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  過去の談話会


川井ホール(数理科学記念館)

 過去の記録

  2010(平成22)年度 談話会情報



  4月12日 (月)
講演者:古宇田 悠哉 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: 絡み目の色付き Turaev-Viro不変量 と位相的場の理論

[概要] 向き付けられた 3 次元多様体内の有向絡み目に対し, 色付き Turaev-Viro 不変量とよばれる不変量が Barrett, Garcia-Islas,Martins の 3 氏により導入された. この不変量は,イニシャルデータとよばれる代数的な情報と, 絡み目の各成分の"色"が与えられるごとに定義されるものであり, 絡み目の補空間のトポロジーや,多項式不変量では測りきれない 情報を拾うことが知られている.本講演では,この不変量の概要と, 2+1 次元の位相的場の理論の観点からどのように計算されるかを解説する.

4月19日 (月)
講演者:本多 宣博 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: ツイスター空間の幾何学

[概要] ツイスター空間は4次元リーマン幾何学に由来する3次元複素多様体であるが、 そのほとんどは非代数的であり、構造を調べることは原理的に難しい。 しかし近年、詳細な構造解析が可能なコンパクト代数的ツイスター空間が 数多く発見された。本講演では背景となる微分幾何的な事項の説明から始めて、 この分野の現状について解説したい。


4月26日 (月)
講演者:会田 茂樹 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: 無限次元空間上のシュレディンガー作用素の準古典極限

[概要] 無限次元空間上のシュレディンガー作用素の典型例は、 場の量子論に現れるハミルトニアンである. この講演では、有限次元空間でのシュレディンガー作用素の スペクトルの準古典極限の基本的な話から始めて、 構成的場の量子論に現れるハミルトニアンや、 リーマン多様体上のループ空間などで定義される作用素の スペクトルの準古典極限での振る舞いについて説明する.


5月10日 (月)
講演者:長岡 浩司 氏 (電気通信大学)
講演題目: 情報幾何学について

[概要] 情報幾何学では、確率分布を点とする多様体を考察の対象とする。 このような多様体には「フィッシャー計量」と呼ばれる一つのリーマン計量と 「α-接続」(αは任意の実数)と呼ばれるアファイン接続の1径数族が自然に 導入される。本講演では、これらの微分幾何構造が確率論や統計的推測理論などに 関わってくる必然性をいくつかの観点から説明する。
また、考察の対象を量子状態を点とする多様体にまで拡げるとき、 何が変わり何が変わらないのか、という問題についても簡単に触れる予定である。


5月17日 (月)
講演者:藤原 大輔 氏 (学習院大学)  
講演題目: 大次元空間での停留位相法とそのファインマン経路積分への応用

[概要] n-次元ユークリッド空間上で、非退化な位相関数をもつ振動型の積分の値を近似する停留位相法において、その剰余項の評価は、一般には、次元nが無限に大きくなるときに、nにどのように依存するかは分からない。 しかし、簡単な場合のいわゆるファインマンの経路積分の時間分割法から生ずる振動積分については、その剰余項の様子がある程度分かる。 そしてそのことを使って、ファインマンの経路積分を論ずることが出来る。


5月24日 (月)
講演者:大渕 朗 氏 (徳島大学)
講演題目:超楕円曲線の平面結節モデルについて

[概要] 一般に全ての代数曲線は平面結節モデルを持つ、というのは大変有名な事実である。 特に超楕円曲線も平面結節モデルを持つ。そこで、今回、平面結節モデルを与えた際に、 それがどのような条件を満たせば超楕円曲線になるか、についての幾つかの事実を述べる。


5月31日 (月)
講演者:長澤  壯之 氏 (埼玉大学)
講演題目: 制約条件付き勾配流について

[概要]制約条件付変分問題を扱う際、制約条件が独立でなくなる点の 扱いには注意が必要になる。付随する勾配流について言えば、 初期点においては、制約条件が独立であっても、勾配流に沿っ た時間発展に伴い、有限時間内に条件が独立でない点に到達す るのか否かを議論する必要がある。Willmore汎関数に制約条件 を設けた変分問題(Helfrich変分問題)を例として、この問題に ついての既知の結果と、未解決問題を紹介する。


6月7日 (月)
講演者:國府 寛司 氏 (京都大学)
講演題目: 力学系の計算機援用解析の最近の進展

[概要]力学系の様々な振舞いに対する計算機の援用した数学的に 厳密な解析の最初の試みと思われる Sinai-Vul による Lorenz 方程式の周期解の存在証明の研究がなされてから既に40年近くが経過した. この間,計算機の急速な発達と普及,特に精度保証付き数値計算が簡便に 利用できるようになり,力学系の解軌道の様々な振舞いや分岐構造などの 計算機援用証明の方法が大きく進展している.
この講演では,そのような最近の動向を,主として, 位相的方法と精度保証付き数値計算の融合による力学系の大域的構造 についての計算機援用解析に重点を置きつつ概説する.


6月14日 (月)
講演者:河内 明夫 氏 (大阪市立大学) 
講演題目: 空間グラフのイミテーションの理論

[概要] 20年前に次数1の頂点を持たない空間グラフ $(S3,\Gamma)$ を 双曲的な空間グラフ $(S3,\Gamma^*)$ へ変換する方法を発表した。 この変換法は, 同相写像に類似したいくつかの性質を持っている AIDイミテ―ション写像と呼ばれる写像 $q:(S3,\Gamma^*)\to(S3,\Gamma)$ を伴う。この講演では、この変換法の結び目理論へのいくつかの応用について 説明する。


6月21日 (月)
講演者:芥川 和雄 氏(東北大学大学院情報科学研究科)
講演題目: オービフォールドの山辺不変量について

[概要] コンパクトな$C^{\infty}$級多様体に対して, リーマン計量のスカラー曲率を使って,山辺不変量と 呼ばれる実数に値を取る微分位相不変量が定義される. この不変量はまた,リーマン計量全体の成す無限次元空間上で min-maxの手続きを経て定義されるものでもあるので, その研究の過程において特異点を持つ多様体が自然に現れる. 本講演では,コンパクトな$C^{\infty}$級多様体の山辺不変量の 基本的な事項から始めて,(有限個の特異点を持つ)コンパクトな オービフォールドの山辺不変量について解説したい.


6月28日 (月)
講演者:青木 玲子 氏 (一橋大学経済研究所)
講演題目: 経済の中の数学


7月5日 (月)  *** 受賞記念 大談話会 ***
15:00 〜 16:00
講演者:都築 暢夫 氏 (東北大学大学院理学研究院) 
代数学賞受賞記念講演
講演題目: 幾何学的微分方程式の解のテーラー係数の数論

16:00 〜 16:30 お茶の時間

16:30 〜 17:30
講演者:小田 忠雄 氏(東北大名誉教授)・佐々木 智穂 氏 (東北大学付属図書館) 
数学会出版賞受賞記念講演
講演題目: 東北大学和算ポータル --- 和算資料全文画像データベース ---

*講演終了後、受賞記念パーティーを予定しています。


7月12日 (月)
講演者:只木 孝太郎 氏 (中央大学)
講演題目: アルゴリズム的情報理論の統計力学的解釈

[概要] アルゴリズム的情報理論(AITと略す)はprogram-size complexityの理 論である。AIT上で、programを量子力学系のエネルギー固有状態、 program-sizeをそのエネルギーと解釈することにより、AITに対して統計 力学解釈を与えることが可能である。program-size complexityで実数の 圧縮率を定義するとき、この解釈では、各種の熱力学的量(温度自身も 含む)の圧縮率は、その温度に等しいという状況が成立する。特に、温 度の圧縮率についてのこの自己言及性により、圧縮率についての不動 点定理が導かれる。

◇後期

10月4日 (月)
休み


10月11日 (月)
祝日(体育の日)


10月18日 (月)
講演者:谷島 賢二 氏 (学習院大学)
講演題目: シュレーディンガー方程式の分散型評価


10月25日 (月)
講演者:小野 薫 氏 (北海道大学大学院理学研究院)
講演題目: compact tortic 多様体上の Lagrangian Floer 理論

[概要] Lagrange 部分多様体の Floer 理論を具体的に調べることは一般には難しい。 談話会では、compact toric Kaehler 多様体の運動量写像のファイバーとして 現れる Lagrangian torus の Floer 理論についての深谷氏、Oh 氏、太田氏との 共同研究の紹介をする。Lagrangian torus fiber $L$ は [FOOO] の意味で weakly unobstructed であり、$L$ の1次元 cohomology 上 potential 関数 なるものが定義できる。potential 関数に臨界点があると、それに対応して 定義される Floer cohomology は非自明になることが分かる。 また、potential 関数の Jacobi 環は量子 cohomology と同型になること (Fano である場合は Batyrev, Givental 達による)が証明できる。
  時間の許す限り Hamilton 変形で $L$ が自分自身と交わらないように動かせない (Hamiltonian non-displaceablity) Lagrangian torus fiber の存在、および、 それらを具体的に求められることなどについての応用についても述べたい。


11月1日 (月)
講演者:瀬片 純市 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: 非線形分散型方程式の解の長時間挙動について

[概要] 非線形分散型方程式の中でも, 長時間後も非線形項の影響が残る"長距離型"と 呼ばれるタイプの方程式は取り扱いが難しく, 多くの未解決の問題が残る. 本講演 では非線形分散型方程式の長距離型散乱理論の最近の進展を解説するとともに, 今後の課題についても触れたい.


11月8日 (月)
講演者:中西 知樹 氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
講演題目: 共形場理論におけるdilogarithm恒等式と団代数

[概要] 80年代後半に、Bazhanov, Kirillov, > Reshetikhinは、共形場理論の中心荷電に対するdilogarithm恒等式の予想を与えた。これは可積分模型の熱力学ベーテ仮説法による研究の中で自然に現れたものであるが、Rogers-Ramanujan型恒等式、3次元双曲体積、量子群、代数的K理論などと関連し、当時さまざまな分野の研究者の興味を引き起こした。90年代半ばには、ZamolodchikovによるY-systemの周期性予想と関連して、Gliozzi-Tateoがこれをさらに「関数的dilogarithm恒等式」の予想に一般化させた。しかしながら、90年代においてはその証明は簡単な場合にとどまった。00年代に入ると、Fomin-Zelevinskyが団代数(cluster > algebra)を導入したが、これを用いてChapotonは、依然として一部ではあるがやや広汎な場合について、関数的dilogarithm恒等式予想の証明を与えた。本講演では、この団代数との関連をさらに発展させることにより、関数的dilogarithm恒等式の完全に一般的な証明を与える。tropical > Y-systemというものを調べれば良い、というのが証明の鍵である。


11月15日 (月)
講演者:落合 理 氏 (大阪大学大学院理学研究科)
講演題目: 岩澤理論とその展望

[概要] 岩澤理論とは、オイラー以来のゼータ等式、代数体と函数体の不思議な類似、フェルマーの最終定理と イデアル類群、などの整数論の流れにつながるp進理論である。 このあたりの風景を眺めつつ、岩澤理論の一般化の展望に目を向けたい。


11月22日 (月) 会場が通常と異なりますのでご注意ください!
講演者: Ying Jiangang 氏 (Fudan大学)
講演題目: From Douglas integral to Feller measure
場所:数学棟202

[概要] The famous Douglas integral gave a clear description of Poisson kernel's trace on unit circle. Feller used this notion to characterize the boundary behaviour of continuous Markov chain. We shall introduce Feller measure for general Markov processes and formulate a relationship between it and the process on boundary.


11月29日 (月)
講演者:日野 正訓 氏 (京都大学大学院情報学研究科) 
講演題目: フラクタルにおけるマルチンゲール次元と関数の微分

[概要] 一般に拡散過程が与えられたとき, 「独立ノイズの個数」としてマルチンゲール次元という概念が定まる.Riemann多様体上のBrown運動については, マルチンゲール次元は多様体の次元に等しい.一方,フラクタル上のBrown運動のマルチンゲール次元を決定することは易しい問題ではない. この講演では最近の結果を紹介するとともに,1つの応用として,マルチンゲール次元が1であるようなあるクラスの自己相似フラクタルは, Dirichlet形式の定義域に属する関数が自然な1階微分を持ち,関数空間のレベルで一種の微分構造が定められることを紹介する.


12月6日 (月)
休み


12月13日 (月)
講演者:平地 健吾 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
講演題目:What is Q-curvature?

[概要] 共形幾何は次元の偶奇に応じて著しく異なった性質をもちます。その多くはn次元球面の共形自己同型群SO(n+1,1)が奇数次元ならB型,偶数次元ならD型になるといことから説明できます。この講演では偶数次元にのみ現れるQ-曲率とよばれる局所不変量とその周辺に現れる共形不変量および不変作用素の理論を紹介します。Q-曲率はAdS/CFT対応にも自然に現れることもあり,最近の共形幾何 の主要テーマになっていますが,その定義は簡単ではありません。Q-曲率の(短い)歴史と表現論の結果をふまえて,納得のできる定義を与えることを目指します。時間がゆるせばCR構造のQ-曲率の最新の結果についても触れます。


12月20日 (月)
講演者:赤間 陽二 氏(東北大学大学院理学研究科)
講演題目:統計的学習の効率評価理論について

[概要] 高次元の確率分布が単純な離散幾何的な構造を持つ場合、 その構造の統計的サンプルからの推定は実務でよく行われる。 そのサンプルサイズに対する誤差の収束測度の評価には、大数の法則の 一つの一般化である経験過程理論(Vapnik, Dudley, Vershynin)が 主に用いられてきた。そこで、ユークリッド空間の等方的・対数凹測度の 最近の集中理論の有効性を紹介する。


1月17日 (月)
講演者:Athanase PAPADOPOULOS 氏 (Universite de Strasbourg)
講演題目:Finsler structures : Examples from Hilbert geometry and from Teichmuller theory

[概要] A weak Finsler structure on a $C1$ manifold $M$ is a given by a family of convex sets on the tangent bundle of $M$. With this formulation, Finsler geometry can be considered as a generalization of convexity theory. I will address the problem of symmetrization of a Finsler metric, from the point of view of symmetrizing the corresponding convex sets. I will discuss examples of such structures that arise from Hilbert geometry and from Teichmuller theory.


1月24日 (月) *** 大談話会 ***
15:00 -- 16:00
講演者:Frank Hansen 氏 (Institute for International Education, Tohoku Uinversity)
講演題目: Measures of quantum information

[概要]The Wigner-Yanase-Dyson information measures are prominent examples of the 3metric adjusted skew information2 constructed from monotone metrics. These measures of quantum information are related to special classes of operator monotone functions and their properties. Our growing knowledge of operator monotone functions has thus become a powerful tool in the study of measures of quantum information. For example, it has given a natural order relation rendering the set of quantum information measures into a lattice. We give an overview of recent developments in this area with a special regard to the superadditivity conjecture of Wigner and Yanase which, although generally false, still holds true for important classes of states.

16:00 〜 16:30 お茶の時間


16:30 -- 17:30 
第一回 函数方程式論福原賞受賞記念講演
講演者:石毛 和弘 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: 熱方程式の解の最大点挙動について

[概要]全空間における熱方程式の解の(空間変数に関する)最大点は時間の経過に 伴い 初期値の重心に 近づくことが解の表現公式を用いて簡単に示すことができる. しかし, 熱方程式にポテンシャル項等の摂動を加えると解およびその解の最大 点の挙動は変化し, またその解析は困難になる. 本講演においては, 大阪府立大学の壁谷喜継氏との 共同研究に基づき, ポテンシャル項付き熱方程式を考え, シュレーディンガー作用素の正値性, 正値調和関数の形状等を踏まえながら 解の最大点挙動の研究の困難点と最近の成果について述べる.

*講演終了後、受賞記念パーティーを予定しています。

本多宣博 氏 幾何学賞受賞
芥川和雄 氏 幾何学賞受賞
石毛和弘 氏 函数方程式論福原賞受賞
時間 ; 18:00〜 / 場所 ; アオシス(生協2階)


3月31日 (木) -- 臨時談話会 --  *中止になりました。
講演者:Klaus Schmidt 氏 (President of the Erwin Schroedinger Institute & University of Vienna)
講演題目: Mahler measure, entropy and Fuglede-Kadison determinants

[概要] If $\Gamma $ is a countable discrete group, every element $f$ in the integer group ring $Z\Gamma$ of $\Gamma $ defines an action of $\Gamma $ by automorphisms of a certain compact abelian group associated with $f$. The entropy of this action coincides with the logarithmic Mahler measure of $f$ if $\Gamma = Z^d$, and with a Fuglede-Kadison determinant associated with $f$ if $\Gamma $ is amenable and residually finite, and if the $\Gamma $-action is expansive. In the nonexpansive case this connection has not yet been established and raises some interesting problems. Most of these results are based on joint work with Christopher Deninger and Doug Lind.




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