From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Fri Dec 10 19:12 JST 1999 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id TAA25495 for ; Fri, 10 Dec 1999 19:12:15 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id RAA01466; Fri, 10 Dec 1999 17:55:07 +0900 (JST) Date: Fri, 10 Dec 1999 17:55:38 +0900 From: "きむらそういちろう" Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02471] 医学連アピール To: "独法化ML" Message-Id: <005601bf42ec$7502dc20$c7a19ad2@Y> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02471 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Microsoft Outlook Express 4.72.3110.5 X-Priority: 3 X-MSMail-Priority: Normal X-MimeOLE: Produced By Microsoft MimeOLE V4.72.3155.0 Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Precedence: bulk Lines: 96 Content-Type: text/plain; charset="iso-2022-jp" Content-Length: 5763 全日本医学生自治会連合は、国立大学の廃止=独立行政法人化が医学生や医学 ・医療の現在と将来に重大な問題である、という立場から、以下のアピールを 発表しました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−21世紀の医学・医療に禍根を残す、国立大学制度の廃止=独立 行政法人化を許さず、医学生・国民の声を生かした大学医学部の真の改革をす すめるために全国の医学生が力を合わせよう 1999年10月19日 全日本医学生自治会連合 中央執行委員会 今、急テンポで国立大学制度を廃止する、独立行政法人化の問題が議論されて います。 文部省は、国立大学を独立行政法人化することを認める見解を9月20日の国立 大学長らの会議で表明し、来年の早い段階にはこの問題の結論を得たい、とし ています。 国立大学の「独立行政法人化」とは、どのようなものでしょうか。 7月に成立した「独立行政法人通則法」によると、独立行政法人とは、所管庁 が設定する3〜5年の「中期目標」を達成するために「効率的、効果的に業務 を実施」する機関です。その成果について効率性を基準にして評価委員会が評 価し予算配分も行われます。「目標」が達成されないものは>G柊改廃>G稗されること もあります。  このような、>G柊効率化>G稗や>G柊減量化>G稗は学問の府としての大学とは相入れませ ん。国立大学制度の廃止は国の高等教育への責任放棄であり、現在の医学部・ 医学教育を考えても、将来の医学・医療の発展を考えても、認めることのでき ない、重大な問題です。国家公務員削減の「数合わせ」のために大学の設置形 態を変え、「改廃」を強行することは、「国家百年の計を誤る」と大学人の批 判が起きるのは当然です。 そもそも、独立行政法人化の議論の出発点は>G柊行政のスリム化>G稗であり、「国家 公務員の25%削減」のために国立大学を廃止しようとしているのです。21世紀 の日本の高等教育をどうするのか、学問研究をどう発展させるのか、という流 れで出てきた問題ではありません。 このように、問題点を多く抱えた独立行政法人化が国立大学ですすめば、大学 医学部、そして付属病院、さらに私たち医学生にとっても、見過ごすことはで きない重大な問題となります。 第一に、学費の学部間格差が導入され、医学部は私立医大に並みになるおそれ があります(『医学教育白書‘98』によると6年間で平均約3100万 円)。国が高等教育の責任を放棄することですから、私立大学においても私学 助成金が減少し、学費値上げにつながる危険性があります。ただでさえ高い学 費がさらに値上がりし、医学部にはお金持ちしか行けなくなります。私たちの 教育を受ける権利が破壊されてしまいます。 第二に、貧困な勉学条件の施設・教職員の削減の中で、教育がさらにないがし ろにされるでしょう。学科、研究室など「採算」の取れない学問分野の切り捨 ても考えられます。「図書館や講義室、サークル施設などを充実して欲しい」 という学生の切実な想いも、かなえられず、学生生活の充実は後景に追いやら れてしまいます。 第三に、「効率化」「減量化」を優先するため、生き残れない大学や大学病院 の統廃合が進むでしょう。 医学部卒業生の64%が大学病院で研修を行い、多くがそのまま就職していま す。大学病院がなくなれば、研修医の働く場所がなくなります。医学生と医学 連が一貫して求めてきた卒後研修の改善も、悪化こそすれ、改善は今以上に困 難になるでしょう。また、特に地方の国立大学病院は、地域の高度医療の中核 としての機能などを果たしており、大学病院がなくなれば、その地域の国民の 命と健康への影響が大きく現れるでしょう。 第四に、大学自治、学問の自由がおびやかされてしまいます。 学問の自由は日本国憲法第23条に明記されたものであり、戦前、国家の必要 とする教育と研究を大学の目的としたことへの反省から生まれたものです。大 学自治は学問の自由を守るための保障です。大臣に中期目標が設定され、徹底 して「評価」されるため、大学人の良心に基づく教育研究ができなくなり、大 学運営も政府による管理・統制の強化が進みます。日本の医学・医療が根本か ら歪められることになります。国民の命と健康を守る医学・医療が大きく衰退 してしまうことは、日本の将来を考えても危機的な問題です。 このように、国立大学制度の廃止=独立行政法人化は、医学生にとっても、将 来の医学・医療にとっても大きな禍根を残すものであり、認めることはできま せん。 今、本当に求められているのは、異常なほどの高学費の是正と高等教育施設設 備の改善や教員数の抜本的な増員であり、学生の声を反映した自主的・主体的 な大学改革です。 昨年出された、ユネスコの『高等教育世界宣言』は、「学生が組織を作り、代 表者を立てる権利を有する」、大学教育の「諸問題への学生の関与が保障され なければならない」と、大学運営への学生の参加が保障されなければならない ことをうたっています。 高等教育への公財政支出を国内総生産に占める割合は、日本は0.5%であり、ア メリカの1.1%、フランス、ドイツの0.9%と比較しても、かなり低いことがわか ります。欧米諸国は、高等教育予算を増額し、高等教育を充実させていく方向 にあります。私立大学の経常費に占める国庫補助の割合も、80年度の29.5%か ら96年度には12.1%にまで減額し続けています。国立大学の廃止は今以上に、 高等教育への国の責任を後退させるものであり、私立大学の発展にとっても大 きなマイナスとなります。 日本の国立大学制度の廃止は国際的な流れとも逆行している、といえます。 医学連中央執行委員会は国立大学の独立行政法人化に断固反対します。 全国の医学生に将来の医学・医療に禍根を残す国立大学の廃止=独立行政法人 化を知らせていき、各地で学習会・討論を巻き起こし、独立行政法人化を許さ ない医学生の世論を作っていきます。各大学でも、学生大会を始め全学生の間 で大いに議論し、学生の意思をアピールすることを呼びかけます。大学ごとに 全大学人との共同の取り組みを積極的におこない、さらに学生諸団体や医学 界、広範な国民とも共同して取り組みを進めていきます。