From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Mon Sep 3 09:58 JST 2001 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id JAA09395 for ; Mon, 3 Sep 2001 09:58:58 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id IAA28979; Mon, 3 Sep 2001 08:59:03 +0900 (JST) Date: Mon, 3 Sep 2001 08:58:23 +0900 From: Toru Tsujishita Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:03690] [Weekly Reports 66] 目次 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 03690 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Macintosh Eudora Version 4.3.2-J X-Sender: tujisita@mailhost.math.sci.hokudai.ac.jp Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Precedence: bulk Lines: 284 Content-Type: text/plain; charset="iso-2022-jp" Content-Length: 15368 Weekly Reports  No.66  2001.9.3 Ver 1 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-66.html 総目次:http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/all.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━        目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ [66-0] 内容紹介  [66-0-1] 通則法通りの独立行政法人化   [66-0-1-1] 調査検討会議中間報告案の分析より   [66-0-1-2] ◆「中期目標」に対する拒否権   [66-0-1-3] 1997年の国立大学協会決議   [66-0-1-4] 「風にそよぐ大学」   [66-0-1-5] 「構造改革」の吟味・批判への期待  [66-0-2] 任期制導入・独立行政法人化・民営化   [66-0-2-1] 任期制導入賛成の理由と独立行政法人化賛成の理由   [66-0-2-2] ◆繰り返される「xxx したくなければ zzz せよ」  [66-0-3] トップ30大学政策の見識   [66-0-3-1] ◆「学際・その他」は<専門分野>?   [66-0-3-2] 文部科学省のシンクタンクになった国立大学協会理事会WG   [66-0-3-3] 報道に表れたジャーナリズムの問題  [66-0-4] 「聖域」なき改革   [66-0-4-1] 宇宙科学研究機関の統廃合   [66-0-4-2] 文化立国実現への公共投資:国会図書館所蔵図書電子化事業 [66-1] 国会  [66-1-1] 衆議院文部科学委員会2001.8.9議事録   [66-1-1-1] 理事のアドレスとHP  [66-1-2] 参議院文教科学委員会 2001.8.8議事録   [66-1-2-1] 理事のアドレス・HP [66-2] 内閣府  [66-2-1] 経済財政諮問会議 第16 回   [66-2-1-1] ◆国立大学関係の質疑   [66-2-1-2] (遠山臨時議員)(資料4−1 に基づき説明。)基本方針で重点分野   [66-2-1-3] 遠山臨時議員提出資料(PDF)  [66-2-2] 総合科学技術会議   [66-2-2-1] 日本学術会議の在り方に関する専門調査会(第2回2001.7.31)   [66-2-2-2] 評価専門調査会(第6回2001.8.10)議事次第・資料一覧   [66-2-2-3] 尾身幸次・科学技術政策担当相講演要旨 2001.8.30  [66-2-3] 行革断行評議会(第6回2001.8.22)議事要旨  [66-2-4] 行政改革推進事務局2001.8.10「特殊法人等の個別事業見直しの考え方について」  [66-2-5] ◆伊達 佑介「貧弱な「文化インフラ」──ITの日米逆転? まさか?」2001.4.4 [66-3] 文部科学省   [66-3-1] 平成14年度 概算要求などについて  [66-3-2] トップ30の制度案、来年1月、公募へ(河北新報)  [66-3-3] 「文部省解体論」(2001.9.3 19:00-21:00)  [66-3-4] 2001年度科研費(基盤研究等)細目別新規課題申請受付数 [66-4] 国立大学協会  [66-4-1] 東京新聞:「国大協WG 法人化控え再編指針案」   [66-4-1-1] (再掲)「解任に値する暴言」(2001.6)より   [66-4-1-2] NHK 報道2000.7.15に関する文書 2000.7.18   [66-4-1-3] (発行者)「参加撤回要求の重要性(NHK報道問題の感想)」2000.7.21 [66-5] 独立行政法人化問題  [66-5-1] ◆独立行政法人大学の中期目標・中期計画例  [66-5-2]([52-2-4]再掲)「姿を見せた官僚支配の独法化構想」  [66-5-3] ◆『中間報告(案)』の描く大学組織Ver.1  [66-5-4] (発行者)国立大学関係者の皆さまへ  [66-5-5] 大学改革メーリングリストの記事一覧「任期制」(1998.6.5)   [66-5-5-1] 「異議あり! 任期制「法制化」3号 97.3.18」  [66-5-6] ◆豊島耕一「新潟大での内田博文氏の講演[66-5-7]を批判する」1999.6.1  [66-5-7] 内田博文「大学改革の課題と展望」 [66-6] 統計  [66-6-1] 金融広報中央委員会:暮らしと金融なんでもデータ(平成13年度版) [66-7] 文献・意見等  [66-7-1] 渡辺治(一橋大学教授)「「司法改革」の本質と背景」『法と民主主義』  [66-7-2] ◆白井厚「大学ーー風にそよぐ葦の歴史」抜粋  [66-7-3] リチャード・クー著『良い財政赤字 悪い財政赤字』PHP研究所  [66-7-4] 日本弁護士連合会意見書:2001.8.24 [66-8] Yahoo 掲示板より(alfujita 氏)  [66-8-1] 「大学というところ」(#リベラルアーツ考)2001.8.28  [66-8-2] 「1980年頃に」 2001.9.1  [66-8-3] ◆#(「今が駄目である」という主張の空虚さ)2001.9.2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ (抜粋) [66-0-1-2] ◆指示される「中期目標」に対する拒否権 国立大学法人化後の中期目標や中期計画について、国研とは違って大学は規模 が大きいのだから文科省もケチを付けようがないから大丈夫とタカを括ってい る(旧帝大系の)学長や大学関係者が多いようだが、中間報告案に添付された 例[66-5-1]を見たことがあるのだろうか。 例えば、「学長がリーダーシップを発揮しつつ、全学的な視点に立った機動的 な大学運営を遂行できる運営体制を整備する。」という中期目標があり、それ を実現するための中期計画としては、例から敷衍すれば、「評議会のメンバー の数を3割減らす」「評議会・教授会の開催回数を3割減らす」「委員会の数 を2割減らす」「学部教授会の開催時間を30分にする」と言うような数値目 標が推奨されることが予想される。また、中期計画には「平成◇年度までに、 倫理委員会を設置し、教職員のモラルの一層の向上等に努める。」という数値 目標の例もある[52-2-4]。 大学側の中期目標について文科省はとやかく言わないだろう。しかし、文科省 が与える中期目標に対して大学が「拒否権」を持つとは、全く想定されていな い。多数の無害な中期目標の中に行政の目標を一つ入れるだけで、行政は大学 を好きなように作り変えることが出来るのである。 だからといって、中期目標に対する「拒否権」を入れれば良い、というよう な生易しい問題ではない。大学の中枢を行政関係者が占拠できる仕組みがある ので、拒否権など有名無実になることは必至である。 [66-0-2-2] ◆繰り返される「xxx したくなければ zzz せよ」 1997年任期制導入・1999年国立大学設置法等改正・2000年大学評 価機構設置ーーーいずれも、言い訳程度の懸念を表明しつつ、国立大学協会は 了承した。大学社会で強い反対意見がある中で、推進者達は「急いで任期制導 入しなければ民営化されるぞ、急いで機動的トップダウン体制を認めないと独 立行政法人化されるぞ」と説得した[66-5-7]が、1999年国立大学設置法等 改正が国会で決まる前に、独立行政法人化が閣議決定された。急ぎ方が足らな かったとでも言い訳したのだろうか。しかし、同じ人達が国立大学協会の「専 門委員」となって独立行政法人化問題に発言している。今度は「急いで独立行 政法人化しなければ民営化されるぞ」と言っていることは間違いない。 しかし、国立大学協会総会は彼等の「独立行政法人化承認案」を了承しなかっ た。総会後の記者会見に臨んだ会長等幹部4名は「国立大学協会は法人化を了 承した」ということを世間に印象付けようとし、記者の一部は惑わされて国立 大学協会法人化容認了承報道を流した。しかし、国立大学長等による総会報告 が複数公開されるに及んで、記者会見で虚偽に近い報告がなされたことが明ら かになったため、会長自ら「了承の事実はない」こと釈明をした。国立大学協 会は<虚偽報告者>を幹部にし事後も責任を追求することなく幹部に留めた行 状を後世に残すことになってしまった[63-3-1]。 独立行政法人化後は、遠山プランに盛られたような、行政の失政による不況の 収拾に大学を動員する政策や、不況に喘ぐ大企業に大学を提供する政策 [66-2-2-3]だけでなく、民営化という名の廃学すら、容易に出来るようになる ことを知りながら、「民営化を避けるために独立行政法人化すべきだ」と、文 科省を代弁する大学幹部の「説得」に、国立大学教員はこれまで同様に唯々諾 々と従って良いのだろうか。 [66-0-3-1] ◆「学際・その他」は<専門分野>? 経済財政諮問会議で、竹中大臣にトップ30は「大学か学部か」と問われたの に対し、遠山文科大臣は「学問上の専門分野である」と応えている[66-2-1-1]。 先週述べたように、専門分野10を行政が選ぶことは学問・教育の自由を犯す ことになる。 ところが、驚いたことに、報道された「10分野」で、全学問を網羅する積も りらしい[66-3-2]。そのため、「数学、物理」・「化学、地球科学」という< 専門>や、「土木・建築、その他工学」「学際・その他」という<専門>まで ある。これでは、「体操と水泳」「球技・格闘技・その他」という<種目>か らトップ30選手を選ぶのと同じだ。学問について、冗談にすらならないナン センスしか言えない役所に大学を担当させて置いて良いのだろうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [66-2-1] 経済財政諮問会議 第16 回 2001.8.30 [66-2-1-1] 国立大学関係の質疑 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/830-kzsk-mext.html http://www5.cao.go.jp/shimon/2001/0828/item4.pdf (竹中議員)遠山臨時議員のご説明についてどうぞ。 (牛尾議員)国立大学の法人化は目的ではなく手段に過ぎず、国立大学に民間 的発想の経営手法を導入することが大事。法人の経営形態にとらわれるより、 非公務員の先生もいれば、公務員の先生もいるというような多様性が大事では ないか。社会人キャリアアッププランの中で、バウチャーによって機関援助で はなく個人援助をするということもあっていいと思うが、個人については、社 会人に対する奨学金というようなものがあると良い。 (遠山臨時議員)仰るとおり、国立大学の法人化は手段であり、いかに質の高 い人材に創造的な研究なり教育をやってもらうかということが重要。その意味 で非公務員型もあり得る。これについては、調査会から9 月に中間報告が出、 また本年度中に「国立大学法人」のあり方についての結論が出る予定なので、 それを踏まえながら対応し、できるだけ早く結論を出したい。 (片山議員)国立大学は独立行政法人とは別の形態の国立大学法人にするとい うことか。 (遠山臨時議員)そういう方向になるのではないか。この前お示ししたプラン の中で、「国立大学法人」という形でやっていきたいということにつき了解を いただいている。 (片山議員)20 人学級にするとか、心の先生5 万人ということだが、財政の 負担はどうなるのか。 (遠山臨時議員)20 人授業は、公立学校の教職員定数の改善により行う。 「こころの先生」については非常勤。 (尾身臨時議員)国立大学の法人化に際しては、公務員型、非公務員型の問題 について、人材の行き来などが自由にできるよう、弾力的にして欲しいという 要望が非常に強く、総合科学技術会議の方でもそういう考え方が多い。研究に 関して、国立大学と私立大学で税制面の扱いに格差がある。そのため、日本の 私学は、財政基盤が弱い。米国のように、私学の科学技術の実力を高めるべき。 私立大学への民間資金の導入を促進する観点から、委託研究費に対する減税措 置等についての検討が重要である。 (竹中議員)「トップ30 」を選ぶときの国立と私立の対等の条件にも関連す ると思う。 (吉川議員)改革の道筋をなるべく早くわかりやすい論理で大学人に説明して いただきたい。現状は若干混乱がある。例えば、大臣が応用研究のみが大切で あると考えているといった誤解があり、大学の現場に随分大きな混乱を生み出 している。 (遠山臨時議員)私どもも、説明責任を果たすため一層の努力が必要と考えて いる。有識者の意見も聞きつつ、より明確にしていきたい。 (本間議員)財政的な側面からいうと、かけたお金がどのような形で研究教育、 社会的な貢献に対して効果があるかという問題が、国立・公立・私立と関係な くある。その際、機関補助的なやり方がいいのか、個人補助的にやるほうが効 果が上がるのか、検討する必要がある。また、少なくとも評価の段階では、国 立・公立・私立の区別をなくして一元的に評価をし、それに対してきちんとし たアクティビティを示す部分について資金を重点的に配分し、「トップ30 」 というものを選んでいくという道筋を明らかにしないと、現場は混乱するだけ。 (竹中大臣)「トップ30 」については、大学なのか学部なのかという議論も ある。 (遠山臨時議員)学問上の専門分野である。力点は、30 という数というより はむしろ、競争的な環境の中で、かつ第三者機関による評価によって、重点的 に対応していくということである。 [66-5-1] ◆独立行政法人大学の中期目標・中期計画例 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/dgh/01/809-mokuhyou.pdf (○:中期目標、★:対応する中期計画) <教職員の人事の適正化に関する目標> ○教員の流動性を向上させるとともに、教員構成の多様化を推進する。  ★中期目標期間中に教員採用に当たっての公募の活用を進めるとともに平成  ◇年度までに○○研究所、△△研究科及び□□研究科に任期付き任用を導入す る。 ○教職員の給与に本人の業績を適切に反映させる。  ★教職員の給与に本人の業績が適切に反映されるよう、給与基準等を定める。 ○その他  ★平成◇年度までに、倫理委員会を設置し、教職員のモラルの一層の向上等 に努める。 <アカウンタビリティーに関する目標> ○自己点検・評価及び第三者評価を厳正に実施するとともに、評価結果を大学 運営の改善に十分に反映させる。  ★平成◇年度に、点検・評価のための学内ファイリングシステム、及び評価 が通常業務に組み込まれたシステム等を構築するための検討委員会を設置する。  ★平成◇年度に、点検・評価及びそのための情報分析を担当する評価室(仮 称)を設置するとともに、平成◇年度までに、点検・評価の結果を大学運営に 反映させるシステムを構築する。  ★平成◇年度までに、教員の教育研究業績に対する評価システムを構築する とともに、優れた教員に対する支援方策を検討する。  ★平成◇年度までに、研究貢献、教育貢献、運営貢献、社会貢献、学会活動 の5 点について教員の活動状況を調査し、教員の持つ適性、特性を調べ、そ の結果に応じた教員評価を行うシステムを導入する。 ○教員の行動規範を定め、学内外に周知・公表する。  ★平成○年度までに、セクシャル・ハラスメントの防止を含め、教職員が守 るべきガイドラインを定め、学内外に周知・公表する。  ★平成○年度までに、産学連携の相手方との関係において教員が守るべきガ イドラインを定め、学内外に周知・公表する。 <運営体制の改善に関する目標> ○学長がリーダーシップを発揮しつつ、全学的な視点に立った機動的な大学運 営を遂行できる運営体制を整備する。  ★平成□年度までに、評議会の構成員、規模の見直しを行うとともに、学内 の各種委員会の数を、○%削減する。  ★教授会の審議事項を見直すとともに、所用時間の縮減を図る。  ★平成□年度までに、学長補佐体制を見直し、学長の執行機能の強化を図る。 ○大学運営に識見を有する適任者を学長に選任できるよう、学長の選考方法の 点検を行う。  ★平成□年度に予定される学長選考において、新しい選考方法を採用するよ う、学長選考規定の見直し作業を進める。 ○大学運営に国と社会の意見を積極的に反映させるための取り組みを進める。  ★法人の非常勤役員として、最低□名の学外者を登用する。 ○教員と事務職員等との役割分担を見直すとともに、教員組織と事務組織との 連携を強化する。  ★学生相談や留学生受入れに関する業務について、平成□年度までに、教員 と事務職員等との一体的な運営組織を設置する。 ○学部運営の効率化を図る。  ★平成□年度までに、各学部に□人の室員による学部長室を設置し、学部運 営の効率化を図る。 [66-5-2]([52-2-4]再掲)◆「姿を見せた官僚支配の独法化構想」 http://fcs.math.sci.hokudai.ac.jp/wr/wr-52-01514.html#[52-2-4] 新大職組・理学部分会ニュース すなやま 2001. 5. 1 No.382 「独法化が何を狙って行われるものか、これほど露骨な姿を見せた文章は今ま でなかったでしょう。これは限りなく官僚に大学を従属させる事を狙った文章 と言えます(確かに Volunteer 受け入れまで、入っている!)。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発行者:辻下 徹 e-mail: tujisita@geocities.co.jp