「一体公教育は何をやっていたのだ,と思う. 」
というのが,
教育の現状に関して 2 年前に持たれた会合での, 座長(上野健爾京大教授)
の言葉であった.
数学会有志によるその会合の末席で, 私は問題の深刻さにうちひしがれる思いであったが,
今も同じ気持ちである. 専門的知識と研究に基づくことなく,
また財政補助も十分になされず行われてきた改革の実体は,
恣意的な制度変更にすぎなかったのではないか.
文部省選定の審議会にも優れた人材はおられるかもしれないが, より地道な基礎
研究と公開された論議に基づいてはじめて, 現象の理解と効果的対策が
可能になるだろう.