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黒木のなんでも掲示板2 (0038)

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Id: #b20020313235051  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 23:50:51 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313185043
Name: べっしょ
Subject: わたし,勘違いしていたようで.

すいません.斜め読みしていたかもしれませんが,なにか勘違いしていたようです.

「正直な自営業者と不正直な自営業者」の話だとは思いませんでした.てっきり,クロヨンとかトーゴーサンに代表される「所得の捕捉率格差」の話だと思っておりました.ついでにいうと,「正直な自営業者と不正直な自営業者のあいだの不公平」というのはどういうことか分かりません.不正直にして税金を安くあげることができるなら,なぜ正直に納税するインセンティブが発生するかわからないからです.

八田先生の本はむかし読んでなるほどなあとおもった記憶があります.それもあって,いまも所得税中心主義者です.納税者番号制導入には強く賛成します.アヤシイ所得のある政治家が反対するから実現しないんじゃないかとさえ思っています.ただ,所得税だけでは今後は「公平性」を失する可能性があるとも感じています.それは,所得税が基本的には年度単位で課税されるからです.もし,生涯所得が同じ納税者がいたとして,かたや安定的に所得を稼ぎ,かたや30代前半でどーんと稼いであとはリタイア,とします.このとき,水平的公平性の観点からは,このふたりは生涯の納税額が等しくなる(現在価値で)のがもっともらしいように思えます.しかし,所得税が累進的で年度単位でかけられるとすると,当然のことながら,ある時期にどーんと稼いだひとのほうが納税額は大きくなってしまいます.これは不公平ではないでしょうか?このとき,消費は所得よりも変動が小さく,この2人の消費プロファイルは,所得プロファイルに比べればよく似ている(一番簡単なモデルでは一致するでしょう)ことを考慮すれば,消費のほうに課税することは正当化されます.それゆえ,ここで消費税にも出番があるのではないか,と思っています.とくに「能力給」が浸透していくと予測されるばあいには,このような累進所得税の問題点は無視できないのではないかと思います.

長くなっているのですがもうちょっと.累進所得税のビルトインスタビライザー効果は,バブル期の日本財政の健全化(赤字国債の発行停止)に大きく寄与しました.もっとも,もっと寄与できたはずだ,という反論は可能です.また,インフレはインフレ税というかたちで実質的な財政赤字を削減しますが,累進所得税のもとでは,税法が名目上の所得に対して定義されているため,物価が上がる以上に税収を増やします.これを「ブラケットクリープ」といいます.釈迦に説法ですが.


Id: #b20020313224815  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 22:48:15 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313065728
Name: ひめたにし
 関連の本を読みたいと思ってはいるのですが、年度末と年度初めは忙しいので、
4月20日以降に読みたいと思います。(とか言いながら、長々書いてますが
・・・)
 景気が回復してインフレ基調になった日本の姿は確かにイメージできるし、そ
れが正解だろうと思います。けれども、そこへどのようにして至るのかがはっき
りしないので、私はこの説を他人に広めるまでに至らないわけです。論文を書く
ときは、参考文献を示しながら、論文だけ読んでもひととおり納得できる書き方
をしますよね。長くても5分くらいでアブストラクトをしゃべって、「おっ?こ
の話は正しいかも」と相手一応納得させ、さらに詳しく聞く気にさせるものでな
いと、政策として浸透させるのは難しいでしょう。
 黒木さんのお話では、この説は「消費者」と「有権者」の大部分に信じさせな
ければ実効を上げないようです。国民の大部分に経済の本を読めってわけには行
かないでしょう。

 少なくとも、次のような疑問には答えていかなければならないと思います。
 インフレ期待を作り出したとして、どのようなモノから実際に値上がりが始ま
って、どの段階で消費が上向き、給料も上がるのか、というだいたいの筋書き。
 消費者としての一市民に「え?オレはインフレになったら節約するよ。買う気
になるものなんてない」と言われたらどう答えるのか。
 「インフレ期待を高める政策を効果的にするためには有効な投資機会を増やす
政策が必要」ということですが、投資が冷え込んでいる理由は、需要予測が暗い
からですよね。ニワトリと卵のようなものですが、需要が増える見込みが無けれ
ば、インフレ期待が即投資に結びつくのか私は疑問です。

 あと、「日本の将来は明るいという見方」をどう普及するかですが、「政府は
ソフト路線に転換してリストラ・失業・倒産の不安を静める」という方法論であ
ると理解しました。私は、それは正しいと思いますが、一般受けはしないかもし
れませんね。日本人の特性として「苦しい冬を耐え忍んだら暖かい春が来る」み
たいな思い込みがあり、だから小泉さんは人気があるんだろうと思います。

 土地神話時代は経済はそれなりにうまく行っていたから、また戻ってくれない
かなあ・・・というのは、これまで政府が希望的観測で行ってきた地価対策であ
って、私はBUNTENさんと同様、そんな方式はもう通用しないと考えています。日
本の地価はまだ下がると確信しています。

 BUNTENさんの読まれた本よりももっと過激に「4分の1まで下がる」と主張し
ている人もいます。日本、米国、英国の土地資産額を比較すると、日本は米国の
約4倍、英国の約16倍となっており、さらに各国のGDPに対する地価の比率
は、米国・英国とも一倍前後で推移してきたのに対して、日本はバブル崩壊後で
も約4倍です。(平成9年版土地白書を参考文献としている記述〜青柳孝直「不
動産大暴落」総合法令1998より:なお、この本自体は内容がしょうもないのでお
勧めしません。)

 私は大阪圏に住んでいますが、都市部の資産デフレが庶民をどのように苦しめ
ているか、実感しておられない人もいるようですので、ちょっと紹介します。
 私の交友範囲内に自己破産までした人はいませんが、喪失感を味わっている人
はたくさんいます。
 最も悲惨な例は、93年に4500万円でマンションを買った知人(神奈川県のある
市)です。引っ越す事情が生じて、98年に2300万円で売却しました。5年間で
2200万円が消えてしまったことになります。夫婦共働きだったことと、実家から
の援助もあって、何とか売却できました。
 バブル後のマンション販売数は年間15万戸前後で推移しています。バブル崩壊
後の5年間(91-95年)に売り出された物件は、現在では私の知る限り4割以上値
下がりしています。(新築と中古の価格差もあるため。)
 一般に、年収の5倍の価格の住宅を買うのが適当と言われています。4割の値
下がりということは、2年分の年収が跡形も無く消えてしまったということです。
こういう世帯が50万世帯近くあるわけです。
 一戸建ても、マンションほどではありませんが値下がりしています。バブル崩
壊後の5年間に着工された住宅は700万戸前後です。(マンションや賃貸住宅も含
む総数。)
 都市部では、自分の土地で家を建て替える場合よりも、建売住宅を買ったり、
建築条件付物件を買ったり、古家付土地を買って更地にして家を建てたり、要す
るに土地取得を伴う住宅建設が主流です。700万戸のうちどれだけの割合が土地取
引を伴っていたかわかりませんが、この時期に土地付の住宅を取得した人はかな
りの割合になるはずです。

 住宅を買って住んでいるだけなのに、数年で年収分、あるいはその倍もの資産
価値が消えてしまう、何かの事情で売却することになったらその現実が突きつけ
られます。また、同じマンション内で売物件が出たら、売る予定の無い住民であ
っても、現在の価格を知ってしまいます。(いったん付いた価格は、もう上がる
ことはありません。)

 こういう層が無視できない数になってきたために消費に響き、企業収益を悪化
させ、現在の悪循環を招いているのではないかと私は考えています。これ以外に
は、バブル以前の不景気と違う要因が思いつかないからです。
 バブル後ずっと4%のインフレが続いていたとしたら、この人たちはかなり救
われていたはずですよね。10年間で物価はほぼ1.5倍になりますから、ローン負
担もそれだけ目減りします。
 大都市圏に住むのは、すっごくストレスの多いことなんですよね。今の時代。

Id: #b20020313211349  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 21:13:49 2002
Name: ブタネコ
Subject: 失業の社会学

竹中先生大臣の経済政策のプライオリティが失業者の大量創出にあるならば、『失業の社会学』はもっとも重要な学問だ。
そんなとき、Didier DEMAZIEREのLa sociologie du chomageが都留民子訳で法律文化から出版されたらしい。
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/houritu/index.html
京都の良心的出版社の本なぞ、日版東版体制の元で商業的大形書店に流通することもなく、原物を見れないが、LA DECOUVERTE(1995)からの125ぺーじがなんでぺーじ数が増えたのか?
商業的大形書店といえば、長銀の頭取の弟が日版のトップだったことが、まともな本のない大形書店が全国に跋扈した原因か? Chomeurs : du silence a la revolteって、1998のは大手出版のHachette Litteraturesからで、これはふらんすでかなり評判だった。
それにしても、ファインマンのAddisonも青モージェやパスカル全集のHachetteもピアソンの元に流通。やな時代ね。
Id: #b20020313192533  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 19:25:33 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313185043
Name: くろき げん
Subject: 分配の話は人を熱くするので要注意

分配の話は人を熱くさせるので、そうならないように注意したいですよね。自戒のためにもこう言っておきます。

様々な統計データにアクセスし易い立場にいる人は、私のような無知な人物によるアホな発言を見掛けたら、とにかく最初に必要なデータをわかり易く示すという形で爆撃して欲しいと思います。


Id: #b20020313185043  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 18:50:43 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313110425
Name: くろき げん
Subject: 捕捉の話

まず、志村さん、さんきゅ。所得を勝手に補足しちゃいかんです。恥ずかしいので直しちゃいました。

べっしょさんは「ある職種の所得の捕捉率が低くてトクをしているとすれば云々」と質問してますが、誰が職種別の補足率の違いの話をしているのですか? 私は正直な自営業者と不正直な自営業者のあいだの不公平の話をしていたつもりなんですが。

私は八田達夫の『消費税はいらない』 (東洋経済新報社) をかなり参考にしてます。八田の考え方への賛同や批判の意見について紹介して下さると助かります。


Id: #b20020313141904  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 14:19:04 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313075427
Name: 志村立矢
Subject: 補足は捕捉


の変換ミスですよね。

Id: #b20020313141801  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 14:18:01 2002
Name: MZT
Subject: ご参考までに

 こちらでははじめまして。MZTと申します。

 ルールということで、簡単に自己紹介をいたします。現在、カナダに在住の学生です。ページは、書物の帝国というSFの話題の多いページです。最近は、こちらの掲示板の議論を興味深く読ませていただいております。

 担当教授(マクロ経済)の人が、最近よく日本の話題を取り上げていて、「日本の不況の行方」にとても興味を持っているみたいです。先日、授業の中で彼が日本の状況はまさにIrving FisherのいうDebt Deflationだと生徒たちの前で言っていました。で、このDebt Deflationってなんや?というと、ブランチャード・フィッシャーのテキストによれば「デフレが負債と倒産を増やし、その結果投資を減らす」という概念で、日本語では負債デフレと訳されているようです。

 http://www.rengo-soken.or.jp/dio/No157/siten.htm

 あたりが参考になるかと思います。乱筆・乱文失礼いたしました。
Id: #b20020313110425  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 11:04:25 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313075427
Name: べっしょ

所得の補足を向上させないと、累進所得税制はひどい不公平をもたらすということです。サラリーマンは様々な意味で優遇されているので害を被ってないと思うのですが、自営業者間では所得の補足率の違いによって大きな不公平が発生している。だから、累進所得税制に賛成な人は所得の補足の向上のための政策にも賛成する必要があると思います。
ええと,質問なのですが,ある職種の所得の捕捉率が低くてトクをしているとすれば,どうしてみんなその職種に転職しないのでしょうか? 日本には幸いなことに転職の自由があるのですから,それをしないで「不公平だ」と文句を言う筋合いではないのではないですか? かりに,捕捉率がすべて100%になったとして,自営業者を何らかの理由で(「経済活力のため」!とか)税制上で優遇した場合,実現する状態が同じだとしても,やはり非難されるべき「不公平」なのでしょうか?
Id: #b20020313082756  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 08:27:56 2002
Name: くろき げん
Subject: 大矢勝『合成洗剤は本当に有害なのか?――「石けんファシズム」もういいかげんにしたら?』

1年以上前に出版された本ですが最近読みました。

表紙にはこう書いてある:

石けんは○、合成洗剤は×だと信じ込んでいる
石けんを使おうと声高に運動している
石けんを使えと役所や学校に迫っている…
そんな人たちがあなたの周りにもいませんか?

トンデモな人たちの相手をする話が楽しめました。(^_^;) 大矢氏の主張については彼のウェブサイトの私見のコーナーにある文書を下から順に見れば良いと思う。中西準子のウェブサイトと一緒に読むべし。


Id: #b20020313075427  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 07:54:27 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313070216
Name: くろき げん
Subject: 所得の補足の向上無しの累進所得税制はまずい

税制は分配の問題なので議論を始めたら、なかなか終息しないと思いますが、どの選択肢を選ぶにしても誰もが当然認めることはあると思います。 (経済に関する議論には、パイ全体の大きさの話とパイの分割の話がある。パイの分割の話に敏感な人はパイを大きくする話にも注意を払うべきだし、パイの分割の問題に鈍感過ぎるのもまずい。)

そのうちの一つは、所得の捕捉を向上させないと、累進所得税制はひどい不公平をもたらすということです。サラリーマンは様々な意味で優遇されているので害を被ってないと思うのですが、自営業者間では所得の捕捉率の違いによって大きな不公平が発生している。だから、累進所得税制に賛成な人は所得の捕捉の向上のための政策にも賛成する必要があると思います。 (cf. 3/9の記事)


Id: #b20020313070853  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 07:08:53 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313070556
URL: NCA00201@nifty.ne.jp
Name: BUNTEN
Subject: すいません
該当する本は図書館に返っていますので、データがすぐには引き出せません。
発見次第報告させていただきます。m(_@_;)m

Id: #b20020313070556  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 07:05:56 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020313065912
Name: くろき げん
Subject: 適性価格?

「適正価格」という言葉はいかにも怪しげな形で使われているように見えるので、「……と書いてある本がどっかにありました」という類の言い方ではなく、より厳密な説明の仕方をして欲しいと思います。


Id: #b20020313070216  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 07:02:16 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020312062922
Name: BUNTEN
Subject: Re:不動産価格下落率より高いインフレ率でなければ、意味がないのでは?

ここに書かれている「典型的なパターン」があてはまる人は私の身近には全くいません。
想像するに、おそらく東京や大阪などの大都市に勤務先を持つ高給サラリーマンにしかあてはまらない話ではないかと思います。(ちなみに私は九州の郡部在住です。)

金持ちの無駄遣いでも金さえ回れば景気は良くなる、という意味では確かに地価上昇がひめたにしさんの書かれた経路を通じて景気回復の助けになるでしょう。そして、私のような貧乏人にもおこぼれが回ってくることもまた疑いの余地はありません。

しかし、累進税制の緩和などの「改革」でただでさえ貧富の格差が広がる方向にあるときに、格差を広げる方向で景気回復を図ることが妥当かどうかには大きな疑問があります。
ここはあえて、貧乏人としての自分の利害ともども大声で主張しておきます。そんな策はすぐ限界にぶち当たる、と。

「完全雇用」(いわゆる自然失業なし)を達成するには、わが国の
(1)必要成長率を下げる>貯蓄性向を下げる(消費性向を上げる)
(2)必要成長率は変更しない>投資を増やす

の二策が考えられます。(2)の方向が限界に達しているのは、政府投資の乗数効果が下がっているのと、民間投資が伸び悩んでいることから明らかです。

すると、残された方法は(1)ということになります。ひめたにしさんの方策は資産効果を通じて(1)を実現しようとするものですね。

この方法は、資産の有無による不平等やら購入時期による格差やら色々と悩ましい問題をはらんでいますが、最大の問題点は、それなりの速度(少なくとも病気や失業でローンが払えなくなることがあっても債務超過にはならない程度)で不動産価格が上昇しないと成り立たないことでしょう。そして、それを保証するであろう、他の物価を恒常的に上回るような不動産価格の上昇(具体的にはローン金利を上回る不動産価格の上昇)が続くと、いずれ土地の期待収益が地代を下回る時が来る、すなわち、バブルの崩壊(のような現象)に直面せざるを得ないということです。

対して、BUNTENが主張する、インフレ策(=資産の強制的減価)を併用した累進課税主体の高福祉高負担方式(って初めて言うような気もするが(^_^:))の場合、私が得するだけでなく

(1)資産の有無に関わらず全世帯の「病気・災害への備え」「老後の生活資金」を公的に賄うため、資産効果方式に見られる不平等の問題がなく、家を買えない世帯まで含めた全世帯の貯蓄性向を有効に下げられる。これにより、長期に渡る安定成長が可能。(資産効果方式と違って崩壊しない)
(2)累進税主体とし、低所得層には手厚い社会保障給付をするので
a.ビルトイン・スタビライザーが強化され、景気の変動がゆるやかになる。
b.消費性向の高い貧乏人の可処分所得が大きくなるので、現在の小泉「改革」に比べて、全世帯平均の消費性向が上がる。(より高率の成長が期待できる)
(3) (1),(2)b.により消費が増えるので、当然、供給過多によるデフレは止まる。

など、よりましな改革たりうることは明らかでしょう。

Id: #b20020313065912  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 06:59:12 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020311065522
Name: BUNTEN
Subject: Re:消費のカギを握るのは一般庶民

> とにかく地価が適正価格になればかなり展望は明るくなるのでは、と私は考え
>ています。

日米の金利差から見た日本の資産価格(不動産も債券もコミコミだったみたいですが)は、米国比倍以上日本の方が割高だと書いてある本がどっかにありました。その観点から見た場合、地価が適正な価格になるにはまだ値下がりが必要だとも考えられます。その意味で、無理のある策のような気がします。
Id: #b20020313065728  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 06:57:28 2002
Name: くろき げん
Subject: インフレ期待を高める政策に関する私見

1. デフレに関する本

ひめたにしさんはそろそろ関連の本を読むべきだと思います。「一般庶民の消費」や「土地の価格」のような全てが互いに関連し合っている経済のほんの一部分だけを取り出して話を進めるのはかなり苦しい。例えば、地価や株価のようなストックの価格と適正値はモノやサービスのフローの価格は無関係ではありません。ストックのデフレとフローのデフレは互いに相手を強め合う関係になっている。

去年の終わり頃から続け様に関連の本が出ています:

以上の時事的内容の本だけではなく、一般的な経済学入門も読んで頭の中に幾つか単純化された経済のモデルを作っておくと理解がし易くなると思います。

あと、世界恐慌と昭和恐慌の歴史の本も読めば歴史的にどうしてデフレがインフレより恐れられているかがよくわかります。そして、“正義感”に基いたシバキ主義的な発想がいかに危険であるかもよくわかる。「ハードランディングが好ましい」などと言っている人を見掛けたら要注意。

2. 世界恐慌と昭和恐慌に関する本

私も世界恐慌と昭和恐慌の本も何冊も読みました (暇がないので寝る前にとばし読み)。たとえば、世界恐慌については、

昭和恐慌については、

他にも何冊か読んでいます。岡田さんが引用された高橋是清 (1854-1936) の「待合云々」という有名な一節は『昭和の歴史2』の365-367頁でも紹介されています。

高橋是清は経済運営の実務に関してはおそらくその時代で世界最高の人物でした。しかし、このダルマ顔の人間味豊かな天才的老経済職人は、財政赤字によるクラウディング・アウトが始まったときに軍事予算削減を強く主張したが、 2.26事件で殺されてしまうことになる。

3. 最初に広まるべき知識

長期的なデフレ不況下の日本においては「不況は悪いことか?」という発想をしてしまうこと自体が誤りです。このままデフレを放置し続けるのはかなりやばい。

しかし、今の日本における多数派はまだ自分自身は安全圈にいると思っており、「不況は悪いことか?」と考えている人はかなりいるような気がします。だから、最初にやるべきことは、どうして今のデフレを放置しておくとやばいのか、に関する理解を広めることだと思います。

そのためには、インフレ率を下げ過ぎると失業率が増加してしまうという経験則に代表される経済に関する基本的な知識を広めることや歴史好きの人のために1930年代の世界恐慌や昭和恐慌の話をすることが必要だと思う。それらの知識を共有している人たちの集団を形成する必要があると思います。 (インフレ率を下げたときに皆が支払わなければいけないコストに関する解説が『クルーグマン教授の経済入門』の第5章にあります。)

確かに高橋是清の手腕は天才的でしたが、当時の日本は民主的な政策決定がされるような状況ではなかった。高橋是清は殺され、その後の日本は悲惨な道を歩むことになる。やはり、理解を広げる努力を怠ってはいけないと思います。

そういう努力を否定してしまっては、「国民の理解を待っていたのでは改革できない」「国民や反対勢力に考える時間を与えずに改革を進める必要がある」などと言う困りものの“改革主義者”と同レベルに落ちてしまうことになる。

4. デフレ期待を潰してインフレ期待を高める政策について

インフレ・ターゲティング云々は手段に過ぎず、それ自身が目標ではないことを忘れてはいけないと思います。必要な政策パッケージの一部分 (個人的な意見では重要な一部分) でしかない。

インフレ期待を高める政策はどちらかと言えば投資機会のある人たちを優遇する政策です。なぜなら、それは、手もとにお金がたくさんあるのにデフレが続いているせいでそれを動かせなかったり、動かす気になれなかったりする人たちに働きかける政策だからです。インフレ期待を高めることによってそういう人たちのお金を動かすことに成功すればデフレ脱出のために役に立ちます。その効果を高めるためには政府は有効な投資機会を増やす政策を行なう必要があります。

手もとに現金をたくさん保有している人ほど、インフレ・ヘッジに失敗すると大きく損をすることになります。しかし、個人的にはそういう人たちを同情する必要はないと思う。文字通りの意味でお金持ちなのですから。

心配なのは、ひめたにしさんがおっしゃっているように、ただでさえリストラ・失業・倒産が増加して不安になっているのに、インフレ期待が高まったせいでさらにビビる人が増えて一時的に消費に悪影響を与えてしまうことです。いやそれ以前に、不安を増やすこと自体が悪だと思う。

そうならないためには、リストラ・失業・倒産の不安を静める方向に政府が動かなければいけません。

そういう気遣いはインフレ期待を高める政策を皆に受け入れてもらうためにも必要だと思うし、政府の方針をソフト路線に転換することは皆の将来予想を明るい方向に変化させることはインフレ期待を高める政策の効果を上げることになるはずです。 (ルーズベルトのニューディール政策は、経済的合理性が欠けていたせいで十分な効果を発揮できなかったのですが、ソフト路線への転換を印象付けることには成功しました。当時の不安定な世界情勢においてそのことには政治的に大きな意味がありました。)

結局のところ、政府はソフト路線に転換し、日銀と共に持続的な需要 (=消費+投資) を増やす可能性のある政策を何でもやるべきだと思います。政府はシバキ主義的介入の発想を明確に否定し、リストラ・失業・倒産の増加という問題に立ち向かうことを宣言し、日銀は銀行部門だけが立ち直ってもデフレから脱出できるわけではないことを認めた上で、積極的にデフレに立ち向かうことを宣言する。

要するに、今までの小泉首相や速水日銀総裁の発言が示している方向とほぼ逆向きに進めば良いわけです。 (もちろん正反対ではない。)

どうしても小泉首相じゃなきゃ嫌だという人が多いならば、小泉首相に「“構造改革なくして景気回復なし”の意味での“構造改革”とは持続的な需要を増やすような改革のことだ。やはりデフレはインフレより怖いね」とでも言わせた上で政策転換してもらえば良いと思う。個人的な意見では、政策転換をしたことをはっきりさせるためには竹中経済財政担当相を馘にした方が良いし、小泉首相は自分の周辺にいる“シバキ主義者”たちと縁を切った方が良い。でも、小泉首相は経済政策の面ではおそろしく無能なので政策転換しなければいけない理由を納得できるかな? そもそも、構造改革として何をやれば良いのか全然理解せずに首相になってしまい、内容はほとんど竹中平蔵に書いてもらったわけでしょ? そしてその内容を現在でもまともだと思っている。本人自身が確信をもてないことにリーダーシップを発揮できるとは思えない。野党もお寒い状態だと思う。

速水日銀総裁は「良い物価下落」のようなことを言い出し、「ハイパーインフレ」説のようなハルマゲドン経済論を説き、量的緩和を滅茶苦茶嫌がっていたかと思えば、最近の株価上昇 (個人的には単に下がり過ぎていたのが戻しただけに見えるが) などを理由に量的緩和の効果が出ているなどと言い出す始末。全く信用できない。

こういう方々をトップにすえなければいけないところに日本の不幸があるわけです。それでも何とかやって行かなければいけない。

個人的には方向性さえ間違えなければ方法は何でも良いと思います。頭の白い猫も黒い猫も鼠を取る猫は良い猫だ。鼠を取るふりだけをする猫はいらない。最近の“デフレ対策”という言葉の流行には騙されてはいけない。

しかし、方法にはこだわらないとしても、「デフレを終了させてマイルド・インフレ状態に持って行くこと」を明確に宣言するためにインフレ目標の設定はやはり必要だと思うし、デフレから脱出した後でどこで引き締めに入るかを前もってはっきりさせておいた方が良いという理由からもインフレ目標が設定してあった方が良いと思うし、日銀の引き締めに偏りがちな傾向を知るとインフレ目標のような縛りがないと先行きが大いに不安です。もちろん同じような効果があるなら別の方法でも構わないのですが他に有力な案は思い付かないです。

いずれにせよ、私は、インフレ期待を高める政策を実行するときには、成功の確率を増やすために政府は方針をソフト路線に転換すべきだと考えています。

5. 財政に関する話の追加

あと、これも個人的な意見なのですが、金融面でのインフレ目標のような縛りだけではなく、財政面でも「好況のときに人気取りのために減税したり無駄遣いしたりして国債の償還を先送りする」というようなことをできなくするような縛りがあって欲しいと思います。そういう縛りがないから、政治家を信用できないという理由で累積財政赤字の爆発を恐れなければいけなくなる。

そして、そういう縛りのもとでデフレ下での継続的財政規模縮小を一時的に止めて、デフレから脱出できるまで財政規模は中立を維持し、中身を変える方向の改革に集中するのが良いと思います。いずれにせよ、単に量を減らすことを目標にするのでは真の構造改革とは言えないですよね。財政出動の中身だって本当は時代に合わせて少しずつ変化して来なければいけなかったはずなのですがそうなってないことが問題なのだ。

さらに、 3/9に説明したように、財政再建が重要な問題だと本気で思っているならば、累進所得税制を弱めるような税制改正は避けるべきだ (これも小泉政権の方針に反する提案)。この提案は経済運営に関して政治家を信用できないならば財政のビルトイン・スタビライザーの機能を弱めるべきではないことからも正当化されます。

また投資機会を増やす政策は初期条件の運・不運によって貧富の差を拡大する傾向があるので、政府はお金持ちのために投資機会を増やす政策を行なう代わりに富裕層からよりたくさんの税を取ることにするのは正義にもかなっていると思います。

以上のような前提のもとで財政面で何をやれば良いかに関する具体的提案はもっとなされるべきです。デフレの話を始めると、話題が金融面に偏り過ぎてしまう欠点がある。

例えば、新美一正による認可保育園の大幅拡充働く母親への政策的支援の提案は面白いと思いました。少子化問題の緩和のためにも役に立つだろうし、政策のソフト路線転換を示すためにも役に立ちそうです。

6. 私見のまとめ


Id: #b20020313065649  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 06:56:49 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020309224634
Name: BUNTEN
Subject: Re:インフレ期待の消費への経路

金融資産から代替される実物資産が生産設備の類(言い替えれば投資増加)なら万々歳で、どビンボの私も反対する理由はないのですが、一番可能性が高いのは、希少性(きつい供給制約)があって、供給過剰で値崩れする心配の少ない資産でしょう。バブル時にその手の資産として買いあさられたのが有名な絵画とか土地などです。

どこぞの高級住宅地限定で土地を買いあさられる分には金持ち同士の陣取り合戦なので勝手にやってくれの世界ですが、生産に使える土地にまで手を出されると地代の上昇を通じて企業収益の悪化要因になりかねないようにも思います。貧乏人としては、地価独歩高=家賃高騰に繋がる策は避けて欲しいというのが正直な所ですが、控えめに言っても、企業のバランスシートを改善する資産効果と、地代の支払い増加による損益悪化効果(and/or家計悪化効果)の差を慎重に見極めながら地価コントロールを行う必要があるのではないでしょうか。
Id: #b20020313052638  (reply, thread)
Date: Wed Mar 13 05:26:38 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020312062922
Name: ひめたにし
Subject: 住宅所有でどの程度インフレヘッジできるか
 地価下落を相殺するほどのインフレ率はどの程度か、調べてみました。

 「都道府県地価調査対前年変動率の推移(国土交通省)」によれば
 http://tochi.mlit.go.jp/chika/chousa/2001/02_h12.html

 平成11〜13年度の対前年比は、住宅地に限っても、東京圏5.8〜7.3%、大
阪圏6.2〜7.5%、名古屋圏1.6〜3.4%の下げ幅です。商業地はもっと下がってい
ます。
 東京圏と大阪圏の下落幅に追いつくためには、6〜7%のインフレ率が必要です。
これはマイルドインフレとは言えませんね。このようなインフレでも、商業地の
値下がりは相殺することができません。

 ところで、地価だけを問題にしていて、上物のことを忘れているじゃないか、
と言われるかもしれませんので、建物についても考えみます。結論から言って、
日本の住宅は、インフレヘッジするための資産と考えるには、心もとないものが
あります。

 建物の価格はおおむね再取得価格で決まりますから、インフレが起これば建物
価格は上昇していくはずです。つまり、土地が値下がりしても建物は値上がりす
るんだから、住宅を持つのはインフレヘッジになるのではないか、ひいては、イ
ンフレになれば住宅購入(または建築)が促進されるのではないか、と考えるこ
とができます。
 建て主が何十年もその住宅に住むつもりならば、この考え方はほぼ正しいと思
います。問題になるのは、一定期間後に転売したり、あるいは予想外の転勤等で
急に手放す場合です。

 日本では、木造住宅の価格は10年で半額、20年でゼロになると考えられていま
す。例えば、建築費用2000万円の住宅が5年後にどうなるか考えると、4%のイン
フレが起こっているとして、再取得価格は2433万円になります。従って、中古と
なった住宅の価格は20分の5減少して1824万円となります。同様に、10年後には
1480万円、20年後にはゼロ円となります。20年後には、物価は2.2倍になってい
ます。
 資産価値はこのように減っていきますから、この住宅をインフレヘッジとして
持つ場合、何も考えなくても持つだけで安心と考えるのは早計です。持たずに賃
貸住宅で暮らす場合の家賃と比較する必要があります。住宅ローンを組んで購入
する場合は、金利負担も考えなければなりません。
 土地神話が信じられていた時代には、建物価格が減じていっても土地の値上が
り分が非常に大きかった(常に物価上昇率より高かった)ため、このようなこと
は問題にされませんでした。地価が下がっていく現在では、値下がり分までカバ
ーして家賃支払いよりもトクという住宅は、おそらく存在しないでしょう。

 日本の住宅は平均26年で建て替えられると言われます。この程度では、資産
というより耐久消費財に近いものがあります。庶民がインフレを怖がらずに生活
できるようになるためには、(それに、地価下落で大損しないためにも)、住宅
の寿命がもっと長く、評価方法も20年でゼロになったりしないようにすべきだ
と思います。

 住宅寿命が長く住宅でインフレヘッジできてる米国のお話
 http://member.nifty.ne.jp/shomenif/a_house.html

Id: #b20020312062922  (reply, thread)
Date: Tue Mar 12 06:29:22 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020311065522
Name: ひめたにし
Subject: 不動産価格下落率より高いインフレ率でなければ、意味がないのでは?(インフレ期待)
 物価全般に対するインフレターゲッティングが消費をどう回復させるのか、私
にはシナリオが見えてこないのですが、地価が上昇に転じれば消費が回復するだ
ろうということは容易に想像できます。多くの人がそう考えているのではと思い
ますが、根拠を整理してみます。

 まず、バブル以前の土地神話時代、不動産取得がどのように庶民の消費を引き
出していたか。
 独身や新婚の時代は賃貸住宅で頭金を貯め、そこそこの住宅が買えるようにな
ったら住宅ローンを組んで買う。その後は10〜15年程度を目安に、より大き
な家に買い換えていく。というのが典型パターンでした。基本的にずっとローン
を抱えることになりますが、不動産の値上がりスピードが速かったため、病気や
失業でローンが払えなくなることがあっても債務超過にはならないという安心感
がありました。

 次に、現在の不動産価格下落状況がどのように消費を冷やしているか。
 住宅を買った瞬間から値下がりが始まります。特に新築物件は中古との価格差
が大きいですから、自己資金が不十分だと、いきなり債務超過状態です。自己破
産は昨年16万件でした。(住宅ローンがらみのものがどれだけあるか知りません
が。)バブル前は1万件程度でしたから、たいへんな増え方です。
 実際に自己破産に至る人たちがいる水面下では、自己破産ぎりぎりで苦しい生
活をしている人たちが何倍、何十倍もいることが想像できます。また、余裕でロ
ーンを支払っている人だって、債務超過状態は不安ですから、繰上げ返済しよう
と考えるのは自然でしょう。消費が減るのは当然です。

 これから住宅を購入する層にとってはどうか。
 慎重な買い手なら、ローン支払い期間を通じて債務超過にはなりたくないと考
えるでしょう。そのため、頭金をできるだけ貯めてから買いたいということにな
ります。転勤などで住宅を売る可能性がある人の場合は、購入自体、相当ためら
うでしょう。
 買い替え層にとってはどうか。土地神話時代なら、無理をしてでも大きな家を
持つ方が値上がり分が大きかったわけですが、現在では、価格の高い不動産ほど
リスクも大きいです。この事実は、買い替えを控える要因になるでしょう。
 新規購入にしろ買い換えにしろ、住宅が家電製品並に、年ごとに「良いものが、
より安く」なっていく状況下では、お金は現在でなく将来使う方が価値が高いの
ですから、今使う気にならないのはごく当然です。

 また、貯蓄する目的をたずねた調査への回答では、「病気・災害への備え」が
最も多く、次いで「老後の生活資金」で、どちらも半数以上の人が挙げています。
(3つまで複数回答の調査。)
 http://www.saveinfo.or.jp/kinyu/yoron/99/99yoron6.html
 かつては、貯金を持っておくくらいなら大きな家を買って住むほうが、資産的
にも生活の楽しみのうえでも合理的だったのに、現在はそうでなくなっているこ
との表れでしょう。

 では、不動産価格が横ばいになったら(いきなり上昇はないでしょう)消費は
どう変わるか。景気は不況のまま、失業や減収の心配は続くとしてですが。
 今あるお金は、不動産に関する限り、今使っても将来使っても同じということ
になります。だったら、住宅ローンの金利は家賃と割り切って、賃貸住宅から持
ち家に、同じ持ち家でもより広いまたは便利な立地の家に住み替えた方が、生活
の質が向上します。
 債務超過の問題も、住宅が値下がりする局面よりは、かなりましになります。
それだけ頭金の金額が少なくてもよいことになり、購入を早める要因になります。
 老後のためにと貯金を持っている人たちも、お金を、より質の高い住宅に換え
て老後を送るほうが楽しいと思うのではないでしょうか。

 不動産を資産として考えながら生活している人がどのくらいの規模でいるのか、
私ははっきりした数字を知りません。首都圏だけで3000万人が住むと言われます
から、大都市圏に住む人口は日本の半分以上でしょう。少なくともこの範囲の人
たちにとっては、不動産価格は重大な関心事だと思います。
 また、バブル崩壊後の新規住宅着工件数は、年間120〜170万件が続いています。
累計では1500万件程度になるでしょう。平成12年度の国勢調査によれば、全国
の世帯数は4700万ですから、全世帯の3分の1程度はバブル後に建設された築浅
の住宅に住んでいることになりますね。これらの住宅のかなりの部分には、現在
もローンが付いているでしょう。住宅着工件数は賃貸住宅も含んでいますけど。

 地価が下げ止まれば万事解決、とは、バブル後ずーーーーーっと言われてきた
ことです。上記のように政府も期待し続けてきたのでしょう。しかし現実には地
価は下げ止まる兆しがない。インフレターゲティングするにしても、地価下落率
より高いインフレ率でなければ意味がないのではないでしょうか。その場合、3
%や4%で納まるのでしょうか?

Id: #b20020311065522  (reply, thread)
Date: Mon Mar 11 06:55:22 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020311005314
Name: ひめたにし
Subject: 消費のカギを握るのは一般庶民
 黒木さんのおっしゃるとおり、日銀は責任重大です。
 バブル時代、こんなことがいつまでも続くはずがない、最後にババを引くのは
誰だ?と言われていました。そしてバブル崩壊時点でババをつかんでいたのは、
主にバブル責任者たちだったでしょう。この時に不良債権を全部処理していれば、
責任者だけにペナルティを課すことができたはずです。(そうした方が良かった
のかどうかは私にはわかりません。)

 ところが不良債権処理は一挙にでなく小出しに行われてきました。そのため、
最初は責任者だけが持っていたババがだんだん国民の間に拡散してしまったとい
うことですね。今の時点で精算を行えば、巻き添えになる人が多すぎる。拡散さ
せてしまった日銀が悪い。
 こういうお話はよく理解できます。日銀は悪い。責任追及しましょう。

 まず、ババがなぜ国民の間に拡散したのかを振り返ってみます。最も直接的に
は、個人で株や不動産を買うことによって拡散しました。バブル後に買った人た
ちは全員、日々の労働の積み重ねで得た貴重なお金を資産デフレで失っています。
 そして、不況による収益の悪化から、バブル責任者でない企業までも不良債権
を抱えるようになり、その結果給与減や失業という形で、株も土地も買っていな
い個人まで巻き添えになっています。不況の原因としては、資産デフレが消費者
心理に与えている影響が非常に大きいと思います。(他にも色々あるでしょう
が。)だいたい、このようなプロセスだったと思います。

 では、巻き添えになった国民を救うにはどうしたらいいのか。
 日銀に賠償させたいのは山々ですが、賠償能力なんてありませんよね。では、
バブル責任者たちにババを全部返してしまいたい、これも考えますが、当然無理。
 現象としては、お金は日本国外へ流出したわけではなく、バブル前の地主さん
たちが個人金融資産として堅実に持っておられます。これを国民に分配すれば万
事解決と思うのですが、もちろん不可です。

 すると結論は、やはり景気回復で国民全体が潤うようにするしかないというこ
とですね。日銀の責任についても忘れずに言い続けながら。

 景気回復には消費回復が必要である、消費回復のためにはインフレターゲッテ
ィングが有効である、という説が本当に正しいのかどうか、私は知りたいと思っ
ています。有効な見込みが強いなら、その方向へ世論を盛り上げるために、ネッ
トや口コミで個人的に発言するくらいはしたいと思っています。
 ところが、消費者の心理をシミュレーションしてみると、インフレターゲッテ
ィングで個人が買う気になるものは不動産だけではないか、インフレ期待が起こ
っても不動産価格が下がり続けるようでは効果は疑問ではないか、そう思われて
きたのです。

 「不動産相場回復のカギを握るのは膨大な個人金融資産を持つお金持ちたち」
と書きましたが、これは、お金持ちは資産としての不動産に対して合理的な動き
をするから、お金持ちの個人金融資産が不動産へ流れるようになれば地価も底値
だろうということです。
 しかし、景気回復につながるのは消費増加であって、不動産取引ではありませ
ん。消費に対しては庶民がカギを持っています。
 日本のお金持ちは、金融資産を持っていても消費しようとは考えない堅実な方
たちです。日本においては、株などよりも金融資産として個人資産が保有されて
いる割合が高いですが、これは、個人資産を多く持つ層が、投資よりも安全に保
有し続けることを志向している表れです。つまり、このお金は基本的に消費や投
資に流れないでしょう。不動産に流れるにしても、景気が回復するまでは、新規
建築のようなリスキーなものでなく、既に収益状況が安定している物件の所有権
移転という形から始まると思われます。
 もともとは先祖伝来の土地であったことを考えればこれは当然で、日本人らし
い美徳だと思います。(先祖伝来だから、子供の教育に消費することだけは許さ
れると考えられるでしょう。こういうルートで社会階層再生産の仕組みができそ
うですが、これは別の話題。)

 とにかく地価が適正価格になればかなり展望は明るくなるのでは、と私は考え
ています。問題は、急速に適正価格へ持っていくかゆっくり持っていくかで、こ
れまではゆっくりやる方針でババを拡散させ、長期化させてしまった。だからと
いって急に急ぎ始めたら、たまたま小泉政権の時代にババをもっている人が大変
な目にあって不公平ではないか、とも思います。
 で、上記の話は、インフレターゲッティングで消費者が買う気になるものが不
動産以外にもあるならば、前提からガラガラ崩れます。そういう話があれば、た
いへん明るいと思います。

Id: #b20020311041222  (reply, thread)
Date: Mon Mar 11 04:12:22 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020310141045
URL: NCA00201@nifty.ne.jp
Name: BUNTEN
Subject: 本を買わなかったおわび
すいません、あなたの新刊二冊を買わずに図書館で借りて読みました。m(_@_;)m
(1)買いたくても年収100万台(本年の課税所得はゼロ)では下手に買えない
(2)仮に買えるだけのお金があっても本を入れる倉を建てる金はないので
  やっぱり下手に買えない。
(3)仮に倉を建てるお金があっても、倉を整理する能力がないので、司書さんに
  おまかせするのが賢明である。(^_^:)

Id: #b20020311005314  (reply, thread)
Date: Mon Mar 11 00:53:14 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020310094632
Name: くろき げん
Subject: 現在の不良債権問題はバブル崩解の問題ではない

ひめたにしさんは「超個人的感想」と断った上で「もともと現在の不良債権は、バブル期に利用価値を無視した不当な不動産取引が行われた後遺症として残っているもの」とおっしゃっています。

これは全然個人的な感想ではないのですが、その俗説は極めて怪しい。バブル崩解からもう10年です。今でも不良債権が増え続けていることは、借金の返済と金利の支払いの義務を完壁に果たせなくなっている企業が現在も増え続けていることを意味してます。現在の商売の不成功の直接の原因を10年前のバブル崩解に求めるのはおかしい。直接の原因は現在のデフレ不況の方です。

いずれにせよ、バブルの時代に後の世代に何も残さないような馬鹿な投資をした連中だけが悲惨な目に会うことには反対しませんが、そういう連中とは無縁の地道な生活を送っていた人たちまで巻き添えを食うのを放置しておくことにはとても賛成できません。

現在の日本経済の苦境は政府・日銀の失敗が最大の原因である疑いが強い。 GDPデフレータの意味でのインフレ率は (消費税率引き上げの効果を除けば) 1994年以降ずっとマイナスの値になっています。このデフレの主な原因はバブル崩解後の "too little too late" な金融政策である疑いが強いのです。

アメリカのグリーンスパンFRB議長はITバブル崩解後の去年に政策金利をかなり素早くインフレ率よりも下に引き下げました。あれと同じような政策がバブル崩解後の日本でも行なわれていたら、おそらく現在のインフレ率はプラスのままであり、抜け出すのが困難なデフレ不況の罠に陥ることは無かったに違いありません。

1980年代後半から1990年代前半にかけて、政府・日銀は、バブル膨張、バブルの潰し方、バブル崩解後の金融政策の三つの点でひどい失敗を犯しました。現在のデフレ不況の原因は、バブルの潰し方の失敗とバブル崩解後の金融政策の失敗の両方が関係しています。

バブル膨張がどのような政策の結果であるかに関する話も面白いのですが、日銀出身の三重野康第26代日銀総裁 (1989.12-1994.12) の話から始めましょう。とある評論家は三重野総裁をバブルの悪に金融引き締めという正義の鉄槌をくだした正義の味方とみなし、「平成の鬼平」と評しました。

日銀OBの石井正幸は『誰も書かなかった日本銀行』 (あっぷる出版社、 1996) において、「能力、性格ともに優れ、カリスマ性を持ち、早くから総裁の器と見られていた」三重野が日銀総裁就任した直後の時期について次のように書いています:

 たとえば、三重野総裁就任後、日銀はただちに公定歩合を引上げようとした。

 日銀では公定歩合を引上げると「勝ち」、引下げると「負け」というようにいいならわしている。待望久しいプロパー総裁誕生だけに、ご祝儀的に引き上げようと、日銀が決定、大蔵省の事務方もおおむね了解していた。

 それに対して、「俺はきいとらん」と異義を唱えたのが、橋本竜太郎大蔵大臣。現在の首相【引用者註:本の出版当時】ですね。

(石井正幸『誰も書かなかった日本銀行』92-93頁より)

「ご祝儀」だとか「勝ち」「負け」だとか、とても信じられないことです。

結局その後、三重野日銀は1990年8月までに公定歩合を一挙に6%まで引き上げました。その上、大蔵省の側は不動産関連融資規制や地価税のような強い措置を取った (現在もそのときの規制は撤廃されてない)。そして、株価は1990年後半に急速に下落し、土地価格は1991年第4四半期から下落に転じました。これが所謂「バブル崩解」の始まりです。

その後の三重野日銀の金融政策の評価に関しては、地主敏樹・黒木祥弘・宮尾龍蔵「1980年代後半以降の日本の金融政策:政策対応の遅れとその理由」 (『日本の金融危機』、三木谷良一+アダム・S・ポーゼン編、清水啓典監訳、東洋経済新報社、 2001、 115-155頁) が参考になります:

……。しかし、われわれが調べた限り、 1990年代前半期に「デフレ・ギャップ」や「負債デフレ」という表現は用いられていない。つまり、当時の日本銀行は、負債デフレのもたらしうる問題の深刻さを認識しておらず、その意味において、情勢判断に遅れがあったと解釈できる。もし1994年にさらなる金融緩和措置がとられていたとするならば、 1995年3月の異常なまでの円高を防ぐことにつながっただけでなく、その後の景気回復もより力強いものとなっていた可能性を否定できない。これが、前節 (図5-4) で示した1992〜95年の緩和政策の遅れに関する、叙述的分析からの説明論拠である。

(地主・黒木・宮尾論文、『日本の金融危機』136-137頁より)

三重野総裁下の日銀は1994年にさらなる金融緩和を実行しませんでした。結局、日銀は1995年3月の異常な円高が起きた後になってようやく金利を1%以下まで下げたに過ぎなかったのです (1994.12-1999.12の日銀総裁は大蔵省出身の松下康雄)。

上の引用中の「前節 (図5-4)」は日銀の政策金利の現実値と「良い」政策ルールにもとづいた値を比較するためのグラフです。それを見ると、バブル崩解以後、日銀は「良い」政策ルールとの比較においてかなりの引き締めぎみの金融政策を行なっていたことがわかります。

要するに、 1990年代前半の日銀は、バブルを痛みを伴う形で潰した後に、そのとばっちりを食ってしまっている無実の人たちを巻き添えにし続けるような金融政策を行なっていたということなんですね。

正直な話をすれば、私も以上のような事実を知るまで、バブル崩解によってバブル紳士たちがひどい目に会うのは当然であり、そういう連中のせいで現在の日本経済はいまだに苦境に陥っているのだと思ってました。しかし、そのような考え方は完全に間違ってました。実際にひどい目に会っていたのはバブル関係者だけではないし、経済政策の失敗が大きかったのです。

P.S.1. なお、地主・黒木・宮尾はクルーグマンによるインフレ・ターゲティングの提案には反対しています。だから、上で紹介した地主・黒木・宮尾論文はインフレ・ターゲティングに賛成な人たちのバイアスは入ってないと考えられます。個人的に不思議なことに感じられるのは、日銀の失策を指摘しておきながら、その失策の被害を回復させるための提案もしくは今後同様の失策が起きないようにするための提案を積極的にしようとしてないことです。単にインフレ・ターゲティングに強く反対しているだけに見える。一つの提案に反対することは議論の本質であるはずがない。引き締め方向に偏りがちな政策傾向をどのように是正すれば良いかが問題なのだ。だから、そのための提案を単に否定するだけの議論は好ましいとは思えない。

P.S.2. 政府・日銀の失策の「巻き添え」を食っている人たちがどのように増えて来たかにについては以前紹介した労務屋さんの「失業、自殺、犯罪」を見て下さい。その最後で労務屋さんが指摘しているように、失業者の増加を放置したままセーフティー・ネットだけを整備すれば良いという考え方は非常に危険だと思う。同じような発想は不良債権処理にも見られますよね。不良債権の増加を放置したまま不良債権処理だけ行なっても意味がない。


Id: #b20020310233638  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 23:36:38 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020310061220
Name: ブタネコ@昔話しばかり
Subject: 木村禧八郎  バーブ教の反乱

戦前の岩波新書に木村禧八郎の『インフレーション』があったが。
木村は、北海道新聞の主筆や外務省調査第二課を経て、戦後の参議院議員時代は、木村=池田の論戦が日本の国会における数少ないまともな議論だったときも。今はすっかり忘れられた。
けさ10chをつけてたら、山崎幹事長がぶっしゅの3悪に追随し、高野孟(高野実の息子)からイランとイラクを一緒にするのは宗男と加藤さんを一緒にするようなもんでしょなんて、おちょくられてたが、イギリスが日本を完全な植民地にしなかった理由として、世界史のテキストはアヘン戦争やセポイの乱をあげ、中国・インドという日本人ごのみの大国には言及するが、イラクで1848年におきたバーブ教の反乱に、大英帝国がいかに手を焼いたかなんて忘れているが、忘恩だな〜。
イラクだって、フセイン的おばかさって、ブッシュ的おばかさの双対というかグローバル化で、バクダッドは 千夜一夜物語 の文明の都だったのに。
Id: #b20020310165545  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 16:55:45 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020310120315
Name: ひめたにし
Subject: 個人個人の判断は合理的です(住宅購入)
 値下がりするのに住宅を買う庶民の行動を、不合理と言ってしまうのはおかし
かったです。自分でもあとで思いました。>やまがたさん、岡田さん
 各個人が、生活必需品としての住宅を自分達のライフサイクルで最適と判断し
た時期に買うのは生活者として合理的だし、資産としての住宅という面でも、
「購入者の支払い能力に応じて売買価格が決まる」という合理的な価格形成の過
程をそれぞれが実行しているだけですね。調整局面がやたら長いだけで。
 庶民はその取り引きを、人生を全部縛られるくらいのローンを組んで、いわば
「身体を張って」やっているのに、一方では、金融資産のうちどれだけを現物資
産で持つか経済情勢を見ながら判断できる層も存在するのは、割り切れない気持
ちです。そして、景気の流れの趨勢を変えるのは、庶民のお金ではなくて、そう
いう日和見をしている層のお金だろうという点も。
(とりあえずペイオフ解禁が迫った今は、金--キン--に流れているとか。)

 土地取引そのものは生産ではなく、上物で生産が行われるということは理解し
ています。
 問題は、その上物はいったん作られるとその土地と不可分のものになって、建
築費用と減価償却だけで評価しきれなくなる点ではないでしょうか。建物の価格
だけが独立しているなら、インフレを期待した投資家は建築費の安いうちに建て
ようとするのは間違いないです。上物についても、投資家を慎重にさせるのは不
動産価格の変動ではないかと思います。

 庶民レベルでもお金持ちレベルでも同じなのは、不動産取引はかなり消費を増
やすということですね。Lingkoさんが「仮住まいだ」と思うものだから間に合わ
せの家具にがまんしている、と言われるのはたいへん納得できます。いつか、行
き届いた作り付け収納が各部屋にあるマイホームに住みたい・・・と夢見ながら
「節約」と「収納」の研究に励む人は大勢いるのではと思います。

Id: #b20020310141045  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 14:10:45 2002
Name: リンコ
Subject: しかーーーーし!
そんなことより何より、本が売れなくては困るのなのーっ。


Id: #b20020310140012  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 14:00:12 2002
URL: http://member.nifty.ne.jp/unifedaut/
Name: Lingko
Subject: 質のよい建物と内装と家具がほしいけど、
えー、昨日はあまり本題と関係のない「障害」だの「デザイン」だの「街並み」だの
の話へ逸れてしまったリンコでございます。

建物、内装、家具の質にすんげーーーー不満をかかえながら賃貸に住んでおります。

私ね、家具には不満を持ちながら、でも買い替える(あるいは、あつらえる)気が
起きないのは、また転勤で移動するかもしれないって思うから。賃貸に住み続ける
かぎり、家具を持って移動することになるんなら、どうも今の段階で、使いよい家
具にお金を使って意味があるのかって考えてしまう。どうせだったら、家を買った
(あるいは建てた)ときに、造り付けにしちゃった方が、裏側にホコリがたまる心
配もないし、その家のサイズにぴったり合うし、なんて思って、がまんしつつがま
んしつつ暮らしてる。

転勤があるかもしれないんだから仮住まいだって思うものだから、建物の質に不満
を持ちつつ賃貸に住んでるわけで、「仮住まいだ」と思うものだから、間に合わせ
の家具にがまんしてるわけですね。

これが、転勤することになっても持ち家が転売できるかな(そして、造り付け家具
とか内装とかの造作が、転売価格に反映されるかな)と思っていれば、こんな質の悪い
住居にこんな法外な家賃払ってないで、無理してでも(あるいは広さをあきらめて
でも)家を買うと思う。あるいは、中古マンションのリフォームにお金使うと思う。

でも、中古マンションに限らず、中古住宅で、内装がどれくらい評価されるのか私
にはわからなくて不安(本当は評価されるのかもしれないが、されるとしても私は
それを知らない。単に、上物は古くなれば古くなっただけ安くなるという印象を
持っている)。

あるいは、引っ越した先でも、だいたい同じ家具が同じように場所におさまるって
わかっていれば、造り付けじゃない「置き家具」であっても、「いい家具」を買う
と思うの。

何かこう、先がわからないから先送りにしてたりする。単に情報が足りないだけか?

って、国全体の大きなこととかはあまりよく知らないので、「すてきな奥さん」と
か「オレンジページ」とかのレベルの話しか私にはできないんだけど。


Id: #b20020310124720  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 12:47:20 2002
Name: 岡田靖
Subject: 不動産購入では生産は増えない
ひめたにしさん

私が書いた、住宅建設は文字通り「上物」の話です。土地の購入は需要ではなく、
それはGDPにも入りません。お金を土地という資産に交換しただけですから。

耐久消費財や建物という資産は、再生産可能と言う点で土地とことなり、その需要
はGDPに入ります。つまり、土地の売買は(仲介に入る不動産業者の手数料部分
を除けば)雇用と関係ないですが、家を建てたり、新品の耐久消費財を買えば、生
産に必要な雇用が増加します。

もちろん地価が上がれば、不良債権問題は改善しますが、地価が土地の上で行われ
る経済活動による収益から妥当な水準になる形で上昇しなければ、その価格は長持
ちしません。需要の増加と景気の回復が、そうした土地の収益性を改善するわけで
す。今の地価が十分下がっているかどうかは、この部分を無視しては意味がありま
せん。

山形さんの例で言えば、資産としてパソコンを買うのは合理的かどうか怪しいが、
パソコンを買って技能を身につけたり、その利用から得られる楽しみをどう評価
するかで、値下がりが分かっているパソコンでも買う理由は十分あります。これ
は土地の場合も同じです。子供に広い勉強部屋を用意してやりたいとか、郊外の
環境の良い場所に住みたいとかいう理由と、地価の下落予想がバランスしてれば
土地を買うのは(個々人のベースでは)非合理的ではない。

ただし、生なかの景気回復では地価が上昇しないと言う判断があるなら、借地権
制度や遊休地への課税などで、土地を買わないでも上物への投資を増やせる制度
を考えるべきでしょう。

Id: #b20020310120315  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 12:03:15 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020310094632
Name: やまがた
Subject: 不動産だけ特別扱いしなくても。
うーん、別にいま土地や家を買う「庶民」が不合理だなんてことは言えません。

パソコンだって性能はあがるし値段は下がり続けますが、人はそれを買います。
でもそれは不合理ではないわけです。金持ちは別にパソコンの長期的価格水準を
予想して買い控えたりはしません。

不動産だけ特別扱いする理由はないと思います。

Id: #b20020310094632  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 09:46:32 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020309224634
Name: ひめたにし
Subject: 地価はいつになったら調整される?
 岡田さんのお話からも、要するに不動産価格がインフレにならなければ「金融
資産から実物資産への代替」は起こらないように思えます。そして、カギを握っ
ているのは、限度額ぎりぎりまでローンを組んで精一杯のマイホームを購入する
庶民ではなく、金融資産を一杯持っていて運用先をじっくり考えているお金持ち
ではないかと思われます。

 人口の5〜10%しかいないその富裕層は80年代以降に増えたとのことです
から、その人たちがお金持ちになった理由は簡単に推測できます。おそらく、都
市近郊の農地等を保有していて宅地として売却した地主さんたちですね。

 クルーグマンは、不動産相場の調整が小麦相場の調整より時間がかかる理由を
考察しています。小麦相場は合理的な仕組みによって瞬時に動くけれど、不動産
相場は不合理な要因が絡むために調整が遅いのだそうです。
 http://www.post1.com/home/hiyori13/krugman/krugre.html
 マサチューセッツで住宅価格の下落が起きたとき、適正な相場に調整するまで
に3年かかったとのことです。日本では12年かかってもまだ調整されていません。

 地価は下がり続けているのに、なぜ庶民は住宅を購入するのでしょうか?私が
耳にする範囲では「もう底値だと思うから」「うちでも買える値段になったから」
というあたりが理由です。とにかく欲しいから、自分の経済状況で買える状況に
なったら買う、という、適正価格を探る合理性とは程遠い判断が働いているよう
です。一度買うだけならまだわかりますが、この間に買い替えまでしている人も
います。「最初に買ったときよりも安い価格でもっと広い家が買えるから」とい
う理由です。(当然大きな売却損を出している上、現在の住宅も価格下落中。)

 お金持ちの場合は、じっくり長期の価格動向を見てから買うわけですね。
 私がお金持ちだとしたら、どうするでしょうか?インフレ期待が生じた場合・・・

 諸物価は上がり始めても地価が下落トレンドのままだとしたら、当然不動産を
買ったりはしません。金融資産のまま持っておくほうがましです。資産の一部を
外貨に換えるでしょう。
 諸物価が上がり始めて、地価だけが横ばいなら?この場合は、土地を賃貸住宅
・工場・オフィスビル等として運用した場合の利回りを試算した上で決めるでし
ょう。採算がマイナスになるようでは、やはり金融資産のほうがましです。更地
で持っておくのは固定資産税だけかかりますから論外です。

 要するにお金持ちは、全般にインフレだからと不動産を買ったりせず、不動産
価格がインフレかどうかだけを見て決めるのでは?(あと、景気動向が土地の収
益率に影響しますが、景気は悪いという前提ですから。)
 お金持ちの方たちが、現物資産に価値ありと判断して投資を始める時から、地
価が上昇に転じ、庶民も住宅を買ったり買い替えたりしやすくなり、消費も増え
ていくのではないでしょうか?
 地価が下がるところまで下がるのが肝要という気がします。けれども、あまり
に早急に下がるとローン破産や倒産が増えるからほどほどに・・・というのが今
までの政権で、それではいかんと急ぎ始めたのが小泉内閣という気がします。

 超個人的感想ですが、もともと現在の不良債権は、バブル期に利用価値を無視
した不当な不動産取引が行われた後遺症として残っているものですから、バブル
で不当なトクをした人たちが不当なソンをした人たちに返還すれば丸く収まるの
ではと思います。土地を売ったお金を貯め込んでいるお金持ちが、不良債権を抱
えた企業にお金を返したら理にかなっているのでは。(私有財産権を無視した暴
論です。)
 現実には、不良債権は銀行に移転され、銀行は公的資金の注入を受けて、不当
なソンを国民全体で分配することになるでしょう。

Id: #b20020310061220  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 06:12:20 2002
Name: くろき げん
Subject: 昭和恐慌の時代の議論の孫引き

「インフレ期待の消費への経路」という難しい話とは直接には関係ないのですが、長幸男著『昭和恐慌――日本ファシズム前夜』岩波現代文庫S40にある昭和恐慌の時代の経済論議に関する引用が非常に印象的だったので紹介します。文体さえ変えれば現代の日本における議論のようだ。

次は昭和恐慌前夜の1929年頃に書かれた文章なのですが、文体を除けばつい最近書かれたものかと見間違うくらい現代の言説にそっくりです。

「之を国際的に考えるとなお一層日本の物価水準は高く外国のそれは比較的安い。この状況を一言にして言って見れば、生産費が割高で市場がないのである。それでいて技倆もあり資本もあり労働力もありあまっている日本の事業が振わないのだ。かくて今や受難の財界はなお一般に不景気の急に恢復しまじきを予想しているものの如くである。そしてこの苦境をまぬかえ得る方法は二つであるとしている。曰く、市場を開拓すること、曰く、生産費を低落せしめること。海外へ! 資本と商品と人間とを。事業の能率を増進せよ! 資本の合同と事業の統一、商品の生産制限と売価の協定、労働の節約と賃金の値下げ、之が現代の日本社会の発しつつある最も大にして最も力強き声である。」

(大内兵衛東大教授が「金輸出禁止史論」でまとめた当時の流れの記述を長幸男『昭和恐慌』岩波現代文庫S40の156頁から孫引き)

そして、当時は金解禁論の力があまりにも強かったので、調整を為替レートを通して行なうのではなく、国内の物価下落によって行なおうとしました。その結果が昭和大恐慌です。

次は1931〜1932年頃のインフレ論に関する論争です。これもまた文体を変えて、「金輸出再禁止論」を現代の対応する主張のどれかに置き換えれば、最近行なわれた議論だと言っても通ってしまいそうだ。昭和恐慌下の日本は旧平価による金解禁のせいでひどいデフレになってました。

1.「(『東洋経済新報』の) 再禁止論が景気建直し策であったということは、それ自身、再禁止論が経済危機の混乱から生れた一つの泡ぶくであり、そして、為替相場の暴落=新平価による輸出商品の価格昂騰と債務の切捨てとをもって景気立直りを招来しようとするそのイデオロギーは、いうまでもなく、金融資本のデフレーション政策の下で四苦八苦の態をつづけた弱小資本の悲鳴であるに過ぎない。」

(笠信太郎 (大原社研研究員、マルクス主義貨幣理論家) によるインフレ論批判を長幸男『昭和恐慌』岩波現代文庫S40の163頁から孫引き)

2.「一切の商品の価格が五割ずつ騰貴したとするなら、その結果はどうなるか? そのための大衆の消費力が増加するであろうか? そんなことはありえない。一切の生活必要品の価格が五割ずつ増加したと同時に、労賃 (労働力という商品の価格) も同じように五割騰貴したとするならば……一切の商品の価格は呼称の上では五割ずつ増加したが、変化はただそれだけのことで、社会の生産力と消費力との不均衡はこれがため少しも改善されぬであろう。」

「だが実際においては、物価は一率に騰貴するものではない。吾々がもし売買される総ての諸商品を、 (一) 労働力と (二) それ以外の諸商品との二大範疇に分かつならば、言うまでもなく労働力の価格 (労賃) の騰貴は、それ以外の諸商品の価格騰貴に後れることを常とする。だから吾々は、次に事態をその通りに仮定して見よう。結果はどうなるか? それは一般物価に変動なくしてただ労賃のい引下げられたのと同じことである。社会総生産物に対する労働者階級の分前は減少する。従って大衆の消費力はただに増加せざるのみか、却て減少する。過剰生産はこれによって毫も救われはしない。」

(河上肇 (1928年に京大教授を辞任したマルクス主義研究者) によるインフレ論批判を長幸男『昭和恐慌』岩波現代文庫S40の183-184頁から孫引き)

3.「博士は、其物価騰貴と言う事を、何処から持ち込んで来たのであるか。物価は、唯だ通貨を増加したとて、誰れかが其通貨を購買力として働かさねば騰貴するものではない。博士の考えには、それが抜けている。而して唯だ物価が、前提なしに突然と騰貴し、同時に労賃が同率に上ったり、或は上がらなかったりする場合を仮定するから、右記の如き議論が出て来るのである。が事実は……物価は如何なる場合にも、購買力の増加 (厳格に言えば、生産に比較して相対的に増加) なしには上らない。故に博士が、労賃の騰貴又は不騰貴と同時に仮定した物価騰貴には、既に何処からか、物資に対する購買力の働いていることを前提しているのである。前提しなくては、左様の仮定は現れて来ぬのである。然らばそれは何処から働いて来たのか。」

「先ず想像せらるる一つ (殊に河上博士の説く如く……生活必要品の価格の騰貴である場合に於て) は、……インフレーションの作用に依りて企業が刺戟せられ、従って産業界に於ける労働者の被傭数が殖え――或は労働者の仕事高が殖え――為めに河上博士の仮定の如く個々の労働者の労賃は騰貴せず、或は物価と同率の騰貴であるに拘らず、労働階級総体の所得が増加したのであろうと言うことである。之は、今日の如き失業操短時代から企業の活動を回復する場合には必ず起る現象である。」

(石橋湛山 (『東洋経済新報』主幹) による河上への反論を長幸男『昭和恐慌』岩波現代文庫S40の183-184頁から孫引き)

このような論争になればもちろん私は石橋湛山を応援する立場に立ちます。当時の日本にも優れた人物がたくさんいて自説を明僚に主張していたのですが、現実の歴史は悲惨な道を歩むことになってしまったのだ。

難しいのは、誰がまともなことを言っているかを判断し、それを政策として実現すること。おそらくこれは永遠の難問。完壁な判断と実現は全く不可能でも方向性だけは間違わないようにしたい。現代の方が当時より経済に関する知識は圧倒的に増えているし、そのおかげで有能な人も増えているし、政治的にも戦争に突入するということは考えられないので、現代の日本は当時よりも圧倒的に良い状況だと思う。これで何とかできなかったらおかしい。

デフレで苦しんでいる企業の悲鳴は「弱小資本の悲鳴であるに過ぎない」という笠信太郎の主張にそっくりな考え方を述べる人は現代でもいますよね。政治的右派だけではなく左派の一部まで「弱小資本の悲鳴」は無視すべきだという発想をしているのは現代も同じ。

しかし、次の河上肇によるインフレ論批判は真面目に反論する価値がある。デフレを終了させてインフレに転じた方が良いという主張が説得力を持つためには、最低でもデフレがインフレに転じるときに皆の実質収入の平均値が増加することを示さなければいけません。 (分配の問題も重要だが、最低限の要求として平均値は改善される必要がある。) 石橋はその理屈を色々説明しようとしているわけです。

1970年代のオイル・ショックのときのインフレの場合と違って、石橋および我々の場合には何らかの形で国内企業向けの需要が増えなければインフレは起こらないと考えて良い。国内企業向けの需要が増えれば、たとえインフレ率がプラスになっても、皆の実質収入の平均値は増加するはずなのだ。そのための手段が金融緩和。


Id: #b20020310055401  (reply, thread)
Date: Sun Mar 10 05:54:01 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020309212848
Name: くろき げん
Subject: インフレ期待が高まったならばどうするか?

たとえばの話として、クルーグマンが日銀総裁になって、大金融緩和を行なうことを公約し、中央公論のインタビューにあったように「1ドル160円を目指す」てなことを言い出したら、欲しい洋書を買い急ぐかもしれないです。

インフレ・ターゲティングを採用した後の為替レートの変化がどのようになるかは予想できませんが、おそらく円安に向かうだろうし、そうならなくてもぼくの場合はドルの形で金融資産を保有しておいても大きく損する可能性は少ない。

為替レートの問題を無視すれば買い急ぎたいものは思い付かないのですが、インフレ期待が本当に高まったならばインフレ・ヘッジについて今より真面目に考えなければいけなくなるのは事実。でも、インフレ・ヘッジの方法について現在は無知なままなのでどうしたもんかな。ゴミ投資家シリーズでも読むかな。個人的に気を使い続けなければいけない方法はパスしたいのだが。

ドルを買う人が増えれば円安になるし、株を買う人が増えれば株価が上昇することになる。


Id: #b20020309224634  (reply, thread)
Date: Sat Mar 09 22:46:34 2002
Name: 岡田靖
Subject: インフレ期待の消費への経路
インフレ期待が消費にどのように影響するかは、優れて実証的な問題です。70年
代の大インフレ期の日本では、インフレによる金融資産の目減りをくい止めるため
に、それまで以上に貯蓄を増やす行動が生じていました。今日でも、この経験を理
由にしてインフレターゲットの有効性に否定的な意見が多いと思われます。

しかし、同時期のアメリカは、逆に消費を増やしています。つまり、インフレが消
費にどのような影響を与えるかは自明なものではありません。

この日米の差はどこからでてくるのか?容易に想像が付くのは消費者金融の発達の
程度です。インフレ期待から期待実質金利が低下したとき、もしも消費者ローンが
容易に借り入れられるなら、今のうちに消費を増やそうという行動にでるのは合理
的です。ことに耐久財(含む住宅)への支出を増やすことは間違いありません。当
時の日本では住宅ローンの仕組みも未整備(銀行は産業金融で十分利益を上げてお
り面倒な消費者向け貸出には熱心ではありませんでした。これがちょうどこの時期
に住専を作るように銀行が政府から指導された理由です)だったのです。

さらに、資産の蓄積水準の差という事実があります。例えば100万円の貯金では
インフレヘッジに家を建てるなど出来ませんが、3000万円あれば個人としての
最強のインフレヘッジは自宅の建設でしょう。事実、全体としては消費水準が低下
した日本でも、所得階層の上位の家計は消費を増やしています。この事実は、所得
の多寡と言うより、そうした家計の資産保有額の多かった事の現れでしょう。

加えて、資産の分配が著しく不平等なことがあげられます。ご承知のように個人金
融資産は1400兆円くらいあります。これは、日本中の赤ん坊まで含めて、一人
が1000万円以上を保有していることを意味します。純額だと随分減りますが、
それにしても普通の感覚とは随分違う。恐らく、前金融資産の半分は上位5%か、
10%の富裕層に保有されているのです。こういう人々がマイルドでも長期に続く
インフレを確信したときには、所得からの支出割合の引き上げではなく、金融資産
から実物資産への代替を開始するのは、間違いないことであると思われます。そし
て、こうした富裕層が増えたのは80年代以降の事であり、インフレ期待の消費に
対する効果も、70年代初めの大インフレ期とは異なってくる可能性が高い理由な
のです。

金持ちだけがインフレヘッジ出来て不公平だという感じを持たれる方も多いでしょ
う。しかし、高橋是清の書いたように「たとえ待合いでの散財も」消費が増加すれ
ば、働く人にとっての雇用機会の拡大と、所得の増加が見込まれるのです。

Id: #b20020309212848  (reply, thread)
Date: Sat Mar 09 21:28:48 2002
In-Reply-To: b0037.html#b20020309033530
Name: ひめたにし
Subject: インフレ期待で買い急ぐモノは?
 黒木さんの収支状況は、なかなか堅実なようですね。
 「インフレ期待」が起こったら、買う時期を早めるものが何かありますか?
「ハードディスクに連続24時間録画できる機器」については、価格よりも性能が
ネックで様子見のようですね。

 「インフレ誘導策で景気が回復するか?」について議論は出尽くしたと思って
いましたが、地価の話になったら新たな疑問が出てきました。
 インフレ期待で消費が増える物って、具体的に何なんでしょうか。

 1 インフレ「期待」があるだけで買う気になる物
 2 実際にインフレが始まったら買う気になる物
 3 インフレが始まっても余分に買う気にならない物
 4 インフレが始まったら買い控える物

 1にあたるものって、不動産以外に私は思いつきません。
 2は確かにあります。大型家電製品や自動車、パック旅行、住宅のリフォーム
等です。「来月から値上げする予定です」と言われたら、今のうちにと買う気に
なる人も多いでしょう。けれども、各社値下げ競争をしている時代に、率先して
値上げを予告するような自動車会社や旅行会社があるでしょうか?
 3は、ほとんどの生活必需品が該当するでしょう。食料品や日用品など、価格
に関係なく必要量を買うしかありません。
 4は結構多いと思います。今まで買っていたものの中で必要度の低いものにつ
いて、値段が上がったからやめるとか、生活必需品だけどワンランク落として、
霜降り肉でなく普通の肉を買うとかです。

 このように考えると、物価全般を上げるインフレ誘導を行っても消費が回復す
るのか、かなり疑問になります。

 婦人雑誌の記事はこうなるでしょうか?
 「さあインフレがやって来る!今のうちに買っておきたいモノ・チェックリス
ト」「貯金は目減りする時代−−ほしいモノはほしい時に−−」

 私はむしろ、こういう記事が多くなるような気がします。
 「インフレなんかに負けないゾッ!まだあった、究極のやりくり術」「あきら
めないで良かった−−インフレ時代に念願のマイホームを実現したAさんの場合
−−」

 景気回復に最も効果的なのは、4に該当する物の値段は上げず、1(つまり地
価)だけについてインフレ期待を作り出すことでしょう。ところがこれは、クル
ーグマンに言われるまでもなく、まさに政府がこの12年間試み続け、あらゆる手
を使ったのに実現できていないことです。

 どうなんでしょう?インフレターゲッティングで、本当に消費は上向くのでし
ょうか?

Id: #b20020309133125  (reply, thread)
Date: Sat Mar 09 13:31:25 2002
In-Reply-To: b0038.html#b20020309131935
Name: リンコ
Subject: あれれれ。
私、「大変さ」を4つ書いといて、それが「その3」までになってますよね。

その2が「1つめ」になっちゃってるんだな。失礼。

Id: #b20020309131935  (reply, thread)
Date: Sat Mar 09 13:19:35 2002
In-Reply-To: b0037.html#b20020308200308
URL: http://member.nifty.ne.jp/unifedaut/
Name: Lingko@子どものころは異食経験者
Subject: 黄色は味がいまいち(って、チョークは食ったことがない)
>問題を指摘する能力を持った人が実際にそうし易くなる環境を整えることは非常に
>重要なことだと思う (もちろんそれは非常に大変)。

の件。

非常に大変は大変なんだけど、「大変」にもいろんな種類があって。

まず、(不利な条件をかかえながら、合ってない道具を使って)仕事して、(不利
な条件をかかえながら、合ってない空間で、合ってない道具を使って)生活して、
さらにその余暇の時間ってなると、「回復すること」が第一の仕事なわけで、その
時間を割いて「指摘する」っていうコスト面の大変さ。

これは、ボランティア枠でやんないで、むりやり「仕事」として組み込んじゃうこ
とでクリアできるのかもしれない。少なくとも、私みたいにフリーで働いてる人間
は。記事にして原稿料もぎとっちゃうとか。お金のことっていうより、オフィシャ
ルにスケジュールに組み込んでしまわないと動けない(この掲示板にこういう書き
っ放しみたいなルースな形式の書き込みをする程度でも気力や体力を使ってるわけ
だし、きちんと始めがあり終わりがありまとまりのある形のものを書こうと思った
ら、片手間の作業として位置づけたんじゃ、いつまでたっても取りかかれない)。

で、私が経験してるもう一つの「大変」さは、街を歩き回っても、「カナリア」と
しての役割と、観察者としての役割を一人二役はやれないってこと。

これは自宅の構造化に関しても同じことで、いくらTEACCHの講演会や何かで自閉者
施設の内装や表示を見て、「うわー、これなら私でも混乱せずに食器がしまえそう!」
と感動したって、あるいは、いくら自閉児育ててる親御さんのページで歯磨きの手
順表を見て、「わー、これなら私でも途中でどこ磨いてるかわからなくならないかも!」
と感動したって、自宅で同じことを真似しようとすると行動に移せないのと同じ。
施設入所者と施設職員(営繕係さん?)あるいは出入りの内装業者や大工さんとを
一人で兼任しようとしてるんだから。自閉児と親御さんと、時には作業療法士さん
や、特殊学級の担任の先生とを一人で兼任しようとしてるんだから。そりゃできな
いのはしょうがないってもんです。

街の表示や何かのチェックもそれと同じで、被験者と観察者・記録者を兼任しよう
とするとやっぱり無理がある。わかりづらい表示に迷ってパニクりかけてるときっ
てのは、何よりも自分の心身の平衡を守ること(あまりひどいけがをするほどの自
傷行為をしないとか、心配した通行人に警察を呼ばれてしまうことにならないとか)
が優先になっちゃうし、ひどい場合はその場面での記憶があとで飛んでることもあ
ったりして。

だから、一人二役をやんなくて済むようにしようと思ったら、TEACCHのことを知っ
てる療育関係者とか、それか、感覚過敏のことをよぅく知ってる作業療法士さんと
か、養護学校の教諭でもいいや、自閉っ子の親御さんとか、なんかそういった人
(それも、事前に仲良くなって、気心知れてないとダメだけど)と弥次喜多道中す
るのが一番現実的だと思うの。これ、マジで仕事としてちゃんとやってみたい。
原稿の有償無償は関係なく、きっちり他人を巻きこんで、形として作品にするって
意味でね。で、療育雑誌でもいい、療育サイトでもいい、建築雑誌でもいい、どん
なとこがいいんだろう、ちゃんと人の目に届くところに置きたい。

あ、何か話が「大変さ」から離れて行っちゃった。ごめんなさい。いまのが、大変
さその1ね。

もう一つ、別の「大変さ」は、自閉児・者にとっての「わかりにくさ」「使いにく
さ」「迷いやすさ」(LDでもADHDでも同じだと思うけど)は、その場ですぐ
に観察しにくいって点です。

ある空間が車椅子ユーザーにとって移動しやすいかどうかは、「この段差は越えら
れまへんわ」とか、「この幅では方向転換できまへんわ」とか、即わかることが多
いと思うの。でも、松葉杖だと、「何とか通れるけどだんだん疲労がたまる」とか
いうのがありますよね? 自閉やLDやADHDの人にとっての「わかりにくさ」
「見にくさ」「覚えにくさ」にも、それと近いところがあると思うの。その場では
無理をして何とかなるんだけど、たまっていくストレスの総和が問題になることが
多いから、見てすぐにわからない。遅延反応が多いから、答えがその場で出ない。
これを解決するには、ゆっくりと回復してから振り返り、アトヂエを働かせる必要
があるってことですね。私のように「記憶の保持」に問題がある人間にとっては、
いろんな道具(記録エイド)と、やっぱりパートナーが必要ですねー。

これが2つ目。

3つめも、やっぱり「見てすぐにわからない」ことだけど、頭の中のことだから、
外から観察できないでしょう。

自分でも、どんな要素が疲労をよび、認知機能の低下や、最悪の場合はパニックに
結びつくのかは、いろんな場面を分解したりしながら抽出して、パターンに名前を
つけて、ってことをしていかないとわからない。

自分でも、どんな要素があると「わかりづらい」のかが、分析しないとわからない。
でも、分析したら、意外に単純な要素6つか7つくらいの組み合わせのような気が
するんですよ、自分では。

これが3つめ。

でも、やってみる値打ちのあることだとは思ってるんです。かなり本気。意欲的(笑)。











Id: #b20020309104301  (reply, thread)
Date: Sat Mar 09 10:43:01 2002
Name: くろき げん
Subject: 最近話題の“税制改革”について

例によって以下のような話が話題になってますね:

  1. 低所得者への所得増税 (課税最低限の引き下げ)
  2. 高所得者への所得減税 (最高税率の引き下げ、累進所得税制のフラット化)
  3. 消費税の増税

しかも、課税最低限の引き下げと高所得者への所得減税の組み合わせが、一部で“デフレ対策”になるという意見が出ていると報道されてませんか? 官邸もマスコミもデフレはやばいやばいと言うようになりましたが、その中身は滅茶苦茶。

累進所得税制のフラット化は次の二つの考え方を根拠に主張されているようです:

(A)は“平等”に関する価値観によるので最終的には選挙で有権者の判断を仰ぐべきことだと思う。

(B)は事実に関する主張です。そして、“デフレ対策”もしくは“景気対策”として高所得者への所得減税を主張する人は、 (B)の効果のおかげで有能な人たちがやる気を出せば経済が活性化すると考えているのでしょう。

それは本当か? 八田達夫「財政再建のための税制改革」 (『エコノミックス3』、東洋経済新報社、 50-63頁) には次のように書いてあります:

女性と若年者と高齢者の労働供給に関しては、税率が強い影響力をもつが、働き盛りの男性に関しては、税率はほとんど、【労働】供給の阻害効果を持たないという実証研究が昔からよく知られている。さらに、最近のアメリカの実証研究は、レーガン減税が、 (サプライサイダーたちの勝手の主張に反して) 中高所得者の労働供給の増加はもたらさなかったという点で一致している。とくに、高所得者の個票データを用いた諸研究で、大幅な所得減税は、彼らの労働供給を促さなかったことがわかっている (すぐれたサーベイとして国枝[一九九九]参照)。レーガン減税は、ケインズ的な理由で好景気をもたらしたにすぎないのである。

(『エコノミックス3』60-61頁より、強調は引用者による)

ここで、国枝[一九九九]は、国枝繁樹「サプライサイド減税再考」 (『国際税制研究』第3号、 103-125頁) です。“景気対策”として高所得者への所得減税を主張するのはどうもナンセンスなようです。

あと、累進所得税制にはビルトイン・スタビライザーの機能があるんですね。累進所得税制は、不況の苦しいときには減税になり、好況になり景気が加熱し過ぎると困る状況下では自然に税収を増やします。 1990年代にアメリカが財政再建に成功したのは、好況を維持できたことと、累進所得税制のビルトイン・スタビライザーが十分に効いたからなんですね。これとは対照的に消費税は不況になっても安定して税収が得られるので、財政のビルトイン・スタビライザーの機能を弱めることになる。

日本の政治はどうだったかと言えばもう滅茶苦茶です。好況のときにも所得減税した上に国債を償還せずに無駄遣いしてしまう。

個人的な意見では、金融政策面でインフレ・ターゲティングを採用するだけではなく、財政政策面のビルトイン・スタビライザーをもっと強化して欲しいのだ。まず、消費税を減らして、所得税を増やして欲しい。

そして、次の大好況期が日本にいつやって来るのか知りませんが、そのときには減税したり、無駄遣いしたりせずに、きっちり国債の償還をやってもらいたい。政治には詳しくないのでどういう方法があるのか知りませんが、好況時にはそうせざるを得ない制度を採用してもらいたいです。 (やっている国はないの?)

そういう制度の採用は将来を予想し易くする点も見逃せないと思う。

そうそう、あと税の公平性を高めるためには、所得の補足率を上げるべきだと思います。今の税制への不満の多くは所得の上での「見せかけの弱者」を作ってしまっていることに向いています。それが不満なら所得の補足率を上げる制度を採用するのが正攻法です。所得の補足率が十分に上がれば、政府は真の弱者だけを救済すれば良くなるので支出を減らすことができるという利点もある。

税の公平性を上げるために所得税を減らして消費税を増やすというような発想は邪道だと思う。八田は、消費税制は今のままでは益税の問題があるのでむしろ公平性を損ねており、公平性を上げるためには結局のところ膨大なコストをかけなければいけないことを指摘しています。

P.S. 個人的には正論を述べているつもりなのですが、同じような意見を表明している人ってあまり見掛けないのだ。


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管理者: 黒木 玄  <kuroki@math.tohoku.ac.jp>  (Web Site)
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