From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Tue Nov 26 23:16 JST 2002 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id XAA15270 for ; Tue, 26 Nov 2002 23:16:15 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id WAA01500; Tue, 26 Nov 2002 22:31:17 +0900 (JST) Date: Tue, 26 Nov 2002 22:31:10 +0900 From: TSUJISHITA Toru Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:04334] [Weekly Reports 100] 国立大独法化問題週報目次と抜粋 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 04334 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= User-Agent: Wanderlust/2.10.0 (Venus-pre) Mime-Version: 1.0 (generated by SEMI 1.14.4 - "Hosorogi") Precedence: bulk Lines: 425 Content-Type: text/plain; charset=ISO-2022-JP Content-Length: 25535 国立大学独立行政法人化問題週報 目次と抜粋 *Weekly Reports  No.100 2002.11.25 Ver 1.01 http://ac-net.org/wr/wr-100.html 総目次:http://ac-net.org/wr/all.html 講読(無料):http://www.mag2.com/m/0000031268.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目 次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-0] 内容紹介  [100-0-1] 世界科学者連盟会長からの全国ネット支持のメッセージ  [100-0-2] 学校教育法改正案可決  [100-0-3] 国立大学協会第155回定期総会  [100-0-4] パブリックコメント募集〆切:教育基本法(12/15)・日本学術会議(12/3)  [100-0-5] 「利益相反委員会」の真の趣旨  [100-0-6] プログラムオフィサー導入は「官僚主導型の徹底」  [100-0-7] 大学は誰に由来するか.  [100-0-8] 実際主義と無関心 [100-1] 世界科連が全国ネットのアピール[99-1-1]を支持  [100-1-1] [he-forum 4758] 世界科連が全国ネットのアピールを支持(2002.11.22)  [100-1-2] [he-forum 4768] 世界科学者連盟会長のメール(2002.11.24)   [100-1-2-1] メール本文  [100-1-3] ユネスコ第31回総会で採択された文書  [100-1-4] ユネスコCIセクタの戦略的目的 [100-2] 国立大学協会 定期総会(2002.11/13-14)  [100-2-1] 国立大学協会総会サイト:配布資料リスト  [100-2-2] 首都圏ネットによる電子化  [100-2-3] しんぶん赤旗  [100-2-4] 国大協第8回国立大学法人化特別委員会資料(目次)  [100-2-5] 国大協法人化特別委員会法制化グループ:国立大学の法人化に関する [100-3] 国立大学協会総会に対する諸声明    [100-3-1] 全国ネット事務局長: 「11月13日・国大協総会 学長への訴え」  [100-3-2] 全国ネット国大協に独法化反対署名提出(505法化反対署名)  [100-3-3] 首都圏ネット声明:国大協総会は独白紙に戻し、97年決議に立ち戻るべきである  [100-3-4] 東京大学職員組合声明:東京大学は、国立大学「法人化」=独法化の  [100-3-5] 発行者「国大協総会11/13にあたっての要望」   [100-3-5-1] 「国大協は何をしたか、何をすべきか」lDE2002年9月号  [100-3-6] 速報No21 特集:人事WGの「検討結果」(中間報告) [100-4] 中央教育審議会中間報告「教育基本法見直しの必要」2002.11.15  [100-4-1] 中教審、「基本法の見直し」についての意見募集12/15まで  [100-4-2] 俵 義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)談話  [100-4-3] 北海道新聞(2002.11.15)「議論抜き 駆け込み提出」 [100-5] 国立大学独立行政法人化関係の国会審議   [100-5-1] 参議院予算委員会2002.10.25 西岡武夫議員  [100-5-2] 参議院文教科学委員会2002.11.7西岡武夫議員 [100-6] 学校教育法改正(大学評価機関の文部科学省認証制等)法案を可決  [100-6-1] 参議院本会議で可決2002.11.22  [100-6-2] 参議院文教科学委員会で可決2002.11.21  [100-6-3] 衆議院文部科学委員会2002.11.8 で可決   [100-6-3-1] ■児玉健次議員質疑   [100-6-3-2] 中西績介議員質疑   [100-6-3-3] 反対討論:石井郁子議員・山内惠子議員  [100-6-4] 衆議院文部科学委員会2002.11.1 議事録より  [100-6-5] 天野郁夫(国立学校財務センター教授)「大学評価の新時代」 [100-7] 独立行政法人制度の諸問題  [100-7-1] 独立行政法人会計基準の見直しに関する中間論点整理について  [100-7-2] (毎日)「独立行政法人>役員数、国から分離前の3倍に 半数は天下り」 [100-8] 産官主導体制に学術研究活動全体を収納する作業の仕上げ段階  [100-8-1] (朝日)「科学研究予算、一線研究者が選択 官僚主導型を転換へ」   [100-8-1-1] 競争的資金制度改革プロジェクトホームページ   [100-8-1-2] 競争的研究資金制度改革について 中間まとめ2002.6   [100-8-1-3] 第6回競争的資金制度改革プロジェクト(2002.11.1)配布資料   [100-8-1-4] PO及びプログラムディレクター配置の実行計画の概要(PDF)   [100-8-1-5] 競争的研究資金制度改革の主な実施状況  [100-8-2] 利益相反ワーキング・グループ報告書(2002.11)  [100-8-3] 内閣府:「日本学術会議の在り方について 中間まとめ」   [100-8-3-1] 意見募集締切2002.12.3 [100-9] 公務員制度改革についてのILO勧告  [100-9-1] 朝日2002.11.21「ILO、公務員制度改革の勧告承認」  [100-9-2] 朝日2002.11.20「ILO、日本の公務員制度改革で政府に厳しい勧告」  [100-9-3] 日経2002.11.21「ILO、公務員のスト権で日本政府に再考促す」  [100-9-4] 全国労働組合総連合事務局長談話 2002.11.20  [100-9-5] ILO結社の自由委員会中間報告(2002.11.21 全労連国際局・仮訳) [100-10] 意見・解説の紹介  [100-10-1] 豊島耕一「結果偏重の価値観は問題」(2002.11.19)  [100-10-2] 小田垣孝 "What is going on in Japanese Science and Universities"  [100-10-3] 養老孟司「科学と国民の距離英語で論文を書く理由」  [100-10-4] 「日本の学術成果の世界への発信のあり方をめぐって」  [100-10-5] 田中宇の国際ニュース解説2002.11.11号  [100-10-6] 池田信夫「インターネットを非合法化する個人情報保護法」  [100-10-7] 加藤周一「日本はどこへ行くのか」岩波ブックレットNo. 410 1996 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-0] 内容紹介 ---------- [100-0-1] 世界科学者連盟会長からの全国ネット支持のメッセージ 第100号が久々の朗報を報告できたことは嬉しい。世界科学者連盟会長が、 先日の全国ネットのユネスコへのアピールを重視し、日本の科学者による独立 行政法人化反対の運動を支持するメッセージを広く送付した[100-1]。そのメー ルの中で、会長はこう指摘している:科学と技術の諸活動を支配することを究 極の目的とする戦いを「私的既得権益」が世界全域で展開しているが、その戦 いと日本政府の独立行政法人化政策とのつながりはもはや見すごせない段階に 達している、と。また、2001年のユネスコの第31回総会でも、この「戦 い」により、情報関係の重要な決定が阻まれた、とも指摘している。 実際、ユネスコの最近のCI(コミュニケーションと情報)セクタの文書 [100-1-4]には、マスメディアの巨大合併の進行により表現と思想の自由に制 約が加えられ、アイディアの自由な流れと情報への自由なアクセスとが制約さ れる危険性が高まっていることへの懸念が述べられている。しかし、昨年のユ ネスコ総会が採択した「世界文化多様性宣言」の行動プラン[100-1-3]には言 及がない。  国立大学が実際主義[100-0-8]から黙々とすすめている「国立大学法人化」 の準備作業は、世界的な視野で見れば、人類文化全体が曝されている脅威の源 にある「既得権益」に、日本の大学社会が全面的に協力させられる体制の準備 作業にもなっていることを見落としてはなるまい。 ---------- [100-0-2] 学校教育法改正案可決 文部科学省が認証した「第三者評価機関」の評価[99-2]を受けることが、国 立大学だけでなく、すべての大学に義務付けられることになった[100-6] 。し かも、私大、短大、法科大学院、等、種別毎に第三者評価機関を設立する動き があり、大学の「種別」ごとに、ただひとつの「文科省認定第三者評価機関」 が設立されることになりそうだ。また、法科大学院の評価機関設立を予定して いる日弁連は、政府からの独立性の強い機関だが、認証作業を受けることが政 府の介入を許す契機となる懸念も指摘されている[99-2-2]。 なお、衆議院文部科学委員会の審議の中で、児玉議員の質問に対し、文部科 学大臣が驚くような発言をしている[100-6-3-1]:「みずからの教育研究をしっ かりやっていれば、どんな評価されたって、堂々としていればいいと思います ね。しかも、この評価が学問研究の中身、あるいはその質の中身に入って評価 するものではないわけですね。」これは、大学評価は儀式に過ぎないことを表 明したものであり、大学評価に伴う膨大な作業に疲弊する大学社会にとっては 徒労感を増す発言である。 お役所の限度を越した「無責任な責任感」が社会の活気を奪い破壊していく。 その行き過ぎを国会はチェックし、ジャーナリズムは批判してほしい。 ---------- [100-0-3] 国立大学協会第155回定期総会 国立大学協会総会では、国立大学自身の「法人化法案」が提示されると予想さ れていたが、国立大学協会法人化検討特別委員会の「5つの重要論点」が確認 されただけに留まった。しかも来年2〜3月に法案が公表された段階での臨時 総会開催を求める、当たり前の意見も退けられたと言う。4月の臨時総会の 「最終報告の了承」[88-1-1]は「法人化OK」という意味以外を失いつつある。 そしてそれを、国大協構成員の大半が望んでいるようにも見える。 総会は、4月の臨時総会以後は、報道関係者に公開されているが、この総会 を報道したマスメディアは「しんぶん赤旗」[100-2-3]だけであった。自分が 関心があるテーマだから云うのではないが、国立大学協会が自らの解散を決めた ことは、派手ではないが重要なテーマで報道の価値はあるのではないのか。社会 に追随するマスメディアしか存在しない日本社会の情報構造は深刻な脆弱性を持 つ[100-10-5]。 ---------- [100-0-4] パブリックコメント募集〆切:教育基本法(12/15)・日本学術会議 (12/3) 中央教育審議会が、基本法見直しを必要とする中間報告を発表したが、諮問以 来1年の間、「見直しが必要かどうか」が議論され、合意に達したことはなかっ た[99-3]。また、基本問題部会は定足数に不足することが多く、半数に近い委 員が議論に加っていないと言う[100-4-3]。既に、基本法を守る動きは活発に なっている。危機は好機であるとも言う。教育基本法を読む人が増えることで、 戦後の教育行政の「違法性」に照明が当てられることとなろう。 読者も、教育基本法を読んだことがなければ、この期に読んで、パブリックコ メントを出すことを勧めたい。 ---------- [100-0-5] 「利益相反委員会」の真の趣旨 産学連携における利益相反問題[96-0-4]は、米国でも解決されていない「厄介」 な問題であるが、余り大きな問題になると、今後、企業の研究所から大学に多 数転職してくる教員が活動しにくくなる。文部科学省の科学技術・学術審議会 の技術・研究基盤部会の産学官連携推進委員会の「利益相反ワーキング・グルー プ報告書」[100-8-2]は、その問題の解決法を提言している。すなわち「利益 相反委員会」を大学に作り利益相反を監視させ、大学教員は利益相反問題は個 人的には気にせず産学連携に励め、というもの。しかし、ボトムアップのオン ブズマン的組織ではなく、行政指導により大学当局が組織する「利益相反委員 会」なるものが、利益相反問題と真剣に取り組むと思う人は居ないだろう。 ---------- [100-0-6] プログラムオフィサー導入は「官僚主導型の徹底」 米国の科学行政の真似の一環として「プログラムオフィサー」制度が導入され ることになった[100-8-1]。新聞では「官僚主導型からの脱却」と紹介してい たが、文書を見れば、プログラムオフィサーを選ぶのは、これまでの学会推薦 とは違い、トップダウンでお役所なのである。しかも、POを監督する「プロ グラムディレクター」を置き、それは各省庁の官僚がなるように思える。これ は「官僚主導型の徹底」と言うべきだろう。国策を遂行するのに適したPOを 行政が選び研究費配分の全権を与えるというのだから、一部は洪水で困り、大 半は渇水で困る砂漠のような悲惨な状態に日本の研究活動全体が置かれること になるだろう。 ---------- [100-0-7] 大学は誰に由来するか. 独立行政法人化問題に関心を持ちはじめてから3年になる。大学は「カイザ ルのものか神のものか」という問いがときどき心に浮ぶ。「カイザルのものは カイザルに、神のものは神に」という言葉があるが、大学が本性上、地上の権 力に由来するものであれば、役所が大学を奪還するという理由で独立行政法人 化に反対する理由はあるまい。しかし、誕生時には役所と一体であった日本の 大学が、まがりなりにも地上の権力からの法的独立性という奇跡のような高み を獲得し得たことは、神に由来することを示唆していまいか。とすれば、独立 行政法人化は日本社会にとって不幸で不吉な選択に違いない。 この自治を悪用してきた人も少数ながら居るだろう。しかし、独立行政法人 化後の大学を悪用する人達の数は比べものにならないほど多く、その弊害は大 学全体を覆うだけでなく、全世界に及ぶであろう[100-1-2-1]。 ---------- [100-0-8] 実際主義と無関心 加藤周一氏は、冷戦後の日本では「高い理想、価値などではなくて、その場 その場で実際的な行動をする」実際主義だけが残る、と予言している [100-10-7]。独立行政法人化に対する大学社会の動きを「実際主義」という言 葉は的確に表現している。実際主義は「無関心」と表裏一体であり、留めどな く進行している世界の荒廃が自分に及ぶまで無関心で居続けることになろう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-6] 学校教育法改正(大学評価機関の文部科学省認証制等)法案を可決 ---------- [100-6-1] 参議院本会議で可決2002.11.22 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho2/vote/155/155-1122-v006.htm 投票総数 231    賛成票 204   反対票 27 自由民主党・保守党(115名) 賛成票 112   反対票 0 民主党・新緑風会( 60名) 賛成票 55   反対票 0 公明党( 24名) 賛成票 22   反対票 0 日本共産党( 20名) 賛成票 0   反対票 19 国会改革連絡会(自由党・無所属の会( 15賛成票 13   反対票 1 社会民主党・護憲連合( 5名) 賛成票 0   反対票 4 各派に属しない議員( 7名) 賛成票 2   反対票 3 ---------- [100-6-3-1] (衆議院文部科学委員会2002.11.8)児玉健次議員質疑 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b08-shu-monbu-kodama.html 「○遠山国務大臣 私は、評価といいますか、そういう制度について、そのよ うな見方しかできないというのは、私は大学人自身の自信がなさ過ぎると思い ますね。みずからの教育研究をしっかりやっていれば、どんな評価されたって、 堂々としていればいいと思いますね。しかも、この評価が学問研究の中身、あ るいはその質の中身に入って評価するものではないわけですね。そこのところ を十分、むしろ委員の方から御説明いただけたらと思います。 ○児玉委員 あなたが言っていることは重要ですね。そんな無責任な評価を許 していいんですか。それがこの問題の本質です。そのことをはっきり言って、 終わります。」 ---------- [100-6-3-2] (衆議院文部科学委員会2002.11.8)中西績介議員質疑 http://ac-net.org/dgh/kokkai/02/b08-shu-monbu-nakanishi.html 「・・・そのことを考えますと、本委員会、わずか二日間、五時間です。連合 審査二・五時間。七・五時間で、このような大改革をするときに、果たして十 分な時間と言い得るだろうかということを私は危惧いたします。・・・」 「・・・かつてこの委員会では、一人持ち時間一時間半、これを保証したんで すよね。八人おろうと一時間半なんです。徹底した論議をしてやった経験を私 は持っておるから、そのことを主張しておるわけです。・・・」 ---------- [100-6-5] 天野郁夫(国立学校財務センター教授)「大学評価の新時代」 (IDE-現代の高等教育 No 442 2002.9) http://ac-net.org/dgh/02/b09-amano.html 「時代は「評価の時代」といってよい。規制緩和・構造改革がキーワード化し、 「事前規制から事後チェックへ」の移行が叫ばれるなかで、「評価」はとりわ け大学の世界で、いわば「まじない言葉」化しはじめている。あたかもあらゆ る困難な問題の解決を約束してくれる、「魔法の杖」でもあるかのように。 ・・・時代は「評価の時代」だと書いたが,正確には,評価の制度化の必要 性が声を大に語られはじめた時代,というベきだろう。評価はまだ言説の段階 にあり,実残の段階には入ってはいないからである。それは裏返せば,私たち がまだ,評価の経験や蓄積を十分に持ち合わせていないことを意味している。 それが評価の「まじない言葉」化,「魔法の杖」視をいった理由である。評価 の必要性を叫ぶのなら,それと同時に,そうした現実の厳しさに思いをいたす べきだろう。・・・・・」 ーーーーーー 「設置認可という「事前規制」を緩和するのだから,代わりに「事後チェック」 のためのシステムが必要だという論理構成は,よくわかる。しかし中教審がめ ざしているその事後チェックシステムは,アメりカのアクレディテーション制 度とは,似て非なるものである。なぜならその評価は,私立大学をふくむすべ ての大学に,国家が法令によって義務づけるものであり,しかも評価を行なう 「第三者評価機関」は国の「認証」を受け国が資金面で支援することが予定さ れているからである。 答申通りにシステムが制度化されれば,私立大学はすべて,国の「認証」した 評価機関の評価を定期的に受けることを義務づけられる。文部科学省はすでに, 私学団体に評価機関の設置を働きかけており,私立大学協会,私立短期大学協 会,私立大学通信教育協会などが,設立を検討しているという。また国立大学 については大学評価機構が,その役割を果たすものとされている。つまり,既 存の大学基準協会のような(アメリカ的な)大学横断的な機関ではなく,既存 の大学団体それぞれが,設立母体となる評価機関が想定されているのである。 先にふれたように,アメリカ的なボランタりズムの精神に立った唯一の,しか も国公私の別を超えた「機関別評価」機関である大学基準協会は,設立から半 世紀の間,必ずしも期待どおりの発展を見ることなく,現在に至っている。そ れは一体なぜなのか。いま,その大学基準協会の存在や経験にほとんどふれる ことなく,政府主導で新しい評価機関を,しかも設置者や種別による大学群ご とに設立するのは必要な,また望ましいことなのか。すべての大学に,機関別 評価を国が義務づけることが,水準の維持・向上に本当に不可欠なのか。新し い評価システムの制度化をはかるまえに,さらに慎重な検討が重ねられて然る べきであろう。・・・・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-7-1] 独立行政法人会計基準の見直しに関する中間論点整理について http://ac-net.org/dgh/02/a30-zaishin-dokuhoukaikei.html 財政制度等審議会 財政制度分科会 法制・公企業会計部会及び 公企業会計小委員会合同会議2002.10.30  議事次第より 「〔松元総務課長 〕・・・  それに対して、独立行政法人は、これも考え方が事前統制から事後統制にと いう考え方で独立行政法人がつくられた。3年とか5年の中期財政計画をつく りまして、それに基づいて、毎年、運営費交付金が基本的に定額、もちろん効 率化係数みたいな話というのはありますけれども、基本的には毎年の予算統制 ではないと。そういう中で効率性をチェックしていこう。これは民間の事後の 会計と基本的に一緒ではないかということでできてきている。  しかしながら、それぞれの独立行政法人によりますけれども、毎年の予算統 制、補助金をもらうと、どうしても毎年の予算統制という面が出てきます。そ ういったこととか、いろいろな面で完全に事後の会計だけでいいというわけに いかない、事前の会計の根っこも、根っこという表現がいいかどうかはわかり ませんが、そういうものを引っ張ってきている。その部分については、どうし ても特殊性が出てきてしまうという、そういった話なのではないのかなと。 ・・・」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-8-1] (朝日)「科学研究予算、一線研究者が選択 官僚主導型を転換へ」 2002.11.18 http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4741.htm 「7省が予算要求中のPOの人数は文科省53人、農林水産省と総務省が各2 人、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省が各1人。新制度を統括す る専任プログラムディレクターも設けられる予定で、文科省が3人、農水省が 1人を要求している。」 ---------- [100-8-1-2] (総合科学技術会議競争的資金制度改革プロジェクト) 「競争的研究資金制度改革について 中間まとめ」2002.6 より http://www8.cao.go.jp/cstp/project/compe/interimreport.pdf 「・・・評価者プールの形成や評価者の選任は、学会等を含む他の機関からの 推薦に基づくのではなく、配分機関自らが制度の政策目的や特色、研究開発の 内容に応じて評価者を選任する。・・・」 ---------- [100-8-2] 利益相反ワーキング・グループ報告書(2002.11) 科学技術・学術審議会 技術・研究基盤部会 産学官連携推進委員会 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/toushin/021102.htm 「・・・ また、前述のように、これまでほとんどの場合教職員個人が利益相 反に関する社会への説明責任を負ってきたが、このような状況が教職員にとっ て一種の負担となり、意欲ある教職員が産学官連携で十分に能力を発揮できな い要因の一つとなっていたことも考えられる。このような教職員個人の責任と 利益を大学が適切に分担することにより、教職員が安心して産学官連携に取り 組める環境を整備するという観点からも、大学が利益相反に関する学内のルー ル、システムを整備することが重要である。」  「利益相反への対応策としては、まず、「望ましくない行為を列挙して予め 禁止する」という、行為規範的アプローチが考えられる。(国家公務員倫理法 における利害関係者との禁止行為の規定と同様の考え方)  しかし、「してはいけない」行為を列挙することは、産学官連携自体にマイ ナスのイメージをもたらし産学官連携を阻害しかねず、産学官連携の健全な推 進、という利益相反対応の基本的な目的に反する結果となる。また、同一の行 為であっても、異なる状況や大学ごとの事情により、多様なマネジメントが可 能であろう。 従って、産学官連携を阻害しないためには、「個別事例に応じ て多様な解決方法を提案・実施するために、一定の手続・体制を整備する」と いう考え方、すなわちマネジメント・システムの構築というアプローチが有効 である。」 ---------- [100-8-3] 内閣府:「日本学術会議の在り方について 中間まとめ」 http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/gakujutsu/middle.pdf [100-8-3-1] 意見募集締切2002.12.3 http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/gakujutsu/iken.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-9-3] 日経2002.11.21「ILO、公務員のスト権で日本政府に再考促す」 http://www3.nikkei.co.jp/kensaku/kekka.cfm?id=2002112105116 ---------- [100-9-5] ILO結社の自由委員会中間報告(2002.11.21 全労連国際局・仮訳) http://www.kokko-net.org/kokkororen/koumu/k021122a.htm 「・・・一国が ILOへの加盟を決定するとき、それは結社の自由の原則をはじめ としてILO憲章およびフィラデルフィア宣言に具体化された基本的原則を受諾し (結社の自由委員会の決定と原則の判例集1996年第4 版第10 項)、また、すべ ての政府はILO条約の批准によって約束した誓約を完全に尊重する義務を負う (同判例集第11項)。・・・ 652. 上記の中間的な結論に照らし、委員会は理事会が以下の勧告を承認する よう要請する。・・・ (a) 政府は公務員の労働基本権にたいする現在の制約を維持するという言明さ れた意図を再考すべきである。 (b) 委員会は、公務員制度改革の理論的根拠及び内容に関して、この問題につ いてのより広い合意を得るために、また、法律を改正しそれを結社の自由原則 に合致させるようにすることを目的として、すべての関係者との全面的で率直 かつ意味のある協議が速やかに行なわれるべきことを強く勧告する。これらの 協議は、日本の法令及び慣行またはいずれか一方が条約第87号及び第98号の条 項に違反していることについての、以下の問題にとくに焦点をあてるべきであ る。 ・・・ (iv) 国家の施政に直接従事しない公務員に結社の自由原則に従って団体交渉権 及びストライキ権を付与すること ・・・ (c) 委員会は政府及び連合にたいし独立行政法人に移行した1万8千人の公務員 が当局の事前の許可なしにみずからの選択する団体を設立または加入すること ができたか否かについて委員会に情報提供することを要請する。 ・・・ (全労連国際局・仮訳)」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [100-10-4] 「日本の学術成果の世界への発信のあり方をめぐって」 電子メディア週刊医学界新聞洋書看護情報第2511号2002年11月18日座談会 http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2002dir/n2511dir/n2511_01.htm 「廣川 私も遠藤先生のご指摘にまったく賛成します。特に最近は,経済停滞 のために経済界からの圧力によって,大学が総動員で近視眼的になり,短期間 に効果を出すような方向に導かれている傾向があるように感じます。これは大 変危険なことです。  そういう意味で,ご指摘のように基礎的な研究が大事です。それが文化とい うものであって,それを育てていくことが大学の使命だと思います。」 「名取 「戦略創造プログラム」の今年度の新規募集領域を見ると,ライフサ イエンス関連では「糖鎖の生物機能」と「テーラーメード医療をめざしたゲノ ム情報の活用」です。どういうプロセスを経てこのような領域が取り上げられ たかはわかりませんが,個人的には少々失望します。  「戦略創造プログラム」を銘打つからには,もう少し生物学の広い領域から, 野心的な研究を掘り起こすようなスタンスがあってよいように思います。」 ---------- [100-10-5] 田中宇の国際ニュース解説2002.11.11号 http://tanakanews.com/c1111war.htm 「・・・だがその一方で、911以後、テロ事件のショックなどから思考停止 の体制翼賛状態に陥っていたアメリカのマスコミや言論人たちが、徐々に本来 の思考を取り戻し始めているのも、最近の傾向だ。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集発行人:辻下 徹 tujisita@math.sci.hokudai.ac.jp 関連ページ:http://ac-net.org/dgh/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ End of Weekly Reports 100