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受賞者 
  本多宣博 准教授  2010年度幾何学賞受賞

>>日本数学会 >>幾何学分科会

 本数学専攻の本多宣博准教授が,「自己双対多様体のツイスター空間の研究」により,2010年日本数学会幾何学賞を受賞されました.本学では,5人目の受賞です.なお,本多氏は2005年日本数学会建部賢弘賞特別賞「ツ イスター空間と自己双対4次元多様体」も受賞されております.幾何学賞受賞式は,名古屋大学において開催された日本数学会2010 年度秋期総合分科会の幾何学・トポロジー合同会場にて行われました.
 本多氏は,自己双対計量をもつ4次元コンパクト向き付け可能多様体に同伴するツイスター空間に関する重厚で完成度の高い研究を行っています. 代数幾何学で扱えるコンパクトケーラー多様体と異なり,非ケーラー多様体のよいクラスの設定は容易ではありませんが,Penrose により導入されたツイスター空間は,コンパクトな場合にはそのほとんどが非ケーラーであることが知られています.Y.S.Poon は複素射影平面の連結和 2P2 上のツイスター空間を,射影代数多様体から有限回のブローアップ,ブローダウンを行う事で得られるMoishezon 多様体として明示的に構成しました. A. Floer, S.K.Donaldson-R.Friedman はmP2 上に自己双対計量の存在を示し,C.Taubes が一般化しています.他方Campana が,ツイスター空間がMoishezon 多様体となるコンパクト4次元多様体は,球面かmP2 に同相であることを示しことから,mP2 上のツイスター空間が最も興味を持たれています.これがMoishezon となる場合に,それらを具体的に構成することは,複素幾何的な対象であるMoishezon 多様体に微分幾何学的な意味付けを与える点で重要であり,逆に自己双対計量に関する微分幾何学的な問題を複素幾何的な方法で解く道が開かれます.
 自己双対計量は,Poon,C.LeBrun,D.D.Joyce により構成され,それぞれツイスター空間がMoishezon 多様体であることが知られていましたが,本多氏はこれらとは全く異なる観点で,組織的に新しいツイスター空間の系列を具体構成しました.また,与えられた複素多様体がツイスター空間であるかという未解決問題を部分解決し,3P2 上のスカラー曲率が正の自己双対計量で非自明なキリング場をもつもののモデュライ空間を決定 した上でmP2 に一般化し,Poon の分類を完成しました.また,mP2 上 のJoyce 計量に対するツイスター空間,およびC* 作用のあるMoishezon ツイスター空間の大量の新しい例を組織的に構成しました.
 今後も,半反標準系が空または0次元であるようなMoishezon ツイスター空間を調べること,Moishezon ツイスター空間のモデュライ空間の大域構造を調べること,構成したツイスター空間に対応する自己双対共形構造を具体的に記述することなどの研究の展開が期待されています.

研究論文:本多氏のホームページ参照
http://www.math.tohoku.ac.jp/ honda/index.html


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