上のようにして得られる臨界レベルの理論は、 楕� 曲線上の(0 点または 1点)相関函数の場合として楕� 関数ポテンシャルをもつ Calogero 模型を含み (江口-大栗の方程式の類似)、 また n 点の場合は Gaudin 模型とよばれる 量子可積分系が現われる。一般には 上の微分方程式系であるこれらに対する古典系は何だろうか。 対応する古典理論を考えるには、量子力学の対応原理(の逆)によりシンボルをとれば良い。菅原形式の作用はアフィン・リー環の作用の二次式で与えられるが、その共形ブロックへの作用の シンボルは g に値をとる X 上のゲージリー環の切断の不変式である。 これは微分幾何で知られていた Hitchin 系のハ� ルトン関数に他ならない、 というのが Drinfeld の注意で、すでに「先走って」書いたことである。 Hitchin 系は 主束 B の変形方向を記述する X 上の g 値微分形式 =「Higgs 場」の不変式が 上の可換な 個のハ� ルトン流を定めるという ものである。 [12] これを量子化しようとすれば可換な微分作用素を作る問題になり、それを与えるのが 先に述べた臨界レベル中心元の共形ブロックへの作用 というわけだ。 臨界レベルでの中心元は菅原形式の高次類似で生成される。 q が一般なら表現論は量子展開環においても同様なので、高次菅原形式の q 類似もあるだろう。 結果は、格子模型においては行転送行列を fusion してトレースをとった、 可換転送行列として実現される。 逆に言えば可換転送行列は原理的に アフィン量子展開環の臨界レベル特有の 中心元から生ずる: ループ群の余接束の q 類似でDrinfeld-Sokolov リダクションを行ない、 中心元を Drinfeld 生成元で表示すれば良い 。 格子模型がこのように古典的な可積分系の延長上にある と認識できた意義は大きいであろう。
結局、古典・微分・差分のどの場合とも、問題の 可換作用素はカレント(ゲージ・リー環の切断)の(相関関数への微分作用の) (正規積を用いた)不変式で書ける。 微分版におけるこのカレントがヒッグス場の量子化であり、 格子模型における行転送行列(L 作用素)は その差分化といえる。これが表題の等式だが、元々 Baxter であり Faddeev であり Hitchin であったことを思うと時代の進歩(とDrinfeld の慧眼)を感じるところである。
問:面模型の高種数版はあるだろうか ?