東北大学整数論セミナー(2018年度の記録と予定)
2018年度世話人: 甲斐 亘
2018年4月 9日(月)13:30--15:00 合同A棟801号室
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講演者 :田中 亮吉 氏(東北大学大学院理学研究科)
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講演タイトル : ランダムディリクレ級数
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アブストラクト:ランダムな係数を持つ無限級数の分布には, 調和解析, 力学系, ハウスドルフ次元論と関わって長い研究の歴史がある.
特に独立かつ一様な符号を係数とする幾何級数の場合は, Bernoulli convolutionsと呼ばれ, パラメータの数論的性質が, 分布の正則性に影響することがErdosらにより知られており, これは現在も活発に研究されている.
一方で, ランダムな係数を持つディリクレ級数も, 解析関数としての性質が多く調べられてる.
ここではある特定のタイプのランダムディリクレ級数が, 確率論の研究の中で現れてきたので, その分布について考察した結果を報告したい.
講演では, もともとの確率論の問題と動機を, 説明して(特別な背景知識は必要ない), 主結果の証明にも触れたいと考えています.
Ron Peled (Tel Aviv University), Yuval Peres (Microsoft Research), Jim Pitman (UC Berkeley)との共同研究に基づく.
2018年4月 16日(月)13:30--15:00 合同A棟801号室
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講演者 :関 真一朗 氏(東北大学大学院理学研究科)
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講演タイトル : 有限多重ゼータ値に対する双対関係式の一般化と最近の進展について
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アブストラクト: 金子-Zagierによって定義された$\mathcal{A}$-有限多重ゼータ値に対する双対関係式はHoffmanによって証明されているが、Rosenによって導入された$\widehat{\mathcal{A}}$-有限多重ゼータ値に対する一般化や有限多重ポリログの関数等式への拡張が得られている(一部、佐久川憲児氏との共同研究)。これらの(博士論文に収録されている)結果について概観した後、最近になって山本修司氏との共同研究によって明らかになった大野型の一般化とその副産物について紹介する。
2018年4月 23 日(月)13:30--15:00 合同A棟801号室
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講演者 :西来路 文朗 氏 (広島国際大学 看護学部)
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講演タイトル : $Zp$上定義された1次元可換形式群の$p^2$等分点の体のガロワ群
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アブストラクト: 本田平氏による可換形式群の分類理論により,
$Z_p$上定義された1次元可換形式群の強同型類は,
付随する特殊元で決まることが知られている.
形式群の$p$を法とする簡約のFrobeniusの$p$乗準同型の
$Z_p$上の定義方程式が特殊元である.
形式群の高さが1の場合,
$p$べき等分点の体は$Q_p$上のアーベル拡大になり,
ノルム群が特殊元を用いて記述できる(Lubin-Tate理論).
高さが2以上の場合,$p$等分点の体はLubin-Tate理論に帰着できる.
そこで,$p^2$等分点の体のガロワ群を調べたい.
このたび講演者は,$p^2$等分点の体と$p$等分点の体のなす
アーベル拡大のノルム群の生成元を求めた.
特殊元の係数がすべて$p^2$で割り切れない形式群については,
$p$べき等分点の体のガロワ群も決定できた.
これらの結果について報告する.
2018年4月 30 日(月)お休み
東北大学数学専攻ホームページ