◆政府、EU加盟希望諸国へ積極支援方針


 政府は、欧州連合(EU)入りを目指す中・東欧やバルト諸国が加盟基準を満たせるよう、経済、政治両面で支援を強化する方針を固め、関係省庁間で調整に入った。

 EUは現在、ポーランド、チェコなど十二か国と加盟交渉中だ。加盟希望国は警察・司法制度や税制など三十一分野の国内法をEUの基準に合致させなければならない。

 しかし、十二か国のうちの多くは十年ほど前までは共産主義体制だったこともあり、行政官や法律家などの人材不足は深刻だ。加盟基準を満たすには相当の年数が必要と言われる国もある。このため、日本政府は今後、関連する省庁、機関で、EU加盟希望国からの研修生などを積極的に受け入れる方針だ。

 またEU入りには環境基準の達成や、原子力発電所の安全性向上なども重要な要件で、こうした分野での技術的な支援も行う。

 こうした支援に加え、政治面でも、国連など国際的な会議の場をとらえて、EUの拡大支持を積極的に表明していくことにしている。

 日本政府内では最近まで、EUが現在の十五か国から将来、三十か国近くに拡大することが日本の国益にかなうかどうかについて議論があり、「世界貿易機関(WTO)交渉などでEUの発言力が巨大になり過ぎるのではないか」「EUと、EUに入れない旧ソ連諸国などの格差が広がる」といった懸念もあった。しかし二月末、外務省で開かれた欧州大使会議では、「より多くの国々がEU加盟を目標に民主化、市場経済化を進めて安定化することが日本の利益につながる」との見解で基本的に一致した。

 政府は今後、日EU間の政治対話を促進する考えで、二〇〇一年からの十年を「日欧協力の十年」(河野外相)と位置づけている。十二か国すべてがEU入りするには、早くても今後五―十年はかかると見られている。

(3月6日3:16)


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