From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Fri Dec 10 15:43 JST 1999 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id PAA21478 for ; Fri, 10 Dec 1999 15:43:32 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id OAA01211; Fri, 10 Dec 1999 14:16:37 +0900 (JST) Date: Fri, 10 Dec 1999 12:57:54 +0900 From: fumoto Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02462] Re: 科学技術基本法による予算投下 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <38507A41.ECE626D3@cc.hirosaki-u.ac.jp> References: X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02462 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Mozilla 4.6 [ja] (Win95; I) Organization: 弘前大学教育学部 X-Accept-Language: ja,en,de Mime-Version: 1.0 Content-Transfer-Encoding: 7bit Precedence: bulk Lines: 79 Content-Type: text/html; charset=iso-2022-jp Content-Length: 6492  

Toru Tsujishita wrote:

また、次の証言はとても重要です。

> さらに、そういった成果は、この予算によってすべてをなし得たわけでは
> 絶対にないと思っています。少なくとも、その提案公募の予算を獲得する
> までにも長い年月をかけた(しかも予算的に制約された中での)予備的実
> 験をふまえた上で、ある程度の見込みがあって提案公募に応募することも
> 少なくありません。また、成果に対する短期的な評価や追跡調査も当然存
> 在します。実験系の研究者は、仮説をたててもそれだけで終わるわけでな
> く、かならず実証をする必要があります。その実証のためには、たまたま
> 安価な実験装置ですむこともありますが、装置によっては多大な予算を必
> 要とすることもあるわけです。

問題にすべきは、このような真摯な提案公募だけだろうか、という点にな
ります。おっしゃるとおり問題の核心は「1996年に未来開拓推進事業が始
まった時、この予算を審査する事業委員会の委員98人のうち34人が助
成金を受け取るリーダーになった」という点です。助成金の審査委員が自
分で助成金を受け取れるというのは信じられないスキャンダルです。

科研費を含め公募型の助成金の審査委員の名前の公表、および、採否の審
議の具体的論点の公表は今後不可欠になります。

 17兆円を含む日本の問題は、基本的には、審査員を審査する制度の不備だと思います。もっと大きく考えれば、政府は大義名分を掲げて予算をつけるのですから、当然必要とされる。その予算が有効に使われたかを審査する制度が整っていないことが問題なのだと思います。そのため、議論が、大義名分の是非を争う論争ではなく、その大義名分が政府の本心ではないのではないかという論争になってしまうのだと思います。無駄遣い審査NPOのようなものも必要かも知れません。
 私は、サッカーの本を書いて、面識のないJリーグのフィットネスコーチlからお呼びがかり、コーチ研修会で話をすることが求められました。その本に書かれており、話をした内容に係わる研究で科研費を申請したのですが、不採用となりました。幸い、情報公開制度ができたので結果の通知を要求していたところ、その実績を書いたにもかかわらず、一次審査で最低ランクの評価でした。研究内容が応用研究ですので、低く評価されることは予想していましたが、苦情申立機関がないのが問題だと思います。
 それでも、落ちた場合に審査結果を公表するという制度ができたこと自体が、日本では、画期的だと思います。現状を批判するだけでなく、少しずつは進歩している制度改革を、大事に育てる努力も必要だと思います。たとえば、科研費がつかなくて不満を持っている研究者の申請書の評価結果と苦情メモ一覧を載せるホームページを作ったりすることが。
それがなければ、17兆
円の投資はやはり正当化できません。(なお、研究開発投資も「公共投資」
である、とある方から指摘されました。たしかに、高額の実験設備を購入す
ることにより内外の製造会社に国からお金が流れます。逆にいうと、公共
投資の拡充のために道路工事を減らして研究開発投資を増やしてもいいわ
けです。)
 赤字国債の問題は、利権がらみで、新分野への投資を増やしても旧分野への投資が減らないことだと思います。
 
しかし、以上のことを理解した上でも問題は残ります。公募型の助成金が
主な研究費となっていくことは、結局大学という場を実質的に不要なもの
とし、個々の研究者だけを日本の科学技術の基盤の担い手とすることです
が、上に引用させていただいたことを考えると、場としての大学を通して
培われた芽がなければ、公募型研究費が機能しないように思われます。
 公募型助成金と校費型研究費がミックスされることが、大学の活性化につながると思います。
 

新潟大の渡辺さんも以下のように書いています。

しかし特に予算の配分を受けている場合に、全ての計画に問題なしとする態度を
押し出して良いものでしょうか。私には疑問です。その一例をあげます。

 現在科研費の中には、従来と異なって、提案公募型技術開発研究事業などという
余り聞き慣れないものもあって、この事業プロジェクトを受けている研究者は
科学研究費の成果ということでホームページを開いて公開していますので、
これを科研費の一つと考えて良いと思います。この内容が大変な代物で、何でも
あり(アパレル、塾、デイスカウントショップ等も)という代物で、しかも審査
員は地元の産業界委員だけで、研究者0です。これが各県の新産業振興課(新潟
の場合、新潟県商工労働部にある)から大学にも書類として回ってきています。
私などは、とても応募する気はしない内容です。これも科学技術基本計画が進行
する中で(新産業振興課は1996年にできている)進行している事実です。


 私は「何でもありだからだめ」という単純発想はしたくないと思います。応用科学的研究の萌芽が含まれているかも知れません。ここでも、審査がおかしいからということが、ダメな理由のもっとも大きな部分である気がします。大学人が入っていないことは問題ではないと思います。これでまっとうな審査ができたかどうか(できるかどうかではない)を情報公開することが大切だと思います。これからの時代は、常識が通用しない時代ですから、提案公募型の受け入れ窓口を作っておくことは大切だと思います。問題があれば、審査方法を変えるように提案すべきでしょう。
 このような内容を対象とした審査で得られる金は基礎研究にまわらないから、基礎研究のためのお金を別枠で確保すべきで、17兆円に浮かれるな、という指摘であれば全面的に賛成します。
 

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Japanse  
氏名  麓 信義   弘前大学教育学部保健体育科 教授
住所    036-8560 青森県弘前市文京町1
専攻 運動・スポーツ心理学
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English
Name    Fumoto, Nobuyoshi (Professor)
Major    Psychology of sport and physical activities
Address  Department of Health and Physical Education,
        Faculty of Education, Hirosaki-University
        1, Bunkyo-cho  Hirosaki, Aomori 036-8560   Japan
http://siva.cc.hirosaki-u.ac.jp/hotai/fumoto/fumoto.htm
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tel: 0172-39-3391  fax: 0172-32-1470  E-mail: fumoto@cc.hirosaki-u.ac.jp
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