◆「法輪功」都にNPO申請


 中国本土で非合法化されている気功集団「法輪功」の日本国内メンバーが、東京都にNPO(民間非営利組織)の法人申請を行い、今月九日の認証期限を前に、都が対応に苦慮している。中国側からNPOとして認証しないよう申し入れがあったためで、都と北京市は友好都市関係にある反面、石原慎太郎知事が中国批判を強めており、都の対中姿勢は微妙な状況。都の生活文化局は「NPO法の規定に従って認証の可否を判断するだけ」としているが、結論がどちらに転んでも波紋が広がりそうだ。

 法輪功は「気功」などを用いて充実した生き方を追求するグループとされるが、中国で爆発的にメンバーを増やして共産党の脅威となるほどの影響力を持ち始めたため、「邪教(カルト)」として非合法化された。

 米国や香港の人権団体は「政治や宗教とは無関係で、取り締まりは人権抑圧だ」として、中国政府に抗議運動を展開している。

 NPOとして法人申請しているのは、日本の活動メンバー五人で組織する「日本法輪大法学会」(事務所・足立区)。

 昨年十一月九日に都に提出した申請書によると、法輪功の教えは「人々の道徳観念を高めて健康な体を作り、社会によい影響を与える」もので、同会は「法輪功の紹介と交流」を活動内容に掲げ、「一切の宗教、政治活動を行わない」とも明記している。

 申請書は、提出後二か月間の縦覧などNPO法に定められた手続きを終え、提出から四か月になる今月九日までに認証の可否を決める。

 都は「政治、宗教団体ではないと言っており、法令上は認証を拒否する理由は見当たらない」としているが、最終的には石原知事の判断だ。

 認証されれば、社会的に認知され、法人格を持つ団体として不動産を登記したり銀行口座を開設したりできるようになる。

 申請書を受理して以来、中国大使館の職員が都庁を二度訪れ、「中国では不法団体であり、都はNPOとして公認すべきではない」との趣旨の申し入れも行った。

 これに対し、石原知事は強く反発し、先月二十五日の会見で「東京と北京の関係が悪くなるとか(中国側が)言ってきているが、何様のつもりか」などと厳しく批判している。

 都と中国の関係は、かねてから中国に批判的な石原知事の就任以来、緊張感が高まってきた。

 同知事が昨年十一月に台湾を訪問した際、中国側が遺憾の意を表明し、その後、都内で開かれた都と北京市の友好イベントで、講演を予定していた同市幹部が急きょ欠席。また同知事は、台湾の李登輝総統が次期総統に職を譲った後の六月ごろに東京に招く意向を示している。

 さらに、四月に訪日を予定しているチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ十四世についても、中国政府が入国を許可しないよう日本政府に求める一方、石原知事は都庁でダライ・ラマ十四世と会談したいとしている。

(3月6日3:14)


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