From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Tue May 30 20:25 JST 2000 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id UAA14495 for ; Tue, 30 May 2000 20:25:33 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id RAA22561; Tue, 30 May 2000 17:48:19 +0900 (JST) Date: Tue, 30 May 2000 17:50:33 +0900 From: reformad@ed.niigata-u.ac.jp (reform-ml) Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02839] 文部省態度表明に関する新聞報道・社説(2) To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <200005300842.RAA28320@yahiko.ed.niigata-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02839 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Eudora-J(1.3.8.8r7-J16) X-Sender: reformad@133.35.177.100 Mime-Version: 1.0 Precedence: bulk Lines: 127 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 5919 文部省態度表明に関する新聞報道・社説(2) 今回は社説をまとめます。なお、次の社説はすでに配信されています。 [reform:02827(5/28)] <毎日新聞社説>国立大学 理想の法人目指す一歩に              5月30日 大学改革情報ネットワーク [he-forum 939(5/27)] 『読売新聞』2000年5月27日付社説  ◆法人化を大学改革に生かせ◆  国立大学を独立行政法人化することが本決まりとなった。文部省が制度の具 体的検討を始めるが、真に大学改革につながる制度となるかどうか、課題は多 い。  独立行政法人は、民営化まではできない国の業務を、外部化することで効率 的、効果的に遂行することを目的に構想された。しかし、自由な教育研究活動 を目的とする大学が、経済的な側面からだけ規定されるのは言うまでもなく適 切ではない。  二十六日開かれた国立大学長会議で、文相は、独立行政法人の一般的な形を 規定した通則法との間を調整する特例法を設ける考えを示した。これによって 他のいずれの独立行政法人とも違う、大学の特性を生かした独自の制度が可能 になるという。  しかし、現時点ではその具体的な姿がまったく見えて来ない。多くの国立大 学関係者が不安を抱いているのは当然だろう。  例えば予算執行について文部省は、使途を特定しない国からの運営費交付金 と、教育研究活動の評価を反映させた傾斜配分があり、柔軟さが増すと説明し ている。しかし、交付金と傾斜配分の比率はどうなるのかについては何も決まっ ていない。  授業料についても現時点でははっきりしない。仮に完全に自由化されたら、 高くても学生が集まる大学と安くしなければ集まらない大学など、大学間に格 差が生じ、それが悪循環を招く可能性もある。  こうした懸念は特に地方の国立大学に強い。現状では産業界などからの支援 も少ない地方大学が、一気に中央の大学と対等の立場で競争することには無理 があるとする主張にはそれなりの説得力がある。  全国に均等に配置された国立大学が、これまで地域の教育、文化、産業の基 盤を支えてきたのは間違いない。地方分権の流れからも今後重要性を増す地方 大学への一定の配慮は必要だ。授業料に国がある程度関与するのもやむを得な いだろう。  学長人事がどうなるかについても各大学の関心が高い。自民党が学長選考の 見直しを打ち出していることもあって、大学の自主性が阻害されると受け止め る向きもあるようだが、これは間違いだ。  法人化されれば、教員の給与は大学ごとに労使協約で決める。組織改革など も基本的には大学の裁量に任される。学長にはそれらを混乱なくこなしていく 強力なリーダーシップが求められることになる。  学内力学などが優先し、人気投票のようになっているこれまでの選挙を見直 すのは当然だ。大学の経営能力という観点から、学内外の幅広い層を集めて適 任者を選ぶ仕組みを考える必要がある。  これら新制度の詳細は、識者などによる調査検討会議を設け、来年度中に取 りまとめるという。大学の活性化のため、学生そして国民のため、という基本 を忘れずに、いい制度を立ち上げてほしい。  少子化の進行で、大学が淘汰(とうた)される時代は近い。実際に統廃合の 動きも出始めている。国公私立大学の配置はこの先どうあるべきなのか。国立 大学の独立行政法人化を機に、その論議も始める必要がある。 [he-forum 950(5/29)] 『東京新聞』2000年5月29日付社説 国立大学が変わる好機だが  文部省が国立大学の独立行政法人化に向かって、一段と踏み出した。大学は やみくもな効率化にはなじまないものの、自主、自律の組織へ変わる好機かも しれない。  中曽根弘文文相が国立大学の学長などに、独立行政法人(独法)化のための 調査検討会議を発足させると明らかにしたことで、国立大学の独法化への動き が、さらに一歩進んだ。  もともと独法化は、行政の効率を高めるのが最大の狙いだ。ところが、大学 には基礎研究のように結果がいつ出るか見当もつかない分野や、とほうもなく 資金と人材が要る割に、目に見える成果が上がるとは限らない大型研究もある。 効率化にはなじむまい。  学長の任免権を大臣が握るとか、大臣による中期目標の設定など、独法化に よって大学の自主、自律、自己責任の原則が損なわれる恐れがある。  中曽根文相もこのあたりを考慮し、独立行政法人通則法に調整を加える考え を示している。問題は調整の中身だ。部分的な手直しぐらいで、二十一世紀に ふさわしい知の発信拠点に向かって、国立大学が自己改革を成し遂げることが できるかどうか。  独法化そのものは、いくつかの利点を持っている。例えば、文部省の予算面 や事務局人事を通じた規制を緩め、より柔軟な予算の使い方が可能になる。人 事でも、大学側の主体性をある程度は発揮できるようになろう。  大学の自主、自律を尊重するなら、一歩進めて、自治体や企業からの委託研 究費や寄付講座、寄付金、特定目的奨学基金の設定など、独自の財政基盤づく りを積極的に認めるべきだ。  こうした経営面の努力が、政府支出の削減につながっては意味がない。わが 国の高等教育に対する国費支出の割合は欧州諸国に比べて著しく低い。施設、 設備の充実を含め、むしろ大幅に増額することが望ましい。  大学の運営は、例えば理事会といった機関を設けて一任し、学長や教員人事 に政府が介入することは慎まねばならない。理事会も、年功序列や学部間の回 り持ちといった発想ではなく、経営手腕や実行力を物差しにして、学長や執行 部を選んではどうか。  理事会への学外の人材の起用、大学の経営や研究内容についての情報の公開、 説明責任の明確化、学長や教授の任用に当たっての契約制採用、教育と研究に 対する外部の第三者機関による厳正な評価の導入など、独法化を機会に実現を 図るべきことは多い。  旧態依然とした学部構成の組み替えや、学部あるいは大学のあいだの連携、 地域の国立大学の合併などを大胆に展開するきっかけにもなろう。  国立大学協会は早急に具体案をまとめ、独法化が官僚主導に陥らないように してほしい。あるいは、独法通則法を微調整するより、まったく別の法律を考 えるほうが適切かもしれない。  国立大学は国民の資産である。専門職や研究者の養成を含めて、知の発信拠 点として広く支持されなければ、民営化や統廃合もあり得る。関係者はそのこ とを肝に銘じてもらいたい。