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黒木のなんでも掲示板2 (0052)

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Id: #b20030215033125  (reply, thread)
Date: Sat Feb 15 03:31:25 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030214055455
URL: http://member.nifty.ne.jp/bunten/index.html
Name: BUNTEN
Subject: 本「デフレ不況の実証分析」のすすめ
「デフレ不況の実証分析」は数学苦手の素人には荷が重い本でしたが、
第二章の「構造問題説の批判的解明」は、取り上げているのが初歩的モデル
(総需要・総供給分析)であることもあって私にもなんとか理解できました。
もしまだ読んでおられないならば、目を通しておかれることをおすすめします。

ちなみにこの本、「貨幣的要因とそれ以外の要因の寄与度を定量的に比較」
してます(3章)が、そこんとこは私にはほとんど理解不能でした。しかし、
黒木さんらが批判していないということから、少なくとも数学的な部分では
基礎的チョンボはないだろうと判断しており、それに基づいて結論として
書いてあること(もちろん、この章の「おわりに」は、構造論の主張とは
比べものにならないくらい「切れ味が悪い」)は大筋受け入れても良さそうだと
考えております。

Id: #b20030215011817  (reply, thread)
Date: Sat Feb 15 01:18:17 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030214060056
Name: さんぼんまつ
Subject: 優先順位

先日発言させていただきました、さんぼんまつです。
ひめたにしさん、私のとりとめもない質問にお答えいただき恐縮です。
しかしながら、私の勉強不足もあると思うのですが、ひめたにしさんの
導き出されようとされている結論が今一歩分かりにくく感じました。

確かに、ひめたにしさんのお考えの一つとして「貨幣的要因以外の要因」
はあると思います。現実の経済は理論の世界とは違い、複雑にからみあって
いると思います。しかし、複雑な問題を複雑なアプローチで対応することは
困難であると思います。

非常にシンプルに考えて、「現在」の日本の景気を考慮するうえで重要なのは、
私が言うまでもなく、デフレをどう対処するのかということであると思います。
短期の政策(デフレ対策)と長期の政策(構造的な問題?)を同時にあつかう
事は難しいのではないでしょうか。

おそらく、この掲示板でもよく紹介される野口旭さんやその他の方々も、ひめ
たにしさんがご指摘なされた「貨幣的要因以外の要因」はあるのだとお考え
のはずだと思います。しかしながら、何を行うにも優先順位が必要だと思いま
す。その優先順位からすれば、短期的な政策であるデフレ対策がまずはじめに
行われる必要があり、その次にもし構造的に問題があるのならば、それに取り
組むという事ではないのでしょうか。

ひめたにしさんが導き出したいお答えとはずれてしまいますし、私が申し上げ
るような事ではないと思いますが、景気対策と構造的な問題は分けて考えない
とどちらも失敗してしまうのではないかと個人的には考えております。

またとりとめもない発言で恐縮です。勘違いがあればご指摘のほど、よろしく
お願いいたします。
Id: #b20030214060056  (reply, thread)
Date: Fri Feb 14 06:00:56 2003
Name: ひめたにし
Subject: 訂正
前発言に字句の訂正です。
「プラザ合意後の円安」-->「プラザ合意後の円高」

Id: #b20030214055455  (reply, thread)
Date: Fri Feb 14 05:54:55 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030212180823
Name: ひめたにし
Subject: 「貨幣的要因」のみの説明で素人が納得しない理由
 さんぼんまつさん、しばらくでした。
 この発言はさんぼんまつさんへのお返事でもありますし、ずっと前に若田部さ
んに質問されたことへの再回答でもあります。
 http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/keijiban/b0042.html#b20020407164853
 前に答えたときよりは経済の言葉を覚えましたから、より的確に表現できるの
ではと思います。

 「構造」はやめて、「貨幣的要因以外の要因」と書くことにしています。これ
は専門家の使い方とは違う意味なのかもしれませんが、私が昨年春頃にしきりに
問題にしていた「構造」とは、こういう中身です。「M2+CDの増加率が4.4%を下
回るとデフレが生じる。デフレによって不況が生じる」という説明が、さっぱり
わからなかったのです。

 素人が「貨幣的要因」のみの説明で納得しない理由の第一は、現に「貨幣的要
因以外の要因も存在する」からです。クルーグマンは金融調節による景気コント
ロールを、風向きに応じてアクセルやブレーキを踏む自動車の運転に例えていま
したが、素人は「最初の大風」が何だったのか知りたいのです。プラザ合意後の
円安だけだと言われても、その他の要因を並べる専門家も多数いますから、別の
要因も「ある」ことは、普通に新聞を読むだけで憶測できます。

 理由の第二は、「貨幣的要因とそれ以外の要因の寄与度を定量的に比較するこ
とはできるの?」と思うからです。私が読んだ範囲では、難しいように見えます。
例えば株価の下落にデフレと持ち合い解消のどちらがどれだけ寄与しているかと
か、地価の下落に対するデフレと産業構造変化の影響はどうかとか、定量的な比
較が不可能ということはなくても、「デフレ状態」と「デフレでない状態」を比
較してデフレの問題性を述べる論よりは、ずっと切れ味が悪いに違いありません。

 そして理由の第三は、「貨幣的要因のみを不況の原因として重視する立場は、
バイアスがかかって導かれていないか」と疑うからです。ありていに言えば、構
造改革主義者は構造が原因だと言い、インフレターゲット論者は貨幣的要因だと
言うわけですが、これらはそれぞれ、自分の導きたい結論に達するために主張し
ているのではないか、と思えます。
 私は、原因が何だろうが、対策は政策としての合理性や期待される効果に応じ
て決定されるべきだと考えます。金融緩和は、「市場に対して中立だから」こそ
他の政策より優位だと考えます。

 私がリフレ派を支持するのは、経済学の教科書に載っているような諸法則(ち
ょっと前まで、そんなものがあることも知りませんでしたが)と一番整合的なよ
うだと思うからですが、不況の主原因まで貨幣的要因だという立場にどの程度合
理性があるのかは理解不能で、支持できません。
 「構造的デフレ」論は十分あやしいわけですが、その根本的なあやしさは「デ
フレの原因は構造」という主張にあるのではなく(だって、これは検証できな
い)、「構造的なデフレだから構造的な対策が必要」という論理にあると思いま
す。この論に対して、「いや、デフレは貨幣的な現象だから、貨幣的な対策をす
べきだ」と切り返すのは、すでに相手の術中にはまっているのではないでしょう
か。仮に現在の不況の原因の9割が貨幣的要因以外のものであったとしても、政
策として妥当なのは金融緩和しかないと思います。

Id: #b20030212180823  (reply, thread)
Date: Wed Feb 12 18:08:23 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030207134541
Name: さんぼんまつ
Subject: 構造

久しぶりに発言させていただきます。さんぼんまつです。
現在の不況に関しての構造的要因が議論のトピックとなっておりますが、
私も現在の不況を構造の原因にするのは疑問です。
構造というモノが何を指しているのか、という事がよく分かりません。
本日の日経新聞のサイトでも、

日銀理事「インフレ目標はデフレ克服の障害」
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20030212AT3K1202Q12022003.html
>白川理事は「効果は目標実現の手段があるかに大きく依存するが、日本では短
>期金利がゼロになっているうえ様々な構造要因から金融緩和の波及効果も限ら
>れた状態。日銀だけではメカニズムを欠いている」と指摘した。
(上記URLより引用)

 と、タイトルからしてめちゃくちゃですが「様々な構造要因」が原因で
金融緩和効果が働かないとしています。

 日本の企業が取ってきた行動もしくは制度を構造とするならば、それには
きちんとした理由があるはずです。もし、構造要因が問題ならば、なぜ日本
は発展したのかという事の説明が必要だと思います。

 とりとめもない文章ですみません。
Id: #b20030207134541  (reply, thread)
Date: Fri Feb 07 13:45:41 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030205052206
Name: ひめたにし
Subject: 不況が始まった(貨幣的要因以外の)原因
 アサヒ・コムで「非常に質の高い掲示板」として3〜4回はここを紹介したの
ですが、このへんの書き込みだけ読まれた方にはわけがわからないと思ったので、
少し補足しておきます。

 私はもう十分に「構造」という言葉で黒木さんを苛立たせてきた経緯がありま
す。
http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/keijiban/b0040.html#b20020331112156
http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/keijiban/b0040.html#b20020401033646

 黒木さんは、デフレを伴う長期不況突入の原因に関して「金融政策の失敗が決
定的だったのであり、それ以外の要因は相対的にずっと小さい」との立場です。

 前々発言で用いた「構造」を、別の言葉に言い換えます。「貨幣的要因以外の
要因」というのが、かなり近いでしょう。具体的には竹森俊平「経済論戦は甦る」
で述べられている内容が説得的だと私は思います。それを要約すると
・日本型システムは製造業における品質の向上を支えてきたが、非製造業は、日
本型システムによって効率がよくなったとは言われていない。
・80年代中ごろになると、非製造業が依然として銀行に頼り続けたのに対し、製
造業は急速に銀行離れを起こした。
・銀行は優良な貸し出し先を失い、「非製造業の大企業」と「中小企業」の比重
が非常に高くなったが、ダウンサイジングをはかるべきところ、拡張主義に走っ
た。
・日銀も、長期にわたって低金利を据え置いた。
・そしてバブルの崩壊。日本型システムは、企業がリストラをしてコストを減ら
すことが難しいため、この衝撃を吸収しきれなかった。

 あと、「政府・家計部門から企業部門へ富が移転されることには経済効果があ
る」といったん認めたら、「どんどん債権放棄しろ」「銀行に公的資金を投入し
ろ」ということになるかといえば、そうはならないと思います。どの企業や銀行
に富を移転するか誰が決めるんだという問題が必然的についてまわり、「政治家
や官僚は信用できない」という「世間知」が働くからです。アサヒ・コムの議論
では、「一律に資産価格を上昇させる政策のほうがいい」という人ばかりでした。

Id: #b20030205052206  (reply, thread)
Date: Wed Feb 05 05:22:06 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030204180438
Name: ひめたにし
Subject: 「合意された見解はまだない」でしょう
 黒木さん、ご無沙汰しておりました。無視せずに出てきていただいて、うれし
いです。

 アサヒ・コムからこちらをのぞいてみた読者が少しはいるかもしれないので、
ちょっと解説しておきます。いきなり「ほとんどトンデモの域」に驚かれるかも
しれませんが、多くの方が実名で書き込まれるこの掲示板において、匿名で発言
するということは、そもそもかなりアンフェアなのだと認識しておく必要があり
ます。それから、私が全然持ち出していない「韓国経済のV字形景気回復」の話
が突然出る理由ですが、黒木さんの発言は基本的に読者宛てなので、関連情報提
供として触れられたものです。

 まず明言しますが、私はリフレ策を支持していますし、銀行への公的資金投入
にも、政府が関与する債権放棄にも反対です。リフレの手段としては、(少なく
とも初発段階では)日銀による国債買いのみを支持します。前発言で述べたのは、
主に「説明のしかた」に関することです。

 「専門家」とみなされている人たちが互いに反する意見を述べているときに素
人ができることは、「合意された見解はまだない」と理解することです。「どち
らを信用するべきか」と二者択一にしてしまって一方に与するのは、(どんなに
勉強しようと)賢い素人ではありません。

 「政府・家計部門から企業部門へ富が移転されることには経済効果がある」と
いう仮定が正しいかどうか結論が出ていないことは、「経済論戦は甦る」「世界
を不幸にしたグローバリズムの正体」の2冊を読むだけでほぼ理解できました。

 「富の移転の経済効果」があるかもしれないと考えれば、様々なことが納得し
やすくなります。産業再生機構、RCC、銀行国有化などは、公金を企業部門へ
移すための仕組みなのだとわかる。「経済効果」を認めないと、これらは日本経
済全体のための仕組みでなくえこひいきする仕組みかということになります。
 可能性のあることを初期の段階で排除してしまうのは、効率的な思考法とは言
えません。それに、最初の段階で捨て去ったもう一方の道(現状ではこちらがメ
ジャー)について理解できなくなります。

 次に「構造」という言葉について。
 前発言(1)では、具体的な中身のあるもの(製造業大企業の銀行離れによるメイ
ンバンク制の揺るぎなど)を短く表現するために、この言葉を使いました。私は
むしろ、「デフレの経済学」で述べられている不況の原因「M2+CDの増加率が4.4%
を下回るとデフレが生じる。デフレによって不況が生じる」という「循環的説明」
のわからなさの方を問題にしています。山本幸三衆議院議院も、この説明を取り
入れているようですが。
 http://www.yamamotokozo.com/nichigin-5.htm
 「スッキリ!日本経済入門」ではこの説は出てきません。岩田氏は現在どんな
立場なのでしょうか。

 前発言(4)では、「インフレ期待を起こすのに十分な(アナウンス効果以外の)
何か」という意味で「構造的」と書きました。これはたしかに、わけのわからな
いものに取りあえず付けた表現です。

Id: #b20030204180438  (reply, thread)
Date: Tue Feb 04 18:04:38 2003
Name: くろき げん
Subject: 「日本人は問題がわからなくなるとすぐに、これは構造問題だ、と言う癖が昔からあるんだよ」

野口旭の「ケイザイを斬る!」第2回 「構造」なる思考の罠より、

 筆者がかつて深く尊敬していた経済学者が口癖にしていたとされる、有名な言葉がある。それは、「日本人は問題がわからなくなるとすぐに、これは構造問題だ、と言う癖が昔からあるんだよ」というものであった。……

ひめたにしさんの思考の仕方はほとんどトンデモの域に達していると思います。「構造」なる思考の罠にはまってしまっていることを早く自覚した方が良い。そこから自力で脱出したところを皆に見せておかないと後で後悔すると思います。トンデモ経済論にはまるのはある程度仕方がないと思います。しかし、努力すればするほどトンデモになってしまうようではお話にならない。

どしろうとの立場から「専門家」とみなされている人たちが互いに反する意見を述べているときにどちらを信用するべきかという問題は常に難しいのですが、結局のところ真面目に教科書や論文を読んで経済学を勉強して、どちらの側の証拠がより信用できるかを自分なりにチェックしてみるしかないと思います。そのとき大事なことは世間一般に広まっている俗説を全て捨て去ることです。そして、他人を真に説得することは俗説が誤りであることを指摘すること抜きには不可能です。

たとえば、「不良債権問題が現在の不況の主な原因であり、不良債権問題の解決抜きには景気は回復しない」という説があるようですが、残念ながらその説をサポートする証拠はなかなか見付からないんですね。その考え方を信じたい人たちが様々な理屈を付けて一所懸命証拠を探したのですが結局駄目だった。逆にその説が間違っていることに関しては証拠は比較的簡単に見付かってしまいます (『デフレ不況の実証分析』東洋経済新報社を参照して下さい)。不良債権問題に関して竹森氏は誤った意見を述べており、岩田氏の方がどうも正しそうだというのが私の結論です。

たとえば韓国も1997〜1998年のアジア通貨危機が引き金になってひどい不良債権問題に悩まされたのですが、韓国経済のV字形景気回復は不良債権問題が解決する前に実現しています。「韓国の不良債権処理に関する誤解〜不良債権処理が成功した本当の理由〜」 (第一生命経済研究所) の図表5を見ると、1998年に韓国経済はひどく落ち込むのですが、1999年には景気が回復していることがわかります。しかし、景気回復に成功したのはハードランディング的な不良債権処理を断行したからではありません。実際、図表1を見れば韓国の不良債権比率は景気が回復した1999年の末が最大になっています。1999年の景気回復の原因はマクロの財政金融政策です。韓国はマクロ経済政策によって景気を回復させることに成功したからこそ、不良債権問題の方も解決できたのです。 (これも世間一般では丸っきり逆のことが言われている。恐ろしいことに世間一般に広まっている経済論のほとんどが間違っており、その間違った考え方のもとで経済に関する世論が形成されてしまっている。)

理論の政策への応用の仕方に関しても竹森氏よりも岩田氏の方がより優れた結論を出していると思います。情報の非対称性の問題を政策的に解決する努力をする前に債権放棄をいきなり唱えるのは誤りです。


Id: #b20030203043515  (reply, thread)
Date: Mon Feb 03 04:35:15 2003
URL: himetanishi2@yahoo.co.jp
Name: ひめたにし
Subject: リフレ政策について考えること
 朝日新聞掲示板で議論を始める前にも、私には一つの疑問がありましたが、今
ではさらに疑問(リフレ自体への疑問でなく、その説明方法や政策としての具現
化に関する)が増えました。まったくの素人考えにすぎませんが、まとめておき
ます。

(1)循環的問題と構造的問題

 「不況を循環的な要因だけで説明できるのか」というのは、当初から感じてい
た疑問でした。
 これは私の理解ですが、「循環的問題」とは「不況が不況を加速するメカニズ
ム」であって、そもそも最初の不況が生じた時には「構造的問題」が原因として
あったのではないでしょうか。今となっては不況の原因の9割は「不況」、あと
の1割が「構造的問題」という状態でしょうが、やはり構造的問題に触れていな
い「デフレの経済学」のような説明では不完全だと思います。
 構造的問題の中身として私は、クルーグマンが「恐慌の罠」で述べている「日
本の技術革新がアメリカに追いついたことと生産年齢人口の減少」を妥当だと当
初は考えましたが、今では「経済論戦は甦る」で述べられていることが最もコン
パクトで理解しやすいと思っています。
 「デフレ不況の実証分析」も読みましたが、数学的な方法でわかるのは主に
「加速メカニズム」の方だけではないかと感じました。

(2)「借金が帳消しになること」自体に経済効果はないのか

 「経済論戦は甦る」では、「罪と罰」を引き合いに出して、「ただむだにカネ
を持っている人間から奪って、有用な目的を持つ人間に与える政策」に経済効果
がある可能性を述べています。根拠としていくつかの論文が示されています。私
には経済学的にこれが妥当なのかどうかはわからないのですが、岩田らのインフ
レ・ターゲット論では、「富の移転」に経済効果を認める部分がまったく無いと
思います。そこでは「不良債権を処理しても、民間の資金需要が回復しない限り
貸し出しは増えない」だけで説明されますが、これは素人には「不良債権処理に
は経済効果がない」と同義に聞こえます。「スッキリ!日本経済入門」では不良
債権処理の重要性も述べられていますが、それはけじめ(法律・制度)の問題と
してである、と私には読めました。

(3)金融再生プログラムの本質は「モラル」か

 「借金が帳消しになること自体に経済効果がある」と認めない説明では、竹中
大臣らが進める政策の意味が素人には理解できません。市場原理を徹底すること
をめざしているはずなのにRCCや産業再生機構で公金による補填をもくろむな
ど、単にちぐはぐな政策に見えます。
 それを説明するために、リフレ派からは「モラル」がしばしば持ち出されます
が、これは金融再生プログラムのホンネではないのではないでしょうか。本当の
目的は、「政府・家計部門から企業部門への富の移転」にあるのでは?推進者は
本能的にそれが経済を回復させる可能性があることを察知しているのに、「創造
的破壊」という表向きの理由を自分自身信じ込んでしまっている。または、確信
犯的に「富の移転」をめざしているけれど、それは国民が許すはずがないから嘘
をついている。ということはないのでしょうか。だとすれば、「富の移転自体に
経済効果がある」と肯定した上で、「できの悪いところほど助ける」ようなやり
方でなく、「がんばったところから助ける」やり方を対案として提出することも
できるのではないでしょうか。

(4)インフレ期待をどうやって起こすのか

 インフレ期待が本当に起これば不況が終わるのは確かでしょうが、インフレ目
標論の大部分は、実際にインフレ期待が起こった「後」の好循環を説明するもの
でしかないと思います。期待を起こすには「政策レジームの転換」が必要と言わ
れます。それは「首相や日銀総裁が強くアナウンスすること」を指すようです。
 でも、今も昔も、政治家が何か言ってすぐに信用されるなんてことがあったで
しょうか。(独裁国家は別にして。)世界恐慌の時で言えば、「金本位制放棄」
こそがインフレ転換ショックになったのでは?いつでも金に交換できるはずの紙
幣が、突然ただの紙切れになる。これはすごいことです。無学な大衆に至るまで
即座にその意味を理解し、たちどころに全体の行動が変わったのでしょう。
 (1)で、不況が始まった原因は構造的ではないかと書きましたが、不況の終わり
にも、構造的な何か(非意図的に蓄積したり起こったりするもの、あるいは人為
的に起こすもの)が必要なのではないでしょうか。

(5)「不良債権残高目標」はどうか

 現在、政府がインフレ・ターゲットを採用するか微妙な情勢です。採用されて
そのような日銀総裁が選ばれるならいいのですが、政治的にやはり「インフレ」
と名の付くものが採用されがたい場合、かわりに「不良債権残高」がリフレ策の
目標になり得ないでしょうか。
 そもそも「インフレになること」は、景気回復の必要条件なのでしょうか。物
価上昇を伴わない景気回復はありえないのでしょうか。「不良債権残高目標」の
方が、経済厚生上の要請を的確に満たし、かつ政治的にも納得されやすいという
ことはないでしょうか。「デフレが原因で不良債権が発生する」なら、不良債権
残高は物価上昇率と同様に金融緩和のターゲットになり得ると思います。

 もちろんこの目標は、「銀行に強制的に不良債権処理させることによって達成
する」と解釈されては合成の誤謬を招く危険があります。「不良債権の新規発生
を銀行の収益力で処理できるレベルまで抑える=新規発生と銀行収益についての
ターゲット」と正しく理解された上でなら有効ではないかという発想です。

(6)日銀による国債買いを「不良債権処理原資としての通貨発行益供給」と考えら
れないか

 「スッキリ!日本経済入門」では、日銀による国債買いで資産価格が上昇する
経路は「マネーが各種資産(債券、株式、投資信託、ドル建て預金、不動産投資
信託、不動産)に向かうから」としていて、従来の主張と変化はありません。
 私は、この経路の現実性に疑問があります。銀行の現状では、運用先は極度に
リスク回避的にし、そこで上がるわずかな収益は不良債権処理に使うのが責任あ
る経営戦略ではないでしょうか。
 日銀が「不良債権処理原資として銀行に通貨発行益を移転する」と表明して国
債買いを行う政策は考えられないでしょうか。これまで続いた金利低下も、すで
にそういう側面を持っていたと思います。
 極端な話、10年国債なら10年分の金利を、30年国債なら30年分の金利を前払い
してでも買いまくれば、銀行に相当な富が移転されるでしょう。必ずしも「不良
債権処理=デフレ圧力」でなく、「お金のない不良債権処理」「買い手に値切ら
れる不良債権処理」がデフレ圧力になるのですから、銀行が不良債権処理原資を
持つ(それも、公的資金投入のような方法でなく、資産運用や売却益として得る)
政策が必要だと思います。

 以上、まったくの素人考えで、特に(5)(6)は突飛な発想ですから、御笑覧くだ
さい。
 はじめてこちらへお邪魔したのは昨年3月3日でした。その時には、経済の本
など一冊も読んだことがなかった私ですが、教えていただいたことを出発点に自
分なりに勉強して、経済の「おもしろさ」をつかむことはできたと思います。ど
うもありがとうございました。

Id: #b20030203042526  (reply, thread)
Date: Mon Feb 03 04:25:26 2003
URL: himetanishi2@yahoo.co.jp
Name: ひめたにし
Subject: 朝日新聞掲示板での「インフレターゲット」議論概要
 朝日新聞社の掲示板「ひとこと言わせて!」が休止になり、過去の発言の閲覧
もできなくなりました。必然的に、私が下記発言以来続けていた議論も打ち切り
となりました。
http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/keijiban/b0042.html#b20020410061112
 約10ヶ月間でしたが、その概要を御報告します。(それにしても、黒木さん
の掲示板は最近ずいぶん静かになってしまったようですね。)

 発言番号(投稿数)は904番に至り、発言数は799件でした。(この差は、投稿
しても掲載されない発言、または投稿者自身が削除する発言があるために生じま
した。)参加者が何人くらいだったかは数えていませんが、30〜50名くらいでは
ないかと思います。(適当。)
 私が書いた内容は、一発言一テーマで、自分が読んだ本から引用して解説する
というものでした。質問が出ればそれに答える、他の発言者が来なければ、自分
が選んだテーマや時事問題の解説を延々と続けました。どんな質問に対しても
「この本を読め」「勉強しろ」とは言わず、「私が読んだ範囲ではこうです」と
答え続けました。

 議論を始めた目的は4つありました。「不特定多数の人がインフレ誘導政策に
ついてどう考えているか知る」「反対する人はどんな理由でそう考えるのか知る」
については、おおよそ、この掲示板または苺びびえす・2ちゃんねるでもよく見
るような反応でした。
 「短い言葉でこの政策が説明できるのか検証する」については、思ったよりも
納得されやすいと感じました。
 「『構造的な問題を持ち出す方が理解されやすい』という仮説を検証する」に
ついては、私は「仮説は正しい」と思いました。理由は別発言でまとめます。

 また、副効果として、インフレターゲット政策を多少とも流布でき、朝日新聞
社に対してこの政策への関心の高まりを印象づけることができる、関連の本を宣
伝できる、を狙っていましたが、いずれもそれなりに達成されたと思います。
 というのは、非常にアクセスの多いサイトだったからです。掲示板全体では、
一日あたり数十〜百数十の発言がありました。また、検索順位も高く、現時点で
はまだ検索できてキャッシュで読めますが、Googleで「インフレ・ターゲッティ
ング」「竹森俊平」「下方硬直性」「資金循環統計」で検索すると、どれも1ペ
ージ目に出てきます。(これらは発言のタイトルに使用した単語。)

 そして、読者層が幅広いことも特徴でした。教育・科学・生活・趣味・恋愛・
家族など、あらゆるジャンルの投稿が可能であるにもかかわらず、固定ハンドル
のみ、管理者のチェックが入るので、フリーの掲示板のようにノイズが多くあり
ませんでした。このため、通常はあまり経済の記事に関心のない方も、他ジャン
ルから流れて読者になってくれていたようです。特に、掲示板閉鎖まぎわに、私
の発言を読んでいたと表明された隠れ読者の方たちがいらしたことには驚きまし
た。

 私がこういうことを始めたのは、黒木さんがしておられた解説を読んだのがき
っかけでした。黒木さんがやってらしたことを、より大衆的なスペースで試みた
というところです。やはり、素人が質問して答えてもらえる掲示板というのはニ
ーズがありそうだと思いました。素人の疑問がはさまれずにどんどん進む話は、
素人にはわかりません。私(経済の素人)が本を読んで引用しながら解説するだ
けでも、多くの人に政策の内容を伝えられたと思いました。

 私は個人的な事情で、もうどこにも書き込みはしないつもりですけれど、黒木
さんにはまた以前のように色々と解説していただきたいなと思います。(勝手な
希望ですが。)

Id: #b20030126234101  (reply, thread)
Date: Sun Jan 26 23:41:01 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030126215233
Name: ときた
Subject: 線と緑

活版の時代に多かった誤植では?
昔受け取った町内会の回覧板で、士人の交わりが、土人の交わりと正しく誤植されているのに感動したことが。
Id: #b20030126215233  (reply, thread)
Date: Sun Jan 26 21:52:33 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030125231325
Name: 青木重幸
Subject: ありゃ〜

吉田健一の翻訳だからと信用してそのままアップしてしまったけれど,「裏表とも線と赤の込み入った図案が印刷してあった」はまずかった.原文は

In size, shape and texture it resembled an English five-pound note and was printed on both sides with intricate engraved devices of green and red.

なので,「線と赤」ではなく「緑と赤」の間違いでした.

このデフレ下では,宰相の息子が乞食をやってもギャグにならず,石が飛んでくるかもしれません.


Id: #b20030125231325  (reply, thread)
Date: Sat Jan 25 23:13:25 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030119230025
Name: 青木重幸
Subject: 黄色いいたずら?

 「何ですか,これは」とバシルは答えて,その紙を取り上げて念入りに調べた.
 それは大きさ,形,紙質がすべて英国の5ポンド紙幣によく似た1枚の紙で,裏表とも線と赤の込み入った図案が印刷してあった.その中にはアザニア産の鷲や,アザニアの地図や,近衛歩兵連隊の軍服を着た兵隊や,飛行機や,豊富角を持った女神などが認められたが,一番大きく場所を取っているのがシルク・ハットに燕尾服を着たセスの,丸い枠に囲まれた肖像で,真ん中に《5ポンド》と草書体で刷ってあり,その上に《アザニア帝国銀行》,そしてその下にはセスの署名の複製がしてあった.(イーヴリン・ウォー『黒いいたずら』吉田健一訳,白水社,1984年)

サプライサイドのしっかりしていない途上国で,自分の肖像の入った紙幣をかってに印刷してしまうのが Black Mischief.逆に,デフレの日本で,お金を刷らない,じゃなかった,断固としてインタゲを導入しないのが Yellow Mischief?

日銀の速水優総裁は24日の記者会見で,政府・与党の一部で導入論が強まっているインフレ目標策について,「経済を不安定化させるし,必ず達成されるという自信も持てない」と述べ,改めて導入を否定した.(毎日新聞2003年1月25日朝刊)

Id: #b20030119230025  (reply, thread)
Date: Sun Jan 19 23:00:25 2003
URL: himetanishi@yahoo.co.jp
Name: ひめたにし
Subject: 朝日新聞の掲示板が休止になるので
 ごぶさたしております。朝日新聞の掲示板でずっとゴキブリ活動をしていまし
たが、この掲示板が1月31日をもって休止になり、閲覧もできなくなることに
なりました。あと10日ほどですから、ちょっとのぞいてやろうと思われる方は、
のぞいてみてください。
 インフレ・ターゲットが受け容れられやすい社会状況になってきているのでは
と、だんだん感じるようになりました。
 http://board.asahi.com/nat/board/index.php?qid=498

Id: #b20030113232312  (reply, thread)
Date: Mon Jan 13 23:23:12 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030113003728
Name: マリルの母(ではなくやまがた)
マリルの母でございます。このたびは娘がずいぶんと恥ずかしいまねを
しでかしたそうで、まったくなんとお詫びしていいやら。あの子は昔か
らそういう粗忽なところがございまして……

もとい、そういう部分は読み飛ばして見逃してしまいました。なるほど
参考になります。ただまあ通俗理解というのはその程度ではないかと。
ちなみに経済学方面は、特にポカは(ぼくが見た範囲では)見あたりません
でしたでございます。


Id: #b20030113003728  (reply, thread)
Date: Mon Jan 13 00:37:28 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030102104300
Name: 青木重幸
Subject: ナッシュ均衡解がわかりません

日銀の次期総裁がだれになるかというこの時期に,話の流れをそらしてしまうことをご容赦ください.『ノーベル賞経済学者に学ぶ現代経済思想』の著者マリル・マッカーティの進化生物学の理解は「かなり怪しい」から「かなりヒドい」に,1ランク上昇です:

「十分に合理的なプレーヤーならば合理的な解があることに気づき,それを明示的な交渉によるのと同じくらい簡単に,黙示的な交渉で達成することができる.動物でさえも生物学的な進化の過程で,一種の黙示的な交渉を用いることがある.進化における交渉では,種の個体の潜在的な繁殖率が利得として与えられ,個体間の闘争水準の違いが戦略となる.二匹の獰猛な動物の闘いは,おとなしい動物の争いに比べてその種により大きな負担をかけるだろう.獰猛な闘いは繁殖率を下げ,種の存続そのものも危うくしかねないからである.おとなしい種の多くは,後ろに曲がった角や対決を思いとどまらせる威嚇的な唸り声といった,相手の命を奪うことのない武器を進化させることによって,獰猛な種よりも繁殖率を高めてきた.致命的な闘いを減らすと同時に,このような特質はその種全体の生き残りの可能性を高めてきたのかもしれない(この話の二つのナッシュ均衡は何かおわかりだろうか).」(488-489頁)

わかりませ〜ん.

ほぼ間違いなく,マッカーティは,ここで進化ゲームの1種「タカ・ハトゲーム」をイメージしているのだけれど,進化生物学者がとうの昔に捨て去った「種にとって有利」式の説明を持ち出してしまっている.

タカ・ハトゲームでは,希少資源をめぐる争いにおいて,タカ派戦略者がハト派戦略者と対戦すると弱気のハトが逃げ出してくれるので,タカ丸儲け.では,なんでタカがハトを集団から排除して100%にならないかというと,タカはタカと対戦すると,やくざどうしの喧嘩のごとく,傷つけあって平均利得が低くなってしまうからだ.たとえば,2個体の対戦による利得が下のようになる場合(R.ドーキンズの『利己的な遺伝子』の数値事例)では,タカもハトも100%になれず,7:5の比率で均衡する.

    タカ  ハト
タカ  -25   50
ハト    0    15

マッカーティの問いは,2人のプレイヤーが2種類の戦略(タカ派戦略とハト派戦略)を使うゲームのナッシュ均衡解を求めよということなのでしょうか?これなら,タカ・ハトゲームではなくチキンゲームだから,「タカ,ハト」と「ハト,タカ」の戦略の組が2つのナッシュ均衡になりますね.でも,これがほんとに正解??

「軍事史家ジョン・キーガンは,太古の人類の中にも獰猛な闘いに対する抑制が存在していたことを発見した.彼らは種の存続にとってマイナスになる行動に加担するよりも,儀式を通じて対決を阻止したのである.こうして人類は,今のところ進化の可能性には深刻なダメージは与えずに,戦いの踊りから馬上試合へ,チェスからビデオゲームへと進歩してきた.」(489頁)

太古の人類も,四つ足の動物も,たんに死ぬのが嫌だったのです.「種の存続にとってマイナスになる」戦争の結末を予測してそれを避けることができるのは,現代の私たちくらいのものでしょうよ.戦争の悲惨さを,チキンゲームに利用しようとする場合があるにせよ.

マッカーティは,ノーベル生理学賞受賞者(K.ローレンツ)からも学んでしまったようです.

P.S.ときたさん,ありがとうございます.山形さんの書評みてきました.


Id: #b20030102104300  (reply, thread)
Date: Thu Jan 02 10:43:00 2003
In-Reply-To: b0052.html#b20030102003727
Name: ときた
Subject: どうぶつ社や

その本の山形さんによる書評はhttp://book.asahi.com/review/?info=d&no=2070に。
それより、東大出版やどうぶつ社のアブラムシの著者がゴキブリ歓迎さいとにお越し下さるというのも奇縁。
Id: #b20030102003727  (reply, thread)
Date: Thu Jan 02 00:37:27 2003
Name: 青木重幸
Subject: 『ノーベル賞経済学者に学ぶ...』

はじめての書き込みです.進化生物学をやっている青木と申します.この掲示板や莓板で啓発され,すっかりリフレ思想に感化されました.

さて,正月にと思い,買っておいた本『ノーベル賞経済学者に学ぶ現代経済思想』(マリル・ハート・マッカーティ著,田中浩子訳,日経BP社,2002年)を読み始めたところ,びっくり:

「ベッカーより先に,社会生物学者はエゴイズムに対する一つの例外に気づき,それを血縁選択と名付けた.用語からも察しがつくとおり,血縁選択はある特定の科の適応を促す.適応度は生き残っている子孫の個体数によって定義される.その科の遺伝子をできるだけたくさん受け継ぐためには,生き残る個体数が多い方が断然有利である.同じ科に属する個体間に利他主義が働くことによって,科の遺伝子の生き残る確率は高くなり,将来の世代にわたって遺伝子が持つ質の優位も促進される.しかしベッカーは,一つの科の合理的メンバー(個体)は,一つの科だけにとどまらず別の科の個体にも利他主義的行動を取る理由があると主張した.」(50-51頁)

アマゾンで原著を購入してチェックしようと思ったのですが,あいにく在庫切れでした.でも,"family" を「科」と翻訳してしまったのですね,たぶん.

上の誤りは訳者の責任でしょうが,著者の進化生物学の理解もかなり怪しい:

「ある種が生き残って進化しようとするなら,その生物は「エゴイスト」でなければならない.エゴイストにとって,種が持つ最強の遺伝子の伝達者を守ることは,他の弱い仲間を守り育てるよりもはるかに合理的なことなのだ.」(50頁)

およそ,普通の生物には「政府」にあたるものはありませんから,マクロ政策や産業政策のようなことはできません.だから,種は「生き残って進化しようと」はしないし,「種が持つ最強の遺伝子の伝達者を守ること」もしません.種の複製(種分化)と絶滅は,個体の複製(生殖)と死に比べて桁外れに稀なので,種全体の適応に訴える説明は,ほとんどの場合誤っています.

この本の後半の経済の話は,信頼して大丈夫なのでしょうか?


Id: #b20021220132455  (reply, thread)
Date: Fri Dec 20 13:24:55 2002
Name: 声の出るゴキブリ
Subject: 青木氏講演断片感想
昨日の青木氏の講演を断片的に聞きました。

彼によると93年以降、デフレショックでデフレだそうです。そのショック
のなかみは「中国発デフレ」。

質問する機会はなかったのですが、ごく少数(ふたりほど)を除いて
プロの方々がなんの疑問ももっていない印象をうけましたよ。

他の話は断片的にしか聞きませんでしたが、あの大著のダイジェストです。

以上。印象記おわり。

Id: #b20021206092837  (reply, thread)
Date: Fri Dec 06 09:28:37 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021129170031
Name: 声の出るゴキブリ
Subject: ノーベル賞関連??ネタ
以下の公開講演会があります。どなたでも参加できます。

1.日時: 12月19日(木) 16:20−17:50
2.場所: 小野講堂 (東京都新宿区早稲田 早稲田大学内)
3.講師: 青木昌彦 (産業経済研究所所長、スタンフォード大学経済学部教授)
4.演題: 「比較制度分析と経済学の将来」




Id: #b20021130181616  (reply, thread)
Date: Sat Nov 30 18:16:16 2002
Name: 前田敦司
Subject: 米国のインフレターゲッティング:グリーンスパンの決意表明

はじめまして。前田敦司と申します。大学で計算機科学を教えています。 (言わずもがなですが、先生とは呼ばないで下さい。) 個人的に、現在の 日本の経済政策に関心(と失望)を抱いています。といっても経済学の 知識はあまりなく、やまがたさんのページのリンク・クルーグマンの著書数冊・ 岩田規久男氏の「デフレの経済学」などを読んで勉強しています。

本題: 日銀はいろいろな言い訳をしてインフレターゲッティングを否定していますが、 一方FRBは必要ならばやるという態度を表明していますよね。 グリーンスパン 自身の言葉があったので紹介します。

「米経済: デフレ懸念現実化なら、量的緩和辞さず FRB議長」(毎日Interactive)
要約: 「ゼロ金利になったら打つ手がなくなるのでは」という質問に対して、 「以前にもFRBは長期国債を大量に買い入れて資金供給した実績がある。 今後も、必要なら中長期国債を買い入れてデフレを全力で阻止する。」と答えた。

「マネタイズはまともな国のやることではない」などと 言い訳していた人たちは、どう答えるのでしょうか。


Id: #b20021129170031  (reply, thread)
Date: Fri Nov 29 17:00:31 2002
Name: 声の出るゴキブリ
Subject: ノーベル経済学賞
明日の朝日の別刷りのBeがノーベル経済学賞をなぜ日本人はとれない?みたい
な特集があって、そこで全受賞者の経済思想の位置づけを「下請け」的にやり
ましたのでご覧下さい。本人は楽しみながら分類したけど、ちょっと傍目からは
批判大いにありかもしれない。ちなみに日本の経済学者で一番引用回数の多いのは
誰でしょ? 答えは……

Id: #b20021122123233  (reply, thread)
Date: Fri Nov 22 12:32:33 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021122111621
Name: くろき げん
Subject: バーナンケ曰く「日本がデフレ脱出に失敗しているのは、実行可能な手段が存在しないからではない。政治的デッドロックのせいである」

バーナンキが言いたいことは Subject にあるようなことのようです。こういう人物が中央銀行の政策決定に力強く関与しているというのはうらやましい話だよな。

このタイトルもいいですよね。これとは対照的に速水日銀総裁は「良い物価下落」説を唱えていたんだよなあ。引用:

Second, and more important, I believe that, when all is said and done, the failure to end deflation in Japan does not necessarily reflect any technical infeasibility of achieving that goal. Rather, it is a byproduct of a longstanding political debate about how best to address Japan's overall economic problems. As the Japanese certainly realize, both restoring banks and corporations to solvency and implementing significant structural change are necessary for Japan's long-run economic health. But in the short run, comprehensive economic reform will likely impose large costs on many, for example, in the form of unemployment or bankruptcy. As a natural result, politicians, economists, businesspeople, and the general public in Japan have sharply disagreed about competing proposals for reform. In the resulting political deadlock, strong policy actions are discouraged, and cooperation among policymakers is difficult to achieve.

In short, Japan's deflation problem is real and serious; but, in my view, political constraints, rather than a lack of policy instruments, explain why its deflation has persisted for as long as it has. Thus, I do not view the Japanese experience as evidence against the general conclusion that U.S. policymakers have the tools they need to prevent, and, if necessary, to cure a deflationary recession in the United States.

Yahooの方でのロイターの記事

要約すれば、 FRBはデフレを防ぐための手段を持っているし、実際にそれを実行するので、アメリカがデフレに突入することはない、という内容。「ゼロ金利に迫ったとしても、講ずべき手だてはある」「金融政策はインフレ水準を維持するもの」というのも良いですね。日本のようにデフレを維持し続ける政策は論外だが、インフレ率をゼロまで下げてしまうのもいけないということだ。

日本の中央銀行も「デフレを脱出してマイルド・インフレが実現するまで長期国債買い切りオペなどを通してのマネーの供給を続ける政策」に強くコミットして欲しいものだ。次の日銀総裁を誰に選ぶかで小泉首相および官邸がどれだけまともかがはっきりすることになる。


Id: #b20021122123212  (reply, thread)
Date: Fri Nov 22 12:32:12 2002
Name: はしもと
Subject: ベルナンケ

http://www.federalreserve.gov/boarddocs/speeches/2002/20021121/default.htm
Id: #b20021122111621  (reply, thread)
Date: Fri Nov 22 11:16:21 2002
Name: やまがた
Subject: デフレ退治もやるって。ところで

ところで前のポストとは別のデフレ退治宣言記事 の最後で、ベルナンケが

「また日本のデフレは、経済問題に関する長期にわたる論争の副産物だと指摘した。」

という得体の知れないことを言ったことになっているんだが、それに対応する原文を見るとそんなことはまったく書いていない。これはいったい何なんだろう?


Id: #b20021122110805  (reply, thread)
Date: Fri Nov 22 11:08:05 2002
Name: やまがた
Subject: ベルナンケは、アメリカはインフレターゲットやるぞと宣言(私見とはいえ)
http://www.reuters.co.jp/news_article.jhtml;jsessionid=BXMIXFQ0EPRZ2CRBAELCFFA?type=businessnews&StoryID=1785269

Id: #b20021119002554  (reply, thread)
Date: Tue Nov 19 00:25:54 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021106115234
Name: くろき げん
Subject: 稲葉振一郎氏の「地図と磁石」第6回「左翼がはまった罠」

稲葉さんの連載の第6回がやっと出てました。

第6回 左翼がはまった罠──モラリステッィクな「構造改革」の徹底でOK?

竹森氏が紹介した Caballero and Hammour の仕事は以下で読める:

ここの514-516に竹森氏による Caballero and Hammour の仕事の紹介の引用を読める。「不況にも良いことがある」などと気軽に言うのは非常にまずい。 (白状しますが、少し前までは私も気軽にそう言ってました。「ゼロ成長でも豊かな社会」なんてのも今の日本の現状を見ていると非現実的過ぎて相当にやばい考え方だと思う。)


Id: #b20021118001021  (reply, thread)
Date: Mon Nov 18 00:10:21 2002
Name: くろき げん
Subject: 日本経済新聞2002年11月14日(木)第25面の岩田規久男氏の経済教室は必読

色々忙しくて重要な話題があるのに黙ってしまってますが、これだけは見逃せないので紹介しておきます。

日本経済新聞2002年11月14日(木)第25面に掲載されている岩田規久男氏の経済教室は必読! 本当はいつものように自分の言葉で紹介したいのだが、なんとかして原文を読んだ後で、いつもお世話になっているいちご経済版でのすりらんかさんのコメントを参照して下さい。

その経済教室のアブストラクト:

 総合デフレ対策はデフレを加速し、政府の関与を強化して、ツケを納税者に回す政策である。金融と産業を再生するにはインフレ目標と時限的な財政赤字拡大によるデフレ脱脚が不可欠だ。その下で情報開示の強化や税制改革などにより市場主導で金融と産業を再生すべきだ。

「痛みに耐えて我慢しろ」と言いながら政府関与を強化してツケを納税者に回す可能性の高い政策を実行しようとすることに反対し、「痛みを我慢する必要はない」と言いながら政府と中央銀行はデフレの終了と景気の回復させることを約束して、「政府は余計な口出しはしない。産業再生は民間でやってくれ」という方向に政策が転換しないと非常にまずい。反対すべき政策があたかも「正義に適った政策」であるかのように語るマスコミもしくはマスコミに露出している評論家も何とかならないものか。

毎日のようにこの岩田氏の経済教室のような意見が日経新聞に掲載されると嬉しい。同ページの浜田宏一氏の「フィッシャー」も面白かった。


Id: #b20021118000628  (reply, thread)
Date: Mon Nov 18 00:06:28 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021021041219
Name: くろき げん
Subject: 安井至氏の暴走の続き

これこれの続きのこれ。「グローバリゼーション」という言葉の意味が不明。「普通の市民」の「銀行の行動」に対する「相当の反感」をどう考慮するべきだと考えているかも不明。「反感」のような感情で経済政策を決定されてしまうと皆が迷惑する。文藝春秋の元記事の方がかなりダメだったことを考慮しても突っ込みどころ満載。二つ目の (読む価値のある) これを安井氏に送った方に期待したい。


Id: #b20021116153420  (reply, thread)
Date: Sat Nov 16 15:34:20 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021116072116
Name: やまがた
Subject: 銀行

 銀行というのは、貸し出せるお金に制限があるんです。そのためにこういうのが問題になるんです。

 まず絶対額の制限はあります。みんなから預金を集めて、それを貸し出しているわけだから、まず総預金額というのが一つの制限になることはわかりますよね。するとペイオフというのの意味もわかるでしょう。特に預金が逃げる可能性のある弱い銀行の場合には(ちなみにシティバンクはいまでも預金保護していません)

 特に銀行は、みんなが根拠レスにやばいと思う --> いっせいに預金を引き上げる --> 本当に金がなくなって倒産する という事態が起こりかねないので、神経質になっているのです。

 次に、絶対額ではないけれど、規制上の制限があります。銀行は貸し出すときに、貸出先のやばさに応じて、手元にお金を積み立てておかなくてはなりません。やばいところほど積立額は増えます(で、積立額は規制されています)。回収できなくなったときに、銀行自体がこけないように、という配慮からこうい規制をしているんです。さて、審査がきびしくなると、いままで少額ですんだ積み立てを積み増さなくてはならず、貸せる金が減るわけです。下手をすると、それで積立金が用意できなくなって経営がたちゆかなくなることもあります。

 資本注入というのはそれに対して「じゃあ政府がその積み立てるための金を用立ててやる」という話です。が、出資するというのは口を出す and/or 配当を受け取るということです。すると既存の株主の口出し権や、受け取れる配当は減る可能性があるのです。だから銀行側もそんなにやりたがらない。「日本の金融再生ナントカってダメすぎ」参照。またもう一つ、シバキ主義的な立場として、潰れる銀行は潰すべきだから、資本注入して甘やかすべきじゃない、という発想もあります。

 てなことです。ここらへん竹森「経済論戦は甦る」の説明はわかりやすいので、余裕があればどうぞ。


Id: #b20021116101528  (reply, thread)
Date: Sat Nov 16 10:15:28 2002
Name: ひめたにし
Subject: 朝日新聞「e-デモクラシー」
 たいへん御無沙汰しておりました。
 最近の私は、よりゴキブリ性が増してきて、こげ茶色のものについ目が行って
買いそろえています。もともと通勤用のバッグと靴はこげ茶を愛用していました
が、こげ茶のポーチ、こげ茶のジャケットなど、衝動買いしてしまいました。
 ところで、現在、朝日新聞社がネット上で「e-デモクラシー」という企画をや
っています。テーマは「どうする不良債権処理」。田中直毅、金子一義、五十嵐
文彦、福島瑞穂、中井省の5名の意見表明者に対して一般市民が意見を述べ、各
氏から個別に回答がある、というスタイルで進んでいます。
 この中では、中井氏の発言が最もまともで、五十嵐氏の発言が最も危険なよう
に私には思えます。この企画は朝日新聞紙上でも内容の一部が紹介されます。ま
ともな論者を応援する投稿と危険な論者に反論する投稿が一つでも増えれば、黒
木さんが言われていた「リストラ」をちょっとでも加速できるのではないでしょ
うか。
 賛同される方は
 http://www.asahi.com/e-demo/
 前例では、この企画の期間は40〜50日間です。既に開始から1ヶ月経過してお
りますので、あと10日ほどは続くものと思います。

Id: #b20021116072116  (reply, thread)
Date: Sat Nov 16 07:21:16 2002
Name: arai shunichi
Subject: 日本の経済政策

みなさんの説明のおかげで、景気対策(デフレ対策)の必要性はかなり理解できるようになってきました。ただ経済はまだ入門すらしていない素人レベルなので、いくつか分からないことがあります。

・銀行の債権評価厳格化と、公的資金注入の善悪

これが構造改革論(しばき論?)であるのは良くわかります。が、これが実施させると、どのような影響が考えられるのでしょうか?
私に想像できるのは、債権評価が厳格化されれば、企業への貸出査定が厳しくなって潰れる会社がたくさん出るかもということです。公的資金注入のほうは、良くわかりません。銀行の資本と大口株主が増えたところで、さしたる影響がないような気がしますが。

・ペイオフ解禁とか

これは岩田氏も延期せずやるべきとあります。が、どのようなメリットがあるのでしょう? 合理的には、お金をたくさん持っている人が複数の銀行に預金を分散させるだけですよね。信用力の低い銀行から預金が逃げるという説がありますが、多数の銀行に預ければ1預金あたりを1千万以下にすることができますから、単純に預金の分散をするのが合理的では。

銀行に信用力をつけるインセンティブを与えたい、ということかと思うのですが、その手段はこれしかないのでしょうか。全額預金保護のまま、信用力で預金保険料をかえるといった穏当な手段はとれないのかな?

2002年4月末の銀行数が134だそうですので、理論的には13億4千万円まで無リスクで預けられますね。

上記の二つは、やる、やらないが議論されているのに、メリットやデメリットについて充分に説明されているとは到底思えません。

Id: #b20021113174107  (reply, thread)
Date: Wed Nov 13 17:41:07 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021106004834
Name: 鈴木・ホセ・保是
Subject: 2002.11.08の毎日新聞の社説では…

ご存知のことかもしれませんが、情報提供、ということで。

: もしも毎日新聞サイドが「“物価下落を止めてはならぬ”という社説
: は誤りであった」とはっきり認めれば素晴しいことだと思います。

下記URLにある社説のバックナンバーでは、「米利下げ 日米ともゼロ金
利は間違い」とのことで、内容も(レベルも)従来の通りのようですから、
遠い将来に属することのような。気がします。

http://www.mainichi.co.jp/eye/shasetsu/200211/08-1.html
Id: #b20021106115234  (reply, thread)
Date: Wed Nov 06 11:52:34 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021106004834
Name: いなば
Subject: くろきはんくろきはん

そらあんた、4ヶ月も前のやつや。
第6回はもうじき出ます。
Id: #b20021106004834  (reply, thread)
Date: Wed Nov 06 00:48:34 2002
Name: くろき げん
Subject: 野口旭の「ケイザイを斬る!」 第1回 人々はなぜデフレを好むのか

野口旭の「ケイザイを斬る!」、「第1回 人々はなぜデフレを好むのか」、 ALT BIZ

野口旭氏が「ワースト・ワン」と呼んでいる記事はこれ (「デフレ宣言 物価下落を止めてはならぬ」毎日新聞2001年03月17日)。野口旭氏の批判は厳しいのですが、もしも毎日新聞サイドが「“物価下落を止めてはならぬ”という社説は誤りであった」とはっきり認めれば素晴しいことだと思います。

P.S. 稲葉さんの連載の「第5回」のタイトルが出てますね。「反体制的知識人の「構造改革主義」に対するスタンスの乱れのワケ」


Id: #b20021104232751  (reply, thread)
Date: Mon Nov 04 23:27:51 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021104222423
Name: くろき げん
Subject: 「なんでも1」(a.html)に引っ越しましょう

泉さんの「新理論」へのコメントは「なんでも1」の方でよろしくお願い致します。

そして、黒崎宣博さんへのコメントはこちらでお願い致します。


Id: #b20021104222423  (reply, thread)
Date: Mon Nov 04 22:24:23 2002
Name:
Subject: 新理論です

全く新しい考え方です。ご検討お願いします。 http://isweb46.infoseek.co.jp/novel/uzu0211/
Id: #b20021031051205  (reply, thread)
Date: Thu Oct 31 05:12:05 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021030234639
Name: くろき げん
Subject: 期待形成には強いコミットメントが必要

日銀当座預金残高の誘導目標を上限のある分量で決めてしまうと、その目標が達成されてしまうと伸び率はゼロになってしまいます。実際、日銀当座預金残高10〜15兆円の誘導目標が達成された後はマネタリーベースが伸び悩んでいます。この点については金融経済統計:マネタリーベース (2002年 9月)を見て下さい。

上限のある分量ではなく、伸び率をマイルド・インフレが達成されるまで高く保ち続けるというようなタイプのコミットメントが必要だと思います。

あと、長期国債の買い入れ額を1兆億円から1兆2000億円に増やしたようですが、たったの2000億円増やして何か影響があるのか大いに疑問。

ところで、最もよく見掛ける反対論に「銀行からマネーが外に出て行かないから、銀行からどんなに国債を買っても効果がない」という意見があります。しかし、「銀行からマネーが外に出て行かない」というのは単純に誤りです。

そもそも、 1930年代の昭和恐慌でもアメリカの大恐慌でもひどいデフレを伴う恐慌からの脱出時に銀行貸出は増えてないんですね。銀行貸出の増加抜きで恐慌から脱出している。銀行貸出の上昇は3〜4年遅れてからです。この事実をCSFBの日本経済ウィークリーで知ったときには非常に驚きました。安達誠司さんによる2001年11月16日74号の報告を見て下さい。

しかも、当時の日本やアメリカも現在の日本も企業部門が資金余剰主体になっているという点が共通している。おそらく、企業部門が資金余剰主体になってしまうのはデフレ下では普遍的に起こり得ることなのでしょう。現在の様子は、1999年度までの分は日銀の「資金循環統計からわが国の金融がどこまでわかるか」の図表3「部門別にみた資金過不足の推移」で見ることができます。その後の企業部門の資金余剰の様子は岡田靖さんによる2002年9月13日号での報告を見て下さい。岡田さんによれば、日本の法人企業の総体は設備投資を減らして負債を圧縮して内部留保を増やすことによって、年間で20兆円を超える余剰資金を生み出している。

20兆円はGDPの4%にあたる数字です。景気が良い悪いというのはGDPが数パーセント余計に伸びるか伸び悩むかという話なのでこれは大変な数字です。その数パーセントのせいで失業や倒産が増えまくってしまうことになる。

現在の日本の企業部門が生み出している膨大な余剰資金をどうすれば設備投資に向けることができるかは非常に重要な問題です。この点に関しては、資産デフレとデフレを終了させれば大変な好影響が期待できます。

さて、日銀が銀行から国債を買っても銀行が何もしなければマネーは外に出て行かないのか? 日銀には通貨発行益を政府に納める義務があります。だから、日銀が買った国債に支払った政府のお金は日銀から政府に戻って来ることになります。したがって、日銀が国債を買えば買った分だけ将来の納付金の形で政府を通してマネーが必ず外に出て行くことになります。

実際には銀行が何もしないなどということは絶対に考えられず、銀行が国債を売って得た資金を使って、また国債を買ったり、社債、株式、CP、外債を買ったりすればやはりマネーが外に出て行くことになる。こちらはリアルタイムで進行します。この辺の仕組みについては岩田規久男氏による衆議院2002年2月27日での公聴会での公述の「銀行が持っている国債を全部買うぐらいの気力があれば、かなり効き目があると思っています」以降を読んで下さい。

まあいずれにせよ、政府が不良債権処理の加速をしなければ金融緩和をしないと言わんばかりの態度を取り続けているようでは、日銀の金融緩和の姿勢を信用することは不可能でしょう。日銀には大金融緩和によって70年前と同様に銀行貸出の増加抜きで景気を回復させることを試みて欲しいと思います。


Id: #b20021030234639  (reply, thread)
Date: Wed Oct 30 23:46:39 2002
In-Reply-To: b0047.html#b20020708193957
Name: 山下ノボル
Subject: いつのまにやら

 本日のニュースを見ると日銀は
長期国債の買い入れ額を月に1兆→1兆2千億
日銀当座預金残高 10兆〜15兆円→15〜20兆円

にするとか。竹中プランに世間の興味が集中する中、日銀は影がうすいですが、
くろきさんから、日銀の中でただ一人インフレターゲッティング
政策を主張していたと紹介のあった中原伸之氏が、'01年12月の時点の講演
デフレ下の日本経済と金融政策で提案していた数字を越えつつあります。

 日銀もやることはやっているじゃないかと見るのか?
 インフレターゲットやりますと宣言しないで、だまってやっても効果ないとみるのか?
 お湯(金融緩和)と氷(不良債権強制処理)を同時にぶっかけるようなやり方じゃだめと
見るのか?

 

Id: #b20021029152816  (reply, thread)
Date: Tue Oct 29 15:28:16 2002
URL: ATSUSHI.TSUYUGUCHI@nifty.com
Name: @sushi
Subject: 「新たな30兆円枠を」というテーマはキャッチー過ぎません?
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et02_49.pdf

出てきた数字にどの程度信頼を置くかは別にして、不良債権処理のコストに
ついて具体的な数字が見えると、一方で「でわ、不良債権処理加速のメリット
はどれくらい?」と気になります。


Id: #b20021027193906  (reply, thread)
Date: Sun Oct 27 19:39:06 2002
Name: くろき げん
Subject: 内閣府が実施したデフレに関する意識調査

今朝の NIKKEI NET の報道によれば、内閣府が実施したデフレに関する意識調査は次のような結果になったようです (調査は2300人を対象に6月と9月に実施):

詳しい報告が内閣府のウェブサイトに掲載されるのはいつになるのでしょうかね? 私が見た限りではまだ掲載されてないようだが、見逃していた場合は御指摘お願い致します。

望ましいインフレ率がプラスの方に偏っていて、デフレが「悪い」と考える人が3分の2を超えているという結果は興味深いですよね。主観的な期待デフレ率が5〜10%の人が1割強もいるというのは驚き。本当に10%ものデフレが進めば日本経済はほぼ間違いなく破滅的な事態をむかえることになる。

ちなみに、現在の日本のデフレ率は 2% 弱程度。それはGDPデフレータで見ても、 1% 程度の上方バイアスを補正した消費者物価指数で見ても同じ。消費者物価指数 (正確には生鮮食料品を除く) で測ったインフレ率は1%程度大きな数字が出てしまう。たとえば消費者物価指数で測ったインフレ率が -1% ならば実質で 2% 程度のデフレだということになる。この補正込みで見れば、 GDPデフレータで見ても消費者物価指数で見ても、 1994年あたりから日本はずっとデフレが続いていることになる。 (GDPデフレータは総合的な物価指数、消費者物価指数は普段の生活に関係した物価指数、企業の活動に密接に関係するのは卸売物価指数。目的に応じて使い分ける。)


Id: #b20021027083524  (reply, thread)
Date: Sun Oct 27 08:35:24 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021022231748
Name: +α
Subject: 複式簿記の話 続き

>+αさんは勘定を貸借対照表勘定と損益計算書勘定に分けて貸借対照表勘定だけで資産と資本
>+負債が一致しないと言っているのですね。

 違います。
 私が言っているのは、取引を複式簿記で記録しただけでは、資産=負債+資本にはならない。
 資産=負債+資本にするためには、利益を資本に振り返る決算整理処理が必要であるということです。


>資産=負債+資本+利益だから、これは当然一致しません。

 私が言っているのは、そういうことです。


>でも、そもそもの話は貸借対照表の右と左、つまり総資産と総資本が自動的に一致するか、
>どうかですね。

 いいえ、そんな話は、私も、たかつかさんも、ただの一度もしていません。
 しているというのであれば、その部分を具体的に引用してください。

 それに、そもそも「貸借対照表の右と左」や「総資産と総資本」は、常に一致するという前提になっていますから、一致してあたりまえです。そんなあたりまえのことを問題にするほど、私は馬鹿ではありません。


>+αさんも武田さんへの最初のコメントで「資産=負債+資本」を出されています。

 引用は正確に行ってください。私が書いたのは

> そんなことはありません。取引によって、企業の内部の資産と負債の割合は常に変化します。
> それから、企業には資本がありますから、普通は、企業の内部で資産=負債にはなりません、基本は、資産=負債+資本です。

 であって、「資産=負債+資本」はあくまでも「基本」であるとしか書いていません。常に成り立つとも、自動的に成り立つとも、当然に成り立つとも書いていません。 


>> 「利益=収益−費用」は、損益計算書等式であって、貸借対照表等式ではありません。
>では、次の等式はどでしょうね。
>利益1=資産−(負債+資本)
>利益2=収益−費用

>また、利益1=利益2 でなければなりません。貸借対照表だけでも利益は計算できますね。
 
 私は、「利益=収益−費用」は、損益計算書等式であって、貸借対照表等式ではないと言っているだけで、利益の算出方法の話などはしておりません。
 また、「資産=負債+資本+利益」が成り立つということは、「資産=負債+資本」が常に成り立つわけでないことを意味します。
 つまり、たかつかさんのこの部分の主張は「複式簿記は資産と負債・資本を当然にバランスさせるという言い方は間違い」と主張しているのと同じです。


>上の式は残高試算表になるのだけど+αさんの決算処理では作らないのかな?

 貸借対照表等式と損益計算書等式を通算しても、残高試算表にはなりません。貸借対照表等式と損益計算書等式から、残高試算表を作ることは出来ません。
 残高試算表は、その名の通り、各勘定毎の残高を使用して作成します。残高試算表で貸借を確認後、決算整理処理を行い、貸借対照表と損益計算書を作成します。
 貸借対照表等式は、貸借対照表を、資産、負債、資本、利益別に集計した式であり、損益計算書等式は、損益計算書を、収益、費用、利益別に集計した式です。集計した数値を、各勘定毎の残高に戻すことは出来ませんから、貸借対照表等式と損益計算書等式から残高試算表を作ることは出来ません。


>> 全ての取引を合算すれば、複式簿記であろうとなかろうと、バランスするのは当たり前です。

>いいえ、全ての取引を2面から貸方、借方に分けて同じ金額をつけるから貸借平均の原理が成り立ちます。

 「複式簿記であろうとなかろうと」という部分は筆が滑りました、お詫びして取り消します。
 上記の部分は「全ての取引を合算すれば、バランスするのは当たり前です。」に修正いたします。


>また、直接的な利益の計算が無くとも 資産=負債+資本+利益 から利益の計算が可能、逆に言うと
>総資産と総資本は自動的に一致します。

 前にも書いたように、総資産と総資本は、常に一致するという前提になっていますから、総資産と総資本が自動的に一致するのはあたりまえです。
 また、繰り返しになりますが、資産=負債+資本+利益が成り立つなら、「資産と負債・資本を当然にバランスさせるという言い方は間違い」になります。


>>そもそもあなたの主張は、「複式簿記では資産と負債・資本はバランスしますね。」だった筈です。
>>いつの間変わったのですか。
>変わっていないことは上から明らかです。

 いいえ、どんどん変わっています。今回は「総資本」という新しい概念が出てきています。
 「総資本=負債+資本+利益」ですから、単なる「資本」とは全く別の概念です。


>「複式簿記は資産と負債・資本を当然にバランスさせるという言い方は間違い」というのは間違いです。

 ご自身で書かれた「資産=負債+資本+利益」とも、「総資産と総資本【=負債+資本+利益】が自動的に一致する」とも矛盾していますね。(【 】内、+α注記)
Id: #b20021027015059  (reply, thread)
Date: Sun Oct 27 01:50:59 2002
Name: くろき げん
Subject: 最近のアメリカ政府の政策にクルーグマン教授がぶちきれまくり

いちご経済板より:クルーグマンのコラム紹介

クルーグマンはすんごい調子のコラムをニューヨーク・タイムズに次々に発表している。


Id: #b20021024085127  (reply, thread)
Date: Thu Oct 24 08:51:27 2002
Name: やまがた
Subject: これだ! 究極の需要創出法
これで日本も不況脱出だ!

http://www.ibiblio.org/Dave/Dr-Fun/df200210/df20021021.jpg

Id: #b20021024015318  (reply, thread)
Date: Thu Oct 24 01:53:18 2002
Name: くろき げん
Subject: 岩波『科学』2002.10のリスク論特集号

中西準子雑感195-2002.10.22「科学のリスク特集」

確かに『科学』10月号の座談会はひどすぎる。


Id: #b20021023020905  (reply, thread)
Date: Wed Oct 23 02:09:05 2002
Name: くろき げん
Subject: 東京新聞社説10/12、竹森俊平『経済論戦は甦る』、原田・岩田編著『デフレ不況の実証分析』

1.「不良債権処理 日銀の仕事はなにか」東京新聞社説 2002.10.12

素晴しい社説。政府は一刻も早く、過去の政府自身と日銀の失敗を認め、デフレを終焉させることに全力を尽くす気のある有能な人物を次期日銀総裁に据えることを宣言すべきだと思う。

2.竹森俊平著『経済論戦は甦る』東洋経済新報社、 2002.10

「このネタで面白くならないはずがない。いつのまにこんな面白い本が企画・執筆されていたんだ!」というのが第一印象。

現代に甦ったのは1930年代世界大恐慌の時代のシュムペーターの「創造的破壊」の考え方に代表される「精算主義」とケインズやフィッシャーに代表される「リフレ思想」 の論争である。しかも、その論争は現代の日本に甦った。

今だに「潰せえ! 潰さなければ新規産業が育たず、景気も回復しない!」と考えている“正義感の強い人たち”はこの本を読んで自分自身の考え方が本当に世のため人のためになる考え方かどうかを考え直してみた方が良いと思う。そういう人たちに売れて欲しい本。

リフレ派の人たちはこれを読んで「精算主義」=「シバキ主義」に対する批判の矛先を鋭くするために利用するべし。

3.まだ実物を見てないのですが、原田泰編著・岩田規久男編著『デフレ不況の実証分析――日本経済の停滞と再生』東洋経済新報社、 2002.10 も合わせて読むと楽しみが増すと思う。

P.S. 田中さん紹介安達誠司氏の論説も合わせて読むべし。あとこれも。


Id: #b20021022231748  (reply, thread)
Date: Tue Oct 22 23:17:48 2002
In-Reply-To: b0052.html#b20021022010548
Name: たかつか
Subject: すみません

この掲示板の本来の趣旨からずれるとは思いますが、私からはこれで最後のコメントにします。
+αさんは勘定を貸借対照表勘定と損益計算書勘定に分けて貸借対照表勘定だけで資産と資本
+負債が一致しないと言っているのですね。

資産=負債+資本+利益だから、これは当然一致しません。
でも、そもそもの話は貸借対照表の右と左、つまり総資産と総資本が自動的に一致するか、
どうかですね。
+αさんも武田さんへの最初のコメントで「資産=負債+資本」を出されています。

>>期末の貸借対照表の等式は
>>資産=負債+資本+利益
>>利益=収益−費用
> 間違っています。
> 「利益=収益−費用」は、損益計算書等式であって、貸借対照表等式ではありません。
では、次の等式はどでしょうね。
利益1=資産−(負債+資本)
利益2=収益−費用

また、利益1=利益2 でなければなりません。貸借対照表だけでも利益は計算できますね。

>>資産=負債+資本+収益−費用
>>資産+費用=負債+資本+収益
>>の等式が成立します。
> 貸借対照表等式と損益計算書等式を通算すると、折角仕訳をきって、取引を貸借対照表
>勘定と損益計算書勘定に分けた意味がなくなるので、複式簿記では、そのような処理は行いません。
上の式は残高試算表になるのだけど+αさんの決算処理では作らないのかな?
複式簿記の特徴として、例えば平凡社の大百科事典だと貸借平均の原理が挙げられている、他の本
でもそうなっているはずですよ。日経文庫の「会計学入門」なんかにも載っていると思います。

>>この等式の右辺、左辺が借方、貸方に相当するので複式簿記では
>>資産+費用=負債+資本+収益(資産=負債+資本+利益)
>>がバランスするのです。
> 全ての取引を合算すれば、複式簿記であろうとなかろうと、バランスするのは当たり前です。
いいえ、全ての取引を2面から貸方、借方に分けて同じ金額をつけるから貸借平均の原理が成り立ちます。
また、直接的な利益の計算が無くとも 資産=負債+資本+利益 から利益の計算が可能、逆に言うと
総資産と総資本は自動的に一致します。

>そもそもあなたの主張は、「複式簿記では資産と負債・資本はバランスしますね。」だった筈です。
>いつの間変わったのですか。
変わっていないことは上から明らかです。
上の内容は適当にWeb検索してもhttp://member.nifty.ne.jp/bxro7302/boki8.html
のように出てきます。

 従って、
「複式簿記は資産と負債・資本を当然にバランスさせるという言い方は間違い」というのは間違いです。

うまく説明できなかったかもしれませんが、これでお終い。




Id: #b20021022203818  (reply, thread)
Date: Tue Oct 22 20:38:18 2002
Name: 田中秀臣
Subject: 安達誠司「不良債権処理、産業構造改革の歴史的教訓」
不良債権処理問題はいまの日本が陥ってしまった「ニセの問題の罠」だと思いま
す。この憂慮すべき状況の悪化をさらに増幅しているのが、新聞・テレビのメディ
アです。そしてそれに便乗する多くのエコノミスト・経済学者たち。まともなエコ
ノミストの多くも不良債権問題については、その技術的な瑣末さのフォローにおわ
れてしまい、正論がなかなかいいがたい状況だと思います。しかしこの技術的な瑣
末さもまた日本経済の景気にはなんの関係もないことでしょう。

前置きが長いですが、安達誠司さんのCSFBの最新レポート「不良債権処理、
産業構造改革の歴史的教訓」は歴史的な視野を有し「ニセの問題」を的確に指摘
し、さらに処方箋の方向もきちんと示している傑出した報告です。

http://www.csfb.co.jp/client_entrance/research/economic/eco021018.pdf

Id: #b20021022010548  (reply, thread)
Date: Tue Oct 22 01:05:48 2002

In-Reply-To: b0051.html#b20021016035416
Name: +α
Subject: 複式簿記の話

 >たかつかさん

>期末の貸借対照表の等式は

>資産=負債+資本+利益
>利益=収益−費用

 間違っています。
 「利益=収益−費用」は、損益計算書等式であって、貸借対照表等式ではありません。

>つまり
>資産=負債+資本+収益−費用
>資産+費用=負債+資本+収益
>の等式が成立します。

 貸借対照表等式と損益計算書等式を通算すると、折角仕訳をきって、取引を貸借対照表勘定と損益計算書勘定に分けた意味がなくなるので、複式簿記では、そのような処理は行いません。

>この等式の右辺、左辺が借方、貸方に相当するので複式簿記では
>資産+費用=負債+資本+収益(資産=負債+資本+利益)
>がバランスするのです。

 全ての取引を合算すれば、複式簿記であろうとなかろうと、バランスするのは当たり前です。
 そもそもあなたの主張は、「複式簿記では資産と負債・資本はバランスしますね。」だった筈です。
 いつの間変わったのですか。


 >新井さん


>損益項目を資本と置き換えて、毎回仕訳をきれば、
>当然に資産と負債・資本はバランスします。

 取引ごとに毎回損益を資本勘定に振り返れば、当然資産と負債・資本バランスしますが、複式簿記はそのような処理はおこないません。
 そのような処理を行うのであれば、それはすでに複式簿記ではありません。

>このように行わないのは、ある期間の利益
>・損失(これは資本の変動要因)の内訳を知りたいという複式簿記の原理とは違う次元
>の要請です。したがって、複式簿記は資産と負債・資本を当然にバランスさせるという
>言い方は間違いではないと思います。

 取引ごとに毎回損益を資本勘定に振り返えても、一定期間毎に、決算整理を行えば、期間損益は把握できます。
 また、実際の複式簿記では、取引ごとに毎回損益を資本勘定に振り返える処理など行いませんから、当然のことながら、資産と負債・資本はバランスしません。
 従って、「複式簿記は資産と負債・資本を当然にバランスさせるという言い方は間違い」です。


Id: #b20021021041219  (reply, thread)
Date: Mon Oct 21 04:12:19 2002
Name: くろき げん
Subject: 安井至氏の「木村剛とは何者?」をめぐって

安井至氏がよりにもよって最悪の木村剛氏という人物を「木村剛とは何者だ?」 (2002.10.12) で絶賛していたことを知って、私は驚きました。

しかし、それに対して、木村剛氏がいかにトンデモであり、安井氏がいかにメディアの間違った論調に毒されているかを指摘するメールが届いたようです。 (私自身も少し前まではメディアに騙されていた人の一人だった。ほとんどの人が経済に関しては自分が馬鹿だったことを認める必要があると思う。) そのメールは「木村剛氏の続編」 (2002.10.20) に掲載されています。これは読む価値あり。

そのメールに対する安井氏自身のコメントはまだないのですが、はっきり「騙されていた」と明言するようになれば良いと思う。

P.S. 「砂漠の中のオアシス――2002年10月4日の日経新聞より」で紹介した山河氏の大機小機「日銀の株式買い入れ」。確かに「銀行部門に巨額の資本注入を行って、完全に不良債権を処理しても、デフレ対策にはならない」と言い切っている点は非常に「イイ」と思う。

P.P.S. 金融政策によってデフレを終了させて景気を回復させなければどうにもなりそうもない問題を「悪い奴を見付けて叩き潰せば解決する」と誤解している人は非常に多いと思う。大銀行を潰せば良い、大企業を潰せば良い、などなど。誰も責任を取らない村社会を潰せ、のような言い方になる場合も多い。しかし、そういう発想で現在の日本経済低迷の問題が解決するという主張には根拠が何も存在しない。


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