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しばらく更新をサボっていましたが,この度,大幅に更新しました(2023年4月26日).

塩谷 隆(しおや たかし)

東北大学大学院理学研究科 数学専攻

〒980-8578 仙台市 青葉区 荒巻字青葉 6-3

Mathematical Institute, Tohoku University

Sendai 980-8578, JAPAN

My email address is my family name with math.tohoku.ac.jp.


Research interests


Meetings which I organize


Articles & others

https://mathscinet.ams.org/mathscinet/search/publications.html?pg1=INDI&s1=160885

https://researchmap.jp/read0211602


大学院に進学を考えている人へ

まず最初に言っておきたいのは,「自分自身で研究室を選んでください」ということです.できれば学部3年生のうちから事前に先生や先輩から話を聞いたり,ネットで情報を集めて調べて下さい.(このページを見ているあなたは,既に見込みがあります.)ほとんどのセミナーでは,先生に頼めばセミナーを見学させてもらうことも可能です.できるだけ情報を集めて自分で判断して下さい.とくに研究者志望の学生は,研究分野と研究室選びでほぼ運命が決まると言っても過言ではありません.研究分野と指導教員を選ぶ能力も実力の内です.また,研究者志望の学生は3年次の数学講究も必ず受講して下さい.教員の方から優秀な学生をスカウトするなどということは決してありません.教員としては,「来る者は拒まず,去る者は追わず」が基本的な態度です.

私の研究室では,主にほとんどの院生が測度距離空間(測度をもった距離空間)を研究しています.

私の専門は元々はリーマン幾何ですが,リーマン多様体の収束・崩壊現象の研究において,その極限である(測度)距離空間が非常に重要です.ペレルマンによるポアンカレ予想・幾何化予想の解決においても,リーマン多様体の崩壊とその極限である距離空間を詳しく解析することが一つの重要なステップでした.ここで,収束するリーマン多様体の曲率は下に有界と仮定しますが,そうすると極限の(測度)距離空間についても,ある一般化された意味での曲率が下に有界となります.この曲率が下に有界ということを手がかりに研究を進めます.

また確率論や解析学においても,曲率が下に有界という概念を一般の空間へ拡張することが非常に重要視されています.古典的にはBakry-Emeryの研究(Bochner公式のある意味での一般化;例えばガウス測度をもつユークリッド空間は正の定曲率になります)がありますが,最近では最適輸送理論とリッチ曲率の関連での研究が盛んです.これは多様体のみならず,より一般の測度距離空間での研究となっています.

他方でGromovは測度集中の考え方から測度距離空間の新しい幾何学を展開しました.測度集中とは,従来 確率論,解析学,応用数学で盛んに研究されたもので,中心極限定理や大数の法則を一般化した概念です.この測度集中の考えからGromovは,次元が無限大へ発散するような空間の列を研究するための幾何学を創始しました.私も現在主にこの分野を研究していますが,上記に述べた最適輸送理論やリッチ曲率とも関係しています.

このように,私の研究室では古典的な微分幾何というよりは,確率論や解析学に跨った非常に新しい分野の研究をしています.修士から私の研究室を希望する学生は,最低限 測度論の基礎は勉強しておいて下さい.修士に上がってからセミナーで読むテキストですが,分野としては最先端ですので,修士の学生に適した定番の教科書は存在しません.いきなり専門的な文献を読むことになり,少し大変かも知れませんが,それだけ早く最先端の勉強ができるという利点もあります.

また,修士または博士課程でもし希望があれば春休みもセミナーを行います.(夏休みも可能な範囲で対応しますが,いつも出張が多いため,あまり出来ません.3年講究,4年セミナーに関しては,すみませんが出来れば学年歴通りで勘弁してください.私も歳なので.)

最後に,「色々なことを勉強して興味を広くもちましょう.」 たとえば幾何系の学生で,幾何にしか興味のない学生がいますが,今の時代,幾何だけ勉強していても一流の研究者にはなれません.一つの分野のことだけを勉強してよい論文が書けるような,のんびりした時代は既に終わりました.実際,東北大の幾何系の先生方は,複数の分野に股がった研究をしている人ばかりです.

以下に今までに指導した学生の学位論文の題目,学部のセミナーで用いたテキストを挙げておきます.


修論題目(古い順)


博士論文題目


3年講究テキスト


4年セミナーテキスト


Former doctoral students (博士取得者)


師匠

Last modified: 2023.4.26