や数値シミュレーションなどにおいて観測される, 定常状態であるように見えるが, どの安定な平衡状態とも異なり, 極めて長い時間をかけて時間発展していく様相のことである.
Scholtes--Westdickenberg (2018) は, Otto--Westdickenberg (2014) によって構築された Cahn--Hilliard 方程式に対するエネルギーを用いた解析手法を応用し,
Cahn--Hilliard 方程式 (CH) における動的準安定性について結果を得た. 本発表では, 主結果である (CHS) における動的準安定性に関する結果を述べるとともに, この結果を応用することによって得られる,
(CH) における動的準安定性を再現する挙動や (CH) では現れない (CHS) 独自の動的準安定性を表す挙動などを紹介する.
発表者
富田 綾人 氏 (東北大学)
題目
高階楕円型方程式の孤立特異点
要旨
本発表では高階楕円型方程式 $-\Delta^{m} u = f(x), \, x\in B_R(0)\setminus\{0\}$ の解の原点近傍での振る舞いについて考察する.
$m=1$ については Brezis--Lions (1981) により, 原点近傍においては delta 関数から現れる基本解の特異性のみが許容されることが示された.
$m \geq 2$ については $f=0$ の場合で Futamura--Kishi--Mizuta (2001) により同問題が考察されたが, $m=1$ で Brezis--Lions の結果と一致しない特異性が得られていた.
その後, Ghergu--Taliaferro (2016) により Brezis--Lions の結果を高階 Laplacian へ直接的に一般化した結果が得られた.
本発表はこれらの結果と証明について総合報告を行う.