From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Mon Jun 19 13:37 JST 2000 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id NAA09306 for ; Mon, 19 Jun 2000 13:37:04 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id MAA29795; Mon, 19 Jun 2000 12:12:34 +0900 (JST) Date: Tue, 20 Jun 2000 12:13:48 +0900 From: Toru Tsujishita Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02920] 独立行政法人化問題週報抄 No 14 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02920 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Macintosh Eudora Pro Version 4.0.1Jr1 X-Sender: tujisita@mailhost.math.sci.hokudai.ac.jp Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Precedence: bulk Lines: 117 Content-Type: text/plain; charset="ISO-2022-JP" Content-Length: 7143 北大の辻下です。 蓮見会長の記者会見の詳しい内容(by日本科学者会議)[14-4-1]を見ると東京 新聞の「事実上の法人化宣言」報道は意図的な誤報であることが明確です。国立 大学協会は即時に公式に抗議すべきだと思います。 ================================================================== 独立行政法人化問題 週報抄 Weekly Reports No.14 2000.6.19 Ver. 1.1 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/wr-14-00619.html ================================================================== (先週は休刊しました。重要な時期に申し訳ありません。) 【最近の動き】  6月13/14日の国立大学協会総会に向けて、様々な大学で声明や要望書が 出され、調査検討会議へ参加しないよう訴える声が全国的に広がった。北大で も6月7日の評議会で、調査検討会議への参加の是非を議論することを総会で 提案してよいかどうかを総長が評議員に意見を問うたが、否定的な意見が評議 員から複数上がった[14-1]。また、会則28条にしたがって国立大学協会に一 般教員自身からいくつもの意見書が提出された[14-2]。その中でも、東大社研 の田端氏が起草した共同要望書[14-2-1]には、12日の夕方から翌朝の朝まで に、全国36大学から115の賛同が集まった。13日に、国立大学協会事務 局にこれらの要望書等が提出された。東大職員組合の総長交渉[14-3]での蓮見 総長の発言から、調査検討会議へ国立大学協会として参加することを予想した 人は少なかったようだ。  しかし、14日の総会後の記者会見[14-4]で蓮見会長は、1997年の国立 大学協会の反対決議[14-5]は変わらないこと、協会内に設置形態特別検討委員 会を設けて独自の案を策定すること、調査検討会議(4分科会計約60名)に 国立大学協会として10名弱を送り積極的に参加すること、「学術文化基本計 画」の策定を課題とする議論の場の設定を要求すること、の4点で合意に達し たと発表した。東京新聞は事実上の法人化宣言であると報道した[14-6]が、こ れは誤報であり、記者会見[14-4-1]で蓮見会長は、理想的な形の独立行政法人 化であれば受け入れるという形では合意を問うていないし問うても合意は得ら れなかっただろう、ということを強調している。  翌日15日の文部省召集の定例国立大学長会議で、同日高等教育局長に就任 した工藤智規氏は、国立大学に「強すぎる教授会」「研究偏重主義」「悪平等」 の3つの悪癖があると批判したに留まらず冗談めいて「学位を出さない大学院 には予算を出さないぐらいのことは必要かもしれない」とまで述べたが大学へ の「エール」だったという[14-7]。これに対して大学から文部省へのエールと して4つの悪癖が発行者によって指摘されている[14-7-1]。 【国立大学協会総会合意を巡る諸意見】 14日の夜のNHK「あすを読む: 国立大学が変わる」[14-8]では独立行政法 人化の背景を詳しく説明して文部省と大学双方に対して慎重な議論の展開を求 めている。東京新聞15日の朝刊[14-6]は「国大協の実質的法人化宣言」とい う表現をとっている。共同通信速報[14-9]では、「国大協は、通則法に添って 大学の特殊事情を考慮した「特例法」を制定するなど、国立大側の意見を十分 反映した法人化の在り方を探りたいとしている。」と述べており、やはり、調 整法+通則法での独立行政法人化容認、という捉え方をしている。 大学側では、色々な受け取り方があると思われるが、国立大学協会が分裂する ことなく調査検討会議に参加することにより、独立行政法人化の詳細を検討す る中で全大学が一致協力して学問の自由と運営の自由の双方が保障された法人 化の実現を目指す第二ラウンドの戦いに入ってよかった、という見方が多いよ うだ。 しかし、蓮見会長は記者会見[14-4-1]で、理想的な独立行政法人化や、理想的 な法人化なら受け入れるといった合意をしたわけではないことを強調している だけでなく、「最終的にまったく理想的な形態がそこに成立しなければその後 新たな問題が起こるだろうというふうに考えます。」と述べ、国立大学制度に 留まる可能性も残っていると解釈できる発言をしている。この発言からすれば 最終的な法人化案ができた段階で法人化そのものの是非を問う可能性もあるよ うにも受取れるが、一方では、そのような可能性は幻想ではないかとも言える。 独立行政法人化を白紙に戻すことが最善の解決と考える多くの者の中には、総 会合意の内容を知って落胆したが、第二ラウンドで戦う方向に気持ちを切り替 えようと努力する者も居るであろう。学問の自由の重要性を強調してきた人の 中にも調査検討会議に論客を送り込んで論陣を張ることで事態が好転できると 期待している人もいる。発行者も15日の段階では同様の気持ちであった[14-11]。 しかし、こういった期待は、そもそも正論で事態が大学に好ましい方向に変え られるのならば、最初から独立行政法人化を拒否できたはずだ、という点を看 過しているように思われる。事の成否を決めるのは、学外に「学問の自由」と はどういうものかを理解する人を増やすことであり、極めて壊れやすい「学問 の自由」こそ国費で維持しなければならないものである、という当然の議論が 通るような状況を作りださない限り、どのような論陣を張っても無視されるだ けなことは自明である。そのことは、15日の国立大学長会議での工藤高等教 育局長の発言[14-7]からもほぼ確実に予想されることである。 発行者は、調査検討会議へ参加するという形式で始まる第二ラウンドへの期待 は幻想である、という確信を次第に深めているが、それ以前に第一ラウンドが 終わったという判断が誤っていることを豊島耕一氏が指摘した。 【豊島耕一氏の指摘】 18日に佐賀大学の豊島耕一氏は重要な問題点を指摘した[14-12]: (1)国大協として調査検討会議に参加することにより会議結果に国立大学全 体が従わざるを得なくなったこと (2)このような重大な方針を大学での議論抜きに決めてしまったが、そのよ うな権限は大学の代表として総会に出席しているに過ぎない学長にはないこと そして、国立大学協会総会の合意事項の中で調査検討会議への参加を取り消す ことを学長に要求することを呼びかけた。 【国立大学がすべきこと】 国大協は次の3点をすみやかに行うべきである。 (1)事実上の法人化宣言、と報道した東京新聞に対し公式に抗議し、何を合 意していないか、を明確にする。 (2)調査検討会議に参加することは、会議の結論に国立大学協会が従うこと を約束するものではないことを明確にする(必要があればオブザーバとしての 参加に変更する)。 (3)最終的な具体的法人化案が定まったとき、それを受け入れるかどうか、 国立大学構成員全員の意思を問う場を設けることを約束する。 各大学で上の3点について学長の見解を確認し、国立大学協会に上の3点を 要求するように求める。(2−3)については必要があれば臨時国立大学協会 総会を開いて明確にするよう、求めるべきである。また、学長が総会合意につ いて東京新聞と同様に解釈している場合にはその誤りを正すよう求める必要が ある。  なお、各教員は直接会則28条に基づいて国立大学協会に意見書を出すこと ができる[14-13]。 ====================================================================== 発行者: 辻下 徹 バックナンバー: http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/wr/backnumber.html ===================================================================== End of Weekly Reports No.14 2000-6-19 **この週報は発行者の個人的な意思で行っています** ===================================================================