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黒木のなんでも掲示板 (0051)

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Id: #a19991111015028  (reply, thread)
Date: Thu Nov 11 01:50:28 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991108153927
URL: t-ono@tb3.so-net.ne.jp
Name: Axe
Subject: ローティと左翼
いなば様はじめまして、Axe と申します。
ローティの左翼「健全化」本というと、Achieving our country というのを
昔読んだことがあります。Cultural Left(文化左翼)に対抗してプラグマテ
ィズムに基づいたReformist Left(修正左翼?なんて訳すのだろう)を称揚
する本です。文化左翼のことはよく知らないのですが、ローティーの対象を徹
底的にこき下ろす筆致が痛快で、一気に読んでしまいました。

たしかこのAchieving our country にはサイエンスウォーズの話とかは
無かったと記憶しているので、あんまり関係ないかもしれませんが.....

今の左翼は、文化研究ばかりやっていて経済問題などに対する構想を練ったり
提言を行ったりすることをやめてしまった、もっと現実の問題にとりくまなきゃ
だめだ、というのが基本的な論点なのですが、かといって、そこでローティが
出している経済の議論が「現実的」かというとそうとも思えない。他国からの
輸入によってアメリカの雇用が大幅に奪われてしまったのだからどうにかしな
くては、といった感じのアジっぽい俗な議論で、なんだかこれじゃどっちも
どっちではないのか、という感想を抱きました。

乱文失礼

Id: #a19991111003534  (reply, thread)
Date: Thu Nov 11 00:35:34 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991101123512
Name: 山下ノボル
Subject: ご心配なく

きくちさん
 そういう意味では受け取ってませんのでご心配なく。

 ついでといってはなんですが、大学の数値計算の講義でシンプレクティックについて語られるのはいつ頃から普通になったのでしょうか?
 あるいは、まきのさん、きくちさんは講義内容に採り入れてますが、まだあたりまえではないのでしょうか?
 数理科学(95年6月号)の記事からみると、95年半ばの時点では、まだまだ普通ではなかったように見えます。(最新の学問上の成果が整理されて、一般化されるのにどのぐらいかかるのだろうかという興味です。深い意味はありません)

Id: #a19991110125944  (reply, thread)
Date: Wed Nov 10 12:59:44 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991109024655
Name: 鴨 浩靖
Subject: 敬称

では、私は、
日本語として間違っていなければ可
とします。したがって、「先生」も可とします。他に、「ちゃん」「君」「さん」「様」「殿」すべて可です。

「陛下」は不可です。日本語の用法として、「陛下」は君主と君主の配偶者と先君主の配偶者にしか使えないことになっていて、私はそのいずれでもないからです。同様に、私は君主の親族ではないので「殿下」も不可です。宗教関係者でもないので、「猊下」も不可です。

「閣下」は、官吏に使うものなので、推奨されませんが、私は公務員なので、日本語として間違いとまではいえません。ただし、名前のすぐあとに「閣下」をつづけることは、日本語として不自然ですので、どうしても「閣下」を使いたい方は、「文部教官閣下」または「鴨浩靖文部教官助手閣下」にしてください。推奨はしません。


Id: #a19991109165346  (reply, thread)
Date: Tue Nov 09 16:53:46 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991109135237
Name: たざき
Subject: まいどあり〜

きくちさま、(「さま」は禁止されてないんだっけ?)

どうも。 出版社にも連絡しておきます。 お知り合いで使ってくれそうな方がいたら宣伝してください。 (営業活動。) ともかく、 いくつかの大学で指定してもらえることになってきたので、嬉しい限り。 今は、さいごの仕上げで、演習問題の解答をつくっているところです。 (解かずにすまそうと思ったけれど、それは許されないみたい。)

菊地さんの本の話は、耳にしていました。 来年は、佐々さんの熱力学の本も出るはずだし、 ちょっとずつですが、景色が変わっていきそうで、うれしい。


Id: #a19991109135237  (reply, thread)
Date: Tue Nov 09 13:52:37 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991106152635
Name: きくちまこと
たざきさま

おお、遂に出版ですね。喜ばしい。僕は草稿を送っていただいたのに、ほとんど役に
立てなかったので、ちょっと心苦しい。

たぶん来年も共通教育の熱力学を教えることになるので、参考書には間違いなく
指定するでしょう。教科書にしちゃうかどうか、実は悩みどころ。
基礎工学部の共通教育だからなあ。あんまり革命的(^^)じゃないのが求められる
かなあ。
#というか、実は今まで教科書というものを使ったことがない。

実は別口で"熱力学&統計力学"の教科書を"来年前半までに"書くことになってるん
ですが(まだ頭の中でああでもないこうでもないと考えているだけで、文章は
書き初めていない)、うーーん、田崎本が出てしまうとなると、この世界にあえて
新たな一冊を加え、さらにその存在意義を見出すには、普通を究めるしかないのか
なあ。悩ましいところだね。
#今はプランクの"Treatise"をつらつらと眺めているところ。




Id: #a19991109124826  (reply, thread)
Date: Tue Nov 09 12:48:26 1999
Name: こなみ
Subject: 「買ってはいけない」騒動も下火になりかかっているけど

鹿砦社 から,「買ってはいけない」批評本 が今月10日(明日だ)に出されるそうです。私が書いた批判ページも勝手に使っていいと 通告しておいたもので,なんか知らんけど使われているようです。原稿だったら印税もらえたのになあ。
Id: #a19991109025006  (reply, thread)
Date: Tue Nov 09 02:50:06 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991108224544
Name: 河本孝之
Subject: うむむむむ、どうしましょう山形先生

・・・いつぞやの書き込みで、私は「自分が直接教えてもらった人しか『先生』と呼ばない」といったことを書いたと思うのですが、なるほどよく考えてみればこの方針はいささか怪しいかもしれません。なぜなら「では自分が読んだ書物の著者が大学などの教師である場合に、いくら直接教えてもらっていないからといって敬意を払わなくてよいのか」と言えるからです。同様に、直接教えてもらっていなくても敬意を払うべき方はそれぞれおられて当然でしょう。
そこで、上記の方針を撤回してより多くの方に対して「先生」という呼称を使うことにしても、敬意を払うのにわざわざ職業を連想する呼称を使わなくてもよい、ということは言えそうです。
さりとて、この掲示板においてであっても、例えば自分の指導教官を「〜さん」と呼ぶのには抵抗があります、こういう場合はやはり「〜氏」が適当でしょうか。確かにまったく呼称なしというのもありですが、論文ならともかくまだそれは私の用法として受け入れられないです。

Id: #a19991109024655  (reply, thread)
Date: Tue Nov 09 02:46:55 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991108224544
Name: くろき げん
Subject: 例外規定

色々希望があるようなので、以下の例外規定を付け加えておきました。

例外規定


Id: #a19991108224544  (reply, thread)
Date: Mon Nov 08 22:45:44 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991108101931
Name: 山形
Subject: ルール例外きてい

ただし例外的にぼくに対してのみ、先のルールは適用されず、先生づけは許可されるものとする。 みなの衆、これからは山形先生と呼んでもよろしいぞえ。

……というのは悪質なローカルルール転覆の試みと見られて排除されてしまうのであろうか……


Id: #a19991108153927  (reply, thread)
Date: Mon Nov 08 15:39:27 1999
Name: いなば
Subject: ちょいと時季はずれですが

山口大学の渡辺幹雄氏の「左翼を健全化する――R・ローティーの見る現代アメリカ左翼事情」『山口経済学雑誌』第47巻4〜5号がサイエンス・ウォーズに関連して面白いですね。私見では「サイエンス・ウォーズ」は基本的にローティーのいう「文化左翼」と伝統的左翼・リベラルの対立のヴァリエーションだと思います。
Id: #a19991108101931  (reply, thread)
Date: Mon Nov 08 10:19:31 1999
Name: くろき げん
Subject: 「先生」の使用禁止ルール

今まで何度かお願いして来たことを明文化しておくことにしました。おそらく、こういう場所に出入りするような方に「先生」と呼んで欲しいと思っているような人はいないはずだし、むしろそう呼ばれることを嫌がるのではないかと思い (実際私は嫌です)、以下をルールとして定めておくことにします。

「先生」の使用禁止

他の掲示板参加者を「○○先生」と呼ぶことを禁止します。特に、掲示板の管理者を「黒木先生」と呼ぶことは厳禁と致します。

学生の方が自分が教わっている教師を呼ぶ場合にも「○○先生」と呼ぶのは止めて下さい。「○○さん」と呼びましょう。


Id: #a19991107221740  (reply, thread)
Date: Sun Nov 07 22:17:40 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991106190255
Name: 三須田善暢
Subject: 「一冊の本」の11月号
こんにちは。三須田と申します。
「一冊の本」の11月号、今日丸善一番町店においてありました。
(1階のトイレの側です。)

Id: #a19991106190255  (reply, thread)
Date: Sat Nov 06 19:02:55 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991103021019
Name: YAMANE Shinji
Subject: Re: D. Deutsch の本

私もドイッチェ「世界の究極理論は存在するか」流し読みしてわからんかったので、 和田純夫「20世紀の自然観革命」を読んで量子論的解釈から多世界解釈への 流れを確認してから読み直そうかと思ったり。
そういえば朝日新聞出版局のPR冊子「一冊の本」の11月号目次に 和田純夫「物理学者から見た相対主義的科学観 --「サイエンス・ウォーズ」にちなんで考える」 というのをみつけたのだが、仙台ではこの冊子が見つからず(ASAで入手できるのか?) 、朝日新聞社の書籍出版の編集者の人から個人的に入手しました。
内容は和田氏のこれまでの主張の再構成だが、 枕の部分で「サイエンス・ウォーズ」という呼称の有害さにも言及しつつ、 「きみはソーカル事件を知っているか?」 「ソーカル事件と『知的詐欺』以後の論争」あるいは月刊「現代思想」を参考情報としてあげている。 さらに「知的詐欺」の邦訳が近く出版予定と紹介されているが、 翻訳ではぜひ日本でのSocial Text事件受容についても触れて欲しいものである。 ソーカルを攻撃した人たちからどういう反応があるかな?
Id: #a19991106152635  (reply, thread)
Date: Sat Nov 06 15:26:35 1999
Name: 田崎晴明
Subject: 本の宣伝

ずっと前から、熱力学の本の計画のことで、 この掲示板をお騒がせしてきました。 ようやく、この本も、 来年のはじめには「熱力学 --- 現代的な視点から」 として、培風館の新物理学シリーズの一冊として出版されることになりました。 4月の新学期までには、確実に出ます。

この本については、この掲示板を通じて知り合った多くの方から、 色々なことを教えていただきました。 改めて、黒木さんに、そして、 本に関して様々な意見を出され、 また化学音痴の私に化学に関連する事柄を根気よく 教えて下さった小波さん、渡辺さんに、 そして、草稿を読んで下さった他のすべてのみなさんに、感謝します。

せっかく出版するからには、 (印税で稼ぐ気はないですが)ある程度は書店に並び、 少しでも多くの人に手にとってもらえる本にしたいと思います。 図々しい話ですが、熱力学関連の講義を担当される方には、 この本を参考書、教科書に指定することを検討していただければと願っています。 この本について、もう少し詳しいことは、わたしのページに書いておきましたので、 興味のある方は、ごらん下さい。


Id: #a19991106152350  (reply, thread)
Date: Sat Nov 06 15:23:50 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991103183726
Name: たざき
Subject: フォロー

  田崎さんのフォローってなんか恐そう。

いや、別にこわくなかったです。 フォローはもっと長くて、前の掲示に書いた 「大切な問題だけど、ちっともわかってないんだから、みんなで、がんばろー」 みたいなところまで続いていたのでした。 「ギャグ」発言の人も 「そういうことが言いたかった」 と言っていたし、他の人たちも(おもてだった)反論はしなかった。


Id: #a19991106150849  (reply, thread)
Date: Sat Nov 06 15:08:49 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991103183726
Name: 田崎
Subject: ありがとうございます

まきのさん、ありがとうございます。 来年からの講義で使います。 統計物理の教科書を書くときにも使おう --- と思っていても、 真面目に書く頃までにはもっとデータが増えるかもしれないですね。
Id: #a19991103183726  (reply, thread)
Date: Wed Nov 03 18:37:26 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991103111734
Name: まきの
Subject: COBE results

田崎さんのフォローってなんか恐そう。

ええと、観測結果自体の論文としては COBE DMR での空間マップでは、ApJL, 464, 1(1996)とか、また FIRAS のスペクトルのだと ApJ, 473, 576(1996)とかでしょうか。このあと山のようにいろんな論文が出てはいる のですが、僕もあんまりちゃんとは見てないので。


Id: #a19991103111734  (reply, thread)
Date: Wed Nov 03 11:17:34 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991102223409
Name: 田崎晴明
Subject: インフレーション

インフレーションの「場の理論の動力学」的な説明 (変なポテンシャルをもった場の存在を仮定するやつ) については、ある口の悪い人が 「はじめて聞いたときは、ギャグかと思った」 と評していました。 (多分、まきのさんのご近所の人もその場にいらっしゃったと思う。) ぼくも、ギャグとは言わないまでも、 物理的にアドホックであるだけでなく、 理論的にも極めて稚拙だと思います。 (ギャグ発言の後に、そういうフォローをした。) ただし、宇宙論の人の理論レベルが稚拙だという意味ではなく、 人類全体が、場の量子論のような多自由度(無限自由度)の量子系の力学を議論するという事に関して、 稚拙なレベルにしかいないということです。 素粒子の標準理論の中に登場する Higgs mechanism にしても、 理論的な扱いは悲しくなるほどに幼稚なままです。

稚拙な理論でもいいから、 ともかくストーリーを紡ぎたいという気持ちはわかるけれど、 あまりそればかりをやっていると物理学全体の論理的な厳しさが低下して、 けっきょく、情けない結果に陥るのではないかという危惧を、 ぼくは持っています。 Higgs にしても、インフレーション(ないしは、 インフレーションの動機となっている(んだよね?) 一様性や地平線の問題) にしても、 物理的に極めて意味のあるものがあることは確実なので、 焦りすぎずに、人類の理論能力を鍛えつつ、 じっくりと挑戦すべきだと、ぼくは信じます。 別に、素粒子理論や宇宙論の人だけが、 がんばればいいと思っているわけではなく、 ぼくだって、ちょっとでもそういう方向にプラスになることを願いつつ、 大自由度の量子力学系について、できもしないことを妄想しているわけですが。

まきのさん、 質問ばかりで申し訳ないですが、 COBE の back ground radiation の観測データの手頃な論文の reference (ないしは、preprint server の番号)が、すぐにわかるようだったら、 教えていただけませんか? この機会に講義ノートを up date しておこうと思って。


Id: #a19991103021019  (reply, thread)
Date: Wed Nov 03 02:10:19 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991102160817
Name: 立川裕二
Subject: D. Deutsch の本 & 天文単位の測定

あまり大した情報ではありませんが森山さんご自身のコメントが
http://www.moriyama.com/1999/sciencebook.99.10.htm#sci.99.10.30
にありました。森山さんの
わけわかんねえ。そんな言葉がぴったりの本だった。 私はもともと認識論とは相性が悪いのである。たぶんそのためだと思うが。
という言葉が実感?を伴って伝わってくるような気がします。

天文学の話題を一つ。レーマーが木星の衛星の食の遅れから光速を求めた、というのはいろんな本に紹介されています。しかしそのころ 1 AU が地上の単位で分かっていたのか書いてある本がなくずっと気になっていたのですが、こないだ大学の物理実験学の講義で先生に質問したところ調べてきてくださいました。それによるとレーマーの発見の少し前に火星が地球に大接近し、そのときにパリと南米仏領ギアナとで火星の方向を測定して三角測量したそうです。なんという技術力…


Id: #a19991102223409  (reply, thread)
Date: Tue Nov 02 22:34:09 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991102163355
Name: まきの

こういう時に「広い」とか「驚異的」というのがどんなことを意味するかとい うのがなかなか難しいので、、、 COBE FIRAS の最終結果なのかな、 96年く らいの論文では空間平均したスペクトルは 5mm くらいから 0.5mm くらいの波 長範囲で "Uncertainities are a small fraction of the line thickness" という程度で black body なんだそうです。ただ、これ自体はあまり重要な結 果ではないです。 COBE のもっとも重要な成果は空間方向の揺らぎを初めて実際に捉 えた(それまでの観測は全部「上限を決めた」というので、これはつまりなに も受からなかったということですから)ということだと思います。

ところで田崎さん、

まあ、その、おおむね一様等方だとみなすのが自然というのはそうですが、 やはりどのくらい本当にそうかというのはまだなかなか、、、というところは あります。背景輻射の一様性自体、理論的にはインフレーションのような、怪し いというと怒るかもしれない人が僕の部屋のちょっと下あたりにいますがそれ はそれとして背景輻射の一様性以外に観測的な根拠があるわけではないものに よって説明されているわけですし。観測的にも、銀河の分布等について定量的 に確かなことがいえるのは CfA サーベイとかのデータがある z=0.03 くらい だったかな、そのへんまでで、そこから先になにがあるかは見てのお楽しみで はあります。


Id: #a19991102163355  (reply, thread)
Date: Tue Nov 02 16:33:55 1999
Name: きくちまこと
Subject: 背景輻射
宇宙背景輻射については、COBEの出したデータが広いスペクトル領域にわたって
黒体と驚異的な一致を示した、と理解しているのですが、それでいいかしら。

Id: #a19991102160817  (reply, thread)
Date: Tue Nov 02 16:08:17 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991029013058
URL: http://www.etl.go.jp/~harigaya/
Name: はりがや
Subject: D. Deutsch の本
>D. Deutsch 『世界の究極理論は存在するか』てふ朝日新聞社のあやしげな本があってつい
>買ってしまったのですが読んだ方はいらっしゃいませんか?

まだ読んではいないのですが,森山さんの「ポピュラー・サイエンス・ノード」
http://www.moriyama.com/popular_science_node/ には,紹介がありました.

http://www.moriyama.com/popular_science_node/backnumber/1999/PSN991012.html
ですね〜

Id: #a19991102110639  (reply, thread)
Date: Tue Nov 02 11:06:39 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991101194044
Name: 田崎
Subject: なるほど

まきのさん、ありがとうございます。 無責任に質問だけを放ってしまっていて申し訳ない。 極めてためになります。 「どこを見ても銀河が山のように写る」というのは、 説得力がありますね。 そこらへんより遠くは、背景輻射までずっとほぼ一様等方だとみなすのは、 たしかに自然ですね。

観測宇宙論では知識が急激に増えてきていることは耳にしているのですが、 ついつい怠慢で勉強する機会がないままです。 (そういっている間にも、いろいろとデータが増えていきそうだし。) 統計物理の講義で、黒体輻射の議論をした後に、 背景輻射の話もして、「晴れ渡り」の頃の宇宙にも地上で使っているのと同じ統計物理が使える (可能性が非常に高い)ことを話すのですが、 最初に準備したときに手元にほとんど文献がなくて、 友達に聞いたりしてあわてて何とかした覚えがあります。 当然、背景輻射の観測データだって極めて精密になっているだろうから、 一度、新しい文献をチェックしてリフレッシュすべきですね。


Id: #a19991101194044  (reply, thread)
Date: Mon Nov 01 19:40:44 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991101152018
Name: まきの
Subject: Re: オルバース

田崎さん、

ええと、まあ、結構そうなっている範囲があると思っているというか、観測的 にもまあ結構そうであるということになっています。宇宙ってのはあ る意味結構小さいくて、例えば赤方偏位(漢字自信なし)z が1、つまり波長 が2倍に伸びてくるような距離ってのが、宇宙モデルによりますが例えば50億 光年とかそんなものです。そういうところまで見るような非常に高感度な観測 をすると、どこを見ても銀河が山のように写るということになります。その例 がわりと有名な Hubble Deep Field というもので、これは要するに特別な特 徴のない空のある方向を Hubble 望遠鏡でじーっと見たら、いっぱい遠くの銀 河が写っていたというものです。ただ、銀河は結構ちいさくて、数密度も低い ために z=1 までいってもあまり重なったりしないので、もやもやと光るとい うところまではいかなくて個々の銀河が見えています。

距離とそこから来る光(というか、結局はある dR の中にある銀河の総数)に ついては、 z が決まって数も稼げるようなサーベイはまだ非常に近くまでし かないので本当のところはなんとも、、、というところはあるのですが、まあ 数10メガパーセク(1億光年くらい)から先についてはほぼ一様というモデル と、実際に観測されている銀河の明るさの分布の間には矛盾はないということ になっています。というか、実際にはむしろ暗い(遠い)銀河が多過ぎるセン スになっていて、フラクタル分布というような話とは合わない方向になります。 しかし、だからフラクタル分布が観測的に否定されるかというとこれは難しく て、遠くの銀河は若いので、その分明るいとか、銀河同士の合体があるので昔 のほうが銀河の数が多いとか、いろんな効果があるので、、、

なお、我々の銀河系の中での、というか太陽の近く当たりでの星の密度という のは、宇宙全体での星の平均密度に比べて大体 1億倍くらい高いので、夜空を みても実際に見えるのはもちろん z=1 の銀河とかではなくて銀河系のなかの 星ばっかりなのですが。


Id: #a19991101152018  (reply, thread)
Date: Mon Nov 01 15:20:18 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991101132910
Name: 田崎晴明
Subject: オルバース

まきのさん、 ありがとうございます。

ぼくがいっているのは、素朴なことです。 一様分布+膨張宇宙の説明でいくと、 星の誕生や赤方変位が利いてくるまでの距離では、 ある距離 R から (正確にいえば、ある距離 r を固定し、R と R+r の間の距離から) 到達する光量の和は距離 R によらないことになりますよね。 実際にぼくらが見た星空は、そう、なっているのかなということです。 (確かに、パラドックスの「趣旨」は R を大きくしたときの発散だから、 空全体がもわあああと(無限に明るく)輝くということなのでしょうが。)

標準的な宇宙論では一様な質量分布を採用していることは一応、知っていました。 (何でも「フラクタルだ」と騒ぐのは無節操だとぼくも思います。 いずれにせよ、ある距離の範囲で本当にスケール不変な質量分布が 実現されているなら、その理由を理解したい。) そのあたりの観測データなどが最近どうなっているかなども知りたいのですが、 ちょっと掲示板での話題には重すぎますね。 機会をみつけて勉強します。


Id: #a19991101132910  (reply, thread)
Date: Mon Nov 01 13:29:10 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991101102227
Name: まきの
Subject: ふらくたる

田崎さん、

ええと、現在の標準的な宇宙論(ビッグバン+重力不安定による構造形成理論)では、フラクタル的に振舞う(といっても、実際に本当に定量的に観測されていることは相関関数がベキ乗的に振舞うというだけですが)範囲というのはせいぜい超銀河団くらいで、宇宙の地平線まではとどかないということになっています。

これは、初期の密度揺らぎのスペクトル自体がベキ乗的で波長が長いほど振幅が小さくなるために、スケールがある程度より大きいところはまだあまり成長していないからです。

まあ、このあたりは観測事実がきわめて少ないことについて想像をめぐらせているようなところはあるし、歴史的には遠距離まで観測が届くとかならずそのスケールで構造があるということが発見されてきているので、理論家のいうことをあまり信用しないほうがいいですが。そういう意味では例えば最近やっと動き出したスローンサーベイやそのうちに出てくる背景放射の高分解能観測でなにが出てくるかでガラガラ話が変わる可能性はあります。が、まあ、大きい構造ほど力学的タイムスケールが長いという観測事実や、またやはり3K背景放射で観測されているように非常に大きなスケールでは極めて一様であるということから、まあ、今我々が持っている枠組が大きく変わるということは非常にありそうにないとは思います。

とはいえ、原理的に「我々の回りの宇宙」という一つしかないものがどうなっているかを知りたいという話なので、それは結局見てみないとわかりません。例えばあるものが生まれる確率が低いからといって我々の回りの宇宙がそういうものではないとは言い切れない(例えば、弱い人間原理みたいなものですが、生命が生まれるのに適当な条件の宇宙を選択的に観測していないという根拠はない)というような問題はどうしてもあるので。

ちなみに、「距離の上限に敏感に依存するかどうか」というのについて、私の前の文章では膨張宇宙であればあんまり敏感ではないということを説明したつもりだったのですが、、、なかなか他分野のひとに通じる説明をするのは難しいです。(私が下手なだけという意見は当然あるわけですが)

というわけで、菊池さん、そのとおりです。本屋で「カムナビ」を眺めたのですが、あまりに厚いのでちょっと気力が、、、


Id: #a19991101123512  (reply, thread)
Date: Mon Nov 01 12:35:12 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991030011936
Name: きくちまこと
山下さん

あ、申し訳ないっす。"ありがち"と書いたのは、"そんなのとっくにわかってるよ"
じゃなくて"そうそう、そういうことってあるよね"という意味なので。

牧野さん


解説どうも。
Wessonの論文、ざっと眺めました。専門家じゃないので、価値の判断はむずかしいっ
す(わかりきったことをぐだぐだ議論しているのか、それとも本当に未解決の
問題をちゃんと議論しているのか)。
結局、無限積分のまま被積分関数のオーダーを1以上下げるのが
はやいか、それとも積分領域のカットオフのほうがはやいかちゅうことですよね。


Id: #a19991101102227  (reply, thread)
Date: Mon Nov 01 10:22:27 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991030124754
Name: 田崎晴明
Subject: いまさらオルバース

オルバースのパラドックスについては、 次のような二種類の説明を今でも目にします。
  1. 宇宙年齢 and/or 赤方変位の影響で、 まともに光が届いてくる星までの距離には上限 (赤方変位の場合には何らかの実効的な上限)がある。 そのため光量の発散はない。
  2. 上限はあるが、それが実際に見える光量を決めているのではない。 観測によれば、光を出している星の分布は(少なくともある距離の範囲では) 一様ではなく、いわゆる「フラクタル的な」分布になっている。 (地球からの距離 R の半径の球の中の星の数が R の 3 乗には比例せずに、 R の 1.3 乗だかなんだかそういうものに比例するように見えるということ。) このような分布で星が散らばっているとすれば、光の届く星までの距離に 上限がなかったとしても、地球で見る光量は有限になる。 より重要なこととして、上でいう上限が十分に大きければ、 地球で見る星空の明るさは上限の値には依存しない
発散がないこと=パラドックスがないことは、 1 の説明から明らかですが、実際の星の分布の観測データなどを見ると (最近データが増えたらしいけれど、見てない) かなり 2 に説得力があるような気がしました。 (素人判断です。) 実際、光を出す星の一様分布を仮定すると (もちろん、まきのさんご紹介の問題の論文でもそうしているのだと思いますが)、 星空の全光量は上でいう距離の上限に敏感に依存して決まってくるということになります。 本当にそうなっているのかな?

山下さん、 リツコはいつでも母に強いコンプレックスを抱いていたから、 彼女に輪をかけたすごい女性だったと想像しています。 (ちょっと出てきましたよね。(ぼくは、ビデオは持ってない。)) 今頃は例の研究所に入っているはずですが、その前にまきのさんの本に協力したということはあり得ますね。 (考えすぎ。)


Id: #a19991030124754  (reply, thread)
Date: Sat Oct 30 12:47:54 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991029183953
Name: まきの
Subject: Wesson と ADS

菊池さん、

僕の記事でリンクを張った先は NASA の ADS っていうアーカイブの日本ミラー サイトで、これは Astrophysical Journal, Astronomy and Astrophysics に 始まる天文学・天体物理学の有名雑誌から泡末雑誌にいたるまで、なんでもか んでもデータベース化しようというものです。古いものは本文はスキャナで取 り込んでいて、雑誌名、巻号のほか、著者名、タイトル、アブストラクトのキー ワードサーチ、果てはアブストラクトの類似度検索(つまり、ある論文とア ブストラクトが「似ている」論文を見つけてくる)というような機能まであっ て妙に便利な代物です。これとプレプリントサーバーのおかげで最近ほとんど 図書室で論文コピーということはしなくなってしまっています。

と、それはさておき、うーん、その、僕がなにか勘違いをしているのかもしれ ませんが、 Wesson の論文は算数は正しいのですが解釈は無理があると思いま す。つまり、オルバースのパラドックスというのは、結局 1/r2を 全空間で積分すれば発散するということなわけです。で、現実に発散しないの は、膨張宇宙であるために redshift で暗くなる分、つまり、なんか r の関 数 f ってのがあって、これが r が大きいと1より小さくなる効果と、それか らやはり膨張宇宙であるために、宇宙は有限の年齢をもち、銀河とか星は宇宙 よりもさらに若いという効果が合わさっているとまあいえるわけです。後者の 年齢の効果は算数としては r の積分範囲に上限 rmaxがあるということです。

で、 Wesson の主張は、 単なる 1/r2 の 0 から rmaxまでの 積分と f/r2の同じ範囲での積分を比べてあんまり変わらないから f の効果は小さいというわけです。(普通に数式で書いたほうがわかりやすい ですね、、、)ところが、 f/r2 を全空間で積分したものと rmaxまでで切ったものは実はほとんど変わらない (fは銀河が宇宙 よりも若いとしても rmaxのところでほとんど 0 だし、宇宙の年 齢に対応する r のところで 0 になりますから)わけでして、、、

というわけで、算数としてははっきりしていて、定量的な議論になにか問題が あるとか、そういうことはないと思います。 Wesson の主張のほうは、まあ、 あえて「定量的」な比較をするなら、逆だと思いますが、、、つまり、 f/r2 を全空間で積分したものと rmaxまでで切ったも のの差というのは数パーセント以下なのに対し、 1/r2 の 0 から rmaxまでの 積分と f/r2の同じ範囲での積分の差は2-3倍ですから、 rmax より f が重要というのが彼自身の計算の示していることの ように見えます。

絵にしてみると、なんかこんな積分を


|****
|    *
|     *
|      *
|       * 
|        **
|          **
|            **
|              |
+--------------+-----
0              Rmax
こう近似するか(fの効果のみ)

|****
|    *
|     *
|      *
|       * 
|        **
|          **
|            **
|              **
+----------------**----
0              
こうするか(年齢有限の効果のみ)

|**************
|              |
|              |
|              |
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|              |
|              |
|              |
|              |
+--------------+-----
0              Rmax
のどっちが本質か?というようなことです。あまり意味がある問題ではないで すが、あえてどっちがいいか定量的にいうなら上のほうでしょう。ここでなぜ か Wesson は下のほうがいいといい張っているようにみえるわけですが、、、

最近というかここ20年くらいの Astrophysical Journal はかなり S/N が低い雑誌ですので、「こういう論文があった」というだけでそれが正し いと思ってはいけないということはあります。その昔チャンドラセカールがやっ てたころは、全論文を彼が読んで判断していたそうなんですが、量が増えると そんなことは常人にはできないし。


Id: #a19991030011936  (reply, thread)
Date: Sat Oct 30 01:19:36 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991029120137
Name: 山下ノボル
Subject: 気づいてみれば...

 うーむ、気づいてみれば、たざきさんの最初の発言のSubjectからして、答が書いてあるようなものでしたね。自らのXXXとしてのいたらなさを深く恥じます。
 ところで、赤木(母)がああいうものの言い方をしそうな人だということをうかがわせるようなシーンってあったかなあ?赤木(娘)の方は記憶にあるのですが...
 すごく暇なときにでも、ビデオテープ(録ってあるところが何ですが(苦笑))で確認します。

きくち先生 単位下さい じゃなくて、
「オイラー法のプログラムを書こうとして間違って最低次のシンプレクティック法 (蛙飛び)のプログラムを書いちゃうのって、ありがち。」
 業界では周知のネタでしたか。NIFTYSERVEの物理フォーラムでこの話題を出したとき全然うけなかったので、数値計算関連は物理好き(ってどういう人達だ?)の間でもマイナーな分野なのだなと思ったことがある山下でした。

Id: #a19991029183953  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 18:39:53 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991029120137
Name: きくちまこと
Subject: オルバース
牧野さん

それですそれです。僕も水野さん同様Phys-FAQで見て(って、Phys-FAQに出てる
って教えてくれたのは野尻さんで、僕は気づかなかったんですけどね(^^)。自分で
調べたのは生協にあったいろいろな本と百科辞典と物理学辞典)、
その文献を探そうとしたのだけど、見つからなかったんです。
Astrophysical Journalのホームページには最近のしかないし、Wessonの
ホームページにもなかったし。

なにが一番の原因かについては最近でも混乱があるというわけですね。
特にどれとは特定できないということかな。

まあ、「カムナビ」の主張は"理由が特定できない"ではなくて、"これまでの
理論では説明がつかない"なので、それはちょっとね(だから実は宇宙には
****が**して*****、という驚愕の真相に続くんですけどね(^^))。

Id: #a19991029181741  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 18:17:41 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991029153253
Name: まきの
Subject: 共立出版

あ、こなみさん、御指摘ありがとうございます。元は共立はオンラインショッ ピングのページしかなかったのですが、そういえば2週間位前に新しい Web site を作りましたという連絡が(葉書で、、、)来てました。 あれ、良く見ると共立のところの本の紹介の文章も全然変わってる。僕のとこ ろの文章(変更前のは これ)をみて書き直したのかしら?あれれ、さらに良く見ると日本語になっ てないっていうか、一行欠落かなんかしてる。文句いっとかないと。
Id: #a19991029153253  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 15:32:53 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028030945
Name: こなみ
Subject: 面白いと思って書かれた書評は魅力的だ

牧野さんの本,面白そうですね。山下さんの紹介のいきいきした感じで,きっと 面白いのだろうと考えて注文することにしました。
もっとも,本の内容をよく見ようと思って(ISBN, 価格など) 牧野さんのページの URL を叩いたら,いきなりクレジット払いの窓口で おねえちゃんから挨拶されたような 雰囲気だったので, 出版社のページから 検索しました。こっちの URL もつけておいてくださったほうが,親切かと。

山下さんのオイラー法のつもりがシンプレクティック法という話しは面白いですね。 最近は微分方程式を解くようなプログラムを書いてないけど,パソコン買った最初の頃 には,オイラー法を自分で思い付いて(だれでも思い付きますよね),問題を 解いては悦にいっていたけど,実は順序が違っていたから悦に入れたのかも。 8087 を PC9801 に付けるために7万円も投じた昔の話しです。


Id: #a19991029122421  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 12:24:21 1999
Name: はりがや
Subject: 11月3日 公開講座のお知らせ(代理人による宣伝の再紹介)

公開講座のお知らせ(理科教育MLの該当記事へのリンク)です. まだまだ,定員にゆとりがあるとのことです. ご関心あるかたはお申し込みをお早めにおねがいします.

P.S. 水野さま,京都での講演会はかなり反響があったのですね. 朝日新聞は大阪版にしかでなかったのが残念ですが, オンラインでは掲載されるでしょうか?


Id: #a19991029120137  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 12:01:37 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991029084438
Name: まきの
Subject: 「ブザマね」

というセリフが使われるべきではないかという指摘も一部 teneva 方面からあっ たわけでして、まあ、それは却下したあたりで一応リツコさんではないという ことで。

オルバースですが、うーん、問題の論文というのは これですね。これの このページにある図1というのが主張の根拠で、例えば Einstein-de Sitter (まあ、その、いわゆる普通な宇宙モデルです)で zf、 つまり銀河とか星が生まれる時期を変えた時に明るさがどうなるかというのを、 膨張宇宙と仮想的な定常宇宙とで比べています。なお、z は redshift で、 0 が現在、 ∞がビッグバンの時刻に対応します。遠くからの光は距離の分だけ 昔に出ているわけですが、zと時刻の関係も z と距離の関係も宇宙モデルに依 存します。で、まあ観測可能な量は z だけなので、普通宇宙論では距離/時 間の尺度に z を使うわけです。

で、この図ですが、実は2通りの読み方が可能です。

  1. 仮想的な定常宇宙(破線)と膨張宇宙(実線)を比べてみると、zf が普通であればその差は2-3倍しかない、従って、宇宙が膨張しているという 効果はたいしたことはない。
  2. 実線のほうだけをみると、膨張宇宙の場合、zfをいくら大きくしても明るくならない。 しかも、これは宇宙モデルによらず、宇宙年齢が無限大の de Sitter でもそ うである。従って星や銀河が生まれたのが最近であるという効果はたいしたことはない。
もちろん、この2つの読み方は同じことを別の方向からみているだけで、年齢 が有限であるというのも膨張しているというのもオルバースのパラドックスを 解決する(無限を有限にする)には十分であって、どっちかを先に入れた計算 で次にもう一つのをいれれば後に入れたほうの効果が見かけ上小さくみえると いうだけの話です。例えば Einstein-de Sitter をとった時点で、宇宙年齢は 有限でありしかも宇宙は膨張しているということになるわけで、その2つを分 けて効果を「定量的に」比較するというのはナンセンスだと私は思いますが。

とはいえ、そんな論文がでちゃうあたり混乱があるというのは確かですね。


Id: #a19991029084438  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 08:44:38 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028233401
Name: たざき
Subject: 赤木リツコ君、本当に××××

山下さん、 前回のぼくの Subjet でおわかりにならなかったというのは、 健全な証拠かもしれにゃい。 近隣の健全でない方に -- MGAI 作ったのって誰だっけ -- となにげに聞いてみて下さい。 年齢、専門ともにぴったりです。

こんなことばっかし書いてると私のキャラについて誤解を生みかねないと危惧するものである。 オルバースのパラドックスについて真面目の書こうと思っているのだが、 これから講義だ。


Id: #a19991029021359  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 02:13:59 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028194900
Name: 水野 義之
Subject: オルバースのパラドックスは
検索をしてみると、なんと

SCI.PHYSICSで繰り返し現われる質問とその回答 
- Part 2/4 - 項目 8. 
オルバースのパラドックス  最終更新: 24-JAN-1993 by SIC
   原著者 Scott I. Chase       翻訳者 Youhei Morita
http://ccce4.kek.jp/People/morita/phys-faq/2-4J.html#item8

などという文書がみつかります。

それによると、

        (1) 遠距離の恒星からの光は、星間塵によって遮られている。
        (2) 宇宙には有限個の恒星しか存在しない。
        (3) 恒星の分布は均一ではない。例えば、宇宙には無限個の恒星が存在する
            かも知れないが、それらの恒星は手前の恒星に覆い隠されていて、天球
            を覆いつくす恒星の面積は有限である。
        (4) 宇宙は膨張している。したがって遠距離にある恒星は赤方変移のかなた
            に埋没してしまう。
        (5) 宇宙は若い。遠距離にある恒星からの光はまだ到達していない。
(引用終わり)

というアイデアが、かつてあったそうで、たいていの人は、この(4)で
もって納得していると思いますが、(5)の効果の方が、定量的には
効いているそうです。

ということで、まだ社会的な?混乱??が残っていてもぜんぜん、
不思議ではないかもね。

上記URLによれば、この引用記事について:
「参考文献:  Ap. J. _367_, 399 (1991). 著者の Paul Wesson は、オルバースのパラ
ドックスをめぐるさまざまな混乱に終止符を打つ個人的伝道師として知られているそ
うです。」
ということです。



Id: #a19991029014318  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 01:43:18 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991025124449
Name: 水野 義之
Subject: 京都女子大学 特別公開講座
10月16日の講演会
http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/GHDNet/99/rinkai3.htm
の様子(要旨)については、10月28日(木)の朝日新聞、
朝刊に全面で出ていましたが、出たのは大阪版だけなのです。
そちらではちょっと入手が難しいのは残念。

そのかわり、といってはなんですが、以下に当日の感想から。

***

大学の姿勢として(反原発集会ではないので)なかなか
難しい面もあったのだが、一つの新しい形を打ち出せた
のではないか、と思われる。(...と、そういえば、阪神・淡路
大震災の時にも、当時は私が阪大にいたころで、菊池さんと
大学の役割、というテーマで講演会の試みをやったですね。
思い出しました。^^; まだあるかな、と見てみると...
「阪神・淡路大震災と大学の役割 − 現場からの報告を中心に」
http://glimmung.phys.sci.osaka-u.ac.jp/quake/ )

さて、「臨界事故に学ぶ現代社会」公開講座、当日の報告から:

======
...参加者層は、6〜7割が男性。世代的には50代以上の男性がやや多かった。
しかし、性別、世代ともに、幅広く分散していたように思われた。
高校生、大学生、大学教授、PTAのお母さんらしき人、近所のおばさん、
退職して熱心に学ぼうとしている人、社会的なことを知りたい30代
カップル・・・・・と参加者層も相当散らばっていた。あとでアンケートを
見ると、大阪や奈良から来ている人もおられた。

特徴的だったのは、何よりも、講演会のあいだじゅう、参加者らが吸い付く
ような切羽詰まった目で講師陣を見つめ、強い緊張感と、知りたい、知らねば、
という意志が聴衆の側に感じられ、そして講師陣もそれらの目に応えようと
して思わず知らず力を込めて話すこととなった。

聞く側と話す側がともに強い磁力のようなものを生んでいたような感じで
あった。講師の話から気が散っている人がぜんぜんいない状態であった。
(ただ、前の方に座っていた方々の中には、どうも原子力の専門家達が混じ
っていたようで、それも緊張感を高めていた理由の一つであった。)

アンケートでは、「このようなものを待っていた」「社会に開かれた大学
にして欲しい」という意見などがあり、また、今後もいろいろ知りたい、
という意見が多かった。大学の教員がこのような種類の努力をすることに
対して、強い期待があり需要があることを痛感した。

質問は紙に書いて提出してもらいそれに答える形にし質疑応答の時間は
取れなかったが、終わってから個々の講師にご意見・質問ください
と言うと、それぞれの講師達の前に列ができ、激励や質問の人が並び、
なかなか会場が片づかないほどであった。
「難しいことを易しく、易しいことを深く」、という観点からの講座で
あったが、開催した意義は大きかったように思われた。
======





Id: #a19991029013058  (reply, thread)
Date: Fri Oct 29 01:30:58 1999
Name: 立川裕二
Subject: こんな本いかがっすかー

どうもご無沙汰しています。 まきの先生の本は生協書籍部でずっと前から見かけて そして立ち読んでいたのですが買っておりません。申し訳ありません。

そのとなりにD. Deutsch 『世界の究極理論は存在するか』てふ朝日新聞社のあやしげな本があってつい買ってしまったのですが読んだ方はいらっしゃいませんか? 科学哲学についてもいろいろ書いてあったのでこの掲示板のみなさまで興味を持つ方も多いのではないかと。(ただ僕は基礎知識がないので…)

この本の本筋とは関係ないのですが8章に

生命は地球の大気組成を変えたように宇宙に影響しうる。たとえば知的生命体がその属する星の膨張を止めて生き長らえることが出来るかもしれないが、それが十分多く起こっているなら星の物理的発展モデルとは違う分布を宇宙の星はするだろう
というようなことが書いてあったのは感動しました。

ただあまりscientific ではないような気がします。では。


Id: #a19991028233401  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 23:34:01 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028184241
Name: 山下ノボル
Subject: 国枝,赤木

リツコさんじゃ なかったのかあ..残念ですというわけでもないのですが、国枝なら桃子さんだろうと思うのですが、赤木が思いあたりません。
 かん子さん?。。実在のしかも文系の人じゃないだろうしなあ。。
 たざきさんは、「可能性があるのは、もう一人の方でしょう」と想像がつかれているようですが、モデルは誰なのでしょうか?
  意味なし発言で すみません。

Id: #a19991028231419  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 23:14:19 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028185939
Name: まきの
Subject: Re: 粘性流体

早川さん、

流体で FMM というので voltex method に短絡したのですが、そうではないん ですね。O(N^3) になるのはステップ毎の計算量がということでしょうか?と すると、ステップ毎に行列を解くわけですね。

ということは、 FMM でも本当に粒子間ポテンシャルを計算するだけの粒子系みた いな話よりも境界要素法みたいなのに近い話になるんでしょうか?これは京大 だと工学部の、ええと、名前が調べないとわからない、 環境地球工学教室地圏工学研究 室といったところでやってますね。

ただ、一般に FMM は 3 次元だとなかなか速くならないので難しいとは思いま す。どれくらいの精度がいるかに強く依存しますが、特に精度が低くていいな らまともに FMM をやるより Barnes-Hut tree の方が速いし、プログラムはずっ と簡単になるということも、、、あと、境界条件によりますが FFT とかでは いかんのでしょうか。

しかし、「カムナビ」ってのはそういう話なんですか。日経新聞の書評は褒め てあったかな?まあ、きっとどこか違う宇宙の話なんでは? SF と思ってはい けないみたいな。


Id: #a19991028194900  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 19:49:00 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028184241
Name: 菊池誠
Subject: オルバース
いや、実はですね、梅原克文「カムナビ」という小説(たぶん今ベストセラー)を
読んでいたら、"オルバースのパラドックスは未解決"という話がでてきまして、
これがまた物語の根幹の部分に関わってるんです。
そんなばかなことはないだろうと思って、いろんな人に訊いてるんですが、やっぱり
みんな"解決ずみ"という答え。
しかし、これが解決ずみだとすると、件の小説が全然成り立たなくなっちゃうんで、
それもまたひどい話じゃないですか。だから、万が一もしかしたら、なにかそういう
説があるのかもしれないと。もしなにかあるなら出典を知りたかったのです。
やっぱり解決済みですよね。僕もそれが常識だと思っていたので、読みながら
頭をひねりっぱなしだったんですけど。

すみません、変な話を訊いて(^^)




Id: #a19991028185939  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 18:59:39 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028184241
Name: 早川尚男
Subject: 粘性流体

牧野さん、粘性流体のFMMというのは大体以下のような話です。 まず考える対象はコロイドみたいなサスペンションです。私と そのPDFは昔、それを粉体に応用し、それなりの結果が出ましたが 多少問題があるので忘れた方がいいでしょう。そこでは支配方程式は ナビエ・ストークスの慣性と加速を落した線形の ストークス方程式と呼ばれるものになります。この方程式は圧力がなければ ラプラス方程式と一緒ですから性質も似ています。がたちが悪い。 つまりサスペンション間の相互作用は重力と同じく1/rですが、テンソル 力です。高濃度のサスペンションのシミュレーションにはちょうど 重力多体系と同じようなシミュレーションをする訳ですが、行列が sparseではなく殆んどの非対角項にも値があります。彼が私とやっていた 頃は演算速度はO(N^3)のナイーブなスキームでしたが遅くて実用には 適さなかったのです。そこで彼はFMMを使って一挙にO(N)にしようと しているのですが、その準備が大変で相当大きいシステムでないと そのご利益にあずかれない様です。そんなシステムは計算時間がかかり ますから、ちょっと使う気がしない。。
Id: #a19991028184241  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 18:42:41 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028030945
Name: まきの
Subject:

ども、お役所向けお手紙の作文ができていないまきのです。

山下さん、

感想と内容の紹介どうもありがとうございます。「いきなり 4 次のルンゲ・ クッタが出てくるのは予備知識の要求水準が前書きとあわない」ってのは確か にその通りで、実際に読者に想定しているのは数値計算の入門程度の講義なり を受けるなり本を読むなりしたことがある人(極めて具体的には、研究 室に来た修士1年くらい)です。前書きはちょっとよろしくないですね。

「実地指導」という題は編者(大槻・小牧となっていますが、私は小牧さ んとしか話してません)から来たものです。で、「実地指導」というタイトル なんだから実際に指導するような気分を出したいし、とすれば対話形式かなと、、、 確かに冗長になるというか、内容が薄くなるのですが、あまり内容を詰め込む とわかりにくくなるということもまたあります。まあ、正直なところは一度 「全編対話形式」というのをやってみたかったからというだけです。ちなみに、 名前が「赤木」なのは単に内輪受けを狙っているだけで、それ以上の意味はな いです。他に「国枝」案とかもあったのですが。

シンプレクティックといえば、金沢の研究会の plenary talk で D. P. Landau が鈴木・トロッター分解の話をしたのですが、その前に鈴木先 生が自分の論文のリプリントを配って回っておられたのがなかなか印象的でし た。私も見習わないといけない。

ところで早川さん、 FMM を粘性流体にというのは voltex method で粘性をあ つかうという話でしょうか? FMM は遠距離で効く(近距離は結局直接計算す る)話ですし、粘性は本質的に近距離な話ですから、 FMM がどうっていうよ りも粘性の表現自体が難しいのではないかと思います。 FMM は FMM で繁雑と いうか、ややこしいものですが。

ついでに、「オルバースのパラドックスは未解決」という説というのは知りま せん、というか、膨張宇宙説をとればよほど変なことを考えない限り解決され てしまうように思うので、オルバースのパラドックスを復活させるためにはか なり古典的な定常宇宙(ホイルみたいなのじゃなくて、本当に定常)をとらな いといけないような気がするのですが、、、


Id: #a19991028143839  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 14:38:39 1999
Name: 菊池誠
菊池@阪大(長らく行方不明)っす。

オイラー法のプログラムを書こうとして間違って最低次のシンプレクティック法
(蛙飛び)のプログラムを書いちゃうのって、ありがち。というわけで、
私がやってる数値計算の講義のレポート問題にそれ関連のがあります(と宣伝)。
オイラーのプログラムを与えておいて、"蛙飛びに直せ"っていうの(^^)。
却って複雑にする学生もいたりして、面白いっす。

それはさておき、私も赤木という名前に反応してしまいました。幸いにして
特定の声優の声で聞こえてきたりはしませんでした。だって、おいらは違うもん。

ところで、いろんな人に訊いてまわってるんですが、牧野さんの話題だから
ここはひとつご教示いただけるとうれしいこと。"オルバースのパラドックスは
未解決"という説を知ってますか?

#なんだか電波系みたいな文章になってしまったぞ(^^;)。

Id: #a19991028143127  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 14:31:27 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028030945
Name: 早川
Subject: 牧野さんの本

牧野さんの本、私も買いました。ざっと見たところ、私のような レベルの者がしがちのプログラム上のミスや注意事項が多く、 役に立ちそうです。印象では私が2年以上に教えている講義/実習の 次に続くレベルです。もっともこちらの物理ではそれすら受けていない 者が多いし、数値計算は全くやっていない人が大学院に入ってくる ので直接M1に勧めた方がいいのかもしれません。

ところで金沢では体調不良で牧野さんにお会いできなくて残念でした。 しばらくアメリカに滞在して先ほど帰国して私のところに滞在しているPDFは Fast Multipole Methodを粘性流体に適用しようとして四苦八苦しています。 金沢の会議はそういういかにも計算物理的な仕事から単に計算機を使った 物理の仕事まで混在していて今一歩まとまりがなかった気もします。

今朝の朝日で小波さんが京都に来ることを知りました。でかでかと載っていた。


Id: #a19991028082134  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 08:21:34 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028030945
Name: たざき
Subject: 人のこと、ばあさんなんて、いうもんじゃないわ

リツコもミサトも、ぼくの娘と同級生くらいだと思いますので、 リツコではあり得ない。 まきのさんのご本をまだ読んでいないのでわからないけれど、 可能性があるのは、もう一人の方でしょう。 ぼくも、買ってみよう。 (久々の投稿なのに超くだらなーい。)
Id: #a19991028040933  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 04:09:33 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991028030945
Name: くろき げん
Subject: 『パソコン物理実地指導』は楽しそうですね

山下ノボルさんによる牧野淳一郎著『パソコン物理実地指導』 (共立出版物理学演習 One Point 5) の紹介は楽しそうですね。「パソコン物理実地指導」というタイトルで辛らつな語り口の赤木助教授(女性)に(仮想的に)学生の実地指導をしてもらう話を書いてしまったのか! 山下さんがわざわざ「中身を見ずに買った」と言った理由(とそのニュアンス)がわかりました。表紙のデザインと本の題名からは、全然違う感じの本を想像してしまいそうですよね。見付けたら、僕も買っておくことにするかな。


Id: #a19991028030945  (reply, thread)
Date: Thu Oct 28 03:09:45 1999
Name: 山下ノボル
Subject: まきのさんの本への感想です


 まきのさん はじめまして。

 遅くなりましたが、「パソコン物理実地指導」(中身を見ずに買った本)の感想です。
うーむ、自分から振っておきながら、いざ書くとなると緊張しますね。

 最大の疑問は 赤木助教授の名前は リツコ なのかどうかということなのですが、考えてみれば、イエスともノーとも答えられない野暮な質問ですね。失礼しました。
 買ってない方へ:この本は、赤木助教授(女性)と学生Aの対話形式で書かれています。赤木助教授の辛らつな語り口が結構すてきです。
 ちなみに 私は数理科学(95年6月号)はすでに読んでいました。参考文献の一つに挙げられている「数値計算の常識」は私の愛読書ですが、知識以上のものではありません。Cはちょっとかじりましたが、C++はわかっていません。

 数値解法に関する成書でシンプレクティック法を取り上げたのは、この本がはじめてではないかと思います。その点から言うとシンプレクティック解法に関する理論的な背景がほとんど解説されていないのはちょっと残念なのですが、それはまきのさんのホームページにある講義ノートなどを見ればよいとすれば、各種数値解法の実装と各解法の実力・特徴を実感できて良いですね(実装演習の部分はさぼってやっていませんが)。また、8章、9章はカオスを発生すると考えられる微分方程式の数値解をどう評価するのかについて書かれていますが、この話題は私は見たことがない内容ですので興味深く読みました。1文をあげると
P91赤木「<前略>まあ、大抵みんなあると思っているんだけど本当のところはよくわかっていないわけ.これは、数値計算ではきめられないでしょ?そうすると、理論的に何が言えるかっていうことになるんだけど、これはとっても難しいみたい.」
 順当な理解なのだろうと思いますが、笑ってしまいました。こんな文を見ると、計算物理に絶望してしまう人が出そうです(冗談です、念のため)。
 読者がUNIXとC++についてある程度理解していることを前提とすることはまえがきに書いてありますが、数値解法についてどういう知識を要求しているのかについては書かれていません。まえがきの雰囲気としては、数値解法については何も知らなくてもよいかのように見えなくもありません。しかし、第1章ではオイラー法、ルンゲ・クッタ法という名称が説明なしに現れ、第2章では誤差がO(h)、O(h^2)という表現がこれまた説明抜きで現れます。  また、まきのさんのホームページの講義資料のページには「この講義と内容的には相互補完的な演習書みたいなものを出した。」 というこの本への言及があります。  これらから見ると、微分方程式の数値解法についての一般的な、あるいは旧来の知識を読者はすでに理解していることを前提としているように思えます。プログラムの実行、結果の誤差評価は 知識がなくてもできるので、興味がわけば自分で調べるための情報は載っているよでOKなのでしょうか?ちょっとひっかかりました。
 まとめて言えば、わたしが数冊以上のテキストから得た知識+αを1900円で手にいれられるお買い得なテキストだと思います。時に罵倒ありの対話方式の文体については好き嫌いは分かれるかもしれません。実は私は、対話方式というのはあまり好きではないので、この本も対話方式でなければ、もっと内容が増えたのではとちょっと思っています。

 ついでに私がおもしろいと思っているシンプレクティック関連のねたを一つ。
 1次元調和振動子を表す微分方程式 d^2x/dt^2=-k*x を解くプログラムを考えます。
ごく初歩的に dv/dt=-k*x、dx/dt=vという連立形として解くことにすると、そのプラグラムのメインループ部分は次のように書きたくなります。
   for(....){
      dvdt=-k*x;
      v+=dvdt*Dt;  Dtは時間刻み
      x+=v*Dt;
      ....
      }
これは、オイラー法ではなくて 1次のシンプレクティックです。
正しく?古典的な多変数のオイラー法にするためには
   for(....){
      dvdt=-k*x;
      x+=v*Dt;    ←
      v+=dvdt*Dt;  ←xとvの行の順番が先ほどと逆
      ....
      }
としなくてはいけません。
 かくして、世界中の不注意な初学者によって、それと知らずにシンプレクティック解法が実装され、「オイラー法って結構精度いいな、台形法よりいいんじゃないか?」という誤解を生んでいると私は想像しています。この後「でも、何か変だな......あ!そうか」と続くのかどうかは定かではありません。

 この文章を読んでシンプレクティック解法に興味を持った方のために、本書以外のシンプレクティック解法について日本語で読める資料について

数理科学95年6月号 P37〜 シンプレクティック数値解法 吉田春夫
 95年では、まだ「シンプレクティック解法が十分に普及していない現時点においては、卒業論文1つ書くにしても、誰もが知っているRunge−Kutta法で計算するよりは十分に「かっこいい」はずだ、<以下略>」という状況だったようです。その後普及したのでしょうか?今回のまきのさんの本が、成書ではじめてシンプレクティックに触れたとすれば きっとまだまだなのでしょう。

岩波講座 現代の物理学1 力学 大貫義郎・吉田春夫 著
 巻末に補章として10ページの説明があります。
 最近の非線形力学の成果を含めた、解析力学のテキストとしてもおもしろそうです。

計算物理のためのC/C++言語入門
 東大物理学科の院生さんのページですが、ここにもシンプレクティックの解説があります。(この方は今回のまきのさんの本の謝辞に名前が挙がってる方ですね。)

数理科学99年8月号 P34 ハミルトン系の数値解法 船渡陽子・牧野淳一郎
  シンプレクティックに続く 新数値解法:シンメトリック解法に関する記事

 追加1
 C++が使ってみたくなり(使ってるコンピュータはWINなので、CygnusとGCCで フリーの環境が手に入るはずですが、いつ実現できるか未定です。)、 とりあえず「プログラミング言語C++第2版」(斉藤信夫他訳、トッパン)をさがしにいったのですが、どーにも本屋の棚に見つからない。はっと気づくと「プログラミング言語C++第3版」(長尾高弘訳、アスキー)と、新版が出て、訳者と発売元が変わっておりました。

Id: #a19991025143649  (reply, thread)
Date: Mon Oct 25 14:36:49 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991025105400
Name: はりがや
Subject: Re: 東京メトロネット災害情報HP
ちょっと文面に違和感を感じてました.

http://proteome.tmig.or.jp/saigai/rinkai.html にて,
>(以下は、 電子技術総合研究所の針谷 喜久雄 博士製作のHPへのリンクです。) 

とあるのは,「製作のHPへのリンク」を「の持っている観測データバッ
クアップへのリンク」などと,直してもらうべきですね.頼んでみます.

Id: #a19991025124449  (reply, thread)
Date: Mon Oct 25 12:44:49 1999
Name: はりがや
Subject: 京都女子大学 特別公開講座
10月16日の講演会
http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/GHDNet/99/rinkai3.htm
の様子については,どこかで伺えるでしょうか?

P.S.「情報ボランティア」の本
http://www.coop.org.tohoku.ac.jp/cgi-bin/take-book?4-87269-077-X
で,電子メールの引用部分にて「====================」
という区切りがあるのは,水野さんのやり方だなぁと拝見した記憶があります.

Id: #a19991025105400  (reply, thread)
Date: Mon Oct 25 10:54:00 1999
In-Reply-To: a0050.html#a19991006143858
URL: http://www.etl.go.jp/~harigaya/
Name: はりがや
Subject: 東京メトロネット災害情報HP
以下のページ,画像だけリンクされていますが...
ちょっとでも,アーカイブが役に立っているならば,幸甚です.

http://proteome.tmig.or.jp/saigai/rinkai.html

>【東京メトロネット災害情報HP】
>平成11年9月30日に茨城県東海村で発生したJCO東海事業所事故に関する情報
(途中略)
>環境放射線モニタリング情報(核燃料サイクル機構のHP)
>(以下は、 電子技術総合研究所の針谷 喜久雄 博士製作のHPへのリンクです。) 
     
***

10月6日の書き込み
http://www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/keijiban/a0050.html#a19991006143858
と前後して,水野さんより,「緊急提言を紹介したメーリングリストなど
を知らせてください」と云うことなので,黒木さんの掲示板に関しても,
水野さん,越智さん,田中さんにお伝えさせていただきました.
http://apollo.m.ehime-u.ac.jp/GHDNet/99/rinkai2.htm#10
には掲載されていませんが,遅ればせながらその旨報告いたします.

Id: #a19991024174820  (reply, thread)
Date: Sun Oct 24 17:48:20 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991021200609
Name: 水野 義之
Subject: 宇宙線中の中性子(補足)
水野@京都女子大です。

どうも気になるので、宇宙線中の中性子の起源について、ちょっと補足しておきます。

科学技術庁の一般向け資料:
http://sta-atm.jst.go.jp/pesco/KAISETU/RAD/radt5.htm
によれば、中性子は、2次宇宙線にしか出てこないように読めます
(つまり、高エネルギーの銀河宇宙線である陽子による大気分子の
核破砕反応で作られる)。

しかしながら、そうだとすると、太陽中性子(これも、やはり、1次宇宙線ですから)
のことは理解で来ません。

KEK(高エネルギー加速器研究機構/高エネルギー物理学研究所)による「やさしい
物理教室」なる解説をみても、やはり中性子は、2次宇宙線になっています:
http://ccwww.kek.jp/public/class/cosmos/rays.html

結局、おそらく、太陽宇宙線中の中性子については、まだよくわかっていない、
ということでしょう。どなたか御存じの方、教えて下さい。なお、この宇宙線の
中性子エネルギーが数MeV だとすると、10MeV を超える成分もあるでしょうから、
それで、窒素14から炭素14が作れはず、でしょう。

***

ご参考までに、英語ページを調べてみると、なんと火星の宇宙線中の中性子を
調べて、宇宙線の未知の問題(例えば、γ線バースト、などというのが、時々
地球にもきていますが)を調べよう、なんて、アメリカ的です:
http://nemesis.lpl.arizona.edu/grs_index.html

このページにも、
The neutrons are produced in the surface from spallation
by cosmic rays. The neutrons are very energetic when created, 
but slow down to thermal energies by scattering off other nuclei. 
と出ていますが、地球と火星の違いは、地球には太陽からの中性子が
まだ届く(光で8分19秒でしたっけ? 中性子の寿命は15分だけど)
のに対して、火星までは、中性子はおそらく殆ど届かず、従って、
火星の中性子は1次宇宙線によって作られるものだけ、という点でしょう。




Id: #a19991021200609  (reply, thread)
Date: Thu Oct 21 20:06:09 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991020213235
Name: 水野 義之
Subject: 238U の崩壊系列/宇宙線中の中性子

238U の崩壊系列の図なら、 ここ にも出ています。ご参考までに。

このように、崩壊系列で関係する核種がたくさんある場合には、(親の238U が長寿命なので)全部が 放射平衡になっているというわけですね。

ついでに、宇宙線のイメージ図が、 ここに出ています。なお、世の中には、なんと 太陽からの中性子もある、ということですが、 まだよくわかっていないと思います。この問題は、名古屋大学太陽地球環境研究所というところで 現在、研究中ということで...(その研究には、阪大の核物理研究センターも一部、協力 をしています)。

なお、私はちょっと勘違いをしていたかもしれません。14C を作る中性子は、 太陽からのものの方が(高エネルギーの1次宇宙線の陽子による核破砕でできる中性子よりも)多いかもしれません。 そうでないと、おかしいと思われる研究も存在しますから。 しかし、太陽からの中性子が、数MeVもある(そうでないと、14N から陽子を叩き出せないので) というのは、ちょっと考えられないです。まあ、だからこそ、活発に研究(加速機構の)がされているのかも^^;;。


Id: #a19991021193715  (reply, thread)
Date: Thu Oct 21 19:37:15 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991020213235
Name: 水野 義之
Subject: 放射平衡による年代測定
水野です。

放射平衡でも、確かによく考えれば、年代測定も出来ますね。
完全に平衡になってしまっては、だめですが、それからのずれで、
わかる、ということみたいですね:
http://www.utp.or.jp/shelf/1998b/060722.html
私も知りませんでした。誰かこの方法でどれくらいまでいけるのか、
ちょっと説明してもらえればうれしい。

私としては、放射平衡そのもの(とは何か)について(ここでは別のMLに書いた記事を
そのまま引用して)、説明に代えておきます。

だいたい、雰囲気はわかると思います。


==========ここから:
From: "水野 義之 (Yoshiyuki MIZUNO)"<mizuno@kyoto-wu.ac.jp> 
Subject: [young-phys:14961] Rinkai Jiko
(中略)

At 20:25 99/10/04 +0900, you wrote:
> U236,Pu240 の長寿命核はどうやって得るのでしょうか?


U236,Pu240 などの(中途半端な)長寿命核は、
超新星が爆発した直後くらいには、おそらく、この世に、たくさん?
あったのだと思います。

ですが、残念ながら、半減期が数千万年なので、その後、この世から
ほぼ、消滅したと思われます(微量ならば、まだあると思いますが)。

で、どれくらいあるか、というと、これは、実は、おそろしく
少ない(ちょっと計算してみると、例えば半減期が4500万年
の場合、45億年たつと、半減期の100倍の時間たっているので、
2^-100 = (2^-10)^10 = (10^-3)^10 = 10^-30 となります)。


で、いったいどうなっているのか、U236の場合でもいいのですが、
234Uでもそうなので、それで考えてみます。

この場合、U238 に比べて、半減期の比が、45億年/25万年=約10^4 も
違うのですから、U238に比べれば、2^(10^4) くらいにすくなくなっている
はずですよね?

しかし、実際には、そうなっていません。234U は、なんと、0.055% も
天然に、まだ残っています。

これはおかしい? 

答えは、「実は、放射平衡、という状態になっている」です。

つまり、上から「落ちて」くる(より重い核からそこへ崩壊してくる)、という
プロセスがあって、U234 は、それによって常に、作られつづけている、
というわけです。

ゆっくり作られては、どんどん、崩壊している、というわけです。こういう
バランス状態を、放射平衡、と呼んでいます。

234U の場合、どういう平衡か、というと、
238U (α崩壊)==> 234Th(β崩壊)==> 234Pa(β崩壊)==>234U
という感じです。この途中の2回のβ崩壊は、非常に早いので、結果的には、
この場合には、238U と234U の放射平衡だと思えばいいわけです。 

で、U236もおそらく、そういう生成プロセスがあって、それの「親」(それは
U236に比べれば、はるかに長い半減期をもっているはず)と、放射平衡に
なっているのでしょう。

Pu240 も同様でしょう。

放射平衡になっている核の場合、その存在比は、関係するプロセスの
それぞれの、半減期の比によって、きまってくる、ということが予想
できると思います。2つの崩壊の、出入りまで含めた連立微分方程式を、
解くことによって、どのようになるか、わかります。

2つの場合は、わりと簡単です。3つの場合や、一般にn個の
核の崩壊を連立させて解くことも、まあ、出来ます(やったこと
あります)。

3つの場合の公式には、なにか、誰かの名前がついていたと思います。


=====

ここまでです。


Id: #a19991020213235  (reply, thread)
Date: Wed Oct 20 21:32:35 1999
In-Reply-To: a0050.html#a19991019012836
Name: こなみ
Subject: 放射平衡

 佐々木さんの疑問のひとつは解けたようだけど、別段宇宙からの放射線がなくても 一定量が保たれている、しかもそんなに半減期が長くない放射性同位元素というのもあるわけで、 年代測定に使えるのですが、そいつは放射平衡という概念を理解しなくちゃいけない。 でも私はヤクザな宮仕えでへろへろ状態ですから、だれか説明してあげてくれないかなあ。

実は138Uからの壊変の様子を使って説明しようとして、化学便覧の同位体一覧を 眺めたのだけれど、原子量が120あたりでうまくつながらなくて、やめちゃった。 昔勉強した放射化学の教科書が見つからず、悲しいのだ。


Id: #a19991020182621  (reply, thread)
Date: Wed Oct 20 18:26:21 1999
In-Reply-To: a0051.html#a19991019222939
Name: まきの
Subject: してみましょうか?

県とかに聞くとなると、それなりに気合いを入れて作文しないといけないので、時間というか精神的に余裕ができたら、、、今なんだか仕様書とか選定理由書とかを山のように作らないといけない状況なので。(それなら掲示版なんかに書いてる場合かっていうと、それはまあそういう状況だから掲示版に書くわけで、、、)
Id: #a19991019222939  (reply, thread)
Date: Tue Oct 19 22:29:39 1999
In-Reply-To: a0050.html#a19991018221803
Name: 水野 義之
Subject: 「どれだけ食べると仮定したんだろう?」
水野です。

まきのさんの「どれだけ食べると仮定したんだろう?」というのは当然の疑問です。

「60倍も違うんだとどっちかにあんまり意味がない」というのも、いい指摘ですね。
県に質問をしてみますか?

だいたい、http://www.pref.ibaraki.jp/news/rinkai.htm
ではえんえんと、同じような数字を並べておられるけれど、1回くらい、
その基礎的な意味とか、測定方法とか、解説をしてくれてもいいのに。


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管理者: 黒木 玄  <kuroki@math.tohoku.ac.jp>  (Web Site)
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