本年度の記録

2026年1月22日 (木) 15:00-18:00 (いつもと開催日時が異なりますのでご注意下さい.)

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
迫田 將裕 氏 (東北大学)
題目
Elastica と非古典的弾性曲線をつなぐ勾配流軌道の構成
要旨
膜を構成する分子の密度配置に依存した生体膜の形態形成に関する研究を動機として, 密度配置と曲線形状を同時に決定する変分問題が Brazda et al. (2023) によって提唱された. この変分問題の特徴の一つは, 密度配置と曲線形状の相互作用を表現する, 剛性係数函数を付した一般化弾性エネルギーを扱う点にある. 提唱の動機となった実験では, 古典的な弾性曲線 (elastica) と異なる形状をもつ曲線が観測されており, 滑らかでない剛性係数函数を付すことによってそれらを数学的に捉えることが期待されている. 変分問題が数理モデルとして適切であるかを検証するためには, 各臨界点を繋ぐ軌道を与える勾配流の構成が重要である. Dall'Acqua et al. (2024) は対応する $L^2$-勾配流を導出し, 剛性係数函数を滑らかとする仮定のもとで, 自明な臨界点である elastica へと収束する軌道を構成した. しかし, この結果では elastica と異なる非古典形状をもち, 滑らかでないと予想される臨界点を極限として捉えることはできない. 本発表では, 非古典形状をもつ臨界点の存在, およびそれらと他の臨界点を結ぶ軌道の存在を数学的に初めて証明した結果を紹介する. 特に, 変分的時間離散近似解法を用いることによって得られた, (i) $L^2$-勾配流の一意な弱解の存在, (ii) 自明な臨界点である elastica と非古典形状をもつ臨界点を結ぶ軌道の存在, について詳しく述べる.
発表者
川田 悠斗 氏 (東北大学)
題目
ある1次元 Cahn--Hilliard 方程式系における動的準安定性
要旨
本発表では, Gross--Pitaevskii 系を定常問題とするある Cahn--Hilliard 方程式系 (CHS) における動的準安定性について考察する. 動的準安定性とは, 物理現象や数値シミュレーションなどにおいて観測される, 定常状態であるように見えるが, どの安定な平衡状態とも異なり, 極めて長い時間をかけて時間発展していく様相のことである. Scholtes--Westdickenberg (2018) は, Otto--Westdickenberg (2014) によって構築された Cahn--Hilliard 方程式に対するエネルギーを用いた解析手法を応用し, Cahn--Hilliard 方程式 (CH) における動的準安定性について結果を得た. 本発表では, 主結果である (CHS) における動的準安定性に関する結果を述べるとともに, この結果を応用することによって得られる, (CH) における動的準安定性を再現する挙動や (CH) では現れない (CHS) 独自の動的準安定性を表す挙動などを紹介する.
発表者
富田 綾人 氏 (東北大学)
題目
高階楕円型方程式の孤立特異点
要旨
本発表では高階楕円型方程式 $-\Delta^{m} u = f(x), \, x\in B_R(0)\setminus\{0\}$ の解の原点近傍での振る舞いについて考察する. $m=1$ については Brezis--Lions (1981) により, 原点近傍においては delta 関数から現れる基本解の特異性のみが許容されることが示された. $m \geq 2$ については $f=0$ の場合で Futamura--Kishi--Mizuta (2001) により同問題が考察されたが, $m=1$ で Brezis--Lions の結果と一致しない特異性が得られていた. その後, Ghergu--Taliaferro (2016) により Brezis--Lions の結果を高階 Laplacian へ直接的に一般化した結果が得られた. 本発表はこれらの結果と証明について総合報告を行う.

2026年1月19日 (月) 15:00-17:00 (いつもと開催日時と開催場所が異なりますのでご注意下さい.)

会場
東北大学 数学系研究棟209室
発表者
原田 裕斗 氏 (東北大学)
題目
微分型複素 Ginzburg--Landau 方程式の初期値問題の臨界適切性
要旨
非線形項に微分を含む複素 Ginzburg--Landau 方程式の初期値問題を考える. 複素 Ginzburg--Landau 方程式の初期値問題については多くの研究が知られており, 特に時間局所解や時間大域解の長時間挙動については, 非線形項の冪の指数に応じて変化することが知られている. 今回考える方程式は対流拡散方程式と同じスケール変換不変性をもち, 次元と非線形項の冪に依存する指数を可積分指数とする Lebesgue 空間がこのスケーリングで不変な函数空間となる. 本発表ではスケール臨界と劣臨界の場合に得られた時間局所解の適切性について議論する.
発表者
袖 緋穂 氏 (東北大学)
題目
臨界 Besov 空間における非圧縮性 Navier--Stokes 方程式の自由境界問題
要旨
Euclid 空間の半空間に近い領域における, 非圧縮性粘性流体の自由境界問題について考察する. 自由境界問題の研究には, 固定領域での問題に落とし込むために Lagrange 変換がよく用いられている. この変換は, 移流項を消去できる点で優れているが, 非圧縮性条件が保たれないという性質がある. Ogawa--Shimizu (2022, 2024) は, Lagrange 変換を用いてスケール臨界な Besov 空間における 非圧縮性 Navier--Stokes 方程式の自由境界問題の適切性を示した. 一方で, 移流項を消去することはできないが, 非圧縮性条件を保てる, Beale 変換を用いた研究が Beale (1984) や Nishida--Teramoto--Yoshihara (2004) によって行われている. 本発表では, Ogawa--Shimizu と類似の方法を Beale 変換を用いた問題に適用し, Euclid 空間の半空間に近い領域における非圧縮性粘性流体の自由境界問題のスケール臨界適切性を示す.

2026年1月15日 (木)

お休み

2026年1月8日 (木) 15:00-18:00 (いつもと開催日時が異なりますのでご注意下さい.)

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
市谷 凌斗 氏 (東北大学)
題目
スケール不変性をもたない半線型熱方程式の解の爆発挙動
要旨
本発表では, スケール不変性をもたないような半線型熱方程式の爆発解の漸近挙動について考察する. $|u|^{p-1}u$ や $e^u$ というような非線型項をもつ方程式についてはよく研究されてきたが, 方程式の解析にはスケール不変性が大きな鍵となっていた. 一方, 近年では方程式にスケール不変性を与えないような非線型項をもつ場合の研究が発展してきている. 本発表では, スケール不変性のない方程式を扱うために Fujishima--Ioku(’18)によって導入された擬スケーリングの考え方を用いることで得られた, 爆発解の漸近挙動に関する結果を紹介する. 特に, 擬スケーリングにより新たに現れる余剰項の可積分性を得ることが証明の鍵となるため, その説明を中心に行う.
発表者
村井 杏伍 氏 (東北大学)
題目
重み付き Wasserstein 空間上の Minimizing Movement による準線型 Keller--Segel 方程式の解の構成
要旨
方程式を時間に関して離散化し, 適切な空間の適切な汎関数に対する勾配流として解の存在を示す Minimizing Movement といわれる手法は, ヒルベルト空間での適用を中心に様々な方程式に用いられてきた. 特に, Jordan--Kinderlehrer--Otto (1998) によって距離空間である Wasserstein 空間上で考えられた. その後, Wasserstein 空間上の Minimizing Movement を用いて解の存在を示す研究が多くなされ, Keller--Segel 方程式に対しても Blanchet--Laurençot (2013) や 三村 (2017) によって Wasserstein 空間上の Minimizing Movement を用いて解の存在が示された. しかし, 通常の Keller--Segel 方程式では mobility といわれる関数が $u$ であるのに対し, volume-filling effect というものを考慮した場合には, mobilityが $u^\alpha$ $(0<\alpha<1)$ となる. そのため, volume-filling effect を考慮した場合は Wasserstein 空間上の Minimizing Movement では解の存在を示せない. 本発表では, Wasserstein 空間ではなく, Dolbeault--Nazaret--Savaré (2009) によって導入された重み付き Wasserstein 空間といわれる別の距離空間を考えることで, Minimizing Movement を適用し解の存在を示した結果を紹介する.
発表者
海保 敬柊 氏 (東北大学)
題目
Double phase 型の増大度をもつ高階楕円型方程式系の very weak solution の高次可積分性
要旨
Double phase 型の増大度をもつ高階楕円型方程式系を扱う. そして, その very weak solution が高次可積分性をもつことを示す. ここで, very weak solution とは, 超関数微分の意味で方程式系を満たすが, その方程式系から通常定義される weak solution よりも可積分性が低い解をいう. このような意味での very weak solution に対して, システムが $p$ -ラプラシアン型の増大度をもつ場合には Lewis (1993) においてその高次可積分性が示されている. また, 増大度が $p$ -ラプラシアンに $q$ -ラプラシアンの摂動を加えた double phase 型である場合に対しても, 微分階数が1階であれば Baasandorji--Byun--Kim (2023) において対応する結果が得られている. 本発表の主結果は, Baasandorji らの結果を微分階数, 増大条件, そして double phase 型作用素に現れる係数関数に関して一般化したものである. 証明の鍵となったのは double phase 構造を加味した高階 Lipschitz truncation の構成と係数関数を一般化した double phase 型作用素に対する Sobolev--Poincaré の不等式の開発である.

2026年1月1日 (木)

お休み

2025年12月25日 (木)

お休み

2025年12月18日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
中島 慶人 氏 (東北大学)
題目
非整数階時間微分を含む時間依存する凸汎函数に対する勾配流方程式の可解性とその応用
要旨
1階時間微分を含む抽象発展方程式については, 線形の場合には半群理論をはじめ古くから体系的な可解性に関する理論が確立されており, さらに非線形の場合にも劣微分作用素に基づく枠組みにより解の存在に関する理論が整備され, さまざまな偏微分方程式へ応用されてきた. これに対して非整数階時間微分を含む抽象発展方程式については, 連鎖律やライプニッツ則といった基本的な計算法則が成立せず, さらに初期時刻までの履歴全体に依存する非局所性のため, 従来の1階時間微分に基づく線形・非線形の理論をそのまま適用できない場合が多い. このため, 非整数階時間微分を含む抽象発展方程式の研究は依然として未開拓であり, 特に非線形抽象発展方程式については可解性に関する理論すらほとんど知られていない. 本発表では, 非整数階時間微分を含む時間依存する劣微分作用素を伴う非線形抽象発展方程式の可解性について得られた結果を述べる. また得られた可解性の理論を, 時間とともに変化する領域上の非整数階時間微分を含む退化拡散方程式へ応用する.

「東北大学OS特別セミナー」
2025年12月12日(金) 16:00-18:00

会場
川井ホール 2階セミナー室 (いつもと開催会場が異なりますのでご注意下さい.)
発表者
佐藤 和暉 氏 (大阪公立大学)
題目
非局所過剰決定問題の分岐解析
要旨
本発表では, Kirchhoff 型非局所項を含む2階偏微分方程式の過剰決定問題について考察する. 局所過剰決定問題の結果と同様に, 考察する非局所問題に解が存在するならば, 領域は球体で解は球対称関数となる. 一方で領域が球対称領域の場合, 非局所過剰決定問題の解の個数は, 非局所項から定まる超越方程式の解の個数と一致することが示される. 本発表は 高橋 太 氏 (大阪公立大学) との共同研究に基づく.

2025年12月11日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
廣井 楓也 氏 (東北大学)
題目
Moving boundary problems of area-preserving curvature flows with general contact angles on skew lines
要旨
本発表では, 交叉する2直線上に両端点を持つ開曲線に対する, 面積保存型曲率流による移動境界問題について考察する. 面積保存型曲率流は, 非負整数 $m$ に対し, 曲線の長さに対する $H^{-m}$ -勾配流として導出され, $2m + 2$ 階放物型方程式に分類される. これまで, 面積保存型曲率流に従う開曲線に対して, 開曲線自体を移動境界と捉えた, 移動境界問題が様々に考察されている. 例えば, $m = 1$ とした場合である曲線拡散流に対しては, H.--Okabe (2025) において, 交叉する2直線上に両端点を持つ開曲線に対し, 両端点に直交条件を課した場合に, 定常解である円弧の安定性を証明した. 一方で, 両端点における接触角を一般化した問題設定では, 円弧が定常解となることは判明していたものの, その安定性を示した結果は得られていなかった. 解析が困難となっていた一因は, 接触角を一般化すると, 面積保存型曲率流が長さに対する勾配構造を失うことにある. 本発表では初期曲線の接触角などに適切な仮定を課すことでこの困難点を克服し, H.--Okabe の結果を指数 $m$ と接触角について一般化する. つまり, 問題の時間大域可解性と, 時間大域解の円弧への滑らかな意味での指数的な収束を証明する.

「集中講義」
2025年12月2日(火), 3日(水), 4日(木), 5日(金) 15:00-18:00

会場
川井ホール
講師
仙葉 隆 氏 (神奈川大学)
講義題目
走化性方程式系の解の性質について
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

「集中講義」
2025年11月25日(火), 26日(水), 27日(木), 28日(金) 15:00-18:00

会場
川井ホール
講師
園田 翔 氏 (理化学研究所・サイバーエージェント)
講義題目
深層学習の数理
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

2025年11月20日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Rong Lei 氏 (東北大学)
題目
Homogenization of Stokes--Cahn--Hilliard equations with a logarithmic free energy for two-phase flow in porous media
要旨
In this talk, we investigate the homogenization of a phase-field model for two-phase, immiscible, and incompressible flow in porous media, incorporating surface tension effects. The model is governed by the coupled Stokes--Cahn--Hilliard system with a logarithmic free energy, where the two fluids are separated by a diffuse interface of finite width, assumed independent of the spatial scale parameter. By applying the method of two-scale convergence, we derive the homogenized limit, which takes the form of a generalized Richards’ equation that includes an additional correction term beyond the classical model. This is joint work with Jun Masamune.

2025年11月13日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
清水 一慶 氏 (京都大学)
題目
Global perturbation of isolated equivariant chiral skyrmions from the Bogomol'nyi case
要旨
本発表では Landau--Lifshitz エネルギーの変分問題における, 渦状の対称性をもつ臨界点について考える. これらは磁気スキルミオンと呼ばれ, 物理・工学において応用上の観点から注目を集めている. 対応するプロファイル関数は, 原点および無限遠方で境界条件を満たす2階の半線形常微分方程式の解として与えられる. エネルギーには3つの係数パラメータが含まれており, 係数が特殊な条件を満たすとき(Bogomol'nyi case), このODEは特殊解をもつことが知られている. 本発表では Bogomol'nyi case から正方向にパラメータを摂動させた場合に, スキルミオン解の存在・解の性質・エネルギー安定性に関して得られた結果を紹介する. 本発表は, Slim Ibrahim 氏 (Univ. of Victoria)との共同研究に基づく.

2025年11月6日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
伊藤 涼 氏 (神奈川大学)
題目
反応拡散方程式の非有界および有界な進行波解の存在と速度公式
要旨
反応拡散方程式の非有界な進行波解の存在, およびその速度を表す公式について空間1次元の場合を対象に考察する. 有界な進行波解においては, 非線型項の種類によって進行波解が存在する速度の範囲が異なる. 具体的には, 単安定型においては進行波解の存在・非存在を分ける閾値となる速度が定まり, 双安定型においてはただひとつの速度に対してのみ進行波解が存在することが知られている. 本論では, 非有界な進行波解に対しては非線型項の型に依らず閾値となる速度が定まることを紹介する. 証明は単安定型の非線型項に対する手法を参考に構成できるが, 同様な議論は semi-wave に対しても適用できる. 以上の進行波解の閾値速度を特徴づける種々の変分公式の関係を調べ, 有界・非有界な進行波解の閾値速度に対する存在・非存在に関する条件式を記述する. 本発表の内容は明治大学の 二宮 広和 氏との共同研究に基づく.

2025年10月30日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
筒井 容平 氏 (京都大学)
題目
Two-weight inequality for the heat flow and solvability of Hardy--Hénon parabolic equation
要旨
実解析学においては, 特異積分作用素を代表とする様々な作用素の $L^p(\sigma)$ - $L^q(w)$ 評価が広く研究されている. このような異なる weight を含む不等式を「Two-weight inequality」と呼ぶ. この分野の近年の発展においては, sparse domination と呼ばれる作用素の各点評価が重要な役割を担っている. 本発表では, まず sparse domination を用いた Euclid 空間上での heat flow に対する two-weight inequality を紹介し, 応用として, 通常 power weight が非線形項に付随する Hardy--Hénon 型放物型方程式の可解性を, 一般の weight へ拡張した結果を紹介する.

「東北大学OS特別セミナー」
2025年10月29日(水) 16:00-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Florian Gruen 氏 (京都大学)
題目
On curvature dependent energies and elastic curves: Calculus of Variations, Geometry and Analysis
要旨
This talk concerns geometric variational problems, with a focus on Euler’s elastica and its variants. In the first part, we introduce curvature-dependent functionals within the framework of the calculus of variations. Such functionals frequently arise, among others, in mechanical models of thin elastic structures, yet they also reveal deep mathematical structures connecting analysis and differential geometry. The second part focuses on a classical example, the elastica, studied already by Euler and Bernoulli. We review known results on the regularity and classification of planar and spatial elasticae. Finally in the third part, we discuss a generalization known as the p-elastica, and present recent results on their structure and regularity obtained in collaboration with Tatsuya Miura.

2025年10月23日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
若狭 徹 氏 (九州工業大学)
題目
あるグラフ上の Chafee--Infante 問題の分岐解析
要旨
本発表は 菅 徹 氏 (大阪公立大学)との共同研究に基づく. 半線形楕円型偏微分方程式の分野において, 安定解の構成や分岐解析は重要なトピックとして, さまざまな研究がおこなわれてきた. 1次元有界区間上の Chafee--Infante 問題は, 安定な非定数解こそ存在しないものの大域的分岐構造を詳細に調べることが可能な数少ない例の一つである. 菅 氏は, 安定定常解の存在が知られている空間高次元問題の極限方程式として, 一般化された Chafee--Infante 問題を導出した. この問題において, 一部の非定数解は原点における不連続性を有するが, 2次分岐による単調解の安定化を含む, 詳細な大域的分岐構造を与えている. 本発表では, これを発展しメトリックグラフ上の大域的分岐問題と定式化する第1段階として, 3成分からなる Chafee--Infante 問題を考察し, 対称性を持つ分岐解の構成を行う. また, その非退化性について部分的な結果を紹介する.

2025年10月16日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Philippe Souplet 氏 ( Université Sorbonne Paris Nord )
題目
Diffusive Hamilton-Jacobi equations: gradient blow-up singularities, Liouville-type theorems and continuation after blow-up
要旨
We consider the diffusive Hamilton-Jacobi equation $u_t-\Delta u=|\nabla u|^p$ with homogeneous Dirichlet boundary conditions, which plays an important role in stochastic optimal control theory and in certain models of surface growth (KPZ). Despite its simplicity, it displays a variety of interesting and surprising behaviors and significant progress has been made in the past ten years. We will discuss the following issues:
- Gradient blow-up (GBU) on the boundary: time rate, single-point GBU, space and time-space profiles;
- Liouville type theorems and their applications;
- Continuation after GBU as a global viscosity solution with loss and recovery of boundary conditions.

2025年10月9日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Luca Scarpa 氏 ( Politecnico di Milano )
題目
The effect of noise on doubly nonlinear evolution equations
要旨
We give an overview of some recent results for doubly nonlinear stochastic evolution equations in Hilbert spaces. In the first part of the talk we introduce the prototypes of the problems in consideration and we discuss the main existence results. Secondly, we focus on the direction of uniqueness by noise for doubly nonlinear evolutions by means of the associated Kolmogorov equations, highlighting some recent contributions and open problems. The works presented in the talk are based on joint collaborations with Prof. Ulisse Stefanelli (University of Vienna, Austria) and Prof. Carlo Orrieri (University of Pavia, Italy).

2025年10月2日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
若杉 勇太 氏 (広島大学)
題目
Existence of solutions to the semilinear damped wave equation with non - $L^2$ slowly decaying data: polynomial nonlinearity case
要旨
多項式の非線形項をもつ非線形消散型波動方程式の初期値問題に対し, 初期値が空間遠方において一般に $L^2$ に入らないような場合を考え, 解の存在について議論する. この場合, 高周波成分から現れる微分の損失が問題となるが, 適当な斉次 Besov 空間を用いて解空間を設定し, 線形問題の $L^p$-$L^q$ 型評価と fractional Leibniz rule を用いることで, 時間局所解の存在および, 小さな初期値に対する時間大域解の存在が得られることを示す. 本発表の内容は 池田 正弘 氏 (大阪大学/理化学研究所/慶應義塾大学), 戍亥 隆恭 氏 (大阪大学) との共同研究に基づく.

2025年7月24日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
小野寺 有紹 氏 (東京科学大学)
題目
Bernoulli の自由境界問題における集中現象
要旨
Bernoulli の自由境界問題は, ディリクレ境界条件およびノイマン境界条件が同時に課された過剰決定型境界値問題が解をもつ円環型領域を求める問題である. 本発表では, 境界条件に含まれるパラメーターの変化に応じて, 一点へと集中する自由境界の一径数族の存在を主張する Flucher--Rumpf 予想に関する発表者の最近の研究成果について, 過去の研究を振り返りながら解説したい.

2025年7月18日 (金) 16:30-17:30 (いつもと開催日時が異なりますのでご注意下さい.)

会場
東北大学 数学系研究棟209室
発表者
Navojit Dhali Pallab 氏 (東北大学)
題目
Canard Dynamics and Synchronization in the Network of Three Time Scale Systems
要旨
In this study, three time scale systems are analyzed to explore complex oscillatory dynamics, with a focus on canard dynamics and synchronization in heterogeneous oscillator networks. Geometric singular perturbation theory is employed to investigate the slow manifolds, while the blow-up method is used to reveal dynamics at non-hyperbolic points. A synchronization condition is derived that tunes the coupling strength by leveraging canard-induced bursting initiation delays, ensuring that fast variables remain synchronized within a specified tolerance. The study applies this analysis to the Pancreatic beta-cell model, where numerical simulations reveal synchronization thresholds for bursting initiation, crucial for insulin secretion. The framework is useful for research fields such as neuroscience, chemistry, and ecology, offering insights into multiscale systems.

2025年7月17日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
長谷川 翔一 氏 (大同大学)
題目
球面上での Lane--Emden 方程式の動径対称解について
要旨
本発表では, 球面上での Lane--Emden 方程式の動径対称解の構造について考察する. ここで, 動径対称解は, 北極を中心に, 北極からの測地距離に依存する関数であり, 北極での値に応じて動径対称解が一意に存在する. 動径対称解の構造に関しては, すでに非線形項の指数に応じて変化することが既に知られている一方で, 解が最初に有する零点が赤道を超えるか否か, 等の問題が解明されていない. 本発表では, 指数に関するある条件下で, 得られた結果について述べる.

「東北大学OS特別セミナー」
2025年7月11日(金) 16:00-18:00

会場
東北大学 数学棟3階305講義室
発表者
田代 紀一 氏 (東京科学大学)
題目
接触角構造付き平均曲率流の存在定理について
要旨
平均曲率流は, 速度が平均曲率で与えられている曲面族のことで, 曲面の運動方程式ともいえる重要な幾何学的流れの問題の一つである. 平均曲率流に境界条件として0-Neumannを課した場合は, Mizuno--Tonegawa (2015) や Edelen (2020) などによる存在性や正則性定理の研究が知られている. しかし0-Neumannでない一般の接触角境界条件については, 境界まで込めた曲面の第一変分の評価が困難であることから研究が進んでいなかった. 本発表ではelliptic regularizationと呼ばれる手法を用いた接触角付き平均曲率流の時間大域弱解の存在性証明において, どのようにこの困難を解決できたかを報告する.

2025年7月10日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
柘植 直樹 氏 (広島大学)
題目
ノズル内の等エントロピー流を表す方程式の時間大域的存在について
要旨
断面積の変化するノズル内を流れる非粘性圧縮性気体の運動を考える. この運動は圧縮性オイラー方程式によって記述される. まず, 定常解が起こす様々な現象と, その工学や宇宙流体力学との関係について紹介する. 次に, 数学解析の立場から非定常解を扱う. この方程式は, 解の有界評価が得られなかったため, 長い間, 時間大域解の存在は知られていなかった. ここでは, これを解決した空間変数に依存する不変領域について紹介する.

2025年7月3日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
渡辺 達也 氏 (京都産業大学)
題目
Ground state solutions for the nonlinear Schrödinger--Poisson system with a doping profile: positive and zero mass cases
要旨
本発表では, 半導体理論の研究に現れる, ドーピングプロファイルを持つ非線形シュレーディンガー・ポアソン系の定常問題について考える. 特に質量が正もしくはゼロの場合に, 非自明解および基底状態解が存在するかを考察する. ドーピングプロファイルは引力ポテンシャルのような効果をエネルギー汎関数にもたらすが, 非局所的であるため空間減衰が遅く, 可積分指数が悪いという特徴を持つ. さらに, 基底状態解の存在を示すために必要なファイバー写像の最大点の一意性を調べる上で, ドーピングプロファイルは本質的な困難を引き起こす. 本研究はボルドー大学の Mathieu Colin 氏との共同研究, および安徽理工大学の Yu Su 氏との共同研究である.

2025年6月26日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
澤田 宙広 氏 (北見工業大学)
題目
BZ反応と時間発展作用素について
要旨
分数関数を非線型項に持つBZ反応の初期値問題について, 時間大域古典解の一意存在を示す. 特に, 時間局所古典解の存在証明について詳しく述べる. 時間発展作用素を用いて逐次近似解を構成し, 正値性を確保することが肝要である. 最大値原理を適用して先天的評価を導き, 解が時間大域的に延長できること, 不変領域などを明らかにする. さらに, 数値解を安定的に構成するためのアルゴリズムについても議論する. 本発表は, 柘植 直樹 氏, 近藤 信太郎 氏, Novrianti 氏, 足立 悠路 氏との共同研究に基づく.

「集中講義」
2025年6月17日(火), 18日(水), 19日(木), 20日(金) 15:00-18:00

会場
川井ホール
講師
生駒 典久 氏 (慶應義塾大学)
講義題目
峠の定理とその応用
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

2025年6月12日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
大山 広樹 氏 (京都大学)
題目
3次元回転磁気流体力学方程式の長時間可解性および漸近解析
要旨
定磁場周りの3次元非圧縮性回転磁気流体力学方程式に関する初期値問題を考察する. 粘性係数が十分小さい場合および回転速度が十分大きい場合, 同方程式の解に対して, 長時間一意存在性を証明する. さらに, 粘性係数を0, および回転速度を無限大とする特異極限において, 解の漸近挙動を調べ, 速度場および磁場がそれぞれ零磁場および線形熱方程式の解へ収束することを示す. さらに, 上述した収束に関して, ある時空間積分ノルムにおける収束オーダーを導出する.

2025年6月5日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
原田 潤一 氏 (秋田大学)
題目
6次元藤田型方程式の時間無限大での解挙動について
要旨
ソボレフ臨界指数を持つ藤田型方程式では, 空間6次元が解挙動の意味での臨界次元となります. これは, オーバン・タレンチ解の $L^2$ 可積分性に由来するものです. 本発表では, 空間6次元の場合の解挙動の分類と, 空間6次元特有の解の動きを紹介します. ここで紹介する内容は, 証明が完成していないもの (形式計算のレベル) も含みます.

「東北大学OS特別セミナー」
2025年5月30日(金) 16:00-18:00

会場
東北大学 数学棟3階305講義室
発表者
片山 翔 氏 (東京大学)
題目
$\mathbb{R}$ 上のグラフに関する指数型表面拡散流の長時間挙動
要旨
指数型表面拡散流は結晶表面での原子の拡散による結晶成長のモデル方程式であり, Gibbs--Thomson 則に由来する曲率の指数関数の形の非線形項をもつ4階の幾何学流である. 本発表では, $\mathbb{R}$ 上の関数のグラフに関する指数型表面拡散流について考察する. とくに, 初期値の2階微分の小ささの仮定の下, 初期値問題の時間大域解が一意的に存在し, さらにこの解が時間遠方で表面拡散流の自己相似解に漸近することを示す. この結果は, Mullins (1957) が導入した曲率に関する線形化による表面拡散流での近似を長時間挙動の観点から正当化する. 本発表は 儀我 美一 氏 (東京大) との共同研究に基づく.

2025年5月29日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
榊原 航也 氏 (金沢大学)
題目
Plateau 問題の高速・高精度数値解析
要旨
空間内に与えられた Jordan 曲線を境界として持つ極小曲面を求める問題は Plateau 問題として知られている. Plateau 問題では, 一部の特別な場合を除き一般に解が複数存在し得るため, 「解がいくつ存在するか」という基本的な問題に対する完全な解答は得られていない. 本発表では, 基礎解近似解法 (MFS) に基づく新しい数値スキームを紹介し, 境界曲線の滑らかさに応じて Dirichlet エネルギーおよび平均曲率の $L^\infty$ ノルム誤差が指数関数的に収束する理論を導出する. さらに, 多次元トーラス上で位相パラメータの最適化問題を定式化し, 各種曲線 (楕円, Cassini 卵形, Enneper 曲線など) に対する高精度数値例を示す. 最後に, 本手法を用いた全解探索アルゴリズムを提案し, Enneper 曲線に対する数値計算を通じてその有用性を実証する.

2025年5月22日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
中田 行彦 氏 (青山学院大学)
題目
分布型時間遅れをもつ微分方程式の対称周期解について
要旨
時間遅れをもつ微分方程式の解の性質や振る舞いが精力的に調べられているが, 関数空間上のダイナミクスの解析は一般的に困難である. 本発表では, 従来輸送型の偏微分方程式で定式化されてきた構造化個体群モデルから, 分布型時間遅れをもつ微分方程式が現れることを動機として, 分布型時間遅れをもつ微分方程式の周期解について考察する. 方程式の非線形性を決める非線形関数が適当な奇関数である場合, 分布型時間遅れをもつ微分方程式に対して, 対称的な周期解がハミルトン系の2次元常微分方程式系から得られることを示す. この結果は, 離散的な定数時間遅れをもつ微分方程式に対する Kaplan and Yorke (J. Math. Anal. Appl., 1974)の結果を拡張したものである. さらに, 非線形関数が奇関数でない場合においても, 分布型時間遅れをもつ微分方程式は, ハミルトン系常微分方程式によって定められる対称的な周期解を持ちうることを紹介する. またヤコビの楕円関数によって周期解が表される例を紹介する.

「集中講義」
2025年5月13日(火), 14日(水), 15日(木), 16日(金) 15:00-18:00

会場
川井ホール
講師
Dumaz Laure 氏 (Laboratoire du DMA, ÉcoleNormale supérieure)
講義題目
Localization and delocalization of random matrices and random Schrödinger operators.
プログラム
詳細はこちらをご参照下さい.

2025年5月8日 (木)

お休み

2025年5月1日 (木)

お休み

「解析セミナー」
2025年4月24日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
梶野 直孝 氏 (京都大学)
題目
一様領域上の反射壁拡散過程の境界跡に対する熱核評価
要旨
本発表では, Mathav Murugan 氏 (University of British Columbia) との最近の共同研究 (arXiv:2312.08546) で得られた「劣 Gauss 型熱核評価を満たす対称拡散過程, およびその状態空間内の一様領域が与えられたとき,その一様領域上に自然に定まる反射壁拡散過程の境界跡過程は安定型 (stable-like) 熱核評価を満たす」という結果を紹介する. この結果は, それら自身興味深い結果である次の事実を証明することにより得られる:
(1) 調和測度 (拡散過程の境界への初到達位置の確率分布) の上下評価とdoubling性
(2) 領域上の Naïm 核 ( Martin 核のある種の「対称化」) の領域境界への連続拡張の存在
(3) 境界跡過程の Dirichlet 形式が, 調和測度に関する跳躍核が Naïm 核 (の連続拡張) であるような純跳躍型 Dirichlet 形式で与えられることを意味する Doob--Naïm の公式

2025年4月17日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Dongyuan Xiao 氏 (東北大学材料科学高等研究所)
題目
Complete classification of traveling wave solutions to monotone dynamical systems
要旨
反応拡散方程式 $u_t=u_{xx}+f(u)$ の解の伝播現象を研究するため, 行波解の漸近挙動は非常に重要な役割を果たす. 非線型項 $f$ が単安定条件を満たす場合, 最小の行波解速度 $c^∗$ が存在し, 任意の速度 $c\geq c^*$ に対して行波解が存在することが知られている. これらの行波解は, その減衰速度に基づき, 3つのケースに分類できることが, 簡単な相図解析によって示される. このような分類は, 非局所拡散方程式や Lotka--Volterra モデルなど, より複雑な順序保存系にも適用可能であると予想されているが, 相図解析が直接適用できないため, 未だに完全な解決には至っていない. 本発表では, すべての順序保存系に対してこの分類方法が成り立つことを証明できる, 統一的なアプローチを紹介する.

2025年4月10日(木) 16:30-18:00

会場
東北大学 合同A棟8階801室
発表者
Lorenzo Cavallina 氏 (東北大学)
題目
「二相」を超えて— 無限相の場合を含む多相複合媒質における楕円型及び放物型優決定問題
要旨
本発表では, 多相複合媒質における Serrin 型優決定問題を考察する. 媒質は, 有界領域 $\Omega$ 上で定義された区分的定数関数 $\sigma$ を係数に持つ楕円型作用素で表現される. 関数 $\sigma$ が一定値をとる部分集合を「相」と呼び, 境界に接する相を shell, 内部の相を core, 異なる相の境界面を界面と呼ぶ. また, $\sigma$ の取る値の数によって, 「一相」, 「二相」, 「多相」設定に分類する. 本発表では, 斉次 Dirichlet 境界値問題の解 $u$ を扱い, $\partial\Omega$ の連結成分 $\Sigma$ 上で法線微分 $\partial_\nu u$ が一定であるという追加条件を課した優決定問題を考える. このとき, $\Sigma$ 上では二つの境界条件を課しているため, 解が存在するとは限らないことに注意する. Sakaguchi (2016年, 2020年) は以上の優決定問題が解を持つための必要十分条件を与えた. 具体的には, $C^2$ 級の界面と連結な shell を持つ二相複合媒質に対して, $\Sigma$ が球面の場合, $\partial\Omega$ と界面が同心球面であるときに限り解が存在することを示した. 本発表では, 弱形式を用いて Sakaguchi (2016年, 2020年) の定理の初等的な証明を与え, さらに粗い界面を有する多相設定に対する楕円型及び放物型優決定問題への応用について述べる. なお, 本研究は Giorgio Poggesi 氏 (University of Western Australia) との共同研究に基づく.