Colloquium

Monday 16:00 to 17:00 at Kawai Hall.

Upcoming

  • 2025.10.13(Mon)

    Speaker:Atsushi Kanazawa(Waseda University)

    Title: 一般化K3曲面とミラー対称性
    Abstract:
    Hitchinにより導入された一般化Calabi-Yau構造は, Calabi-Yau多様体の複素幾何とシンプレクティック幾何を統一的に扱うための枠組みである. 本講演では, K3曲面(の下部4次元微分多様体)の場合に, 一般化Calabi-Yau構造とミラー対称性や非可換幾何との関係を紹介する.

  • 2025.10.27(Mon)

    Speaker:Hiroyuki Fuji(Kobe University)

    Title: 2次元曲面の力学的単体分割と位相的漸化式
    Abstract:
    2次元量子重力理論の分配関数はKontsevich-Wittenによる安定曲線のモジュライ空間の交点理論やMirzakhaniによる境界つき双曲リーマン面のモジュライ空間のWeil-Petersson体積などを与えることが知られており,理論物理学と幾何学的が交差する対象として研究が進められていました. 本講演では,90年代に進展した2次元量子重力理論の弦の場の理論的定式化と位相的漸化式の関係についてレビューを含めて最近の研究について紹介します.本講演は真鍋氏(鳥取大)と綿引氏(東京科学大)との共同研究に基づいたものです.

  • 2025.11.10(Mon)

    Speaker:Shinichi Kobayashi(Kyushu University)

    Title: p-parity予想とその局所類似について
    Abstract:
    楕円曲線のBSD予想のmod 2版として, 有理数体上定義された楕円曲線のHasse-Weil L-関数の関数等式の符号が, Mordell-Weil群の階数の偶奇を表すというParity予想がある. Mordell-Weil群をp-Selmer群の階数に置き換えたのがp-parity予想で, Tate-Shafarevich群の有限性を認めると, parity予想とp-parity予想は同値になる. p-parity予想に関しては, Nekovar氏による結果など, すでに多くのことが知られているが, 最近講演者ら(A. Burungale, K. Nakamura, K. Otaとの共同研究)によってHilbert modular formのより一般的な場合など, 新たな進展ももたらされている. この進展はp-parity予想と関連した局所理論の発展によるところが大きい. 本講演では, p-parity予想を概説し, この最近の発展についても触れたい.


Past Colloquiums

AY 2025

  • 2025.4.14(Mon)

    Speaker:Shinya Okabe(Tohoku University)

    Title: 弾性曲線に対する障害物問題
    Abstract:
    曲線の曲率の二乗積分として定義される曲げエネルギーは、Euler による研究まで遡ることができる古典的な幾何学的汎函数であるが、様々な設定の下での変分問題や対応する勾配流など、今もなお興味深い研究対象であり続けている。例えば、異なる二点をそれぞれ端点とするグラフ表示された開曲線の中で、曲げエネルギーを最小化するものは二点を結ぶ線分であることは自明である。しかし、二点の間に障害物をおき、自明な最小解である線分を除外すると、この自明であった問題は興味深い研究対象へと姿を変える。実際、障害物を付した状況下では、その二点を端点とするグラフ表示された開曲線の中で曲げエネルギーを最小化するものは存在するか否かが障害物の設定に依存することは容易に想像されることである。本講演では、弾性曲線に対する障害物問題として2010年代後半頃から研究されてきたこの問題について、講演者の結果も踏まえつつ概説する。

  • 2025.4.28(Mon)

    Speaker:Keita Yokoyama (Tohoku University)

    Title: 算術の超準モデルと逆数学--証明能力の部分等価性分類--
    Abstract:
    数学の定理の強さを証明論的に評価する手法として,定理を証明するのに必要十分な公理の強さを特定するために,定理から公理の導出を試みる逆数学の手法がよく知られている.こうした評価の際には,特に計算論的な複雑性がその公理的強さを決定することが多く,そのため逆数学は計算可能性次数の視点から幅広い研究が行われてきた.一方,近年の証明論の研究では,証明能力の部分等価性の証明,いわゆる「保存拡大性」を用いた別軸による定理の評価方法が発展してきている.このような部分等価性の評価を得るためには形式化された定理の証明を細かく分析するだけでなく,算術の公理を満たす自然数と非同型な様々な構造,いわゆる超準モデルの拡大構造・部分構造の分析や自己同形の分析が役に立つ.ここでは逆数学の近年の発展を概観しつつ,2階算術の超準モデルのいくつかの性質を紹介し,そのモデル的な性質が導く部分等価性について議論する.またその帰結として得られる,ラムゼイの定理をはじめとした組み合わせ命題の証明論的評価について,いくつかの結果も紹介する.

  • 2025.5.12(Mon)

    Speaker:Dumaz Laure(Laboratoire du DMA, ÉcoleNormale supérieure)

    Title: Anderson Hamiltonian and random matrices.
    Abstract:
    In the 50s, Wigner proposed his famous random matrix model to describe the repulsion observed between energy levels of heavy nuclei. Around the same time, Anderson independently proved a localization phenomenon for electrons, now named “Anderson localization” for some Schrödinger operators. This talk will mention some of the major conjectures of those two fields and explain certain recent results exploiting the links between the two theories.

  • 2025.5.19(Mon)

    Speaker:Yuta Kusakabe (Kyushu University)

    Title: Levi問題から岡の原理へ、そして新たなLevi問題へ
    Abstract:
    岡潔が解決した多変数函数論の三大問題「近似問題、Cousin問題、Levi問題」のうち、最後に解かれたLevi問題は、Stein領域を境界の擬凸性で特徴付けるという難問中の難問であった。 Cousin問題解決の際に発見されたホモトピー原理「岡の原理」は、このLevi問題解決を礎として、GromovやForstneričらによって近似問題も含む岡多様体の理論に発展した。 本講演では、Levi問題の解決から岡多様体論への発展を概観し、岡多様体論から生じる新たな問題「双対Levi問題」に関する結果を紹介する。

  • 2025.6.16(Mon)

    Speaker:Norihisa Ikoma(Keio University)

    Title: 非局所非線形項を伴う$L^2$正規化解の存在問題
    Abstract:
    $L^2$ 正規化解の存在問題は線形Schrödinger方程式に対する固有値・固有関数を求めるときに登場する.また非線形Schrödinger方程式に対しても$L^2$ 正規化解の存在問題は近年活発に研究が行われている.本談話会では線形Schrödinger方程式と局所非線形項を伴う非線形Schrödinger方程式に対する問題について概観し,非局所非線形項を伴う場合の結果を紹介する.本講演はKrzysztof Myśliwy氏(ワルシャワ大学)との共同研究に基づく.

  • 2025.6.23(Mon)

    Speaker:Hiroshi Fujita(Ehime University)

    Title: 選択公理を弱めた世界での関数解析
    Abstract:
    選択公理ACを従属選択公理DCに弱めた集合論においてはハーン・バナッハの定理が証明できないので、数列空間 $\ell^1$が回帰的であるとしても矛盾が起きない。この結果と、関連する話題をお伝えする。

  • 2025.7.14(Mon)

    Speaker:Ayato Mitsuishi(Fukuoka University)

    Title: 安定分布付き直線の直積からなる列のスケーリング問題
    Abstract:
    確率論の極限定理の観点から安定分布は重要である。安定分布を備えた直線の $\ell_p$ 直積を考える事によって測度距離空間の列を得るが、安定分布の指数と p の兼ね合いによってはこの列は「爆発」してしまう(専門用語で無限消散)。我々はこの「爆発」をおさえる為のオーダーを決定し、リスケールされた列の極限を考察した。この話題は江崎氏(大分大学)、数川氏(東京都立大学)との共同研究に基づく。

  • 2025.7.28(Mon)

    Speaker:Goro Akagi(Tohoku University)

    Title: 有界領域における Fast Diffusion 方程式の解の漸近形について
    Abstract:
    プラズマ拡散のモデルに由来する Fast Diffusion 方程式に関しては, 解が有限時間で完全に消滅する特異拡散が生じることが知られている. 1980 年頃, J.B. Berryman と C.J. Holland は有界領域上の Cauchy-Dirichlet 問題を考え, 解の消滅レートを特定し, さらに解の漸近形について考察した. その後, さまざまな研究が後に続いたが, 特に 2021 年の M. Bonforte と A. Figalli の論文は, 解の漸近形への収束性に関する定量的解析について新たな展開をもたらした. 本講演ではこれまでの研究を概観し, 特にエネルギー解の漸近形付近に於ける挙動の定性的・定量的解析について説明する.

  • 2025.10.6(Mon)

    Speaker:Shu Kawaguchi(Kyoto University)

    Title: 代数多様体のトロピカル化
    Abstract:
    代数多様体をトロピカル化すると,多面体構造をもつトロピカル空間が構成される.このトロピカル空間は,しばしば代数多様体の「組合せ論的な影」と形容される.トロピカル化にはいくつかの方法があり,この「影」の性質を調べることで,元の代数多様体の性質が導き出される場合がある.談話会では,講演者の結果(山木壱彦氏との共同研究)も交え,代数多様体のトロピカル化について概説する.


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