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JULY 06,2000

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■小岩井乳業、「酸味ある」と苦情で乳飲料26万本回収へ
 通常上回る細菌検出 

[回収された乳飲料は物流センターに]

 《写真》 カップ容器入り乳飲料の風味異常の苦情が寄せられた小岩井乳業は店頭の対象商品を自主的に回収、首都圏のスーパーなどから回収された乳飲料は埼玉県日高市の小岩井乳業物流センターに運び込まれた=5日午後9時10分

 中堅乳業メーカー「小岩井乳業」(本社・東京)は5日、カップ容器入り乳飲料を飲んだ消費者から「酸味がある」などの苦情が相次いだことから、製造元である岩手県平泉町の平泉工場の生産を中止するとともに、出荷した約26万4000本の回収を始めた、と発表した。同社によると、苦情のあった商品や、同じ日に製造した別の商品からも通常より多い細菌が検出された。苦情を訴えた消費者に体の異常はないという。

 同社によると、5日正午までに、「小岩井 牛乳&女峰いちご」と「小岩井 深煎(い)りカフェミルク」について、それぞれ1件と5件の計6件の苦情が、大阪市や東京都千代田区、横浜市、宇都宮市などから寄せられた。

 苦情のあった商品を調べたところ、いずれも6月27日の製造で、酸味があった。問題の2製品は北海道と沖縄を除く全国で販売されているという。

 同社ではこの2製品と、同じラインで製造された「小岩井 深煎りカフェオレ」「パッソプレッソ カフェラテ」についても自主回収の対象とした。

 同社によると、平泉工場では毎朝、殺菌機や、乳飲料が通る管とタンクを熱湯とスチームで消毒している。風味異常が出た27日も、工場の日報ではいつも通りの消毒をしたという。同社は「どこかで細菌が完全に殺菌されなかった可能性がある」と話している。

 乳飲料に含まれる細菌の量は、食品衛生法で1ミリリットルに3万個までと定められている。同社は社内規定で30個以下としていた。毎日、製品を抜き取り検査しているが、通常はゼロか1個だという。27日の製品の検査では「いつもより少し多い」というゼロから8個検出されたが、異常はないと判断していたという。

 同社広報室では「雪印乳業の問題もあり、自主回収を決めた。お客様にご迷惑をおかけすることになり、心よりおわび申し上げます。今後は品質管理の徹底により、同様のことは再び繰り返さないよう努めてまいります」と話している。



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■モナザイト、借金の担保として各地に分散
 財団側20年以上前に輸入→売却できず15トン放置 

[モナザイトの動き]

 《図》 モナザイトの動き

 財団法人「日本母性文化協会」(3日付で設立許可取り消し)の理事長(84)が保管する放射性鉱石「モナザイト」をめぐる事件の構図が5日、警視庁公安部の調べと関係者の証言で分かった。20年以上前に輸入されたモナザイトが各地で発見されたのは、借金の担保として分散されたためだった。さらに財団が昨年計画した温泉施設事業計画でも処分話が持ち上がり、最後には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との取引があった関係者が絡んだ売買話にまで発展していた。

 ●温泉計画

 公安部の調べと関係者の証言によると、20年以上前に理事長の兄(故人)が、タイから原石150トンを輸入、その中からモナザイトを精製したとされる。理事長は40トンを精製したとしているが、詳細は不明だ。兄や理事長は一部をそれまでの借金の担保として長野県や千葉県、埼玉県などの貸主側に渡した。そのほかは売却できず、約15トンは千葉県市川市の運送会社倉庫に放置されたままとなった。

 事態が動いたのは昨年4月。財団は埼玉県東秩父村に総事業費8億円の温泉施設の建設を計画した。財団最高顧問(73)の知り合いのブローカーらが受注業者を探し、東京都青梅市の建設業者が話に乗った。

 計画の原資は、モナザイトだった。何の根拠もなく、モナザイトはグラム当たり350円と高く見積もられ、約3トンを約10億円で8月末までに売却する計画が立てられた。しかし売却先は見つからず、計画はとん挫した。

 ●警察に相談

 この時点で、建設業者はすでにブローカーらに事業の紹介料600万円を支払っていた。この資金を出したのは、モナザイトを首相官邸などに送りつけた内西次生容疑者(42)=郵便法違反容疑で逮捕。下請けとして解体工事をする予定だった。

 内西容疑者は建設業者に600万円の返済を要求し、建設業者も財団側に抗議。昨年11月には、警察や科学技術庁に相談した。

 追い込まれた最高顧問らは再びモナザイトの販路を探す。三重県の元ホテル経営者らにサンプル用などとして一部を送った。しかし売買は成立しなかった。

 ●北朝鮮への売却話

 内西容疑者に紹介料を貸した男性が今春、北朝鮮との貿易を営んでいた会社の経営者に、モナザイトが売れるかどうかを相談し、財団周辺者の期待が一気に膨らむ。

 財団関係者は6月、男性とモナザイトの処分方法を話し合った。同席した関係者は「男性は『最終的には北にもっていく。平和利用する』と話した」と証言する。一方、この男性は「北朝鮮への売買話はなかった。北朝鮮向けの貿易会社の知人に相談しただけだ」としている。

 話し合いが進む中で、内西容疑者はこれらの商談が自分をはずした形で進められたことに反発。モナザイトの一部を、首相官邸や文部省などに郵送したとされる。「最高顧問が北朝鮮にウラン物質を密売している」との手紙も同封した。

 文部省などに郵送されたモナザイトと手紙が、警視庁に届き、売買話がこれ以上進むことはなかった。



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■偽造たばこ 茨城・東京で押収の段ボール箱の字・絵一致
 同経路か 

 日本たばこ産業(JT)の「セブンスター」などの偽物が見つかった事件で、茨城県八千代町の接骨院経営飯岡恒夫容疑者(51)=商標法違反容疑で指名手配=の関連先から押収された段ボール箱の文字と絵が、社長が逮捕された「矢崎産業」(東京都新宿区)にあった偽造たばこ入りの段ボール箱と同じものだったことが5日、警視庁と茨城、群馬両県警の合同捜査本部の調べでわかった。

 矢崎産業社長の笹井文男容疑者(58)は調べに対し「飯岡容疑者のことは知らない」と関係を否定しているとされるが、捜査本部は、偽造たばこが飯岡容疑者側から笹井容疑者側に流れていたとみている。

 調べでは、警視庁が矢崎産業から押収した段ボール箱189個のうち、数十個の表面に中国の靴業者とみられる「海隆輝鞋業有限公司」と「工芸鞋」という中国語の文字や運動靴の絵が印刷されていた。茨城県警が飯岡容疑者の関連先から押収した段ボール箱数個にも、同じ中国語の文字と絵があった。

 ◆矢崎産業社員、商標法違反容疑で新たに逮捕

 「セブンスター」などの偽造品が出回った商標法違反事件で、警視庁と茨城、群馬両県警の合同捜査本部は5日、すでに逮捕した東京都新宿区、「矢崎産業」社長の笹井文男容疑者(58)とともに偽造たばこを所持していたとして、神奈川県平塚市上吉沢、同社社員西橋進容疑者(66)を同法違反(登録商標の類似品の販売目的所持)の疑いで逮捕した。また、矢崎産業で見つかった約9万5000箱の偽造たばこは、いずれもいったん販売したが、返品されていたものだったことが分かった。



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■患者「人違い」、日大医学部の医学生が再現劇
 「罰金」「無罪」、判決を検討 

[医療事故の再現劇]

 《写真》 講堂の照明効果も利用し、実際の医療事故を再現した劇を演じる医学部生たち=5日、東京都板橋区の日大医学部で

 横浜市立大付属病院で昨年起きた患者取り違え事故を劇で再現し、医者の責任を医療現場の視点から考える授業が5日、東京都板橋区の日大医学部であった。シナリオづくりから実際の演技まで現役の医学生が担当。まだ司法の判断が下っていない医療現場のトラブルに医者の“たまご”たちが真正面から向き合い、医者や病院が果たす社会的役割を考えた。

 劇のタイトルは「すみません、人違いでした」。神奈川県内の公立大医学部付属病院を舞台に、男子学生ふんする病棟の看護婦が患者2人を手術室へ受け渡す際に犯した最初のミスが最後まで発見されなかった様子を忠実にたどった。

 事故発生経緯の説明を求めて食い下がる患者の娘に、汗をぬぐいながら口ごもる病院側の事務長と、スポットライトを浴びた学生は迫真の演技。劇は、死亡した患者の遺族が病院側に損害賠償を求めて民事裁判に訴える架空のやりとりで締めくくられた。最後に学生ら約100人が、起訴された医者らへの判決を「やはり罰金50万円」「無罪でもいいのでは」などと検討した。

 押田茂実教授(法医学)が企画。押田教授は「現在進行形の事故は生きた教材。追いつめられた医者の態度や社会的制裁の重さを感じ医師免許が社会にどんな意味を持つかを考えてほしい」。



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■落選・引退 秘書哀歓――転身、未定、継続

 東京・永田町の衆院議員会館は、新旧議員たちの引っ越しが一段落した。総選挙を機に引退、落選した149人が会館を去った。明暗は政治家だけでなく、手足となって働いてきた秘書の生活にも影を落とす。

 ●物書きで再出発

 4日、小林成基さん(51)は自宅で国会中継を眺めていた。選挙後、1週間は議員会館を引き払う作業に追われ、その疲れからか風邪をひいた。テレビを見ているうちに寝てしまい、首相指名の瞬間は見逃した。

 東京5区で民主党新顔に約4000票差で敗れた自民党の小杉隆・元文相の政策秘書だった。1980年に小杉氏が初当選して以来、右腕として働いてきた。

 都市部を中心に自民党に吹いた逆風。小林さんは「国民の判断は間違っていないと思う。みんな変革を求めている」と、さばさばと話す。が、「まさかうちが落ちるとはね」。

 秘書になる前は、広告代理店や新聞社に勤めた。東京都議時代から都市の環境問題に取り組む小杉氏の姿にひかれて秘書になった。代議士に従うだけでなく、対等に政策を議論し、少しずつ形にできた。

 小杉氏落選後、知人たちから気遣いの電話が多い。再就職先を心配する人もいる。その度に「小杉以外には仕えられないだろうし、小杉以外にぼくを使える人もいない」と答えている。

 しかし、落選を機に秘書を辞めるつもりだ。政策秘書の給料は国が払ってくれた。「それを浪人中の小杉に負担させるわけにはいかない」。経験を生かして、物書きとして再出発しようかと考えているが、あてはない。ローンは人並みにある。手取り月50万円余の固定給がなくなる不安は大きい。

 ●激動の10年

 「ずっと自由になれたらいいなと思っていたんですが……」

 引退した小沢辰男改革クラブ代表の地元秘書を10年間務めた斎藤淳一さん(63)は、少し寂しそうに話す。「いつも有権者から見られているという意識があった。だらしないことをしたらおやじに跳ね返ってくる」。あと少しでそんな緊張感から解放されるというのに、思いは複雑だ。

 4月下旬、小沢氏が新潟市で引退会見をする少し前。「後援会の幹部を集めてくれ」と言われ、「いよいよか」と思った。

 長谷川信・元法相の秘書を約15年間務めた。90年に長谷川氏が亡くなり、小沢氏に雇われた。小沢氏は自民党を離党し、新生党−新進党−改革クラブと動いた。斎藤さんにとっても激動の10年だった。

 これからのことは、まだ分からない。「もう少ししたら、おやじと話し合います。私は秘書以外できないですから」と笑った。

 ●3人目のあるじ

 引退した社民党の北沢清功氏の秘書を10年間務めた増沢ゆ美さんは、比例区北陸信越ブロックで初当選した同党の山口わか子さんの秘書になった。北沢氏の前は旧社会党の女性議員に仕え、秘書歴は通算25年を超える。

 山口さんは北沢氏の後継。当選が決まった6月26日の未明、山口さんから言われた。「これからもよろしく」と。

 永田町の知人らからは「しぶといねえ」と冷やかされる。が、まだやり残したことがある。「社民党の議席は女性が半分。やっと世の中の比率と同じになった。でも、本当に平等な社会にするには、まだまだ政治が頑張らないと」



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■仕事帰りは「都庁大学院」へ――都立大分室の開設を検討
 夜間・土曜の空き会議室を活用 

 東京・西新宿の都庁舎に、都立大のサテライトキャンパス(分室)を設けることを、都が検討し始めた。夜間や土曜日に、庁舎内の会議室などを利用して、社会人向けの大学院レベルの講義を開く。実現すれば、専門知識を身につけたい社会人が帰宅途中に都庁に「通学」することになり、豪華すぎると批判されがちな都庁舎も、少しは身近な存在になりそうだ。

 郊外にある大学が都心に分室を設け、夜間大学院を開講する動きは数年前から急速に広がっている。1991年に八王子市に移転した都立大にとっても懸案事項だったが、民間ビルを借りると賃料がかさむことなどから、実現しなかった。だが、石原慎太郎知事が都立大改革を掲げる中で、都庁舎の有効利用も兼ねて、庁舎内に分室を設けるアイデアが浮上。9月に知事に報告する改革案に盛り込む方向となった。

 開講科目は、経営に関する専門知識や資格取得など、ビジネスマンの関心の深い分野を中心にする。



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■石原知事「軍艦は抑止力…」ただし「不安に対する」
 三宅島出動で発言 

 東京都の石原慎太郎知事は5日、都議会代表質問の答弁で、噴火の恐れで住民が避難した伊豆諸島・三宅島の周辺海域に自衛艦や海上保安庁の巡視船が多数停泊していたことについて、「一種の抑止力になると思う」と発言した。

 石原知事は「三国人」発言に関連し、4月の会見で、大災害のときに暴動が起きた場合について「軍としての発動を提示すれば抑止力になると思う」と話して反発を招いただけに、議場は一時騒然。知事は「不安に対する抑止じゃないですか」とぶ然とつけ加えた。

 9月に都が実施する大規模防災訓練の意義を問われた知事は、三宅島視察にふれ、「島で不安をかこっていた方々からみれば、どこを見ても軍艦あり、保安庁の船あり、退避ができるぞと安心感を持たれたと思う。これは一種の抑止力にもなると思う」と答えた。

 一方、三宅島を視察した知事を出迎えるため、都職員が避難住民に拍手の練習をさせていたなどとして「木っ端役人の考えること」と批判したことについて、議員から「事実が違う」と反省を求められた。知事は「役人たちの名誉のために謝罪します」と神妙に答えた。



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■神奈川県民共済、凶悪犯罪の被害者遺族に見舞金
 最高500万円、制度化 

 神奈川県民共済(宇田川俊春理事長、加入者87万人)は5日、強盗や通り魔殺人など、突発的な凶悪犯罪で加入者が亡くなった場合、最高で500万円を遺族に支払う見舞金制度を新設した、と発表した。同共済によると、共済事業でこうした見舞金制度が取り入れられるのは初めてだという。

 昨年9月に、神奈川県内に住む加入者が強盗殺人事件の被害にあったことから、内部で検討を重ねてきた。

 犯罪で加入者が死亡したり、失明などの重度障害になったりした場合、契約にもとづく保障に加え、最高で500万円を遺族や本人に支給する。死亡者と世帯が別の父母や子どもの場合でも、250万円を支払う。

 掛け金は増やさずに費用をまかなう方針。年間4800万円程度の支出を見込んでいる。

 同共済は、「全国的に痛ましい事件が続き、遺族の経済的損失と精神的なダメージを和らげる緊急な対策が必要と判断した」としている。



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■3年9カ月ぶりに松本サリン民事訴訟再開へ

 松本サリン事件で死亡した7人のうち4人の遺族が、オウム真理教前代表の松本智津夫被告(45)を相手取って総額約5億4500万円の損害賠償を求めた訴訟で東京地裁(一宮和夫裁判長)は5日、1996年12月から中断していた審理を3年9カ月ぶりに再開することを決め、9月13日に口頭弁論期日を指定した。11月には犯罪被害者保護法による刑事裁判の記録の閲覧・コピーが可能になるため、原告側は刑事被告人となっている教団元幹部らの記録を取り寄せ、立証に使う方針だ。

 ◆土谷被告が弁護人を選任、審理再開へ

 オウム真理教の元幹部でサリンを製造したなどとして、殺人罪などに問われた土谷正実被告(35)は5日までに、新たな弁護人の選任届を東京地裁に提出した。

 土谷被告は4月24日に弁護人を解任し、審理が止まっているが、これで再開する見通しとなった。



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■《青鉛筆》

 ▽埼玉県川越保健所の検査ミスによる製品回収で打撃を受けた食肉加工会社2社の売り上げ向上にと、県の共済組合が5日、ハム、ソーセージのカタログ販売を始めた。

 ▽県庁食堂の入り口で、約3000円−8500円の商品カタログと注文用紙を職員に配布。初日だけで予想を上回る147件、約60万円の注文があった。中には10点注文した人も。

 ▽ある職員は「補償問題になれば給与が減るかも」。来週には県庁食堂でハム料理の新メニューが登場する予定。ハムづくしの夏になりそう。


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