From owner-he-forum@ml.asahi-net.or.jp Mon Jun 12 17:03 JST 2000 Received: from ml-dist.asahi-net.or.jp (ml-dist.asahi-net.or.jp [202.224.39.110]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id RAA10565 for ; Mon, 12 Jun 2000 17:03:02 +0900 (JST) Received: from ml.asahi-net.or.jp (ml.asahi-net.or.jp [202.224.39.111]) by ml-dist.asahi-net.or.jp (8.9.3+3.2W/3.7W) with ESMTP id RAA28846; Mon, 12 Jun 2000 17:03:03 +0900 (JST) Received: from localhost (daemon@localhost) by ml.asahi-net.or.jp (8.8.8/3.7W) with SMTP id QAA15538; Mon, 12 Jun 2000 16:58:29 +0900 Received: by ml.asahi-net.or.jp; Mon, 12 Jun 2000 16:58:24 +0900 Received: (from ml@localhost) by ml.asahi-net.or.jp (8.8.8/3.7W) id QAA34006 for he-forum-outgoing; Mon, 12 Jun 2000 16:54:57 +0900 Message-Id: <200006120754.QAA34006@ml.asahi-net.or.jp> X-Mailer: Microsoft Outlook Express for Macintosh - 4.01 (295) Date: Mon, 12 Jun 2000 17:02:09 +0900 Subject: [he-forum 1006] 北大評議会の議論 From: "服部 昭仁" To: reform@ed.niigata-u.ac.jp, he-forum@ml.asahi-net.or.jp Mime-version: 1.0 X-Priority: 3 Content-transfer-encoding: 7bit Sender: owner-he-forum@ml.asahi-net.or.jp Precedence: bulk Reply-To: he-forum@ml.asahi-net.or.jp Content-Type: text/plain; charset="ISO-2022-JP" Content-Length: 6282 2000年6月12日      国大協総会を前にした北大評議会の議論    独立行政法人化問題を考える北大ネットワーク 1.北大ネットワークの声明を評議会メンバーへ  独立行政法人化問題を考える北大ネットワーク(以下、北大ネットワーク)は 6月5日に声明「北大の全学的意思の確認を求めます」を発表した。この声明は reformを通じて全国発信する一方、北大の教職員にも配信し、また丹保総長を始 めとする北大評議会構成員に対しては同じ内容の文書を送付ないしは直接、手渡 した。さらに道内紙ではあるが、報道発表も行った。  声明の趣旨は次の3点である。(1)さきの5・26中曽根文相説明に対して、昨年の 9・20有馬文相挨拶からのちの経過、特に今年に入ってからの自民党と文部省の折 衝経過を何ら明らかにしないまま、国立大学に調査検討会議への参加を呼びかけ た不透明な態度を批判した。(2)このような状況のなかで結成されようとしてい る調査検討会議の結論は5・9自民党提言の具体化以外に考えられないため、国大 協はそれへの参加を見送り、国立大学構成員の総意に基づいて独立行政法人化問 題の是非を判断すべきことを主張した。(3)北大評議会に対しては、北大ネット ワークなどのアンケート調査によると、全学投票を実施して北大の意思を集約す べきとの声が圧倒的に多い事実を紹介して、少なくとも北大構成員の意向を踏ま えた十分な議論を行うよう要請し、また評議会が先頭に立って大学憲章制定の運 動を起こすことを訴えた。 2.北大評議会−丹保総長の理解  主に予算を審議、決定するために開催された6月7日の臨時評議会では、議題 ではなく報告事項であったが、独立行政法人化問題に関して丹保総長がおよそ1 時間にわたり5・26文相説明の紹介やそれに対する自身の評価を述べたあと、1時 間半近く質疑応答と議論が行われた。  文相説明に対する丹保総長の評価は、およそ次のとおりである。  ・通則法そのままの独立行政法人化ではなくなった  ・行政改革のための独立行政法人化ではなく、高等教育発展のための独立行政   法人化であることがはっきりした  ・大学の自主性、自律性について重みを持った位置づけを述べた  ・文部省として公式に調整法ないし特例法に初めてふれた  ・設置形態は文相が言明した以上、調整法ないし特例法による独立行政法人化   以外に選択肢がなくなった  そして丹保総長は、独立行政法人大学の場合、次のような措置になるだろうと 述べた。  ・教員人事:(通則法では、独立行政法人の職員は法人の長が任命する、とな   っているが、)教員人事については教授会の意向を尊重  ・中期目標:(通則法では、独立行政法人の中期目標は主務大臣が定めること   になっているが、)大学の場合は、主務大臣が大学の意見を聞いてそれを尊   重  ・評価:(通則法では、独立行政法人の評価は、主務省に置かれる独立行政法   人評価委員会が行うことになっているが、)大学の教育・研究の評価につい   ては大学評価・学位授与機構が行う  ・学長の任命:(通則法では、独立行政法人の長は主務大臣が任命することに   なっているが、)学長の任命に当たっては、主務大臣が大学の申し出を聞く  ここで北大ネットワークの基本的態度を述べておくと、丹保総長の理解、特に 前段の文相説明に対する評価については到底、容認、同意できるところではない。 評価の基準が北大ネットワークとはあまりにかけ離れている。このような丹保総 長の態度を文字どおり全面的に批判しなければならないと考える。 3.北大評議会の議論  丹保総長の説明に対しては評議員から疑義や要望が提示された。以下に各評議 員の発言の概要を記す。 (1)国大協総会で調査検討会議への参加問題を議論するにしても、  ・調査検討会議で検討するのは調整法ないし特例法だと思うが、文部省が調整   法などの内容をどのように考えているのか、いっさい明らかになっていない。   その情報が開示されてから国大協として参加の是非を議論すべきではないか。  ・調整法(特例法)の内容如何では、通則法+調整法(特例法)で良いのかど   うかわからない場合があるはずだ。(そのためにも調整法等の内容を文部省   は事前に公開すべきだ、という意)  ・平成9年に国大協も北大評議会も独立行政法人化反対の決議をしている。こ   の決議は現在も生きているはずであり、これを踏まえて参加問題を議論すべ   きである。  ・文部省は自主性、自律性が拡大すると言い、大学の人間は自主性、自律性が   失われるのを危惧している。同じ自主性、自律性といっても双方の使い方に   明らかに隔たりがあるので、言葉の定義を明らかにしてから議論に臨むべき   だ。 (2)国大協総会の議論が調査検討会議に参加するようなことになった場合、次のこ とを実行してほしい。  ・平成9年の国大協決議の意思を明確に表明して参加すること。  ・国大協は国立大学憲章(仮称)を掲げ、大学のあるべき姿についての見解を   明確にして参加すること。 ・調査検討会議の状況を国民の誰もがリアルタイムに把握でき、調査検討会議   と平行して国民的議論が可能になるよう、情報公開の具体策を文部省が提示   してから参加すること。 ・以上の3つのうち部分的にしか認められず、参加するかどうかの判断が難し   い場合は北大に持ち帰って議論すること。 4.北大ネットの運動、評議会の議論に影響  以上のような評議員の発言はこの1年間、独立行政法人化問題を真摯に考えて きた状況を遺憾なくあらわしている。すでに紹介したとおり、この議論は議題と してではなく報告事項のなかで行われたので、評議会議事録には残らないであろ うし、また国大協総会における総長の言動を拘束するものにもならないだろう。 事実、丹保総長は、(平成9年の北大評議会)決議があるからといって、(調査 検討会議の)議論に参加しないとはいわない、と玉虫色のまとめを述べている。 だが、このようにかなり突っ込んだ議論が行われたのは事実で、評議員の発言内 容を終止まじめにメモした丹保総長にとっても各発言の重みは決して小さくない はずだ。  北大ネットワークの声明における具体的要望点が実現したわけではないが、声 明が一定の影響を与えて評議会の議論が活性化したとみてよいだろう。情勢を踏 まえた運動を重ねてゆくと、必ずや良識に満ちた方角から反応があることをあら ためて確認した。北大ネットワークは13日と14日に開催される国大協総会の行方 とその後の情勢展開に最大の注意を払いつつ、情勢に応じた北大ネットワークの 態度表明を引き続き北大内と全国の大学に発信していくつもりである。