なんでもなんでも3HTMLの書き方利用上の注意リンク集ホーム

黒木のなんでも掲示板2 (0039)

記事を書く時刻順目次スレッド検索過去ログ最近の記事

各記事の Id ヘッダー行の # から始まる文字列をクリックすると、その記事自身にジャンプします。その記事自身の URL を知りたい場合に利用して下さい。さらに、括弧の中の reply をクリックするとその記事に返事を書くことができ、 thread をクリックするとその記事を中心としたスレッド形式の目次を見ることができます。

Id: #b20020324154458  (reply, thread)
Date: Sun Mar 24 15:44:58 2002
Name: ひめたにし
Subject: クルーグマン「恐慌の罠」を読んで
 ポール・クルーグマン「恐慌の罠---なぜ政策を間違えつづけるのか」を読みま
した。ほとんどは黒木さんの紹介どおりの内容ですが、認識を新たにした点もあ
ります。

 第一に、経済をマイルドインフレに導く政策は永続的に行うべきものであって、
終わりは無いということ。
 インフレターゲッティングは常に今の不況打開策として挙げらるので、これは
非常事態の経済政策であり、不況がおさまれば終了するような印象を持っていま
した。しかし米国FRBとイングランド銀行は、恒常的にインフレ目標値を持って
いる、それはリセッションが起こったときに利下げで回復させることを担保する
ため、「将来の流動性の罠」にそなえているのだ、とのこと。

 第二に、現在の不況は起こるべくして起こったものだということ。私は、バブ
ル崩壊が無ければこういうことにならなかったのではと考えていましたが、それ
は違うそうです。
 日本は80年代に「インフレ無き経済成長」を謳歌したが、高い貯蓄率に見合う
だけの投資(生産性の向上)の余地は、アメリカに追いついた時点で無くなった。
労働年齢人口の減少が始まり、貯蓄率はさらに高まる可能性がある。バブルはこ
のような構造的な問題を一時的に隠蔽しただけで、日本のリセッションは起こる
べくして起こった。従って、日本のような状況は他の国でも起こる可能性があり、
決して日本だけの特殊な問題ではない。

 第三に、日本の不況もインフレターゲッティングも特殊なものでないなら、即
インフレ策が取られてもいいんじゃないの?と思うのですが、これはやはり決断
を必要とする前例の無い政策転換だそうです。
 金利がゼロ以下に下げられない状況でインフレを誘導する手段は「ドルとユー
ロと国債を買いまくる」で、これはどこの政府もやったことのない政策です。従
って、成功する保証も無い。FRBは暗黙の3%という目標値で動いているように見
えるだけであって公然としているわけではない。欧州中央銀行(ECB)はインフレ誘
導的な動きをしたがらない。つまり、「中央銀行の役割は物価の安定」という通
念は世界的に依然として根強い。日本はずっと欧米の真似をしてきたんですから、
世界で初めてのことを試してみろと言われても、すんなりやるとは思われません。

 上記を踏まえて私の感想を一言で表せば、「インフレターゲッティングは、無
理なく合理的に、すんなりと出てくる結論みたいだ」です。クルーグマンの論理
はストレートで非常にわかりやすい。不況打開のためにはこれしか無いように思
えました。

 しかし、一番知りたいところ、つまり「インフレ期待が起こったら、どんな物
価から上昇して景気が回復して給料が増えて不況から脱出できるのか」という見
通しが全く述べられていません。私の「インフレになったら、消費者はよけいに
節約に励むのでは?」という疑問に対する答えは次のとおり。
---------(p.26)------------------
 通常、インフレターゲットを導入すべきかどうかを議論する時は、資金を借り
る個人や企業家について議論する。また、消費者も意思決定をする際に実質金利
を問題にしているのである。日本が実質金利を引き下げても支出が減っていくな
ら、日本は本当に奇妙な国ということになるだろう。
---------------------------------
 これだけでは有権者の納得は得られないでしょう。

 あと、ちょっと気になったのは、「日本のバブルとアメリカのバブルには大き
な違いがある。それは不動産投機だ。(中略)日本はバブル崩壊後、10年経っ
ても問題を解決できないでいるが、私はアメリカの問題は2年で解決することが
できる程度のものだと思っている」という記述です。私は前にも書いたとおり、
日本の地価はインフレ誘導があったとしてもすぐには下げ止まらないと考えてい
ます。インフレターゲッティングが行われたとしても、地価という要因は、効果
が表れるまでのタイムラグを長くするでしょう。このタイムラグは、有権者が不
信を持つ暇がないくらい短いだろうか?と、素人ながら心配です。

 というわけで、インフレターゲットが合理的な経済政策だということについて
はかなり納得したのですが、実現可能性については、相当難しいという感想を持
ちました。

Id: #b20020322145812  (reply, thread)
Date: Fri Mar 22 14:58:12 2002
Name: ブタネコ
Subject: あと正村のが正しかったのは

あと、円が360円からだんだん上がるとき、社会党(向坂協会系政策審議会)も輸出大産業の社長も一体となって、円安環境まもれ、反米愛国だったけど、国際マーケットで、日本の技術力が適正な価格で評価されるのが自然という正村さんのいいぶんがただしかったのでは??
Id: #b20020322135324  (reply, thread)
Date: Fri Mar 22 13:53:24 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020322132017
Name: いなば
Subject: 確認しますが

「日本でもイギリスでもやらずぶったくりがあった」のは事実だが、「それなしには日本もイギリスも産業化は不可能だった」とは限らないわけです。更に、仮にそうだったとしても「だから、産業化の準備段階としてやらずぶったくりは不可避である」ともいえないわけ。
現在の経済史の研究水準では、日本についてもイギリスについても、小農収奪の資本蓄積上の積極的意義はあまり認められていないですね。たとえばイギリスやドイツでの労働者階級形成についても、「土地を取り上げられた食い詰め小農起源説」の当てはまる範囲は狭いとされ、あえて言えば「人口バランス崩壊に伴う相続財産を持たない食い詰め次三男大量出現起源説」の方が強い説明力を持つという。
産業化へのテイクオフの準備としては、むしろ、イギリスも日本も、人口学的なマルサスの罠を逃れ、早めに少産少死に移行していたこと、本格的産業革命前にすでに小農層まで含めた層の厚く広範囲な貨幣経済が成熟していたことの意義の方が重視されています。(マクファーレン『イギリスと日本』他。イギリスについてはマクファーレンの他の本、日本では網野善彦の最近の仕事とか、田中圭一のちくま新書の2冊とか。)

もしもいまどき「産業化の準備段階としてやらずぶったくりは不可避である」等と言うとしたら、それはすべての開発援助関係者のやってることの意義を否定する、犯罪的な発言であります。

この意味では、古典的な従属論(「途上国の貧困が先進国の富裕の必要条件だ」)も危険だよな。南北間のいたずらな対立をあおるだけだ。
Id: #b20020322132017  (reply, thread)
Date: Fri Mar 22 13:20:17 2002
Name: ブタネコ
Subject: 水までがイノベーションの対象に

小農からのボッタクリで、データのあるのは、日本の地租改正かな?家永の高校生用のに、1881年からの6年間、税収の65%~80%にあたる、4300万円を確保とある。(三省堂 新講 日本史)。農民は江戸時代からのコモンズもとられたし。最近のおそろしかったのは仏文学者のポルポトで、しかし農民を生かさず殺さずじゃなくて、殺してしまったから剰余労働の搾取のしようがなかった。
ひめたにしさんは、『世界の薬の5分の1(薬価ベース)が日 本で消費』と指摘。
日本は世界の陸地面積の1000分の1でも、地熱エネルギーの10分の1を使えるんだから、薬(毒)を飲むより、温泉にいって、按摩を取る方がエコで雇用に結びつくような。
さらに精神病院に入院してる人が、他の先進国より1桁多いことも。
多くの精神病院は原蓄の過程で豪農層が、産業資本の株に全部を投じるのは恐いので、セーフティに自分の村に部分投資したなごり。
もっとも、村岡村の地主でF病院のI一族のように、山川菊栄一家にファシズムからのシェルターを提供した人も。
ひめたにしさんは、マーケットとして『循環器系疾患』を指摘。
降圧剤のアンギオテンシン レセプター ブロックなんか岩波理化学辞典の独立項目で、2000年の全米化学会賞だが、すごいイノベーション。

で、過剰な資本が、自己増殖しない資本は資本として矛盾するので、マネーとしてトービン税もなく世界を飛びまわり、虚業でなく実業でフロンティアを広げると、人間のからだとか、飲み水なんかが対象となるのは、いや〜な気分。
水では東レの膜技術が世界の浄水場すべてを革新する一方、全地球の最底辺の農民の水が商売の対象に。(このことで今、日本各地でシンポ)
Id: #b20020322131259  (reply, thread)
Date: Fri Mar 22 13:12:59 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020322120523
Name: いなば
Subject: こういうことを書いたのはなぜかというと

キンドルバーガー『大不況下の世界』(東大出版会)をめくっているとナチ台頭前、ドイツでヒルファディングがインフレ政策に強硬に反対したというエピソードとともに、「マルクス主義者は概して恐慌を不可避と見なし、左翼はインフレに反対した」とのコメントが。リファレンスにはシュトルムタール『ヨーロッパ労働運動の悲劇』(岩波書店、絶版だが神保町などでよく目にする)が。
Id: #b20020322120523  (reply, thread)
Date: Fri Mar 22 12:05:23 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020321020555
Name: いなば
Subject: 黒木さんが気にしている左翼問題

左翼、というかマルクス主義者は、悪玉としての資本主義に決定的に依存しているから、資本主義の合理性にはかえって過度なまでに信頼を抱いているのですね。ことにソ連崩壊以降、もうひとつの(本来の?)よりどころとしての社会主義がだめになってなおさらだ。こうなるとしばしばいわゆる「市場原理主義者」以上に非常に悪質な発言をすることがある。
かつて社会主義革命の幻影が残っていたころの「福祉国家やケインズ主義」は資本主義の姑息な延命策にすぎない」なんて議論はその典型だった。またあるいは宇野派にありがちな「正常な景気循環の一局面としての恐慌はむしろ必要である」なんてのもその例だが、もっとひどいのは「資本主義的近代化をしたければ原始的蓄積をしなければならない」ですね。(馬場宏二は本山美彦との対談でたしかにこう言った。おれは忘れていないぞ。)原蓄、つまり小農からの強引な土地召し上げとか、その他やらずぶったくりによる最初の資本蓄積だ。これって神話というか、イギリス農業革命の「囲い込み」だってそんなにひどいものだったかどうか実証史学的にはカタがついてないし、仮にイギリスで事実だったとしても普遍的に真理として成り立つ命題かどうかはまったく別だものね。こういうこと言う奴は、ラディカルな顔をして結果的には開発独裁を容認しちゃうわけだ。
口先では資本主義、市場経済を批判しながら、自分の代案を持たない。代案を持たないこと自体は悪いことではない(「どうすればいいかわからないけど、悪いものは悪い」ととりあえず言ってみることには意味がある)が、他人の代案をも口を極めてののしって、結果的に逆行の中に「市場原理主義」を「資本主義の逃れがたい宿命」として浮かび上がらせる。もちろん自分ではそこにコミットしてるつもりはないから、責任も負わないけど。マルクス主義者が長年やってきたことって、これじゃないか。
最近の金子勝とかも、こういう悪弊の尻尾がとりきれてないことをうかがわせる。
Id: #b20020322114518  (reply, thread)
Date: Fri Mar 22 11:45:18 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020321023726
Name: かも ひろやす
Subject: 簡易課税制度

消費税の益税については、簡易課税制度によるもののほうが問題視されることが多いようですが、それについてのデータはあるでしょうか。

念のため、用語の説明。簡易課税制度というのは、一定額以下の売上高の業者に、「売上 − 仕入」を「売上 × 定率」で代用して課税額を計算することを認める制度です。コストにおける人件費の割合が高い業種でこれを選択すると、益税が生じます。


Id: #b20020321173659  (reply, thread)
Date: Thu Mar 21 17:36:59 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020321023726
Name: ときた
Subject: 政治的逆スタビライザー

好況不況の波に合わせて、政治の波があり、好況時には革新が優勢で、保守政権は金持ちにやさしい福祉政策を充実する。財政は大判振るまい。不況でセーフティーネットが必要なとき、マスコミに煽動され危機意識をつのらせた大衆は、白人自警団型の保守(保守というのはレイモン アローのような賢者のことで、反動なのだが)を選び、逆スタビライザー政策が、経済をさらに悪化させる。
相続税の累進性は日本で残されている最後の民主主義でスタビライザーだが、自警団型はこれを壊したいのでは。
マネタリズムの虚言も、スタビライザー破壊も、マイルドインフレ反対も、小金持ちの当面の見かけの利益擁護なのだが、それをどう説得するか??
うそつき学者評論家群(長谷慶とか)には、10年前の言説を検証し、「おおかみ中年賞」「曲学阿世賞」を差し上げるとか。
まあ現実には、自警団型の保守をささえる小金持ちの『小心』さを逆にとって、社会的なものを破壊してしまうことが、どんなにまずいかを、訴えるぐらいしかないか??
パリを環状に囲む低所得者地域での『失業の社会学』や『経済の恐怖』などはそうした本だが。本屋にはおかれもしないし。
Id: #b20020321023726  (reply, thread)
Date: Thu Mar 21 02:37:26 2002
Name: くろき げん
Subject: 八田達夫による消費税批判

これから税制改革論議がさかんになるはずなので予習しておきます。

アメリカが1990年代に財政再建に成功したのは、ブッシュ政権が累進税制を強化した後のクリントン政権時代に安定的な好景気の維持に成功したおかげで、税収が大幅に増えたことが効いています。ところが日本では、累進税制を弱め、消費税率を引き上げることを主張する人がなぜか目立っている。

日本におけるこのような風潮に異義を唱えているのが、八田達夫の「財政再建のための税制改革」 (『エコノミックス3』2001年秋号、 50-63頁) です。以下はそこに書いてある消費税批判の部分の簡単な紹介です。 (ビルトイン・スタビライザーの重要性については「最近話題の“税制改革”について」を参照せよ。)

八田はその中で次の事実を指摘しています:

この二つの事実から「消費税は公平でクリーンな税制であり、徴税コストも低い」という主張は幻想に過ぎない。だから、徴税コストを低く押さえたまま所得の捕捉率を上げるためには消費税率を上げれば良いという考え方は出発点からして間違っていることになります。

現在の日本の消費税の免税点は年間売り上げ高3000万円なので、自営業者の多くはお客から消費税としてもらったお金を税務署に納めずに、自分の懐に入れることができる。これが益税の問題です。

八田の『消費税はいらない』 (東洋経済新報社 1994, 1997) の52-53頁によれば、総事業者の68%が免税になっており、土井英二による消費税3%時代の1994年の試算によれば、個人事業主から3750億円の税金を払ってもらうために、 8000億円の益税を発生させていることになるそうだ。

さらに消費税のそのような仕組みから、脱税するためには売り上げ高を誤魔化せば良い。消費税を脱税するために売り上げ高を誤魔化す様々な工夫が行なわれることになる。

以上のような理由から消費税は決して公平でクリーンな税制ではない。

だから、消費税率引き上げに賛成する人たちはこの問題をどうするかについての回答を用意しなければいけません。

最初のおそまつな反論は「益税を得た自営業者も自分自身が消費するときには消費税を払うから、差し引きで考えれば問題はない」というものです。しかし、これは具体的な数値例で計算してみればその反論は誤りであることがすぐにわかります。

たとえば、売り上げが2500万円で付加価値が2000万円で事業所得が500万円の自営業者は、 2000万円の5%の100万円を益税として得ることができ、 500万円の事業所得を全て消費しても支払う消費税は25万円なので、差し引きで75万円の得になってしまいます。

しかし、「インボイス制を導入して免税点を引き下げれば良い」という反論には意味がある。 (インボイスとは消費税として支払われたお金がどのように流れて行くかをチェックできるように工夫された伝票のことであり、インボイス制とはそのような伝票の作成を義務付ける制度のことである。)

これに対して八田は各国の経験では結局のところ高い徴税コストが必要になることを指摘しています。

フランスでは1968年に採用した付加価値税の免税点を低く抑えるために、 1960年から1988年にかけて税務職員を6000人から30万人に増やしたのだそうだ。そのフランスもインボイス制を採用しています。

インボイス制を採用しても脱税の手段は色々ある (たとえば西欧では偽のインボイスを売るビジネスまで出現している)。実際、脱税率の低い国では付加価値税に高い徴税コストをかけている。八田は次の数字を引用しています。

徴税コストの税収比

以上で八田による消費税批判の紹介を終えます。八田は他にeコマースと消費税の相性の悪さも指摘しています。

さて、全てを間接情報に頼っている私には八田の批判にどのように反論可能なのかわかりませんが、少なくとも「消費税は公平でクリーンな税制であり、徴税コストも低い」という考え方を安易に信用してはいけないことは確かなようです。消費税率引き上げに関する議論は最低でもこの地点から出発する必要があると思う。


Id: #b20020321023448  (reply, thread)
Date: Thu Mar 21 02:34:48 2002
Name: くろき げん
Subject: 小泉首相は速水日銀側の見解を鵜呑みしているようだ

NIKKEI NET 3/20 の記事によれば、 3/20に来日中のルービン元米財務長官と首相官邸で会談したときに、金融政策についてルービン氏が「インフレ目標を導入すべきだ」と指摘したことに対して、「金融緩和は明確に進めている。明確なインフレ目標はないが、物価をプラスになるように誘導すべく金融緩和措置を十分に行っている」と答えたそうだ。どうも速水日銀側の発言を鵜呑みしているようだ。どんなにお金を積み上げてもインフレ期待を醸成することに成功しないと、デフレ脱出のためには大した効果がないだろう。

デフレ脱出のためには政府と日銀が一体になってインフレ目標の体制を作り上げる必要があります。それができないようでは将来のインフレ率が上昇するという予想を醸成することは不可能だと思う。


Id: #b20020321022124  (reply, thread)
Date: Thu Mar 21 02:21:24 2002
Name: くろき げん
Subject: 広田照幸による最近の教育論に対する批判

広田照幸による最近の教育論に対する批判

時間がなくて詳しく紹介する暇がないのですが」と書きましたが、『アソシエ』 2002, No.7 に掲載されている広田照幸と黒沢惟昭の巻頭対談から広田の発言を一部抜粋しておきました。広田の論点は新美一正の論点と共通するところが多い。

教育ヴァウチャー制度、学校自由選択制、チャーター・スクール、ゆとりの教育、教育の早期複線化、などなどの提案に対する広田や新美による批判 (同内容もしくはそれに近い内容の批判はあちこちで出ている) にその推進派は十分に答えようとしてないように見えます。

成功の可能性に関して理論的根拠さえほとんどないようなやり方を国家レベルで採用しつつあるように見える。失敗する可能性が高い理由については新美が詳しく報告してる。

サプライサイドの政策によってデフレ不況から脱出しようとすることも無謀な試みなのですが、そういう流れの中で教育制度を悪化させてしまうとサプライサイドも悪化してしまうことになる。


Id: #b20020321020555  (reply, thread)
Date: Thu Mar 21 02:05:55 2002
Name: くろき げん
Subject: 若田部昌澄さん、田中秀臣さん、はじめまして

若田部さん、田中さん、はじめまして。

若田部さん、「次回以降は、その話をしたい」で終わっている「エコノミックスの考古学 第10回 シュンペーターとしごき的構造改革」の次回を楽しみにしています。

田中さん、「掲示板での議論」は情報提供を主眼にするのが私も正解だと思います。他人の発言と独立に読めるものを書くように心掛け、反論があったときには最終的な判断は読者にまかせるというのが良いやり方だと思います。そして、ちょっとだけ雑談を混ぜることによってその後の情報伝達をやり易くするのが掲示板のようなメディアのうまい使い方だと思う。

ものすごく気になるのは、左派に分類されているはずの論客が具体的な政策に関してはシゴキ的もしくはシバキアゲ的構造改革主義者と同じようなことを言い出すという現象です。右派と左派が連合して「潰せえ!」と叫んでいるように見える。

そのドサクサで公教育改革に関して、基礎的教養を最も必要としている層への教育を結果的に弱めるような案がたくさん出ている。新美氏の論説はもっと読まれるべきだと思う。あと、御茶の水書房の『アソシエ』 2002 年 No.8 の広田照幸と黒沢惟昭の対談の広田の発言も参考になる。時間がなくて詳しく紹介する暇がないのですが。


Id: #b20020320173310  (reply, thread)
Date: Wed Mar 20 17:33:10 2002
Name: ブタネコ
Subject: 山口信夫会頭「京都議定書批准するな」

日本商工会議の山口信夫会頭(旭化成会長)が米国や中国に工場が移転し、空洞化するから京都議定書批准するなといったとテレビのニュースに。
批准しない国の製品に環境破壊税を掛けるのが筋では。
賢い経営をすればロールスロイスのジェットエンジンだってエコにつかっている工場もある。天然ガスでガスタービンを回し、その蒸気で蒸気タービンを回し、高温の湯でティシュを作ってる工場が埼玉県に。
ソフトエネルギーパスでたりない分を天然ガス中心でいくのも、産業政策の柱では?
とりあえず石油がやすいので、将来のよりクリーンなエネルギーへの大胆な投資を渋って、不要なちょこまかした土木工事ばかりして。
会頭がせこいことを言っている間にも、沢山の熟年技術者が明治のお抱え外国人待遇で中国企業に雇われている。
Id: #b20020320151321  (reply, thread)
Date: Wed Mar 20 15:13:21 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020320100536
Name: ときた
Subject: 土星食

「ときたさんは、一方でエコな成長をめざせ、あるいは場合によっては成長自体のぞましくないといい」
エコな成長のみを主張してますが、CPU開発などはエコに入れてます。
それとドイツ製鉄業の進歩は人類の進歩に入れています。でも400エクサジュールがあと50年で800エクサジュールになっては大変。で、早くも余談。塩基問題を突破したドイツのレールを鐵道省が輸入した。それをリサイクルして中々美しいのが水道橋駅のホームの覆い。当時日本の粗鋼の生産は今の1/100以下。
で、エコな成長戦略としては、#b20020305204604で紹介した、
自然資本の経済 : 「成長の限界」を突破する新産業革命 01 日経(Paul Hawkenの訳)
原著は市民の数学図書室=ブタネコ塾にあり(仏語資本論まで)。今日は藤沢を含む細い帯状地域で、土星食なので、来客が何人か。イジケやガタガタがボードレールの土星人ならまだ文化的なのだが。
他に、橋本寿朗編集の『日本型産業集積の未来像』日経の中の5章 「日本型産業集積」再生の方向性(橋本寿朗)6章 新しい産業政策に求められるもの(加藤敏春)など。
まあ、加藤さんの地域マネーは、善意はすばらしいが効果はインフレターゲットの1/100も?でも、何もかもやりましょうというか。
橋本寿朗さんでは、wedgeの『世界経済は危機を乗り越えるか』が文明論。

ピュアな資本主義というのは肺炎(恐慌)から抗生物質なしで回復し、回復期の不況には次の成長を準備できた時代の話しで、そんな時代に戻れる訳ないし、ピュアには宇野理論の箱庭(大内兵衛の批判?)的見事さへのイヤミも。日本の恐慌では、東京の工場を逐われ、伊豆や御殿場に歩いて返る女工が箱根駅伝の勝負所、遊行寺の坂で倒れ、坊さんが粥をくばった。返る家がセーフティネット。
宇野派では戸原の筑摩の恐慌論も。書いてるのは馬場。なにしろ教養の経済の定本が理科系でも大内(力+秀明)+戸原って時代で、朝永さんが大学で量力を教えてくれないから自習したってのと似た感じ。筑摩は経済だけでなく数学も出していて、高橋礼二のカルタン風の函数論とか早稲田の中島さんの電子計算機とか。
首を切られるおばさんには同情というより、頑張って下さい、おもしろいことを始めたら協力できるかもって感じ。

またまた話しが飛ぶが、大内秀明が小田原高校だったなんてことも、公教育の衰退前の話し。そういえば丸山真男『日本の思想』精読 の宮村治雄は水問題のあもうさんの虎姫の先輩かな?
Id: #b20020320100536  (reply, thread)
Date: Wed Mar 20 10:05:36 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319235510
Name: 若田部
Subject: ピュアな資本主義?

たくさん議論すべきことがありますね。

ときたさんは、一方でエコな成長をめざせ、あるいは場合によっては成長自体のぞましくないといい、他方で、セイフティーネットのないパートのおばさんに共感しながら昔ながらのピュアな資本主義に戻れという。いろいろな論点が混在していて、主張がわかりにくいのです。

前半はおいて置くとして、ピュアな資本主義、というのはそれこそ(宇野派的な)幻想に近いのではないでしょうか。それよりも、どうしてそのピュアだったはずの資本主義が崩壊したのか(あるいはピュアでなくなったのか)、を考えたほうが建設的に思います。昔は、「耐え忍ぶ」以外ないと思っていたのに、そうする必要がないとわかったのでは?まさに保障のない「パートのおばさん」にどちらがいいのか聞いてみるといいのではないでしょうか?

また、「過剰資本」を清算すれば生産性があがる、というのは、結局のところ、最初の論点に戻ってしまいます。そこをこそ、信念ではなく理論的・実証的につめなくては。

ひとつだけ。産業革命のころの、実質GDP成長率がどれくらいだったのかは、大変推計が難しいのですが、修正派の推計によれば1830年代くらいに2,3%になって加速した、と。戦後の世界経済が、それこそ「アンピュア」な資本主義の経済成果は、これだけの規模を持ちながらさらに成長を達成するという「偉業」を達成したのは、安定化政策と、それを支える「耐え忍ぶ」必要はないという思想の転換にあったと考えますが。

>いなばさん、それと田中さん。ありがとうございました。宇野派の問題点がよくわかりました。

それと航空機産業の話は、当然1920年代イギリスの話なので、現在の日本で、というわけではありません。

大恐慌以降は、ピーター・テミンがいうように、「多くの国における社会主義」がためされました。けれども、開発主義という問題設定は、社会主義と重なるところもあれば、そうでないところもある。総力戦体制というのはどうかな。思想史としては、とりあえず三つの軸をたてておいて、その相互の共振性を測定するほうがいいです。長くなりました。
Id: #b20020320062658  (reply, thread)
Date: Wed Mar 20 06:26:58 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319021503
Name: ひめたにし
Subject: 医療保険制度の話
 黒木さん提案の正しいデフレ対策「将来の不確実性を消して不安を減らす方向
の政策とこのままデフレが続くという予想を潰して有効な投資先を増やすような
政策をミックスしたもの」は妥当だと思います。問題は、年金に関して将来の不
安を消すのはたいへん難しい状況になってしまっているという点でしょう。どう
も、老後のための貯金を持っている世代には、インフレターゲッティングは全く
歓迎されず、消費を減らす作用がありそうに思えます。(外貨預金に流れて円安
を招く効果はあるかも?)

 医療保険制度について。私は医療関係者ではありませんが一応薬学部卒で、医
療関係の知人が多数います。私の知識の範囲内でまとめると。
 医療保険も財政がひっ迫しています。最近の焦点は、サラリーマンの自己負担
を2割から3割に上げ、保険料率もアップする改訂です。来年4月からというこ
とで固まったようです。また、国民健康保険の保険料を払えない人が増えていま
す。年金は不払いでも当面困りませんが、健康保険は本人も払いたいはず。払わ
ないのでなく払えないのです。

 医療は不況知らずのインフレ分野です。このグラフを見ていただければ実感で
きます。
 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/99/kekka1.html
 医療費は国民所得の8%を占めています。(平成11年度)

 なぜ不況知らずか。医療は限りなく進歩するからです。次々に新しい医薬品や
検査が開発されて利用されます。病気の克服に終わりはありません。平均寿命が
伸び、国民の主な死因は各種の生活習慣病(癌、循環器系疾患等)になりました。
これらの療養期間は長期に及びます。また、高齢化も医療費増大の要因です。

 不況知らずの成長分野が存在して雇用を産みだしているのはいいことではない
か?
 とも思えるのですが、医療費増大はあまり歓迎されていません。
 日本は国民皆保険ですから、医療費の支出は税金みたいなものです。しかも累
進性が低い。国民健康保険の場合、保険料は家族数や住民税納付額で決定されま
すが、税金をほとんど納めていないような世帯でも国保保険料はかなりの額を請
求されると聞いています。(自治体によって違う。)

 それに、日本の医療はコストがかかり過ぎています。最大の特徴は、「薬漬け」
と言われるように薬剤費の比率が高いこと。世界の薬の5分の1(薬価ベース)が日
本で消費されているそうです。その薬が全部有効ならいいですが、日本でしか使
われていないような「ローカルドラッグ」も多く、また、保険点数が新薬に有利
になっているため、必要の無い高価な新薬を使用する傾向があり、薬剤費の半分
はムダに消費されていると指摘されています。(浜六郎医師の主張が有名。)

 ここからは私見ですが、日本の医療は、カネがかかる割に国際競争力が無いと
いう点で、建設・土木にそっくりです。保険制度で保護されてきて自由競争があ
りませんから当然です。日本では、お金持ちも貧乏人も同じ医療が受けられます。
病室が豪華かみすぼらしいかといった差を付ける程度です。(このこと自体は良
いことだと思います。)

 次に日本が世界へ売り込めるモノは何か?この答えの一つとして、ゲノム創薬、
再生医療、オーダーメイド医療などが目指されています。今後アジア諸国も豊か
になって医療への需要が高まるでしょうし、検査機器など日本人の得意な「モノ
作り」が含まれています。
 問題は、日本では医療を迅速に評価して磨きをかけていく市場がほとんど機能
していないことです。自動車も電化製品もゲームもアニメも、確かな評価眼を持
つ厚い消費者層があって製品が成長できたのでしょう。
 患者も医療関係者も評価眼を養うしかありませんね。それから、高齢化を幸福
だと思えるようにならないと。たぐい稀な長寿社会を世界中から見学・研修に来
て健康・医療関連製品とサービスを買ってくれるような日本になれば、面白いな
と思います。

 新幹線がもう売れないなら、これからは長寿ニッポンをブランドにして世界に
売り出せばどうでしょう。日本より平均寿命の短いアメリカのサプリメントやブ
ルガリアのヨーグルトがありがたがられるのは、何故なんでしょう。

Id: #b20020320021514  (reply, thread)
Date: Wed Mar 20 02:15:14 2002
Name: ときた
Subject: 循環にともなう実物

議論がはじまったのは、ひめたにしさんの『景気がよくなっても、環境が悪くならないか?』という素朴な疑問でしたね。
「景気循環というのは近代的信用経済固有の現象で、どちらかというと実物的というより金融的なものなのかも。」しれないし、それは心理的なものでガタガタ不況、イジケ不況かもしれないし、恐慌で必ずでてくるカタカナは、クリーゼという構造的なものと、パニックというあまりに人間的なものです。
しかし、何回もの循環は同じ場所をまわっていたのではなく、物質的実物的には、加速螺旋運動をしていた。回転は物質的でなくても、まわりながら進むごとに、資本主義に組み込む人口がどんどん増え、ついに50億人を巻き込み、一年で400エクサジュールのエネルギーを費消するまでに。

労働力も設備も資本も今は過剰で、目の前にある過剰なものは物には見えても精神には見えないような?
しかし、何もが過剰な豊かな時代に、日本だけで年3万人が絶望自殺するという精神状態を1000年後の人はどう記録するか?
まあ、過剰なものに少しは対応する生活密着型の需要を、政策的にどんどん作るしかないのでは??
Id: #b20020320014713  (reply, thread)
Date: Wed Mar 20 01:47:13 2002
URL: http://www.t3.rim.or.jp/~hidetomi/index.html
Name: 田中秀臣
Subject: 宇野派転じてケインジアン?
昔からの観戦者でしたが、最近、あまりに知ってる人が多く登場してるので、つい
つられて書き込みします。掲示板での議論は苦手なので、主に情報(情報以前含
む)提供を中心にさせていただきます。宇野派については詳しくはないのですが、
最近、宇野派の伊藤誠さんと学会のフォーラムで同席して、その報告をはじめて聞
きました。伊藤さんの語る社会主義が、ベヴァリッジ的な福祉国家論にあまりにも
似ているので、驚き、またその場でおもわず賛意を表明してしまいました(笑)。
宇野派(含む日本のマルクス主義経済学)が、ソ連や東欧の社会主義国の崩壊以
降、どのような理論的メタモルフォーゼを果たしたのか、いまそんなことを考えて
います。日本のマルクス経済学者は一種の知的アノミー状態なのかもしれません
ね。そして「貨幣無きケインズ」ともいえる伊東光晴氏もまた、このまさにケイン
ズ的な発想の展開が求められるときに、「投資は利子率だけでなく、いろんな要因
で決まる」などという不可知論にせいをだす、ということにも日本のウル・ケイン
ズ主義者(私は実物経済論者と名づけます。貨幣的要因が投資などの実物的要因に
関連するのが、この手の方々にはみんな「マネタリスト」の所業に見えるようで
す)の知的アノミー状況があらわれているのでしょう。伊東氏が橋本寿郎氏の著作
にあとがきを書いたのもうなづけます。ベヴァリッジで思い出しましたが、彼は
はじめはゴリゴリの構造的失業論者でしたが、ケインズやF.シューマッハーの
影響で、あのベヴァリッジ報告にあるケインズ主義者に変化したのでした。

Id: #b20020320005913  (reply, thread)
Date: Wed Mar 20 00:59:13 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319152950
Name: いなば
Subject: 若田部さん

はじめまして。
偶然、でもないですね。私も『地図と磁石』の次回以降でその問題を取り上げたいと思っています。
ケインズ=シュンペーター複合とも言うべき吉川洋も結局「しばき的構造改革主義者」になってしまったような気がする。

ところで、橋本寿朗の遺著『デフレの進行をどう読むか』(岩波書店)を読むと明らかに宇野恐慌論への回帰(Profit Squeezeだってまじかよ?)をしている。しかし少なくとも今日の状況には当てはまらないでしょう。
それどころか宇野恐慌論自体が根本的に誤りだったような気が最近している。クルーグマンがフィッシャーを批判して言うように、景気循環というのは近代的信用経済固有の現象で、どちらかというと実物的というより金融的なものなのかも。
Id: #b20020319235510  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 23:55:10 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319032449
Name: ときた
Subject: 昔の本

「「恐慌が周期的にくり返すことの良い面に、自動調節作用として、資源の適切な再配置がなされ、生産性の高い社会が実現することがあります。」」
「ときたさんは「不況」ではなく「恐慌」と言ってますが、これはどこまで本気で言ってますか? 恐慌が生産性を高めるというような事実は存在しないのでは? 上に引用したような主張は「しごき的構造改革」主義者たちに近い考え方であり、はっきり否定されるべきだと思います。」
結構本気です。ただし、ここでの恐慌は29年の大恐慌でなく、それ依然の資本主義がピュアだった時代のものです。
29年の大恐慌は自立的に回復できる規模ではなかったし、その後周期的に再現することもなかったので。
若田部さんはEconomic Ideology and Japanese Industrial Policy: Developmentalism from 1931 to 1965, Cambridge University Press, 1997をあげてますが、社会主義圏も含めて、大恐慌以降は総力戦史観が判りやすそうです。(山之内 コシュマン 佐口の柏書房のものなど)。
それ依然の恐慌では過剰生産力を破壊するしかなく、実際にこわされたのは低生産部門でした。
代表的な本は宇野弘蔵の『恐慌論』で、宇野がデータとしているのは戦前の日本評論社の『英国恐慌史論 』ツガン・バラノウスキー。ツガン・バラノウスキーの紹介者に 水谷長三郎がいて、後に片山内閣の商工大臣になった。また戦前の恐慌論の本としてカウツキー+ローザ+バウアーなんかもあった。
で、今でも過剰資本退治という問題がなくなったわけではないし、資本論は江戸時代の最後の年に書かれた本だが、ピュアな時代の資本主義の話しだが、恐慌がない資本主義があったら、過剰資本退治はどうなっていたのだろうか??
世界中が、特に日本のメーカーが半導体で過剰資本と思ってるとき、生徒をパソコンから遠ざける日本の教育とか、そのときどんどん投資する中国企業とか、需要作りとアジア共同体では?
Id: #b20020319223220  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 22:32:20 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319182535
Name: ときた
Subject: 文明の転換点

「ということは、10年どころでない長期の話を考えていらっしゃるのですね。」
はい。家主の黒木さんは流動性の罠という罠の所在がはっきりしてるのに、何で手をうたないのかと、2,3年で決着できたのに10年掛けになってしまった問題を問題にしてます。
僕は超長期の谷が意外と深いのでは?とシロウト考えしています。
「航空機産業などは発展していた。」
寺島実さんは日本にもYS11の後継産業を起こせといっているが、僕はエコ的に?です。新幹線を韓国や中国が買ってくれるよう、ウソツキ教科書問題を解決した方が。現代の日貨排斥を見るにつけ、森嶋の北東アジア共同体が没落から脱却する道は納得できるものが。
「経済の総供給側に原因があるとしたら、」
今の問題はあきらかに需要不足です。吉川洋のいう通り。
じゃあ、小野さんのように国債を出して、失業者を減らすのがいいが、国債の格付けが下がったら??
公的企業が市民株券みたいのを出し、金持ちで社会性もある老人がこれを買い、自分のふるさとの公共交通を守ったり、風力発電をふやしたり、グリーンなイノベーションを次々と打ち出せば。ディーゼルエンジンの燃料を DMEに置き換えるなんていうのも。
いずれにしても、文明の転換点にあるので、環境(熱力学)やライフスタイルを含めた議論が不況脱出の議論と絡むことに。
Id: #b20020319182535  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 18:25:35 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319165622
Name: 若田部
Subject: 技術革新?

「しかしもっと長期的にイギリスは産業技術政策でドイツに敗北していったし、それが現在まで続く美しい没落の出発点では。具体的には赤鉄鉱に乏しいドイツがイギリスの新技術(トーマス=ギルクリスト)を積極導入してイギリスを抜いたり、化学ではイギリスはいつまでもルブラン法だったり」。

一方で電気・自動車・航空機産業などは発展していた、ともいいますが。ということは、10年どころでない長期の話を考えていらっしゃるのですね。

ところで、経済の総供給側に原因があるとしたら、当時のイギリスでも、日本でもデフレでなくて、スタグフレーションみたいなものが起きるはずでは?サッチャーが出てきて、もう一度巻きなおした、なんていうお話の背景は、まさに総供給側を革新しなければいけないという状況でしょう。ちょっと日本の現状とは違うのではないでしょうか?

ところで、開発主義というのは大変根強くて、官僚に限らず、マルクス系の学者も、非マルクス系とされている学者もだいたいこの信奉者たちでした。詳しくは、Bai Gaoという人の書いた、Economic Ideology and Japanese Industrial Policy: Developmentalism from 1931 to 1965, Cambridge University Press, 1997が便利です。

革新官僚が名市長になるという話は面白いですし、うなづけますね。官僚なのだから、経済運営はできなくても、行政経営はうまくいくでしょう。両者に必要な能力は違いますが。

Id: #b20020319165622  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 16:56:22 2002
Name: ときた
Subject: 技術革新 しばき バッファー

20年代のイギリスの暗さは、第1次大戦の喪失感というか、たとえばLady Chatterleyの世界ですね。今の日本のおじさんたちにも、ある主の喪失感がありますが。
そして、東京銀行が横浜『正金』銀行だった時代の通貨政策が10年サイクル程度の浮き沈みと関係することも。しかしもっと長期的にイギリスは産業技術政策でドイツに敗北していったし、それが現在まで続く美しい没落の出発点では。
具体的には赤鉄鉱に乏しいドイツがイギリスの新技術(トーマス=ギルクリスト)を積極導入してイギリスを抜いたり、化学ではイギリスはいつまでもルブラン法だったり。
日本の醜い没落のはじまりは、メモリーばかりでCPUが作れないあたりかも。

しばきといえば、リストラ失職ですが、現代社会で生存に必要な富だけなら全労働の3%でいいという人もいて、あとの人はある意味では潜在失業者かも。でも、普通は中産階級して楽しい会社員をしてました。
20年前、デトロイトの幸せな会社員をリストラし、朝から夜までパートにしたのが日本の自動車で、今はアメリカが日本、日本が中国になっています。
呑気な父さんみたいなバッファーは社会に必要だし、あまりにもムダな部分は合理化してかなければならない。
そうなると牽引するのは、情報と生活の豊かさかなと思います。
ダイエー自身が、店員の少ない広々とした売り場がかなしすぎた。(現代の枯れすすき)。屋台村のような東南アジア的にぎわいを作り、安全な魚や野菜をインターネットでそこに生産者の顔を見せるようにするとか。
最後に若田部さんが指摘するマルクスっぽい官僚の開発主義は、戦前の企画庁の革新官僚あたりかな、勝間田・和田・正木。正木さんは鎌倉の名市長になった。市のレベルでグリーンな政策に成長を見い出していけば。
Id: #b20020319152950  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 15:29:50 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319114831
Name: 若田部
Subject: 長期不況から脱出するのに革新は必要か?

はじめまして。議論のねたを提供させていただいた若田部と申します。私もシュンペーターが好きなのです。それでも議論に問題があるところはそう指摘しなくてはならないので、そうさせていただきました。

私は、長期不況から脱出するのにシュンペーター流の革新は必要でもなければ、十分でもないと思います。

ひとつだけ例をあげますが、イギリスの1920年代は長期停滞といってもいい、まさに「失われた10年」でした。そのさなかの1925年に、金本位制への旧平価での復帰を断行したため、不況はさらに悪化しました。そのイギリスが結局、金本位制から再離脱するのが1931年。とたんに、イギリスの景気は上向きます。これはどうしてでしょうか?シュンペーター流の革新が起きたからでしょうか?

いろいろとお書きになっている社会的非効率や社会悪へのお怒りは共感するところがあるのですが、不況の話とは関係ないと思います。それよりも重要なのは、最後の点で、「銀行員や官僚にはセーフティネットはあっても、ダイエーを首になるパートのおばさんにはない」ということです。だからこそ、きちんとしたやり方で不況から脱出しなければなりません。

森嶋通夫氏の議論には私は異論があります。それについては別の論考を参照してください。
http://www.inose.gr.jp/back/02-1-11.html


Id: #b20020319114831  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 11:48:31 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020319032449
Name: ときた
Subject: 恐慌は奇貨となりうるか

僕自身の結論は、社会的な富やサーヴィスは緩やかに成長し、化石燃料の消費は現象することです。
……どのような知的影響とも無縁であるとみずから信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である。
の具体例である僕は、都留を通してかなり熱心な シュンペーターのファンです。シュンペーターのいう画期的なinnovationがでてこないと、長期の不況から抜けだすのは困難では。
「春の大掃除」では、ジャンクグッズの大量消費の時代ではないから、人口数万の商圏に、ダイエー型店鋪がいくつもある必要はない。地方の生産性の低いゼニコンの孫受けなんかでも、ムネオ的なものにたよらず、援農に労働者を派遣し、地域再生にのりだしたとこも。
でも、三和銀行の都合でまたダイエーに融資を積みましたとか、悪い秘書に貢ぎ続ける土建屋とか、なかなか掃除ができない。昨日の日経の年金基金の損失だって、自分の天下り先確保に、あぶない融資を始めた官僚の責任は追求されていない。銀行員や官僚にはセーフティネットはあっても、ダイエーを首になるパートのおばさんにはない。
無論、恐慌はない方がいいです。それをおそれて、環境破壊型の経済成長や、侵略戦争までしてきたのだが、いま恐慌の数歩手前の状態にあって、そこでシグナルを受け止めて反応すべき反応さへでてこないことは。
一番のポイントは教育で、指事待ち型から考える人への転換だが、これができないことが森嶋通夫の『なぜ日本は没落するか』1999の主題ですね。
Id: #b20020319040627  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 04:06:27 2002
Name: くろき げん
Subject: Paul Krugman, "Missing James Tobin"

Paul Krugman, "Missing James Tobin", The New York Times, 12 March 2002


Id: #b20020319032449  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 03:24:49 2002
Name: くろき げん
Subject: 不況は生産性向上に役に立つか?

ときたさん曰く

恐慌が周期的にくり返すことの良い面に、自動調節作用として、資源の適切な再配置がなされ、生産性の高い社会が実現することがあります。

ときたさんは「不況」ではなく「恐慌」と言ってますが、これはどこまで本気で言ってますか? 恐慌が生産性を高めるというような事実は存在しないのでは? 上に引用したような主張は「しごき的構造改革」主義者たちに近い考え方であり、はっきり否定されるべきだと思います。

cf. 若田部昌澄「シュンペーターとしごき的構造改革」2002年03月13日

激しい不況や長期にわたる経済低迷は避けるべきだし、恐慌などもってのほか。


Id: #b20020319021503  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 02:15:03 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020318230806
Name: くろき げん
Subject: お金を使わずに保有し続ける権利の価値と将来の不確実性

将来の年金給付が足りないと思っている人がその足りない分を貯蓄によってまかなおうとすること自体には何も問題がない。問題なのは「一体どれだけ貯蓄しておけば良いのかさっぱりわからないのこと」だと思います。

デフレ不況とは「お金を使わずに保有し続ける権利」の価値が他に比べて相対的に高くなってしまっている状態のことです。

「お金を使わずに保有し続ける権利」の価値は将来の不確実性が高くなればなるほど相対的に高くなる。だから、将来が不確実で不安であればあるほど貯蓄を増やすことが合理的な選択になる。将来不安の分だけ消費を減らして貯蓄を増やさざるを得なくなってしまうのだ。

そして、「お金を使わずに保有し続ける権利」の価値は、デフレが続くという予想が確実であればあるほど高くなり、現在の時点での有効な投資先が無ければないほど高くなる。

だから、個人的に正しいデフレ対策は、将来の不確実性を消して不安を減らす方向の政策とこのままデフレが続くという予想を潰して有効な投資先を増やすような政策をミックスしたものにするのが正しいと思うのです。将来の不確実性を減らす政策は投資成功の確実性を高めるという効果もある。

皆でそういう方向の政策に賛成し、逆方向の政策に反対し続ける必要があると思う。政治的右派が将来不安を消す政策に理解を示し、政治的左派がマイルド・インフレと投資機会を増やす政策に理解を示すという場面を見てみたいのだ。

クルーグマンの議論のエッセンスは「お金を使わずに保有し続ける権利」の価値を減らすことに成功すれば流動性の罠から脱出できるということです。ところが、各種メディアにおける議論は「とにかくクルーグマンが提案したインフレターゲティングだけには反対」のようなものが多くてあきれてしまうのだ。非建設的な議論の典型例。

P.S. 30年後の年金の実質給付水準はこれから30年かけてどれだけ経済成長できるかに大きくよっています。ここ10年の日本経済の長期低迷は確実に皆の将来予想を暗くしていると思う。

P.P.S. ここでまだ話題になってない大問題には何が残っているかな? 医療保険制度の話はまだ出てませんね。それについてぼくは今のところほとんど何も知らない。すでに勉強している方の情報提供を希望。


Id: #b20020319011748  (reply, thread)
Date: Tue Mar 19 01:17:48 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020318230806
Name: ときた
Subject: 別所論文の魅力 近代的な市民

僕も別所論文でシャレタ部分は、ひめたにしさん同様、セイフティーネットの未整備という社会の後進性と、地本主義というアジア的後進性、そして大家族ないし親子の甘えの関係が三味一体となっていることの指摘です。
恐慌が周期的にくり返すことの良い面に、自動調節作用として、資源の適切な再配置がなされ、生産性の高い社会が実現することがあります。ところが、ダメ業種ほど政治力をもっていて、自動調節がなされないことに。低品質の労働力も甘えの中に逃げこみ、品質を高めるより諦めの方に。
DVバカ亭主から逃げてきた娘のシェルターに、実家がしばらくは場所を貸すとしても、女性もバカ亭主を見返すくらいの品質にメタモルフォーズするとか。あるいは3489千円で非課税に課税しているのがバカ孫で、社会の前近代性が不況を暗いものにしてるのにポストモダンなんておばか論文を、失業者の隠れシェルターのいんちき大学院での勉強ごっこで書いても、労働力商品の質は上がらない。表示だけよくなるのは雪印の牛肉みたい。
まあ、若者が自立するには本物の奨学金制度が一番重要で、現行の不十分なものまで破壊するのが小泉改革なのだが。
老人も、エイッと子捨てして、(こころやさしいアジア人をやめてステゴノザウルスに)土地を売って資本を得、起業すればいい。戦前の暗い『家』に対して、敗戦後の川島民法が輝いていた、新しい家族にもう一度戻って。
   さて議論は整理されてきて、崩壊とか破綻でなく世代間の不平等になってきたのだが、20年さいた食い逃げ世代は、60年安保、総評、革新自治体と、それなりに自分で勝ち取ってきた部分と、運が良かった(50年サイクルの山の方にいた)ことと。
残飯を押し付けられる世代は、小泉さんによって、残飯すらなくならないように、最悪でも別所ラインを防衛線にがんばらないと。(金子+神野では国民年金組は逃げきり世代より恵まれ、この点は重要)そして、50年サイクルの谷からでるグリーンな成長が一番大切なのでは。
逃げきり組を、ネタミ・ソネミ・ウラミの封建的感性で憎んでも、賃労働と資本の矛盾を世代のイガミ合いに矮小化できた支配階級がほくそえむだけ。
Id: #b20020318230806  (reply, thread)
Date: Mon Mar 18 23:08:06 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020317104508
Name: ひめたにし
Subject: 「老後は年金だけで生活できる」のは逃げ切り世代のサラリーマンOBだけ
 私は、インフレターゲットを重要なパーツとする一連の提言で現在の不況が克
服されたらいいなと考えています。もちろん不安を煽るつもりで書いてはいませ
ん。どうもインフレ期待だけでは株価が上がってまた落ちるだけみたいな気がす
るので、「みんなが日本の将来は明るいと思うこと」がキーになりそうです。そ
こで不安の中身を検証して、どの程度実体があるのか探りたいと考えています。

 年金の問題は個々人の具体的な逸失金額が見えない分、不動産価格下落の問題
よりもつかみどころがないですが、世間でそういう不安が流布しているという認
識では、黒木さんも時田さんも一致しておられるようですね。

 現在、年金に関わって存在する「不安」は、パイ全体の大きさに関することよ
りも、むしろ「分配」に関することだと思います。日本人の多数派は、衣食住に
まで事欠く老後を真剣に心配したりしていないでしょう。(もしそうなら、家計
調査に現れる教養娯楽費や交際費はもっと貯金にまわされるはず。)「楽しくな
い老後」「誇りを持てない老後」を漠然と心配している状況ではないかと思いま
す。言い換えれば「現役世代との比較で、自尊心を満たす程度の生活をするのに
十分な年金を受給できるのか」という不安です。

 2020年には生産年齢(15〜64歳)人口7445人に対して老年(65歳以上)人口
が3456人になります。厚生年金の給付を現行どおり「現役時代の59%」にすると、
生産年齢人口一人当たり平均27%を保険料として支払わなければならない。実際
には15〜22歳や61〜64歳は就労していないか非常に低い所得しかないので、正味
の現役世代は30%以上の保険料率になるでしょう。
(注:この保険料率は事業者負担分も含むので、給与明細に表れるのはこの半額。
前回示した試算も同じです。)

 これでは現役の負担が重過ぎる、ということで、厚生労働省は保険料を年収の
2割程度に抑えることと将来の給付総額を現行から2割程度調整することを方針
としています。

 時田さんいわく「日本でたった20年さいた福祉のあだ花」について、別所さん
の論文でも、高額年金受給世帯の家計収支から論証されています。70年代の年金
改正で決定された現在の給付水準は過大であるとして、年金に対する所得課税を
強化するよう提言しています。また、保険料を25%程度にして報酬比例部分の給
付総額を2割削減するのが妥当であるとしています。

 最終的な姿では、厚生労働省の案よりも別所さんの案のほうが、少しだけ高齢
者に有利・現役世代に不利です。どちらにしても、59%の給付は「逃げ切り世代」
の人たちだけで、その後は支払い世代の負担を一定範囲に納めることを重視し、
給付のほうを削る考えです。
 厚労省案を単純計算すると給付は47%になりますから、これだけで老後の生活
を維持するのはちょっときついでしょう。(この%は月給との比較であって、ボ
ーナス分は入っていない。)
 高齢者も自分達で雇用の場を開拓せよという時田さんのお話はもっともですが、
現状では65歳以上の就労は相当難しい。庶民にとっては「やっぱり貯金するしか」
という考えに傾くのは自然なように思えます。

 余談ですが別所さんの論文の以下の記述は面白いと思いました:
 なお、遺産の多くが土地・住宅であるというわが国特有の現象は、公的年金制
度の力不足、あるいは信任の低さに起因している可能性がある。すなわち、公的
年金だけでは老後の暮らしができないので、遺産と引き替えに子供と同居し、面
倒をみてもらうという「暗黙の年金契約」である。

Id: #b20020318122934  (reply, thread)
Date: Mon Mar 18 12:29:34 2002
Name: ブタネコ
Subject: 今日の日経

今日の日経の1面トップは、
「年金住宅融資」の不良債権処理案で、年金財政の悪化は避けられないhttp://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20020318CEEI002717.html
年金財政の全体像を見せないで、暗い話ばかり載せて、何が目的なのかな?
もっと景気を悪くして、CO2を減らそうという良心的企画か??

最終面の自伝連載はこのところ宇沢さん、去年都留重人の世界の連載と、森嶋の朝日新聞三部作が出たが、この二人と比べてまだ若いのに、って感じも。
77年のNHKのことは書くのかな?77に宇沢さんはNHKで福田内閣がインフレ退治と景気対策という矛盾をどう乗り切るか聴かれたとき、労働力集約型の環境政策を提言し、具体的にはみんなでトンカチを持って成田空港を壊そうといった。仰天したディレクターが私は首になる。これは経済番組で成田は関係ないといって、その部分はon airされなかった。

横浜港の大黒埠頭の大きな倉庫の屋根が太陽電池で被覆された。トンカチより少しは生産的かな。こういう明るい話題をなぜ報道しないのかな〜。
Id: #b20020318001833  (reply, thread)
Date: Mon Mar 18 00:18:33 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020317220054
Name: ときた
Subject: 別所さんの『分配』に関する合理的提言

別所さんの提言は合理的なものだが、実現にはすごい抵抗があるだろうな〜。
11月の論文の25ページでは老人夫婦の3489千円で非課税の課税を訴え、20~1ページでは中年時代『不合理』だった弱者の救済を述べている。
政策としては正しくても、年金だけを目標に40年間社畜してきた人が、パチンコで国民年金の一階部分も払えなかった人をどう思うか。
実際には、しっかり課税するとおどして、中高年に、鷹巣町のようなシステムや、シルバー割り引きのコンサートや、老人が働けてたまり場となれる職場(ガキばかりのたばこ臭い飲み屋より、かっこいいバーテンのじいさんのいるバー)を自分で作らねばと、焦らせた方がいい。
40年間社畜は12年間数犬少年で指事待ち症候群だから。
おおまかには、別所も、八田も宮島も金子+神野もそんなに差はないような?
そして連合-民主はこれらの政策丸飲みにみえて、無気力で諦め集団かな?
逃げきり世代の、日本でたった20年さいた福祉のあだ花に貢献したのは、大内兵衛や一番ヶ瀬康子さんの理論を法制化に努力した、まじめ一筋の山本政弘議員か。この人は左派は落選させよの連合の指令で政界を去った。
いま30代の世代も、その世代の山本議員を持って、別所さんであれ誰であれまともな政策の実現に努力しないと、食い逃げされて、残飯の荒野に残されるな〜。
残飯の荒野を崩壊とか破綻と言うかどうかはともかく、低学力・空洞・動物化などの表現は?
Id: #b20020317220054  (reply, thread)
Date: Sun Mar 17 22:00:54 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020317162236
Name: くろき げん
Subject: 別所俊一郎「社会保障制度と世代間の不平等」

年金については、べっしょさんが詳しい:

どちらも全文のPDFファイルを取得できるようになってます。後者において別所曰く「なお、(1)(2)の枠組みのもとで年金財政の粗い試算を行った結果、われわれの提言する公的年金改革スキームは十分に実現可能であることがわかっている。」

「崩解」「破綻」の話は止めた方が良いと思う。やるとすれば、どうして「崩解」「破綻」のような恐怖を煽る言説が今の日本に広まっているか、という問題にしてしまうべきだと思います。


Id: #b20020317162236  (reply, thread)
Date: Sun Mar 17 16:22:36 2002
Name: ときた
Subject: 羽田澄子 住民が選択した町の福祉

ひめたにしさんが恐怖する、未来の日本国よりジジババだらけで、財政も悲惨な社会が、今の日本のいたるところにあります。
過疎の町です。そういうところで、何ができるかを撮った映画に、羽田澄子監督の『住民が選択した町の福祉』秋田県 鷹巣町の例があります。
やるべきことを、どんどん始めればいい。優良農地や森林を破壊して、農道や林道をつくるゼニコン式福祉より、こちらの方が効率がどれほどいいか。
年金や財政の将来についてのアバウトな計算なら、神野直彦と金子勝の
財政崩壊を食い止める : 債務管理型国家の構想 岩波
地方に税源を 東洋経済新報社
「福祉政府」への提言 : 社会保障の新体系を構想する 岩波
にもあるし、厚生省や生命保険会社のテクノクラートのより正確な計算も、出てこないだけであるでしょう。
構造改革が進まない為に、輸出優良企業にも応えている内外価格差で一番異常なのは、港湾の荷さばきとトラック。
運輸省のくもすけ行政のツケでは。情報処理を活用したエコな新システムを作るなどせず、ガチョウを殺しながら将来の卵の数を計算してもナンセンスですが。
Id: #b20020317130943  (reply, thread)
Date: Sun Mar 17 13:09:43 2002
Name: くろき げん
Subject: 毎日のデフレ肯定論、潰れない企業リストの噂

ちょっとアレなネタを二つ。

ネタ1.毎日のデフレ肯定論【ドキュソ記者の目】

内外価格差の調整の仕方には、主に金融を引き締めて国内の物価下落によって行なう方法と、金融緩和+為替レートの切り下げによって行なう方法があるのですが、昭和恐慌は前者の引き締め路線を徹底したせいで起こったのだ。その時代には金解禁のせいで世界中が金融引き締め状態になって世界恐慌が起こっていた。

日本が現在はまっている流動性の罠とは金利をもう下げられないくらい下げているのに実質的に金融引き締め状態になっていて不況から脱出できない状態のこと。

マジメにチェックするようになってから気付いたのですが、新聞の経済関係のコラムはひどいのが多い。経済ネタに関して新聞を参考にしたい人は経済学入門書を真剣に読んでからにするべきだと思う。

ところで日経新聞の「大機小機」って誰が書いているの?

新聞の経済関係のコラムをチェックするたびに、ケインズの次の主張はやはり正しいのかなと感じます:

……どのような知的影響とも無縁であるとみずから信じている実際家たちも、過去のある経済学者の奴隷であるのが普通である。権力の座にあって天声を聞くと称する狂人たちも、数年前のある三文学者から彼らの気違いじみた考えを引き出しているのである。私は、既得権益の力は思想の漸次的な浸透に比べて著しく誇張されていると思う。……しかし、遅かれ早かれ、良かれ悪しかれ危険なものは、既得権益ではなくて思想である。

(J. M. ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』東洋経済新報社、第24章「一般理論の導く社会哲学に関する結論的覚書」の最後の部分、386頁より)

ネタ2.現実味増す「潰れない企業リスト」〜問題先送りの証左か

今度は「30社リスト」=「政府御墨付の破綻企業のリスト」ではなく、「金融支援11社リスト」=「政府が潰さないと決めた11社のリスト」てなものが出回っているようですね。

こんなものがまことしやかに出回ってしまうということは、政府が私企業間のお金の問題に直接口を出すことによって潰す企業と潰さない企業を恣意的に選別しようとしている、という見方が否定し難いことを意味しています。

青木建設が破綻したときに小泉首相は「構造改革が順調に進んでいることの表れだ」と述べました。そして、その後の経緯の全てが上の見方の信憑性を高めている。政治家の発言は皆の将来予想に大きな影響を与える場合がある。発言と行動によって良い影響を与えようとすることは政治家の重要な役割のはずなのに寒くなるような発言が多過ぎる。

そして、それをお寒い報道が盛り上げている。「潰せえ!」の声があまりにもでかい。政府がどの私企業を潰すか潰さないかの決定に直接関与しているがごとくの状態は本当に異常だと個人的には思うのですが、そのことを批判するのではなく、「完全的中した場合は、「問題先送りが決定した」として株式市場関係者の失望感は更に強まることにもなる」だとか「まさに不良債権処理の「総先送り」の状況だ」のように報道されてしまうことになる。


Id: #b20020317104508  (reply, thread)
Date: Sun Mar 17 10:45:08 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020317010312
Name: くろき げん
Subject: 総人口比と生産年齢人口比、分配の問題はやはり人を熱くする

話のスピードを高めるとつらくなるので一つだけ簡単にコメントしておきます。過去の数字を引用するときに、実質GDPの総人口比のみを挙げてもそう大した問題ではありません。

国政調査から総人口の年齢別構成を引用 (単位は万人):

       all   0-14 15-64  65-
------------------------------
1980  11706  2751  7884  1065
1985  12105  2603  8251  1247
1990  12361  2249  8590  1490
1995  12557  2001  8717  1826
2000  12692  1845  8600  2227

1990年から1995年にかけて生産年齢人口は増加してますが、それ以後は減少に転じて2000年には1990年とほぼ同程度に戻っています。総人口の方は1990年から2000年にかけて2.7%増えています (年平均でおおよそ0.3%増)。

そして、バブル崩解後の1990年代の実質GDP成長率はほぼ1%程度だった。実質GDPの総人口比の成長率は総人口が上昇しているので、 1%より少し小さくなって0.7%になりますが、生産年齢人口は総人口に比べると増加してないので、実質GDPの生産年齢人口比の成長率は0.7%よりは大きくなり、 0.8〜0.9%程度になるはずです。

バブル崩解後の1990年代の数字は「失われた10年と言われた時代の数字」のつもりで引用しました。そのような時期であっても実質GDPの生産年齢人口比の成長率は1%弱程度だったわけです。現在のデフレ不況からの脱出に成功した後はさすがにこれよりは良くなるはずでしょう?

生産年齢人口の総人口比が毎年0.5%程度減ったとしても (人口問題研究所の中位推定はその程度)、実質GDPの生産年齢人口比がそれを超えて成長すれば、実質GDPの総人口比は増加し続けます。「失われた10年」と言われた時代であっても実質GDPの生産年齢人口比の成長率は平均して0.8〜0.9%程度はありました。

ひめたにしさんは「崩解」「破綻」という言葉を使っていたのですが、結局のところ分配の話をしている。全体のパイの大きさには限界があって、その範囲内でどうにかしなければいけない。ある人の取り分が多ければ別の人の取り分を減らさなければいけなくなる。これは動かせない現実です。そして、誰がどれだけ取るかに関する闘争はパイのサイズが小さければ小さいほど激しくなるでしょう。確かにこれは大変な問題だ。

しかし、「年金制度が崩壊するのではないかとまで言われるようになり、……「持ち家さえあれば」も怪しくなってしまった現在、中高年者が老後に備えた貯蓄を増やすのは当然です」だとか「皆がこのように考えて、子供が産めるのに産まない人が増えてしまったら年金制度が破綻するのは目に見えています」のような言い方をする必要はないと思います。「崩解」「破綻」というのは相当に強い言葉だと思う。

私は、年金の話は、恐怖の「崩解」「破綻」の話ではなく、「自分の取り分がどれだけになるかが心配だ」という分配の話であることを認めてから先に進むべきだと考えています。

分配の問題が難しいのは私も認めています。もっと詳しい人が出て来て、分配の観点からの年金制度について色々教えてくれると助かるのだ。


Id: #b20020317020605  (reply, thread)
Date: Sun Mar 17 02:06:05 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020317010312
Name: ときた
Subject: 旧大蔵省  あたりの宣伝が効いている

ひめたにしさんの
『20年後には給与のうち可処分所得が50%以下になるのは必至です。』
は、『あたりの宣伝』に洗脳されているのでは。
金子+神野のモデルは、財政『再建』を諦め、これ以上の破局の回避を目指す温和なものですが、それにはセーフティーネットを張り、積極的に社会で活躍する人を増やさなければならない。俗吏の恐喝にだまされ、畏縮し諦念にとらわれないように、まず年金基金のとり崩しを考えている。
つぎに税からの補填です。自動車のような環境負荷の大きなものに福祉税をかければよい。そして豊かな老人が、環境負荷が小さく文化的な消費をすれば景気はどんどん良くなる。
体力のいる仕事は、ロボットや微生物がおこない、付加価値の大きな頭脳労働は老人でもできます。
日本の教育はヒノキミの建前教育と、企業内QCサークルの本音教育の2本立でしたが、本音を経験した老人だけが付加価値を作り続け、ヒノキミだけの若者は『バカバカしさのまっただなかで犬死』の可能性もあります。
本家のEconomist2月16日の"The Sadness of Japan" http://www.economist.com/displayStory.cfm?Story_ID=S%26%2BHL%2BRQ%23%23%0Aが評判ですが、それは洗脳された人々のblueな気分をうまく捕らえているからかも。
Id: #b20020317010312  (reply, thread)
Date: Sun Mar 17 01:03:12 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020316191148
Name: ひめたにし
Subject: GDPが増えれば年金給付も増えます
 年金なんか信用できない、自分は国民年金の掛金なんて納めていない、と青木
雄二が朝日新聞の連載で書いていました。でも貧乏人が頼れるのは年金しかない
だろうとも書いていましたが。
 年金制度不安の要因になっているのは、一つには国民年金の掛金未納者が増え
ていること、それから支給開始年齢の繰り上げ等給付水準低下が続いていること、
世代間の不公平が頻繁に取り上げられていることなどでしょう。
 厚生労働省も暗い予測一色です。まあ、情報を公開して信頼を得ようという立
場からでしょうが。
 http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/index.html

 黒木さんの「おそろしく単純化された一般論」を読んで納得された方は、いら
っしゃるのでしょうか。
 まず、実質GDPの「総」人口比が維持もしくは成長すると考えるのはおかし
いと思います。比べるなら、実質GDPの「生産年齢」人口比の方ではないでし
ょうか。
 それから、20年後も経済成長により生産物ベース(財・サービス含む)で現在
と同じ給付水準が維持されるならいいではないか、というのは年金の考え方では
ありません。20年、30年経過する間には社会の生産物の内容が変化していき、人
々の生活水準も変わっていきます。
 公的年金は給付水準を物価で決めてはいません。確かに、いったん決まった年
金額は物価スライド制ですから、ある一人の人をとってみれば、65歳でもらい始
めて85歳で死ぬまでGDPベースで考えてもいいことになります。(平成12年の
改訂までは手取り賃金スライドもあったが、廃止された。)しかし、スタート時
点の年金額を決定するのは、退職前の給与水準です。現在の厚生年金は「現役時
代の59%の給付」を基本としています。すなわち、経済成長したら年金も上がる
仕組みになっているのです。

 人口予測から具体的に見てみますと(国立社会保障・人口問題研究所の将来人
口推計より)
 http://www.ipss.go.jp/Japanese/newest02/3/t_1.html

総人口,年齢3区分(0〜14歳,15〜64歳,65歳以上)別人口および年齢構造係数
:中位推計 

(単位:万人)

             2000年  2020年  2030年
-----------------------------------------------------------
総人口          12693     12411     11758 

年少(0〜14歳)人口    1851      1510      1323
生産年齢(15〜64歳)人口   8638      7445      6958
老年(65歳以上)人口       2204      3456      3477

 非常に単純化して、国民が全員厚生年金に加入しているとします。日本のGD
Pを500兆円とすれば、2000年の時点で生産年齢者一人当たり579万円の年間所得
があります。厚生年金の保険料率は17.35%ですから、一人100万円を年金掛金と
して支払っています。高齢者がこれを分け合うと、一人当たり392万円を受け取る
ことになります。
 物価上昇はないとして、生産年齢人口当たりのGDPが年率1%の成長を続け
るとしましょう。2020年には、現役の所得は22%アップして706万円に、2030年
には782万円になります。一方、高齢者は一定額、392万円の年金を受け取るとす
ると、現役が支払う保険料は2020年182万円(所得の26%)、2030年には196万
円(同25%)となります。稼ぎの4分の1も取られて働く意欲が低下しないかと
心配にはなりますが、まあ、年金保険料を支払った残りの金額は479万円-->524
万円-->586万円と増えていきます。

 ところが、前述したように年金支給額は現役時代の所得で決まりますから、い
つの時代の高齢者にも392万円の給付というわけには行きません。現役の所得(つ
まりGDPの伸び)に応じて478円、529万円と増えます。これを賄うため、現役
の保険料負担は222万円(所得の31%)、264万円(所得の34%)と増えます。現
役世代が年金保険料を支払った残りの金額は479万円-->484万円-->518万円とい
う具合で、今後20年は給料が127万円増えるのに残り分は5万円しか増えない、所
得が上がる分はほとんど年金に持っていかれる、こういう感覚になります。
 これは年金だけの話で、残りからさらに所得税も健康保険料も介護保険料も差
し引かれますから、20年後には給与のうち可処分所得が50%以下になるのは必至
です。
 これでは現役世代の労働意欲が低下してしまう、と考えられて、年金制度改革
が進められているわけです。これからも、給付水準の切り下げは進むでしょう。

 こんな給付額の決め方が悪い、受給のスタート時点の年金額は現役時代の給料
を反映しない(物価上昇だけ反映する)ものにしろ、とお考えになるでしょうか?
 退職する高齢者の立場からは、「今までもらっていた給料の6割」というのは
生活の質を大きく変えないために必要な水準ではないでしょうか。過去のある時
点での他人の生活水準を基準にされて、物価スライド分の上昇しか認めない、と
いうことになれば、世間的な生活レベルからは年々取り残され、格差が開いてい
くことになります。そんな老後を保障されたところで、安心できるでしょうか?

Id: #b20020316215033  (reply, thread)
Date: Sat Mar 16 21:50:33 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020316191148
Name: 時田
Subject: 25年後には

黒木さんのアンケートに答えて。
カ猫さんは、このままだと2025年に財政も年金も破綻といっていなかったっけ。2010年くらいから、山村の小部落がほんとにどんどん消滅するとか、20年前は、学校を出れば雇用され小額でも税金をはらったのが、今は学校を卒業しても、納税者になれない人が多いことなどを論拠に。
一方、現在55才くらいの世代は『逃げきり』世代と自分を自覚し、それがスタビライザーにも、デフレ歓迎層にもなっている。
また、65くらいの人で、0金利、生命保険会社の倒産、会社独自の上乗せ年金の縮小を経験してる人も。
さて、皆がガタツイテいるとき、年金のような制度に対する、というか社会そのものに対する、メンバーの信頼を繋ぎとめることが一番の景気対策なのだが、支配層がどこに行こうとしているかが、見えてこない。アメリカのような無年金の小さな政府なのか、厚生/国民の二重構造のままダラダラと縮小なのか。
合理的なマクロ政策としてインフレターゲットをやるにも、政府が国民をデマに便乗して切り捨ててくようでは、うまくいくのかな?
一方、35才以下の世代とか見ると、切り捨てられても、有権者として投票にさへ行かないんだから、自業自得じゃないかなんて気もする。
Id: #b20020316191148  (reply, thread)
Date: Sat Mar 16 19:11:48 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020316081810
Name: くろき げん
Subject: 社会的に構成された「年金制度崩解」の不安について

1.皆に質問

どうも財務省 (旧大蔵省) あたりの宣伝が効いているせいかもしれませんが、「財政破綻」だとか「年金制度崩壊」のような恐怖を煽る話がものすごくメジャーになっている。皆、どういう経路からの情報で「年金制度崩壊」の話を信じるようになっているんですかね?

「年金制度崩壊」を唱えている人もしくは組織のリストを持っている人がいれば情報提供を希望します。学者が唱えている場合はその学者がどこからお金をもらっているかの情報も欲しいな。

確かに将来の年金制度は重要な問題なのですが、皆が悲観的になって思考停止してしまって他人の言うことを鵜呑みするようになると非常にやばい。

2.おそろしく単純化された一般論

ここでは収入の分配の問題という皆が熱くなる話は止めて、パイ全体の大きさに関するおそろしく単純化された話をしましょう。

もしも、実質GDPの人口比がずっと一定のまま高齢化社会になったとします。実質GDPの人口比は働いてない人を含めて平均した皆の平均実質収入です。高齢化社会になったにもかかわらず、働いてない人を含めて平均した皆の実質収入が一定のままであればそんなに心配する必要はないと思います。

バブルが崩解後の1992〜1999年度の実質GDP成長率は平均して年に1%程度でした。人口は年に0.3%程度増加してきたので、実質GDPの人口比の成長率は0.7%程度だったということになる。超低インフレ+デフレ下の不況のせいで経済成長しているという実感はほとんどなかったのですが、数字の上では一応プラスの成長だった。 (ちなみにバブル前の1981〜1986年度の実質GDP成長率は年平均3.3%でGDPデフレータ (包括的なインフレ率) は 2.3% でした。)

以下は成長率が g のときに20年後と30年後にどれだけ増加するかを計算したリストです (単に (1+g)20 と (1+g)30 を計算しただけ):

 成長率g   20年後    30年後
-----------------------------
  0.5%      10%増     16%増
  1.0%     22%増    35%増
  1.5%     35%増    56%増
  2.0%      49%増     81%増
  2.5%      64%増    110%増
  3.0%      81%増    143%増

もしも実質GDPの人口比が年平均 1% 成長すれば30年後には働いてない人も含めて平均して皆の実質収入が 35% 増えることになります。もしもそうなれば全体のパイの大きさについては何も問題がないと思う。 2% 成長であれば30年後に81%増で本当に何も心配する必要がなさそうだ。

問題は少子高齢化が進みながら一人当たりの実質GDPを維持もしくは成長させることができるかどうか。それができればパイ全体の大きさについて心配はいらない。 (分配の問題はものすごくややこしいのでここではパス。)

個人的な意見では、悲観的になり過ぎるのは非常に良くないと思います。

その上、皆が悲観的になり過ぎると、分配の問題だけを異常に気にし始める人が出て来ることになる。力のある人たちはどさくさに紛れて分配の仕組みを自分たちにとって都合が良い方向に変えようとし始める。「勝ち組」だけがたくさん取ることができる仕組みを整備すれば良いわけだ。しかもそういう仕組みの整備には「経済成長のため」というもっともらしい理由が付けられることが多いが、実際には眉唾なことが多い。結局、悲観的になった“正義感”豊かな人たちがカモになって、他人をまきぞえにすることになるわけだ。こういう状況は不健全だと思います。

清く正しく明るい経済成長で問題を解決することを真剣に考えた方が建設的だと思う。失敗すれば悲観的であろうが楽観的であろうが将来の生活レベルの平均値を下げざるを得なくなります。しかし、成功すれば意外なことに高齢化社会がやって来ても皆の生活レベルが今よりも上がっていることになる。

そのためにはまず目の前のデフレ不況の危機を脱出して、将来の成長のために安心して資本投下できる状況にしなければいけないと思います。マクロ経済の問題は個人の努力で解決できないので、政府と中央銀行がどうにかしなければいけない。 (皆でどうにかさせるように努力しなければいけない。)


Id: #b20020316133607  (reply, thread)
Date: Sat Mar 16 13:36:07 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020316081810
Name: ブタネコ
Subject: 暗い未来 明るい未来

先行き不安としては、土地や年金といった個人資産の縮退の他に、会社の倒産や産業の空洞化、社会の動物化(アメリカ化した暴力社会でオヤジ狩の標的となる)など、まだまだ枚挙にいとまがありません。原発震災も確率は小さくても期待値の絶対値は大変大きい。

しかし、縦割り業界社会では、業界ごとに中味をみて将来を考えることになるかも。将棋業界や数学研究業界は優秀な若手が多くて将来が明るいかも。
他の業界はどうなんでしょう。4半世紀前、社会の将来に明るさを感じたことがあります。同じ20代の仲間が音大を出てオケに入れば、オケの音がどんどんよくなり、町会議員になれば、大工場のPCBたれ流しを阻止できたり。今はオケなんか老人だらけで新入楽員をほとんど取れないし、松下政経塾出身なんて絶望的な痴の廃人だし。
そして、一番大切な農業は首都近くの畑がほっぽりぱなしだったり、技術のある中小企業が無責任金融の貸ししぶりで倒産させられたり、暗いことばかりです。

もっとも、日照量、地熱、森林資源(そのうえ金鉱脈まで)、風力、メタンハイレードなど、明るいことだらけの日本列島なのですが、さいて〜の理数教育業界にいじめられた大衆が、劣等感列島社会を形成し、ガタガタしすぎているんですよね。遊びとしての情報エコ社会を構想できていない。
Id: #b20020316081810  (reply, thread)
Date: Sat Mar 16 08:18:10 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313224815
Name: ひめたにし
Subject: 消費者の不安がもう一つ---年金
 今の不況がそれまでの不況と違う点が地価下落以外には思いつかないと書きま
したが、もう一つあることを忘れていました。年金制度改革(背景として少子高
齢化問題)です。不況との関連では、ここでまだ論じられていないですね。年金
問題については、べっしょさんがお詳しいようですね。

 年金制度が崩壊するのではないかとまで言われるようになり、老後の不安が増
しています。かつて支えになってきた「持ち家さえあれば」も怪しくなってしま
った現在、中高年者が老後に備えた貯蓄を増やすのは当然です。
 年金問題は出生率と切り離しては考えられません。新聞でこんな投書を読んだ
ことがあります。
「私は子供を育てていて、経済的に苦しく、自分の時間も持てません。一方、ず
っと子供を持たない人たちは海外旅行を楽しむほど余裕があります。このような
人たちの老後を、私が育てた子供たちが支えるのかと思うと、割り切れない気持
ちです」
 これに対して、こんな反論がありました。
「私達夫婦には子供がありません。欲しくてもできないのです。私たちは二人と
も働いて、年金の掛金を支払っています。将来年金を受け取るのはおかしいでし
ょうか?」

 反論した人の気持ちもよくわかります。しかし、皆がこのように考えて、子供
が産めるのに産まない人が増えてしまったら年金制度が破綻するのは目に見えて
います。
 かといって、年金に期待せず貯金すればいいかといえば、そんなことはない。
労働力率が低下していく社会では、それに見合う生産性の上昇が無い限り長期的
に物価は上がっていくし、今後必要になりそうな労働力は、医療・介護など生産
性向上が難しい分野が多いですから。
 人々のこういう将来予測が現在のデフレを引き起こすことは、クルーグマンも
触れていますね。

「皆の将来予測を明るくすること」は、年金・老後の問題については特に困難な
ように思えます。地価については「また上がるかも」という期待が世間に皆無で
はないけれど(私は皆無だと考えている)、出生率が急に上向く可能性は低いで
すから。
 401kで老後資金が「投資」にまわる率を増やすのは良いと思いますが、
「消費」を増やす方策は何かあるのでしょうか。現状では、老後不安は高まるば
かりで、それを打ち消す有効な方策(不況を打開できるほど即効性のある方策)
は提案されていないように思えます。ありましたら、どうぞ教えてください。

Id: #b20020315083842  (reply, thread)
Date: Fri Mar 15 08:38:42 2002
In-Reply-To: b0039.html#b20020315035241
Name: くろき げん
Subject: 八田達夫『消費税はやはりいらない』――納税者番号制について

崎山さんには、ぼくとべっしょさんがすでに読んでいる八田達夫著『消費税はやはりいらない』 (東洋経済新報社 1994, 1997) を読んでもらいたいです。

まず、ぼくにしても、べっしょさんにしても、八田氏にしても、政治的右派の立場から所得の捕捉率を上げるための番号制の導入に賛成しているわけではありません。そして、八田氏も次のように年金番号をかねた行政番号を導入するのではなく、「資産取引者番号」として導入すべきだと主張しています:

納税者番号は、年金番号をかねた行政番号としてではなく「資産取引者番号」として導入すべきである。日本で捕捉の改善が必要なものは、資産所得と自営業者の商取引である。したがって事業所番号を導入する一方で、個人については資産所得に限った情報のみを税務署が得ることができる番号を導入すれば、公平な課税の目的は達成される。反対に、行政番号として導入し、年金・健康保険・賃金課税にも最初から用いようとすれば、職歴や病歴という、資産情報とは異なった次元の、よりパーソナルな情報が漏れてしまうかもしれないという不安を起こさせ、導入が政治的に難しくなるであろう。

(八田達夫『消費税はやはりいらない』177-178頁より)

そして、その税制改善以外のメリットとして次の三つを挙げています:

どういう文脈で納税者番号制の話が出て来たかを全く理解しようとせずに、以上のメリットをあっさり切り捨ててしまうのは惜しいことだと思いました。

ただし、八田の本を読んでちょっと不満に思ったのは、180頁で「アメリカ、スウェーデン、デンマーク、オーストラリア、カナダ等の納税者番号制を採用している諸国が採用している悪用防止措置を、われわれも採用しなければいけない」と述べているのですが、他国の具体的事例の解説が全くないことです。


Id: #b20020315035241  (reply, thread)
Date: Fri Mar 15 03:52:41 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313235051
Name: 崎山伸夫
Subject: 納税者番号

納税者番号というのは、よい方向なんだろうかというと違うのではないでしょうか。 むしろサラリーマンの源泉徴収+勤務先による年末調整で 申告機会を奪われているほうがよっぽど悪いですね (というのは斎藤貴男のうけうり)。

課税の公平性や行政の効率化に番号制度がいるぞ、という 管理と支配に熱心な官僚とその御追従のいいなりになる前に、 David Chaum先生の開拓した領域の先に 想像力をふくらませよう!


1つ前の記録:黒木のなんでも掲示板2 (0038)


管理者: 黒木 玄  <kuroki@math.tohoku.ac.jp>  (Web Site)
CGI_Board 0.70