From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Fri Aug 24 20:19 JST 2001 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id UAA00852 for ; Fri, 24 Aug 2001 20:19:20 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id TAA25464; Fri, 24 Aug 2001 19:41:05 +0900 (JST) Date: Fri, 24 Aug 2001 19:44:14 +0900 From: reformad@ed.niigata-u.ac.jp (reform-ml) Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:03677] 河合塾がシンポジウム To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <200108241039.TAA09923@yahiko.ed.niigata-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 03677 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Eudora-J(1.3.8.8r7-J16) X-Sender: reformad@133.35.177.100 Mime-Version: 1.0 Precedence: bulk Lines: 180 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 9264 国立大学法人化問題をテーマに河合塾がシンポジウム     he-forumから転載します。          8月24日 大学改革情報ネットワーク [he-forum 2430(8/24)] 『南日本新聞』2001年8月24日付 国立大の将来像は? 法人化テーマに論議/河合塾   −衛星使い鹿児島など7カ所結ぶ  国立大学法人化問題をテーマに大手予備校の河合塾は23日、鹿児島 市など全国7会場を衛星回線で結び、シンポジウムを開いた。鹿児島高 等予備校の会場には高校の進路指導担当者ら約20人が参加。再編・統 合計画や法人化で国立大がどう変わるのか、熱心に聞き入った。  パネリストは文部科学省大学改革推進室の杉野剛室長、今春から独立 行政法人化された奈良国立博物館の杉長敬治副館長など。田中弘允鹿児 島大学学長もインタビューに答え、地域における国立大学の重要性を訴 えた。  文科省が6月に示した国立大学の構造改革の柱である「国公私“トッ プ30”に予算を重点配分」「国立大の大幅削減」を中心に議論が進ん だ。文科省側は「トップ30は理系、文系それぞれ分野別に決定し、第 三者評価機関に判断を委ねたい」「将来的な国立大の数は決めていない。 大学間が話し合うなかで大胆な削減をして」と説明した。  甲南高校の進路指導主任(44)は「生徒を送り出す方としては、進 学先がどのように変わるのか心配。特に地元の鹿児島大学の行く末はど うなるのか。早く具体像をみせてほしい」と話した。 [he-forum 2431(8/24)] 河合塾シンポ、一傍聴者のメモ 日時 2001年8月23日15時30分〜17時30分 場所 河合塾名古屋スタジオ 出席者 奈良国立博物館館長 杉長敬治氏 経済産業研究所 澤昭裕氏 文部科学省 杉野剛氏 河合塾文化教育研究所所長 丹羽健夫氏 司会 河合塾国語科教師 牧野剛氏 司会: まず独立行政法人化された奈良国立博物館から現状についてのお 話を。 杉長: 現在は収入を得ることに時間を取られている。職員の間でも「今 日の客の入りは」といった話が大きなウエイトを占めている。国立博物 館全体としての予算は三館あわせても50数億、人件費が20億、事業費が 残りの30数億。そのなかで奈良向けの予算は8億、そのうちの2億を自力 で稼ぐことになった。これまでは「2億稼ぐ」といったことを考える必要 はなく、8億円自由に使えた。が、現在は6億しか来ない。いかにこの2億 を稼ぐか、が重要である。寄付金をとったり、新聞社と協力しあったりし ている。中期目標というのもかなり詳細なもので、経費節減、財務内容の 明確化など。例えてみれば私はスーパーの店長で全く客商売をやっている のと同じである。中期目標のなかには、公開講座を開いた場合、客の8割 が喜ぶように、というのもある。つまりトイレはきれいか、案内係りがち ゃんとお辞儀をするか、といったことまで気を配らなければならなくなっ た。ただし、人件費はきちんとくるので給料といった点では問題ない。し かし、これでは親方日の丸といわれても仕方がなく、また他方で人件費は 削れないという弱味ある。職員は公務員型で、211名削減なく5年間はいけ る様子である。しかし、たくさん稼いだ場合でも―まったく奈良の場合に はありそうにないが―人件費には回せず、コレクションの購入や展覧会を もう一回やる、といったことになる。しかし、現況ではマスコミ等で宣伝 は行うが、東京のデパートでも常設展示室を撤廃するなど展覧会の方面を 拡大する方向で考えるのは難しいだろう。 平成14年度予算の削減がありそうだが、それで仕事の量がどうなるのか は問題だ。仕事が減らないで運営費交付金だけ減らされたらどうなるか。 2億円稼ぐというのもこれまで平成7年度からの平均値で決定されている。 博物館の収入は「みずもの」で、多く稼いだ年もあるし、そうでない時も ある。昨年は1億4千万。理念の自由度と運営の難しさの狭間にたっている。 杉野: (遠山プランについて)―唐突にだしちゃったかなあ、と思うが、 これまで各種の審議会でいろいろ考えてきたものの集約点である。科学立 国のための構造改革であり、文部科学省も聖域ではない。(後は遠山プラ ンの説明) 澤: ・・・そもそも私が大学改革の問題に係わったのは工業技術院の人事 課で研究員の審査をした際に、日本の大学の博士課程をでた若い人々がア メリカの大学を卒業した人々に比べて質が悪いということが判明し、こち らから大学に注文をだした、ということからです。日本のとりわけ工学系 の大学院生・研究者は末端の話ばかりをやっていて大きな問題が見えてい ない。それが示されているのが国際競争力といった点でのレベルの低さ。 また日本の企業の資金あるいは人材が外国に流れてるといった点を危惧し た。 ・・・文部科学省はこれまで私たちのやっていたことについては全く無 視していたが、ここにきてこっちを見るようになった。これは文部科学省 のコペルニクス的転回である。(後は『大学改革 課題と争点』の第17章の 話をかいつまんで行った) 丹羽: 高校教師や生徒を大学に送りだす方からの関心は1.「トップ30大学」 が一体どこになるのかということと、2.再編統合で国立大学の地図がどうか わるのか、ということだ。 1.については、科研費配分、論文引用数、河合塾編『わかる学問最先端』 などから総合トップ30をつくってみた。すると(日本地図に記す)北海道に 一つ、東北大、日本海側にわずか二つ、四国に一つ、後は大都会、東海道メ ガロポリス〜九州までに26校といった図になる。 2.については、国立大学が99校になったのは1950年前後であり、昭和35年 の進学率は10%以下、現在では約50%になっている。これは昔は勉強が好き じゃなければ別に取るべき道があった、しかし、今は勉強好きじゃなくとも 中卒や高卒では職もない、仕方ないから大学へいく、という状況になってい るからである。この責任は国にもある。地方では一番できる子は東大や京大 にいく、その次にできるやつが「おらが地方大学」へ行き、そこを卒業して、 地方に就職していくのだ。地方大学の存在意義はそこにある。それを研究者 養成といった点からのみ大学を切り捨てるというのはいかがなものか。 ここで学長インタヴュー 新潟大学の荒川正昭学長と鹿児島大学の田中弘允学長登場 荒川: 独法化は大学改革として前向きに捉える。評価は必要だが多元的で あるべき。教育に対する評価は慎重にすべき。単科大学の再編は行われる べき。とりわけ医者や教師の養成は広い総合大学で行われるべき。 田中: 大学改革は必要だが、中央政府の支配下でおこなわれるべきではな い。教育研究は自主自律でやるべきだ。(後は『文部科学教育通信』と同 じ話) ディスカッション 司会: 国立大学の独法化は行政改革、国家公務員のリストラではないか、 学問や研究を無視しているのではないか、という意見がありますが、いか がですか。 杉野: 心配もしていたが、2年前に大学改革という観点から行われるという ことになって安心した。 澤: 行革の流れが大学改革の動きを加速した。改革は行われているのだろ うが、外からは全くみえない。世界ランキングも10年前と比べて変わって いない。それゆえ何かショックを与える必要があるのではないか。 杉長: わたしたちは今、江戸末期や明治維新の時代の頃と同じ状況にある ような気がする。何もなくなってしまった、が、同時に解放された、とい う感じである。文部科学省や文化庁に行かなくてもよくなった。東京にい っても次に何をやるのかを考えるためにあちこち見た方がいい、というこ とになった。国立大学が独法化される際にはやはり理念が必要だろう。99 もあるのだから、どう言う生き残りをするのかが重要。中期目標をしっか りしないと現場が困る。 丹羽: 再び、「トップ30」とは分野別か、大学別か、理系のみか、文系も か。さらに、国立大は研究者養成大学になるのか、そういう大学が生き残 ればよく、他はどうでもいいのか。 杉野: 国公私各大学が申請をして、分野別に評価するということです。透 明性高く、クリアに。政府が「トップ30」を選ぶということではない。い ろいろな分野があってはじめて大学といえる。基礎・応用、文・理問わず、 バランスをとって重点配分を行うということです。 丹羽: そうすると、大学がバラバラに解体されるということか。結果とし て大学別になるのでは? 杉野: あくまで各大学の分野別に評価ということです。複数の分野があり、 そこにでこぼこがある、ということを学長、学部長、各教員が「わかる」 ことを狙っています。あくまで改革のため。 丹羽: 残りの分野は? 杉野: 各大学で、いけそうだと思う分野に大学自身で重点化していくとい うことはありえる。資金の戦略的発想をする。 後は評価の問題、地方国立大学の生き残りなど。 丹羽: 国立大学は減るのか。 杉野: 始めからいくつにしたい、といっているのではない。再編統合はし なければならず、その結果として減るのである。国立大学としての役割を 果たす、その上での減少である。 杉長: 三つの博物館が一つになったわけだが、あまり状況がかわったとい う感じはしない。最初からゆるやかな連合体で、ということだったので。 逆に三館一緒になった強みをこれから考えていくというのが現在です。 澤: 現在の地方大と医科単科大学の統合はあまりにも安易ではないか。そ れぞれの大学が明確なヴィジョンをもっていないことが問題。 杉野: 両者の統合はあるべき姿である。もともと医科大学ができたのは大 学紛争のなか、政策的判断で、荒れている大学に医学部をおくのは良くな いというところから生まれた。それゆえ自然な形での統合である。