5月9日(月) |
講演者:太田 慎一 氏(京都大学大学院理学研究科)
講演題目: ミンコフスキノルム空間の熱流の非収縮性
【概要】
確率測度の空間にWasserstein距離と呼ばれる距離関数を考えると, 熱流を,相対エントロピーが最も減少する方向への流れと解釈できる.
この性質と相対エントロピーの凸性(リッチ曲率の非負性に対応)を 組み合わせることにより,「リーマン的空間」では熱流の非拡張性が得られる
(この手法はリッチ流の解析などでも使われる).
本講演では,リーマン的でない空間として(ミンコフスキ)ノルム空間を考え,
そこでは相対エントロピーの凸性が熱流の非拡張性を導かないことを紹介する
(K.-T. Sturm氏との共同研究).
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5月16日(月) |
講演者:岩成 勇 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: Artinスタック上の安定性について
【概要】
モジュライ空間などを構成するとき安定性という概念がしばしば重要となる。
安定性は視点によってさまざまなとらえ方ができ, 豊かな理論を構築されてきた。
本講演では, この概念を代数スタックの視点から眺め, 一般のArtinスタック上に安定点の
概念を導入する。 その安定性は標数零においては,Artinスタックが疎モジュライ空間を持つための
普遍的な条件をあたえる。 動機からはじめてその安定性と関係のある事柄: GIT(Mumfordの幾何学的不変式論),Keel-Moriの定理,
スタックの局所構造, に触れつつ説明したい。
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5月23日(月) |
講演者:森田 善久 氏 (龍谷大学)
講演題目: Ginzburg-Landau方程式の解と分岐構造に関する話題
【概要】
Ginzburg-Landau方程式は超伝導の巨視的な現象を記述するモデルとして
GinzburgとLandauによって1950年に提案された.それ以降,このモデルは
幅広く応用されているが,1990年代以降,解構造に関する数学的な研究が
飛躍的に発展した.この講演では超伝導の特徴的な現象に対応する解がどのように
数学的に定式化され,研究されているかを概説する.また,特別な設定の場合に
講演者とその共同研究者によって得られた解の詳細な分岐構造について紹介する.
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5月30日(月) |
講演者: 小谷 元子 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: 材料科学への数学の挑戦
【概要】
2008年から、CRESTで材料科学への数学のアプローチを試みていま す。また、2010年には、これをさらに発展して数学と材料科学、生命科学、情報
科学、社会システムなどの連携研究を進めるプロジェクトを開始しました。どちらも
チーム型の研究です。CRESTでこれまで進めてきた研究について、チームの皆さんの
成果の紹介をしたいと思います。新しく始まったプロジェクトについても触れるつも
りです。
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6月6日(月) |
講演者: 井関 裕靖 氏 (慶応義塾大学理工学部)
講演題目: ランダム群に対する固定点定理
【概要】
群$G$の距離空間$Y$への等長的作用が必ず固定点をもつとき、$G$は$Y$に対す
る固定点性質をもつ、という。たとえば、ヒルベルト空間に対する固定点性質
は Kazhdan の性質(T)と同値であるなど、ある種の固定点性質は群にある制約
を加えることが知られている。一方、最近の種々の研究成果は、ヒルベルト空
間を含む非正曲率距離空間に対する固定点性質をもつ群が豊富に存在すること
を示唆している。この講演では、そのような結果の一つであるプレイン・ワー
ドモデルのランダム群に対する固定点定理について述べる。
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6月13日(月) |
講演者: 望月 拓郎 氏 (京都大学数理解析研究所)
講演題目: 調和バンドルとツイスターD-加群について
【概要】
調和バンドルはもともと射影多様体の基本群への興味から 研究されていました.
その後, 特異性のある調和バンドルへの研究が進み, 適用できる範囲も広がりました.
特にホロノミックD-加群に応用できるように なったことで, 代数解析的な手法と大域解析的な手法が結びつき,
純ツイスターD-加群の理論として発展しました.
その後の進展として, ホロノミックD-加群に, ベッチ構造や 混合ツイスター構造などを付加することも試みられています.
この講演ではこのような研究の発展について概説する予定です.
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6月20日(月) |
講演者: 岡部 真也 氏 (東北大学大学院理学研究科)
講演題目: ある汎関数の勾配に支配される曲線の運動について
【概要】
曲線の長さ汎関数や曲率の二乗積分として定義される弾性エネルギー
など、曲線に対して定義される幾何学的汎関数の勾配流については、
これまで様々な研究が行われてきた。勾配流に従う曲線の運動を具体
的に解析する際には、初期曲線について滑らかさの他に長さが有限で
あることや閉曲線であることを条件として課すことが多い。本講演では、
無限の長さをもつ閉でない曲線を初期曲線とする場合に、長さ汎関数と
弾性エネルギーの和として定義される汎関数に対する勾配流の構成に
ついて、得られた結果を紹介する。
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6月27日(月) |
講演者: 倉西 正武 氏 (コロンビア大学)
講演題目: 幾何学的構造の構成について
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7月4日(月) |
講演者: 村上 順 氏 (早稲田大学理工学部)
講演題目: 三次元球面中の四面体の体積公式
【概要】
結び目のジョーンズ多項式などの量子不変量と結び目補空間の幾何構造か ら定まる体積とが関係することが
Kashaev により指摘され,結び目の体 積予想と呼ばれている.体積予想を用いると,様々な3次元多様体の体積
や Chern-Simons 不変量を量子不変量から求めることができるが,これを 量子
6j 記号に応用することで三次元球面中の四面体の体積を表す一般的な 公式を得ることができたので,このことについて紹介する.
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7月11日(月) |
講演者: 杉田 洋 氏 (大阪大学大学院理学研究科)
講演題目:モンテカルロ法の数学的定式化
【概要】
モンテカルロ法はコンピュータでは乱数を生成できないという根本的な問題の
ために,今までその数学的基盤は脆弱であった.講演では,モンテカルロ法の目的は何か,乱数とは何か,なぜモンテカルロ法に乱数が必要なのか,どういう疑
似乱数を用いればモンテカルロ法は数学的に正当化されるのか,について新しい考え方を紹介し,それを一つの実践例を中心に解説する.
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7月25日(月) |
講演者: 田上 真 氏(東北大学大学院理学研究科)
講演題目:球デザインとその応用について
【概要】
球デザインは球面上の良い有限点集合で球面を良く近似するものとしてDelsarte-Goethals-Seidel(1977)によって定義されて以来、多くの方向で研究されてきた。例えばKissing number 問題におけるoptimalな配置、保形形式のLehmer予想の組合せ論的解釈、
ポテンシャルエネルギー最小化に関するUniversally optimal code等がある。本講演ではそれらの球デザインの応用について紹介したい。
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8月5日(金)
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*曜日が異なります。時間は通常通り4時からです。
講演者: 粟田 英資 氏 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
講演題目:ディン-庵原代数とAGT予想
【概要】
共形場理論の基本的関数である共形ブロックが
ヤンミルズ理論の分配関数であるネクラソフ関数に等しいという
2009 年のアドレイ-ガイオット-立川 (AGT)予想は大きな反響を呼んでいる。
本講演では、量子アフィン代数の拡張であるディン-庵原代数が
AGT予想の背後に黒幕として潜んでいる事を紹介する。
(Feigin, 星野、金井、白石、柳田氏との共同研究)
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