From owner-he-forum@ml.asahi-net.or.jp Sun Sep 17 01:36 JST 2000 Received: from ml-dist.asahi-net.or.jp (ml-dist.asahi-net.or.jp [202.224.39.110]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id BAA01097 for ; Sun, 17 Sep 2000 01:36:48 +0900 (JST) Received: from ml.asahi-net.or.jp (ml.asahi-net.or.jp [202.224.39.111]) by ml-dist.asahi-net.or.jp (8.9.3+3.2W/3.7W) with ESMTP id BAA13498; Sun, 17 Sep 2000 01:36:53 +0900 (JST) Received: from localhost (daemon@localhost) by ml.asahi-net.or.jp (8.8.8/3.7W) with SMTP id BAA41752; Sun, 17 Sep 2000 01:31:41 +0900 Received: by ml.asahi-net.or.jp; Sun, 17 Sep 2000 01:31:36 +0900 Received: (from ml@localhost) by ml.asahi-net.or.jp (8.8.8/3.7W) id BAA42996 for he-forum-outgoing; Sun, 17 Sep 2000 01:28:23 +0900 Message-Id: <200009161628.BAA42996@ml.asahi-net.or.jp> To: he-forum Subject: [he-forum 1273] 富山新聞社説09/16 X-Mailer: Mew version 1.94.2 on Emacs 20.4 / Mule 4.1 (AOI) Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Date: Sun, 17 Sep 2000 01:28:34 +0900 (JST) From: Hiroaki Ozawa X-Dispatcher: imput version 20000228(IM140) Lines: 46 Sender: owner-he-forum@ml.asahi-net.or.jp Precedence: bulk Reply-To: he-forum@ml.asahi-net.or.jp Content-Type: Text/Plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 2581 『富山新聞』2000年9月16日付社説 金大ロースクール−法学部の対応遅れれば実らず  北陸三県の国立大で唯一法学部を持つ金大のロースクール(法科大学院)実 現を危ぶむ声が強まってきた。ロースクールを意識して法学部内でまとめた 「法曹コース」構想はあるものの、これを軌道に乗せる学部の盛り上がりが弱 いためだ。金大卒業者が多い金沢弁護士会などから危機意識が大学に投げかけ られる厳しい局面にあり、金大側には時期を逸してロースクールを他大学にさ らわれ金大法学部の評価と機能が低下することのないよう求めたい。  ロースクールは法曹人口拡充のため、今後十年を目安に司法試験合格者を年 間千人から三千人に増やす司法制度改革審議会の方針を背景に、司法試験合格 者増に直結する機関として位置付けられる。旧帝大、主要国立大、有名私大な ど全国二十校近くが名乗りをあげており金大も今年二月、学部三年終了後の三 年制修士課程「法曹コース」を新設して六年一貫教育を行うなどの案を発表し た経緯がある。  しかし、その後の取り組みは金大法学部内の議論に時間を要して文部省や地 元への働きかけが弱く、旧帝大などに後れをとっている。にもかかわらず金大 法学部から、ロースクール実現に必要な環境整備などを求める具体的要請がな いことに金沢弁護士会の方が焦りを覚え、法学部にその促進を迫る動きが出て きた。  「文部省がロースクールを金大に認めるかはボーダーライン上にあると思う。 法学部教官が何を考えているのかを聞き北陸の意見をまとめ内外で運動を起こ さないと危ない」(中山博之同弁護士会司法問題対策特別委員長)。弁護士会 では私立の高岡法科大、北陸大法学部など他大学学生の入学枠も視野に話し合 いの機会を持ちたい意向だが、これも金大法学部の迅速で積極的な対応なくし てありえない。  金大法学部ワーキンググループが二月にまとめた将来構想では「法学部とし ては東大案や神戸大案のような将来のあるべき法曹養成のあり方に対する具体 的提言を行う準備はできていない」(抜粋)と、遅れを認める表現も目に付い た。「その後、学部内でカリキュラムも含めて具体的討議を急いでおりもう少 し時間がほしい」(法学部関係者)というのが大学側の現時点の認識だが、同 格の岡山大などに先行されているのは明らかだ。  独立行政法人化の風圧下、各大学が先を争いロースクール誘致に動く今日、 法学部内の作業の遅れは致命傷となる恐れがある。最悪の事態を生まぬために は楽観論を排して改革に取り組まねばならず、それには、現在毎年の司法試験 合格者がほとんどいない状態になってしまった金大法学部の衰退を止める教官 自身の危機感と、ロースクールに対応した実務型教官採用と絡む法学部内の人 事面の再編を受け入れる度量が何よりも必要である。