From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Tue Jun 10 00:00 JST 2003 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3p2/3.7W) with ESMTP id AAA21365 for ; Tue, 10 Jun 2003 00:00:54 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id XAA12775; Mon, 9 Jun 2003 23:28:14 +0900 (JST) Date: Mon, 9 Jun 2003 23:28:03 +0900 From: "Ryuzaburo Noda" Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:04770] アメリカと小泉首相があたふたと自衛隊をイラクに派遣しようという理由     To: Cc: Message-Id: <002601c32e93$565c0fd0$0200a8c0@sotecakyyc9va0> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 04770 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Microsoft Outlook Express 6.00.2800.1106 X-Priority: 3 X-MSMail-Priority: Normal X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V6.00.2800.1106 Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Precedence: bulk Lines: 207 Content-Type: text/plain; charset="iso-2022-jp" Content-Length: 11911 前回に引き続き、阿部政雄さんの意見を紹介します。(出典aml) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・  意見  アメリカと小泉首相があたふたと自衛隊をイラクに派遣しようと      いう理由  今、イラク戦争の出鱈目と日本政府の常軌を逸した対応ぶりがますますはっきりし てきている。  米英両国でも、未だにイラク攻撃の口実であった大量破壊兵器が発見されない事実 に両国政権は痛烈な批判を浴び、ゆすぶられ始めているし、シラク仏大統領も「イラ ク戦争には正統性がなかった」という立場を堅持している。  ところが、日本の政府、与党には、大量破壊兵器が見つかっていないことに対する 責任追求もほとんどない見られない。日本に関係おおありなのに、一切関わりないと 認識しているのは、摩訶不思議な現象だ。  有事立法の成立を含め、何故、小泉首相が、こんなにあたふたとイラクへの自衛隊 派遣のための「イラク復興支援法案」(仮称)を今国会で成立させようと焦っている 背景を考えてみた。 1)第一に、もともと戦後の青写真もなしに、イラク攻撃を開始したアメリカは、こ の段階でイラク統治にますます高まる抵抗に直面して、狼狽している。 a) 4日付の米紙ワシントン・ポストによると、イラク各派は、復興行政を率いるブ レマー文民行政官が米国指名による拡大評議会設置の方針を発表したことに反発、予 定通り7月に数百人規模の全国会議を開き暫定政権の選出を検討しており、ブレマー 氏による復興行政は大きな困難に直面しそうだ。 これまで米国寄りの姿勢が強かった主要反フセイン組織のイラク国民会議(IN A) の報道官は「米国指名の評議会は有益ではなく、成功しない」と批判し、イスラム教 シーア派組織イラク・イスラム革命最高評議会や有力クルド人組織も米方針に反発し ている。 b)7日、イラク北部ティクリート近郊で、米兵がロケット弾と小火器による攻撃を 受け、1人が死亡、4人が負傷した。ここしばらくの間、ファ ルージャその他の地 域でも米兵がイラク人側の攻撃によって命を落としているという事件が頻発してい る。  このような傾向が高まって行けば、当然、アメリカ国民のイラク占領に伴う犠牲の 大きさへの反発がますますはげしくなるではないかと言う懸念。 c)米国防総省の国防情報局(DIA)がイラク戦争開戦前の昨年9月、「イラクの 化学兵器の保有・製造を示す信頼できる情報はない」などとする機密報告書を作成し ていたことが6日、判明した。戦闘終結後の現在もイラクでは、大量破壊兵器は見つ かっておらず、米国内外から戦争口実の情報操作、ねつ造の疑問も出ており、疑惑は 広がりそうである。一方イギリスのブレア首相に対しては、イラクの大量破壊兵器保 有疑惑をめぐって議会や国民を誤解に導いた、と非難する声が噴出、大量破壊兵器が 発見されなければ、支持者を含めた有権者の支持を失う恐れが出てきている。  つまり、米英によるイラクの占領政策は、両国にとって今後、厳しい犠牲を強いら れるという現実が、ブッシュ政権が日本に自衛隊派遣をせっつく最大の理由となって いる。  6月3日に、山崎拓自民党幹事長ら与党3党の幹事長と会談したウルフォウィッツ 米国防副長官は、日本のイラク復興支援について「日本が主体的に決めることだが、 非戦闘地域での施設、輸送、通信などの後方支援に大きな期待を持っている」と具体 例を明示したうえで、自衛隊派遣への期待感を改めて強調した。  また、6日の新聞報道によれば、米政府高官は6日、毎日新聞に対し「日本は主要 な拠出国。現在約束している人道支援とは別に、多くの分担をしてくれると信じてい る」と述べ、日本政府が復興の最大級の支援国になることに強い期待感を表明した。 同高官は「イラク戦費の分担は求めなかった。その分日本には余力がある」とも指摘 した。その総額は1000億ドル(約11兆8000億円)規模と言われている。  かってに戦争を始めておきながら、日本に復興の経費を見ろと言う要求には、あっ けに取られるばかりであるが、ブッシュ大統領は、小泉首相の頭を撫でさえすれば、 「打出の小槌」のように日本からは願ってもない高額な支援金をザクザク出てくると 勝手に思っているようだ。小泉首相は、国会に図らずこんなことを約束する権利があ ると思っているのだろうか。ネオコン族の面々も日本の首相と言うものは、どうして ここまでアメリカ舳の思いやりが深いのかとほくそ笑んでいるだろう。  小泉首相ばかりではない。自称国士気取りの、「日米運命共同体」の立て役者、大 勲位中曽根康弘元首相も俺の出番とばかり「できたら有事立法と同じように野党と事 前調整をうまくやって早く(新法を)切り上げるのが賢明だ」と述べ、民主党などと の協議を早急に進めるべきだと、エールを送っている。  一方、小泉首相も、7日午後、自民党の山崎拓幹事長ら与党3党の幹事長と都内の ホテルで会談し、イラクへの自衛隊派遣を可能にする新法「イラク復興支援法案」 (仮称)を今国会に提出し、その成立を指示した。幹事長側は了承、新法は4年の時 限立法とすることで一致したという。これは、総裁の再選の好機と小泉氏は考えてい るのだろう。  しかし、今月初旬、日本政府のイラク支援再開に向けた視察のため、バグダッドを 訪問中の国際協力事業団(JICA)の川上総裁は4日、市内で会見し「保健、医療 や電力、上下水道などの支援分野について、即効性を念頭に優先順位をつけていきた い」と述べた。  実はこの点がアメリカにとって、最も日本にやってほしくない仕事なのである。ア メリカとしては、日本がこうしたこうした民生お生活安定の復興事業に精をだし、イ ラク国民から、感謝を受け、「やっぱり、復興は日本に限る」と日本の再進出を促す ような流れが最も阻止したいというのがその基本政策であるからだ。  湾岸戦争でも、今度のイラク戦争でも、アメリカにとって最大の戦略目標は、日本 における親米的政治家をリモートコントロールして、とにかく日本を中東アラブ地域 において「日本帝国軍隊」という姿を露呈させ、所詮日本も米英なみの「ならず者植 民地主義国家」としてのイメージを焼きつけたいのである。自衛隊を派遣し、占領政 策の片棒をかつがせ、日本がこの地域に二度と入り込めほどにイメージダウンさせ、 反日感情を醸成したいというネオコンの罠にほからならない。  イラクに武器まで携えた日本軍が送り込んでくれることは、憎まれ役をアメリカの 代りに代行してくれる、日本兵がたとえ一人でもイラク人を殺せばイラクばかりか、 アラブ、イスラム諸国から日本への非難が殺到する、日本兵に死傷者でも出ようもの なら、日本人のイラク人憎しのナショナリック感情が高まり、日本とアラブ諸国の対 立感情を誘発できる。そして、日本の石油輸入がますます難しくなッてアメリカに石 油購入を頼らざるをえなくなる。正にアメリカにとって「一石、十鳥」の特効薬に他 ならない。小泉純一郎という名は、惜し気なく金も軍隊もアメリカのために提供して くれる気前のいい名首相として、アメリカの外交史の中で特筆大写されることだろ う。 ブッシュ大統領の別荘に招待するくらいで、これほど霊験あらたかな功徳が生まれる とは、日本を「飛んで火に入る夏の虫」だとほくそ笑んでいるのでないか。小泉純一 郎氏にとっては、首相の座に一日も長く座っていることができるためにブッシュ大統 領の後ろ楯が必要だから、両者の利害は正に一致しているのだろう。  とわいえ、これは大統領、首相と言う個人の利益の上で思惑が一致しただけのお話 にすぎない。日本の軍隊が中東アラブ地域に登場し、「その手を血で汚す」占領軍と しての役割を果せば、中東地域で戦後、とくにオイルショック後に商社マン、技術 者、 NGO関係者がアラブ中東との経済、技術、教育、文化などの分野で長い間かかって 営々と築き上げてきた「親善の掛け橋」は他なるぬ日本政府、いや首相のエゴイズム による絨毯爆撃によって、橋桁もろとも、破壊されてしまうであろう。  天然資源に乏しい日本が今後生きて行くためには、日本の産業にとっての米とも言 われる石油がアラブ中東から、簡単に手に入らなくなったらどうするのか。諸国民と の信頼と協力に頼るしかない、今後の日本にとって、日本が米英ともども二度と来て ほしくない国に変身することによる打撃は計り知れないものになろう。  思えば、戦後とくに「日米運命共同体」といった声が高まる頃から、日本人は、日 本の歴史自身を顧みる人びとが少なくなってしまった。これもアメリカの”民主 化”、 グローバリゼーションが進展して行った副産物であろう。  ここに、日本のかっての海外出兵の歴史の中で想起する必要がある2つ惨めな悲劇 を紹介したい。  ひとつは、1918年8月の日本のシベリアに出兵である。直接の目的はロシア革 命を食い止めようとする連合軍のチェコ軍の救出だったが、実際はザバイカル州以東 に白色傀儡政権を樹立することだった。ちょうど第1次大戦と期間と同じ4年3ヶ月 もの長い間戦った日本は、1922年10月、4600人の戦病死者を出し撤兵し た。 最盛時3個師団(7万人)で超年月のわりには軽微な損害だったともいうが、460 0人の兵隊の死の陰でどれだけの人びとが泣いただろう。 もう一つ、昭和14年のノモハン事件は、当時のいわゆる満州国と、ソ連の強い影 響下にあったモンゴル人民共和国と境界線争いであった。日本側が思っていた国境線 とソ連側が思っていた国境線が違い、それを片づけようと日本軍が意図したために起 こったもの。1939年5月11日に始まった外蒙軍と日本の関東軍・満州国軍による 武力衝突で日本側が完敗し、9月15日、モスクワで休戦協定が成立した。ソ連側は、 兵隊あがりの名将、ジューコフという将軍に将軍がもとめる兵器、爆薬をすべて与え られ、一方、仕掛けた日本軍の装備はというと、まるで織田信長の時代の装備に ちょっ と毛が生えた程度だったという。あるのは大和魂だけだったのだろう。日本軍の死傷 率は75%にものぼったが、死傷率75%というのは世界の戦史にないのではない か。 これも靖国教育のたまものだったのだろう。   (1959〜61年に松竹大船/にんじんくらぶによってつくられた巣ぐれた反戦映 画『人間の条件』(監督・脚本 小林正樹 原作 五味川純平、 出演 仲代達也/ 新珠三千代)の最後のシーンがこのノモハン事件であったと記憶している)  イラクへの日本の自衛隊派遣の結末もこれと似たような結果になることを危惧す る。 イラク人には異国の占領軍には激しい抵抗運動をしてきた長い歴史がある。またイギ リスが1936年から39年にわたってパレスチナで展開された植民地主義的ユダヤ 人移民とそれを後押しするイギリス政庁への大反乱の中で、イギリスは世界に散ら ばっ ていたイギリスの軍隊の3分の1を投入することによって、かろうじてその反乱を鎮 圧し、その首謀者を根だえしにしたという記録がある。まさか、米英はそこまで見越 して、今回の自衛隊の派遣を考えている訳でもあるまいが、こうした歴史をひもとい てみる必要はおおありである。  これからの国会の最大の議題は、中学生でも思いつかないような危険で破壊的な 「戦争ごっこ」ではなく、戦争をいかに防げるかをアジアの、そして世界の国々、ま た諸国民とどんどん話し合うことであろう。ブッシュ大統領にも是是非非主義でどん どん働きかけてほしい。 小泉さん、ブッシュが危険な道を駆け出している時、それを忠告してとめるのが友人 の務めではないか。  友人が世界を奈落の底に落としかねない危険なコースを辿っているのに、それを諌 めるどころか、その露払いをして得意になっているなんて、ある意味では小泉は、 もっ と反米分子とい言えよう。    こうした中、一昨日とどいたメールには、以下のような貴重な前向きの提案があっ たので御紹介したい。  「イラクでの戦闘は一応終結しましたが、戦争の目的であった大量破壊兵器は発見 できていません。これだけ捜索してもないということは、仮に今後出たとしても大量 に保有していたとは考えられず、誤りであったということになります。   今回の戦争はもともと正当性に疑義がありましたが、その理由が崩れたわけです から米英はイラクの現状回復とフセイン政権への賠償の義務が生じるのではないで しょ うか。 国際司法裁判所へ提訴すべきです。」  皆さん、どう思われますか。イラクを勝手に破壊して大儲けしたベクトル、ハー バー トンといったネオコンがらみのアメリカの企業が、イラクを原状に復帰させる義務が ある。日本の行う復興の仕事の経費も、本来、ネオコンがその費用を支払うのが筋で はないか。 阿部拝     masao-abe@hi-ho.ne.jp ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   野田隆三郎   TEL/FAX 086-294-4020  e-mail nodarr.193@do9.enjoy.ne.jp