From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Thu Oct 25 21:08 JST 2001 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id VAA27256 for ; Thu, 25 Oct 2001 21:08:03 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id UAA09990; Thu, 25 Oct 2001 20:14:43 +0900 (JST) Date: Thu, 25 Oct 2001 20:18:05 +0900 From: reformad@ed.niigata-u.ac.jp (reform-ml) Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:03804] 「トップ30」優遇構想に、国立大学長の3割が反対 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <200110251114.UAA17254@yahiko.ed.niigata-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 03804 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Eudora-J(1.3.8.8r7-J16) X-Sender: reformad@133.35.177.100 Mime-Version: 1.0 Precedence: bulk Lines: 186 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 7403 he-forumから転載します。          10月25日 大学改革情報ネットワーク [he-forum 2744(10/25)]   asahi.com 2001年10月25日付 「トップ30」優遇構想に、国立大学長の3割が反対  文部科学省が6月に出した「大学の構造改革の方針」(遠山プラン)のうち、 「トップ30」の大学を優遇する計画について、全国立大学の約3割に当たる 29大学の学長が「反対」の意見であることが、朝日新聞社の調査でわかった。 単科大学から強い懸念が出ている。国立大の削減につながる「再編統合計画」 については「反対」は少数。18校が統合に合意、14校が「具体的な相手と 交渉中」と答え、大きな流れになっていることをうかがわせた。  全国の国立4年制大学と大学院大学、計99校の学長を対象に今月実施。原 則として学長から直接、聞いた。文書や副学長などの回答だった大学も含め、 回答しなかった佐賀大を除く98大学から回答を得た(山梨医大は一部回答)。  「トップ30」は、国公私立を問わず大学院を持つ大学に対し、10分野で それぞれトップ30大学を選んで予算を重点配分する仕組み。研究水準を世界 のトップレベルに引き上げるのが目的だ。回答は「賛成」が33校、「反対」 が29校、「どちらともいえない」が35校と割れた。  「反対」のうちほぼ半数は単科大学の学長。地方大学も目立った。  理由として、「初めから大きい特定大学に予算がいく」(小樽商科大)、 「地道な研究の切り捨てになる」(鹿児島大)など、小規模大学や産業経済に つながらない分野を切り捨てるのではないかという懸念が目立った。  再編統合については、「賛成」が33校、「反対」は8校、「どちらともい えない」が56校。  ただ、「賛成」でも、「本当に質の向上になるなら」(奈良女子大)、「数 あわせでなければ」(埼玉大)という「条件付き」が目立った。「どちらとも いえない」にも、「政治的配慮で出された印象が強い」(名古屋大)など、納 得しかねている声があった。  統合計画では、18校が「すでに合意」していた。10日に文部科学省が公 表した大学とほぼ重なる。  「具体的な相手と交渉中」は14校。同県内の大学との統合を目指す動きが 目立つが、和歌山大、鳴門教育大(徳島県)や兵庫教育大などでは近隣県の大 学との統合を視野に、検討している。  このほか、「学内で検討中」が23校、「情報を収集中」が17校だった。 [he-forum 2746(10/25)]   『朝日新聞』2001年10月25日付  迫る荒波 揺れる国立大  文科省の改革プラン 98校の本社調査  国立大学の「構造改革」が進もうとしている。当事者の大学は、この流れを どう受けとめているのか。朝日新聞が99の国立大学のうち98校の学長らから回 答を得た調査結果では、「荒波」を前に身構える国立大学の姿が浮かぶ。「トッ プ30」と再編統合についての意見をまとめた。  「小さい大学やせ細る」「競争で活性化」  ●トップ30  国公立、私立を問わず、大学院を持つ大学を対象に、10分野でそれぞれ30大 学を選んで予算を重点配分する「トップ30」。  「反対」は98大学中29校。「小規模大学がわりを食わされるのではないか」 「大規模な有力大学を優遇するだけではないか」との見方が強い。  大阪教育 「小さい大学はやせ細る」  東京農工 「(トップ30は)旧帝国大学プラスわずかな大学に限られる」  大阪外語 「大学院のないところは評価対象にならない、という発想がおか しい」  大学間の新たな「序列化」と、その弊害を指摘する声も多かった。  鳥取 「大学名のレッテル張りになる」  神戸 「ランク付けのデメリットが大きい」  浜松医科 「優秀な教授や学部が順位の前に埋もれる」  「どちらとも言えない」と回答した35校の中にも、「かけ声ばかりが先行し ている」「自然科学偏重だ」など批判的な視点も少なくない。  東京商船 「中身がはっきりせず不信感が芽生えた」  福島 「自然科学系の研究大学に偏向している」  京都教育 「教育の分野は理系のように目に見える研究成果が出ない」  福井医科 「30の根拠がわからない」  「賛成」と答えた33大学の多くが理由に挙げたのは、この方針によって「競 争」が促進される、という点だ。  岡山 「国際競争力をつけるという理念には賛成」  大阪 「競争原理が働く」  香川医科 「競争原理の導入は、教育、研究とも活性化させる」  そのうえでなお、注文をつける大学もある。  群馬 「教育評価なしの論文制作競争は困る」  北陸先端 「30には入れ替えも必要だ」  「理念なければ反対。足腰強化なら賛成」  ●再編統合  国立大学の再編統合についての賛否は「どちらとも言えない」が56校で、半 数を超えた。立地条件や規模によって大学の立場は大きく異なるため意見もさ まざまだ。  北海道教育 「理念なき再編統合には反対。大学の基礎や足腰を強化するこ とには大いに賛成」  東京 「いまのままの高等教育・学術研究が最善とは言い難い。再編統合は それを発展させる選択肢のひとつ」  滋賀 「内発的な再編統合には賛成。文科省による強制的な基準によるもの は問題」  愛媛 「立地が近いだけの再編統合では意味がない。これまでの国立大学の 配置はすそ野が広がる効果があった」  「賛成」の33大学は、大学を取り巻く社会構造の変化や、規模拡大の利点を 挙げる。「国策だから」という大学もある。  旭川医科 「単科大学では限界がある教養課程などで、(他大学と)連携すれ ば教育の幅が広がる」  一橋 「私学との競合を考えればスケールメリットの観点が必要。特色のな い小規模校は統合などを避けられない」  和歌山 「大学の地域性を打ち壊すために積極評価する」  島根医科 「国策だから」  九州 「(再編統合すれば)事務や教職員の人員削減も進み、機能的合理的に なる」  鮮明に「反対」を打ち出したのは8校で、大半が単科大学だった。  愛知教育 「われわれは質の高い教師が輩出することで貢献してきた。その 観点が抜けている」  大阪教育 「大学がどうあるべきかという議論からの再編統合ではなく、財 政効率からの発想だから」  鹿児島 「外部からの指示で再編統合を進めるべきでない」  解説 議論不足 枠組み先行  文部科学省が示した国立大学の「構造改革方針」(遠山プラン)について、今 回の学長の意見は、揺れる現場と、流れにあらがい切れない現状を映す。  「トップ30」は「賛成」「反対」「どちらともいえない」の三つに割れた。 「1県1国立大学の原則」を崩すことにもつながる再編・統合は「どちらともい えない」が6割近くを占め、「賛成」でも条件つきが目立つ。  しかし、再編・統合の動きは、地方大や単科大で着々と進んでいる。国から 独立し、民間的な経営手法を導入する「法人化」を迫られ、組織や財政基盤の 弱い大学は、生き残るため統合相手を探さざるを得ない。  国立大学は長く、閉鎖性や国際競争力の弱さ、硬直化が指摘されてきた。大 学審議会が98年、競争、重点的財政配分などを求め、改革の議論は始まった。  「世界最高水準の大学を目指す」という「遠山プラン」も、大きくはその延 長上にあるが、事前の議論がないまま突然、再編・統合などに大きく踏み込ん だ。理念や具体的な手順は、いまになって省内で後追いで検討している。  議論が不十分なまま、枠組みが先行するのは本末転倒だ。「遠山プラン」に 対し、求められるのは大学自身が将来像を描くことだが、調査では、そうした 姿勢はよく見えなかった。  今月、鹿児島大学など28大学の学長が地方大学が地域社会・文化に果たす役 割を訴えて、具体的な提案を文科省にした。「構造改革」を進めるには、こう した動きがもっと広がり、議論を深めることが必要だ。