From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Sun Dec 2 19:40 JST 2001 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id TAA28244 for ; Sun, 2 Dec 2001 19:40:11 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id TAA32289; Sun, 2 Dec 2001 19:03:53 +0900 (JST) Date: Sun, 2 Dec 2001 19:07:21 +0900 From: reformad@ed.niigata-u.ac.jp (reform-ml) Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:03911] 変革 国立大<1>再編・統合の協議難航 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <200112021004.TAA16927@yahiko.ed.niigata-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 03911 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Eudora-J(1.3.8.8r7-J16) X-Sender: reformad@133.35.177.100 Mime-Version: 1.0 Precedence: bulk Lines: 132 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 6711 he-forum からの転載です。            12月2日 大学改革情報ネットワーク [he-forum 2977(11/26)] よみうり教育メール 2001年11月26日付(1) ◆変革 国立大<1> 再編・統合の協議難航(東京)  国立大学がかつてない激震に見舞われている。小泉内閣の「聖域なき構造改 革」の一環として、再編・統合、民間的手法の導入、研究面の評価を資金配分 に結び付ける「トップ30」構想などが「大学の構造改革の方針」として打ち 出され、各大学は対応を迫られている。その中で国立大はどう変わるのか、変 わろうとしているのか。三回にわたってお伝えする。まずは、文部科学省が各 大学に、何らかの方向性を来年一月までに示すことを求めている再編・統合に ついて――。  浜松医科大は静岡大(ともに静岡県)と一緒になるのか、それとも豊橋技術 科学大(愛知県)も加わるのか。三つの大学で統合相手をめぐる綱引きが県境 を越えて続いている。  さる十六日、浜松医科大で、静岡大との協議が行われた。協議を前に、佐藤 博明・静岡大学長は、「統合へ向けた初の正式協議」と協議を高く評価した。 しかし、寺尾俊彦・浜松医科大学長は「本格的な統合の話ではない」と、静岡 大との統合が既成事実になることに警戒感を示した。  両大学は八月、統合を視野に入れたワーキンググループを設置した。その後、 静岡大は浜松医科大との統合方針を機関決定。一方、浜松医科大の決定は「幅 広い統合の可能性の実現を視野に入れる」と、統合相手を限定しないものだっ た。  同医科大は光量子医学研究センターを持ち、工学技術の医療分野への応用を 目指す。同じ浜松にある静大工学部、情報学部、さらに豊橋技科大の研究分野 は魅力的だ。一方、静岡市内にある静大教育学部などは視野に入りにくい。  豊橋技科大には、同医科大との統合に「可能性としては大きいほう」とする 見方も少なくない。だが、「統合すれば、意思疎通に時間がかかる。特定分野 の研究に資金を投入しにくくなるのでは」という不安の声もある。  静岡大は同医科大との統合が優先するとの立場を崩さない。「県内統合」が スローガンだ。三大学の”三角関係”の行方は不透明なままだ。  「今日、統合に合意しました」と二神光次・宮崎大学長。「いや、以前から 合意している。今日は新しい統合理念を提案した」と森満保・宮崎医科大学長。 両大学も先月三十日の協議会で、統合のグランドデザインの違いを表面化させ た。  当初は「統合前提の協議を」とする宮崎大に対し、医科大は慎重姿勢だった。 それが、七月、森満医科大学長が統合後の大学を「生命科学に特化した総合的 医大」とする私案を発表し、事態は大きく変わった。  私案は、宮崎大三学部のうち農学部は食資源学、工学部は医工学や人間工学、 教育文化学部は健康教育をテーマとする学部への移行を視野に入れたものだっ た。基礎医学科目を選択必修とするなど、教養教育にまで踏み込んでいた。  森満学長は「理念無きモザイク統合では学生に選ばれない。宮崎大側からも 新しい統合案を出してほしい」と、「特徴ある統合」にこだわる。二神学長は、 両大協議会の専門部会で統合理念などのまとめ作業に入っていたとして、 「(私案の)提案も検討も認めない。統合では、これまでの互いの理念を尊重 するべきだ」と反発する。  再編統合がすべての国立大の課題となったのは、今年六月、同省が「方針」 を示してからだ。「方針」は、国立大の数の大幅削減も打ち出した。唐突とも 見える同省の強硬姿勢に大学側には戸惑いも目立つ。  さる十一日、遠山敦子文相は国立大学協会の懇談会で、「方針」が民営化を 食い止めるためだったことを示唆。さらに「今が好機。これを逃すと悔いが残 る」と、「外圧」を大学改革に結びつけることを訴えた。  読売新聞社が行った大学学長アンケートでは、再編統合は「可能性を検討し たい」まで含めると、国公合わせて66%にのぼる。しかし、新分野の開発、 教育、研究のレベルアップにつながらない統合は意味がない。ダイナミックな 発想が求められる。 [he-forum 2978(11/26)] よみうり教育メール 2001年11月26日付(2) ◆国立大統合 教育学部が矢面に  岐阜県高山市の県立高山工業高校の教室で午後六時ごろ、小学校から高校ま での教員十人がテレビ画面を真剣に見つめていた。約百五十キロ離れた岐阜大 から、同大大学院教育学研究科の教授による心理学の講義が、テレビ会議方式 で中継されている。  講義は、自閉症についてのケーススタディー。「そちらの会場の意見はどう ですか」。画面の中から教授が問いかけると、指名された教員は「自閉症にも 多くのパターンがあるので、対処法が違うと感じました」と、画面に向かって 意見を述べた。  再編・統合で最も影響を受けるのは教育学部だ。文部科学省の懇談会が二十 二日、「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について」と題する報告 をまとめた。「一学部当たりの学生数や教員組織がふさわしい規模となるよう に再編・統合を行う」とある。  国立の教員養成大学・学部は今、すべての都道府県にある。しかし、四十八 大学・学部のうち、教員養成課程の定員が百人を割る大学が三分の一を占める。 二百人以下だと三十二大学にのぼる。少子化で教員採用が減っており、定員減 が続いているためだ。  小中学校教諭の養成教育は、教科や情報教育など分野が細分化しており、最 低でも九十人の大学教員が必要とされる。大学教員と学生定員が一対二を下回っ ているところもある。経済効率は限りなく低い。一学部の定員は三百人以上が 望ましいとされている。統合が緊急の課題となる。  教員養成系大学・学部は、大学院で現場の教員の再研修を行うことも重要な 役目だ。県内に教員養成系の学部がなくなると、大学院へ通っての再研修は難 しくなる。岐阜大のテレビ中継研修が注目される理由はそこにある。  佐々木嘉三・岐阜大教育学部長は「教育学部は地元と密接な関係を築く必要 がある。統合されると、うまくいかない」と、統合に疑問を投げかける。だが、 多くの大学で、再編統合に向けた動きが水面下で進んでいる。  「教員養成が差別されている」。首都圏の国立大で教員養成を担当する教員 の一人は、そう嘆く。このままでは、定員が三百人に満たない首都圏の国立大 教育系学部は、教員養成の分野を東京学芸大に移すことになるとみる。その分、 教員免許取得を義務付けない「ゼロ免課程」の定員を学芸大から譲り受け、幅 広い教養教育を受け持つ学部を立ち上げることになる、との見方だ。  「専門志向の強い大学教員には、教養教育を新学部に押し付けることができ て都合がよい。しかし、それで学級崩壊やいじめなどの問題に対処できます か?」  実際には、教員養成系学部をそっくり廃止するだけでなく、その一部を残す など、様々な方法がとられることが考えられる。しかし、地域への影響は計り 知れない。  教員養成系大学・学部のあり方に、抜本的な改革が必要な時期にきているこ とは確かだ。しかし、改革は大学だけでなく、地域との協議によって進めなけ ればならない。それなのに、大学内の閉じられた世界だけでの検討が目立つ。 地域貢献が国立大学の大きな役割とされている今、改革についての情報公開も、 各大学の姿勢を問う要素となる。