From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Fri Aug 17 11:40 JST 2001 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id LAA08464 for ; Fri, 17 Aug 2001 11:40:50 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id KAA21256; Fri, 17 Aug 2001 10:15:53 +0900 (JST) Date: Fri, 17 Aug 2001 10:20:56 +0900 From: Ryuzaburo Noda Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:03655] 教科書採択の寡占化 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <3B7C7178.87C21522@math.ems.okayama-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 03655 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Mozilla 4.7 [ja] (Win98; I) X-Accept-Language: ja Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Precedence: bulk Lines: 83 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 4037 発信者の了承を得て転送します。 松岡@高槻です。 今朝の朝日新聞では、「つくる会」教科書採択は(東京都・愛媛県で一番弱い養 護学校をねらった卑劣な採択はあったが)私立もふくめて1パーセントにも満た ないと報道されていますが、今回の教科書採択で以前より気になっていたことが ひとつあります。それは教科書採択の寡占化の進行です。 ある教科書会社の営業の方が以前こんなことを話しておられたことを思い出しま す。その方は大阪担当の前は広島勤務だったそうで、広島の世羅高校校長自殺事 件以降の広島の教育現場の反動化の過程で、今までなかった校長の発言に出会っ たとのことでした。 それは「おたくの会社も<日の丸>を背負って営業しないとやっていけません で。」 という言だったそうだ。 その方がおっしゃっていたもうひとつのことが強く印象に残った。 「今回の教科書採択で、全国的に学校現場の意見を遠ざける採択システムに変わ っ たので、うちのような教科書会社は採択がきびしくなるのではないか。大手の会 社の採択率が上がるのではないかと危惧しています。」 従来より大阪府下では、戦争と平和・その加害責任に関わる記述、人権問題の記 述等で、小さな出版社ながらがんばっている日本書籍・大阪書籍の教科書に一定 の評価があり、採択している市町村も多かった。 しかし、今回より学校現場の意見が排除され、教科書採択が教育委員の手に委ね られることにことになり、世間的に「中庸」な教科書、写真・イラスト等をふん だんに配した編集技術のうまい大手の教科書が採択されことが増えるのではない かと危惧した。 その後、マスコミ報道やインターネット情報で推移を見ていると、その危惧はそ の通りになっていった。 教科書会社では東京書籍が最大大手で、そのシェアーは40パーセントを越えて いるが、今回の教科書採択での「つくる会」教科書の登場で、「漁夫の利」を得 たのは東京書籍のようだ。 (朝日新聞/8・16)  来年度版歴史教科書では、現行版を発行する7社の中で、従軍慰安婦など旧日 本軍の加害事実に関する記述を抑制する社が目立った。こうした傾向を受け、各 社のシェアも各地で変動した。  加害の記述を補充した日本書籍はこれまで採択の多かった東京都などで大幅減 となった。一方、現行版シェアが約4割で首位の東京書籍は、さらに採択が増え たとみられる。最下位の帝国書院は神奈川県や大阪府の採択地区などで新たに採 択された。 (産経新聞/8・14) 23区立中の歴史教科書 日本書籍が激減 都教組の影響力低下  東京二十三区の区立中学校で来春から使われる教科書を選ぶ手続きが台東区と 北区を除く二十一区で終わり、これまで二十三区をほぼ独占していた日本書籍( 本社・東京都文京区)の歴史教科書を採択した区が二区に激減したことが十三 日、 産経新聞のまとめで分かった。日本書籍の採択には東京都教職員組合の意向が働 いてきたといわれており、「学校票」廃止などの採択制度改善によって都教組の 影響力が低下した結果とみられる。 高槻市の場合でも同様なことが進行した。 http://www.city.takatsuki.osaka.jp/new/db/fr-dbkeiji.html 高槻市で今回の中学校社会科教科書採択は、公民が東京書籍、歴史も東京書籍、 地理は日本書籍(地図は帝国書院)だった。 現行の社会科教科書は公民が日本書籍、歴史が教育出版で、地理は今回と同様で ある。 ちなみに小学校社会科教科書では、今回の採択は東京書籍(現行は教育出版)と なっている。 今回の教科書採択で進行した教科書採択の寡占化は、別な表現をすれば教科書の 内容における国定化(戦争の加害記述の削除等)の進行とも言える。採択をめぐ っ て各地で展開した市民運動の要求は「教育委員会の公開」であり、全国的な運動 の流れとして、教育委員会の公開を勝ち取ったところも多い。そのことにより教 科書採択に市民の声が反映された。 高槻の場合、教科書採択の教育委員会は非公開で、その内容も8月15日までは 非公開という非民主的なものであった。 4年後の教科書採択では、教育委員会の公開、学校現場の意見の反映を市民運動 の基本としていかなければならないと思った。 なお、高槻市では市民団体が教科書採択をめぐる公文書公開請求を昨日に行っ た。 月末にはその結果が出ると聞いている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・