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審議会のありかたとその議論

教育の大きな方針をきめるのは中教審(中央教育審議会)である.教育に本来非専門家である文部官僚が中心となって, 非常勤の非専門家主体の会議を運営し, それで良くなるほど教育は簡単だろうか. 政策に専門家の意見が反映されない/できない仕組みで は問題であり, 数学の時間が削減された現在の教育課程には, 私はこれまで数学を必要としたことなどない, という委員の発言が影響したという. [12].

発言もさることながら, これまで 現状認識について統計などを用い, 十分な検討されたかも 疑問だといわれる [4]. 委員という立場こそ実は数学が必要なのではないか. また 最近教育実習が長期化されたが, 委員の方は半年でも教壇に立ってみなくては, 実体から離れた改変にな るのではなかろうか.

委員の分野のバランスも心配である. 中教審では伝統的に理系の方が少ない. ノーベル賞の方がたとえ一人二人入っても, 委員の構成は時間数に直接反映しているように見え,これが数学や理科では実験や計算の練習が減り, わからない=嫌われる原因ともなる.高校の家庭科や道徳は, 数学や理科の理解が減っても 全国的にやるべきことだろうか. 「義務教育 3 日論」を示した 先の「21 世紀日本の構想懇談会」でも, 理系の方はわずか一人だった.

現在の審議会は, 悪くいえば「いいっぱなし」である. 委員の方が学校を訪問するな どの話もあまり聞いたことがない. そもそも委員方のうち, 今の指導要領で教える公立 校に, 自分の子供を喜んで通わせる方がどれだけおられるのだろう. 委員の子供 が全て私立学校に通うようであれば, どこかおかしいだろう.



Koji HASEGAWA
Tue Mar 21 14:32:46 JST 2000