From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Tue Jun 27 18:46 JST 2000 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id SAA13530 for ; Tue, 27 Jun 2000 18:46:49 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id QAA32315; Tue, 27 Jun 2000 16:44:24 +0900 (JST) Date: Tue, 27 Jun 2000 16:40:43 +0900 From: fumoto Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02950] 教員養成について一言 To: リフォーム Message-Id: <39585A7B.85539514@cc.hirosaki-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02950 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Mozilla 4.51 [ja] (Win95; I) X-Accept-Language: ja Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Precedence: bulk Lines: 73 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 4226  免許義務づけは,ある時期はそれなりに政策的意味があったと思います。高度 成長期には教員のなり手がなく,高卒を2年間で教師にする養成所もあったから です。免許状を義務づけることにより,少しは教員なり手が増えたからです。実 際,教育実習をやってから,教師になる意識を強くする学生はたくさんいます。 もちろん,一部には,自分は不向きと思って,教員にはならないと考えるように なる学生もいますが,強制的に教育実習に行かされて,教員を志すようになった 学生も少なからず存在し,それが,教師確保に貢献した面はあると思います。  これが,解放性教員養成と矛盾することは確かですが,そうなると,そもそも 師範学校を教育学部や学芸学部に改組したこと自体が矛盾した政策になります。  この辺の問題はおいておいて,現実の問題としては,教育学部学生5000人 削減の時点の教育学部の対応が問題ではなかったかと思います。私は,教育学部 は教師にもなれる学生を養成しているのだから,3割が教師になれば十分ではな いかと,教授会で発言しました。この問題については,その趣旨を投稿したとこ ろ,電話番号が書いていないので連絡が取れなかったという返事が来ました。も し電話番号を書いてあれば,掲載してもらえたかも知れません。学部の方針を決 める委員会でも,私が学部長だったら,「3割で十分だから改組案は出さない。 学生定員を減らすなら,勝手にやってくれ」と言うところだが,学部長に強制し たいという強いことは言えないのでお任せする,という意味の発言をしました。  これからは生涯教育社会になるので,教育的発想は多くの人に必要になるか ら,教育実習を選択にするだけで後はそのままでもよかったはずです。全国の教 育学部がこのような根本的問題を深く議論することなく,安易に文部省の方針従 った改革案を提出したことが問題だったと思います。  それから,解放性がよいという議論ですが,それは,大学が教員養成の学生に は,それなりの配慮をするという責任体制があることが前提です。少なくとも, 親方日の丸の国立大学では,学問の追究が優先され学生の教員志望は考慮されな い事態が続くと思います。  ある学生が,教育実習に行くと授業担当の教授に挨拶に行ったところ,それは おまえの勝手だ,と言われ,欠席に関する配慮はまったくされなかったそうで す。また,理学部のある教官は,専門以外のことも教えなければならない,と疑 問を呈していましたが,これは,教員が,生物や物理の教官として採用されるの ではなく,「理科」の教官で採用されることをまったく知らない発言です。まし て,小規模の中学校では,別の教科も担当することがあります。  「学問をベースにした教育」は,往々にして「学問さえ教えておけばよい」と いう矮小化に陥ります。この「教育現場に必要な知識」に対する無知は,教員養 成学部の教官でも,しばしば認められます。国語も算数も音楽も体育も教えなけ ればならない小学校教員に必要な知識は,学問だけではないはずです。解放性教 員養成は,理念としては正しいと思いますが,大学教員がどの程度真剣に教師教 育を考えるかが問題だと思います。  私としては,教員養成学部は基本的に小学校教員養成のみに限定し,中学校免 許も取りたいと思えば取れるようにしておけばよいと思っています。そうでない ので,前にも述べましたが,教員養成学部の教官が,上で述べたような小学校教 員の資質の特殊性を理解しなくなるのです。いかに理解していないかは,私のホ ームページにある論文の草稿を見て下さい。  これは,医学部で救急医や家庭医の養成が進まないこととおなじ,日本全体に 蔓延しているセクト主義の弊害かも知れません。 -- +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ Japanese   氏名  麓 信義   弘前大学教育学部保健体育科 教授 住所 036-8560 青森県弘前市文京町1 専攻 運動・スポーツ心理学 ------------------------------------------------------------------------- English Name Fumoto, Nobuyoshi (Professor) Major Psychology of sport and physical activities Address Department of Health and Physical Education, Faculty of Education, Hirosaki-University 1, Bunkyo-cho Hirosaki, Aomori 036-8560 Japan http://siva.cc.hirosaki-u.ac.jp/hotai/fumoto/fumoto.htm ------------------------------------------------------------------------- tel: 0172-39-3391 fax: 0172-32-1470 E-mail: fumoto@cc.hirosaki-u.ac.jp +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++