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黒木のなんでも掲示板2 (0041)

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Id: #b20020406232920  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 23:29:20 2002
Name: 田中秀臣
Subject: 医療の経済学
西村周三さんが日本ではすぐに思い出されます。私は経済心理学という分野
にも関心があって、西村さんの『応用ミクロ経済学』や伊東光晴氏への退職?
記念論文集の『現代経済学の再検討』の中の「経済心理学序説」は当時類似の文献
がなかっただけに注目してました。西村氏の医療の経済学がこの経済心理学をどの
ように応用しているかは実は分からないのですが、日本の先駆者だけに概説レベル
ではお勧めします→『医療と福祉の経済システム』(ちくま新書)。
で、おそらく物足りないだろうから、老人の問題を経済心理学的に扱った、もちろ
ん老人医療についてもふれたAging and Old Age Richard A. Posner (著) 
を推薦します。僕の関心は医療や介護を制度的に分析するのではなく、ミクロマン
的に心理学的要素にこだわって見たいと思っています。

Id: #b20020406215405  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 21:54:05 2002
Name: くろき げん
Subject: 現在の日本の医療制度に関する良い入門書の紹介を求む

まだここではあまり話題になってない大問題が医療制度の問題です。医療制度に関して今の日本では何がどう問題でどういう提案が出ているかに関する入門書の紹介を希望します。有益なウェブサイトにリンクを張ってくれるのも助かります。私自身はそういう方面の知識はゼロなのでそういう初心者向けの文献の紹介を期待してます。


Id: #b20020406204528  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 20:45:28 2002
Name: Youmon
Subject: 社会実験なのだから

私も

>「ぶっこわせ!」的ネクラの構造改革
>戦争による景気回復

などという「怖さ」については以前から感じるものがありました.

社会を全面的にぶち壊し青写真にもとづく社会を作り直そう,などとという考えには夢物語的な怖さがありますよね.それよりも,社会的な法則(ま,どの法則を選択するかが議論対象になるのですが)に依拠した一歩一歩の変化という「継ぎはぎの繕い方」から始めて漸次的に改良を行うという態度を支持したいですね.

その点,これまでの議論で黒木さんが意見しておられる,取り組むべきスパンを分け,それぞれの諸条件を細かくコントロールする工学的精神(?)にもとづいた意見は具体性を帯びている気がします.

個人的には,「生みの苦しみ」をできるだけ緩和させようとする急進的なものや全体論的で大規模な社会改革は諸条件のコントロールが非常に難しいので「社会的な実験」としてはどうなのかなぁ,と感じております.


Id: #b20020406185832  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 18:58:32 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020404215325
Name: たかつか
Subject: デフレって

金属メーカの技術者のたかつかです。

今基礎知識も無く、忙しい事もあり基礎的な文献も読んでいません(ブタネコ
さん推奨の本も途中までしか見ていません)が、いなばさんの文を読んで、
ちょっとだけコメントします。

製造メーカにいる私から見るとデフレというのは、もの(製品)の価値の低下
になります。要するに「もの」の価値と価格(労働に対する対価で換算)が
釣り合っていない。「もの」の価値が価格より低く見られる傾向にあるのが
デフレの状況だと思います。

「もの」の価格は大雑把に言うと、積み上げ式の製造コスト計算と市場価格が
あって両者は普通は一致しないと思います。製造コストに対して製品の価格が
大きくならないと当然利益はでません。製造コストには製造に直接関係する
コストと間接的なコストがあります(釈迦に説法かな)。

企業がリストラで行っているのは間接費の低減であり、そのために中間管理
職がいないフラットな体制が必要と言われたのです。
これを日本と言う国に当てはめると本来必要では無い非効率な仕事や不要な
マージンが多い構造になっている。そこで構造改革が必要と言うことになった
と思います(常識的な話しですが)

本来ならばリストラにより、製造コストを下げて市場価格と「もの」の価格
を一致させる事が可能で有れば企業の利益は圧縮されない事になり、製造コ
ストを下げきらない(温情で雇用を守れば)場合は大赤字になる。

それ以上に国の体制としての構造が低コスト化に向かわない場合は、他の国
の商品に勝てない事になります。これは、国内循環経済規模がどうあれ輸出
を考えると問題になるし、国内経済規模の割に創出される価値が少ないと見
られれば、そのミスマッチ分だけ全体の価格が下がります。

 もう一つ製造業の立場から言うと、近年はハードからソフト重視の傾向が
強くなっています。例えば、パソコンだとウィンテルだけが利益を出し、
メモリや液晶産業はその奴隷産業化しているとか、携帯電話やゲーム機では
ハード(装置)は原価割れが当然であって、ソフト(使用料やゲーム)で利益
を出すという感じです。(その負の部分が爆発したのが米国のITバブルだと
思います)

こういう状況では、製造業で利益を得るのは本質的に難しい体制になります。

一方企業の研究開発費、特に新規部門の開発費は間接費用ですから、コスト
低減のやり玉に挙がります。半導体などでは、多くの企業が研究組合を作っ
たり、産官学の開発組織での開発に移行していると思います。
開発費無しのコピー商品とは競争できないです。先行者、開発者の負担を
製造コストと見ないような市場価格では、開発そのものをストップせざるを
得ない。半導体はぎりぎりの様な感じがします。

と言うことで、デフレは経済対策だけで解消できるのかな?という様に思いま
す。まとまりが付かなくなりすみません。




Id: #b20020406180813  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 18:08:13 2002
Name: ひめたにし
Subject: 5年前の小泉さん
雑談の輪に参加して。
BUNTENさんが書いていた「失われた十年メイドイン小泉」をうまく表現したマン
ガです。
医療制度改革の要点がまとめられています。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/new/wakaru/kurashi/iryou/suruga2/keika1.html

Id: #b20020406143721  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 14:37:21 2002
Name: 田中秀臣
Subject: 訂正
先の私の投稿の「信頼」は「信認」の誤りです。


Id: #b20020406143251  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 14:32:51 2002
Name: 田中秀臣
Subject: 経済財政白書問答
「声の出るゴキブリ」はなかなか周辺ではヒットしているので、たまには使わせて
ください。そうですか、いいお名前ですね。僕の余技?の三浦梅園は歴史に残る
哲学書『玄語』を書いています。英語だとDeep Wordsと訳され
います。山田慶児氏は『黒い言葉の空間』と「玄」を「黒い」と解釈していますが
これは「奥深さ」を意味するのでしょう。
閑話休題
『経済財政白書』を読んでいて、例の潜在成長率への期待が、現在の投資や消費の
増加につながり、それが現実の成長率を上昇させるという議論のところですが、そ
こでは短期の潜在成長率と長期の潜在成長率という概念をわざわざ分けています。
構造改革への政府のコミットメントが、潜在成長率の期待を上昇させるのですが、
このなぜ潜在成長率を短期(2−3年)と長期(10年くらい)を分けるのか、
それは短期では1%の低い潜在成長率が予測され、長期ではそれ以上の潜在成長率
が実現できると期待されるというわけです。下世話にいえば、前者は「痛み」の
期間となります。肝心なのは、政府の構造改革のコミットメントが、潜在成長率
の期待の変化をもたらし、それが現在の投資と消費の増加に結びつくということ
です。ご存知のように今年の頭までは、小泉首相の「構造改革なくして景気回復
なし」というきわめて力強いコミットメントが表明されました。メディア戦略
や勘違い?などがあったとしても常識的には世論の80−90%の支持があるわけ
ですから、まさにそのコミットメントは「信頼」を得ていたわけです。
しかし「期待の経路」(潜在成長率上昇への期待の変化による現在の消費
と投資の増加)は存在しなかった。村山昇作さんや宮尾龍蔵さんの主張していた
構造改革によるデフレ解消の経路は、「すでになかったことが実証されている」
といっていいかと思います。確かに、2−3年は「期待潜在成長率の上昇という期
待の変化がもたらす低成長率の実現」なのですが、
それすらも実現できなかった。構造改革によ
る期待の変化という経路はなかったというわけです。『経済財政白書』はその中核
の思想が、出版されるやすぐに破綻したことがわかったという記念?すべき白書で
した。
昨日は酔いすぎて、わけわからん感じですが、「構造改革」(上の白書の意味で
の)の終わりを実感できたということと、日本は本当の構造改革にはほど遠い
のだなあ、と猪瀬さんたちと話していて思ったのです。財務省と日銀という旧来
の「王朝」はいぜんとして健在で、かつ日本を停滞に導いている。しかもその「
王朝」を実際に解体することが、やり方によってはまた日本の停滞をもたらしかね
ない、というパラドックスに似たものを感じたのです。それが「感傷」の意味で
まさしく感傷以外のなにものでもない、ただの没論理的発言だったのであります。

Id: #b20020406061447  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 06:14:47 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020405055610
Name: BUNTEN
Subject: インフレ実現についての政治問題(4)

先にちょっとだけ触れましたが、もう一つの懸念材料は、長期国債の日銀引き受けなどの策を講じた場合、戦前と同じような失敗、すなわち際限なき軍拡あるいは戦争につながるのではないかということです。

緊急の課題がデフレ克服であり、何を置いてもそれを優先すべきであることは論を待たないとしても、ここのところ有事法制だの盗聴法だのといったきな臭い法案を次々と成立させている勢力は、デフレ対策をほったらかしてアフガンに自衛隊を送った小泉氏を筆頭に、火事場泥棒が得意であることを忘れてはなりません。

また、「これだけ不況がひどいと、もう戦争するしか景気回復の方法はないのではないか」ということが真顔で語られるようになってもいます。

歴史を繰り返させないためには、断固としてデフレ対策を求めると同時に、換骨奪胎を許さない目配り、細心さが必要だと思います。

Id: #b20020406061150  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 06:11:50 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020405042523
URL: NCA00201@nifty.ne.jp
Name: BUNTEN
Subject: 政府の中の空気?
>高級官僚や日銀マンが諦観に捕われてる 
>
>というよりは、 そもそも諦めではなくてめざしているものが違うのかもしれないと。 

その昔、今はなきアスキーネットのlife.politicsにいらしたOz氏の書き込みを
転載します。

彼はたぶん新古典派のひとで、どこかの官庁にお勤めのようでした。私とは
かなり意見を異にしていましたが、私の目を最初に経済(学)というものに向けた
大恩人です。

> Note 108 Politics (life.politics)
>[ RESPONSE:  11 of  28 ]
>Title:戦争への道(シーズン企画)
>Bytes: 1054 Date :  2:25pm 12/ 7/91 Author:pcs50066 (ばか)
>
>でもって、国会でもマスコミ世論でも
>
>「政府はなにやっとるーー。反平和勢力を一掃すべく断固とした措置をとれーー」
>
>なんてね。(思えば恐い国民性だ)
>
>こゆときの政府の態度は、というと。
>
>だいたい政府のお役人というのは偏差値の高いのが集まっておって、現状分析力
>や「本来何をすべきか」「その対策は現実的か」については、比較的(アタマの
>中だけの理想君子と比べないでね)マトモな判断をだしてきたと思う(これは
>私のヒイキ目も、もちろんあります。)
>
>だけど、「ほんとはこーだけど、今、んなこといっても国民サマにはきっと理解できん
>だろうし、この<空気>の中で、んなこと言ったらツブされんだろな」っていうのも
>見えちゃうんで、こんな↑状況になっちゃったら、「だんまりmode」に入っちゃう
>わけです。
>
>わが国政府の立派(というかおマヌケ)なことは世論操作が極めて下手くそって
>いうこと。だいたいが謀略なんていうのに無関心だし、どんなsecretも親兄弟
>親戚縁者友人知人からズルズルにもれてしまう。ああ情けない国民性。(その分明
>るくていーけどね)
>
>だから、「ははは、また、コクミンがあほな世論作ってら。」とハラの中で思って
>いても、ムキになって反論したりしません。
>
>男は黙って....ね

こーゆーキャラの人だったので、そーゆー書き方になってますが(って、
どんなんだよ。(^_^:))おそらく、政府の中は今まさにこういう状況に
あるのではないかと思われます。コクミンと致しましては、国会のほうを
変えて援護するのが正しい対応であろうと考える次第。(えらく難しいのは
認めますけど。)

全体として危ない動きをしているからといって、政府内の良心的な方々まで
敵に回してしまうようなことになってしまうと、相互不信を糧に暗躍する
アブナイ方々を利するだけです。

Id: #b20020406023304  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 02:33:04 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020406014234
Name: くろき げん
Subject: そうなんです、韻を踏んでいるんです

声のするゴキブリさんはもうそれでハンドルを固定ですか? (^^;) はっきり言い難いことでも、もうちょっとだけわかり易い言い方をして下さると嬉しいのだ。結構貴重な情報かもしれない。

黒も「くろ」で玄も「くろ」なのだ。ここ10年ぐらいお世話になったことがない病院で子供のころに「くろきくろさん」と呼ばれたことがあります。ちょっとむっとしながら「げんです!」と答えました。要するに本名だということです。電話で名前の漢字を説明するときには「玄関のげんです」と言うことが多い。なぜか笑われることが多い。「玄人のくろ」の方が良いのか?

同姓同名の方 (読み方は違っても良い、「黒木」で「くろぎ」と読むところがある) がいればメールを下さい。友だちになりましょう。

いいかげんな話ですが、「良い○○、悪い○○」というのが流行ってますが、構造改革に関しては「ネクラの構造改革、ネアカの構造改革」という言い方が良いんじゃないかと思いました。「潰せえ!」だとか「ぶっこわせえ!」のような暗い感情に乗じるのがネクラの構造改革で、冷静にリスクとコストとメリットとデメリットを計算し、成功しそうなやり方でやるソフト路線の明るい構造改革はネアカの構造改革。世間の風潮はネクラに偏っていてマジに怖いです。


Id: #b20020406014234  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 01:42:34 2002
Name: 声のするゴキブリ
Subject: 日本のギリギリ
さきほどまで、日本を代表するザッツ・構造改革氏と、NOWコンビ(誰?笑い)
ともども打ちあわせしてきました。結論。構造改革終り。日本はぎりぎり
の渕で、きわめて重要な岐路にいることが実感としてわかりました。
こんなアバウトな感想書くのはどうかな?と思いますが、実感として
「(理念としての)構造改革は終了したんだな」と思いました。多くは
いいたくないですが、この感想は大事かもしれないと思いこの尊敬すべき掲示
版に書いておこうと思います。「構造改革」の破綻とともに私たちも自らを
試される時がくるのかもしれません(やや感傷的ですが)

それと「くろきげん」の「黒」と「玄」(黒きもの)で韻?を踏んでますが、
筆名?でしょうか。無粋な質問ですみません。

感傷的な声のするゴキブリより。

Id: #b20020406002828  (reply, thread)
Date: Sat Apr 06 00:28:28 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020405213528
Name: くろき げん
Subject: なるほどそういうことだったのかもしれない

はじめまして、 Youmon さん。なるほど、確かに父親の隣にいた娘さんの方はちょっと心配そうな表情をしていたように思えます。結局別のコーナーに移動したのは、もしかしたら何か会話があったのかもしれませんね。もしもそうだとしたら、ほっとしますね。

しかし、経済関連書のコーナーにはやばそうな本の方がまさに山積みになっているので (しかもそういう本を社会的に十分評価されるような地位の人が書いている)、父娘がそういうコーナーに一緒に立ち止まったシーンは本当にスリル満点でした。滅多にない経験。馬鹿みたいだけど、ちょっとだけ心臓がドキドキしました。

たとえ買う価値がある本であってもクルーグマンの髭面がでかでかと表紙になっていてしかも『恐慌の罠』という恐そうなタイトルが付いている本はちょっと買ってあげ難いでしょう。

経済書についてスリル満点の状況が生じてしまう現状についても意見があれば色々聞いてみたいと思っています。あと新聞の論説欄などもチェックし出すとかなり気になる。テレビのニュース番組などに××が出てコメントすることに新聞のテレビ欄を見て気付いたりするとそれも気になったりする。


Id: #b20020405213528  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 21:35:28 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020405190113
Name: Youmon
Subject: お気楽に拍車をかける

突然のお気楽な話題で,しかも,本屋で出会ったという父親と娘さんへの心温まる,というか,
若者の将来を案ずる黒木さんの心遣いに少々の感動を覚えつつ,書き込んでおります.
私が娘という立場から「もの申す」というエッセイのようなものですが...

<自己紹介>この掲示板に登場する方々とは,専門が異なるフィールドで研究活動をしている院生です.議論の焦点・方向付けが勉強になるのでふだんはROMをさせて頂いております.

さて,おそらく,黒木さんが本屋で遭遇した父・娘の関係については,娘が父親をだいぶ好きで尊敬しているらしい,
という推察は「当たり」だろうと思います.そして,親がトンデモ本を買い与えた時の害は大きいという言い分はもっともです.
が,本来,賢い人なら,思春期を過ぎれば,いくら尊敬する自分の父親であっても,その実力(その人が選ぶ本)については
正当に評価ができると思われます.ま,それができなかったら,それまで,ということになるでしょうか.私は娘として,
尊敬していた父親がトンデモ本を購入したとわかった時に,父親を軽蔑することなく,それを受け入れなければならない
娘側の苦労を想像してしまいました(笑)...結局,どういう本を買ったのでしょう?


Id: #b20020405190113  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 19:01:13 2002
Name: くろき げん
Subject: 本屋で立ち読みしていたら

ここらでさらに一息入れるためにもう一つ気楽なネタを。どうせこういう場所での議論など自分の意見を強く主張してもそこに収束することなどないのだから、適当に雑談を意識して混ぜて気楽に行きましょう。いずれにせよ当然の前提にして欲しいことは、説得のためにレトリックを工夫するにしても害のある考え方を吹き込むのはまずいということです。

さて、大学入試が一段落したある日のことです。本屋で経済関係の本を物色していたら、自分の娘連れのお父さんやって来て、娘を隣に本を物色し始めました。これは珍しいことです。もしかしたら、大学入学もしくは就職が決まった自分の娘に父親として経済関係の本を買ってやろうということなのかなと思いました。

心配だったのは、経済学の部厚い教科書が置いてあるコーナーには近寄らずに、竹中平蔵の名が入っているサプライサイダー万歳本だとか、金子勝と木村剛がしゃべりまくっている例の本だとか、他にも色々やばそうな本が山積みになっているコーナーを中心に見ていたことです。

これは恐しいことではないでしょうか? (^^;)

自分の父親と一緒に本屋で買物するような娘は自分の父を大好きであり、尊敬しているに違いありません。態度を見てもそうであることがわかります。その大好きなお父さんがすすめた本がトンデモ本だったりしたらどうなってしまうでしょうか?

「ああそんな本に手を出すの止めてくれえ!」と心の中で叫んでいたら、全然別のコーナーに移動してしまいました。ぼくは別のコーナーに移動して適当に何冊か本を買った。

本当はちょっと心配だったのでその親子がどこに行ったか、何を買ったのかを確かめようかと思ったのですが、それを本当にやったらもう完全に変人のやばい人になってしまうので思いとどまりました。

結局どういう本を買ったのでしょうかね?


Id: #b20020405185003  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 18:50:03 2002
Name: くろき げん
Subject: クルーグマンのトービン追悼エッセイに対する "a bizarre screed"

ここらで気楽なネタを一つ。クルーグマンのトービン追悼エッセイに対して、クルーグマン宛にメールが届きました。クルーグマンはそれをボコ……。合掌。


Id: #b20020405184454  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 18:44:54 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020405055906
Name: ひめたにし
Subject: 「売れる政策」に仕立てなければ
 政治的な実現可能性の話になると、黒木さんもBUNTENさんも暗めですねー。政
治って、そんなに動きにくいものでしょうか。
 私は環境分野の研究者ですけど、政治は当然動くものだと思っています。動か
ないとしたら、動かしたい方向が間違っているか、方法が間違っているか、どち
らかです。ダイオキシン、環境ホルモン、ディーゼル車排ガス、ポストハーベス
ト農薬、薬害エイズ、その他、どれも最初に動き始めたのは政治家ではなく研究
者と市民団体でした。

 「政治家が政策を考える主体者であり、国民がその政治家を信じることが必要
だ」という考え方では、政治はとても動かせません。政治家は政策の製造元では
ありません。政策の小売り業者です。政治家は次の選挙でも当選することにエネ
ルギーのかなりの部分を使わざるを得ませんから、製造までしている余裕はなか
なか無いのです。政治を動かしたい人は、政策を作って政治家に卸さなければ。
 政治家も、自分の店には売れる商品を並べたいですから、良いものはないかと
常に探しています。従って、政治家が小売りしやすい形へのソリューションが必
要です。これは、どんな製造業においても今や常識ですよね。

 私のようなマイナーな研究者の場合、まず学会発表を取材に来るのはマスコミ
です。そしてその方面での報道が重なると、国会議員事務所から電話が掛かって
きて、資料を提供してくれと頼まれ、政党の機関紙に載ったりします。国会での
質問になれば、担当官庁の担当部署からも電話が掛かってきます。
 安井至教授や中西準子教授のような大御所となると、政府の各種審議会に引っ
張りだこです。また、この二人の先生方はエキサイティングな個人ホームページ
を開設して情報発信しておられます。こういう方たちには、政府内部の良識的な
筋がこっそりと情報提供したりもしているように見えます。

 そういうわけで、国民の利益になる政策なら、必ず政治家の側から引き合いが
かかります。現在の不況を本当に救えたら、歴史的英雄ですからね。マスコミが
いったん肯定的に取り上げ始めたら、雪崩のように「私独自の政策」と主張し始
める政治家が増えます。このへんの変わり身は非常に早い。
 政権党交代のような物騒なことを期待する必要はありません。政治家はお客さ
んなのですから、お客さんの生活を脅かすようなことを言ってはなりません。た
だひたすらお客さんの立場になって、小売りしやすいように製品を完成させたら
良いのです。

 官僚の中にも、良識的な人はたくさんいます。そういう人たちは良識に基づく
仕事にロマンを感じており、国民の中から世論が盛り上がってくるのを内心期待
しています。いったん流れができれば、「審議会による答申」という常套手段で、
巧みに既成事実化してくれるでしょう。

 では、どんなパッケージを整えれば政策が売れるか?
 と考える必要があります。ずばり、こんな四点セットでは。

 (1)一行で表現したキャッチフレーズ
 (2)新聞のコラム分程度(600字くらい)で完結する、専門用語抜きの論説
 (3)興味を持った人がさらに調べられるような文献やホームページ群
 (4)専門家どうしの吟味に耐える論文群

 インフレターゲットの場合、ネックになるのは65歳以上の有権者ですが、そ
ういう人に読まれるのは(1)(2)だけでしょう。フィリップス曲線も子守協同組合
も、ちょっと無理めでは。
 それから、「国民受け」することが何より大切です。「日銀が失敗したからイ
ンフレターゲットが必要だ」では、絶対国民は納得しません。「なんでワシらが
日銀の尻拭いの犠牲になるんや!」と怒るだけでしょう。
 一方、「人類史上初の急速な少子高齢化が進む日本では、世界で試みられたこ
とのない政策が必要だ」ならば、先導する政治家もカッコいいし、国民もその気
になるでしょう。日本は欧米の真似ばかりしてきたと言われますが、実は日本人
は進取の気性に富む面もあり、いったんまとまれば怖いくらい一つの方向へ突っ
走ることができます。(環境ホルモン騒動は、本家のアメリカよりも過熱。)
 なお、日銀の責任を見逃そうということではありません。別途追及したら良い
と思います。ただし、当面はおだてて「世界一果敢な中央銀行」になってもらう
方が得策でしょう。

 ここを読んでいらっしゃる経済学の専門家の皆さん、どうぞデフレ打倒で安井
教授や中西教授のようなホームページを立ち上げ、政策パッケージを販売してく
ださい。この政策が成功して日本経済が立ち直ったあかつきには、国民的英雄経
済学者になっておられることでしょう。

Id: #b20020405055906  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 05:59:06 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020403204915
Name: BUNTEN
Subject: インフレ策の有効性に関する最も簡単かつ正確な説明(?)

> ところが、経済のことなど全く知らない人にインフレ誘導政策を説明するには
>どうしたらいいか。

どんな言葉で言うかはともかく、ある程度経済の仕組みについて説明せざるを得ないことは確かですよね?

私なら、インフレ率と失業率の相関(フィリップス曲線)の存在を教えることと、それに基づく雇用増への試算の提示という方法を採ります。(岩田規久男「デフレの経済学」(←また借りた) 170〜171ページ付近 フィリップス曲線そのものはたいていの教科書に出ているので、そんな都合のいい関係が本当にあるのか、という反論はすぐ封じられる。)

そしておそらくこれが最も簡単な説明でしょう。といっても、失業の恐怖から離れたところにいる人に対してまで説得力があるかどうかは保証の限りではありませんが。

相関と因果は別だ、と突っ込まれた場合、景気と金融の関係について語る方法が無難でしょう。厳密には色々あるようですが、わかりやすいのはクルーグマンの子守協同組合の話。

それでも食い下がってくる場合は
(1)インフレ策の根拠がいまいち理解できないと言っている場合-->自分で勉強してもらう(私みたいな奴の場合(^_^:))
(2)失業する方がインフレよりましだと考えている場合-->とりあえずその人は放っておき、別の人を説得する。
あたりの対応を考えましょう。m(_@_;)m
Id: #b20020405055610  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 05:56:10 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020405055405
Name: BUNTEN
Subject: インフレ実現についての政治問題(3)

んでもって、日本の政治風土の問題点は、伝統的に政治(家)が信用されていないという所にあります。それどころか、本音と建て前の二重構造が当然の前提と考えられており、政治家がうそつきの代名詞にされたりするのみならず、公約を信じる有権者が悪いと公言する人までいる始末です。「民間から信頼される指導者」と言いうる政治家が知られていないこの状況下では、誰が「本格的な政策転換」をうたいあげても信用されない恐れがある。このことはインフレ策に対する決定的障害たり得ます。(注:ここでの「民間」は企業だけを指すのではない。国民的支持がなければ政権の安定すなわち政策の継続は望めないからである。)

政治が信頼できるならば宣言一発で素早く期待が反転しますが、裏の裏、先の先まで正確に読むという困難な仕事が有権者(消費者でもある)に求められているならば、なかなかそうはならないでしょう。(たとえば言っていることと反対のことが常に本音である、という具合に政治家の「ウソ」の読み筋がみな同じなら読むのは簡単だが実際はそうではない。)
まして、このところの政府や、野党を含む多くの政党の政策のトレンドは「財政再建」や「自己責任」です。いいかえれば本気のインフレ宣言がなされてもそれが一時的なものに終わると疑われる素地は十分にある。これはかなりまずいのではないでしょうか。

そして、疑いが晴れる(期待が反転する)まで十分長期に渡ってインフレ目標政策を行うためには、その時まで政権を持たせなくてはなりません。しかし政敵は、宣言の効果が出ない間のデフレを政権の責任として追及するでしょう。インフレ目標を掲げた政権が敵の攻撃に十分長く(=期待反転までの期間)耐えられるのかどうか。政治への信頼が回復していない間は、それが最大の問題になると私は思います。

※追記
おそらくはムネオ疑惑への対抗策あるいは経済危機の目くらましとして与党が切った辻元カード。これらの「事件」そのものへの評価は避けますが、ここまでの展開で政治というもの全体への信頼性はかなり落ちたのではないでしょうか。ファシズムに走らず民主的にインフレ(and/or 景気回復)策を行いうる可能性は、残念ながらこれらの疑惑の発覚前よりかなり下がっているはずです。

Id: #b20020405055405  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 05:54:05 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020403222925
Name: BUNTEN
Subject: インフレ実現についての政治問題(2)

>デフレ対策と称して構造改革や福祉国家を提案したり、少子化問題への直接的対策に関する議論を抜きにインフレ率
>を少し高目に保つ政策を他人にすすめることを提案したりするのは、個人的には邪道だと思います。

これは私の発言を念頭に置かれているのだと思いますので説明します。

インフレ策が効果を発揮するには、政策の枠組みの変更が行われることを多くの経済主体が信じなければなりません。信じて貰えなければ、いくらお金をジャブジャブにしても、流動性の罠から抜け出すことはできないでしょう。

その枠組み変更も、長期的な視野に立つものであることや、実際に長期に渡って実施されることが納得されないといけないと思います。ちまたでは財政政策派の自民党政治家に期待する声もありますが、仮に彼らが政権を担うとしても、現状では乗数1に限りなく近い無駄な公共事業を積み増しするにとどまり、その人が退けば、小渕政権後のように選挙もないままあっさり政策の方向性がひっくり返る、という懸念を消せないように思います。

理想的には、15chの「日銀国債買い切りでハイパーインフレは起こるの?」73番(すいません、力不足でリンクさせられません。m(_@_;)m)でドラエモン氏が例示したようなケース、すなわち「民間から信頼される指導者の下で実行される本格的な政策転換」(具体的には大統領と連銀総裁の交代下でアナウンスされたリフレ、日本でならば政権交代と日銀総裁交代位のショックが必要か?)でなければなりません。
仮に自民党政権でも、今とは逆すなわち福祉国家へ舵を切る方向で「自民党をぶっこわす」のであればおそらく政治的に成功する(=高い支持が持続する)のみならず経済的にもうまく行くでしょう。

累進課税などに基づき所得の再分配を押し進める形の福祉国家は私の考えであり、私自身の消費関数の変化には必要な条件かもしれませんが、それがリフレ宣言の必須条件だとは考えていません。こうすれば間違いなくインフレになるという条件がもしあるとすれば、インフレ策の旗を振る指導者が本当の意味で民間から信頼されることこそが必要なのであり、前回(#b20020404061831)書いた、国民的合意を得るための手順を厭わないことが、信頼される政治家としての必要条件ではないかと思います。そういう政治家がインフレ目標を宣言するのであれば、「驚くべき効果を短時間で実現する」でしょう。

おまけ

>構造改革にしても、福祉国家にしても、どちらも需給ギャップを埋める話とはあまり関係ないですよね。

現在行われている小泉「構造改革」と、私の言う「福祉国家」は、いずれも需給ギャップと関係します。はしょって言えば、金持ちと貧乏人の消費性向には差があるので、所得の分配(再分配)方法を変えれば需給ギャップも変化する、ということです。福祉国家という方向性を例示したのは、その方が小泉「構造改革」に比べて需給ギャップが小さくなると期待されるからです。(需給ギャップは、小泉「改革」>改革なし>福祉国家、となります。)
※もしまだお持ちでしたら「中央公論」2002年1月号79ページ上段中程から中段1/3位までをご覧下さい。小泉「構造改革」が需給ギャップを広げ、私の言う「福祉国家」が需給ギャップを縮小させるメカニズムがわかりやすく書かれています。

なお、需給ギャップが小さい方が、「パイのサイズの拡大」速度が大きくなります。

…このへんの穏当な話を「貧乏人BUNTENの利害」という感情的反発を食らいそうなものを前面に押し立てて展開したりするのは、川柳で張った予防線もそうだが、その筋のしょーもない反発を食った経験の多さのせいだろうか?
でもいるんだよな、俺の社会的地位のなさをあげつらう奴だけじゃなくて、"稼ぎのない奴には人権はない"とゆーことを(おそらく)本気で言う奴。収入や地位を隠したり偽装したりしながら高所から議論すればいいのかも知れませんが、そういう生き方は趣味に合わないので。

P.S.
「福祉国家」関係のデータの一部は手元にあります(つまり、他の人が既に計算・提示済みということ)が、急には要約提示できません。現在、脳力を越えたところで書き込みをしていますので、気長にお待ち下さい。
とりあえずは、「構造改革」という幻想/山家悠紀夫著/岩波書店 に目を通して下さい。
P.P.S
今すぐ増税は無謀というのはその通りです。方向転換のサインとなる政策は別のもの、たとえば小泉「改革」への公式の批判と凍結あたりが有効でしょう。

Id: #b20020405042523  (reply, thread)
Date: Fri Apr 05 04:25:23 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020404215325
Name: 崎山伸夫
Subject: 『諦観』なのかなぁ?

本筋の問題について判断をする知識と能力に欠けているので、 そちらについては書きませんが、

高級官僚や日銀マンが諦観に捕われてる

というよりは、 そもそも諦めではなくてめざしているものが違うのかもしれないと。 「酷い経済状態をどうにかしたい」というのが目標ではなくて、 「自分の人生をうまく乗り切る」であるとか 「くいっぱぐれのないように権益を確保する」であるとかが目標であって、 仕事をこなすのはたんにその手段であったり、とか。 明確な根拠があるのではないけど、 斎藤貴男を読むと、そういう気分にさせられてしまう。 上記を「個人的な利益」の話だと考えるとそういうのは多くないかもしれないけど、 「全体のパイの大きさは縮小してもいいけど一部の人間の利益は最大化したい」 ということを考える人達というのは少なくないのかも、と。

P.S.(にしては長い)
以前の「納税者番号」の話ですが、 最新の「インターネットマガジン」の伊藤穣一氏の連載は、 まさに納税者番号とプライバシーの話を含んでいます。 伊藤さんの述べるように全て間接税でいくべき、 というような形にかならずしも同意しませんが、 でもプライバシーの観点からいえば納税者番号はねーだろ、とは思うわけです。 ご推薦の本はまだ読んでないんですが、 「資産取引」といったって、 ゴミ投資家未満レベルまで入れれば相当な割合の人が投資をしてるわけだし、 その領域ではプライバシーが問題にならないかといえば違うと思う。 さらに、本を読まずに言うのはなんだけど、 アメリカはSocial Security Number(社会保障番号)が 事実上の背番号として乱用されまくってる国なわけで、 それを好例としてひいているようにみえるのはなんだかなぁ、というか。

で、私は前ふれたときに David Chaum にふれたのには意味があって。 この先生は完全匿名のデジタル貨幣技術を発明した暗号研究者です。 そのデジタル貨幣は商業的には失敗してますけど。 あんまり自明ではないのだけど、 その種の技術を発展されることで、 徴税サイドからみれば払われるべき税金がきちんと払われ、 納税サイドからみれば個々の収入の内容は知られないまま、 しかし「払うべきものを払った証明」ができ、 そして徴税サイドでも納税サイドでもない第三者に対しては 秘密が守られるような、そんな直接税システムというのは ひょっとしたら構築可能かもしれない、という感じが。 なお、黒木さんが「番号制のメリット」としてあげたもののうち、 「インサイダー取引」と「政治家の金融資産」の問題は、 それぞれの評価は別にして、 「納税者番号」をそのような形で使うのはまさに目的外利用ということで、 とくに「政治家の金融資産」でふれたような問題は、 政治家よりも先に「組織犯罪対策」の名目で 政府が好ましいと思わないような市民運動の財布を干上がらせるために 使われそうな。


Id: #b20020404215325  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 21:53:25 2002
Name: ブタネコ
Subject: 伊藤隆敏 DNA

今回は質問の投稿です。黒木さんは
たった一つの救いは、たとえ少数派であり、しかも幾つかの点において意見が互いに食い違ってはいても、デフレの問題に気付いている良心的な人たちが日本のあらゆる場所にいるということだ。
と『良心的』なんていってるけど、クルーグマンの主張に同意するのは、グラフを読み取る普通の数学の学力では?で、それを破壊するのが数犬教育なのだけど、それはおいて、日本の経済学者の書いた本で『インフレターゲット本』っていうと、日経の1000円もしない伊藤隆敏さんの以外、なにかありましたっけ。
まず、この本についてのいろいろな方の感想を知りたいです(他のサイトも含めて)。 あたりまえの政策が実行されないわりには、パトスを込めた政策提言が少ないような?
高級官僚や日銀マンが諦観に捕われてるなら、それこそ構造問題ですね。

ゴミについては、生産を動脈としたら、静脈にあたる大切なことですが、情報不足でやはり質問サイドにいたいです。当面の問題として「ガス化溶融炉」で検索すれば、計画ラッシュにびっくりされるのでは?これが、かってのダイオキシンばらまき炉や、中西の批判する広域下水道や、原発のような高くてムダなものかどうか知りたいのですが。僕の情報元はカールスルーエ近くのアルザスの新聞DNA(http://www.dna.fr/dna/)をときたま読むくらいです。ドイツ語に堪能な人の応援があれば。
黒木さんクルーグマン連合と僕の違いは、循環と高くてムダナものの蓄積の質の差を認めないことではなく、どっちの寄与が深いかで、まずは流動性の罠からの抜け出し実験ですが、高くてムダなもののこれ異常の蓄積も困るという点でも一致できるでしょう。

Id: #b20020404201457  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 20:14:57 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020404184454
Name: ひめたにし
Subject: 少子化対策を述べない理由
 今日もマクロ経済政策のことだけ話す者です。
 少子高齢化をくい止める対策を抜きにしてインフレ政策を語っても、邪道では
ないと思います。

 第一の理由は、むこう20年程度の予測が既に確定していて(移民の大量流入
・戦争・大災害などが無い限り)、運命どうこうでなく現実の話だからです。現
在45歳以上の世代の年金を支払う子供たちは既に生まれています。

 第二の理由は、「少子高齢化をくい止めなければならない」という認識は、必
ずしも大多数の合意が得られるものではないからです。人口問題は最大の構造問
題です。今の出生率が続けば、いずれ日本人はゼロになってしまうから、永久に
このままというわけには行かない・・・というあたりまでは合意できるでしょう。
ところが、現在の日本の人口が多すぎるという立場からは、当分放置して妥当な
人口になった時点で手を打てばいいという考えもあり得ます。移民の話もしかり。
 川本敏・編「論争・少子化日本」(中公新書ラクレ 2001)を読んだら、少子化
を今すぐ断固食い止めよという主張は以外に少ないと感じました。

 従って、「少子高齢化ストップ」で合意するのを待っていては、何年かかるか
わかりません。その問題は別にして、「少子高齢化が進む状況においては、より
意識的なインフレ政策が必要だ」と述べるのは有益だと思います。

 この提案によって、デフレの解決だけでなく、人々の将来予測がより「正しい
もの」になることが期待されます。

 多数の人が間違った将来予測で動いてしまうと、必ずあとでツケがまわってき
て経済的な混乱が起こります。(こういう経済法則って無いんでしょうか。私の
発見?)
 バブル後、大勢の人たちが「地価はまたすぐに上がり始める」と予測してマイ
ホームを買いました。その予測は間違っていて、そのツケは非常に大きいものに
なっています。

 現在、出生率低下が進んだ理由は色々言われていますが、大まかに言えば、人
々が過った将来予測を持って行動してしまった、ということがあると思います。
過去の日本の婚姻率は極めて高いものでしたが、それは究極的には「老後を子供
にみてもらう」という切実な必要があったからでした。女性には「嫁しては夫に
従い、老いては子に従い」しか生きる道がありませんでした。
 ところが現代では、一般人が「一生独身で通して年金と貯金で不自由のない老
後を送る」という将来像を描ける状況になっています。実際、そういう高齢者が
存在します。「独身を通して定年まで正社員で勤務した女性」と「出産で仕事を
辞めたが、その後離婚し、パートしか職がなかった女性」を単純に比較すれば、
現状の社会では明らかに前者の方が一生を通じてリッチに暮らせます。

 しかし、みんながそう考えて子供を産まなくなったら、年金も貯金も当てにな
らないものになりますよね。「少子高齢化-->インフレ政策」という図式は、この
事実を非常にわかりやすく示しています。生産年齢人口が減っていく社会では、
長期的にはインフレになるしかありません。ある時から急激なインフレになるか、
マイルドなインフレが続くようにコントロールするかを選べるだけです。

 「最強のインフレヘッジは自宅の建築」という岡田靖さんのお言葉がありまし
た。実は、もっと強力な究極のインフレヘッジがあります。「親孝行な子供」で
す。この事実に、みんなもっと気づくべきです。節約と貯金は日本人にとって美
徳ですが、みんなが貯金する社会なんて成り立たない。それぞれの時代で、貯め
る人と使う人は同じでなければ。

 実際には、「親孝行な子供」の代替案は色々あります。「自分の子供を頼りた
くないから年金を充実させてほしい」とか「自分は子供を産まないけれど他人に
子供を産んでもらえるような政策と増税に賛成する」とか「私は資産をほとんど
発展途上国に投資してその収益で生活するからインフレでもいい」とか「老人の
雇用の場を自分達で作って働き続ける」などです。
 ともかく、現状の社会構造のまま少子高齢化が進めばインフレは避けられない
のであって、それが嫌なら何か対策を考えなければならない、と認識できるとこ
ろにも、「少子高齢化-->インフレ政策」論の意義があると思います。
 (メインの意義は、インフレ政策をわかりやすく説明することです。)

Id: #b20020404184454  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 18:44:54 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020404061831
Name: くろき げん
Subject: 「高福祉高負担方式」がどこまで可能か? 今何の実現を目指すべきか?

1. Subject に書いた問いは非常に重要だと思います。

BUNTEN さんは「どの程度の実現可能性を持つのかは経済の課題と言うより政治の問題だろうと思います」とおっしゃってますが、もっと具体的な提案をしなければ政治の問題にすらならないと思います。

「構造改革」 (本来は「供給側の効率を上げる改革」という意味) の名のもとに無茶な政策がまかり通ろうとしているのと同じように、「高福祉」の名のもとに無茶な政策がまかり通ったりしないようにするためには、いきなり「政治の問題だ」などと言わずに前もって、どのような福祉を実現するためにどれだけコストがかかるか、そのために必要な増税のショックはどの程度なのか、得られるメリットはどれだけか、などなどについて大雑把な見積もりをしておき、無茶な提案をしてないことを皆に示す必要があると思います。

今の日本でスェーデンやデンマークのような「高福祉高負担」を実現するための急激な増税をしたら破滅まっしぐらじゃないですか?

BUNTEN さんはまるでお金持ちからたくさん税を取れば「高福祉高負担」が実現されるかのように言っているようにも見えるのですが、竹下・中曽根税制改革で最高所得税率が引き下げられる前に戻しても、高福祉が実現可能な財源が得られないのは明らか。実際には、お金持ちからたくさん税を取るだけではなく、課税最低限もぐんと引き下げてたくさんの人たちから大量の税を取り立てる必要があるでしょう。

BUNTEN さんが、もしも、今すぐには「高福祉高負担」の達成は政治的な問題があろうとなかろうと無理であり、現実的には今から少しずつ可能な福祉政策を実現するように努力して行く、と考えているのであれば応援したいと思ってます。個人的にはずっとそういう話をしたいと思ってます。しかし、現在のデフレ不況対策として高福祉高負担を唱え、経済的達成可能性の問題を無視していきなり政治の問題にしてしまうのであれば相当に問題があると思う。

成功可能性の問題を無視した“正義感”は「構造改革」的シバキ主義者のそれとほとんど同じだと思います (もちろんそこまで極端な考え方を BUNTEN さんがしているとは思ってません)。無謀なやり方は「構造改革」であろうと「高福祉高負担」であろうと駄目なのです。「聖域なき構造改革」も駄目だが、「聖域なき高福祉高負担」もきっと失敗するでしょう。「高福祉高負担」を唱えたい人は「高福祉高負担」的シバキ主義者と誤解されないように細心の注意を払うべきだと思います。たとえば、具体的な見積りが書いてある文献を探して来て紹介して下さると皆勉強になる。

2. 「大々的な移民受け入れ」については、成功するための条件が何か、そのためのコストはどれくらいか、などなどに関する見積もりが色々あっても良いですよね。おそらく、よほどのコスト負担を前提にしなければ失敗する。

3. 「危機感を煽れそうなデータは解説まで付けて大々的に出す」奴等がいて大々迷惑だとか、政権が変わった後の方針がどう変わるか不安だという点については、私も同感です。 (そして、政府内部にも良心的な人たちがいるということにも同感。優れた人たちが政府や民間を問わずあらゆる場所に存在しているにもかかわらず、目立っているのは困った人や迷惑な情報であり、現実がよりましな方向に動いて行かないということが問題なんだと思います。)

たとえば、自民党政権が潰れて民主党を中心とする政権に交代すれば、さらに極端な財政再建策やら不良再建処理案が飛び出て来るかもしれない。旧社会党は財政均衡主義が大好きだったようだし、民主党の鳩山氏などは小泉首相などよりも極端な提案をいかにもしそうだ。

小泉政権が潰れて自民党の財政出動一本やりの人が政権をにぎったとすれば、デフレを止めるあてがないのにさらなる財政出動を実行して、なしくずし的に財政赤字を増やしてしまいそうだ。デフレギャップを埋めることによってデフレを止めようとしたら、へたをすれば100兆円を超える財政出動が必要かもしれない。しかもそうやって止めたデフレは財政出動を中止したらまた復活するだろう。

小泉首相がこのまま政権を握り続けて方針を変えないとすれば、日本経済はデフレの罠に嵌ったまま緩慢に破滅への道を歩むことになる。

金融政策だけでもグリーンスパンのような信頼できる有能な経済職人が運営していてくれれば救われるのですが、現実はその逆である。

まさに四面楚歌状態。マイナス要因を並べると本当に暗い気分になりますよね。

たった一つの救いは、たとえ少数派であり、しかも幾つかの点において意見が互いに食い違ってはいても、デフレの問題に気付いている良心的な人たちが日本のあらゆる場所にいるということだ。


Id: #b20020404183220  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 18:32:20 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020404160939
Name: くろき げん
Subject: 長期の問題とは今すぐ何もやらなくて良い問題のことではない

ブタネコさんはどうも根本的なところで誤解をしているようです。誰が長期の問題だから今すぐ何もやらなくても良いなどと言いましたか? 構造改革にしても高福祉の実現にしても、一朝一夕に目標の姿が実現するようなことではなく、長期に渡る継続的な改革が必要な問題です。私はそういう意味で、構造改革や高福祉実現は長期の問題だと言ったのです。 (そして、そういう類の問題と目の前のデフレの危機は全然質の違う問題ですよね。)

急速な少子化についてのデータを探して来て引用したのも私だし、関連のウェブサイトを見付けて来て紹介したのも私だし、関連の本を紹介したのも私だし、少子化の問題を「理不尽にも仕事と子供の二者択一を迫られている女性の存在などの積み重ね」と捉えた上で実現可能に見える対策を提案している新美氏の論説 (1, 2) を皆に紹介したのも私です。 (新美氏の提案に共感する人はかなりいると思います。そういう人は論文の全文を手に入れて、周囲の人たちと一緒に読んで検討してみるのが良いと思います。)

少子化問題に限ればブタネコさんは私がすでに通過した地点に戻っているだけですよね。でも、単なる「論」の紹介ではなく、有益なデータや分析の紹介であれば歓迎致します。そういう話になれば嬉しいと思うから場所を設けているわけです。変な誤解に基いた発言はもう止めて建設的な話をしましょう。

ゴミ問題についてはどこを見れば必要な情報が手に入るかの紹介を希望。きっとまとまった文献があるはずです。しっかりした証拠があれば、「聖域なき構造改革」のスローガンのもとでゴミ処理の民営化が滅茶苦茶なやり方で行なわれている、と言えるようになるわけですよね。そういう言い方が説得力を持つためには証拠と論拠をしっかり説明する必要があります。


Id: #b20020404165003  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 16:50:03 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020403222925
Name: かも ひろやす
Subject: 少子高齢化

「デフレ対策の公共事業として第二公用語の制定を」というエープリルフール提案を考えていたけど、忙がしくて形になりませんでした。

「少子高齢化」と十把一絡にして考えること自体が、危険では。

まず、少子化と高齢化は、関連は深いけど、別問題です。出生率の低下は、人口構成の高齢化の原因の一つではありますが、唯一の原因ではありません。医療技術の進歩で寿命が伸びたことも原因の一つです。こちらは、意図的に医療技術の進歩を妨害する政策をとらない限り、不可避です。

少子化についても、ミクロな問題とマクロな問題を混同してはいけません。マクロな問題、たとえば、若年人口の減少による産業構造への影響の問題は、20年単位の長期的な問題でしょう。しかし、マクロに出生率の低下して現われている現象は、個別には、たとえば、理不尽にも仕事と子供の二者択一を迫られている女性の存在などの積み重ねです。これらミクロな問題は、該当者にとって超短期的な問題です。育児のために退職を余儀なくされた女性にとって、1年後に託児所が作られても間に合いません。


Id: #b20020404160939  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 16:09:39 2002
Name: ブタネコ
Subject: 福祉の場合も

『少子高齢化対策のための高福祉の実現のような問題は当面の問題を数年以内に解決した後の問題』って、黒木さんの意見にも、大筋賛成なんですが、行政にフレキシビリティがあればすぐにもできることがあるし、保育園の入所待ちの親なんか、「待ってられないよ。」って感じでは。
老人福祉では、実動部隊のたまり場は市の福祉課でなく、ふれあいセンターとか、外郭団体であったり。それで、なにもしないオジサン事務員が二重にむだ働きしてて、外郭の方の所長は福祉しろうとの、ひのきみ教頭の退職先だったり。
実動部隊のおばさんたちは、明るく仕事してるが、労賃はボランティアベース。それで、#b20020317162236 で、秋田県 鷹巣町の今すぐできる立派な例を紹介しました。
まあ、社会全体のダメオヤジ化は永久の問題で、とてもすぐ解決できないけど、体制過剰適応型人間量産工場みたいな教育を早くなんとかしないと、この病気はますます進行するのでは。
Id: #b20020404125758  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 12:57:58 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020404113634
Name: ブタネコ
Subject: そうなんですが

ゴミは、地方政府の問題で、民間委託がすすんでる普通のゴミでは、効率化が見られるという意見、パートが増えてしばきであり、作業中のスプレー缶の爆発などのとき、非民主的雇用は労災面でも問題と指摘する人、今後移民労働者が孫受けに入ってきたらとか、どこに分類してもいいのですが、構造改革が含む問題群を含んでいます。
そして、もっとヤバイ大物のゴミの場合、例えば美濃部都政で都立大の柴田さんがゴミ!ゴミ!といってたころから、35年くらいになり、量は数倍になっているだろうが、行政の一番大切な仕事が『最初から行革』されてゼロで、メーカやジャンクもの好きの消費者が外部経済を搾取する状態が続いているわけです。
だから、右のすきな改革というより、経済という下部構造より下にある構造としての生態系と、それに一番上から影響する文明を構造といっていて、山形さんの指摘とおり、構造という言葉の内包と外延のずれの大きな議論にしてしまったのは、ごめんなさい。
僕の大きな主張としては、中期の循環対策をやるのはあたりまえだが、長期の構造問題が深い谷を作っていて、それらの中のいくつかは急を要する問題だということです。
P.S.ゴミについての脱線続き。
造船やポンプのぼったくり不況対策か、ダイオキシン恐怖に便乗してガス化溶融炉ブームだが、十分な技術アセスは??カールスルーエでの重大事故など、カールスルーエ郡政府もドイツの地方マスコミも日本と違って誠実だが、日本語情報が全然たりない。
Id: #b20020404113634  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 11:36:34 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020404105343
Name: やまがた
Subject: 構造改革

ブタ猫様

おことばではありますが、いまちまたで言われている(そして黒木さんが念頭においている)「構造改革」というのは、そういう話ではありません。いまの「構造改革」というのは、政府の不採算部門の切り捨て・縮小・民営化/民間委託とそれに伴う規制緩和の話で、産業廃棄物にどう対処するか、というレベルの話とはちがうものです。


Id: #b20020404105343  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 10:53:43 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020403181840
Name: ブタネコ
Subject: 構造問題の一部も急を要する

当面の問題はデフレであり、流動性の罠から逃げ出さなきゃならないことに、何の異論もありません(今年東北の経にうかったM君にはブランシャールの2版の該当ページを勧めてるくらい。)
でも、なぜ構造改革や福祉国家は長期の問題とするかが、わかりません。
何ごとも、あせってヒステリックになることはないし、全体とすれば、長期の問題だし、北欧のようなまともな政治と社会が、長く取り組んでも達成には時間がかかります。
しかし、羅列すると百科辞典になる構造問題の小項目のいくつかは、急を要するものです。
例えば、産廃。田舎に高速が引かれるや、雑木林が一夜にしてゴミの山になります。すでにできた山については、百年河清を待つとしても、水源を汚染してる場合にはそうもいきません。
ゴミをちゃんと処理すれば(長井市のレインボープランや鹿島建設のナマゴミと燃料電池の結合)雇用やイノベーションに繋がります。
マイルドインフレを実行できないのが、政治が信頼されていないからなら、有明海と浜岡原発くらい、偽善でいいからなんとかして、構造してる振りをし、年金も、こんなに取り崩しがまだできると、福祉してる振りをしてでも、やるべきことをやるしかないのでは。
実際には、やるべき循環政策をしないから、年金の赤字は膨らみ、環境破壊型公共事業をよこせという愚民からのムシリが増え、循環政策のサボは、マイナスの構造福祉政策の強力積極展開なのですが。

ただ、循環で全体がよくなっても、地域ごとのバラツキはなくならないでしょう。橋本の本に、うまくいってない例として、福島の川俣の織物があげられていた。
日フィルのチェロの奈切さんは川俣出身で、織物屋の社長でアマ音楽家の人からまず手ほどきを受けたとか。こういう地方の文化まで消えていくとしたら悲しいし、消滅していく伝統産地対策なども、急ぐべき構造対策では。(単純になんでも残せではないが。)
Id: #b20020404061831  (reply, thread)
Date: Thu Apr 04 06:18:31 2002
In-Reply-To: b0040.html#b20020327214542
Name: BUNTEN
Subject: インフレ実現についての政治問題

>ただし、「高福祉高負担方式」がどこまで実現可能かどうかについてはよくわからないし

それなりの比率の国民は高福祉のための負担を背負う覚悟を持っているようですが、それがどの程度の実現可能性を持つのかは経済の課題と言うより政治の問題だろうと思います。いずれにせよ、各々の家計の負担力に裏付けされた(=実現可能な)方針が強い世論に支えられない限り、小泉「構造改革」に見られるように、政治的に成功しても経済的に失敗するので、年金積立金などの国の資産状況を含め十分情報を公開し、かつ現政権に反対する人々を含む広い範囲から意見を募って国民的な合意を得る必要があります。そういうことを十分やった上での政策転換(インフレ)宣言なら信用されるでしょうが、そうでない状況でのインフレ目標提示は、景気が回復しかけたらまた首相の首がすげ変わって財政再建(デフレ方向)に舵が切られるのではないかという懸念を消せないと思います。(考えうる例外:政権政党が交代し、かつ日銀総裁が交代した状況下でのインフレ目標宣言)

現政府(自公保政権だけでなく財務省などを含む)は消費税中心の負担構造を指向しているように見えますが、その方向については国民的合意があるどころか、消費税の導入や増税がだまし討ち的(※)に行われた経過すらあり、こうした政治的経過も「不確実性」に基づく貯蓄増加を支える(デフレ)方向に効いているはずです。

いずれにしても政府は、(中には良心的な人もいるでしょうが総体として見れば)自分たちの腹づもりに合わないデータは公開しないかひっそりとしか出さない一方で、都合のいい(?)危機感を煽れそうなデータは解説まで付けて大々的に出すということをやっています。
高齢化一つ取っても対応法は幾つかあるのですが、マスコミの姿勢などもあって広く知られているのは特定の問題点や解決法だけです。(たとえば大々的な移民受け入れという策は議論にすらなっていない。)
これでは経済的かつ政治的に正しい選択にたどり着くことは難しいでしょう。民主主義の活力源は多様性の保証にあることを政府もマスコミも知るべきです。

 ※注:こう表現すると言い方がどうとかゆー非難が飛んでくることがあるので消費税導入時に有名になった川柳を。
   「この顔がウソをつくかとウソを言い」

Id: #b20020403222925  (reply, thread)
Date: Wed Apr 03 22:29:25 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020403204915
Name: くろき げん
Subject: 少子化を運命として受け入れることを前提にしてはいけない

少子高齢化が大きな問題だと考えるのであれば (私も20年〜30年以上のスパンでは大問題だと思う)、少子高齢化を運命として受け入れた上で少し高目のインフレ率を維持する政策で誤魔化そうとするのではなく、まず最初に少子高齢化自体に対する直接対策に関する議論をするべきなのでは?

少子化対策に必要なコストを見積もり、結果的に財政コストが低く済む可能性が高い政策であればできるだけ早く実行するべきだし (cf. 新美 1, 2)、現実的に可能な対策だけで不十分な場合はそのことを仕方なく納得しつつ、少子高齢化社会に備えた別の対策を練れば良いのです。

私がこの掲示板で少子化の問題を紹介してきた (2002.2.3, 2001.11.5) のはそういう方向の話ができれば面白いと思ったからです。

デフレ対策と称して構造改革や福祉国家を提案したり、少子化問題への直接的対策に関する議論を抜きにインフレ率を少し高目に保つ政策を他人にすすめることを提案したりするのは、個人的には邪道だと思います。

個々の構造改革や個々の福祉政策やインフレ率を少し高目に保つ政策の提案などなどは個別に害と益をよく調べた上でやれば良いことなのだ。そういう方向であれば非常に面白い議論になると思います。

P.S. まだ十分読んでないのですが色々考えさせられたのが、湯沢雍彦著『少子化をのりこえたデンマーク』 (朝日選書690、 2001.12.25)。湯沢はデンマークの良い点だけではなく、欠点をも包み隠さず紹介しているので、良いことばかりではないなということがわかるのですが、それでもデンマーク社会のやり方には参考になるところがあるなと思いました。具体的内容については本を買って読んで下さい。 (もしくは最寄りの図書館に入れてもらうとか。)


Id: #b20020403204915  (reply, thread)
Date: Wed Apr 03 20:49:15 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020403181840
Name: ひめたにし
Subject: 「日本の現状は世界史上例がない」という認識が重要
 私は当面の関心をマクロ経済政策に絞っていますので、構造問題についてはそ
の関連でのみ話に加わるつもりです。(構造問題に興味は尽きませんが、余裕が
ないので。)
 「恐慌の罠」を読んでいない人が誤解するといけないから書いておきますが、
クルーグマンは「構造変化」が今の不況をひどくした主因だとは言っていません。
ここまで悪化させたのは、ひとえに日銀の金融緩和の遅れのせいだと、繰り返し
述べています。高齢化・労働年齢人口の減少等については、ところどころで自明
な原因のように書かれているだけで、詳しく述べられていません。私も(何度か
書きましたが)ここまでのデフレ不況はかなりの部分日銀の失敗で起こったのだ
ろうと考えています。

 ところが、経済のことなど全く知らない人にインフレ誘導政策を説明するには
どうしたらいいか。本質から離れたものから順にバッサリ切り落としていくと、
最後に残るのは
「構造変化→消費性向の低下→より強いインフレ政策が必要になったが実行され
ていない→デフレ不況の悪化」だと思うのです。流動性の罠とか実質利子率とか
の難しい言葉を使わなくても、これだけで説明できるような気がします。

 一番重要なのは、「日本は世界史上前例のない経済状況になっている。従って、
世界のどこの国もやったことのないことを試みなければならないのだ」と認識す
ることです。(世界恐慌があったじゃないかという意見もあるでしょうが、多く
の条件が違うので別と考えて。)

 金融政策の失敗なんて、世界中で何度も繰り返されてきたことでしょう。この
失敗を理由にすると、デフレから脱出すればそれで問題は終了、従来どおりの金
融政策でいいという話になります。従来は、インフレ目標など設定しなくてもデ
フレにはならなかったのです。
 それに対して、「もともと貯蓄率が高い上に世界最速の高齢化が進んでいる日
本では、これからも貯金がますます増えるだろう。人々がお金を消費や投資に回
すようにするためには、これまでの常識の枠を超えた方法でインフレ期待を作り
出すしかない。そしてその期待を維持しなければならない」という話は、たいへ
んわかりやすい。
(世界最速が実感できる折れ線グラフは下記で)
 http://www.stat.go.jp/data/guide/5-3-1.htm
 クルーグマンは自分のことをアンビュランス・チェイサーだと言っていますが、
日本は世界に先駆けてこういう事態を現出した国として魅力的な研究対象なので
しょう。

 それから、「構造変化」という言葉を使うと、賃下げなど誰かが意図的にやっ
ていることまで仕方ないことになってしまうから危険だという懸念に配慮して、
「構造変化」と「それに付随して起こっている変化」を分けて考えることにし
ます。
 誰もたくらんでいない構造変化は、高齢化、少子化、未婚化、非婚化、女性の
社会参加等と思われます。これらに付随して起こっている変化が終身雇用・年功
序列制のほころび(もちろん、意図的に行われている部分も大きいが)でしょう。
 従来型の終身雇用・年功序列制は、構成員の大部分が男性という条件のもとで
うまく行っていたのではないでしょうか。なかなか仕事を辞めない女が増えてく
ると、困ったことが色々でてきます。(私もその一人なのですが。)

Id: #b20020403181840  (reply, thread)
Date: Wed Apr 03 18:18:40 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020403063937
Name: くろき げん
Subject: 当面の問題はデフレであり、構造改革や福祉国家は長期の問題

BUNTEN さんの考え方には共感するところが多いのですが、パイの分配の仕方の変更がどうしてパイのサイズの拡大に結び付くかに関する議論が弱いと思います。

構造改革にしても、福祉国家にしても、どちらも需給ギャップを埋める話とはあまり関係ないですよね。これからの10年〜30年というスパンの問題として、供給側の効率アップや高福祉実現について考えるのであれば非常に納得できるのですが、現在のデフレ不況対策としてそれらを語ることには疑問をおぼえます。 (こういうことを言うから、構造改革の好きな右側にも、福祉国家の好きな左側にも与できず、少数派の一員になってしまうことになる。)

私は、デフレが止まり数パーセントのインフレがやって来るという予想を高めると同時に規制緩和によって有効な投資機会を増やす政策をガンガンやればきっと需要拡大に役に立つと考えているのですが (それによってお金持ちが眠らせているお金が動き始め、皆の予想に影響を与えることに成功すれば需給ギャップが埋まる前にデフレも止まるだろう)、規制緩和は分配の格差拡大の原因になるだろうし、お金持ちではない年金生活者などを不安に陥れます。 (捕捉:規制緩和は良識ある人たちの提案によって遂行されるべきです。過去の経験からどさくさに紛れて独占禁止のための法律を撤廃するような改革をしようとするような奴等は追放した上で規制緩和についての論議を行なうのが良い。個人的な意見では、良識派による規制緩和の提案が現在のところ弱すぎると思う。リスクとベネフィットを明らかにした上でやった方が良さそうなことを選択してやるべきなのだ。)

景気対策によって生じる貧乏人のリスクは政府が吸収するべきだし (お金持ちのリスクまで吸収する必要はない)、実際にそうすることを政府が確約すれば、インフレ期待を高める政策へのアレルギーを弱めるだろうし、消費にもちょっとだけ良い影響を与えるかもしれない。

規制緩和のような構造改革の一種には全て反対するのも駄目だし、逆に所得の分配に配慮した政策にも全て反対するのも駄目です。当面の問題であるデフレ対策の成功確率をできるだけ大きくするようなやり方をしないとまずいと思います。

デフレ圧力になるような構造改革や少子高齢化対策のための高福祉の実現のような問題は当面の問題を数年以内に解決した後の問題であり、 10年〜30年のようなスパンの問題だと思います。どちらもすぐに何とかなるような問題ではないので、現在のデフレの問題とは別に論じられるべきことだと思う。


Id: #b20020403174354  (reply, thread)
Date: Wed Apr 03 17:43:54 2002
Name: ブタネコ
Subject: 事務員だらけの社会

ほんとは老荘なのに、にわか法家のしばき屋と不評のブタネコです。
『ビジネスにおける構造改革とIT』がピンポンピンポンの正解じゃないかな。これは、実感で、経済学というより経営学ですが。
中規模の病院。日本にしてはイイ方の病院です。看護婦は足らず、トイレなんか汚れてて、院内感染が不安だけど、事務室は縁故採用のオジサンであふれ、簡単な会計もそれほど電算化されてない。特に自治体の保険課とは、郵便でやりとり。
大手スーパー。売り場に店員は少なく、客はどこになにがあるか質問できない。本社の巨大軍艦みたいな事務棟には、仕事のふりはしてても何もしてない、リストラ恐怖のオジサンたちが。もっと、食品の安全性とか消費者の利益になる雇用を、元研究員だった女性でも採用するとか、パートのおばさんを収奪した分を、人材の質を通して消費者に還元してほしい。
大手商社。アメリカでいいソフトが出ると、パッと独占権を得て、日本での価格を世界の数倍にして、IT文化の普及を妨害する。サポート部隊は中国人で上海大の数学科卒、デモはブランド女子大理系卒の美人で、どっちも労働のわりに薄給。これら4,5人の実動部隊の上に、ソフトの中味をまるで理解できない、リストラ待ち管理職2,3人の人件費がoverheadとして上乗せされるのが法外価格の理由。しかも、高校教育の現場はよいソフトの存在すら知らない。
若田部さんが、うんざりするように、構造の例をあげると無限に続いてきりがないのですが、こういう無限列の和をとると、複合不況になるのでは。
ほんとは老荘の僕は、小津の映画にでてくるような、仕事をしない会社員って大好きなんです。ところが、第2真珠湾で自動車を洪水輸出し、アメリカのビジネスを構造改革したツケが回ってきてしまった。
まあ、リストラされる前に、消費者サイドの営業に切り替えるとか(市民運動の塩ビ追放に無視をきめこんだのがダイエー)、45の手習いで自分の商品のソフトで遊んだら、統計学のオモシロサにびっくりとか、オジサン自身が黒沢の『生きる』の課長みたいに、「生きる」しかないんだけど。
社会に暮らしてると、笑わないセールスマンの冴えないオジサンとばかり出会うけど、空から日本列島をみれば、七割は森林でフィンランド並みにすばらしい生態系です。それをゴルフ場だらけにしたのもオジサンたちだけど、田舎の土建屋の雇用確保と、都会のパパと娘の紙屑問題集でない理科の勉強に森 林を活用するとか、グリーンな成長に、過労死してまで仕事のふりをしている集団を、できるだけマイルドに移動させていかないと。
Id: #b20020403144018  (reply, thread)
Date: Wed Apr 03 14:40:18 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020402231257
Name: MZT
Subject: アメリカ大統領経済白書

MZTと申します。ぜひ議論の参考になればと思い、再び投稿いたします。

 ご存知でしたら、すみません。
 英語ですがアメリカの近年の経済状況についてはウェブ上のソース
で読むことができます。
http://w3.access.gpo.gov/eop/

邦訳はダイヤモンド社のエコノミストの増刊号で読めるのではないか
と思います。

 アメリカ大統領経済白書はアメリカ大統領が毎年,前年の経済状況
を議会に報告するものです。ここ10年のアメリカ経済が、高経済
成長&低失業率、低インフレを達成しており、NewEconomyと呼ばれ
る状況を作り出したと本レポートで述べられています。本レポート
ではその要因として、技術革新、ビジネスにおける構造改革、公共
政策、それとITが挙げられています。詳しいことはぜひアメリカ大
統領経済白書を読まれると面白い発見があるのではないかと思います。


Id: #b20020403063937  (reply, thread)
Date: Wed Apr 03 06:39:37 2002
In-Reply-To: b0040.html#b20020401033646
Name: BUNTEN
Subject: 構造改革から生じた「失われた十年」

「私は貧乏人の利益を前面に押し立てる」というノリの書き込みを続けることを考えていましたが、黒木さんがこの手の旗幟鮮明な書き込みを避けて欲しいようであったのと、まとまったものを書くだけの労力がなかなか取れない(加えて、考えをまとめるために用いた資料のほとんどが図書館にあるため、該当項目を引き出すだけで一苦労せざるを得ない。)ことからROMを決め込んでいましたが、この間の流れを見ているうちになんとかして発言したくなったので、手元にある購入済みの資料だけを元に発言を試みます。まずければまた沈みますのでご指摘下さい。

>どうして「構造変化」から出発する絵を描きたがるのか?

私が、b0038.html#b20020313070216あたりで自分を含めた貧乏人の利益を前面に押し立てた裏には、いわゆる「失われた十年」の後半の不況(=インフレ策という、一部の経済学者に言わせれば非常識な策まで検討せざるを得なくなるような事態)は、トップ資産家達あるいはトップ所得者達の利害を代弁していると思われる、いわゆる構造改革論者の政治家達が(分配の)構造を変化させたから起きた、という認識があります。

もしも"構造改革政治家達によって「構造」が変化させられたこと"が目下のデフレの主因であるならば、既に変化させられ、今も変化させられつつある「構造」の問題を不問にしてのデフレ脱出策は、誤てる政策運営の責任を不問にするのみならず、デフレ脱出の力自体非常に弱いものにならざるを得ず、ひいては多くの国民(私を含む)に、よりましな政策を採れば速やかに軽減されるはずの「痛み」を長期に渡って強いることになるでしょう。

○「失われた十年」はメイドイン小泉(小泉「改革」が不況を長期化させた)

バブル崩壊後にいったん落ち込んだ民需は、93年に底打ちした後ゆっくり回復し、97年初頭まではゆっくり拡大を続けます。ところがそれ以降急降下しています。この急降下の時期に何があったかというと小泉厚相(当時)が先導した医療「改革」と橋本首相による消費税増税で、これらにより、回復しかけた景気の腰は見事に折られてしまったのである。(「構造改革」という幻想/山家悠紀夫著/岩波書店 第一章「長期低迷を招いたのは「構造問題」か」←この本はおすすめです。)

もし「改革」あるいは財政再建が必要だとしても、最悪のタイミングだったという評価は避けられないでしょう。しかし、実の所、喧伝されているほど状況が悪いわけではなく、政府部門のバランスシートは99年末時点で「二五九兆円の資産超過」。(前掲書122ページ)

ところで、クルーグマン・モデルの仮定の柱「実質自然利子率が負」に異を唱えるインフレ・ターゲット反対論者は多いようであり、実際、将来人口の減少を勘定に入れてもなお均衡利子率がマイナスになることはないという試算は広く受け入れられているようです。

しかし、経済主体のいくらか(具体的には中高年サラリーマン層)が、財政赤字の影響を過大に描く政府の逆粉飾を信じて財布の紐を締めれば、どのように見える現象が起きるでしょうか。

○合成の誤謬(?)

将来起きる事象について確率分布もわからない状況での最も合理的な行動とは、予測しうる最悪な事態が起きると予想して行動すること、だそうです。(「マクロ経済政策の課題と争点」東洋経済新報社 P.188より「(Gilboa and Schmeidler(1989))」を孫要約)リストラされるかもしれないのならば、リストラされるとして行動するのが合理的、というわけですから、この法則はリストラ候補第一位である中高年層の消費性向の低下をうまく説明できそうですが、もっとタチが悪いのは、年金の契約すら反故にした政府だから国民にどこまでの「痛み」を求めてくるかわからない、という筋の「不確実性」かもしれません。

言い替えれば

>デフレを伴う長期不況突入の原因に関して、「金融政策の失敗が大きい」という
>表現は妥当ではなく、「金融政策の失敗が決定的だったのであり、それ以外の
>要因は相対的にずっと小さい」と言うべきだと思います。

このへんに関して私は、「構造改革」(最近のものだけでなく、97年ものを含む小泉「改革」全体)の実施がデフレ不況突入・長期化の決定的要因であり、それ以外の要因は付随的なものである(例:バブル後不況における実質過剰引き締め下でも、景気はゆるやかに回復しようとしていた)、と考えているわけです。

○国民の望まざる方向への「改革」か、別の改革か

危険がきちんとヘッジされるならば多少の負担増は厭わない、というのが国民の6割の考えであり、社会保障の水準を切り下げても負担を切り下げるべきとする国民は6%未満(99年厚生白書の調査数字を「中央公論」2002年1月号「構造改革の進め方についての疑問」高橋伸彰 P.76より孫引き)であるのに、実際の「改革」は多くの国民に「自己責任」を強いる方向で行われつつある。
長期化する不況の下で既に「終身雇用」(これ自体大企業中心の慣行であって、私を含む中小の労働者の多くや自営業者にはその恩恵は及ばなかったのであるが)をはじめとする従来型の「セーフティネット」構造は崩壊しており、今、それらを復活させようとしたところで容易には信頼が得られまい。言い替えれば「構造」を元に戻すだけで消費が回復するという展望は既にない可能性が高いのだ。(この十年にあった景気回復局面が財政再建路線への転換で腰折れに至った経緯から、インフレ政策を採るという「宣言」や、首相の交代でさえも、同種の不信に迎えられる危険すらある。)

であるならば、縮小均衡を避ける形でわが国の需給ギャップを確実に埋める方法は、昨今の「構造改革」で最も優遇されている高所得者や大資産家中心に負担を求める形での「福祉国家」の実現であろう。(その際、負担の「公平」に配慮すべきことは言うまでもない。また、上記の不信を払拭できる程度に長期的な路線として定着・実施される必要もあろう。)
現状の「改革」路線をそのままにしてもいつかは均衡に達するだろうし、(景気回復の結果としてではなく政策的に)インフレを実現するだけでも現状のしばき主義よりははるかにましな状況になろうが、それでもおそらく、初めから「構造改革」がなされなかった場合よりは低い点での均衡(or より低いトレンドに沿った成長)になるのではないだろうか。

    --------

インフレ率も高かった高度成長期には実質リターンがマイナスであったにも関わらず家計は貯蓄に励んだことなど、細かい点で指摘したいことはたくさんありますが、そのへん言い出すとまとまらなくなるのが目に見えていますのでやめときます。m(_@_;)m

うまく書けないのは脳力の問題が大きいことを再確認させられたので、また沈んで勉強に励むかもしれません。ど素人がそれなりの常識を身につけるにはかなりの労力が必要だという事実が、誤った政治的選択が生じる本当の原因かもしれない、とか感じました。m(_@_)m

Id: #b20020403000852  (reply, thread)
Date: Wed Apr 03 00:08:52 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020402231257
Name: ひめたにし
Subject: アメリカの景気拡大の理由・本命
 すみません。ブタネコさんの回答に乗っかっただけで、本命の理由を書き忘れ
ていました。FRBの金融政策がうまいことは、黒木さんの御指摘どおりだと思い
ます。もう一つ、アメリカが新分野のビジネスモデルを提供し続ける国(=世界
中から投資が集まる)であることも重要な理由だと思います。(近年はIT、これ
からはバイオか。)

Id: #b20020402231257  (reply, thread)
Date: Tue Apr 02 23:12:57 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020402185906
Name: ひめたにし
Subject: アメリカの景気拡大の理由&クルーグマンが言う構造変化
 この掲示板は、経済の専門家でない人が本を読んだ感想などを話し合うところ
なのかなと思っていたのですが、御活躍中の専門家の方が何人もおられるような
ので驚きました。私は好奇心が強いだけの一般庶民ですので、あまり低レベルす
ぎてゴミ発言だと思われたら削除してください。自分では低レベルかどうかわか
らないので・・・  >黒木さん

 若田部さんの御質問。
 世界最大の富裕国であるアメリカで、10年にも及ぶ景気拡大が続いたのは、ど
うしてでしょうか? 

 ブタネコさんのお考えは私にもよくわからないのですが、「そういう(分配の
不平等化という)儀牲を払うことによって、アメリカは経済成長に成功している
と言いたいように見える」という黒木さんの要約には、なるほどと思いました。
 堺屋太一が経済企画庁長官になった前後に出した「あるべき明日 日本・いま決
断のとき」(PHP研究所)で、似た内容をもっと肯定的に解説していました。
アメリカでは最底辺の生活ができる条件(非常に物価の安い地域やマーケットの
存在)がある一方で、富裕な人たちが桁違いのお金を使える条件もある。しかも、
お金を使う人たちが日本のように妬みの対象にならないし、お金を社会事業等に
寄付することが名誉となる。
 こういう話が本当なら、桁違いのお金を使う人が一握り増えるだけでも消費が
維持できるということではないでしょうか。

 一方の日本では、桁違いの贅沢をしたら、幸福感よりも周囲から浮いてしまっ
たり妬まれるかもしれないという心配が先に立つという話があります。日本人が
贅沢を許されるのは、いわゆる社用にかこつける場合だけだと。(ウォルフレン
「人間を幸福にしない日本というシステム」)不況で社用が減って、さらに不況
を加速しているのかも。

 もう一つ、若田部さんの御質問。
 クルーグマンが言っている「構造変化」は「消費の低下」ではなく「投資の
低下」ではないか?

 「恐慌の罠」では供給側でなく需要側の問題を全編にわたって取り上げている
ので、「労働年齢人口の減少」は「生産性上昇速度の下落」という意味よりもむ
しろ「消費の担い手の減少」「投資機会の減少」という意味で問題にされている
ように、私には読めました。以下、関連箇所抜粋です。

「おそらく、今のリセッションはバブルの破裂がなくても遅かれ早かれ起こって
いただろう。(中略)現在の日本のリセッションは、高い貯蓄率と労働年齢人口
の減少という組み合わせでほぼ説明することができる。」(p.7)
「この不況論者は『世界には十分な消費がない。投資機会が尽きつつある』と主
張していた。私は『金融政策がある』と反論した」(p.28)
「多くの経済学者の意見が一致するところでは、出生率の低下と大量の移民受け
入れを拒否する政策が、こうした事態が起こる最大の理由である。高齢化する人
々の貯蓄率は、定年後に備えて高くなる傾向がある。その一方で、今後、数十年
のうちに生産年齢人口が縮小する(すなわち国内市場が縮小する)ことがわかっ
ているときに、貯蓄を企業の投資に向けさせることは難しいのである。」
(p.107)

Id: #b20020402200919  (reply, thread)
Date: Tue Apr 02 20:09:19 2002
In-Reply-To: b0041.html#b20020402185906
Name: ブタネコ
Subject: つぶれなかった理由でしたね(つぶれなかったことが、後の好調の理由)

ひめたにしさんが、主たる部分を答えるだろうと、周辺的なことを羅列しすぎました。
中産階級をしばいたというのは、自動車産業などでの中間管理職の大リストラで、これと輸入制限で、産業の崩壊を防いだのは事実ですね。
中間管理職の大リストラをもっとマイルドなものにし、社会のすみよさを維持できたかもしれない。たぶんできたし、その方がよかったろうけど、これは僕には判らない。
それで、自動車という、あいかわらずシェアの大きな産業が、つぶれもせず、他の産業の足枷にもならず存在し続けたことも、結果として好調に寄与してるのでは。
橋本が指摘してる、利潤圧縮による電機などでの、設備投資の自粛は、橋本はワークシェアリングで乗切れだし、僕はワークシェアリング+財政出動で、城下町へのショックをさらに軽くと考えてて、デトロイトでのすごいリストラみたいのは避けるべきでしょう。
ゴーンさんによって、村山市なんかがどうなったか、どこにいいリポートがあるのかな?
好調の大きな原因として、社会の柔軟性と絡んで開業率をあげると、大学を拠点としたビジネスの大切さは当然では(個人的にはアカデミズムぽい方が好きだが)。
別館も勉強させてもらいましたが、循環としてはスタグフレーションと今で、全然違っていても、構造的な流れ(不平等化の深まり)は連続してて、worstよりworseに防衛線を張るという主張を撤回させるには、岡田さんの財政出動とか、それに変わる「開発?政策」が戦略産業ではいるのでは?
グローバル化にがたつくなも、日中で輸出入とも400億ドル程度で、GDP比でみれば、小さなものだけど、繊維とか農業とか、こちらも小さな業種にとってはどうなのか、繊維はかなりすてて、エコと絡む農業は守るとか、スクラップビルドの選択が必要なのでは?
で、グローバル化の波にたいして、米欧亜の労働貴族で談合して、不平等化を押さえるとか、アジア共通市場とか(台湾韓国の急速な空洞化)とか、ぱっぱと手を打っていかなきゃなんないことだらけでは。
Id: #b20020402185906  (reply, thread)
Date: Tue Apr 02 18:59:06 2002
In-Reply-To: b0040.html#b20020402165101
Name: くろき げん
Subject: 好調な理由の一部であるという証拠は?

ブタネコさん (ときたさん) の議論の仕方は好ましくないと思います。もっとわかり易い文章で証拠と論拠を明確に示す努力をした方が良いと思います。

ブタネコさんは「僕が列挙したのは、90年代のアメリカの好調の理由の一部」で「他の年代にあるからといって、この年代の理由の一部になれないということもない」と言い張ってますが、「理由の一部である」と主張したいならば実際にそうであることを示さなければいけないと思います。何の証拠も示そうとしないのであればお話にならない。

もしも、グリーンスパンが1990年代前半に平時には有効なテイラー・ルールに沿った金融政策を行なっていたとすればその後のアメリカの経済成長が歴史通りに進んだとはとても考えられません。 1990年代前半の大幅な金融緩和はその後のアメリカ経済の発展の必要条件であったのは間違いないと思われます。 (もちろん、それだけで十分だったとは言えないでしょうが。)

しかし、他の理由については果たして「好調の理由の一部」と言えるかどうか? 少なくとも非常に疑わしいことが若田部さんの批判を読んでここ数十年の歴史を思い出すだけで明らかだと思います。

ところで、アメリカ経済における解決困難な大問題の一つは所得の分配の不平等化です。そのことはクルーグマンの『経済政策を売り歩く人々』 (原書1994) の第5章などで詳しく解説されています。もう累進所得税制の類でカバーできるレベルの問題ではなくなっている。

これはアメリカの不幸な側面です。きっとブタネコさんはそういう類の事実を指摘したいのでしょう。そして、ブタネコさんはそういう儀牲を払うことによって、アメリカは経済成長に成功していると言いたいように見える (はっきりそうとは言ってないですが)。

しかし実際には、国内にかかえる貧困層の拡大が経済成長にプラスになるとはとても考えられないのだ。日本も不平等化が進んでいる疑いが強いので要注意です。

P.S. 今まで宇野恐慌論などまったく興味が無かったのですが、最近のここでの会話を見ているうちに興味が湧いてきました。ただし、肯定的な意味ではなく、迷惑な思想がこんなところにもあったのかという意味での興味なのですが。若いときに宇野弘蔵の『恐慌論』に触発されていた橋本寿朗の著書『デフレの進行をどう読むか』への厳しいコメントが稲葉振一郎のインタラクティヴ読書ノート・別館の2002年3月29日に出ています。


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