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数学の本はどう読むの?
数せみ1998年4月号・特集「数学ガイダンス」のための原稿
長谷川浩司

編集部からこの表題でといわれて、ううむと思ってしまいました。 というのも、私が数学の本を読むのがあまり得意でないからです。 数学の本は、通常書店に並んでいる本の中で、専門書と いわれるものに限ってみても、やっぱり難しい。 まず、通読することが困難です。困難というのが不適当なら、 非常に時間がかかるのが普通です。 精読すれば、一日に1 ページもすすまないことさえ良くあります。 世に速読術指南という商売もあるようですが、 その先生に標準的な数学書を持っていって何が書いてあるか 瞬時に要約せよと迫っても、意味ある答えはまず無理でしょう。 細部をとばしつつ要点をおさえ、本質を直観的に理解できたら、 もういうことはありません。 それでも、何の因果か(この文章を読んでまで!)数学書を 読もうという気合いのはいった人は、 単位・研究・仕事・教養?等々のため 数学書を読もうと志された方でしょうか。 あるいは、数学書がわからないというが、いったいどんなに わからないのか?というコワイモノ見たさの方、またかつて読むことを断念するに至った原因は彼我のどちらにあるのか、 というモットモな疑問をお持ちの方でしょうか??

かくいう私も、学生のころは それは悲惨な「ボロボロ」状態でした。 そのことを踏まえて、拙い経験の下、 まずは「どう読むか」以前に「どうやって読む本を選ぶか」からはじめましょう。 とりあえず、読者は 大学の新入生であると仮定させていただきます。





Koji HASEGAWA
Wed Nov 24 01:23:30 JST 1999