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黒木のなんでも掲示板2 (0043)

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Id: #b20020418022124  (reply, thread)
Date: Thu Apr 18 02:21:24 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020416191014
Name: くろき げん
Subject: 貯蓄と投資について

すでにたかつかさんが先に進んでしまって出遅れてしまってますが、さんぼんまつさんに付け足し。

たかつかさんへ。「今貯蓄する事が悪い」などと誰も言ってません。少なくとも善悪の問題ではないのだ。「××ならばほぼ必然的に○○になり、その帰結は△△である」という話です。

簡単な算数によってわかることは、国内総生産を減らさないためには、貯蓄とバランスするだけ民間国内投資を増やさなければいけないことです。それができなければ、財政赤字が増えるか、経常収支黒字 (=資本収支赤字) が増えるかのどちらかになってしまう (1990年代の日本の姿)。去年の経済成長率はマイナスになってしまいました。その帰結は失業や倒産の増加です。 (これは「企業が国内投資を増やさないのは悪いことだ。そのせいでひどいことになっている」という意味ではない。そういう善悪の問題ではないのだ。)

戦後の日本経済の急成長が可能になったのは、日本人の貯蓄好きのおかげで国内投資にまわす資金の余裕がたくさんあったからです。貯蓄が国内投資にまわる限りにおいて貯蓄性向の高さは全然悪いことではない。

あと、「中国は脅威なので日本の企業は中国への投資を控えるべきだ」のような考え方はもちろん誤りです。日本政府が「日本の企業に中国への投資を控えさせる」というような政策を取ることは許されることではありません。たとえ許されたとしてもそのような政策は日本自身にひどい害をおよぼすことになるでしょう。たかつかさんが考えているように、中国に限らず、海外に投資したい企業は自由にそうすれば良いのです。ただし海外投資に失敗して損失を被らないように最善を尽くしてもらいたいのだ。 (「中国脅威論」については、津上俊哉「中国経済脅威論に思うこと」を参照せよ。)

日本は1992年あたりから失業率がほぼ単調に増加しています。倒産も増加しています。そういうマクロ経済の問題に対処できるのは、日本政府と日本銀行だけです。各企業や各個人はマクロ経済の問題を解決できない。だから、政府と中央銀行が何とかするしかない。問題の解決のためには、民間国内投資と消費が増えなければいけない。実際にそうなるようなマクロ経済環境を整えることを我々は政府と日銀に要求すべきなのです。デフレからの脱出は必須の条件。ところが、日本の内閣総理大臣と日本の中央銀行総裁は全然やる気がないようだ。

結局のところ、たかつかさんが何に不満なのか、よく理解できないのだ。

P.S.1. たかつかさん曰く「国内へ投資されれば貯蓄は減る」。減りません。「貯蓄」の定義については野口旭『経済対立は誰が起こすのか』で言えば094頁を参照して下さい。 (もちろん他の任意の経済学入門書を参照しても構わない。)

P.S.2. たかつかさん曰く「企業は今貯蓄はしていないと思います」。貯金するのも借金を返すのもどちらも「貯蓄」になります。デフレが続くならば、借金を残しておくのは損になるし、十分な景気回復が期待できないならばなおさら借金は損になる。「不良債権処理」の名のもとに何をやるかわからない政府の動きも不気味です。そういう状況では借金を早目に返却しようとする企業が増えるに違いない。しかし、その分だけ別の誰かが消費を増やしたり、国内投資を増やしてくれないと (政府が公共投資を増やせば財政赤字が増える)、経済の停滞もしくは縮小を招くことになる。その帰結は失業と倒産の増加です。便利なのでよく引用している「資金循環統計からわが国の金融がどこまでわかるか」の図表3によれば1998-1999年には、家計部門だけではなく、企業部門が資金余剰主体になっています。これはちょっとすごい状況なのだ。一つ一つ事実を知るたびに怖くなって来る。

P.S.3. 個人的なメモ:新しい国民経済計算(93SNA)。 GDPに関する解説です。


Id: #b20020418021227  (reply, thread)
Date: Thu Apr 18 02:12:27 2002
Name: ブタネコ
Subject: イギリスでの医療経済問題(ガーディアンより)

NHS finance | The future for public services Tax rises 'essential to improve NHS' Staff and agencies Wednesday April 17, 2002 The UK must expect to devote "a significantly larger share" of its national income to the NHS over the next 20 years, the Wanless report into the future funding of the health service said today.
Id: #b20020418003009  (reply, thread)
Date: Thu Apr 18 00:30:09 2002
Name: ブタネコ
Subject: リカード 消費と投資

野口の自動車とポテトは、トヨタとアイダホというか、日本がNo1とおだてられてたころ、白人自警団的輸入規制や、農協的規制依存や、日本の左翼の空論(技術より搾取で比較優位が成立したなど)といったオバカに対し、リカード先生を蘇らせたというか。
で、マルクスもリカードも好きな僕は、基本的に賛成です。(実は92年にMathematicaの大きなカンファレンスで、野口さんに講演して頂いたとき、組織委の中の野口招聘のいいだしっぺだったり。)で、橋本やお年を召された野口さんが心配してるのは、中国から自動車もポテトも来ることですね。
実際にはニンニクが問題で、一流レストランも青森産を使ってない。町の飲屋で、ニンニクを丸ごと油であげちゃうとこは、青森産じゃなきゃ、ホッコリ感が話しにならないけど、そんなのを食べるグルメは少ないし。
で、ニンニクはたいした問題でないが、製造業の中で9%を占める食料品加工がほとんど中国産になったら?
ポテトでなくポテトコロッケを中国で作って、冷凍を日本でチンして、独身乞食はそんなのばかり喰ってる。
中国には寝たきり老人を輸出するようになったり。海南島の特老は日本の厚生省の特老の十分の一で倍の快適さ。輸出価格はマイナス50万/年。インフレターゲットでマイナスの利子率も画期的だが、マイナスの輸出価格も。

田中さんの『2 「産業政策」という考え方で、既存の政府の不適切な介入を正当化する』に、「あすか」と「みらい」の2つのプロジェクトは入るのでしょうか?
渋谷区の神応小学校とか、専修大の野口ゼミのように、自然体でITが消費されれば、政府の援助額も少なくなったのでは。
風力発電で持っていた比較優位を失ったのも、冷戦イデオロギー=疑似核武装=原発オンリーの政府が需要を作らせなかったからで、いま新エネルギーの外郭団体を作っても、過去に無能な通産行政をやってきた人の養老院をまた作ってるというか。

たかつかさんの一番重要な問題提起は、『消費も重要ですが、投資がどうなっているか、何故国内へ投資されないか、を考える必要があるのでは無いでしょうか?』で、イノベーションな消費をする賢い資本家や政府がないから(山形県立川町ではあまりに非力、ないよりマシだが。)消費の期待が小さいから、投資をしない方が合理的となってしまうのでは。
需給ギャップはこれなくして埋まらないでしょう。
Id: #b20020417231810  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 23:18:10 2002
Name: 田中秀臣
Subject: 構造改革と産業政策
まだこなれた考えではないですが、

1 「構造改革」という考えで、民間市場に不適切に新規介入し
2 「産業政策」という考え方で、「過当競争」を避けるためという名目で、
既存の政府の不適切な介入を正当化する
3 「1940年体制」という言葉で、批判しやすい要素を「戦略的補完」という
あやしい言葉でまとめあげ、肝心のマクロ経済的側面は周到に「体制」から除外
している。→財務省、日銀の保全

CIAとか制度の経済学とか、安易なファッションにかまけて、実際には考察すべき
「制度」から都合のわるい「制度」が周到に除外されていることに、若い世代は
気付かない。なんて書くと、おじさんくさい?

Id: #b20020417225046  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 22:50:46 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020416191014
Name: たかつか
Subject: 比較優位産業について補足

さんぼんまつさん、こんばんは。

>たかつかさんのご発言の中で、
>>比較優位論にしても、他の国と日本が同じ比較優位な産業を持てば、
>>その生産性の優劣で勝者が出る事は明らかです(野口の本だと165頁)。
>
>とありましたが、自動車産業を例に考えてみると、日本とドイツは非常に
>高品質な自動車を作り、また両国の比較優位であると考えられます。しかし、
>同様の比較優位を持つとしても、生産される自動車自体は性質の異なるもの
>であり、同じ比較優位を持つ国同士であっても貿易は行われることになると
>思います。以前読んだ本なので、忘れてしまいましたがそのような記述があ
>ったかと思います(もしなければすみません)
仰る事はよく分かります。
産業界の講演会等でもその話題(何故自動車は良いのか)は良く出ます。
その様な場で言われるのは、自動車はデザインとエンジンがキーとなる要素
(ユーザーが選択する上で最も重視する)でそれを自分で開発している限り、
オープンアーキテクチャーにはならないと思います。

これが、鉄や銅などの金属地金やDRAMの様な商品であると、どの国で、
どの企業で作っても同じ(本当は微妙に優劣があるのですが、市場では評価
されにくい)です。従って、両立し難い商品があって、それらが現在問題に
なっていると思います。

>基本的な貿易のコンセプトとして勝ち負けというものではなく、欠乏してい
>る資源を効率的に生産にまわすのか、ということであると思います。
ここが問題ですが、比較優位論は前提として出来た製品は市場に吸収可能で
ある、つまり供給過多にならないことが必要では無いのでしょうか?

野口の本p141で言えば、
日本が自動車、米国がポテトに特化して自動車を日本で200、ポテトを
米国で300作ったとしても、市場が自動車を175、ポテトを250しか
いらないと言えば、問題が起きると思うのです。
特にポテトの生産性が良い事になっている日本で、ポテトを25作ったら
どうなるでしょう?

例がポテトだと供給が増えれば価格が下がって需要も増えるのかも、でも自動車
の様な耐久消費財は難しいのでは(耐久消費財に関しては岩田さんの「マクロ経
済学を学ぶ」の55頁を参考にしました)ないでしょうか?

半導体や携帯電話では実際に上のような供給過多が起こっている、特に半導体は
工場建設費が高い、投資が大きいので赤字でも売ろうとします(限界利益内)。
そのため、DRAMは価格が約1年で1/10になってしまいました。
それでも、需要が回復しない(パソコンの需要ですが)のです。

>また、
>>現在の比較優位産業の生産性が向上しなければ、新しい比較優位産業の育成
>>(官の主導は必要では無いです)は当然の事と思うのですが。
>
>とお書きになられていますが、合理的ではない規制等を緩和していくという
>ことでしょうか。比較優位産業というものは、人為的には育成は困難だと
>考えております。もし、「育成」をするならば、上記したような規制の撤廃
>などを推進していくしかないと思います。

ここは、意見が一致しないと思います。現在半導体では「あすか」と「みらい」
の2つのプロジェクトが動いています。米国にはSEMATECH (http://www.glocom.ac.jp/users/taiyo/sematech.html)
があり、EUにもコンソーシアムがあります。

要は、半導体の開発費が巨大になりすぎた点とリスク回避のためにこのような
組織が必要とされています。

私は、比較優位産業は時流に乗った企業が突っ走る事で出来る(例えばゲームの
任天堂)こともありますが、産業として大きくするにはある程度の育成も必要
だと(韓国や台湾の半導体)思います。無論規制緩和は必要ですが、どの規制
を緩和するのかの選択には、ある程度の将来予測が必要だと思います。

>また、議論とは離れてしまうかも知れませんが、
>>今貯蓄する事が何故悪いのでしょう?
>
>とありますが、貯蓄は個人にとっては非常に合理的な行動だと思います。
>しかしながら、経済全体にとってみれば、貯蓄は消費を減らすことになる
>と思います。
ここですが個人はさておいて、企業を考えると、企業は今貯蓄はしていないと
思います。逆に資産売却をしている処が多いのではないでしょうか?
それで得た資金は、赤字の補填だけでなく、海外への投資(海外への工場移転)
に使われることがあります。その生産の一部が日本に逆輸入されています。

結局、個人が貯蓄した資金を銀行が企業に貸しても、それが国内に投資されず
海外へ投資されれば、マクロ経済学でいう貯蓄は増えます。国内へ投資されれば
貯蓄は減る。消費も重要ですが、投資がどうなっているか、何故国内へ投資され
ないか、を考える必要があるのでは無いでしょうか?

私の見えている範囲は正直に言って狭いと思います。上の議論はその視野内での
話しなので足りない点が多いと思います。



Id: #b20020417224117  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 22:41:17 2002
Name: 田中秀臣(声の出るゴキブリ組合?会員第一号)
Subject: 黒木さんの不満(リクエスト?)にこたえて
黒木さんの不満もわからないではないですが、『誤解』本でも慎重に「構造改革」
(構造改革なくして景気回復なし)と構造改革(行政改革、財政支出の効率化な
ど)とわけて意識はしています(いちいち「」はつけてませんが文脈で判断できる
と思います)。<構造改革>という言葉が引き起こす妙な社会的な期待感、そして
いまや空虚に転じてしまったこの言葉の誤用については、編集長の気が変わらなけ
れば来週あたりに私の論説で触れてます。そこでは「構造改革」のいい加減さを示
す別な用語を使用しています。ちなみに僕はもう『誤解』本を書いて
から一貫してそろそろ<構造改革>(特に「構造改革」はいうまでもなく)は死語
にしたいと思っている(授業、及び周囲の人間に発言してる)人間です。それと構
造改革の具体的な事例については、僕は主に雇用関係なので(横道にそれるが、日
本にはタイムリーな問題に取り組む時論的労働経済学者が足りないように思う、特
にマクロ、ミクロバランスよくできる人がいない。日本の経済学の純理論傾斜の悪
弊か?)雇用の制度的な側面で、構造改革的な論説を書いています。ただ単に民営
化することには原則として慎重であること、ケースごとに判断することが必要であ
ることは黒木さんの指摘どおりと思います(その一例は、新刊の『住宅金融公庫廃
止論』PHPに収録の拙論を参照してください)。また「不況レジーム」と僕はかって
に命名して財務省と日銀の制度的な制約が(短視眼的ではあるものの)合理的な行
動ゆえに、不況期に緊縮財政・実質的なデフレ容認政策をとりやすいことを書いて
いて、これはまさに「日本国の研究」路線と思っています。簡単にいえば、『誤
解』本は「構造改革」への批判そしてその不況解決という文脈での代替案を提出し
たものです。つまり限られたテーマを扱っているわけです。構造改革自体は、これ
をどう表現すべきかを別にすれば、ひとつひとつ個別にできるところから手を出し
ていくべきと思います。まあ、構造改革的なものについては、これから着実に「声
の出るゴキブリ」軍団から出てくると思いますよ。本来だったら「声の出るゴキブ
リ」はマクロ的、「構造改革主義者」はミクロ的です。で、後者はミクロ的な議論
をマクロ的な領域に適用して概ね失敗し批判も浴びます。では、彼らのミクロの領
域へのミクロ的発言が正しいのか? 普通であれば専門領域なので正しそうです

が、もとから政治的利益、省益、組織益などなどで「構造改革なくして景気回復な
し」なんてことをぬけぬけというぐらいですから、そのミクロ的問題へのミクロマ
ン的発言も要注意すべき産物と思います。もちろんこれは先入観なのでこれから用
心して検証をすすめるべきことはいうまでもありません。

さらに気になるのは、「構造改革主義者」の活動領域が近時急速に拡大していると
いうことです。おそらく現政権の「構造改革」はいまや黄昏でしょう。しかし、も
ともと処世的観点で「構造改革」的発言をいう方々ですからサバイバルのために新
手の珍案・奇案、さらには他分野(特に外交、教育、歴史分野)などに戦線を拡大
して延命をはかろうとしていることが気になります。もちろん延命にならずに、さ
らに混迷を深めるだけだというのに。懲りない人達です(笑
それとお待ちいただきたいのは、かなり私と私の周辺の方々は独自の戦略をもって
いますので、ここ1年ぐらいの間に相当そのグループの戦略が明らかになっていく
ということです。一年ぐらいすると、ああ、あの『誤解』本はそういう戦略的位置
づけなのか、と納得いただければ幸いと思っています。


それよりも黒木さんにもぜひ「声の出るゴキブリ」軍団の一員として、掲示板と同
時に他でも発言していただけたら幸いです。まじに、みんなそう思っているのでは
ないですか? 20−30年代でもアメリカでは数学分野の研究者が多く、経済学
に関心をもち論説を書いていますね。

Id: #b20020417154607  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 15:46:07 2002
Name: 田中秀臣
Subject: 本当の保守主義とは?
最近、考えていることは、日本の保守主義(的経済学)について。このテーマ
だと迷経済学者佐和氏が脳裏に浮かぶ人がいるだろうけど、問題関心は違う。
たいへんに戯画化すれば、「構造改革論者」として政権やその周辺にいる人
は、まさに伝統的な「保守主義」の継承者のようである。日本では冷戦構造下
では、よく「日本の保守主義」のほうが革新陣営よりも「現実的」といわれた
(と61年生まれの私は記憶する)。しかし、今日、「日本の保守主義=構造改
革論者」は「現実的}か? 確かに、与党の利益、省益、日銀益にそった経済
理論的言説をのべている点では、まさに「現実的」であろう。実際の政策提言
などにのりやすいという意味で。しかし、デフレ下の脆弱な日本経済は、かれ
らの施策の「現実性」のうすぺらさを、はっきりさせるリトマス紙になってい
る。政府や「体制」よりの発言をすれば、政策の実現可能性が保たれたかのよ
うな幻想が生じるが、そのような「構造改革論者」の政策の多くは、「実際に
は」日本経済をさらなる低迷に向かわせてしまうという意味でまさに「非現実
的」なのである。それはかれら「保守主義者」が、安易に省益、与党益、日銀
益に寄与する「日本だけに通用する経済理論」を振り回しているからであり、
その「実現不可能性」自体が、奇しくも日本経済の脆弱性によってあぶりださ
れるのである。

私が期待し、その陣営に属したいと願う「保守主義」とは、論理の岩盤をしっ
かりもち、安易な「現実性」にながされない知性、であろう。そして現実の経
済体制の全面的な改変を願うよりも、その部分改良を志向する点で、政治的に
は保守的な立場。経済政策形成の大半は経済理論以外の要素で決まっていると
しても、その経済理論で決まる要素にすべてを賭ける姿勢を保つこと。

そしてこのような意味での「保守主義」はまさに日本の経済政策論争において
は、正しい意味のラディカルなのかもしれない。


↓下の岩田先生の「正体」を読みながら。



Id: #b20020417151132  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 15:11:32 2002
Name: いなば
Subject: ほとんどしられていないだろうが

岩田規久男は日本の経済学者としては最も早くから反原発を公言していた一人では。
Id: #b20020417144855  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 14:48:55 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020417110058
Name: 時田
Subject: coefficient of rolling friction=tractive resistance

垂直抗力がNで、下にめりこまないものをFの力で水平に等速で移動可能なとき、近似式が F=μN で、地面の上をずるずるだったら、μが0.5くらいになるかもしれないが、ゴムタイヤだと0.02くらいでレールだと0.002くらいという話しですが?
運動会で、デブを段ボールの箱に入れて引っ張り、途中10回とめて静止摩擦地獄とか、台車を使える極楽区間とかもうけて摩擦の学習をさせればと思います。
スリップしつづけたら最悪なので、氷上区間とか油地獄なんかもいいかも。
P.S. SharpeのDifferential Geometry GTM166 にRolling Without Slipping or Twistingって付録があってしゃれてる。数学は物性物理のような本物の摩擦も、人の世のような陰湿な隠喩の摩擦もなくて、接続の幾何だけで幸せという話し。
Id: #b20020417140240  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 14:02:40 2002
Name: 時田
Subject: 2次関数

都市の半径をrとすると、人口や活動量はrの2次関数なのに、周縁の出口の数は1次関数だから、どうしても放射道路は不足する。
コンサート会場でも、興奮するガキは2次関数で非常口は1次関数。一般次元の球の体積はΓ関数で求め、表面積はそれを微分。
だから江戸の五街道をn街道にしてもなかなか追い付かない。
五街道のノードの日本橋周辺で、低速道路を川の下に埋める、金喰い工事には大賛成。没落してもまだ大金持ちの日本資本主義は、アメニティや町の美学にもっと散財すべきだ。
風の通り道の川に蓋をした低速道路は、都市がヒートアイランド化する最大の原因だから、冷房代の節約にまじでなるかも。計算実験するゼネコンはいないのかな?

馬場孤蝶の『明治の東京』教養文庫で、孤蝶はできたての環6を悠然とドライブしながら、消え行く明治を回顧している。
池田弥三郎の東京の12章 淡交新社 には、車が全然いないできたての高速道路が。孤蝶といい、銀座の天金の池田(幼稚舎から級長)といい、車の少ない時代の慶応にはよい先生がいて、歩きやすい町を学生と歩きながら文学した。逍遥学派というべきか。
Id: #b20020417133305  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 13:33:05 2002
Name: ブタネコ
Subject: 病院事故死 年 2万6千人

読売で『医療』というコラムが今日からはじまり、初日なので1面に。
長谷川敏彦が登場し、氏の推計では日本で年 2万6千人 が医療事故死とか。

中等教育も看護も人材がすべてでは。社会が末期化すると、人材の劣化がおきる。戦前のフランス社会で、僧侶の劣化を取り上げたのがジイド。それをうけて戦後のリセの教員の質を論じたのがブルデュー。
この前も見舞いにいったら、点滴を開始するときオタンコナースが空気をチューブ5センチくらい注入してたけど、さすがブタネコの友人は感受性が鈍く、化学反応を示さなかった。
Id: #b20020417110058  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 11:00:58 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020417004302
Name: 早川
Subject: 転がり摩擦

あのー、(転がり)摩擦が大きいということはエネルギーロスがそれだけ 少ないということなのですが。車輪が変形せずスリップもなく音も発生し なければ効率100%です。理想的にはね。

御存知でしょうがレールはぴかぴか光ったものは摩擦が減って危険なので 錆びた摩擦の大きいものに取り換えます。タイヤの方が車輪より変形が大きく 時田さんのイメージする「摩擦」が大きいのは事実です。

単なる茶々ですが、高校の物理は大学の教官レベルではなかなか難しいので 注意が必要です。特に摩擦は鬼門の一つ。


Id: #b20020417004302  (reply, thread)
Date: Wed Apr 17 00:43:02 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020416231651
Name: 時田
Subject: ころがり摩擦係数 成瀬巳喜男

鉄道と道路の1番の違いは、ころがり摩擦係数が、道路のが10倍大きいことと、コジェネで発電してモーターで動かすことのが、内燃機関より倍以上効率のいいことでしょう。
環7、環8、16号が飽和してるので、内と外にまた環状をということですが、ガラガラの東海道貨物や武蔵野線の有効利用なども。
相模線、八高線、水戸線なども私鉄にくらべ遊休有給悠久資本といった感じ。
それに、重くてがさばるものは、空洞化してくだろうし。
電気トラックを直接貨車にのせるのも。川崎のゴミ鉄道輸送は画期的。
都心のマイカーについては、新高層マンションラッシュは歓迎だが、駐車場に課税も。
世界のSが、神奈川と千葉の工場の間のトラックで横断道の料金をけちったり、藤沢の魚のゴミを埼玉の業者が処理したり、むだなものが動きまわっているし。

環6にカンパしたのは、成瀬巳喜男の名画『浮雲』の影響も。林芙美子が悲しい人生の果てに居を構えた落合みたいなとこを排ガスで汚染しなくてもというか。
Id: #b20020416231651  (reply, thread)
Date: Tue Apr 16 23:16:51 2002
Name: 岡田靖
Subject: 具体例は不案内で申し訳ない
>時田さん

先に書いたように僕自身は交通問題に不案内で、時田さんが活動している反対
運動の善し悪しは述べられません。すみません。ただ、一般論ですが、現在の
東京の都心集中型の道路の構造(混雑した都心に通過だけのものを含めて大型
貨物車両が進入してくる)は、やはりおかしいのではないのでしょうか?

交通量一定なら、走行時間が短いほど環境負荷は小さくなると思うのですが?
マクロ経済以外になるとてんで知識不足なので、その辺りを教えていただける
と幸いです。

Id: #b20020416201502  (reply, thread)
Date: Tue Apr 16 20:15:02 2002
Name: 時田@ブタネコ塾主人
Subject: 環6 高尾山

岡田さんどうも。
道路の問題も、それを通す場合とそうでない場合の、トータルでの環境負荷 を考えないと評価を誤るように思います。

は、まったくその通りで、グラフ理論の手法などを含む交通経済学による合理的なアセスが必要です。
現実には、通っていなくて、渋滞という環境破壊や、雲助運賃という構造的ネックが派生してますが、通せば一時的によくなっても、また環境教育をうけてこなかった人達が、外部不経済を撒き散らす場に変化する恐れがある。
また東京湾横断や東北道では役人の退職金が料金に添加され、利用されず一般道の沿線の住民が苦しんだり。
さて、僕はカキコだけで、行動しないのはイヤなので、 旧環六高速道路に反対する会の、一番活動的だった区議にかなりカンパしたこともあります。物理学科出でエントロピーの分かる(原島鮮の熱力統力くらい勉強したことのある)彼も落選してしまい、裁判もまけてしまいましたが。
道路公害反対運動全国連絡会あと、日弁連が鉄道重視の都心の貨物について政策提言してる。
DMEなどで、ディーゼルがクリーンになれば、河川船舶のバックアップを用意しておくことも地震対策になる。(自衛隊は超豪華庁舎よりホバークラフト部隊を用意しておくとか。)
Id: #b20020416191014  (reply, thread)
Date: Tue Apr 16 19:10:14 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020416011009
Name: さんぼんまつ
Subject: たかつかさんへ

以前発言させていただいた、さんぼんまつです。


たかつかさんのご発言の中で、
>比較優位論にしても、他の国と日本が同じ比較優位な産業を持てば、
>その生産性の優劣で勝者が出る事は明らかです(野口の本だと165頁)。

とありましたが、自動車産業を例に考えてみると、日本とドイツは非常に
高品質な自動車を作り、また両国の比較優位であると考えられます。しかし、
同様の比較優位を持つとしても、生産される自動車自体は性質の異なるもの
であり、同じ比較優位を持つ国同士であっても貿易は行われることになると
思います。以前読んだ本なので、忘れてしまいましたがそのような記述があ
ったかと思います(もしなければすみません)
基本的な貿易のコンセプトとして勝ち負けというものではなく、欠乏してい
る資源を効率的に生産にまわすのか、ということであると思います。また、
>現在の比較優位産業の生産性が向上しなければ、新しい比較優位産業の育成
>(官の主導は必要では無いです)は当然の事と思うのですが。

とお書きになられていますが、合理的ではない規制等を緩和していくという
ことでしょうか。比較優位産業というものは、人為的には育成は困難だと
考えております。もし、「育成」をするならば、上記したような規制の撤廃
などを推進していくしかないと思います。

また、議論とは離れてしまうかも知れませんが、
>今貯蓄する事が何故悪いのでしょう?

とありますが、貯蓄は個人にとっては非常に合理的な行動だと思います。
しかしながら、経済全体にとってみれば、貯蓄は消費を減らすことになる
と思います。消費が減るということは、現在の日本と同じように需要不足
になるということだと思いますので、景気が後退します。このように、
個人では正しいと思われることも、経済全体にとっては困ったことになる
(合成の誤謬)が発生してしまうと思うので、貯蓄が悪いことだとは思いませ
んが、経済状況によっては望ましいことではない場合もあると思います。


いつもながら教科書的な答えで恐縮です。それでは失礼いたします。
Id: #b20020416165420  (reply, thread)
Date: Tue Apr 16 16:54:20 2002
Name: 岡田靖
Subject: 岩田規久男の正体
>ブタネコさん

岩田規久男は私の指導教授だったから擁護するわけじゃないですが、彼の
専門は金融&マクロと都市・土地・住宅問題です。一見何の関係もなさそう
ですが、両方とも資産価格の変動の理論をバックボーンにしている点で共通
しているのです。

で、環境問題については不肖の弟子(マクロ&金融だけしか学んでいない)
からみると、かなり強硬なエコロジー派です。

道路の問題も、それを通す場合とそうでない場合の、トータルでの環境負荷
を考えないと評価を誤るように思います。


Id: #b20020416150949  (reply, thread)
Date: Tue Apr 16 15:09:49 2002
Name: ブタネコ
Subject: 寝たきり国家

たかつかさんと実感を共有するブタネコです。
現在の比較優位産業の生産性が向上しなければ、新しい比較優位産業の育成(官の主導 は必要では無いです)は当然の事と思うのですが。

僕が理想と考えるのはPaul Hawkenらのグリーンな成長(Creating The Next Industrial Revolution)です。だから岩田さんの、マクロな緊急措置にも、都市再生にも賛成ですが、岩田の中味の環状道路建設には反対です。最低でも、 DMEが普及するとか、ディーゼル黒煙鼻炎が治らないうちは。どうも宇沢『自動車の社会的費用』などとくらべて、最近の経済学者は品格がないような。
しかし、赤池やチョルスキーを駆使した原田論文(どう駆使したか詳細は?)の結論も生かされそうにないし、まして次の**立国の**によって、皆が明るい気分になり、消費が上向くこともなさそうです。啄木風にいえば時代閉塞。
で、伊東光晴の言うように、30年でポンド1000円が200円になった、かってきた工業立国の道を逆に空洞化し(精神はすでに完全に真空または空虚という野間宏+マコーマックの指摘はともかく)元にもどったて、地球全体の高い生産性のお陰で、そこそこの生活はできるのだから、本を買ったり、室内楽を聞いたり、一回しかない人生を楽しんで、貨幣退蔵(竹薮に埋めると竹中平蔵)は止めたほうが。
立てない国は寝たきり国家。
老人を成仏させず、寝たきりにさせ、医薬独占資本が寝たきりマネーを毒染市場に強制的にフローさせる。
昔、母は子に「舌切り雀」を読んであげた。
共痛一次、教育亡国では、「足切り雀」。実際、宇沢が80年代、現代日本の貧困の一番目としたのが共痛一次。
これから読んであげるのは「寝たきり雀」。
Id: #b20020416011009  (reply, thread)
Date: Tue Apr 16 01:10:09 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414042222
Name: たかつか
Subject: 一応読みましたが、まだ分からないです。

たかつかです。
くろきさん、ご推薦の野口旭『経済対立は誰が起こすのか――国際経済学の正しい使い方』
を読みました。また岩田規久男の「マクロ経済学を学ぶ」ちくま新書と「国際金融入門」
岩波新書も読んでいます。

野口旭の本と私の主張は大筋で同じだと思いますが、勘違いでしょうか?

将来、労働人口が減少する事が予想され、生産性の飛躍的向上が無ければ、GDP、国内
の生産は当然減少します。しかし、高齢化で人口そのものが減らず、生活水準を同じに
するには、足らない分を輸入することが必要です。GDPは更に下がりますが、
それは生活が苦しくなった事になるでしょうか?
その時点でそれまでに貯めた貯蓄、海外投資分が回収され始める事になります。
野口の本だと191〜192頁に書かれていますね。

今貯蓄する事が何故悪いのでしょう?

実質金利の問題であれば、そこを下げれば良いのでは無いですか?(勉強不足でちょっと
理解しきれていない様な気もしますが)

比較優位論にしても、他の国と日本が同じ比較優位な産業を持てば、その生産性の優劣で
勝者が出る事は明らかです(野口の本だと165頁)。

現在の比較優位産業の生産性が向上しなければ、新しい比較優位産業の育成(官の主導
は必要では無いです)は当然の事と思うのですが。

なお、クルーグマンの本とは「恐慌の罠」です。

まあ何にしろ経済学は全く分からないので時間を見つけて勉強します。
Id: #b20020415233251  (reply, thread)
Date: Mon Apr 15 23:32:51 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020415183136
Name: ブタネコ
Subject: オークンの法則 世界5月号

Blanchardのテキストはよく出来ていて、数章が一つのコアに纏められている。
unemploymentが出てくるコアに、Medium Run(6~9) Long Run(10~13) Pathologies(22~24)
9章で、Okun's Lawが取り上げられ、表1に米英独日の60-80と81-98の係数が。日本が小さいのはJapanese firms offer a high degree of job security to their workers だけど、今後欧米並にupするのでは?
Long Runの13章の図13-6The Effects of Decrease in Productivity Growth on the Unemployment Rate When Expectations of Productivity Growth Adjust Slowlyも説得的。
Pathologiesは東欧の社会主義からの移行の経験だが、ボコボコの野口さんの言う悪い方向へのベクトルに引っ張られ、5月号の伊東光晴みたいに、あと10年も光りも晴れもない調整期間が続くと、このコアが役にたつことになったり。

5月号では、秋田県雄物川小のN子先生の実現できなかった授業(屠畜体験授業)が印象的。なんで小さな町で、教育町は直接先生と話さないのかな?高畠町で長いこと教育長をした百姓の星さんだったら、こんなことには?
僕自身、子供と同じ年頃に、ボーイスカウトで町の肉屋の笹屋の若だんなに、鶏全部の解体法を教わってよかった。藤沢の慶応の付属高の生物教師もがんばってて、子豚のまるごと解剖なんかやってる。
Id: #b20020415183136  (reply, thread)
Date: Mon Apr 15 18:31:36 2002
Name: くろき げん
Subject: オークンの法則――経済成長率と失業率の変化の関係

インフレ率を縦軸に取り、失業率を横軸に取って、それらの関係をグラフに描いてみると、インフレ率が下がると失業率が上昇する傾向があり、インフレ率が1%を切るあたりからグラフはほとんどフラットになってしまう傾向があることがわかります。すなわち、インフレ率が1%以下では、失業率が変化してもインフレ率はあまり変化しなくなってしまう。現在の日本はまさにそういう状態になっています。インフレ率と失業率をプロットして表われる曲線はフィリップス曲線と呼ばれています。

経済学の教科書に書いてある基本的な経験則で常識として知っておくべきことは他にもたくさんあります。たとえば、経済成長率と失業率の変化の関係に関するオークンの法則。 GDPを観測することに意味があることを納得するためには最低でもオークンの法則について知っておく必要があると思う。

クルーグマンが日本の産出ギャップをオークンの法則を用いて推測していたのを思い出したので、その部分を抜粋しておきました:

付け加えた解説の結論は「日本の実質GDPの潜在成長率は少なくとも3%近くはありそうだと推測できる」です。こういう推測が可能であることはもっと宣伝されるべきだと思う。

単にデフレ不況が主要な原因になっている問題を構造の問題だということにしようとしている人たちは日本経済の潜在成長率をできるだけ低く見積もろうとする傾向がある。そして、その極めて低い潜在成長率を高めるために構造改革が必要だと言うのだ。

潜在成長率を高めるような改革のことを構造改革と呼ぶのは完全に正しい。しかし、あたかも現在の不況を構造改革で解決できるかのように語ったり、潜在成長率を高めることが「痛みを伴う改革」さえ受け入れれば容易に可能であるかのような印象を広めるのは好ましくない。

クルーグマンはアメリカ経済の三大問題は生産性・失業・分配の三つであるとよく語っています。「生産性の伸びの鈍化」の問題は潜在経済成長率の鈍化の問題とほぼ同じことです。そして、クルーグマンは、これらの問題の解決はあまりにも難しいので、それらを簡単に解決できるかのように語る人たちを信用してはいけないことを強調しています。 (名指しによる政策プロモーター批判については『経済政策を売り歩く人々』を見よ。クルーグマン自身による問題へ対応の仕方についてはその330-331頁を見よ。奇をてらわずに穏健で地道な政策を支持するクルーグマンの姿がそこにはあります。もしもクルーグマンが「インフレターゲティング」のようなことだけを語るような経済学者であるならば私はクルーグマンを基本的に信用しなくなると思います。)

また、ESRI‐ 経済政策フォーラム第5回「デフレへの対応を巡って」議事録における財務省財務総合政策研究所の原田氏による野口悠紀雄氏への次の突っ込みにも注目:

○原田(財務省財務総合政策研究所) ……

 もう1点は、 90年代のアメリカで非常にすばらしいことが起きたという話ですけれども、 80年代のアメリカの実質GDP【成長率】は2.9%で、 90年代が3.4%です。 2001年のアメリカは恐らくマイナスでしょうから、 2001年までを平均すると3.2%ぐらい、あるいは3.1%ぐらいだと思うんですね。そうしますと、 0.3%ぐらいしか上がっていないわけです。ということは、日本でアメリカのようなすばらしいことが起きても、日本の成長率は0.3%しか上がらないというように考えていいのか。

原田泰氏と言えば、『中央公論』2002.5の96-101頁に掲載されている論説は非常にコンパクトにまとまっているので皆に一読をすすめたいです。原田氏は、構造問題が1990年代の日本経済停滞の主な原因であるという考え方をぶった切り、バブル崩解後の不良債権が主な原因であるという考え方をぶった切り、デフレに突入してしまったことが最大の問題であることを指摘しています (詳しい分析については大西茂樹・中澤正彦・原田泰の「デフレーションと過剰債務」 (財務省財務総合政策研究所ディスカッション・ペーパー、 No.02A-03、 2002年1月) を参照せよ)。『中央公論』2002.5の99頁に登場する「これまでの経験則」がオークンの法則です。原田氏が不定期に『経済セミナー』で連載している記事も面白いですよね。

P.S. マクロ経済学は複雑な経済の全体を少数の数値の動きに射影して分析する方法を教えてくれます。しかし、誰もが感じるのは、そういうやり方がどれだけ信用できるか、どれだけの普遍性を持っているか、という疑問です。フィリップス曲線やオークンの法則はそういう疑問を持った人にとってかなり適切な題材だと思う。

マクロ経済学を普及させたいと考える人たちは、各種のマクロ経済法則がどれだけの普遍性を持っているかを示すために、各国の経済統計の数表やグラフが大量に掲載されている資料集のようなものを出版すべきだと思う。読者はそれを見て、現実の結果にどの程度のばらつきがあるかを知ることができる。各種統計データの読み方のコツなんかも解説してあればさらに良い。

もちろん今はインターネットのおかげで様々な統計データに近付き易くなってはいるのですが、教科書レベルの勉強が必要な一般人にとって敷居はかなり高い。まとまった資料集があれば敷居はずっと低くなります。もしかしてそういう本がすでに出版されてますかね? 経済学教育には必要な種類の本だと思うのですが。


Id: #b20020415014038  (reply, thread)
Date: Mon Apr 15 01:40:38 2002
Name: コル・スコルピオ
それで気になって今までの予算委員会公聴会の公述人を調べました。

翌日の公聴会は
小川 英治君(一橋大学大学院商学研究科教授)
成川 秀明君(日本労働組合総連合会総合政策局長)
竹内佐和子君 東京大学大学院工学系研究科助教授)
佐高  信君(評論家)

●2001年
・第 1 号 平成13年2月27日(火曜日) 
リチャード・クー君(野村総合研究所主席研究員)
植草 一秀君(野村総合研究所上席エコノミスト)
宮本 勝浩君(大阪府立大学経済学部教授・経済学部長)
鈴木  彰君(全国労働組合総連合副議長)
鷲尾 悦也君(日本労働組合総連合会会長)
菊池 英博君(文京女子大学経営学部教授)
木村  剛君(KPMGフィナンシャル株式会社代表取締役社長)
大田 弘子君(政策研究大学院大学助教授)
・第 2 号 平成13年2月28日(水曜日) 
島田 晴雄君(慶應義塾大学経済学部教授)
金子  勝君(慶應義塾大学経済学部教授)
紺谷 典子君((財)日本証券経済研究所主任研究員)
中北  徹君(東洋大学経済学部教授・国際経済学科長)

●2000年
・第 1 号 平成12年2月24日(木曜日) 
吉野 直行君(慶應義塾大学経済学部教授)
糸瀬  茂君(宮城大学事業構想学部教授)
金森 久雄君(日本経済研究センター顧問)
神野 直彦君(東京大学経済学部教授)
草野 忠義君(日本労働組合総連合会副会長)
水野 忠恒君(一橋大学法学部教授)
谷山 治雄君(税制経営研究所所長)
水口 弘一君(野村総合研究所顧問)
八代 尚弘君(上智大学国際関係研究所教授)
五十嵐敬喜君(法政大学法学部教授)
濱田 康行君(北海道大学経済学部教授)
中北  徹君(東洋大学経済学部教授)

●1999年
・第 1 号 平成11年2月9日(火曜日) 
吉田 和男君 京都大学教授
宮脇  淳君 北海道大学教授
中里  実君 東京大学法学部教授
長谷田彰彦君 東京学芸大学名誉教授
原田 和明君 三和総合研究所取締役理事長
鷲尾 悦也君 日本労働組合総連合会会長
・第 2 号 平成11年2月10日(水曜日) 
貝塚 啓明君 中央大学法学部教授
深尾 光洋君 慶應義塾大学商学部教授
行天 豊雄君 国際通貨研究所理事長
二宮 厚美君 神戸大学教授
石  弘光君 一橋大学教授
佐高  信君 評論家

ここ4年間で今年の初日が一番良いですね。
全文はここで探してください。
http://kokkai.ndl.go.jp/

Id: #b20020415013936  (reply, thread)
Date: Mon Apr 15 01:39:36 2002
Name: コル・スコルピオ
自己紹介はそれぐらいにして、情報提供を

これは既出だと思いますが、
・日銀の金融政策に関する識者アンケート
http://nb.nikkeibp.co.jp/nb/kinyu/

そして、いちごで知ったのですが、
・平成14年   2月27日 予算委員会公聴会 6時間07分
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/003015420020227001.htm
映像はRealPlayerは
http://www.shugiintv.go.jp/rm.ram?deli_id=15841&media_type=rn
WindowsMediaPlayerは
http://61.211.164.25/meta/15841-ALL-n-j.wvx

TVで拝見したことがない岩田規久男氏と小野善康氏が登場します。
(岩田規久男氏は放送大学で金融論を水曜日放送していますが)

6時間と長いため、各発言者の時刻を
・午前
●0:00:00 富田俊基(野村総合研究所研究理事) 
	財政構造改革 企業の自己責任 シバキ系
●0:22:45 小関広洋(メリルリンチ日本証券株式会社
      クレジットリサーチ・マネージングディレクター) 
	銀行構造改革 産業構造改革 公的注入派
●0:39:30 岩田規久男(学習院大学経済学部教授) 
	インフレ・ターゲット
●1:03:00 石田護(阪南大学流通学部教授) 
	産業強化政策
質問者
○1:23:30 小西理(自由民主党)
○1:33:00 井上義久(公明党)
○1:43:15 井上喜一(保守党)
○1:57:40 松本剛明(民主党 ・ 無所属クラブ)
○2:28:20 中井洽(自由党)
○2:41:20 矢島恒夫(日本共産党)
○2:51:30 辻元清美(社会民主党 ・ 市民連合)
・午後
●3:07:00 菊池 英博(文京女子大学経営学部教授)
	財政支出派、国債ちゃんと見ろ、資本注入
●3:30:30 小野善康(大阪大学社会経済研究所教授)
	構造改革批判、インフレ・ターゲット批判
●3:51:00 小池俊二(大阪商工会議所副会頭)
	現状説明、中小企業を
●4:09:20 二宮厚美(神戸大学発達科学部教授)
	福祉
質問者
○4:31:00 中本太衛(自由民主党)
○4:49:30 赤松正雄(公明党)
○4:52:30 井上喜一(保守党)
○5:05:20 野田佳彦(民主党 ・ 無所属クラブ) 
○5:35:30 中塚一宏(自由党)
○5:45:00 佐々木憲昭(日本共産党)
○5:54:50 横光克彦(社会民主党 ・ 市民連合) 

この1年で、映像の形(TVとか国会TVとかで)で入るもののなかで、一番のもので
はないかと思います。サンプロや日曜討論や朝生などよりも遙かにバランスがと
れ、それぞれの論者は優れた方々ばかりです。

>鶴氏
「デフレの経済学」を読んでいないので何ともいえませんが、
おそらくこの20分の公述でうまく言い表せていると思います。
特に中井委員の質問に対する岩田氏の反論は実にすばらしいと思います。

あと、小野善康氏の「これがオレの不良債権処理だ」もすばらしい。
(反インフレ・ターゲット論は残念だが)
また、以前黒木氏が言われていた、国債残高だけではなく保有している資産もちゃ
んと見ろという菊池英博氏の公述も良いです。

予算委員会の公聴会って意外と良いものなんですね。
偏った報道の多いTVより国会の方がちゃんとしていますね。
普通の予算委員会ではなく、これを生でTVで放送してもらいたいものです。
一体、何人の人がこの映像をご覧になったか、、、

Id: #b20020415013812  (reply, thread)
Date: Mon Apr 15 01:38:12 2002
Name: コル・スコルピオ
はじめまして。
ルールということで自己紹介をさせていただきます。
20代後半の男で、高3で文転し一浪明けには理系(応用数学)になり、
それからまた文系になったような人間です。
加藤の乱以後、アメリカ大統領選などが気になり、昨年の国債30兆発言以来、
政治・経済に興味を持ちました。
その当時、インフレ・ターゲットという用語さえも知りませんでした。

それ以後、自分の経済に対する知識が深まるにつれ、
   財政再建論派
 → 不良債権処理派(金子勝)
 → 財政支出派(植草、リチャード・クー)
 → インフレ・ターゲッター(クルーグマン)
となりました。

主にTVの経済番組を見ていました。
その環境(一般の方々はそんなもん)では、TV局のお気に入りのエコノミストばか
りしか目に出来ず、おそらく大半の人は財政支出派止まりになると思います。
そして、初めてインフレ・ターゲットを聞いたのは、8月の桝添氏の発言であり、
その言い方「クルーグマンだってミルトン・フリードマンも言っている」という
ような、他の権威を借りたような発言だったのと、
リチャード・クーの言うような、ジャブジャブにしても資金需要が無いから、量
的緩和は意味がないといった発言から、
その提唱者であるクルーグマンは、こりゃトンデモだなと感じたわけです。

そんな自分でしたが、岩井克人氏の本を読み、貨幣というものを意識してから、
2月に山形氏のクルーグマン翻訳を再び読み直し、
こりゃ正解だと気が付きました。
クークー言っていた自分の無知を恥じたものです。

その日から、
僕のアイドルは同じ誕生日だったドラッカーからクルーグマンに変わりました。

Id: #b20020414231853  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 23:18:53 2002
Name:
Subject: お腹いっぱい

前回の書きこみから2週間たってしまいました。本当は1週間で何か感想なり意見なり書きたかったのですが、記事が爆発的に増えたので、読むだけで精一杯でした。

皆さんの記事を読むうちに、岩田規久男『デフレの経済学』に何か重要な情報が書いてありそうな気がしてきました。で、本屋を何件か回ったんですが、どこも在庫切れでした。竹中平蔵さんみたいないかがわしい学者(by 亀)の本は平積みになってるのにね。
岩田さん、1900円。注文しようか迷ったけど、やめちゃいました。
新たな知識の摂取につとめ視野を広く保とうという努力が足りません。その通りです。すみません。だけど、新聞の経済面には毎日目を通すし、工業新聞もときどき読むし、テレビのニュースも時間があるときは見てます。合併した銀行の前身を言えない人はまわりにたくさんいますけど、私はほとんど言えます。四大グループに再編される前の、六大銀行グループの主要構成企業もほとんど間違いなく言えます。外資に占拠されちゃった生保は、多すぎて覚えきれませんが。私なりに、経済ニュースには敏感であるように努力しています。
でも1900円出して買う気にならなかった。岩田さんごめんなさい。
だけど、学者さんにも、できればお願いしたいと思うんです。売れない本を書いてデフレを深刻化させるよりも、適切な処方箋を書いて実行してほしいと。

前にも書いたように、今のデフレは思いきった財政出動をやらないと脱出できないと思います。それをやらないと、日本経済が崩壊するところまで来ていると思います。だから、これはすぐにでもやってほしいです。

でも一方で、電気会社の技術の現場にいると、複雑な心境になります。デフレでお尻を叩かれるおかげで、以前と同じ仕事を以前よりも少ない人数で処理できるように、じわじわとゆっくり体質改善が進んでます。
「くだりのエスカレーターを駆け上がるようなもの」という形容がありますが、常に技術革新をやって付加価値を上げ続けないと、たちまち市場から退場ということになります。そのおかげで、日本の技術開発の非効率性が浮き彫りになってきたような気がします。企業の技術者のレベルの低さ、大学の学者の尊大さや使えなさ、両者の連携の難しさなど。
デフレのおかげで問題が浮き彫りになり、問題意識が醸成されて、少しでも解決しようとする心がけが出てきているように思います。
だけど、こんなストレスの溜まることを、いつまで続けなきゃいかんのだという不安も当然あります。いつかどこかで安心して息抜きしたいですね。

さて、クルーグマンの子守り協同組合の話は、この掲示板で初めて紹介されたときから、何度も読みました。
一番の感想は、「経済学の分かりやすいモデルではある」「が、分かりやすいゆえに罪のない産業だ」ということです。ベビーシッターというのは大きな初期投資や減価消却が必要なく、廃棄物もせいぜい汚れたオシメくらいでしょうね。公害を発生させることはあまりない。問題が起こるとすれば、ベビーシッターが幼児虐待する可能性を否定できないことでしょうか。これは保険をかけておいた方が良さそうです。
教訓として、財政出動が必要なことは分かると思いますが、21世紀の産業のあり方までは分からないのではないかと思いました。
Id: #b20020414221544  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 22:15:44 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414210542
Name: ときた
Subject: 技術評価の多元的チャンネル

新藤さんの新書では、(5)「技官の王国」の解体へ の
4 技術評価の多元的チャンネル
がポイントで、市民の側が俗吏よりどれだけ技術に強いかや、掲示板のようなオープンな議論の場が、勝負所でしょう。
崎山さんの場合、情報社会の自由で王国の権柄と(憲兵みたいな曲学阿世とも)闘ってるんでしょうが、僕が今、気にしてる具体例は ガス化溶融炉の急速な導入です。
鹿島の 高温メタン発酵式 有機性廃棄物処理システムとか、
長井のレインボープランと比較してどうなんでしょう。
Id: #b20020414210542  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 21:05:42 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414180839
Name: 崎山伸夫
Subject: 「技術官僚 -- その権力と病理 --」

岩波新書から 「技術官僚 ― その権力と病理」というのが 出てます。著者は新藤宗幸。 技官と事務官の共依存関係によって起きている問題を指摘し、 「技官の王国」を解体するべきである、としています。

おそらくは、こういうのが「必要な構造改革」なのでしょうね。


Id: #b20020414193112  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 19:31:12 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414180839
Name: ブタネコ
Subject: なぜ効率が高かったか

日本の医療費や政府の教育への支出のGDP比は他の先進国に比べて低い方なんですね。それにもかかわらず、日本の医療と教育はかなりの成果を上げている。マクロで見ると他の先進国に比べておそらく効率は高い。
識字や簡単な計算、長寿などで見ると、効率は高いです。アメリカよりもずっといい。
理由の一つは、村社会という子供が自然に育つ環境があった。
小学校の先生も、教え子を戦場に送った国家イデオロギー教師であったが、村の秀才で、師範学校を出、読み書きそろばんはちゃんと教えられた。
町医者にも、月島の酔いどれ天使=竹内医師のような人が、あちこちにいた。嫁が犠牲でジイサマを介護とか。

村が都市化アメリカ化するときほど、予算を増やし、過去の成果をまもらないと。

70年代に、教員免許ばらまき私大ができ、分数計算もできない小学校の先生があらわれ、学級崩壊などが見られても、何も手をうたれない状態が続いてる訳ですね。
それで、森嶋が指摘するのは、初等教育の成功ではなく、高校でのものを考えない教育で、リセやパブリック スクールと比べての話で、後期中等教育がいま一番やばいのだが。
そして、イワユル構造改革論者が議題にしてるのは、すでにだいぶ改悪された大学をさらにいじくって、銅の卵も産まなくさせようという、オバカ議論 で、学年別に整理する必要が。

明るい話題としては、介護保険は不十分だけど、ともかくスタートし、付随したサービス産業も中味はともかく生まれ始めた(ついでにオヤジ労組の自治労で、ようやく介護のプロの女性が中執の一人に)。
Id: #b20020414180839  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 18:08:39 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414074650
Name: くろき げん
Subject: 構造改革の話

1. 『構造改革論の誤解』で一つだけ不満だったのは、世間一般では「構造改革」という言葉はもう完全にわけのわからない言葉の一つになってしまっているにもかかわらず、そのことに十分注意を払わずに「構造改革は重要だ」と繰り返し書かれていることです。供給側の効率が上がることは基本的に良いことなのです。しかし、そういう意味での構造改革と小泉氏が首相になった後に流行している「構造改革」という言葉の意味は全然一致してない。

そういう現実があるにもかかわらず、「構造改革」という言葉の人気におもねるのは好ましいことではないと思います。「構造改革」に関する論議は一つ一つコストとリスクとベネフィットを明確にした上で進めるべきだと思います。具体的な話をせずに「構造改革は重要だ」と言い続けるのはまずい。

構造改革に賛成であれば、流行中の「構造改革」という言葉を注意深く扱うのは当然のことだと思います。個人的には、すでに混乱を招く言葉の一つになっているので、できるだけ「構造改革」という言葉を出さずに構造改革の話をした上で、最後の最後に「まさにこういう構造改革こそ必要とされているのだ」と言うのが良いと思います。

2. ひめたにしさんが、私の「産業政策」的考え方はまずいという主旨の発言に、どうして「構造問題の重要性はまず認めるほうが」という題名のコメントを付けているか、理解できないのだ。

戦後の日本経済は政府の「産業政策」に足を引っぱられていた、という話はまさに日本は経済構造改革が必要だという話の典型例だと思うんですけどね。政官業の癒着の問題と大いに関係がある。

私の理解では、政府にはやるべきこととやるべきでないことがあって、やるべきであることには多くの資源を割き、やるべきでないことはやめる、というのが政府部門の改革の必要性を説く人の基本的枠組だったと思います。

ところが、小泉氏が「聖域なき改革」というスローガンとともに首相になった後は、あらゆる分野の政府支出を削減することが「改革」だということになってしまいました。財政再建ではなく、政府の資源の分配をより効率的なものに変えるというのが真の改革であったはずなのに。

そして、別の一方では、私企業間の金の貸し借りの問題に直接口を出すことによって、どの企業を潰すか潰さないかをあたかも政府が決定しているかのような雰囲気を作り出してしまった。

ついでに述べておけば、バブル崩解からデフレ不況にかけての経験によって、日本はマクロ経済政策が極めて脆弱だということがはっきりしてしまったので、それも改革して欲しいのだ。財政政策も金融政策も今のままだとかなりやばい感じ。

3. 日本の医療費や政府の教育への支出のGDP比は他の先進国に比べて低い方なんですね。それにもかかわらず、日本の医療と教育はかなりの成果を上げている。マクロで見ると他の先進国に比べておそらく効率は高い。だから、医療や教育への政府支出をさらに削減するという発想を当然のものと考えてはいけないと思います。

もちろん、医療にしても教育にしても中身を見れば皆不満だらけだということは承知してます。だから、改革は必要です。しかし、「改革」という名のもとで医療や教育への政府支出を削減することを当然視したり、予算を削ると脅しながら大した効果が無かったり無茶だったりする「改革」を実行しようとすることには反対すべきだと思います。 (教育については新美一正の「教育改革の社会経済学的分析−公立学校教育の再生に向けて−」 (Japan Research Review, 2001.9) を参照せよ。医療制度については『世界』2002.5 の座談会「「小泉医療制度改革」 どこがおかしいか」 (石井暎禧、辻本好子、二木立、西村周三) が参考になりました。西村周三の『医療と福祉の経済システム』も読みました。)

私が支持したくない構造改革論者は、こういう問題があることを見て見ぬふりをして素通しして構わないと考えていたり、本音の上でも医療や教育 (あと福祉関係) への予算を何はともあれ削るのが当然だと考えているような人たちです。何でも自由競争を導入すればうまく行くと考えている人たちは最初から論外。 (色々工夫してうまく行きそうなやり方を提案しようとしているのなら良い。あらゆるものは使いようによって毒にも薬にもなる。)

私が支持したくなるような構造改革論者は、まずシバキ主義的であってはいけない。そして、一つ一つの改革について、コストとリスクとベネフィットを冷静に分析してわかり易く説明してくれるような人でなければいけません。新たな知識の摂取につとめ視野を広く保とうと努力し続けている人でなければいけない。要するに、穏健で良識的な考え方の持ち主で、広い視野のもとで冷静な判断と説明ができる人でなければいけません。


Id: #b20020414135105  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 13:51:05 2002
Name: ブタネコ
Subject: 「産業政策」的考え方について

「産業政策」的考え方は、どうしても富国強兵の残滓の感じがし、『兵』のつくものは、基本的にきらいなんですが。
で、明治政府は地租(原畜)を技術輸入にまわすんだけど、工作機械が国産化でき、電力が水力をうわまわったのは、1次大戦後ですね。
一方、各地の農事試験場が品種改良に成功し、人口が倍になったってこともあります。
2次大戦中ですら、理研の大河内子爵の近代化工業路線(高射砲でB29を落とそう)に対して、陸軍の竹やりで落とそうが優勢だったので、戦後、革新官僚が大河内路線をついだともいえる。
その結果、傾斜生産と、石炭から石油へや、かろうじて国産コンピュータができたのは(富士通の池田をささえた一人が通産相の平松課長)よかったが、いつまでも満州から撤兵できなかったように、原発から撤退できなかったのは、恐慌一回分くらいの負の遺産となって、今世紀に持ち越された。

さて、これからの「産業政策」的なものだけど、小さいが急ぎのものとしては、需要供給ギャップをうめるのにも、財政赤字で電総研的なものを面倒みるしか。
本当は、みんながITで調べたり、数学したりする楽しみを享受し、製品が売れるからメーカーが自分で研究開発すればいいんだが、現代の陸軍省である文部省が、学問や情報化社会のたのしみから、大衆を疎外隔離してるとき、これはヤムをえない次善策では。
現代の農事試験場としては、中国の沙漠化阻止に、もっと金と知恵と口を出すとか、地球人口百億時代に備えるとか。

野口 旭『経済学を知らないエコノミストたち』日評 はまだでないのかな。黒木さんや若田部さんのいいたいことがまとまっていそうな本だけど。
Id: #b20020414074650  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 07:46:50 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414050856
Name: 声の出るゴキブリ1001号
Subject: 構造問題の重要性はまず認めるほうが
 ひめたにしです。ゴキブリ3号を名乗るのはおこがましいので、末席の方に着
かせていただきました。
 構造改革重視の考えを主張する方に対しては、まず、その問題も非常に重要で
ある(少なくとも、検討の価値がある)と認めるのがいいのではないでしょうか。
そうしないと、「マクロ経済派は構造問題なんてどうでもいいのか?」と誤解し
てしまいます。私も最初はそんな印象を受けました。田中秀臣さんたちの「構造
改革論の誤解」を読んで一番良かった(私にとって納得のカギになった)のは、
この本では「構造改革は重要だ」と繰り返し書かれていることです。
 それから、「本を読め」と言える相手ならいいですが、言えない相手が有権者
の大多数ですから、短い言葉でどうエッセンスを伝えるのか?伝えられるのか?
に私はたいへん興味があります。
 アサヒ・コムで試みてみました。本を読む暇のないたかつかさん、読んでみて
くださいませ。

 「構造改革論の誤解」のエッセンス
http://board.asahi.com/nat/board/index.php?qid=498&cn=18

 「デフレの経済学」のエッセンス
http://board.asahi.com/nat/board/index.php?qid=498&cn=20

 政府がどの程度「産業政策」を行うかですが、教育と公的研究投資が税金で行
われている以上、将来構想を全く示さずに行われてしまうのは問題だと思います。
 ちょうど医療関連情報にも当たりますが、先週厚生労働省の「医薬品産業ビジ
ョン(案)」が発表されたところです。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/04/h0409-1.html
 主旨は「製薬業界の国際競争力を高めるために、国内大手3社以上による経営
統合を目指すべきだ」ということです。
 厚生労働省がこんなことまで口を出すのか?という気はしますが、再生医療や
テーラーメイド医療関連では公的な研究投資が重点的に行われていることを考え
ると、何も言わずに進められるほうが問題であって、ビジョンが示されているほ
うが批判・評価もしやすいのではないかと思います。
 一方、小泉構造改革のように、凋落傾向の産業の整理で政府が口を出すのはメ
リットが無いように思えます。

Id: #b20020414050856  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 05:08:56 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414021954
Name: くろき げん
Subject: 「産業政策」的考え方について

何が売れるかを予想するのは難しい」 (3/31) に書いたこととも関係がある話です。

「景気回復」についての議論になると、必ず出て来るのが「次にどの産業に日本を引っぱってもらうか」という話です。確かにそういう話をするのは楽しいかもしれない。しかし、それがもしも「政府は次にどの産業に日本を引っぱってもらうかを明確にし、その産業を積極的に支援するべきだ」という発想に繋がってしまいがちだとすれば非常に不安になります。

私は、戦後の日本経済は政府の「産業政策」に足を引っぱられていたという説はいかにも正しそうだと考えています。だから、もしもこれから政府が「景気対策」と称してある特定の産業を積極的に支援する政策をやれば、きっと経済成長の足を引っぱることになると思っています。

政府がやるべきことは、デフレ不況からの脱出のようなマクロ経済の安定、健全な企業間競争を実現するための制度の整備、広い層への教育の充実、社会安定のための社会保障の充実、などなどであり、私企業の自由な活動にはできるだけ口を出さない方が良い。


Id: #b20020414042222  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 04:22:22 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020414030240
Name: くろき げん
Subject: 野口旭『経済対立は誰が起こすのか――国際経済学の正しい使い方』

たかつかさんが言うところのクルーグマンの本がどれのことなのかわかりませんが、次の本もおすすめです。薄い新書本なので2時間もあれば読めます:

「国際経済学の正しい使い方」というタイトルが付いているぐらいなので、たかつかさんの「日本の景気を考える上でマクロ経済学では国内だけを考えれば良いのか?」という疑問にはぴったりの本でしょう。この本の内容を前提にできれば、質問を受けているわかたべさんはものすごく楽になると思う (わかたべさんによるおすすめ書評あり)。一番良いのは、上の本を読んで、たかつかさん自身が過去の自分の質問への回答を試みることだと思います。

デフレからの脱出は、きっとすでに構造改革がかなり進んでいる製造業にとってものすごい恩恵になると思いますよ。たかつかさんが何に不満なのか、よくわかりません。


Id: #b20020414030240  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 03:02:40 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020413184549
Name: たかつか
Subject: 開放性経済下での資本移動

くろきさん、GDPの説明有り難うございます。

経済学は何も知らないので勉強したいと思っていますが、
現状では時間がとれません。

説明して頂いた点はクルーグマンの本の4章に関係する
と思いますが、この部分は私には判断不能(というか
知識不足でよく分からない)な処です。

私は経済学が役に立たないと思っている訳ではありませんが
最近の日本の状況が経済学的な常識からすると変、逆にいう
と魅力的なのかなと思っています。

製造業は少し上向きの傾向が出つつありますが、この1年で
確実に何かが変わった(変えさせられた)様に感じています。

製造業では構造変化、構造改革が進んだと言うことだと思って
います。そういう意味では、私の意見は「構造改革」に偏って
いるのだと思います。



Id: #b20020414021954  (reply, thread)
Date: Sun Apr 14 02:19:54 2002
In-Reply-To: b0043.html#b20020413113025
Name: たかつか
Subject: GDPもマクロ経済学も分かりませんが

たかつかです。
岩田さんの本は読んでいる所ですが、何か論理的につながらない点が
多いのと経済指標の解釈で一意的に決まらない所を強引に自説に引っ
張っている様な感じがします(まあ経済の本はそういうものでしょうが)
時間が無くてじっくり見ている訳ではないので私の理解不足が大きいの
でしょうね。

私の質問に対してまともに答えて貰っていない感もありますが、お忙しい
中返事を頂きありがとうございます。

1.について
>この差が、国内有効需要を形成するわけですよね?
それは分かっていますが、差が同じで輸出が66兆円で輸入が56兆円、
あるいは輸出が36兆円で輸入が26兆円となった場合、景気判断は
どうなりますか?同じですか?
また韓国などでは、外貨稼ぎのため赤字覚悟で輸出を増やした時期があり
ます。それでもGDPは増えますがそれで景気が回復した事になりますか?


2.について
「ゼロ金利政策を解除して」景気は良くなったかという事ですか?
良く分からないけど、「ゼロ金利政策を解除」はマクロ経済学で考えると
どういう効果があったのでしょうか?

3.あれ、ITバブルでも景気が回復しないと言われていたのでは?
>外部要因頼みでは、景気が回復しないということではないですか?
では無くて、外部要因でも景気は回復できる事を示しているのでは?

>ところでそのタイミングっていつごろになりますか?
既に起こっている時点は昨年の初め頃ですが。
2重3重の発注で市場規模を膨らませ、設備投資をした後はじけた
ため、長期購買契約が履行できなくなった。既存設備が稼働しない
(殆ど1年間稼働率が0に近い)だけでなく、投資負担に泣いた1年
ですね


4.
>だけど今問題にしているのは日本国内の景気のことではないのですか?
あれ、日本の景気を考える上でマクロ経済学では国内だけを考えれば
良いのか?という疑問からスタートしているのですが?


>できれば、たかつかさんが必要と考える「構造改革」をできるだけ
>具体的に定義した上で、それがどうして必要なのかを教えていただ
>きますか?
先に将来の人口構成で影響受ける商品を具体的に教えて貰いたいですが。

私等の素人から見ると、若田部さん達の言っているのは「水が漏れている
水槽」の水位を上げるために水を多く入れれようとしている様に思います。

では、将来水漏れが激しくなると予想される場合、水の供給量が増えた
事で中にいる魚は安心するでしょうか?

水槽にいる魚にとって水位が下がる事は生存に関わる事ですから自分専用
のしっかりしたタンクへ水をいれて(貯蓄して)将来の水を確保しようと
考えるのではないですか?

水漏れ修理が「構造改革」にあたると思います。
「貯蓄」が国民の考えの反映、「株価」が市場の判断であれば、日本が
変わったと言うことを具体的に両者に納得させる必要があると思うのですが

例えば、年金や健保(老人の医療費)の問題は「貯蓄」に大きな影響を与え
ませんか?

もう一つは産業構造の変化です。製造業は国際競争力を失いつつあります。
将来、何で日本を支えるのでしょう?そこを明示して具体策をとるべき
です。

先端技術力、開発力で勝負するなら、国際的に通用する特許知識を持つ
人間の育成やベンチャーの育成が必要です。

もう少し詳しく言うと、従来大企業だと本業の儲けを新規事業の開発に投資
して新しい事業を興そうとしていました。社内にベンチャーとベンチャーキ
ャピタルをもっていた様なものですね。
これは必ずしも成功しなかったのですが、兎も角も先端技術の事業化の手段
となっていました。が、最近の企業のリストラ、本業の儲けは本業で使わな
いと競争に勝てないため、この様な事業化は難しくなってきます。

でも、日本ではベンチャーを育成する体制やベンチャーキャピタルは無いに
等しいです。これでは、技術立国は無理です。

では、ソフト業界やサービス業で立国するか。
では、ソフト業界へ人材を供給できているでしょうか?大学の工学部では
製造業への人材、もっと言うと材料分野への人材供給はしているが、回路
設計やプログラム設計に人材が供給できない(大卒で即戦力にならない)。

サービス業はどうか?この10年で私たちは金融・保険・証券の分野で
日本の企業の国際競争力の無さを見せつけられてきました。
この分野で立国できますか?

マクロ経済学は、将来の人口減による総需要の減少を予想しているのですよね。
では、長期にわたるインフレを実施したときの国民負担率の変化をどの様に
考えるのでしょうか?インフレ(実質)を実施して人口減になった時の生活水
準は維持できるのですか?



Id: #b20020413205622  (reply, thread)
Date: Sat Apr 13 20:56:22 2002
Name: ブタネコ
Subject: エコノミックス 2001  6号

エコノミックス 2001 秋 6号は、岩田 清野編集で、『構造改革』を特集しています。
この号の書評は『アダム・スミス伝』で、若田部さんが執筆。
さて、構造改革に関する様々な提言は、
1)手順
2)教育
3)環境
の三つにまとめられていて、このまとめ方はなかなかいいなと感心しました。
2)教育 の記事の中味については、中味の庸劣さが、まさに教育改革の必要性を感じさせるものでしたが。
森嶋の『なぜ滅ぶか』にあるような、思考しない人間の量産をやめるといった話しとは遠い。
小論で松井彰彦の「経済学にも構造改革を 学問のアメリカ化の弊害」と、八田の、「過去の構造改革の成功例としての石炭から石油への例と都市再生」がなるほどという感じ。石炭から石油へを原発から風力へにすればと思うが、土建屋のタカリ体質から建設コストがデンマークの数倍とか構造的なネックは多い。
日本の『構造』を批判した本としては、ガバン・マコーマックの『空虚な楽園』などの方が根の深さを感じさせるし、空虚なものに内実を与えるのは容易でない。
ところで、若田部さんのマイルドな古典の勧めと比べるのも変だが、『数学のたのしみ終刊号』の梅田 亨のHermann Weyl  The Classical Groupsはハード。
Id: #b20020413184549  (reply, thread)
Date: Sat Apr 13 18:45:49 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020412202718
Name: くろき げん
Subject: GDPについて

たかつかさんは自分から見える範囲の製造業だけにこだわっている限り、どうして国内総生産 (GDP) のような話をしているかを永久に理解できないと思います。というわけで GDP の話をします。

現実の統計の出し方はかなりややこしいようですが、 GDP は一応「国内の労働力や生産設備を用いて生産されたモノやサービスの付加価値の総額」と定義されます。単純に金額を足し上げたのが名目GDPで、物価変動の影響を除いて計算したのが実質GDPです。実質 GDP が上昇すれば国内の労働力や生産設備がそれだけ多く利用されることになる。

物価水準が上昇すると、名目GDPは実質GDPよりも速く上昇することになります。名目GDP成長率と実質GDP成長率の差はインフレ率の一種であり、 GDPデフレータと呼ばれています。たとえば、名目GDP成長率が7%で実質GDP成長率が4%ならばGDPデフレータは3%になります。 (インフレ率には、生活に密着した消費者物価指数を用いて算出したものや、企業間取引に密着した卸売物価指数を用いて算出したものなどがある。目的に応じて使い分ければ良い。 GDPデフレータは経済全体の包括的なインフレ率だとみなせる。)

さて、生産されるモノやサービスの詳細を無視して、全てを金額に換算して足し上げた数字を考えることにはどれだけの意味があるのか? 単に国内で生産されたモノやサービスの量を大雑把に測る以上の意味はあるのか?

過去の経験から、 GDPの成長率が小さ過ぎると失業率が上昇することが知られています。だから、少なくとも、 GDP の統計を見ることは失業の問題について考えるときに大いに意味を持つことになります。失業率の上昇は大問題ですから、「GDP なんて庶民の生活には関係ない」という考え方は誤りです。 (「現実の経済の分析に経済学は役に立たない」という考え方も完全な誤り。経済統計を読むためだけにも、最低でも経済学入門書レベルの知識が必要になる。経済統計のデータを分析するためには経済学の知識がまるごと全部必要になる。)

生産しただけ売れる状況であれば国内の生産能力の限界が GDP を決定することになります。しかし、そうでない状況、すなわち「お客様は神様です」という状況では、国内で生産されたものに国内および国外の人たちがどれだけ支出してくれるかが重要になります。すなわち、国内向けの需要が重要になる。

世界中の人たちの支出を、日本人 (正確には日本に住んでいる人) と外国人 (正確には日本の外に住んでいる人) の支出に分類し、その各々を日本国内で生産されたものへの支出と日本国外で生産されたものへの支出に分割しましょう:

日本のGDPは日本国内での生産物への支出に一致するはずですから、

が成立します。この式に上の二つの式を適用すれば、

GDP=国内需要+輸出−輸入

が成立することがわかる。ただし、次のようにおきました:

国内需要を民間消費と民間投資と政府支出に分類すると、

GDP=民間消費+民間投資+政府支出+輸出−輸入

さらに、

とおけば、簡単な算数によって、

貯蓄=民間投資+財政赤字+純輸出

これは恒等式なので、民間投資が貯蓄よりも少なければ、残りの分は必ず財政赤字と純輸出のどちらかに化けることになる。純輸出が一定のとき、財政赤字を減らすためには、民間投資を増やすか、貯蓄を減らすしかない。貯蓄を減らすためには、 GDP を減らすか (GDP を減少させるような政策は失業や倒産を激増させるのでやばい)、税を増やすか、民間消費を増やすしかない。

もしもひどい不況になって、民間投資と民間消費も減ってしまったらどうなってしまうか? 不況になれば税収は減る。だから、純輸出が一定ならば、財政赤字が増えるか、 GDP が減るかのどちらかが必ず起こることになる。

最後にGDPデフレータに関する注意。 GDP に輸入はマイナスで効いて来る。だから、輸入品の値段が上がるとGDPデフレータは下がり、輸入品の値段が下がるとGDPデフレータは上がる。よって、 GDPデフレータがマイナスの値になるためには、輸入品の値段が下がったせいでGDPデフレータが上昇した分を打ち消す以上に、他のものの値段が下がる必要がある。消費税率アップの影響を除けば1994年から日本のGDPデフレータはずっとマイナスになっている。

各企業の活動の詳細を追わなくても、 GDP を見るだけでも色々なことがわかる。しかも、個人の実感ではなかなか認識できないようなことを知ることができます。

各省庁が最新の統計データをインターネット上で公開してくれたので、それらのウォッチを趣味にすることが可能になったし、海外のデータも手に入れ易くなった。天文ファンは楽しみながら星空をウォッチし続けています。そしてときより非常に面白いものを発見したりする。各種統計データを楽しみながらウォッチし続ける人が増えたりしないかな、と思っているのだが果たしてどうか? まだ敷居は非常に高い。望遠鏡を自分で自作しなければいけないレベルでの敷居の高さがあるような感じがします。そこのところがどうにかなれば、ウォッチャーが増える可能性があると思う。


Id: #b20020413114840  (reply, thread)
Date: Sat Apr 13 11:48:40 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020412230752
Name: sk
Subject: 書籍推定販売点数
販売金額ではなく販売点数だと、「本とコンピュータ」第2期3号(2002年春号)
の常世田良「公共図書館は出版界の敵にあらず」に1971-2000の書籍推定販売
点数のグラフが載っています。

(目次のみ  http://www.honco.jp/magazine/01_honco/index.html  )

このグラフによると、書籍の推定販売点数は
1971から1980年代後半までは増加、
1980年代後半の9.4億点をピークに1980年代末以降減少、
1990年代半ばにいったん増加したが1980年代後半の水準には戻らず、
再び減少して2000年には7.7億点、
と変化したようです。

出版統計と取り次ぎルートの説明は↓に書いてありました。

http://www.pot.co.jp/zu-bon/zu-06/zu-06_036.html

Id: #b20020413113025  (reply, thread)
Date: Sat Apr 13 11:30:25 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020412202718
Name: わかたべ
Subject: 質問は一点だけにします

たかつかさん。興味を持っていただけたら、ぜひ次はマクロ経済学の学習へとすすんでください。その順番は、どこかで教科書を読む必要はあるでしょうが、まずは岩田、クルーグマン本でいいです。製造業の経験だけをみるのではなく、経済全体を見る目を学ぶことができるはずです。

いくつかにコメントし、疑問符がいっぱいついていますが、私の質問は一点だけに絞りたいと思います。

1.純輸出では、少ないですが、輸出額が約56兆円で輸入が約46兆円あります。差で取ると少なく評価されますが、輸出額は結構あります。
=>この差が、国内有効需要を形成するわけですよね?

2.>それで、ゼロ金利政策を解除して、どうなったのか。「生活者」は生活が楽になりました>か?現場にいらっしゃるかたのほうがよくご存知ではないでしょうか。
ちょっと意味が不明です。
ゼロ金利政策を解除しても、「生活者」に直接関係する預金の金利は上がっていませんね、
そういう意味で使われているのですか?
=>まったく違います。だいたい「生活者」というのは曖昧な言葉ですが、それを大部分の家計と考えるならば、景気全体が悪化すれば、倒産、失業によって、経済の大部分の家計に影響があるということです。

3.製造業では、IT大ブーム期に景気が回復しかかったと思います。リストラをした(あるいはリストラをさぼった)企業は、新たに設備投資をしてこれからと言うときにITバブルがはじけた。(まさに絶妙なタイミングでした)
=>だから、景気は回復しかかったけどはじけてしまったらおしまい。外部要因頼みでは、景気が回復しないということではないですか?ところでそのタイミングっていつごろになりますか?

4.日本は貯蓄が高い事が問題と言われても、成長には資金が必要でその資金が足りない国、例えばアメリカもありますよね。資金は世界を回っているのでは無いですか?
=>もちろんそうです。だけど今問題にしているのは日本国内の景気のことではないのですか?

<私の質問>確かに日本の金融機関は貯蓄を「投資」に振り向ける技術を持っていないため、徒に死んだ金を作っている様には思います。
だから、構造改革が必要な気がするのですが、勘違いでしょうか?
=>ここが私のいま一番知りたいところです。どうして、構造改革が必要なのでしょうか?

上では、資金が世界を回る、というように、資金に本来は「死んだ金」はないと考えていらっしゃいますよね?しかも日本人の貯蓄がまずは日本の金融機関にあずけられていることも前提になっている(別に外資系であっても日本人の貯蓄ですが)。それはアメリカには回るが日本国内には回らない。それは単純に日本の金融機関に「技術」がないからだ、ということでしょうか?

できれば、たかつかさんが必要と考える「構造改革」をできるだけ具体的に定義した上で、それがどうして必要なのかを教えていただきますか?
Id: #b20020413044109  (reply, thread)
Date: Sat Apr 13 04:41:09 2002
Name: くろき げん
Subject: 実質実効為替レートの変化と貿易収支の推移のタイムラグ

長期での経常収支が貯蓄投資バランスで決まるというのはかなり確からしい考え方だと思うのですが、短期には実質実効為替レートの変化に大体1〜2年遅れで貿易収支が変化するという経験則が存在します。過去の経験を外挿すれば、円高になるとその2年後の貿易黒字幅は小さくなると予想される。貿易黒字が小さくなった2001年の1〜2年前の1999-2000年は円高の年でした。

 実質実効   | 左の2年後の
 為替レート | 貿易収支(黒字)
 の年平均   | 単位は億円
------------+----------------
 1985  95.1 | 1987 132319
 1986 123.9 | 1988 118144
 1987 130.1 | 1989 110412
 1988 136.2 | 1990 100529
 1989 124.1 | 1991 129231
 1990 114.0 | 1992 157764
 1991 121.5 | 1993 154816
 1992 124.4 | 1994 147322
 1993 140.5 | 1995 123445
 1994 147.9 | 1996  90967
 1995 148.6 | 1997 123103
 1996 125.1 | 1998 159843
 1997 118.2 | 1999 140155
 1998 120.6 | 2000 125634
 1999 135.5 | 2001  85209
 2000 141.4 |
 2001 127.5 |

実質実効為替レートの年平均は日銀の「実効為替レート(名目・実質)」の解説経由で「実質実効為替レート (金融経済月報用データ) 」を取得し、各年の全ての月の数字を単純に合計して12で割ることによって計算した。

貿易収支の方は日銀の旧国際収支統計のページから「主要項目 (経常収支、資本収支等)」を取得して、各年の全ての月の貿易収支を合計することによって計算した。

なお、1977-1994年における実質実効為替レートと貿易収支の関係がわかるグラフが平成7年経済白書第9.2節第1-9-8図「実質実効為替レートと貿易黒字(対名目GDP比)の推移」にある。

自分なりに色々調べてみると、 2001年の貿易黒字の減少を構造要因で説明しようとしている人を見かけたらちょっと要注意な感じですね。 1年単位での急激な変化をゆっくり変化するはずの構造要因で説明するためにはかなりの強い証拠を示す必要があると思う。


1つ前の記録:黒木のなんでも掲示板2 (0042)


管理者: 黒木 玄  <kuroki@math.tohoku.ac.jp>  (Web Site)
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