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黒木玄、「Painleve系のτ函数の正準量子化について」、日本数学会2015年度秋季総合分科会、京都産業大学、2015年9月13日(日)~9月16日(水)、無限可積分系特別講演9月14日13:00~14:00のための アブストラクト PDF、 スライド PDF (Beamerソース) NEW 2015-07-31
黒木玄、「パンルヴェ系のτ函数の量子化について」、第9回駒場幾何学的表現論と量子可積分系のセミナー、東京大学大学院数理科学研究科 002号室、2014年2月15日(土)14:00~17:00 NEW 2014-02-27
対称化可能一般Cartan行列に付随するWeyl群双有理作用とそのτ函数の量子化を構成する.ここで「量子化」は「正準量子化」の意味である。 すなわち古典の場合のPoisson括弧を古典極限に持つような非可換な設定で Weyl群双有理作用とτ函数を量子化する. 実際には古典の場合にτ函数のPoisson括弧が定義されていなかったので、古典の場合のτ函数を含めた適切なPoisson構造を見付けるという問題も同時に解いていることになる.
古典の場合も量子の場合もτ函数はτ変数へのWeyl群双有理作用の結果として定義される. 量子の場合にはτ変数を含む代数の適切な非可換性を発見しなければいけなかった. 基本ウェイトに対応するτ変数は余ルート(パラメーター変数とみなされる)の正準共役の指数函数(パラメーター変数を1ずらす差分作用素)であるというのが正しい解答であった.
Weyl群の作用はChevalley生成元(パンルヴェ系の従属変数とみなされる)のパラメーター変数べきの作用で自然に定義される. 作用がWeyl群の関係式を満たすことは表現論的にはVerma関係式そのものである.
以上のようにして量子化されたτ函数が古典の場合と同様に正則性を持つかどうかが最初の問題になった. 以上の設定では量子τ函数が従属変数の多項式になるという結果を示すことが問題である.
古典の場合のτ函数の正則性は本質的にソリトンの佐藤理論から得られる. 可換な場合には行列式はその成分の多項式になることから、古典τ函数の多項式性が導かれる.
この結果の量子版の証明は本質的に古典の場合と異なる. 表現論における平行移動函手(translation functor)の理論から量子τ函数の正則性が導かれる. この証明法では基本ウェイトに対応するτ変数が 実は基本ウェイトを最高ウェイトに持つ可積分表現による平行移動函手の「影」の一つに見えて来ることになる.
詳しくは次のプレプリントを見て下さい。
http://arxiv.org/abs/1206.3419
黒木玄、「互いに素な $m$, $n$ に対する拡大アフィンWeyl群の直積 $\widetilde{W}(A^{(1)}_{m-1})\times\widetilde{W}(A^{(1)}_{n-1})$ の双有理作用の量子化」、京都大学における日本数学会2013年3月20日~23日での一般講演(3/22)で使う予定のスライド原稿、22ページ。 PDF NEW 2013-03-20
黒木玄、「互いに素な $m,n$ に対する拡大アフィンWeyl群の直積 $\widetilde{W}(A^{(1)}_{m-1})\times\widetilde{W}(A^{(1)}_{n-1})$ の双有理作用の量子化」、学会講演のアブストラクトになる予定の原稿、2012年11月29日、2ページ。 PDF NEW 2012-11-29
2010年10月の岩手県立盛岡第三高等学校における講演の原稿を再編集したもの。数学の勉強の仕方のコツの説明が削除され、フリーズパターンの整数性と有限反復性の証明の方針と多角形の三角形分割との関係の説明が追加されている。2012年8月17日の仙台数学セミナーのために作った原稿もこの講演のために大幅に拡充してある。合わせて読んでもらいたい。
黒木玄、「A型の量子Weyl群双有理作用のSato-Wilson表示」、学会での2012年9月18日の講演で使う予定のスライド原稿、2012年09月18日 Ver.2.1、55ページ。 PDF NEW 2012-09-18
黒木玄、「フリーズパターン ―― 数の繰り返し模様の不思議」、仙台数学セミナーのために作った原稿、2012年8月17日作成、2012年11月16日更新、第3.3版、36ページ。 PDF (ソース:TeX、図のJPG、図のBB) NEW 2012-11-16
目標として主要部分は中学生でも読んで理解できるように書いたつもり。有限型(ABCDEFG型)のフリーズパターンの生成規則を例外型も含めてすべて紹介している。さらに古典型(ABCD型)のフリーズパターンの整数性と有限反復性の初等的証明の基本的なアイデアもすべて説明してある。さらに A(1)1 型のフリーズパターン(初期条件を 1 から変数に一般化した場合を含む)のローラン性と正値性の証明法も問題の形で書いてある. あと An 型のフリーズパターンが n+3 角形の三角形分割から得られることも説明してある。
黒木玄、「A型の量子Weyl群双有理作用のSato-Wilson表示」、学会講演のアブストラクトになる予定の原稿、2012年06月18日、2ページ。 PDF NEW 2012-06-18
Gen Kuroki, Regularity of quantum τ-functions generated by quantum birational Weyl group actions, arXiv:1206.3419, 18 June 2012, 28 pages. PDF here, PDF in arXiv, arXiv:1206.3419 NEW 2012-06-18
arXiv:math.QA/0012028 は任意の対称化可能GCMに対して定まるWeyl群双有理作用に付随するτ函数たちの正則性(多項式性)を一般的に証明している。この論文の主結果はその結果の量子化。しかし証明の方法は完全に違っていて、古典の場合はソリトン方程式の佐藤理論のアイデアを使ってτ函数の正則性が証明されているが、量子τ函数の正則性には Kac-Moody 代数の translation functor を使っている。量子τ函数の正則性から古典τ函数の正則性が古典極限を経由して出るので、この証明は古典τ函数の正則性の証明としても新しい。τ函数と表現論における translation functor が関係するという話はかなり意外な結果だと思う。
% 2012-05-03 Prelim.Ver.0.1 % 2012-05-04 Prelim.Ver.0.2 regularity of $\tau$'s in the $q$-case % 2012-05-05 Prelim.Ver.0.3 q-quantum Hirota-Miwa % 2012-05-06 Prelim.Ver.0.4 20 pages % 2012-05-06 Prelim.Ver.0.5 incomplete introduction, 22 pages % 2012-05-07 Prelim.Ver.0.6 23 pages % 2012-05-08 Prelim.Ver.0.7 24 pages % 2012-05-08 Prelim.Ver.0.8 just 24 pages % 2012-05-08 Ver.0.9.0 24 pages % 2012-05-09 Ver.0.9.1 many typos, change the title, 24 pages, % 2012-05-11 Ver.0.9.2 Nagoya2012 added, sec:reg-q a little revised % 2012-05-16 Ver.0.9.2.1 Title and Abstract changed % 2012-05-17 Acknowledgements added % 2012-05-21 Proof of regularity in the q-difference case revised % 2012-05-22 Proof of regularity in the q-difference case thoroughly revised % 2012-05-23 References for the uniqueness of the homomorphisms between Verma modules % 2012-05-23 Section for the quantum q-Hirota-Miwa equation revised % 2012-05-24 Minoe revisions % 2012-05-25 Minor revisions % 2012-05-27 Minor revisions % 2012-05-29 Minor correction % 2012-05-30 Minor revision % 2012-06-15 Submitted to arXiv.org
黒木玄、「量子化されたτ函数の正則性」、2012年3月28日に予定されている学会講演のスライド。 PDF NEW 2012-03-24
黒木玄、「Weyl群双有理作用とτ函数の量子化―量子化されたτ函数の正則性」、学会講演のアブストラクト、2011年12月04日、2ページ。 PDF NEW 2011-12-04 22:00
黒木玄、「量子 dilogarithm 恒等式の作り方―― G2 型量子 dilogarithm 恒等式を例に使った説明」、2010年12月29日、7ページ。 PDF、 MathJax NEW 2010-12-29
研究集会「量子可積分系の新展開」(2010年12月19-23日、富士教育研修所) で量子 dilogarithm 恒等式の作り方について話した。実際の講演のときには Fock-Goncharov 流の量子クラスター代数 (彼らが ``quantum double'' と呼んでいるもの) の説明に時間を取られて、 A2 型の pentagon 恒等式の場合しか詳しく説明できなかった。このノートでは G2 型の場合について詳しく説明してある。あと当日詳しく説明できなかったより一般の量子 dilogarithm 恒等式の作り方や Fock-Goncharov 流の量子クラスター代数の定式化との関係についても簡単に説明してある。正式に発表していない結果でもあるし、雑に書いた部分もあるので取り扱いに注意!
このノートには歪対称化可能だが歪対称ではない行列 B の mutation を quiver のお絵描きで計算する方法も書いてある。最初は B2 型で説明しようかと思っていたのだが、実際の計算は G2 型の方が楽しかったので G2 型の場合の図を清書することにした。そういう方向で出来上がったのが上のノートである。
対角成分が正の整数の対角行列 D (これは固定)で歪対称化可能な整数行列 B によって q 交換関係が定義される量子トーラスを K と書く. B は mutation によって色々変化する。それに対応して量子トーラス K も色々変化する。このようにして現われる量子トーラスたちのあいだをつなぐ同型写像が量子版の mutation である。一方 B から自然に対称化可能 GCM が得られ、量子トーラス K には長谷川の方法を使ってその GCM に対応する Weyl 群が作用する。 B から定まる GCM は一般に mutation で色々変化するので量子トーラス K に作用する Weyl 群の型も色々変化してしまうことになる。そして量子化された mutation と Weyl 群双有理作用の量子化の双方が量子 dilogarithm による conjugation によって定義される。 こういう世界が量子クラスター代数の周辺に広がっていることを富士教育研修所で話したつもりである。しかし、 Fock-Goncharov の論文を初めて読んだとき、 Weyl 群双有理作用の量子化の研究で出会った馴染み深い関係式が並んでいることに驚いた。その感動が伝わるような話を富士教育研修所ではできなかったことが残念である。
上のノートには Fock-Goncharov 流の量子クラスター代数の話や Weyl 群双有理作用の量子化の話は書かれていない。 Fock-Goncharov 流の定式化については math/0702397 を Weyl 群双有理作用の量子化についてはこのページからダウンロードできる他のノートを見て欲しい。
黒木玄、「数学の世界には法則がある――正多面体からフリーズパターンとクラスター代数まで」、岩手県立盛岡第三高等学校、緑丘プレ大学講座、2010年10月13日(水)、70分講演×2回 (生徒が入れ替わる) の講演原稿。 (PDF、PDF2x2v印刷用、PDF2x2h印刷用) NEW 2010-10-30
いわゆる「出前授業」です。内容は「数学上達のコツ」から始まってクラスター代数の話で終わります。流行のクラスター代数の話を「ディンキン数学」の一例として高校生に紹介したいと思いました。クラスター代数入門には Conway-Coxeter frieze (係数無し An 型のクラスター代数の整数への特殊化) の計算を紹介するのが良さそうです (cf. 中島啓氏の「クラスター代数入門」と公開講座の原稿)。講演原稿ではA型のフリーズ (Conway-Coxeter frieze) だけではなく、D型とE型と A(1)1型(もっとも簡単なアフィン型)のフリーズについても紹介してあります。クラスター代数についてはランク2のクラスター代数に関するノートも見て下さい。
盛岡三高の緑丘プレ大学講座はかなり大規模な出前授業の企画でした。準備が相当に大変だったと思います。盛岡三高の雰囲気はかなり良かったです。
Gen Kuroki, Quantum groups and quantized q-difference birational Weyl group actions, 日本数学会2010年度秋期総合分科会9月22日(水)~25日(土)、名古屋大学大学院多元数理研究科、無限可積分系分科会9月24日(金)午前の講演予定原稿。 (PDF) NEW 2010-09-14
講演申し込み要旨にはなかった「量子幾何結晶の定義と例」が追加されている。初公開の話。
黒木玄、「量子群と q 差分版量子 Weyl 群双有理作用」、日本数学会2010年度秋期総合分科会9月22日(水)~25日(土)、名古屋大学大学院多元数理研究科、無限可積分系分科会での講演申し込み要旨、2010年6月27日提出。 (PDF) NEW 2010-06-30
黒木玄、「量子群と Painlevé 系の Weyl 群対称性の量子化」、大阪表現論セミナー、日時:2010年6月30日(水)18:00--19:30、講演会場:大阪市立大学文化交流センター(大阪駅前第2ビル6階)小セミナー室。 (PDF) NEW 2010-06-30
論文 arXiv:0808.2604 の解説。ただし第1.6節の A∞ 型 q 差分量子 Weyl 群双有理作用の Lax 表示は新しい結果のつもり。ついでに「量子 W(A(1)m-1)×W(A(1)n-1) 双有理作用」に関するノートも作成した。
Gen Kuroki, Quantum groups and quantization of Weyl group symmetries of Painlevé systems, arXiv:0808.2604, preprint 2008, LaTeX, 30 pages, to appear in Advanced Studies in Pure Mathematics, Proceedings of ``Exploration of New Structures and Natural Constructions in Mathematical Physics'', Nagoya University, March 5--8, 2007.
内容は2007年3月5日の講演の内容の一部 (*, **) を論文にしたもの。研究集会の報告集に発表される予定になっている原稿 (accepted)。
Gen Kuroki, Quantum Groups and Quantizations of Isomonodromic Systems, 5 March 2007 (PDF, LaTeX) 国際研究集会 Exploration of New Structures and Natural Constructions in Mathematical Physics (Graduate School of Mathematics (Room 509), Nagoya University, March 5--8, 2007: On the occasion of Professor Akihiro Tsuchiya's retirement) での発表原稿(に修正を入れたもの)。
この講演では (個人的な意見では基本的かつ重要な) 複数の新しい結果について報告した。
「任意の量子モノドロミー保存系は合流型 (不確定特異点型) もしくは非合流型 (確定特異点型) の (一般に多変数) 超幾何積分解を持つ」という基本予想を提出した。この予想は q 差分の場合にも成立しているだろう。
量子展開環の Chevalley 生成元の非整数べきを用いて、 Noumi-Yamada arXiv:math.QA/0012028 が構成した Weyl 群双有理作用の q 差分化と量子化を同時に遂行できる (arXiv:0808.2604)。
同様の方法で Hasegawa arXiv:math.QA/0703036 による量子化された q 差分版 Weyl 群双有理作用を再構成できる (arXiv:0808.2604)。
以上の2つは任意の symmetrizable generalized Cartan matrix (GCM) のデータに対して構成可能。
2以上の整数 m と n が互いに素な場合に限れば、 Kajiwara-Noumi-Yamada arXiv:nlin.SI/0106029, arXiv:nlin.SI/0112045, Noumi-Yamada arXiv:math-ph/0203030 で構成された A(1)m-1×A(1)n-1 型の拡大 affine Weyl 群の双有理作用を量子群を用いて量子化できる。量子化前の古典版では適切な Poisson 構造さえ知られていなかった。したがってこの結果は古典極限によって Poisson 構造を明らかにしたという点でも新しい。量子化どころか Poisson 構造さえ知られていなかった理由は講演原稿の20-21頁に書いてある複雑な q 交換関係を見ればわかる。そこに書いてあるような複雑な q 交換関係に対応する Poisson 構造を「量子群の表現の簡約」という視点無しに発見することは難しいだろう。
黒木玄、可積分系およびモノドロミー保存系の量子化と離散化について (2003年11月25日13:30-14:30の講演OHPシートのPDF化:PDF)。研究会「時代精神としての数理物理」、2003年11月25日(火)~28日(金)、名古屋大学経済学部第1講義室での講演OHPシートをPDF化したもの。私の「手書きの文字」がどういう感じなのかがよくわかります。
私は同僚の長谷川浩司氏の影響を受けて2000年頃からモノドロミー保存系や Painlevé 系の量子化と離散化について考え始めた。Knizhnik-Zamolodchikov 方程式が射影直線上の有理接続の特異点を動かすモノドロミー保存変形を記述する非線形微分方程式系の量子化 (Schrödinger 表示) とみなせることを Reshetikhin が1992年に注意している。 (一般に Wess-Zumino-Witten 模型の conformal blocks の理論は level が critical なとき量子可積分系の理論とみなせ、 level が critical でないときモノドロミー保存変形の理論の量子化とみなせる。) したがって「不確定特異点型を動かすモノドロミー保存変形 (Stokes データ保存変形) の量子化はどうなっているのか?」「モノドロミー保存変形や Painlevé 系の離散版の量子化はどうなっているのか?」などなどの問題が自然に生じる。上の研究会ではこの方面について色々考えたことを (当時の) 同僚たちの仕事を紹介しながら報告した。
私自身によるオリジナルの結果は次の通り:
3以上の奇数 m=2g+1 に対して、 A(1)m-1 型の Noumi-Yamada 系の量子化への Weyl 群作用は従属変数 f_i の非整数べきの conjugation 作用で実現できる。
ゆえに A(1)m-1 型の Noumi-Yamada 系と同値な準周期 m を持つ dressing chain の量子化への Weyl 群作用も fi = vi + vi+1 の非整数べきの conjugation 作用で実現できる。
3以上の奇数 m=2g+1 に対して、 Hasegawa によって量子化された q 差分版の A(1)m-1 型 Weyl 群双有理作用は準周期 m を持つ dressing chain に似た系の量子化を用いて記述できる。この結果から、Hasegawa による量子版の A(1)m-1 型 Weyl 群双有理作用が Kajiwara-Noumi-Yamada による A(1)m-1×A(1)1 型の拡大 affine Weyl 群双有理作用の A(1)m-1 部分の量子化に一致していることがわかる。
Gen Kuroki, Takashi Takebe, Wess-Zumino-Witten model on elliptic curves at the critical level, arXiv:math/0005138, preprint version of J. Phys. A 34 (2001), no. 11, 2403--2413.
黒木玄、「楕円曲線上の Wess-Zumino-Witten 模型」、科研費の報告に使った原稿、1999年3月18日。 (PDF)
注意:これは古い微修正前の版。修正版の方を参照して欲しい。
Gen Kuroki, Takashi Takebe, Bosonization and integral representation of solutions of the Knizhnik-Zamolodchikov-Bernard equations, arXiv:math/9809157, preprint version of Comm. Math. Phys. 204 (1999), no. 3, 587--618.
黒木玄と武部尚志、「楕円曲線上のWZW模型について」、日本数学会 (1998年3月、名城大) における分科会特別講演要旨、Version 1.2.2t、1998年2月18日。 (PDF)
Gen Kuroki, Takashi Takebe, Twisted Wess-Zumino-Witten models on elliptic curves, arXiv:q-alg/9612033, preprint version of Comm. Math. Phys. 190 (1997), no. 1, 1--56.
黒木玄、「共形場理論の定式化について」、1995年8月における京大数理研における講演のまとめ、研究会「群の表現論と等質空間の解析学」、1995年7月31日~8月3日、主催者:齊藤睦、数理解析研究所講究録 No. 929 (1995)、 103--134 に掲載 (最新の訂正版:PDF)
曲線やバンドルの変形をどのように共形場理論と結び付けるかに関するノート。このノートを見れば Virasoro 代数と affine Lie 代数の中心拡大の部分と代数曲線上の幾何の関係がわかる。共形場理論は曲線および曲線上のバンドルの変形理論を場の量子論の言葉を使って書き直したものとみなせる。
黒木玄、「共形場理論におけるコセット構成と双対性」 (1994年9月6日の講演OHPシートをもとにLaTeX化したもの:PDF)。
研究会『量子化,幾何学,可積分系』、1994年9月5日(月)~7日(水)、京大会館 (京都市左京区吉田河原町15-9) での講演OHPシートをLaTeX化したもの。図が抜けている。 ``Strange duality'' 関係の記述は時代遅れになっていることに注意。その分野は1994年9月の時点からかなり進展している。
黒木玄、「共形場理論と保型形式論」、1993年8月における Young Summer Seminar で話した内容のまとめ。 (PDF)
古くから数の世界と函数の世界のあいだには多くの類似があることが知られている。たとえば (有理) 整数と (一変数の) 多項式函数はよく似た性質を持ち、有理数と有理函数、無理数と無理函数、代数的数と代数函数、超越数と超越函数のように数と函数に同じ形容詞を付けることができる。代数体 (=有理数体の有限次拡大) と複素数体上の代数函数体 (=コンパクト Riemann 面上の有理型函数全体のなす体) はよく似ている。 (それら二つのあいだに有限体上の代数函数体をはさむと類似の関係がさらに見やすくなるというのが A. Weil による有名な古典的アイデアである。)
この類似のもとで「代数体と代数群から得られる保型形式」の対応物は「コンパクト Riemann 面上の主束のモジュライ空間上の直線束の大域切断」=「affine Lie 代数の対称性を持つ共形場理論における conformal block」であることがわかる。つまり、共形場理論は保型形式論のコンパクト Riemann 面での類似物なのである。
黒木玄、「W-algebra について」、1993年2月における北大談話会で話したこと。 (PDF)
Gen Kuroki, ``Fock space representations of twisted affine Lie algebras'', preprint, January 1991. (PDF)
これは未発表原稿なので取り扱い注意!未完成の原稿です。基本的に1991年1月に京大数理研でした講演の内容と同じ。本質的に日本語と英語の違いしかない(こちらは英語)。
黒木玄、「Twisted affine Lie algebra の Fock 空間表現 (Wakimoto 表現)」、1991年1月における京大数理研における講演のまとめ。 (PDF)
現在では twisted affine Lie algebra の Wakimoto 表現を vertex algebra の twisted representation の概念を使って構成する方法が知られている。まず (non-twisted) affine Lie algebra の (non-twisted) free bosons による (non-twisted) Wakimoto representation を構成する (affine Lie algebra → free bosons)。次に free bosons の twisted representation を構成する (free bosons → twisted free bosons)。この二つを合成すれば自然に affine Lie algebra の twisted free bosons による表現が構成される (affine Lie algebra → twisted free bosons)。これは twisted affine Lie algebra の twisted free bosons による表現を誘導する (twisted affine Lie algebra → twisted free bosons)。これが twisted affine Lie algebra の Wakimoto representation である。この構成の良いところは Sugawara energy-momentum tensor や screening operators が自然に twisted の場合に拡張されることである。
Gen Kuroki, ``Fock space representations of affine Lie algebras and integral representations in the Wess-Zumino-Wittem models'', Comm. Math. Phys. 142 (1991), no.3, 511--542. (Preprint Version: PDF, Errata: PDF)
デビュー作。所謂「Wakimoto 表現」の存在、 affine Lie algebra から Sugawara construction で作った energy-momentum tensor の free boson による表示、 screening operators の存在を証明した。その三つが証明できれば、任意の (non-twisted) affine Lie algebra に対して、それを対称性に持つ共形場理論 (Wess-Zumino-Witten model) の conformal blocks の積分表示式が得られる。その系として、任意の有限次元単純 Lie 代数に対して Knizhnik-Zamolodchikov 方程式の解の多変数超幾何積分表示式が得られる。
1991年当時、所謂「Wamimoto 表現」を任意の affine Lie algebra に対して構成するためには、この論文のように Lie algebra cohomology を使った議論が必要だった。しかし、現在では screening operators を用いた直接的な計算による証明が知られている。そのような証明が山田泰彦著『共形場理論入門』 (数理物理シリーズ、培風館、1996年1月) で紹介されている。共形場理論について知りたい人は最初にこの本を読むのが良い。
黒木玄、「共形場理論における頂点作用素について」、1990年1月31日、表紙を入れて160頁、手書きの修士論文をスキャナーで取り込んだもの。
近所の特に親しい方々のみに配布していた個人的なノートである。
以下の複数の意味で取り扱い注意!
このような取り扱い注意の文書を公開することにも大学における数学の研究・教育のナマの現場を見せることに大きな意義があると考え、公開に踏み切りました。引用したい場合には以上の点に留意するようお願い致します。このページで各ノートに簡単なコメントを付けていますが、それらのコメントにも以上の注意が適用されます。
なお、古典系(特にソリトン系)に関するノートが多いですが、2008年9月現在の筆者の興味は量子系 (Painlevé系やモノドロミー保存系の量子化、量子可積分系、ソリトン系の量子化など) に向いています。
「微分極限」など独特の用語については用語集を参照して下さい。
2012-04-30 黒木玄, A2型のVerma恒等式の証明, 4 pages. (PDF) NEW 2012-04-30
A2型のVerma恒等式の初等的な(単なる計算による)証明を書き下したノート。Simply-lacedな場合のWeyl群双有理作用の量子化の構成はA2型のVerma恒等式に帰着する。
2012-04-14 黒木玄, 非整数ベキを含む代数とWeyl群作用の構成, 3 pages. (PDF) NEW 2012-04-14
非整数ベキの``構成''の話をすっきりさせるためのノート. 超簡潔.
2011-07-12 黒木玄, 量子化されたWeyl群双有理作用における $\tau$ 函数の正則性, 8 pages. (PDF) NEW 2011-07-12
2010-10-22 Gen Kuroki, Quantum geometric crystals, 16 pages. PDF, 書きかけの論文 (取り扱い注意)
2010-06-30 黒木玄, 量子 W(A(1)m-1)×W(A(1)n-1) 双有理作用, 15 pages. (PDF) NEW 2010-06-30
内容的には2007-02-23の未完成のメモの続き。そちらの未完成のメモでは書かなかったことをこちらに書いた。単なる非可換体でうまく行く話ではなく、特別に構成された非可換体に代数同型として拡大 Weyk 群の直積が作用していることを示している。かなり非自明な結果。
ALBL=LCLD 型の関係式で定義される代数に関する書きかけのメモ。
書きかけのノート。当時は dressing chain の量子化の決定版の論文 Lian-Rasinariu, arXiv:hep-th/0006074 の存在を知らなかった。
A(1)n-1 型拡大 affine Weyl 群双有理作用の量子 q 差分版の Lax 表示と作用の量子離散 Hamiltonian の構成およびそれらの微分極限。
n が奇数の場合の準周期 n を持つ dressing chain と A(1)n-1 型野海・山田系の量子 q 差分版への Weyl 群作用の Lax 表示。
実際には「量子」ではなく、単なる「非可換」の場合の話。非可換であることは量子系であるための必要条件だが、十分ではない。本物の量子系 (ただし m と n が互いに素な場合のみ) は2007年3月5日の講演で構成されている。
周期 n=2g+1, g=1,2,3 を持つ quantum dressing chain の Hamiltonian の具体形
黒木玄, Ore集合の作り方, 12 pages. PDF UPDATE 2010-11-18
Berenstein-Kazhdan の意味での geometric crystal の量子化の構成の ために必要になった非可換環の局所化に関するノート. 非可換Noether環におけるAR性質 (Artin-Ress 性質)の簡単な使い方が 解説されている.
ランクが2で係数が自明なクラスター代数に関するお勉強ノート。オリジナルな内容は含まれていない。ランク2の任意のクラスター代数について「すべてのクラスター変数が Laurent 多項式になる」という Laurent 現象が証明されている。さらに完全に非可換な場合に拡張された A(1)1 型クラスター代数の場合について「すべてのクラスター変数が引き算無しの Laurent 多項式になる」という正値 Laurent 現象も証明されている。この完全な非可換な場合の結果も ``quiver'' による理解は可能だろうか?
非可換代数から可換代数に移る2つの方法「grを取る」「Planck定数→0」のあいだの関係について。 Rees 代数。
"Quantum" と書いてあるが実際には非可換な体(斜体)でもある種の計算がうまく行くということを示しただけ。本物の量子系 (ただし m と n が互いに素な場合のみ) は2007年3月5日の講演で構成されている。
ほとんど答そのもののヒント付き。非可換環の量子化はWeyl群双有理作用の量子化 (したがって Painlevé 系の量子化) の基礎になる。問題 [5] (Ore整域の十分条件) の結果は次のように強められる。
定義: 体 K 上の1を持つ (可換とは限らない) 結合的代数 A が零因子を持たないとき、 A は体 K 上の整域であると言う。体 K 上の 1 を持つ結合代数 A の K 部分空間の増大列 A0⊂A1⊂A2⊂… で 1∈A0、AkAl⊂Ak+l、∪Ak=A を満たすものを A の増大フィルターと呼ぶ。 (可換とは限らない) 環 A を部分環として含む斜体 D で D = { as-1 | a,s∈A, s≠0 } = { s-1a | a,s∈A, s≠0 } を満たすものが存在するとき A は Ore 整域であると言う。□
定理: A は体 K 上の整域であり、増大フィルター A0⊂A1⊂A2⊂… で limsup (dim Ak)1/k ≦ 1 を満たすものが存在すると仮定する。このとき A は Ore 整域である。□
注意: Cauchy-Hadamard の定理より、複素数列 ak に対して limsup |ak|1/k はベキ級数 ∑ ak zk の収束半径の逆数に一致していることに注意せよ。□
上の定理は論文 arXiv:0808.2604 で証明されている。その論文で上の定理の条件を満たす整域を tempered domain (緩増加整域) と呼んでいる。緩増加整域の部分代数と商整域もまた緩増加整域になる。たとえば有限型およびアフィン型の Kac-Moody Lie 代数の普遍展開環や量子展開環は緩増加整域になるので、それらの任意の部分代数の任意の商整域 (subquotient domains) も緩増加整域になる。
函数 exp(x) の q 差分化は dilogarithm の量子化になっている。
当時は dressing chain の量子化の決定版の論文 Lian-Rasinariu, arXiv:hep-th/0006074 の存在を知らなかった。奇数 n の準周期を持つ classical dressing chain と野海・山田の A(1)n-1 型の Painlevé 系 (以下 A(1)n-1 型野海・山田系と略) は同値なので、2000年6月の時点で n が奇数の場合の A(1)n-1 型野海・山田系は量子化されていたことになる。一般の Riemann 面上のモノドロミー保存変形の Hamilton 構造については Fedorov arXiv:math/0412121 がある。
超書きかけのノートなので「正体」は判明していない。
ある種の行列式の双対公式の証明。 m と n のどちらかが 2 の場合が戸田格子の保存量の話になっている。恥ずかしいことに (まじめに考えなかったせいか) 自力で証明できなかったので、教えている大学1年生に「できたら単位を出す」と言ってしまった。実際にはよくできる大学1年生ならすぐに解けそうなくらい簡単な問題でした。この公式の「量子化」が存在するかどうかはかなり面白い問題。 m と n が互いに素な場合について xij たちの量子化が2007年3月5日の講演で構成されている。しかし、行列式の双対公式まで量子化されているわけではない。
楕円曲線上の WZW 模型と KZB 方程式。それらの臨界レベルで現われる量子可積分系。 KZB方程式およびその母函数表示の導出が非常に詳しく書いてある。途中で strange formula $24(\rho|\rho)=2h^\vee\mathop{\mathrm{dim}}\mathfrak{g}$ を使う。KZB方程式の母函数表示は古典極限のLax表示との比較で重要。
現在では m と n が互いに素な場合について問題 A.3 は解けている。2007年3月5日の講演の原稿の後半に量子化された場合の答が書いてある。古典極限を取れば問題 A.3 の解が得られる。
差分 Schlesinger 系および q 差分 Schlesinger 系への affine Weyl 群作用の Lax 表示について。
書きかけのノート。
かなりいい加減な話。2003-09-05のノートの話の一般化について考えようとした。
未完のノート。 Appendix で Korotkin math-ph/0106009, math-ph/0306061 が構成したモノドロミー行列が準置換行列になる場合のモノドロミー保存変形の解の行列成分が本質的にソリトン系の準周期解の Baker-Akhiezer 函数と一致することを指摘している。ただし Riemann 面上で分岐点を持つ多価な Baker-Akhiezer 函数を考えなければいけない。そしてそのような多価の Baker-Akhiezer 函数は Riemann 面上に bosonic vertex operators を差し込んだ場合の charged Fermions の相関函数で表わされる。
超未完成の恥ずかしいノート。今なら classical vertex algebra という定式化で一発。
2001年12月21日のセミナーの記録、超未完成。
古典可積分系の構成で基本的な役割を果たす古典r行列に関するノート。長い。このノートの続きとして読むべき文献は Yuri B. Suris, Nonlocal quadratic Poisson algebras, monodromy map, and Bogoyavlensky lattices, solv-int/9610001 である。 (時間を節約したければ直接 Suris の論文を読んだ方が良いかもしれない。) ノート「abcd 型 quadratic Poisson 代数」も参照せよ。
主に学生への解説用のノート。
この索引ファイル群については改変したものを再配布して構いません。他の誰かによってより完全な索引ファイルが作成されることを歓迎致します。
このノートの目標はコンパクトRiemann面上のtame記号とContou-Carrere記号の相互法則の反復積分を用いた証明を紹介することである(元になったツイッターでの雑談).
有限Abel群が巡回群の直積に分解することの単因子論を使わない証明とそれと完全に同様の方法で正方行列のJordan標準形の存在を証明できることの解説.
中日新聞2012年11月5日朝刊に掲載された掛順こだわり教育に関する記事の取材依頼への承諾の返事に書いた「簡単なまとめ」です。
学生の方が書いた修論などのLaTeXのコードで見付けた失敗例をもとにまとめてみました。
掛け算の式の順番に関する議論が再度盛り上がったようなのでこのようなテキストファイルを公開することにしました。
「Cauchy-Schwarz-Buniakowski の不等式」は「Cauchy-Schwarz の不等式」や「Schwarz の不等式」と呼ばれることが多い。
Jordan標準形を特性多項式と最小多項式のデータから計算する方法の解説。
対数微分を広田のD-operatorで表示する方法。KdV方程式とKP方程式の双線形化の計算の仕方。Kac-Rainaの第7.5節の計算の仕方。
剰余項型、スモールオーダー型、積分剰余項型のテイラー展開の定理の証明。
簡単な計算で証明できることを長谷川浩司さんに教わった。
各素数 p に対して n! と k!(n-k)! に含まれる p ベキの大きさを比較することによる直接的証明、Pascalの三角形と二項定理を使う証明、順列と組み合わせによる証明の3種類の証明が書いてある。
平方剰余の相互法則を認めて、Z[√-5]/(p)、Z[√-3]/(p)、Z[(1+√-3)/2]/(p) が計算されている。
書きかけだが、続きを書く予定はない。「正方行列 A の行列式が 0 でなければ A の逆行列が存在し、 A の成分は "Aの余因子/Aの行列式" の形になっている」という結果の Fredholm 版が証明されている。
相加相乗平均の不等式から Hadamard の不等式を出すというシンプルな証明。 Hadamard の不等式は Fredholm 行列式が絶対収束することの証明に使われる。
群の定義から群の準同型定理まで一直線に進む。
ちなみに2008年9月20日現在、英語版 Wikipedia の Simple ring のページにおける斜体 D 上の全行列環 M(n,D) の任意の左イデアルが "{M ∈ M(n,D) | The n1...nk-th columns of M have zero entries}, for some fixed {n1,...,nk} ⊂ {1, ..., n}" という形になるという主張は間違っている。
有限体上の1変数多項式環で Riemann 予想(の類似)が成立することの証明。任意の素数ベキ位数の有限体の存在を (実質的に) Riemann 予想の類似経由で証明するという迂遠なことをやっている。
GL(n,Fp) の Sylow p 部分群が容易に構成できることを用いて、一般の有限群の Sylow p 部分群を構成する。
オープンキャンパスで出した数学クイズの問題。解答をすぐに見たくない人は問題のみの文書をダウンロードして読んで下さい。
数学セミナー2009年8月号にオープンキャンパスについて記事を書いたので興味のある人はバックナンバーを取り寄せたり、図書館で探すなりして読んで下さい。
オープンキャンパス2009年の数学クイズ、問題のみ、解答を含む (循環小数、平方剰余の相互法則の応用を含む、1/12377、1/12401)
オープンキャンパス2008年の数学クイズ、問題のみ、解答を含む (RSA暗号が元ネタ、黒板の様子、正解者には飲み物を出した、結構正解者がいた、元気な高校生は素晴らしい!)
お持ち帰り問題の説明のために示した例に誤りがあった。「うなぎをたべたい」ではなく、「うなぐをたべたい」の暗号化の例になってしまっている。正しい例では数字が当然変わって来る。「うなぎをたべたい」をMaximaで計算するためのマクロ、お持ち帰り問題の解答、お持ち帰り問題をMaximaで解くためのマクロも公開しておく。
「数学の世界には法則性がある」という事実を数学クイズを通して感じ取って頂ければうれしいと思います。数学の世界の法則性を追求するという考え方は小学校時代の算数から最先端の数学研究まで数学のあらゆるレベルに適用可能です。数学の世界の法則についてもっと知りたいと思っている高校生は是非とも数学科に進学して下さい。
2012-05-11 長尾健太郎氏の東北大学での談話会と集中講義のノート、 Windows Journal で書いた手書きのノートとそのPDF化 NEW 2012-05-11