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黒木のなんでも掲示板2 (0042)

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Id: #b20020413005754  (reply, thread)
Date: Sat Apr 13 00:57:54 2002
Name: くろき げん
Subject: 津上俊哉「中国経済脅威論に思うこと−グー・チョキ・パーの北東アジア−」

中国が脅威だと信じ込んでいる人は次を読むべし:

その図2が非常に興味深いです。上のコラムで津上曰く、

しかし、図2を見てほしい。2000年の日本の通関統計上、対中貿易赤字は確かに247億ドルに達しているが、傍らで対香港の貿易黒字はこれを上回る255億ドルに達している。・・・香港相手に255億ドルの黒字?
こんなことがおきる理由は統計の方法にある。輸入統計を集計するときは、原産国がチェックされる。たとえ輸入貨物が香港から運ばれてきても、中国原産と判断されるものは対中輸入に計上される。しかし、香港に向けて輸出された貨物がその後どこに再輸出されるのか・・・? 通関統計はそこまで追跡しない。周知の通り、香港は対中輸出の大中継地だ。大量の貨物が香港経由で中国に再輸出されているが、その数字は対中輸出には計上されない。

……

図2では韓国、台湾にも注目してほしい。両者は日本から大量の部品原材料や機械類を輸入するため、いずれも対日貿易赤字が大きい。一方、両者とも対中+対香港の貿易収支は大幅な黒字を記録している。
つまり、日本、韓国・台湾、中国(香港を含む)の間には、貿易収支のグー・チョキ・パーとも呼べる相互補完的な構造が存在しているのだ。確たる推計はできないが、品目別の内訳を見ると、日本から輸出された部品・原材料が製品に組み込まれて中国に輸出されていることは容易に推測できる。つまり、日本から中国への間接的な再輸出だ。
以上、全体を通して分かることは「中国への産業移転・空洞化が輸入急増を招き、貿易黒字を急減させている」といったパーセプションは事実と符合しないということだ。

結果的に中国を含めたアジア圏内の貿易は全体として日本にも恩恵をもたらせている可能性が高い。もちろん所謂「産業空洞化」の流れで苦労しているところも多いのだろうが、津上が示してるデータとその解説を読むと、別の一方ではアジア圏貿易のおかげで儲かっている日本の企業が存在するはずであることがわかる。

P.S. 中国が脅威だからという理由で日本企業の中国への投資の拡大を心配するという意見には賛成できない。しかし、ここ数年の中国の経済成長は数字の捏造である疑いが強く、もしかしたら中国経済はちょっとやばいのかもしれないという理由で心配だ、という意見であれば正しい可能性があると思ってます。中国の経済統計を付き合わせてみると、「1997年から2000年にかけて中国のGDPが24.7%も成長したのにエネルギー消費が12.8%も減少している」「中国が二十世紀最大級の洪水に見舞われながら農業生産が増加」「工業総生産量が10.75%増加ながら主要製品93項目のうち53項目が減少」「個人消費が6.8%増なのにその主要な部分を占めるはずの衣料品が都市部、農業部とも10%近くも減少している」ということになるらしい (cf. 「中国の7%成長はウソだった」経済/経済学@いちごびびえす)。


Id: #b20020412235013  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 23:50:13 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020412162352
Name: 大森啓
Subject: レスありがとうございます

 結構図星ですね・・。さすがかもさんです。

 でもね、かもさんの立場ならよくわかってもらえると思うのですが、結局自分程度のトレードでは、マーケットからは所詮ごみ扱いなんですよね。

 MSの牙城ににLINUXが肉薄しても、結局資本のあるほうが現実には強い。
 先のことはわかりませんが、似たような印象を受けました。

 でもごみにはごみなりの矜持というものがあるし、それで大きな資金を動かしてマーケットを牛耳ってるやつらには負けたくないなという、そういう意味を含めてはいます。

 考え方として間違いなのかなあ。ちょっと判断できにくいです。

 ただし、ネットを通じて、きゃつらには勝てないまでも、それなりに生き残っていくやり方をいろんな方から教えていただきました。
 基本的には、このマーケットの薄汚さに対する反感というか、違和感では共通する友人たちや諸先輩方です。

 そういうベーシックな価値観では、案外似たところがあるんじゃないかなというのが、僕の仮説です。

 一番大きく違うのは、方法論についてはオープンに教えてくれてもも、実際のトレードについてはクローズドでやらなければしょうがないといったところでしょうか。
 目立つと必ず狙われますからね。

 でも、これもソフト開発に関わる著作権などと比較してみると、そう大きな隔たりは感じないように思います。
 知られたら困ることってやっぱりあるでしょうから。

 ハッカーという言葉をわざわざ持ち出したのは、いささか挑発的な意味合いも含めています。

 日本の商品先物市場は効率が悪く、比較的簡単に成功しやすいという印象を感じます。
 テクニカルな技法やその他様々な手法をを使えば、負けるのは決まって相場に無知な一般投資家(かつて僕もそうでした)なので、勝ち組のおこぼれを貰いやすいんですよ。

 心外に感じられるかもわかりませんが、一般に流布しているハッカーのイメージを逆手にとって使いたかったというのもあるのです。
Id: #b20020412230752  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 23:07:52 2002
Name: 田中秀臣
Subject: ゴキブリ2号って(汗
題名には関係ないですが、基本的なデータをいまようやく手にしてます。出版不況
についての。戦後まもなくから1972年ごろまでは経済成長率をはるかに上回る
取次ぎ経由の販売量→72年以降から低成長開始、ほぼ日本経済の成長率と同じ率
→九七年以降、マイナス成長が続くという異例の事態に!

この九七年以降の取次ぎベースの販売金額の減少は、まさに「橋本失政」以降の
日本経済の急激な下降と同じにしていますね。やはり出版不況は、経済全体の
不況の表れというわけですね。あたりまえなような結論ですが、妙に納得。
すると「構造的な出版の停滞」があるにせよ、それをさらに加速させているのが、
人びとの名目所得の減少であることが明らかになりそうです。

これから『出版動乱』と『だれが「本」を殺すのか』を読みます。感想はまた
後日。

それとリンクそのほか、黒木さん感謝

Id: #b20020412212502  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 21:25:02 2002
Name: ブタネコ
Subject: 輸出入の影響

たしかに、GDPに対する、輸出や輸入の額の比は1割程度です。(ヨーロッパではもっと大きいが、国が小さく、隣国との取り引きもあるから、小さいともいえない。)
でも、次の形の影響は大きいのでは?
背広の国内工場出荷価格が2万円で、デパートでは6万円でまあ良く売れていた。
工場がネジ1本にいたるまで、経済特区に移転し、3千円と1万円になった。
30年前九州から岐阜に、故郷で水さかずきを飲んでから集団就職した女工さんたちは、もう財産もあるし亭主もいるし、意外と影響はなかった。
問題は消費者の大衆過剰富裕に便乗して差額の4万を水手で掴んでたオジサンたちで、マイカルの倒産やら、ブランドデパートでの50代の大リストラやら、猛烈なしばきにあっています。
かって、日本は基礎研究の成果をただ取りと批判された。今、開発研究の膨大な蓄積をただ同然に提供して生産拠点を中国に作らなければ(東芝の新半導体製作基地)資本として生き残ることはできない。
1着3千円だったり、過去の研究費はチャラで、工場の建築費だけだったら、出てくる数字は小さいが、影響は数字以上でしょう。
僕の基本的な考えは、貿易が盛んになり、世界中が豊かさを享受できることですが、あまりに急な変化には、東アジア共同体での話しあいの必要もあるのでは(中国に過剰投資を自制してもらう代りに、中国自身の研究能力を援助するとか。)

それでも、グローバル化の暴風は止むことはないから、柔軟な思考の人間を増やすしかないが、本を読ませない教育がネーションワイドにビルトインされていては。
士大夫 三日 書を読まざれば 理義 胸中を通わずして 面貌 憎むべし。
Id: #b20020412205710  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 20:57:10 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020412153742
Name: かも ひろやす
Subject: 高齢化と移民

「多くの経済学者の意見が一致するところでは、出生率の低下と大量の移民受け入れを拒否する政策が、こうした事態が起こる最大の理由である。」って…。移民を大量に受け入れて一時的に生産年齢人口を増やしても、10年から20年後にはその人たちの高齢化が効いてきて、高齢化を進める方向にはたらきはじめるんですけど。高齢化を止める効果があるのは、移民ではなく出稼ぎの受け入れでしょ。

引用されている文は移民と出稼ぎを混同した議論に見えるんですけど。ただの誤訳?


Id: #b20020412202718  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 20:27:18 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020412153742
Name: たかつか
Subject: やっぱりマクロ経済学って分からないです

若田部さん、ご教示有り難うございます。
クルーグマンの本も岩田さんの本も持っています。今、忙しくて読めていませんが色々
と調べようと思います。

>=>国内での投資にこだわる理由は、いまこの議論で問題にしているのが、日本の実
>質GDP(国内総生産)だからです。日本の景気云々というのも、これで判断しているの
>で。海外部門を入れると、
>
>GDP=家計国内消費+企業国内投資+政府国内公共支出+海外への輸出ー海外
>からの輸入
>になります。

これは、GDP=民間需要(民間最終消費+民間住宅+民間企業設備+民間在庫品増加)
+公的需要+財貨サービスの純輸出(輸出−輸入)
と同じですよね。

GDPの速報だと2001年はGDP(実質)は531兆円、内民間企業設備は約89兆円
財貨サービスの純輸出は約10兆円です。(http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/qe014/jissuu.html)

純輸出では、少ないですが、輸出額が約56兆円で輸入が約46兆円あります。
差で取ると少なく評価されますが、輸出額は結構あります。

>ITブームの破綻で、確かに日本経済には「さらなる悪影響」がありました。けれども、そ
>れは長引くデフレ不況の主因ではありません。
私は製造業にいるので、そこしか分かりません。マクロ経済で見ると同じかもしれませんが
バブル以後の不況は4期位に分かれていて今の製造業の不況はITブームの破綻
が大きいと思っています。

ジェトロの作成した日本の貿易収支だと商品の貿易収支は
98年1221億ドル、99年1229億ドル、00年は1168億ドルであったのに対して
01年は703億ドルに減少します。

>それで、ゼロ金利政策を解除して、どうなったのか。「生活者」は生活が楽になりました
>か?現場にいらっしゃるかたのほうがよくご存知ではないでしょうか。
ちょっと意味が不明です。
ゼロ金利政策を解除しても、「生活者」に直接関係する預金の金利は上がっていませんね、
そういう意味で使われているのですか?

ある程度金融資産を保有している人が多ければ、預金の金利を上げる事で可処分所得を増やして
消費を促すという考えが出ても不思議では無いと思います(これは人に限らない、つまり金融資産を
持つ企業、保険業なんかにも効果がありますが)。

>それと「バブル企業の整理救済」というたかつかさんの表現からは、どうも現在のデフ
>レ不況をバブル崩壊の延長線上に捉えていらっしゃるように伺われます。
私自身は上に書いた様にそうは思っていませんが、マクロ経済ではどう考えているのか、
どう取り込んでいるのか不明な気がします。

「バブル企業の整理救済」は、まだ続いていると思いますが違いますか?

>=>米国経済の立ち直りは大きいですが、それだけに頼ることは不可能でしょう。せ
>いぜいこれより、外部要因では悪くならない、という程度です。なにしろ、先にあげたよ
>うなあれだけのIT大ブームがあっても日本の景気は回復しなかったのですから。だ
これは認識が違います。
製造業では、IT大ブーム期に景気が回復しかかったと思います。リストラをした(あるいは
リストラをさぼった)企業は、新たに設備投資をしてこれからと言うときにITバブルが
はじけた。(まさに絶妙なタイミングでした)

>=>たとえば、総人口は増えるが、生産年齢人口は変わらない、とかいろいろなケー
>スを考えられると区別が重要になりませんか?
そういう答えを期待したのではありません。
多分これまでは、家計費を主として負担する人は生産年齢に当たる人だったと思います。
ところが、これから退職される人、高齢者は総計で莫大な金融資産を持った年齢層ではないですか?
そうすると、高齢者の増加は単純に総需要の減少にならないのではないですか?

商品の寿命をどう考えるかによって異なりますが、例えば衣料だと現在の人口構成
は気になりますが、
2年先の人口は考えないでしょうね。

テレビやビデオは既に海外で生産されていますが、日本の限った商品ではありませんから
日本の人口変化だけを考える事は無いでしょう。寧ろ中国とかの普及率や世帯当たりの台数は
気にするでしょうが、10年先は考えないでしょうね。

マクロ経済学で10年先の人口構成を気にしなければならない商品、或いは業種を挙げて
いただくと有り難いです。

投資の話、なんか良く分かりません。
企業が資金を必要としたときに、どうするでしょうか?
今だと多分金融機関から借りる事は無いと思います、市場からの直接調達が主では
無いでしょうか?(大中企業だけかな)

確かに日本の金融機関は貯蓄を「投資」に振り向ける技術を持っていないため、徒に
死んだ金を作っている様には思います。
だから、構造改革が必要な気がするのですが、勘違いでしょうか?

日本は貯蓄が高い事が問題と言われても、成長には資金が必要でその資金が足りない国、
例えばアメリカもありますよね。資金は世界を回っているのでは無いですか?

時間が無くて纏まりが無い文になってすみません。
Id: #b20020412200601  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 20:06:01 2002
Name: ゴキブリ2号
Subject: こっちのほうが
黒木様

例のメルマガですが、バックナンバーまで全部とってあるのは、

http://www.japanknowledge.com/inose/index.html

のほうです。リンク張るならこちらが良いかと。

Id: #b20020412200203  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 20:02:03 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020412153742
Name: ひめたにし
Subject: 総人口と生産年齢人口の推移
 私は厚生労働省のまわし者ではありませんが、「総人口が減少に転じるのは数
十年先の話」という認識はまずいのでは。
 国立社会保障・人口問題研究所による「日本の将来推計人口(平成14年1月
推計)」の中位推計では、総人口のピークは2006年と予測されています。生産年
齢人口は1995年をピークに既に減少過程に入っているとされています。
 http://www.ipss.go.jp/Japanese/newest02/1/suikei_g.html

Id: #b20020412162352  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 16:23:52 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411221003
Name: かも ひろやす
Subject: 本を読む習慣

そういえば、小説を読む習慣をもたないのに小説を書きたがる人が増えているという話もききますね。そういうのって、新人賞を出している出版社とかが応募者の意識調査のデータとしてもっていないでしょうか。

普通の識字率の低下とは似て非なる現象が起きているようにも見えますが、定量的なデータは、どこで入手できるのでしょう。

ついでなので、大森さんの「ハッカー トレーダー」について、要点だけ。「『ハッカー』という言葉が気に入ったので借用しました」ではだめですか?


Id: #b20020412153742  (reply, thread)
Date: Fri Apr 12 15:37:42 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411193613
Name: 若田部
Subject: ご指名なので

いつのまにやらご指名されてしまいました。お答えになっているかわかりませんが、マクロ経済学への興味がわいたとしたらうれしい限りです。

まず理解すべき背景は、私のひめたにしさんへのコメントは、「クルーグマンの議論を正確に理解しよう」、というものです。

それが正しいかどうかは、別途吟味すべきことですが、クルーグマンは、なにしろ啓蒙的文章ですのでやや分析が足りないところはあるにせよ、ひめたにしさんがいうほど「いいかげん」ではありません。これだけの文章を書ける人はめったにいないです。

1.>高い貯蓄率に見合うだけの、高い投資がないことが問題
日本国内での投資に拘っている様ですが、何故海外への投資を考慮されない
のでしょうか?
企業は既に国内だけではなくグローバルに事業展開している(せざるを得ない)
と思います。ここ1年の低迷の最大の原因は米国のITバブルの破綻にあると
思いますが・・・・
=>国内での投資にこだわる理由は、いまこの議論で問題にしているのが、日本の実質GDP(国内総生産)だからです。日本の景気云々というのも、これで判断しているので。海外部門を入れると、

GDP=家計国内消費+企業国内投資+政府国内公共支出+海外への輸出ー海外からの輸入

になります。

ITブームの破綻で、確かに日本経済には「さらなる悪影響」がありました。けれども、それは長引くデフレ不況の主因ではありません。

2.>=>金融政策によって、普通最初に刺激されるのは?投資です。
教科書的にはそうだと思います。が、今回の不況では住宅向けの金利の引き下
げで、住宅、マンションが売れた様に思います。
また、今回の不況での金融政策は投資喚起のために行ったと思われる理由は
何なのでしょうか?素人から見ると、バブル企業の整理救済のための時間稼ぎ
の様に見えたのですが。
=>まずは、クルーグマンの議論の理解なので、まさに教科書的議論そのもの。

それと、住宅などについて、どう経済学で考えるかについては、すでにこの掲示板で過去にレスがあったように思いますので、そちらを参照してください。

現在の金融政策は「バブル企業の整理救済のための時間稼ぎ」かどうか。本音のところでは、金融政策当局でも「バブル企業の整理救済のための時間稼ぎ」と考えている(人もいる)のかもしれない。そのわりには一貫していない、というのが私の答えです。

一番いいのは、2000年8月11日のいわゆるゼロ金利解除でしょうか。

ここで理解すべきは金融政策のようなマクロ政策は、マクロ経済変数への影響を通じて、マクロ経済全体に影響を及ぼすという観点から行われるべき、という原則論です。ここを間違えると、「生活者」はゼロ金利で困っているから、ゼロ金利を解除しなくてはならない、という暴論がでてくる(実際、こういった人がいるのですよ)。

それで、ゼロ金利政策を解除して、どうなったのか。「生活者」は生活が楽になりましたか?現場にいらっしゃるかたのほうがよくご存知ではないでしょうか。

それと「バブル企業の整理救済」というたかつかさんの表現からは、どうも現在のデフレ不況をバブル崩壊の延長線上に捉えていらっしゃるように伺われます。そういう段階はもうすぎています。なにしろ金融政策のスタンス自体、ここ10年で大きく変化しているのですから。ぜひ、岩田先生の『デフレの経済学』をお読みください。

3.>「多くの経済学者の意見が一致するところでは、出生率の低下と大量の移民受け
>入れを拒否する政策が、こうした事態が起こる最大の理由である。高齢化する人
>々の貯蓄率は、定年後に備えて高くなる傾向がある。その一方で、今後、数十年
>のうちに生産年齢人口が縮小する(すなわち国内市場が縮小する)ことがわかっ
>ているときに、貯蓄を企業の投資に向けさせることは難しいのである。」(p.107)
ここもちょっと分かりません。
国内市場が減少しても、それなりの競争力があれば海外市場に向けて生産できます。
今期待されている景気回復は、米国経済の立ち直りに負うところが大きいのでは
ないでしょうか?
=>米国経済の立ち直りは大きいですが、それだけに頼ることは不可能でしょう。せいぜいこれより、外部要因では悪くならない、という程度です。なにしろ、先にあげたようなあれだけのIT大ブームがあっても日本の景気は回復しなかったのですから。だいたい、輸出がGDPに占める割合はどれくらいでしょう?

また日本国内の市場と言う意味では総人口が問題であって生産年齢人口(労働
年齢人口)がどう関係しているのか不明です。しかも総人口が減少に転じるのは
数十年先の話です。企業の直接投資の対象として考慮するのはせいぜい数年から
十年位だと思います(個人的な経験からですが)。
=>たとえば、総人口は増えるが、生産年齢人口は変わらない、とかいろいろなケースを考えられると区別が重要になりませんか?

クルーグマンも「今後数十年のうちに」といっていることなので、事実認識はたかつかさんと違いません。そこから、それが「期待」として働くというが、数十年先なので「現実」にはいえない、というのがご趣旨でしょうか。

実際には「近視眼的な事例」があると思います。現実の投資は大きな変動を示しますから。

でも、数年先までは、その頃に何が起きるかを計画に織り込むというのは、否定しないのでしょうか?だとしたらやはり、数10年先には労働人口が減少に転ずる、というのはあまりうれしいニュースではないですよね?企業がまあ数年先までは考えて投資を行うとする。そいつの積み重ねで、とりあえず今年は投資を決定していくとする。来年になる。その時点での情報で決定する。ただし、そのときには(なにも変化がなければ)人口減少の期待がまだ残っている。数十年ー1年先。その次の年になる、ということをしていくと、いずれにせよ、人口の見通しが入ってこざるをえないでは?

4.それから、「貯蓄を企業の投資に向けさせる」というのは正しいのでしょうか?
これまでの貯蓄、特に郵貯等の貯蓄は投資に回っていたのでしょうか?
財投なんかは、どう位置づければ良いのでしょうか?
=>公的金融機関は、民間に貸し出ししない、というわけではないですよね?それが「効率的」なのかどうか、という議論はありますが、民間に貸し出されていれば、それは民間企業に回るわけですし、公共事業に向かえば公共支出に向かう。その「評価」は別。まさに猪瀬直樹氏の改革が重要な領域です。
Id: #b20020411235658  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 23:56:58 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411234247
Name: くろき げん
Subject: メルマガ「日本国の研究」バックナンバー

メルマガ「日本国の研究」のバックナンバーのページにも、このページのトップの小リンク集からリンクをはっておきました。全てのバックナンバーをネット上で読めないのが残念。

もうすぐ若田部さんの「エコノミックスの考古学 第10回」の続きの第11回が読めるようになるはず。


Id: #b20020411234247  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 23:42:47 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411185507
Name: くろき げん
Subject: 経済/経済学@いちごびびえす

せっかくなので「経済/経済学@いちごびびえす」へのリンクをこのページのトップのリンク集の一番左に追加しておきました。インターネット上の様々な場所は必要に応じて使い分けるようにすれば良いのだ。


Id: #b20020411233540  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 23:35:40 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411232750
Name: くろき げん
Subject: 尋常でない努力

田中さん、「尋常でない努力をしている」というありがたいお言葉どうもありがとうございます。全てが終わった後に裏話を笑い話としておおっぴらにできる日が早くやってくると良いと思うのですが、デフレ不況対策にしても、本当に必要な真の構造改革にしても光が見えて来るのはいつになることやら。


Id: #b20020411232750  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 23:27:50 2002
Name: 田中秀臣(元祖声の出るゴキブリ)
Subject:
黒木さん曰く
<猪瀬の周辺にいる良識ある人たちはこういう発言を控えさせる努力をした方が良いと思う。>

これはたとえば僕?(汗)。いちおう、MM日本国の研究で企画チームの一員を名乗
っているのは、僕だけなので(参照:http://www.inose.gr.jp/back/02-3-15.html)。

まあ、明らかに他の人も類推はつきますが(笑い

黒木さんの言葉に対しては、「尋常でない努力をしている」とだけお答えしておき
ます。MMについていえば、猪瀬氏とその企画チームの人達の緊張関係から生産的に
生み出されたもので、「ノーマル?な経済学者やジャーナリストは逃げ出す」ほど
その共同作業は緊張することしばしばです。しかし、その緊張関係はまさに創造的
なものであって、(黒木さんの批判もありますが、)やはり猪瀬氏の尋常ならざる
度量と才覚で統合されているのも事実であり、ぜひこの場で明記したいことです。
猪瀬氏はシバキ論者の側面もありますが、それよりもかなり現実的な戦略家です。

そうじゃなきゃ、根性なしの田中はとうに逃げ出してる(笑

おそらく上に書いた「尋常ならざる度量と才覚」、「現実的な戦略家」という側面
をみないでは、MMが成立している理由が、後世の史家にもわからないでしょう。

2ちゃんねるなどで散見される猪瀬氏への表層な批判は、まさに「表層」なだけだ
と、猪瀬氏の名誉とその真価が正当に評価されるために強調しておきます。
まあ、2ちゃんねる自体はどうでもいいですが。

ちなみにメールマガジン誕生秘話??は以下のサイトに書きました。

http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/compass-048.html

黒木さんのご指摘はありがたい直言と感謝いたします。まじに。

それと出版不況については、明日締め切りの原稿を書いてからまた問答したいですね。重要な問題です。

ではまた



Id: #b20020411221003  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 22:10:03 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411004341
Name: 大森啓
Subject: 納得できました

 よくわかりました。ありがとうございます。

>実は漫画さえ読む人が減っているんじゃないかと危惧しているのですが。

 僕の身の回りの経験からいえば、確かに同じような印象を受けます。

 というよりも、いわゆる底辺校を出た若い子達は実質文盲なのではないかとすら感じます。字が読めないんですよ。本人がそう言ってましたもの。
 フィクショナルな想像力、公的な事柄に対する関心は、全くないといってもいいでしょう。

 ただし、彼らにとって身の丈にあったレベルでのコミュニケーション・スキルはとても大切なようです。
 幼馴染に属する友人との付き合いや、そこから広がっていく他人との出会いは、彼らにとって譲れない生命線です。
  
 ちなみに九九も出来ないものも散見されます。入り組んだ四則計算など到底こなせず、しばしば間違いを犯します。

 これはすべて、進学をせず地元に残った若い連中についての個人的な印象ではありますが・・。
 20代を過ぎるとその傾向が加速していくようにも見受けられます。

 人類の長い歴史から見るとそういう状況の方が当たり前だった、という見方も出来るかと思いますが、もしそうであれば、ここにきて、しばらく続いたモダニズムの本当の終焉に立ち会うことになるのではないかという感触を僕は持っています。

 それにしても、猪瀬直樹はひどいことを言っているものですね。関心のない御仁なもので全くノー・マークだったのですが、紹介していただいた箇所については実に有害な発言だと思います。

 ただ、ここで個人的な印象をもうひとつ提起させてください。

 僕の妹は、既婚者、夫の方針で子供は作らず、女性もがんがん働けという考え方の持ち主のようで、いつも勤務時間は12時間を越えているようです。帰宅は午前様の日も多いとか。
 勤め先はカルチャー・コンビニエンス・クラブ(レンタルのツタヤといえば通りがいいでしょうか)で勤務内容はフランチャイズの営業指導、厳しい労働環境に耐えかねてやめていく人も後をたたず、本人もいつもいつ首を切られるか戦々恐々としているようです。
 ただ、あの会社も派手な打ち出しで有名ではありますが、キャッシュ・フローはかなり悪いみたいですね。
 100万近くの店舗改装の資金すら、会社の口座から捻出するのが厳しいようです。
 そういう事情をおもんぱかって、長時間労働にも納得しているようではありますが・・。
 御幣を招く発言は承知の上であえていいますが、学歴の低い方ほど自己防衛に必死で、幅広い感心を持つ余裕はないようです。

 また思い出しました。僕の担当カウンセラーは20代の女性なのですが、彼女も新聞は読まない、教養をひろめる努力はしないで、ちょっともったいない気持ちをいつも感じてしまいます。彼女は人間としての質はレベルが高いので、しばらく続けるつもりではいますが、これもまた残念に感じることです。難関らしい心理学の大学院まで得ているのに・・。

 少なくとも僕よりも年上の諸先輩方は、洞察力、臨機応変な現実処理能力、何よりも学ぶ姿勢が衰えを見せずで、こういう方々が日本の高度成長を底辺で支えてきた原動力だったのかなと感じてしまいます。
 若い連中と比較した場合、その差は特に顕著に感じます。

 だからこそ、比較的に余裕のある立場におられる方には、この掲示板がそうであるように、パブリックな視点に立って自由な発言を続けていただきたいと感じています。


 たかつかさん、かもさん、いずれメンタルななコンディションがよくなれば、もう少しきちんとしたお答えが出来ると思います。

 ちなみに僕の想定したコンセプトは今のところ順調に推移しています。
 相場に取り組んでいるプログラマー(LINUXには全く無関心な人でしたが)に僕の考えを話したところ、鼻先であしらわれてしまいましたが、その後理解してもらえました。

 なんでも3で提起した問題なのですが、たかつかさん、かもさん、お二方とも見えるようなので、途中経過をご報告までにお伝えしておきます。

 

 

 

 


 


Id: #b20020411193613  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 19:36:13 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407162851
Name: たかつか
Subject: マクロ経済って日本国内に限定して議論するの?

金属メーカの技術者のたかつかです。

経済は全くの素人でしかもちょっと時期を外して(しかも横レス)しまいましたが、
若田部さんに質問です。専門家からすると当たり前のことかもしれないですが。

>高い貯蓄率に見合うだけの、高い投資がないことが問題
日本国内での投資に拘っている様ですが、何故海外への投資を考慮されない
のでしょうか?
企業は既に国内だけではなくグローバルに事業展開している(せざるを得ない)
と思います。ここ1年の低迷の最大の原因は米国のITバブルの破綻にあると
思いますが・・・・

>=>金融政策によって、普通最初に刺激されるのは?投資です。
教科書的にはそうだと思います。が、今回の不況では住宅向けの金利の引き下
げで、住宅、マンションが売れた様に思います。
また、今回の不況での金融政策は投資喚起のために行ったと思われる理由は
何なのでしょうか?素人から見ると、バブル企業の整理救済のための時間稼ぎ
の様に見えたのですが。


>「多くの経済学者の意見が一致するところでは、出生率の低下と大量の移民受け
>入れを拒否する政策が、こうした事態が起こる最大の理由である。高齢化する人
>々の貯蓄率は、定年後に備えて高くなる傾向がある。その一方で、今後、数十年
>のうちに生産年齢人口が縮小する(すなわち国内市場が縮小する)ことがわかっ
>ているときに、貯蓄を企業の投資に向けさせることは難しいのである。」(p.107)
ここもちょっと分かりません。
国内市場が減少しても、それなりの競争力があれば海外市場に向けて生産できます。
今期待されている景気回復は、米国経済の立ち直りに負うところが大きいのでは
ないでしょうか?
また日本国内の市場と言う意味では総人口が問題であって生産年齢人口(労働
年齢人口)がどう関係しているのか不明です。しかも総人口が減少に転じるのは
数十年先の話です。企業の直接投資の対象として考慮するのはせいぜい数年から
十年位だと思います(個人的な経験からですが)。

それから、「貯蓄を企業の投資に向けさせる」というのは正しいのでしょうか?
これまでの貯蓄、特に郵貯等の貯蓄は投資に回っていたのでしょうか?
財投なんかは、どう位置づければ良いのでしょうか?


Id: #b20020411185507  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 18:55:07 2002
Name: くろき げん
Subject: 掲示板のタイトルの下に

声の出るゴキブリ様御一行大歓迎! (^_^;)」を追加しておきました。いつのまにか入り込んだゴキブリを駆逐することがどんなに難しいかを知っていれば「“声の出るゴキブリ”のような連中を駆逐」なんて表現は使えなかったでしょうねえ。せっかくこう言ってくれたんだからどんどん利用しませう。

P.S. たかはたさん、サンキュ!


Id: #b20020411184910  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 18:49:10 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411013117
Name: たかはた
Subject: Re: 「出版不況」と「出版停滞」

書籍・出版についてはいろいろ思うところはありますが,ここでは情報提供のみを.

ほとんど思いつきレベルの話ですが,ためしに総務省家計調査平成12年度年報を見てみると,
「<用途分類> 1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出」〜「長期時系列(昭和59年〜平成12年)」に「全世帯(被服及び履物〜エンゲル係数)」というエクセルファイル(2nh0102.xlsとかいうやつ)があります.

その中に「書籍・他の印刷物」という項目があり,1985〜2000年までの対前年実質増加率(%)が載っています.これを見ると,増加率がマイナスでないのは1988(+0.6),1993(+0.7),1997(0.0)の3年だけですね(括弧内は増加率).

ということで,日本の世帯全体を平均すると,この10年ほどの間,書籍類への支出はジリジリと減り続けている,とは言えそうです.

web上じゃなくて冊子体の出版関連統計については,出版界の統計・資料本なんてページも.


Id: #b20020411183913  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 18:39:13 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411071119
Name: ひめたにし
Subject: 「ゴキブリ」の由来
 BUNTENさん、リンクできるようになったんですね。私は相変わらずURLを書く
だけです。
 説明を省いて失礼しました。ゴキブリの語源はここです。

 http://jmm.cogen.co.jp/jmmarchive/m028001.html

「多くの前提を捨象した話にそのまま便乗し、結論を自分の意見のように語るこ
とで『経済にコメントした』というような顔をしている”声の出るゴキブリ”の
ような連中を駆逐することが必要だと思います。『調整インフレ』という話題は
ゴキブリを誘い出す餌としては格好のものでしょう。」
 これを読んだときには、「そっか、私はゴキブリだったんだ・・・」と妙に納
得してしまいました。群れているイメージが何となく好きというのもあります。
ただし、褐色の燕尾服でステッキを持って、タップダンスを踊っている、おしゃ
れなゴキブリさんたちを想像しています。(よけい気持ち悪い?)
 
 朝日新聞掲示板での発言には、「共感」の星が3つ付きました。これはIP当た
り1回投票できるシステムで、満点は星5つです。けっこう共感があるみたい。
インフレと聞くだけで拒否する人が多いのではと予測していましたから、「いっ
たい誰が共感してるの?」と不思議です。ここから流れていった方たち?

 その他についての話はまた今度。アサヒ・コムで難しい言葉を使わずに短く書
いてますが、分量の割にけっこう時間がかかる・・・

Id: #b20020411140756  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 14:07:56 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020411013117
Name: かも ひろやす
Subject: 本を買うシステム

本は貸本屋から借りて読むのが(少なくとも都市部の庶民には)普通という時代が300年以上続いたあと、本を買って読む習慣が広まって、まだ数十年ですよね。本を買う文化そのものが新しくて、まだ、システムが不安定ということはあるんじゃないですか。
Id: #b20020411071119  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 07:11:19 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020410061112
Name: BUNTEN
Subject: 僭越ながら

「ゴキブリ」という表現の由来は「声の出るゴキブリ」氏の発言にあるのであり、声を出す人を集めようということであって悪気はないことと思いますが、ひめたにしさんが他人を実験台のゴキブリ扱いしているかのようにも受け取れる表現になってしまっているのは問題だと感じました。「実験」参加者がひめたにしさんの発言だけを見たらどう思うでしょうか。速やかな説明が行われることを望みます。m(_@_)m

#この原稿はHTMLエディタとかじゃなくWindowsのメモ帳で書いているのだが、これでうまくリンクするのだろーか。(^_^:)

>「構造的な問題を持ち出す方が理解されやすい」という仮説を検証する。

確認ですが、ここで言う「理解され」る、は、「理論が会得される」ではなく「政策方針への同意が得られる」の意味ですね?

> 困るのは「インフレになったら消費者は節約するから、ますます不況になるの
>では?」と言われてしまった時です。その場合は「そうかもしれません」と答え
>るしかないのでしょうか。

この突っ込みは既にインフレが実現されているという前提に立っていますね。ならば全く困りません。

一度デフレ(流動性の罠)を脱すれば(=インフレになれば)金融政策の効きが戻りますから、日銀の適切な金利操作のみで不況を避けることができるからです。

より大きな問題は、インフレ期待を持ってもらう方法(あるいは、日銀に適切な金利操作をさせる方法)の方でしょう。

Id: #b20020411070842  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 07:08:42 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407113502
Name: BUNTEN
Subject: 「デフレの経済学」が指摘する「変化」とデフレ

> これこそ、庶民が実感している「構造変化」ではないでしょうか。

仮にそのことを「構造変化」と言うとしても、それがデフレ不況の原因になりうるのであれば、一人当たり所得が高くなった国の多くはデフレに陥ってしまうはずです。しかしそうはなっていない。これは、ひめたにしさんが「デフレの経済学」の中に見つけた「構造変化」はデフレの原因たり得ないことを示しているように思われます。

Id: #b20020411013117  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 01:31:17 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020409213157
Name: くろき げん
Subject: 「出版不況」と「出版停滞」

田中さんは「出版不況」という言葉を使わずに「サラリーマン編集者こそ出版の停滞の源泉のひとつである」と「出版の停滞」とおっしゃってます。書店がどんどん潰れているというような意味での「出版不況」と出版供給サイドが原因の「出版停滞」はちょっと意味合いが異なりますよね。もしも「面白い本が出版されなくなったので本が売れなくなった」と考えているのであれば因果関係はあるということになりますが、でもそれって本当かな?

「出版不況」の理由付けとして、携帯電話やインターネットへの支出が増えて他への支出が減った中で本への支出も減った、というような筋書きであれば納得できる話だと思います。 (実は本当に減ったというデータがあるかどうかさえ未確認。これもまたいいかげんな話ですみません。 go.jp サイトのどこかにある消費に関する統計データも未確認。時間があれば覗いてまわることができるのですが、今はその余裕がありません。統計データの発掘は統計データ検索ガイドから出発して色々探すと楽しめます。学校の社会の授業はつまらないと思っていた人であっても、グラフやデータがたくさん載っている補助教材のたぐいは楽しめたという人は結構多いと思う。地図帳の後にある数表の一部を暗記する奴とかもいたし。そういうことで楽しんだ記憶のある方にはおすすめ。)

「本が売れない」いう言説もしくは事実に関わる信頼できるデータを探すにはどの辺を探すと効果的ですかね? 検索エンジンを利用するにしてもキーワードは何を選んだら良いのだろうか? 「本が売れない」を google で検索したら1270件ヒットした。

そのうちの一つであるエコノ探偵団の「(4/7)本屋さん苦境、背景に何が?」を見ると、「出版科学研究所からデータを取り寄せると、書籍と雑誌を合わせた2001年の出版物の販売額は、前年比3%減。右肩上がりで増えていたが、96年をピークに5年連続の前年割れ」「百坪(330平方メートル)超の大型書店の売り上げは前年比プラスか横ばい。だが、それ以下の小さな書店は前年比マイナスが続く」と書いてあった。


Id: #b20020411004341  (reply, thread)
Date: Thu Apr 11 00:43:41 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020410225853
Name: くろき げん
Subject: いいかげんな発言で申し訳ないです

「シバキ系の意見に賛成しがち」というまさにいいかげんなことを言ってしまったのは、名前は忘れましたがテレビで漫画家がシバキ系の発言を大声でしていたのを思い出したからです。隣に大竹まことが座っていて反論していた。

でも、十把ひとからげは良くなかった。鼻息あらくシバキ系の発言を好むのは例外的だと思ってますよ。そもそも作家で食うのはものすごく大変なので「敗者はほろびれば良い。無能なものは馘になって当然だ」という類の発言を自信をもってできる人は例外中の例外だと思います。でも、テレビ出演などで目立ってしまう人の中では必ずしも例外的ではないような気がします (これもいいかげん)。

一点だけ誤解があるような感じがするので補足。「本」というのは漫画や雑誌の類も含んでいます。実は漫画さえ読む人が減っているんじゃないかと危惧しているのですが。もしかして大森さんの回りにいる「全く本を読まない人たち」というのは漫画も読まない? もしも近い将来、漫画がまったく売れなくなって、面白いものがそこから出て来なくなると個人的にはちょっと悲しい。

あ、そうそう、シバキ系の御本尊の一人であられる猪瀬直樹氏は『ラストチャンス』 (光文社) の中で次のように書いてます:

こういうことを言っているようじゃ、潜在的支持者が減ることは自明だし、有害な“改革”にも荷担する恐れがあるので要注意だとみなされるのも当然。猪瀬の周辺にいる良識ある人たちはこういう発言を控えさせる努力をした方が良いと思う。


Id: #b20020410225853  (reply, thread)
Date: Wed Apr 10 22:58:53 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020409063625
Name: 大森 啓
Subject: 作家の立場ってなんなのだろう?

>作家の方々が不況時にマイルド系やソフト系の政策や需要重視の政策の味方になってくれると心強いのだ。でも、実力本位の世界に生きているという思っている人はシバキ系の意見に賛成しがちな感じがする。自分の作品を買ってくれる人の大部分は平凡な生活を送っている人たちなのに。

ちょっと表現がわかりにくかったです。くろきさんらしい緻密さにかけるというか。
生意気を言っているようならすみません。

実名を上げて具体例を示していただけると、わかりやすくなるんですが・・。

ちなみに、僕は、大部分の平凡な生活を送っている人というのもイメージがつかみにくいのです。

安定した企業に勤めるエリート・ビジネスマン、公務員、もしくはそれに準じた制度的な安定を勝ち得ている方、ベンチャー企業で法定勤務時間に関係なく働かされている人、中小企業で保険年金も自分持ちの身分の不安定な勤め人、やり手の企業家、自転車操業の自営業者、日雇いの職人、農家、漁師、などなど、平凡な生活の中身も様々です。

本を読むといいうる層は、僕が今思いつきで列挙した中でも限られてくると感じます。

階級的な意識(経済的な基盤の底堅さが絶対条件です)が希薄なこの国で、平凡というのはどういう人たちのことを言うのでしょうか?

以前、僕が伝えようとして失敗した問題定義にも関わってくることなので、ちょっと気になりました。

ちなみに僕は、現状で安定した身分にいる人はどん底に落ちても構わない、そこで己の実力を磨きなおしなさい、逆に不安定な立場にいる人はきちんとした展望を見出しうる援助が必要だろうと考えているものです。

自分のことはとりあえず脇においておきます。今は状況がややこしくて話がこんがらがりそうなので。

実は、作家の立場の欺瞞性もなんとなく見えて気はしました。相場は結果が即ゲンナマとなってあらわれるので、いやらしい世間の目を気にしないですむのです。
しかし、やっぱりこの世界は汚い。商品も株式も似たようなものですが、ゼロサム・ゲームですから、素人の負けた分を、買ったもの同士で分配しあう世界です。
バックには大金を持った勢力が控えていて、素人から大金を巻き上げるのを虎視眈々と狙っています。(ちょっとヤバイ人たちです)
そういう構造が見えてくるのですよ。商品先物は株式と違って、その日の売買手口がすべて公開されてます。そういうのを眺めているとやりきれない気持ちになります。
知らない者が嵌められているのが一目瞭然ですから。
株式だと、ほとんどの証券会社ではそういう情報はいまだ公開されてませんから、余計に汚い印象を持ちますけどね。

作家の世界は、独特の政治力学によって序列が決まる世界のように感じられます。
売れている作家は余計な話に首を突っ込むよりは、きっと売れている現実の優位性を保守する立場にこだわるでしょう。
売れない作家は世間に対するわだかまりの感情を捨てきれないと思います。

僕は、たとえ自らがシビアな状況にいても、マイルド系やソフト系の立場を大事にしたいと思うクチなのですが、前述の様々な人たちの立場を考慮すると、平凡な生活という中身がちょっとわかりかねるのです。

本を読むのは今や中産階級といって差し支えない人たちがほとんどですから、そういう安定した人たちのためにマイルドもしくはソフト系の政策を説く必要があるのかどうか?すでに安定した立場にある人たちなのに・・。

僕の回りにいるのは全く本を読まない人たちが大半ですから、余計にそう感じます。

わかりにくい問題提起ならすみません。


Id: #b20020410061112  (reply, thread)
Date: Wed Apr 10 06:11:12 2002
Name: ひめたにし
Subject: ゴキブリ集合フェロモンを用いる実験
 ここで皆さんに丁寧に教えていただいて、私もかなりゴキブリ化しましたので、
実験系の本性がうずき出しました。

【実験目的】
 不特定多数の人がインフレ誘導政策についてどう考えているか知る。
 反対する人はどんな理由でそう考えるのか知る。
 短い言葉でこの政策が説明できるのか検証する。
 「構造的な問題を持ち出す方が理解されやすい」という仮説を検証する。

【実験方法】
 朝日新聞社の掲示板で、下記のようなスレッドを立てた。
 http://board.asahi.com/nat/board/index.php?qid=498
 しばらくは「デフレが続くことの悪影響」「貯蓄と投資の関係」「構造改革論
の誤り」「具体的な金融政策上の方法」「ハイパーインフレ懸念への反論」等を
話す。これらが出そろった時点で「少子高齢化という構造的要因」を話す。

【予想される実験結果】
 仮説が正しければ、構造的要因の話が出たところで反論が少なくなったり、討
論参加者の見解が変わったりする。

【結果の解析上の問題点】
 他の説明が出そろった時点で構造的要因の話をして仮に討論相手が納得したよ
うに見えたとしても、新しく出た説明の効果なのか、他の説明が累積した効果な
のかわからない。
 そもそも、ネット上では論者は最初の発言を固守する場合が多く、「納得」
「説得された」という結果が観察される見込みが少ない。
 さらに、この掲示板の読者の関心はあまり経済政策に向いていないので、反応
自体が少ない可能性も高い。
 結局は反応の羅列を得るだけで解析に値するデータにならないかもしれない。

【予想される副効果】
 「デフレへの警戒心」と「インフレ政策への拒否感の否定」を多少とも流布で
きる。
 朝日新聞社に対してインフレ誘導策への関心の高まりを印象づけることができ
る。
 田中秀臣さんたちの本を宣伝できる。(引用文献として。)

 皆さん、よろしければのぞきに来てください。茶々入れも歓迎。
 困るのは「インフレになったら消費者は節約するから、ますます不況になるの
では?」と言われてしまった時です。その場合は「そうかもしれません」と答え
るしかないのでしょうか。

Id: #b20020410060745  (reply, thread)
Date: Wed Apr 10 06:07:45 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407164853
Name: ひめたにし
Subject: なぜ「構造変化」で説明したいか
 どうして現在の不況に「構造変化」という理屈が付かないと納得したような気
になれないのか、考えてみました。
 詰まるところ、「欧米や他の国ではどうなんだ」ということだと思います。
 医療制度でも年金制度でも教育制度でも、国の重要な政策での論争では、必ず
「欧州では」「アメリカでは」という話になり、そっくり真似するわけではない
にしても、議論の主要な枠組みとなります。「構造改革」が受け入れられるのは、
「グローバルスタンダード(=アメリカ流)」という、実にわかりやすいモデル
があるからでしょう。
 それに対して、循環的要因だけでデフレ不況を語ると、欧米にも世界にも前例
がないことに、日本独自の判断で対処することになります。理屈としてわかった
気になれても、ゴキブリ研究者の方の言葉を借りれば「人体実験は怖い」としり
込みする気持ちになってしまいます。
 しかし「少子高齢化が急速に進む日本では」と関連付けられると、「なるほど。
こういう条件は世界に日本しかないな」「でも、いずれ他の国でも起こってくる
ことだろう」「だから世界に先駆けて日本で考えないといけないのか」と直感的
に納得できます。しり込みしていたのが、ドンと背中を押された気分になる、と
いうことです。

 とは言っても、クルーグマンの説はいいかげんですね。クルーグマンの関心事
は、現在のような状況を現出してしまった日本でのマクロ経済政策の効果であっ
て、原因の方ではない。だから、当然のことみたいに書くばかりで、きちんとデ
ータを示して述べているわけではありません。私も本業ではあんな大雑把な書き
方はできませんね。日本の真面目な経済学者の方たちが「貨幣の所得流通速度は
長期的には低下する」までしか言わないのは、良識があるからこそでしょう。私
としては、他国との比較等を行えば、クルーグマンがいいかげんに言っているこ
との根拠を示せるのではないかと思っています。示してほしいです。

 投資と消費の関係については、若田部さんが言われるような「投資が減ってし
まうから、総需要が減ってしまう」という捉え方をするなら、なぜ分けて考えな
ければならないのかが私にはわかりません。消費だけする経済はあり得ますが、
投資だけする経済はあり得ない。投資する時点では、少なくとも将来の消費への
「期待」はあるはず。そういう意味で、消費と投資は不可分のはず。
 それはともかく、クルーグマンは「日本がはまった罠」等の小論文でも、だい
たい日本の人口減少について最初に述べており、現在の不況に構造的な要因があ
るとの立場を明確にしている、これがクルーグマンのわかりやさの一因では、と
私は考えています。

Id: #b20020409213157  (reply, thread)
Date: Tue Apr 09 21:31:57 2002
Name: 田中秀臣
Subject: 出版不況閑話
出版不況は、まさに「構造的」な問題です。私は大学を出てから出版で
編集をやってました。それから大学院、大学教員。考えれば構造的不況産業に
しか職を見出していないなあ(笑い。ただシゴキ的な論者が、出版不況についても
シゴキ的かどうかは一概にいえません。それは再販制についての議論をみても
有力な作家やジャーナリスト、漫画家などの独立独歩の人たちが再販制の維持に
熱烈に支持しました。また他方で、『出版動乱』や『だれが本を殺したか』で
藤原書店の藤原社主は、BookOffのような販売方式にも一定の理解をしているよう
に思えます。常識的には一番被害を受けそおうな小出版社の方でありながらです。
藤原さんの発言の真意は、「売れない本はその編集者の未熟さのあらわれ」である
というものです。特に現在の出版業界の大半にいるサラリーマン編集者こそ出版
の停滞の源泉のひとつであるとする見解は激しく私は同意します。
問題意識のない編集者、経済問題への見識もなくただ有名だから依頼するとかルーティンを
こなすだけの編集者こそ、実は指摘されていないものの、今日の経済論争
の低迷と混乱の責任を大きく担うものでしょう。誰からもそのような指摘が
ないのが不思議です。もちろん私の発言は、じゃあ、編集者もシゴク必要があるか
といえば、シゴクの意味が「構造改革論争」のものとは異なりますが、私は自然
の淘汰しかないだろうな、とあきらめています。本当の編集者は自分で戦略を
かってに立ててやっていきます。教えるまでもなく。この話は出版不況のサプライ
サイドの話で、いつもとは田中も論の立て方が違うのですが(笑い。需要面になる
とまさに「構造的消費不況」(苦笑)の事例ではないかと、思ってしまいます。
少なくとも出版不況は潜在的成長率(笑)の低下によるものであって、デフレ不況
の影響はあまりないでしょう。だから先の例で私や藤原さんがこの問題で構造改革
派であり、他方でほかのところで「構造改革」的、シゴキ的な発言をする人たちが
あたかも「反構造改革論者」であるところが、実は日本の出版界、いや知識人界の
不毛を体言しているように思えてなりません。

Id: #b20020409144451  (reply, thread)
Date: Tue Apr 09 14:44:51 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020409063625
URL: http://member.nifty.ne.jp/unifedaut/
Name: リンコ
Subject: いろいろ思うことはあるけど
時間もなければ体力もなくて(春のこの時期は毎年、体温調節がうまくいかなくて
睡眠リズムがぐしゃぐしゃになると決まっている)あたまがまとまりません。

元気に(&暇に)なったころにこの話題が続いていたら入れてくださいね。

教養はない私だけど、自分に見える範囲のことなら言える。

Id: #b20020409063625  (reply, thread)
Date: Tue Apr 09 06:36:25 2002
Name: くろき げん
Subject: 出版不況

森山さんの日記の4/6より:

「もはや、書店での本の売りあげと、図書館で貸し出される本の定価合計は、ほぼ同額なのだ。……図書館やブックオフを利用する人間は、最初から本に金を払うつもりがないのだ」という考え方はちょっと乱暴な議論だと思いますが、本や雑誌が売れないという話はマクロ経済のデフレ不況の問題とどういう関係になっているのでしょうか? デフレ不況とは関係無しに出版不況があるとすれば、構造的な要因だということになると思うのですがどうなのか? こういう類のことについて何か結果は出ているのでしょうか?

結果がどうであれ、高々千数百円オーダーのモノが売れなくなるせいで、作家の食いぶちが減るというのは個人的にはあまり嬉しい状況じゃないと思う。

作家の方々が不況時にマイルド系やソフト系の政策や需要重視の政策の味方になってくれると心強いのだ。でも、実力本位の世界に生きているという思っている人はシバキ系の意見に賛成しがちな感じがする。自分の作品を買ってくれる人の大部分は平凡な生活を送っている人たちなのに。


Id: #b20020409000152  (reply, thread)
Date: Tue Apr 09 00:01:52 2002
Name: ブタネコ
Subject: 川上武    高橋 晄正

経済というより社会でしょうが、
川上武 の
21世紀への社会保障改革 : 医療と福祉をどうするか 勁草書房
農村医学からメディコ・ポリス構想へ : 若月俊一の精神史
とか
社会のなかの医学  UP選書25
くすり公害 UP選書69
とか。
川上は共産党系?の医事問題のぷろだったのかな、でも柔軟で総合的なものの見方の人。2册目は、佐久総合農病院のこと。高橋は東大病院の万年助手で、推計学の増山元三郎とコンビを組んで薬害訴訟で活躍した。

以上の本とは別に、最近、現場での人材の劣化がひどくないかな?偏差値がすべてではないが、県立の看護系高は、30年前は、5つに輪切りにされた公立で2番目くらいだったのが、今や10に輪切りにされた公立で下から2番目くらいに。四年制の国立大だと千葉大のように難関化しすぎ。信州の医短は数学や物理までなかなかのスタッフだが、文部省は四年化を認めないのかな?
傷痍軍人に恩賜の医療を与えた名門病院でも、入学金*千万の医者しか確保できないと、古手婦長と薬のセールスマンで病棟の方針を決めることに。
開業医の高齢化とか、昔からの中規模病院の経営難の一方、駅前のビルにアンアンノンノ調の繁盛する医療施設ができたり、国保の赤字の大きな理由が若い女性の性感染症だったり、川上・高橋なんかを読んでた世代からすると、目をパチパチの社会だが。
Id: #b20020408194539  (reply, thread)
Date: Mon Apr 08 19:45:39 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407150653
Name: ひめたにし
Subject: 医療制度&高齢化対策の情報
 情報提供のみです。
 まず、医療制度の本について、知人から教えてもらいました。「全面的に答え
られる入門書は知らないので、あくまで one of them なのですが、今読んで
いる本を紹介します」ということでした。

 「皆保険を守る医療改革を −世界の医療制度を概観して」
 廣瀬輝夫著 篠原出版新社 2002年2月刊 2500円 ISBN4-88412-237-2

 紹介者のコメント:著者は、元ニューヨーク医科大学臨床外科教授、現在秀明
大学総合経営学部医療経営学科主任教授です。この本の内容と主張は本のタイト
ルにも良く示されています。「アメリカの医療制度をそのまま導入する事は、日
本の皆保険制度を破壊に導く可能性があり、日本の医療制度に近いEU、殊にドイ
ツの医療制度に学ぶ点が多い」と指摘されています。

http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3c908ab50ac0f010611b?aid=&bibid=02141234&volno=0000

 それから、私からは、医療の内容に関して「NPO 医薬ビジランスセンター」を
紹介します。

http://www.npojip.org/jip_menu/jindex.htm

 朝日新聞の連載「薬の診療室」は、日本での薬の使われ方の「?」が、一般の
人にも読みやすく書かれています。これ以外の情報は、残念ながらあまりHPで
公開されていません。(本を売って運営しているNPOなので。)
 医療保険制度のもとでは市場原理が働きにくいですから、「医療の内容が適正
か評価する」活動は活発になっていくべきだと思います。

 おまけ・高齢化対策についての情報。
 厚生労働省が取りまとめた「高齢者の雇用・就労を可能とする経済社会の実現
のための大規模な調査研究」の最終報告(概要)。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/04/h0405-1.html

 小渕内閣の時に始まったミレニアム・プロジェクトの一つです。私は「少子化
阻止」で合意することは必ずしも簡単でないと感じていますが、「高齢者の雇用
機会を増やす」に反対する意見は耳にしたことがありません。政策でできる限り
のことは進めていってほしいと思います。
 「高齢期にフルタイムを希望する者 → 夫自身 42.7%、妻の夫への希望 
51.9%・夫が定年後短時間勤務を希望していても、その妻は夫にフルタイム
勤務を求めている」なんて調査結果には、「おとうさん、お疲れさま!」と言い
たくなりました。

Id: #b20020407180648  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 18:06:48 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407150653
Name: 情報提供のみなので匿名で
Subject: 比較医療制度論の本

手前味噌ではありますが、自分が学生の頃、クラスの有志と 分担して翻訳した比較医療制度論の本がありますので、 紹介致します。

マーシャル・W・ラッフェル(編著) 「先進14ヵ国の医療システム 制度・教育・保険・財政・施設のすべて」 (毎日新聞社)

翻訳したのが1989年で、出版されたのが1990年と古い本で、 すでに絶版で入手困難かもしれません。タイトルの通り、 日米欧など14ヶ国の医療システムを、 同一フォーマットでまとめたものです。現状の把握と問題点の議論 に、直接は役に立たないかも知れませんが、各国の多様な医療 システムのあり方と各国に個別の問題点や共通の問題点を一望 できるという点で、類書はないと思います。

ちなみに、東北大学附属図書館本館 学生閲覧室にあるようです。


Id: #b20020407164853  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 16:48:53 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407113502
Name: 若田部
Subject: 構造変化?

ひめたにしさんへ:

どうして構造変化から出発しないと「好奇心の強い一般市民」は納得できないのか、私はいまだに納得できていないのです。構造改革、がそれなりに人気があるのはどうしてか、に関わりますが。

「これこそ、庶民が実感している「構造変化」ではないでしょうか。グラフで描
くと、いかにも所得流通速度の低下は、他の循環的要因と同様に何かの被説明関
数(この場合は年代との関数になっている)として直線に乗っているように見え
ます。しかし、これは様々な構造変化が複合してたまたま直線になっているだけ
では」。
=>だとしたら、1)複数の構造変化を特定化する必要があります。しかも、2)そのうちの一部の変化は残りの一部ないしは全部の変化と逆の方向に動くことを想定しなければなりません。3)さらには、計量的には、最終的な結果が「たまたま直線」になるようなものであることを実証しなければなりません。このように議論するのは、それこそ難しいのではないでしょうか。

 「平たく言えば、世の中が全体的に豊かになったので、その日暮らしの人が減っ
て小金持ちが増えた、どうしても今日買わなければ生きていけないモノが相対的
に減って、お金を持っておく楽しみを求める人が増えた、老後が長くなり、その
生活の資金を多く準備するようになった、こういうことではないでしょうか」。
=>このストーリーでは、最初の変化が、二番目の変化と逆方向に動いているわけではないですよね。とすると、いずれにせよ、所得流通速度の直線的な低下を前提にしているだけではないでしょうか。

「「デフレの経済学」では、この事実を「構造変化」と捉えず、内容を丹念に解
析することもなく、時の流れに応じて必然的に起こることであるかのように書い
ています」。
=>逆にどうしてこの事実を「構造変化」として捉えなければならないのか、ここに問題の本質があるように思います。普通、「構造変化」というときに、これまで続いてきたのとは違う、定性的な変化がおきるというイメージをもちます。ひめたにしさんはそういうイメージでしょうか。たとえば、所得流通速度の場合で言えば、直線的な低下ではなく、断絶があるとか。

ちなみに、クルーグマンは、日本経済にはリセッションに陥る「構造的要因」がある、といっているので、そのうち「変化」にあたるものは、少子化・高齢化と、貯蓄率上昇の可能性だけです。しかも、それらは、まさに「時の流れに応じて」変化するものばかりですが。
Id: #b20020407162851  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 16:28:51 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407113502
Name: 若田部
Subject: 投資=総需要項目

再び失礼します。「活躍中」ではありませんが、一部は「専門家」からの知見を基にしてレスします。

だいぶ前の議論で恐縮ですが、ひめたにしさん:
「恐慌の罠」では供給側でなく需要側の問題を全編にわたって取り上げている
ので、「労働年齢人口の減少」は「生産性上昇速度の下落」という意味よりもむ
しろ「消費の担い手の減少」「投資機会の減少」という意味で問題にされている
ように、私には読めました。以下、関連箇所抜粋です。
=>ここはいささか、ひめたにしさんが、投資の性質について誤解しているようです。クルーグマン自身が前提にしているマクロ経済学では、投資=企業による投資財の購入、すなわち総需要です。経済の総需要は、海外部門を除けば、家計による消費、企業による投資、政府による公共支出から成り立ちます。ですから、投資が減ってしまうから、総需要が減ってしまう。こういうストーリーでしょう。

それと、私は(クルーグマンも)、「「労働年齢人口の減少」は「生産性上昇速度の下落」という意味より」という意味では使っていません。「労働年齢人口の減少」と「生産性上昇速度の下落」の二つがあいまって、投資が減少している、という意味で使いました。

「おそらく、今のリセッションはバブルの破裂がなくても遅かれ早かれ起こって
いただろう。(中略)現在の日本のリセッションは、高い貯蓄率と労働年齢人口
の減少という組み合わせでほぼ説明することができる。」(p.7)
=>高い貯蓄率に見合うだけの、高い投資がないことが問題、というわけです。また労働年齢人口の減少は、下にあるような理由で投資の期待収益率を引き下げるので、投資を減少させる、というわけです。

「この不況論者は『世界には十分な消費がない。投資機会が尽きつつある』と主
張していた。私は『金融政策がある』と反論した」(p.28)
=>金融政策によって、普通最初に刺激されるのは?投資です。

「多くの経済学者の意見が一致するところでは、出生率の低下と大量の移民受け
入れを拒否する政策が、こうした事態が起こる最大の理由である。高齢化する人
々の貯蓄率は、定年後に備えて高くなる傾向がある。その一方で、今後、数十年
のうちに生産年齢人口が縮小する(すなわち国内市場が縮小する)ことがわかっ
ているときに、貯蓄を企業の投資に向けさせることは難しいのである。」
(p.107)
=>クルーグマン自身はやはり投資中心のストーリーです。消費については、貯蓄率が今後あがるかもしれない、といったり、「高くなる傾向」がある、といったりで、はっきりしない。岡田さんが書いてくれたように、消費についてのクルーグマンの分析には不十分なところがあります。けれども「その一方で」以下は、企業が投資を行うときに、そこから得られる期待収益率は少なくなる、だから投資が少なくなる、という話でしょう。
Id: #b20020407160638  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 16:06:38 2002
Name: Youmon
Subject: 情報提供

ケアについての哲学と政策的な側面をミックスした入門書という印象でした.広井良典の書物には,他に

『医療保険改革の構想』,『医療の経済学』(ともに日本経済新聞社)などがあるようです(私は読んでいませんが).
Id: #b20020407150653  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 15:06:53 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407134329
Name: くろき げん
Subject: まだまだ医療制度入門に関する情報を募集中

田中さんべっしょさん、どうもありがとうございます。べっしょさんは最近の医療制度改革などに関して言いたいことをもっと言った方が良いと思う。

もちろん、医療制度関係の入門書は引き続き募集し続けます。経済学に限らず色々な立場からの入門でも当然良い。

ひめたにしさん紹介のマンガのようなウェブサイトの紹介も募集中です。

必ずしも自分自身が賛成している場所や本の紹介でなくても構いません。その場合はどうしてそれに賛成できないのかについて一言以上書いて下さい。「これはちょっとまずいのでは?」と感じられるような考え方がどれだけ宣伝されているかに関する情報も重要だと思います。

もっとも貴重な情報は現場の医師の言葉かもしれませんね。言いたいことがあっても「既得権者の医者は全部潰せえ!」のような暗くてヒステリックな声が無理なく通ってしまう現状では発言し難いと思います。正体がばれるとどこから嫌がらせをされるかわかったものではない。それでも言うべきことがあるという方の登場は歓迎致します。

「匿名」による批判の禁止ルールの意味での「匿名」は実名を公開しているか否かと無関係であることに注意。失うものが少ない立場からの攻撃的な発言を抑制すること、失うものがある立場からの勇気ある発言をそういう人たちから守ること、そして何よりも管理人である私自身の負担を減らすことがそのルールの目的です。そして最終的な判断は全て私の主観で行ないます。実名を公開しているか否かよりもルールの目的と運営の仕方に十分理解を示しているかの方が重要です。


Id: #b20020407134329  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 13:43:29 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020406215405
Name: べっしょ
Subject: 医療の経済学

日本での医療経済学の研究者といえば,西村周三さんのほか,広井良典さん(千葉),大日康史さん(大阪),井伊雅子さん(横浜国立),澤野孝一朗さん(琉球)などがいらっしゃいます.
広井さんはたくさんの(一般向けの)著書を出しておられます(読んだことはありませんが).若干我田引水になってしまうのですが,医療,とりわけ軽医療への需要については,井伊雅子・大日康史[2002]『医療サービス需要の経済分析』日本経済新聞社,が最近発刊されました.

医療と財政の関係については,ともすれば議論が発散するので注意が必要です.しかしひとつ気になるのは,窓口負担の増加は,すなわち,リスクシェアリングとしての保険の役割を明らかに低下させ,一般には厚生を低下させる可能性が高い点を指摘する人が少ないことです.経済学は,おカネの負担だけではなく,効用や厚生水準という概念を用いて,幸せについて議論する学問だと思っているのですが…….


Id: #b20020407113502  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 11:35:02 2002
In-Reply-To: b0042.html#b20020407052123
Name: ひめたにし
Subject: 「デフレの経済学」も「構造変化」から出発している
 医療制度についての入門書を、私が所属しているMLで問い合わせておきまし
た。が、医療行為の内容について構造改革をめざす専門家が多いMLですので、
経済的な観点からの情報には疎い可能性が大です。私自身も、そういう本は読ん
だことがありません。

 BUNTENさんの、漫才師or落語家宣伝相によるアジテーションは、政策レジーム
の転換を強烈に印象づけますね。ただし大阪府民は、まだ横山ノック知事で全国
に恥をさらした心の傷が癒えていませんので、当地ではウケないかもしれません。

 岩田規久男「デフレの経済学」を、読みました。謎が解けました。
 「構造変化」から絵を描くと、ここではやたら叩かれるので、「なんで???」
と思っていたのです。消費者が一応満足してお金を使いたがらないとか、高齢者
が増えたから貯金する人の割合と金額も増えたとか、こういう庶民の生活感覚か
ら思い浮かぶ不況の理由がなんで否定されるの???教祖(と思われる)クルー
グマンだって「現在の日本のリセッションは、高い貯蓄率と労働年齢人口の減少
という組み合わせでほぼ説明することができる」と言ってんのに・・・と不思議
でした。

 「デフレの経済学」で説明されている不況の理由は、おおむね次のとおりです。
 貨幣供給量と消費者物価の変化率との間には、長期的な関係がある。貨幣供給
量がm%増えると、消費者物価は0.66m-2.9%増える。この関係式から計算した
場合、貨幣供給量の増加率が4.4%になると消費者物価の上昇率はゼロになるし、
4.4%より小さい場合は、デフレになる。91年から2000年の貨幣供給量の増加率
(平均値)は2.7%であり、少なすぎた。これがデフレの原因である。だから、貨
幣供給量を増やさなければならない。(p.108〜111)

 この本では、デフレ不況の原因は完全に循環的要因で説明されており、構造的
要因を持ち出すのは素人考えだ、という印象を受けます。
 ところが、「なぜ貨幣供給量の増加率が4.4%を割るとデフレになるの?」とい
う疑問がまず起こります。貨幣は、名目GDPの伸びの分だけ増やせばいいんじゃな
いの?成長率が1%程度という状況下では、4.4%貨幣を増やせば、3.3%のイン
フレになるはずじゃないの?なぜ物価上昇がゼロになるの?
 それに対して著者は、二つの理由を挙げて説明しています。一つ目は、貨幣の
所得流通速度が長期的には低下していくものだから。二つ目は、実質経済成長率
が長期にわたってプラスの場合。
 後者の理由は納得できます。問題は、前者。貨幣の所得流通速度って何?
 これは簡単に言えば、お金が経済主体から経済主体へ、単位期間(たとえば1年)
あたり何回動いたか、という、お金の流通スピードだそうです。p.108のグラフを
読み取ると、1960年代には1.5だった所得流通速度は、2000年には0.8まで低下し
ています。1960年代と比べると、経済主体(企業や個人)はお金を2倍も長く使
わずに持っておくようになったということ。

 貨幣の所得流通速度が低下する理由は、経済成長にともなって各経済主体の実
質所得が増加すると、実質貨幣需要が増加するからだそうです。「このように、
所得が増加すると需要が増える財を上級財という。この意味で、実質貨幣は上級
財である。」
 実質所得が増えると実質貨幣需要が増える原因を、著者は二つ挙げています。
一つ目は、家計や企業の実質所得が増える時は取り引きも増え、取り引きのため
に貨幣が必要だから。二つ目は、実質所得が増える過程で、家計や企業が保有す
る金融資産も増えるから。(デフレももう一つの影響要因。)

 これこそ、庶民が実感している「構造変化」ではないでしょうか。グラフで描
くと、いかにも所得流通速度の低下は、他の循環的要因と同様に何かの被説明関
数(この場合は年代との関数になっている)として直線に乗っているように見え
ます。しかし、これは様々な構造変化が複合してたまたま直線になっているだけ
では。
 平たく言えば、世の中が全体的に豊かになったので、その日暮らしの人が減っ
て小金持ちが増えた、どうしても今日買わなければ生きていけないモノが相対的
に減って、お金を持っておく楽しみを求める人が増えた、老後が長くなり、その
生活の資金を多く準備するようになった、こういうことではないでしょうか。
 「デフレの経済学」では、この事実を「構造変化」と捉えず、内容を丹念に解
析することもなく、時の流れに応じて必然的に起こることであるかのように書い
ています。
 すると、この変化に適切に対応しなかった日銀は、当然取るべき金融政策を取
らなかったのであり、能力不足から失敗したのだということになる。そして、デ
フレ阻止のインフレ・ターゲット政策は当然取るべき政策であり、他国に例がな
いからやらないというのは前例主義に過ぎない、ということになります。

 しかし、インフレ阻止なら有権者に理解も歓迎もされますが、デフレ阻止は簡
単に理解されません。この一点だけ取っても、「世界に前例がない政策」を浸透
させるためにはそれなりの強力な理由、すなわち「世界に前例がない理由」を説
明することが必要ではないかと、私には思われます。
 私はクルーグマンの「恐慌の罠」を先に読んだから、「世界に前例がない日本
の少子高齢化、なるほど!」と思いました。しかし、もし「デフレの経済学」か
ら先に読んでいたら、デフレが悪いから悪いのであって、日銀がとにかく無能、
はまらなくてもいい罠にはまったんだ、と、日銀に対してシバキ主義者になって
いたかもしれません。
 私は経済学の素人ですが、クルーグマンの話の方が納得できました。「デフレ
の経済学」は、お金の回転速度が遅くなった理由を構造変化として捉えてもっと
吟味すべきだと思いました。

Id: #b20020407052123  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 05:21:23 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020405184454
Name: BUNTEN
Subject: 乗れるトレンド止めるトレンド

> 政治的な実現可能性の話になると、黒木さんもBUNTENさんも暗めですねー。政
>治って、そんなに動きにくいものでしょうか。

ある意味そうだ、と言っておきましょう。

ひめたにしさんが「ダイオキシン、環境ホルモン、ディーゼル車排ガス、ポストハーベスト農薬、薬害エイズ、その他、どれも最初に動き始めたのは政治家ではなく研究者と市民団体でした。」といった例を列挙しておられますが、それらの案件が最初の動きから政治の動きに波及するまで比較的短時間なのは、「環境」そのものが既にある種のトレンドだからです。

しかし、いわゆる「公害」問題が社会問題として認識されるまでどれ位かかったか、そこから「環境」がトレンドになるまで何年かかったか、と見てくれば、最初の動きから数えればかなりの時間と労力が投入されていることがおわかりいただけるだろうと思います。

そして、我々の相手はデフレを奇貨としたシバキ主義です。貧富の差の拡大を是とするシバキ主義の動きは、敗戦後に行われた改革の成果をひっくり返すべく50年以上かけて周到に準備されてきたものです。その準備の甲斐あって、今やわが国ではシバキ主義がトレンドです。トレンドを押しとどめるには、トレンドに乗るのとは違ってかなりの力が必要だ、ということです。

安直かつ効果的な策としては「外圧」をかけてもらうという方法がありますが、これは私の趣味ではありません。(ただし私は是々非々[日和見ともいうm(_@_;)m]主義者なので、他の人がこの策を使った場合、外圧であることそのものを理由に反対することはしません。)
ちなみにアフガンへの自衛隊派遣には、「外圧」があったかのごとく見せかけるという手の込んだ方法が用いられたようです。


敗戦後の諸改革は所得の分配を平等化することで国内市場を拡大し、植民地を失った日本を高度成長へと導きました。そして今、シバキ主義は分配を不平等化することで世界第二位の大きさを持つに至った市場を狭め、日本をデフレのどん底にたたき込んでいるのです。

    ----

> インフレターゲットの場合、ネックになるのは65歳以上の有権者ですが、そ
>ういう人に読まれるのは(1)(2)だけでしょう。フィリップス曲線も子守協同組合
>も、ちょっと無理めでは。

インフレ下で起きる老人の蓄えの目減り問題を反対者が突いてくる可能性はあります。逆に言うと、ヘリコプターマネーの一環として老人の少額の貯蓄に利子補給をして目減りを防ぐとかゆー政策を一緒にぶち上げれば、そこそこの支持が得られる可能性もあるでしょう。
年金に関する問題も幾つか考えられますが、脳力を越えていてまとまらないので略します。

その他補足

>政権党交代のような物騒なことを期待する必要はありません。

そうですね。「インフレ実現についての政治問題(2)」に書いたように、しばき改革への批判を伴う「構造改革」停止宣言があればおそらく十分でしょう。

>人類史上初の急速な少子高齢化が進む

この種のセンセーショナルな言い方はある意味魅力的かもしれませんが、ネクラしばき主義者のスローガンを軽々しく取り入れるべきではありません。人口構成の変化が喧伝されているほど危機的なものではないことは実はかなり前から知られていることでして、たとえば代表的な高齢化社会危機論とそれに対する簡単な反論が「「構造改革」という幻想」の128ページ以下にも書いてあります。

しばき主義者はウソをつきます(この場合統計の悪用)が、我々はそうすべきではありません。目的のために手段が正当化されるという誤った考えがどれだけ悲惨な結果を招いてきたかを忘れてはいけないのです。仮に勘違いからでも事実と異なることを言ってしまえば決定的に信用を失う危険もあるので十分注意する必要があります。


と、あまりカタい話ばかりでもなんなので…

> (1)一行で表現したキャッチフレーズ
> (2)新聞のコラム分程度(600字くらい)で完結する、専門用語抜きの論説

これ、たとえばこんなふーにやるんでしょーか? (^_^:)

「金は天下の回りもの、使ってナンボのターゲッ党」
     インフレターゲッ党、政策を発表

偉い政治家が「金はジャブジャブあるんです」と言うけれど、そんな金どこにあるんや、うちには回って来てませんでぇ、そんなあなたのために「インフレターゲッ党」が立ち上がりました。景気が良ければ物価が上がる。ならば物価を上げて景気回復。
(1)景気が良くなる年率×%±△%の物価目標。
 a.目標達成のため、皆さんにお金を配りますので景気良く使いましょう。他ならぬ、あなたにお金を回します。ただし、もらったお金は早く使わないと物価が上がって目減りします。(^_^:)。[※1]
 b.政権獲得の際には記念に全国で消費税減税セールを実施します。[※1]
(2)お金は使って生かしてナンボ。土地を買うのは結構ですが、眠らせてはいけません。都市部の遊休地からは税を取るので、でかい[※2]マンション建てるなどして有効に使って下さい。金利の安い今が借り時建て時でっせ。\(^o^)/
(3)借りてまでお金を使ってくれる人のために金利を安く据え置きます。[※3]
(以下略。なお、ネアカなインフレターゲッ党内閣では宣伝相に漫才師か落語家を任命する予定です。(笑))

※専門用語による注釈(?)このへんはHP群や論文群でフォロー
1 ヘリコプターマネー。a.b.いずれか一つ又は二つとも。a.に関しては「小泉の波立ち」を参照。
2 都心部の容積率緩和による住宅投資誘発策。必要なら鉄道網整備などの財政政策を併用。
3 長期国債買い切りオペ。

Id: #b20020407051712  (reply, thread)
Date: Sun Apr 07 05:17:12 2002
Name: BUNTEN
Subject: 岩田規久男「デフレの経済学」批判

というのも大袈裟ですが、インフレ・ターゲット付き金融緩和論には疑問がないわけでもありません。
今のところの私の立場が、政策実施のコストが安い割に危険が少なく効果が見込める、というかなり消極的なスタンスなのに加えて、できれば「福祉国家」への転換宣言と抱き合わせたいと考えているのは、以下の疑問があるからです。

(1)インフレ・ターゲットでどこまで雇用者所得が増加(あるいは失業が減少)するのか?

一点目は、「資金調達した個人や企業は、その資金で、個人の場合は自動車のような耐久消費財や住宅などを購入しようとするであろう。他方、企業はそれらの資金で在庫投資や設備投資を増やしたりする。これらによって、モノやサービスに対する支出が増えるため、企業の売上高が増加し、それにともなって、雇用者所得も増加する。」(「デフレの経済学」P.332)という連鎖がうまく働くのかということです。

事実「九九年度にあってはかなりの企業収益の改善がみられた。法人企業統計で見ると営業利益で二四%、経常利益で二九%の対前年度比増益である。これだけの大幅増益がありながら、それがベースアップ率の上昇、ボーナスの増加という形で賃金の増加に結びつかなかったのは異例と言っていい。」と「構造改革という幻想」P.100(付属の春闘星取り表も参照のこと)にあるように、企業収益の増加が雇用者所得の増加(や失業率の低下)に結びつかなくなっているということがデータにも現れています。

インフレ・ターゲット付き量的緩和政策を試す価値は十分あるが、それだけでデフレに伴う問題が解決するだろうといった楽観はできないと考えるゆえんです。

(2)軍拡・戦争用の資金を日銀引き受けで賄う愚を繰り返す心配はないか?

二点目です。「財政が破綻し、悪性インフレになる」という批判を岩田氏は「この議論は、軍部が圧倒的な権力を握っている状況における日本銀行の立場と、現在の独立性を確保した日本銀行を同一視するものであり、考慮に値するとは思われない。」(「デフレの経済学」P.361)と一蹴します。しかし、「独立性を確保し」ているはずの日本銀行の総裁は、小泉政権と事実上同じシバキ主義の立場に立ち、デフレ期待を打ち消すどころか一応の金融緩和策を打つ端からインフレ期待に水をかけて回るような発言を繰り返し、「もう戦争しか景気回復の手段はない」という「期待」の醸成に一役買っているのです。一連のきな臭い法律の整備がほぼ完成しようとしている今、このような日銀の「独立性」に、軍拡への歯止め役を期待して良いものでしょうか?

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