東北大学 理学部数学科大学院 数学専攻 学生座談会
目次 東北大学の数学科に来た理由
高校と大学での数学に対する印象の変化
専門分野の選び方+セミナーとは
将来の夢、高校生へのアドバイス

第1節. 東北大学の数学科に来た理由

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山上
それでは、座談会を始めていきたいと思います。
皆さん高校時代から数学が好きだっと思いますが大学を選ぶにあたって東北大の数学科を選んだ理由をまずは聞いてみたいですよね。佐幸君はどうでしたか?

佐幸
そうですね、僕は出身が富山県で、そこには思考大会というものがあります。それは小中学生でも出来るような思考力を問う問題、例えば虫食い算などを考えるんです。実際、大会という感じよりは、100点満点のテストを解いてるという感覚ですね。平均点も40点ぐらいですし。

山上
数学と言うよりは、頭を使って考えさせるような問題が出てくるんですね。

佐幸
そうですね。数学というと答えが1つだとよく言われるんですけど、その答えにたどり着く方法は幾つもあるんですよね。そういう様々な考え方、ものの見方をしていくのが好きだと言うのがありました。実際、思考大会でもいい結果を出せていたので、それを活かせる数学科を目指してみようと思いました。ちょうどその頃、東北大出身の田中耕一さんがノーベル賞を受賞されまして、実力や距離的にもちょうどいいのかなと。やはり思考大会で頑張ったことが、数学科を目指そうと思ったきっかけです。

山上プロフィール 山上
色々と考えるのが好きなんですね。
それでは次は私が高校時代の思い出を語ろうかと思います(笑い)。
まず、高校生の時は数学や理系全般が得意科目で、そこを伸ばせるような学部、大学を目指したいとずっと思っていました。その上で東北大学を選んだ理由としては主に2つあって、1つは近さの問題ですね。出身地の青森県の近くにある大学としては、東北大学はやはり最有力の候補でした。2つ目の理由は、AO入試の存在です。東北大学の数学科では、数学のみで受験出来るAO入試という制度があって、それが自分の得意な部分を活かすという点に合致していると感じました。それが他の大学と比べた時に優位な点だったと思います。
佐幸君と同じく、私も考えるということがずっと好きで、計算の裏で何が起きてるかをイメージするのが楽しんでいました。先ほどもありましたが、答えは1つでも道筋は複数あるということもよくあるので、そういう点が数学の醍醐味になっているのかなと思いますね。
次は嶋中君はどうですか?

嶋中
自分も高校の頃は理系科目全般が得意で、その中でも数学が一番でした。一番のきっかけといえばあるとき友人のZ君から「あのさー

っていうの知ってる?」と聞かれたことですね。最初は全然意味がわからなくて、なんでだろうと思って調べていくうちに数学の面白さに惹きつけられていました。
東北大学を選んだ理由としては自分も青森県の出身なので距離的な面と、当時の数学の先生が東北大出身で憧れがあったという点が挙げられますね。

山上
東北出身の人はやはり地元の東北大学を目指したいと思うところがありますよね。では数川君、久米さんにも聞いてみたいと思います。お二人はこの中では高校時代を一番覚えていると思うので(笑い)。

数川
ぼくもまあ数学科に入るところから決めました。それはもう中学校くらいから数学やりたいなーって思ってて、もちろんその時は大学の数学がこんなものだなんて思い描いてないですけど。
中学校のころから数学ができて、高校でも変わんなかったし高1のとき進路希望に東北大学の理学部数学科って書いてそのまま入っちゃったと。

山上
高校でもそのまま頑張って希望通り入れたと。

数川
そうですね、で、なんで東北大学が(希望に)出てきたかというと、僕の出身の富山県は、東大、京大、阪大、名古屋大それに東北大とか。だいたい等距離にあるんです。だからどこ行ってもいいんです。逆に選んで、自分に合うところにいける環境でした。
自分の高校のコース分けで東大コースとかあって自分が東大かーって思って、その次の東北大コースに、とりあえずはいっていて、実際2年の時に東北大学に来てみて、すっげーいいとこジャン!と思いました。自然も近いし、ここで勉強したいなーと思って、最終的にここに決めました。

山上
仙台の街に魅力を感じたと。

数川
はい、実際仙台で正解だったと思います。

佐幸
沖縄県出身の同期の人も、飛行機を使えば九州も東京も東北も変わらないということで、東北大を選んだと言っていました。実際色んな所から来てますね。日本以外から来ている人もいてグローバル化を感じます。
久米さんはどうですか?

久米
私は理学部数学科に入りたくて、出身の徳島県内が良かったんですけど、徳島大学には理学部数学科というか理学部自体なくて、四国や近くの大学を志望していました。でも、高校2年の担任の数学の先生から、「広い範囲で志望大学を考えて、モチベーションをあげていきなさい」といわれ、とりあえず東北大とか名古屋大とか書いて・・・。数学に興味を持ったのは、その高2の時の先生の影響が大きかったですね。
高校1年生の時は、数学が好きとか嫌いとかじゃなくて、ただただ勉強の教科の一つでした。

山上
なるほど。

久米
で、高校2年生の時に数列っていうのが出てきて。簡単なものから複雑なものまでさまざまなものがありますが、それを考えるのが私はすごく好きでした。
数学って楽しいなって思うようになったのはほんと高校2年生くらいからですね。
東北大学を志望した理由については、AO入試があるところを探して、東北大学かーってなって、先生からも受けに行ってみればと言われて、で実際来てみました。新幹線やら飛行機やら使って遠いけど、いいところだったので、また来れたらいいなーと思っていたら縁があったのか、来ることができました。

震災について

久米
私たち4年生は震災があった年に入学だったんですよ。震災の影響で私たちは入学が遅れて、別の大学に進学した高校の友達が大学に慣れはじめた頃に、私は入学で友達から心配されてました。

数川
合格発表の2日後に地震があったんですけど、ニュースで、宮城県で大火災が起こっている。仙台は大丈夫か!って、すごい衝撃でした。

山上
当時仙台にいて被災したんですけど、結構大きな揺れでしたね。それでも今は学校の近くはもう大丈夫です。

佐幸
心配ないですよね。今でも地震はまだ少しは起きていますけど。

久米
あるにはありますけど、地震は全国的にという感じですから。

山上
そうですね。地震大国なので、日本にいればどこでもですよね。

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第2節. 高校と大学での数学に対する印象の変化

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今いる地点からどうやってゴールにたどり着くかという力が試されている気がします。

山上
次の話題は、高校と大学の数学の違いについてです。みなさん高校時代から数学が好きでここに入ったと思うんですが高校の数学と大学の数学はやはり違うと私は思います。その話題について話していきましょう。
やはり、高校の時は大学の数学でどのようなことをやるのかほとんど予測ができないですよね。

嶋中
漠然としてますよね。

山上
私自身、きっとすごいことをするんだろうなという印象でした。

(一同笑い)。

実際大学に入って振り返ってみると、高校時代の数学は計算寄りで、基礎の技術を身につけていたんだなと感じるところはあります。

久米
高校生のときはこれを計算すれば答えが出るかなという決まった流れのようなものがありますよね。

嶋中プロフィール 嶋中
公式を覚えてそれを使っていこうみたいな。

山上
大学に入ると、計算をするというよりは証明をするという点にウェイトが移って行きますよね。今いる地点からどうやってゴールにたどり着くかという力が試されている気がします。もちろん高校の数学がいらないなんてことはなくて、土台としてしっかり大学の数学を支えてくれています。数学の内容的にはかなり性質は変わるものの、同じ数学として上に積み重なっていっているんだなとは思いますね。
佐幸君はどうですか?

高校では曖昧だったものを うまく厳密に取り扱うということ

佐幸
そうですね、やっぱり大学では物事を如何に捉えるかというか、定義がだんだん難しくなってくるのでそこでしっかり理解できるかという点が大事な気がします。
それを使って数学的に物事を見ていこうというのは今までと一緒ですけど。
たとえば数学科に入って最初の数学序論Aという授業で実数の基礎を学んだのは面白かったですね。そこからどんどんステップを重ねていきましたよね。

山上
大学数学の第一歩という感じがしましたね。

数川
あの授業の衝撃はデカいですよね。これが大学数学か! って感じで。

佐幸
実際、授業に出てるまわりの雰囲気もすごかったね。みんな数学ができる人たちで授業をまじまじと聞いてて。

嶋中
たしかに高校では考えられない光景ですよね。

数川
授業の内容だと、たとえば高校で出てきた極限とかの大学での扱い方が衝撃的でしたね。高校の時は近づければこうなるよね的なニュアンスのものでしたよね。

嶋中
なあなあで済ませてる部分はありましたね。

数川
常識に基づいて的な。それが大学だとちゃんと書きますとか言われて、ちゃんと書くって何!? みたいな衝撃が。

(一同笑い)。

山上
そういう曖昧さをなくす作業がしっかりしているのは感じました。高校では曖昧だったものをうまく厳密に取り扱うということですよね。

数川
あとは、板書の内容も変わりましたね。数式が減ったというか、何を数式とするかにもよりますけど(笑い)。
高校の時はたとえばイコールで式がつながっていくみたいな感じでしたけど大学だと日本語が並んでいてちょくちょく式が挟まっているみたいな。

山上
この式が成り立って、この結論によって云々みたいなね。計算じゃなくなるというのは感じます。

久米
でもその内容を理解するために計算をするというのはありますよね。実際に数字を入れてみることで、抽象的な話を確かめることができるということもよくあります。そういう時に計算力が活きてくると思います。

嶋中
それはありますよね。

山上
嶋中君はどうですか?

嶋中
高校に比べて扱うものが抽象的になってきたという感じはあります。たとえば高校だったら 3x2 + 2x を積分しましょうみたいな具体的な関数を与えられて計算することが多かったですよね。でも大学になるとそれとは変わって、この条件を満たす関数全体を考えて、その関数を積分したらどうなるかということを考えますよね。

ALL
ありますあります(笑い)。

佐幸
やっぱり抽象化して全部一気にやってしまいたいという気持ちがね。

嶋中
そうですよね、一般化してしまって、この範囲で積分して有限となる関数全体を扱って~とか。

山上
なかなかハイレベルな話を。

(一同笑い)。

嶋中
あと、佐幸君もさっき言ってたんですが、定義をしっかり確認するということが高校よりも大事になってくるのかなと思います。自分のスタート地点がちゃんとわかっていないと、ゴールにたどり着く以前の問題になっちゃいますから。泥沼の中を手さぐりで進む状態にならないためにも、定義を理解して、自分の立ち位置を把握することはより重要になりますね。

久米
たまに定義が分からなくなって、問題が解けないこともありますよね。あと、授業で習ってないものがぱっと出てくることもあったりとか。他には本によって前提となっている部分がちょっと違ったりすることもありますよね。中には全く違うように見えて、実は同じ意味だった、なんてこともしばしばありますけど(笑い)。

数川
全然一緒に見えないこともあるよね(笑い)。

久米
同じ意味ということを示そうとしてもなかなか示せなくて苦労することもよくあります。

嶋中
よくありますよね。でも、同じに見えないけど実は同じみたいなことを証明していくのも数学の面白さの一つだと思います。

学生座談会風景

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第3節. 専門分野の選び方+セミナーとは

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山上
さて、高校時代から大学入学と振り返ってきたので、そろそろ4年生の話題に入りましょう(一同笑い)。数学科の4年生になるとセミナーというものがあります。

佐幸
数学科で学んでいく上で大事なものですよね。

山上
そうですね。ここにいる皆さんは4年生以上なので実際にセミナーを経験していると思います。それについて、専門分野や先生とのコミュニケーションについて話していきたいと思います。

佐幸プロフィール 佐幸
まずセミナーとは何かという点についてですかね。今まで学校でやって来たことは、授業で教えてもらうということだったと思うんですが、セミナーは逆に自分が勉強したことをみんなの前で発表するというものです。発表する側に回るわけだから、自分が内容を100%理解していないといけないですね。
また、実際に黒板を使ったり声に出したりすることで、家では気づかなかった点も浮き彫りになったりして、より理解が深まるように感じます。専門分野についても少し話すと、僕は主に複素数について勉強しています。高校生も複素数を少しは知ってるかな。複素数に興味をもった理由は、学部3年生の時に学んだ留数定理ですね。簡単に言うと、関数を0から無限まで積分する
ときに、あえて複素平面まで拡張することで計算できるようになるというものです。

山上
遠回りして求めているように見えて、実はそれが近道なんですよね。普通に実数だけで計算してもうまくいかないという。

佐幸
僕はそこが面白いと思って複素数の道を選びました。先生方については、気軽に質問したりしています。

嶋中
複素数だけに愛があふれていると(笑い)。

佐幸
セミナーが始まって専門に分かれると、自分のグループも少なくなります。修士に入ると自分しかこの本を読んでいないということもあって、責任感が半端ないですね。その分やり終えたら全て自分の成果となるので達成感も大きい
です。

数川
自分しか読んでないということもあるんですか?

佐幸
専門が同じという人はいるけど、院生になるとそれぞれ違う本に分かれたりします。それでも専門は同じなので仲間の話は聞くし、違う本でも同じ定理が出てきたりしてそこは一緒に勉強できるという感じですね。

自分の中で理解したことを他の人にも理解してもらえるような説明の仕方も考えなきゃいけない

山上
私は今修士2年ですけども、学部4年で始めたばかりのセミナーは戸惑っていましたね。それまでやってきた勉強というのは、聞いたことを理解するということだったんです。しかし発表するということになると、自分の中で理解したことを他の人にも理解してもらわないといけないですよね。
つまり、そう出来るような説明の仕方も考えなきゃいけないし、それは数学だけの問題じゃなくて社会に出てからも必要なスキルなのかなとも感じます。専門分野は、4年生までに学んだ数学の中で自分にあったものを見つけていくという感じだと思います。自分の場合はそれが確率でした。実際の生活とつながっていて、数学を使って身の回りの現象を見て行きたいなと言うのが一番の動機でした。

数川
嶋中さんはどうしてPDE(偏微分方程式)を専門にされたんですか?

嶋中
そうですね、物理現象や経済の動きなどを記述できるというのが面白いと思って選びました。でも今は、後々確率微分方程式につなげるために確率論を勉強しています。

山上
違う分野でも、裏でつながっていたりするのも面白いところですよね。先生方とはどんな感じですか?

嶋中
結構和やかな関係です。理学部には毎年球技大会があるんですけど、その中の卓球大会に先生と出場しました。それで優勝しちゃったりで、仲がいいですよね。東北大の先生はみんな優しいと思います。

数川
東北大の先生方、みんな熱心ですよね。指導に関してもそうだと思います。

山上
ミスがあってもしっかり指摘してくれますよね。

数川
熱心じゃないとできないですからね。
ドライな関係じゃなくて、ちゃんと密接な関係だと思います。高校とかにちょっと近いのかな。

久米
高校だとクラスの担任と生徒は1対40くらいの関係なので大変ですけど、ここは先生一人に対して学生は二人とか三人とかで。それに私の場合は高校の担任の先生も数学で近かったんで相談できましたけど、分野が違うとそうはいかないですし、そう思うと大学はかなり密接ですよね。

数川
4年生でセミナーが始まる前にも、入学した時からちゃんと担任の先生がいるというのも大きいですよね。

佐幸
最初にやる講義の数学序論の先生がたいてい担任の先生になってるはずです。

久米
相談できる方がいるというのは心強いですね。

佐幸
数川くんや久米さんはちょうど4年生になったところだけど、セミナーでの発表はやったのかな?

久米
はいやりました。最初のセミナーはやっぱり不安で、先生に質問されてもちゃんと答えられるようになるくらいまで、発表内容をできるだけまとめてましたね。

佐幸
発表してるとどのくらい時間が経ったのかもわからないし、そもそもどのくらいの準備をすればいいのかも不安だし、慣れるまでは大変だと思います。

数川
とりあえず僕は前日は寝られています(笑い)。一応万全だと思って発表するんですけど、突込みが入るんですよね。まあ今のところなんとかその場で立て直せているんですけど。

ALL
お~、すばらしい。

数川
詰まってしまっても、先生がこうやればいいんじゃないかとヒントをくれるので、それを頼りに頑張ってます。

佐幸
そう考えると先生ってすごいよね。高校の先生も含めてだけど、書きながら話して、僕らの質問もすぐその場で答えてくれるし。実際やってみてわかったけど、書きながら話すの難しいんですよね。どっちかが疎かになってしまったり、書くほうが追いつかなくて話す方で同じことを何回か繰り返してしまったり。慣れるに連れて、先に書いてしまってもほとんど時間は変わらないからそうしよう、ってなったりしますよね。それが風格にも繋がっていくなと思います。

久米プロフィール 久米
先生のまねをすればいいってわけでもないし、みんなにわかるように伝えなきゃいけないしって感じで難しいですよね。私は一、二年生の時に先輩に誘われて自主ゼミをしていて、その時は本を写して本の内容ぐらいしかしゃべれなかったんです。今はちゃんと詳しい証明とかもできるようになってきたと思うので、私結構成長したなってなりますね。

山上
発表するにあたって、自分でちゃんと証明の行間を補わないといけないんですよね。他に自主ゼミをやっていた人いますか?

佐幸
僕もやってました。3年生の時に、講究というセミナーの練習みたいな授業を履修してそれの自主ゼミをやってました。自主ゼミをやっていて感じるのは、専門が違うと見方も変わるんですよね。僕は解析を専門にしていますけど、ベクトル場の話を幾何の人とすると、幾何的な視点から意見をくれるんです。こういうところも得るものが多くていいなと思います。あと、それこそ自主的にやっているので気軽に質問も確認も出来るというのもありますね。
普段の生活についてもちょっと話しておいたほうがいいのかな、勉強時間とか。

久米
数川君は喫茶店で勉強してるんだよね?

数川
そうですね、僕は土日とかは喫茶店で5,6時間居座って勉強しています。コーヒーおかわりとかして(笑い)。でも、がっつりやるのは土日だけで、平日はほとんどできてないですね。普段は疑問に思ったところをちょこちょこと詰める感じで。4年生になると授業が減って空き時間ができるので、2時間くらい勉強して、先生の研究室に質問しにいったりします。授業があるときはそっちの理解もしないといけないし、(自分の)セミナーの準備もあるしで1日がすぐ終わっちゃう感じです。
疲れて帰るとベッドへばたんきゅーみたいな(笑い)。

佐幸
数学科のカリキュラムは特殊だからね。実験は必須ではないから、学年が上がっていくに連れて空き時間が増えていくんですよね。

嶋中
他の学科とは逆なんですよね。普通は学年が上がると忙しくなるんですけど。

数川
でも、空き時間はあっても忙しいですからね(笑い)。他の学科の人から時間割だけ見てすっかすかだねと言われるけど、その分自分でちゃんとやらなきゃいけないんですよ。

佐幸
平日の昼間とかに床屋に行くと、今日大学は?とか言われたりします(笑い)。そこで、ちゃんと勉強して休憩がてら床屋に来たんですと答えるまでが一連の流れなんですよ。あと、夜に勉強していて良くありますが、どうしても分からない時には、もやもやして寝られないし、分かれば分かったで興奮して寝られなくて、どっちにしても寝られないんですね(笑い)。

久米
そうですね、夜そろそろ寝ようかなと思っても、あと一問がちょうど解けなくなって、あー眠れないみたいな感じになります。

嶋中
わかります。たまにそのまま夜が更けていってテンションもあがってきて、あれ?これいけるんじゃね?みたいに思い込むこともありますよね。

佐幸
それでも東北大は4年生くらいになると、ほとんどの日の最初の授業が10時半からになるから余裕を持てるよね。学校側もわかってくれてて、ありがたいことです。

山上
修士になると、これが午後からスタートになったりもしますよね。自由に時間を決められるというのも嬉しいところです。

数川
拘束はされてないけど、自分でちゃんとやらないといけないというのが特色です。

久米
他学部の子だと実験の時間が決まっていて、それを元に予定を立てないといけないですからね。

佐幸
女性の方だと人数も少なめなこともあって、他学科、他学部の人とも仲良くなると思うんだけど、どうですか?

久米
そうですね、私今女子寮に住んでいて、農学部と医学部の友達がいるんですけど、その二人は実験で忙しいみたい
です。学年が上がって、より専門的なことを研究するようになってお互いの内容を完全に理解できなくても、「こういうことをしてるんだな」というのが雰囲気だけでも知ることができて面白いです。サークルとかでも仲良くなる機会がありますけど、他の学部の友達いると楽しいですよ。

佐幸
東北大は大きい大学なので、いろんなサークルがありますよね。

嶋中
サークル棟に行くとすごいですよね。いろんなサークルがすごいことやってるなって思います。

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第4節. 将来の夢、高校生へのアドバイス

どの会社でも数学の素養を持った人を必要とする時代になってきている

山上
そろそろ時間も迫ってきたので、締めの話題の方に参りたいと思います。過去から順番に話してきたので、次は将来のことについて少しだけ触れてみたいですね。

佐幸
そうですね、僕たちも今就職活動を頑張っているところだったりしますしね。

山上
就職とかの話も気になりますよね。

佐幸
数学科に来て将来の就職はどうなってるのかってところですよね。大きなところでは教員や銀行とかですかね。

嶋中
あとはソフトウェアとかも。

数川プロフィール 数川
でもうちの大学は一般企業からも結構求人が来てたりしますよね。

山上
そうですね。大きく分けると、教員、金融、IT・情報とかが一番に浮かびますね。もちろん他にも研究職や公務員といった選択肢があって幅は広いと思います。

嶋中
変わり種ではマスコミとかに行く人もいるらしいですね(一同笑い)割となんでも行けるって感じですね。

佐幸
数学科来たからここしかないってことはないですよね。

山上
最近、リスク管理っていう言葉が良く話題になっていて、どの会社でも数学の素養を持った人を必要とする時代になってきていると思います。

佐幸
やっぱり最初入学したときは研究者になりたいって思いが強かったよね。そういうのは大事にしていってもらいたいと思います。いつ開花するかわからないから(笑い)。

久米
それはわかります。私がセミナーを決める時の話なんですが、あるセミナーの希望者が多くて定員オーバーになってしまったんですね。それで、担当の先生が「成績で振り分けるのではなくて、なるべく本人たちの希望で決めたい」とおっしゃっていたんですよ。そのあとお話をする機会があったのでその時のことを詳しく尋ねてみたら、「今から成績で決めるなんてできない。今伸び悩んでいるからと言って、これからずっと成績が悪いわけではないから」とおっしゃられていて、感銘を受けたのを覚えています。

佐幸
いつ開花するかってのは難しいですけど、数学好きな人は数学科に来てくれれば可能性は伸ばせると思うのでね。

数川
高校から大学に入って、周りがレベルの高い人達ばかりで落ち込むこともあるかもしれないですよね。でも、勉強していけば何かしら数学の中で自分に合ったものも見つかるし、それを将来どういった方向に活かしていくのかもだんだんと見えてきますよね。

山上
では最後に高校生へ向けて言い残したことがあればお願いします。

高校数学を面白いと思ってる人は、必ず大学数学でも楽しさを見いだせるはず

数川
高校で数学が楽しいと感じてる人にはやっぱり数学を続けてもらいたいというのが率直な気持ちですね。高校数学を面白いと思ってる人は、必ず大学数学でも楽しさを見いだせるはずです。

嶋中
最初やっぱりギャップで躓いたりすると思うんですけど、それを乗り越えると別世界が待ってるんですよね。
(※ギャップについては、2節を見て下さい)

山上
そこまで頑張ってほしいですね。

嶋中
はい、好きだと思って努力していればいつの間にか身についてたりします。あれ、案外自分もできてるじゃん的な(笑い)。

数川
分からないものが分かったり解けなかった問題が解けたりするときってやっぱり楽しいですよね。そんなふうになってるのか!? って気付いて、自分の世界が広がっていくような楽しさがあります。たとえば、三角形の内角の和は180度っていうのは高校生なら知ってますよね。でも、世の中にはそれが270度の三角形もあって、実はそれは球の上で作れるんです。高校から大学に進んでいったときに、そんなものあるの!?って感じられることが数学の面白さだと思います。

佐幸
いろんな見方をしていくっていうのが数学の面白さだとは思います。日常感じられないものに数学を通して触れるというのも楽しいですよね。4次元空間とか。

嶋中
無限とかもそうですよね。

佐幸
そうそう。
現実で考られないことではあるけれど、大事なんですよね。4次元を考える必要があるのかって言われるとやっぱりあるし、虚数を導入することの意味もありますよね。普段考えないものを数学的に考えることによって、現実に活かせるっていうか、そういうことも面白いのかなってのはありますよね。

数川
佐幸さんの話にあった虚数ですが(実数上の)積分を使って面積の計算をするときにあえて虚数を使うことで計算ができるという例もありますね。現実にある面積っていう数を、新しい概念を用いて遠回りすることで簡単に求められるのが数学の凄味ですよね。

久米
たまに先生方から例を教えてもらうと、すごく興味が湧いてきます。
こういうことに使われているんだというのがわかると、より身近に感じることができます。

山上
現実世界の手の届かないところにあるような現象が数学を使って自分たちにも扱えたりしますからね。そこが面白いですし、そのために使う概念もまた興味深くて新しい発想を得られるという醍醐味も数学ならではなのかなと思います。

(2014年7月 東北大学理学部数学科・東北大学大学院 理学研究科数学専攻 制作)

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