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転送行列 = Lax 行列 = Higgs 場

臨界レベルから得られる上の量子可積分系はKZ方程式[22] の特殊な一般化といえる. で 楕 曲線上の1点函数の場合を考えよう. 楕 曲線 のサイクル に沿って, 対角行列 ()の 貼り合せにより階数 n の束 B を定める.テータ 函数

()を用いると, の相関関数への作用は, のとき

と書け, はz においた表現できまる. これより z による定数を除いて

となり, これは楕  Calogero 系である. はKrichever による Lax 行列を再現している.

一般のリーャ当ハ X のときは何が得られているだろう.(3) で zX を動き正規積 :: がない場合, この不変式は微分幾何で知られていた Hitchin 系のハ ルトニアンの母関数に他ならないというのが Drinfeld の注意で, これが 「先走って」書いたことだった. Hitchin 系は 主束 B の変形方向を記述する X 上の 値微分形式 (Higgs 場)の不変式が 上の可換な 個のハ ルトン流を定めるという ものである. [21] 量子化しようとすれば可換な微分作用素を作ることになるが, それを与えるのが臨界レベルの菅原形式 というわけだ. Lax 行列の差分化は行転送行列と考えられ, その不変式(羃のトレース)が Baxter の可換転送行列 であった. 結局, 古典系・微分系・差分系(格子系)のどの場合とも, `カレント'の不変式として 可換作用素が得られており, 系がしかるべく拡張されたのだと納得できる.差分版で高種数の場合をはじめ課題は多いが, これが本節の表題である. 元々 Baxter であり KricheverでありHitchinだと思うと感慨深い.



Koji HASEGAWA
Thu Aug 17 14:28:33 JST 2000