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過去の談話会


川井ホール(数理科学記念館)

 過去の記録


  
2013(平成25年)年度 談話会情報
   


毎週月曜日、16:00 から 17:00 まで、理学部数理科学記念館(川井ホール)にて行ないます。
15:30 から 16:00 はお茶の時間です。川井ホールロビーにお茶の用意がしてあります。
なお、1日に2つの講演がある場合、1つ目は 15:00 から 16:00、2つ目は 16:30 から 17:30、 お茶は 16:00 から 16:30 となります。

◇前期
4月15日(月) 講演者:宮岡 礼子 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: 超曲面論とその後
【概要】
波面や等温面など時間発展する超曲面族のうち,主曲率一定超曲面という基本的なものの分類が,球面上では未だ終わっていない. 平均曲率流で低次元の部分多様体に収束するなどのよい性質をもつこれらの超曲面論の最近の進展と,関連する話題を紹介する.



4月22日(月) 講演者:楫 元 氏 (早稲田大学)
講演題目:接的退化曲線について
【概要】
空間内の曲線 C が接的に退化 (tangentially degenerate) しているとは, C の一般の点 P での接線が P 以外の点で C と再び交わること とする. 直感的には「C が接的退化しているならば線形的にも退化して, (2次元) 平面に 含まれるのではないか」と予想される. この問題は古くは1931年, A. Terracini の文献に現れている. 本講演では,Terracini の興味深い例を紹介しつつ接的退化曲線について論じる.



4月29日(月) 祝日



5月6日(月) 祝日



5月13日(月) 講演者: 前川 泰則 氏 (東北大学大学院理学研究科)   
講演題目: 2次元半空間Navier-Stokes方程式の非粘性極限問題
【概要】
 非圧縮性粘性流体が非粘性極限でどのように振舞うかという問題は, 高Reynolds数の流体を理解する上で基本的かつ重要な問題である. しかしながら,流れの領域が非自明な境界を持つ場合には,一般には解析の 困難な境界層の形成を考慮しなければならず,そのため非粘性極限が十分 広い枠組みにおいて数学的にどのように記述されるかという問題は,大きな 未解決問題となっている.本講演では,流体の渦度場の解析による非粘性 極限問題へのアプローチと近年得られた成果について概説する.



5月20日(月) 講演者: 桑田 和正 氏 (お茶の水女子大学)
講演題目: 曲率次元条件と熱分布
概要】
Riemann多様体上,「実数KがRicci曲率の下界」には様々な同値条件が 知られている.中でも熱分布を用いるものは,関数不等式との関係で 詳しく調べられてきた.更に空間の次元(の上界)Nの情報を加え精密化すると, 幾何学・解析学に幅広い応用を持つ.近年,Ricci曲率に関する各条件について, それらの同値性が特異性を許容する測度つき距離空間上へと拡張された. この講演ではその結果を概説し,更に,次元の情報を加味した場合について 最近の結果を紹介する.



5月27日(月) 講演者: 三沢 正史 氏 (熊本大学大学院自然科学研究科)  
講演題目:pエネルギーに対する熱流の正則性について
【概要】
 Dirichletエネルギーを一般化したpエネルギーに対する熱流を考える. 未知関数はユークリッド空間の領域から滑らかなコンパクト部分多様体 への写像とする. 熱流を記述する方程式はp調和作用素を含む 非線形退化特異放物型方程式系である. このpエネルギーの熱流の正則性条件について最近得られた結果を報告する.



6月3日(月) 講演者: 楯 辰哉 氏 (東北大学大学院理学研究科)  
講演題目:一次元量子ウォークの漸近挙動
【概要】
 量子ウォークとは、通常のランダム・ウォークの非可換類似物であり、 1993 年に量子物理学において Aharonov-Davidovich-Zagury により 提唱され、その後 2000 年代前後にコンピュータ・サイエンスの分野で 再発見された概念である。現在、量子物理学、コンピュータサイエンス、 そして確率論において活発に研究されている対象である。 しかし、実際には一次元の量子ウォークでさえ、その詳しい挙動や定性的な 性質は、ほんの数年前まで分かっていなかったのが現状であった。 本講演では、一次元量子ウォークの様々な局所漸近公式を解説し、 それらが示唆する「量子論の離散モデル」としての量子ウォークの側面 ならびに未解決問題を説明する。



6月10日(月)  講演者: 高田 了 氏 (東北大学大学院理学研究科)  
講演題目:回転流体に現れる分散性の数学解析
【概要】
 大気や海洋を代表とする大規模流体において,回転の効果が 流れの様相に及ぼす影響を,偏微分方程式の観点から考察する. 回転に対応した歪対称作用素から生成される時間発展群に対して, 最適な分散型評価および最適な時空積分評価を紹介する. またその応用として,Coriolis 力付き非圧縮性 Euler 方程式 に対する長時間可解性の結果について述べる.



6月17日(月) 講演者: 長田 博文 氏 (九州大学) 
講演題目:
Ginibre interacting Brownian motions
【概要】
 Ginibre interacting Brownian motionsとは、2次元Coulomb potentialで相互作用する無限個のブラウン運動粒子系の運動を記述する確率力学で、無限次元確率微分方程式の強解として構成することができる。2次元Coulomb potentialは、2次元空間において強烈な遠距離相互作用を持つが、この講演では、それが平衡分布および付随する確率力学であるGinibre interacting Brownian motionsの力学的性質にどのような影響を与えるかについて講演する。



 6月24日(月) 講演者: 村上 斉 氏 (東北大学大学院情報科学研究科) 
講演題目:結び目の体積予想について

【概要】
 自然数 N に対して,結び目の色付きジョーンズ多項式と呼ばれる不変量が 定義される.この不変量は複素パラメータ q のローラン多項式に値を持つ. 各 N に対し, q に 1 の N 乗根を代入することで,複素数値の不変量が 得られる.体積予想とは, N が大きいときのこの不変量の漸近挙動から, 結び目補空間の体積が得られるだろうというものである.本公演では, この予想について解説する.



7月1日(月) 講演者: 土屋 昭博 氏(東京大学)
講演題目: Log共形場理論と拡大W代数
【概要】
 共形場理論はB.P.Z.により1984年にヴィラゾロ代数極小表現を使って展開され た。そこでは、N点関数を特徴づける確定特 異点型ホロノミック系(B.P.Z.方程 式)が導入され、共形場理論の基本的性質はほぼ完全に表れた。  近年、数学と物理学の双方からN点関数にLog型の関数が表れるLog共形場理論 が表れ、注目を浴びている。  ここではLog共形場理論の展開に必要な頂点作用素代数の構成とその表現論に ついて述べる。



 7月8日(月) 講演者: 正宗 淳 氏 (東北大学大学院情報科学研究科) 
講演題目:ディリクレ形式の保存則と再帰性、及び、関連する話題

【概要】
 ディリクレ形式は、対応する半群が定数関数を普遍とするとき「保存的」と呼ばれ、 また、対応するグリーン作用素が無限に発散するとき「再帰的」と呼ばれる。 例えば、ユークリッド空間のディリクレ積分から定まるディリクレ形式は如何なる 次元においても保存的であり、また、次元が1および2の場合のみ再帰的である。 完備リーマン多様体の場合は、保存性と再帰性は空間の無限遠における体積増大や 曲率と密接に関係することが、GaffneyやAzencottoらの研究により明らかにされ、 その後、Yau、Grigoryan、Davies、Takeda、Sturmらを中心に様々な手法が開発され 活発な研究が行われている。近年、グラフ上のディリクレ形式や非局所型ディリクレ 形式を含む、一般的なディリクレ形式の保存性と再帰性に関する新たな発展があり、 本講演ではそれを中心に関連する話題を紹介する。



 7月16日(火)
13:30--
講演者: 小野 肇 氏 (埼玉大学) 
講演題目:トーリックケーラー多様体のトーラス軌道のハミルトン体積最小性について

【概要】
 ラグランジュ部分多様体のハミルトン体積最小性問題 は等周問題の一つの一般化として興味深い問題である。 しかし、ハミルトン体積最小ラグランジュ部分多様体の例はほとんど知られてい ない。 この講演では、回転体における等周問題へのアプローチを手掛かりに、 トーリックケーラー多様体のトーラス軌道のハミルトン安定性および ハミルトン体積最小性問題について解説する。




  7月26日(金)

大談話会
(ポスター)
復旦大学との国際交流事業
15:00−16:00
講演者:Zhen Lei 氏 (復旦大学)
講演題目:Incompressible Elasticity in 2D
【概要】
 We consider the Cauchy problem for 2-D incompressible isotropic elastodynamics. Standard energy methods yield local solutions on a time interval [0,T/ε], for initial data of the form ε U0, where T depends only on some Sobolev norm of U0. We show that for such data there exists a unique solution on a time interval [0, exp T/ε], provided that ε is sufficiently small. This is achieved by careful consideration of the structure of the nonlinearity. The incompressible elasticity equation is inherently linearly degenerate in the isotropic case; in other words, the equation satisfies a null condition. This is essential for time decay estimates. The pressure, which arises as a Lagrange multiplier to enforce the incompressibility constraint, is estimated in a novel way as a nonlocal nonlinear term with null structure. The proof employs the generalized energy method of Klainerman, enhanced by weighted L2 estimates and the ghost weight introduced by Alinhac.


16:30−17:30
講演者:Zhi Lu 氏 (復旦大学)
講演題目:On orbit configuration spaces of equivariant manifolds

【概要】
 We try to establish a link of orbit configuration spaces with toric topology. We carry out our work by putting some main equivariant manifolds of toric topology into the framework of orbit configuration spaces, especially for the cases of small covers and quasi-toric manifolds. In this talk, we shall introduce some results on algebraic topology and homotopy types of orbit configuration spaces for small covers and quasi-toric manifolds (a joint work with Junda Chen and Jie Wu).




◇後期
10月21日(月) 講演者:柳田 英二 氏 (東京工業大学)
講演題目:単独反応拡散方程式に見られる複雑な解の挙動
【概要】
 単独反応拡散方程式においては, 拡散項を無視した常微分方程式の解の挙動は単調なものに限られる. 一方,拡散は解を自明な方向に向かわせる効果を持つため, 適当な条件のもとでは,解の挙動は単純になることが示される. しかしながら,状況によっては,単純な非線形性と拡散の 相互作用により,きわめて複雑な解の挙動が見られる. この講演では,このような例のいくつかについて紹介し, 複雑な解の挙動を生み出すメカニズムについて解説する.



11月6日() 
13:30〜

お茶の時間は
終了後です。
講演者:金子 昌信 氏 (九州大学)
講演題目:有限多重ゼータ値について
【概要】
 素数 p に対し,多重ゼータ値を定義する和を,分母に p が出る 直前で打ち切って得られる有理数を mod p したものの考察が Hoffman, Zhao などに よってなされているが,Zagier は最近これをすべての p についてまとめて考える 枠組みを提唱した. そこでは古典的な場合に類似の関係式や次元予想が考えられる 上に,古典的な多重ゼータ値がなす代数とのはっきりした同型対応が予想できることが 分かった. これらについての概観をお話しする. (Don Zagier との共同研究)



11月12日()
大談話会

大談話会HP
理学研究科数学専攻・情報科学研究科数学教室・WPI-AIMRとの共催
(1)15:00-16:00
講演者:Benoit Collins 氏 (WPI-AIMR)

講演題目:Free probability and quantum information theory
【概要】
 Free probability was introduced in the early eighties by Voiculescu. It was initially a field at the intersection of non-commutative probability theory and operator algebras. Soon it evolved into a very versatile tool with deep connections to random matrix theory, combinatorics, and many applications. Today, we will discuss a recently uncovered application of free probability, to quantum information theory. In particular, we will explain why free probability allows to understand in depth the celebrated random counter-examples to the minimum output entropy additivity problem for quantum channels.

(2)16:30-17:30
講演者:原田 昌晃 氏 (情報科学研究科)
講演題目:組合せ構造としての符号理論
【概要】
 符号理論 (coding theory) は 1948 年の Shannon の論文 に端を発しており, 一言で説明すると誤りが発生する可能 性のある通信路において, その誤りをいかに効率的に訂正することが出来るかを考えている. 通信路の数理モデルに おいて, 符号化の部分に登場する組合せ構造が code (符 号) であり, 数学に限らず, 色々な立場からの研究が行な われている. 本講演では, 特に self-dual code に注目して, 講演者自 身の結果を交えながら, どのような研究が行われてきたのかを非専門家向けに紹介したい.



11月18日(月) 講演者:加藤 毅 氏 (京都大学)
講演題目:Spectral coincidence between lamplighter and BBS automata
【概要】
 数理物理に現れる非線形偏微分方程式のダイナミックスを、 トロピカル幾何学に現れるスケール変換を施すことで箱玉系BBS)が得られる。 それをオートマトンの図式であらわしてみると、幾何学的群論に現れるランプラ イター群と形が類似しているように見える。ここでは変換作用素のスペクトルが 両者ともに一致していることを見る。このようにダイナミックスの骨格を取り出 すことで、もともと異なる対象の構造類似性を見いだす。



 11月25日(月) 講演者:笹本 智弘 氏 (千葉大学)
講演題目:1次元Kardar-Parisi-Zhang方程式

【概要】→pdf



12月2日(月) 講演者:納谷 信(名古屋大学)
講演題目:離散群の剛性への幾何学的アプローチ--個々の群からランダム群へ--
【概要】
 離散群が剛性をもつとは、この群の空間へのよい作用が極めて 限定される、あるいはそもそもよい作用がまったく存在しない状況をいう。具体 的には、Margulis超剛性定理やKazhdanの性質(T)(Hilbert空間に対する固定点 性質と同値)がこのような状況を表現している。  この講演では、調和写像の離散類似を用いることにより、離散群の超剛性や非 正曲率距離空間に対する固定点性質を導く研究(おもにGromov、井関、近藤、講 演者、Naor, Silbermanによる)について紹介する。個々の群の場合から始めて ランダム群の場合へと進み、それに伴い、研究手法も進化する様子を紹介する。



12月9日(月) 講演者:渡辺 治 氏 (東京工業大学)
講演題目: 計算複雑さの研究と最近の話題
【概要】
 最近の計算複雑さの理論では,計算の限界を 解明するための様々な研究が進められてきた. もちろん,有名な P != NP 予想の解決への道のりは, まだではあるが,非常に高度な技法も数多く発見されている. これらは「計算」とは何かを解明し,人類が「計算」をより 有効に使うために重要な手がかりを我々に与えてくれる. こうした最先端の研究の動向について紹介する. 分野外の方にも研究の面白さが伝わるような解説を試みたい.



1月6日(月) 講演者:田中 太初 氏 (東北大学大学院情報科学研究科)
講演題目:距離正則グラフ理論の紹介
【概要】
 距離正則グラフは2点等質空間の有限版であり、有限群論、 表現論、有限幾何、符号理論、直交多項式、組合せ最適化理論等、 実に様々な分野と密接に関連している。本講演では、距離正則 グラフの理論を、 主に付随する半単純C-代数の表現の観点から 概説し、最先端の研究の動向を紹介する。



1月27日(月) 講演者:坂口 茂 氏 (東北大学大学院情報科学研究科)
講演題目: 3次元ユークリッド空間内の不変な等温面
【概要】
 3次元ユークリッド空間内の不変な等温面の分類について, R. Magnanini 氏 (Firenze)と D. Peralta-Salas 氏(Madrid)との 共同研究で得られた最近の結果を紹介する。 3次元ユークリッド空間内の領域 Ω を考える。Ω の境界は連結で 非有界であり, Ω の境界と Ω の外部の境界が一致するとする。Ω の 補集合の特性関数を初期値とする熱方程式の Cauchy 問題の解が Ω の 内部に不変な等温面 Γ を持つとき, Ω の境界は超平面か円柱面に限る ことがわかった。ここで, Γ が不変な等温面であるとは任意の時刻で Γ が等温面になっていることをいう。






 
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