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受賞者 雪江明彦 教授 2009年度代数学賞受賞
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本専攻の雪江明彦教授が、「概均質ベクトル空間の数論的・ 幾何学的 研究」により2009年度日本数学会「代数学賞」を受賞されまし
た。 1998年度から始まった代数学賞は、群論・環論・整数論・代数 幾何 などの代数学の進展に著しく貢献した研究者に贈られる賞です
。 本学では、2006年度の花村昌樹教授につづき、2人目です。東京大学に おいて開催された日本数学会2009年度年会の代数学分科会にて
、授賞式 と受賞特別講演が行われました。
最も基本的なリーマン・ゼータ関数の解析的性質から素数の 分布の 様子に関する素数定理が導かれます。雪江教授は、概均質ベク
トル 空間のゼータ関数の解析的性質から、様々な数論的な対象の分 布の 様子を明らかにしました。雪江教授は、オクラハマ州立大学の
D.Wright氏やA.Kable氏らとともに、概均質ベクトル空間の 有理軌道空間とガロア表現や四元数環などの代数的な対象の対
応を与え、 例えば、導手を上から抑えたときの一つの平方根を固定した双 二次体の
類数と単数基準の積の密度や直交群の非正規玉河数の密度など を 決定しました。また4次体の密度の決定にも貢献しています。
これらの仕事と少し違った方向では、Oppenheim予想を解決 した Margulisの仕事を概均質ベクトル空間の立場から解釈し、格子
点での 値が実数の集合の中で稠密になるような高次形式の例も構成し ています。
雪江教授の研究は、数論的不変式論というべき数論的・幾何 学的視点 によるもので、その独創的手法は数論の発展に大きく貢献して
います。
今後の更なる展開が期待されています。
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