梶ヶ谷徹 博士課程学生

    梶ヶ谷徹氏はルジャンドル部分多様体の 体積最小性について研究しています. ルジャンドル部分多様体は奇数次元の多様体であるコンタクト多様体と 呼ばれるものの重要な部分多様体です. その部分多様体の,ある意味での体積に関して, 最小なものの存在性や特徴づけについて の研究があります.
    これは微分幾何学という分野ですが, 詳しい説明はご本人におまかせして, ここでは多様体というものについて説明してみましょう. 多様体(manifold)はイメージとしては曲線や曲面などの図形・空間 を思い浮かべてもらえれば十分です. 図形の幾何学的な特徴を調べたり,もしくは 図形を特徴付けたりしようとしたときに それらの特徴を数学的なデータにして 表わそうとするわけですが, それがある程度扱いやすいものが多様体といえましょう. その要件の中で重要なのは,座標をきちんと導入できるもの ということです.
    座標を導入できるとは,少し詳しく言うと, どのような点についても,その十分小さい範囲では 通常の空間(ユークリッド空間)と一対一の対応がつくということです. こう考えることによって,直線や平面のような まっすぐのものだけでなく曲線,曲面, さらには図に描けないようなものも 統一的に扱うことができます. ひとたび図形を多様体として認識しておけば その上での関数や微分積分などを考えることも できるようになります. つまり多様体の概念は図形を数学的に調べるための 基礎的な導入といえます.