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クルーグマンによる政策提言 (1999年12月)

暗闇への跳躍クルーグマンによる日本の経済政策批判


吉川洋・通商産業研究所編集委員会編著、『マクロ経済政策の課題と争点』 (東洋経済新報社、 2000年4月20日発行) の5-14頁に掲載されているポール・クルーグマンの「流動性のわなと日本のマクロ経済政策――問題提起」 (コンファランス「日本経済の回復とマクロ政策の課題」、通商産業研究所、 1999年12月17日における基調講演) より。

その基調講演の中でクルーグマンは "It's baaack! Japan's slump and the return of the liquidity trap" (1998) や "Thinking about the liquidity trap" (1999) で詳しく説明されている流動性のわなに関するモデルと帰結の概略を説明し、以下のようにマクロ経済政策を提案した:

4 政策提言

 さて私が政策責任者であればどうするか。すべてのことをやることになろう。第1に、少なくともしばらくは拡張的な財政政策も堅持する。第2に、伝統的な枠を超える公開市場買付けを大規模に行い、保守的な金融政策が行われていないことのシグナルとして、マネタリーベースを急速に拡大する。そして第3に、インフレ目標も発表する。その目標インフレ率の水準はかなり高くなければならない。その理由のひとつとして、以下を指摘できる。流動性のわなには陥っていない英国でも、その中央銀行は2.5%のインフレターゲットを発表している。日本は明らかに、もっと高いターゲットが必要である。

 同時に、この目標を実現するために必要なことはなんでも実行することを明らかにし、もしインフレ目標を実現するために現状の政策が不十分であれば、より強力な措置をとる。クリントン大統領は、力強い発言で有名とはいえないが、最近のコソボへの介入では、「勝つまで戦争を続ける」 (we will persist until we prevail) と言った。同じように、日銀も、具体的なインフレ目標を明らかにしたうえで、それを実現するまで必要な金融政策を実施することを明らかにすべきである。

(『マクロ経済政策の課題と争点』の12頁より)

復活だぁっ! 日本の不況と流動性トラップの逆襲」の「Appendix C: インフレ期待を作るには」も参照せよ。