From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Mon May 22 23:03 JST 2000 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id XAA15372 for ; Mon, 22 May 2000 23:03:29 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id UAA19583; Mon, 22 May 2000 20:36:21 +0900 (JST) Date: Mon, 22 May 2000 20:38:33 +0900 From: reformad@ed.niigata-u.ac.jp (reform-ml) Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02807] 広島大学における文部省大学改革推進室長の講演会 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <200005221131.UAA22301@yahiko.ed.niigata-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02807 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Eudora-J(1.3.8.8r7-J16) X-Sender: reformad@133.35.177.100 Mime-Version: 1.0 Precedence: bulk Lines: 95 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 5585  昨日(5月21日)、広島大学において杉野大学改革推進室長の講演会が開催 されました。最近の自民党案に関連する後半部分を紹介します。杉野氏は前日の 20日には新潟大学において講演しており、新潟大学の場合は杉野氏の側から 「話しをする機会を作ってほしい」と大学に持ちかけたとのことです。  この情報は、広島大学の講演会に参加したreform-mlの会員からよせられたも のですが、次のようなコメントが添えられています。  「以下に示すような論理で、これから文部省が各国立大学を説得して回ると 予想されますので、その論理構成にかみ合った反論を組織していただきたいと 思います。要は、『色々心配はあるでしょうが、皆さんの立場に立ってやりま すからご心配なく』と言う論理で、ほぼ満員の聴衆は、完全に説得されたと言 う印象でした。発表者は、講演後の質問に詳しくは回答していませんし、いわ ゆる自民党案も問題のある点(学長人事、評価への学外者の参加など)は隠し ております。極めて不本意ながら、このような論理で国立大学の独立行政法人 化が片づけられてはなりません。」              5月22日 大学改革情報ネットワーク 文部省高等教育局大学課大学改革推進室長 杉野剛氏の講演「国立大学の独立 行政法人化について」と討論の要旨       平成12年5月21日(日)11:00-12:30       広島大学教育学部 1.独立行政法人の制度の特色と経過 (1)「小さな政府」づくりの3形態  (i) 民営化・自治体移管、(ii) 独立行政法人化、(iii) 直営組織の定員削減 のなかで、国立大学は (ii) に該当する。当初は平成15年まで留保されていた が、国家公務員の削減目標(平成13年から25%)の達成のために、前倒しさ れた。 (2)独立行政法人の運営ルールと国立大学への適用  通則法に基づく独立行政法人化の内容を紹介(略)した後、賛否を聴衆(約3 00人)に挙手で問う。「賛成」8人、「反対」10数人、「プラス・マイナス あり」が残り。文部省は「プラス・マイナス論」であり、プラスは5年間の中期 計画期間中の弾力運営にあり、マイナスとは国立大学にふさわしくなく、やって はいけないものであり、それは、(i)中期目標の一方的な行政による提示、(ii) 教育・研究を対象とする評価システムになっていない、(ii) 学長の任命制(現 在の選挙による選出は国立大学の歴史の中で作られた伝統である)である。  現在文部省は、独立行政法人化を活用しながら、国立大学に合わない通則法の 設計図を書き直すことを考えている。  関連して、最近の自民党の提言を「1つの政党ではあるが与党でもあり、これ ほどまとまった提言をした政党は他にない。激辛部分もあるが高く評価すべき注 目点がある。」として、(i) 行革ではなく大学改革の観点から独立行政法人化を 考えている、(ii) 通則法ではなく他の法律で通則法を打破すべきとしている、 (iii) 独立行政法人化は予算削減を意味しないとしている、を挙げた。 (3)独立行政法人化に関わり頻繁に出される意見への見解 *「国立大学にふさわしい制度をなぜつくらないか」について  その可能性はなきにしもあらずだが非常に難しい選択である。その理由は、 (i) 他省庁の研究機関が通則法のもとに独立行政法人化して、霞が関で文部省は 孤立し「仲間がいない」、 (ii) 「私立大学移行論」が台頭する、を挙げた。 *「通則法の修正には限界がある」について  現在でも、国立大学の教官身分や財政には、国家公務員法・教育公務員特例法 (「教特法」)と国立学校特別会計法が適用され、補正して柔軟運用されている ので、通則法でも可能である。独立行政法人化のよいところを生かして、設計図 を作りたい。 2.「法人」の持つ意味  諸外国の例と日本の私学「法人」を比較して、日本の国立大学のみが法人格を 有していない。「法人化」で国立でなくなるのではない。これまでも戦後に、 「公社論」など「法人化」に類似した議論があった。  いずれ結論がでるだろうが、どのような形になろうとも、評価とそれに結びつ いた資源配分は、避けて通れない。ただその評価は、需要と供給で決まる市場原 理に基づくものではない。 質疑応答(筆者が理解できる部分のみ)Q(質問)A(回答) Q1 「学位授与・大学評価機構」も法人化されるのか? A 不明。ただ、国立大学に準ずる共同利用機関なども独立行政法人化すること を念頭に置いてもらいたい。 Q2 通則法の設計図を書き換えるというが、その骨格は「企画立案機能」と 「実施機能」の分離にある。そこまで設計図を変えるつもりか? A 教育・研究を企画立案するのは大学である。教育・研究目標の指示を、国か ら一方的にやることはない。その一方で、基礎研究の重視や大学の枠組み、配置 などには国の関与が必要。現在の文部省と国立大学の関係のように調和させたい。 Q3 企業会計原則はどうなるのか?北大法学部の宮脇教授は、「それを一言で いうと、黒字は出すな、赤字は自前で補てんしろ、ということだ」と言っている。 A 企業会計原則のことは難しい。制度設計には時間がかかる。単に事務が増え るだけとなってはいけない。皆さんに叱られないようにやっていきたい。 Q4 法人した後に、教員に「教特法」は適用されるか? A 昨年9月の文部省の「検討の方向」に、「教特法」の適用を図る方向である としている。自民党案には明らかではないが、同じだろう。 Q5 公務員型か非公務員型か? A 同じ法人内に両者の混在はなく、教官であろうが事務官であろうがどちらか になる。まだ、どちらになるかははっきりしていない。 Q6 定員削減計画はどうなるか? A 独立行政法人化の目的は「小さな政府」づくりにあり、国家公務員を減らす ことが目標ではなく、独立行政法人化して国の直轄事業を少なくすれば行革の目 標達成となるのではないか。独立行政法人化すれば、従来の定員削減計画(10 年で10%)から離れる。しかし、独立行政法人化する前までは、その削減は粛 々と行われる。