From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Sat Nov 20 14:30 JST 1999 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.8.8/3.7W) with ESMTP id OAA10581 for ; Sat, 20 Nov 1999 14:30:31 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id NAA11899; Sat, 20 Nov 1999 13:38:43 +0900 (JST) Date: Sat, 20 Nov 1999 13:30:44 +0900 (JST) From: morita@ed.niigata-u.ac.jp (morita) Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02343] 国大協会長談話と新聞報道 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <199911200430.NAA00034@yahiko.ed.niigata-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02343 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Eudora-J(1.3.4J8) X-Sender: morita@133.35.177.100 Mime-Version: 1.0 Precedence: bulk Lines: 136 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 7142 11月17〜18日に開催された国大協総会に関連して、蓮實国大協会長談話 と新聞報道をhe-forumから転載します。佐々木さんが呼びかけているように、 国大協会長談話と現局面の見方について感想や意見をお寄せください。               11月20日 大学改革情報ネットワーク   [he-forum 379(11月19日)] 国立大学協会会長談話 佐々木(東職書記長代行)です。 国大協総会(11月17、18日)後の蓮實国大協会長の記者会見内容の文書 です。 この談話をどのように読みましたか。 11/17シンポの基調報告(首都圏ネットHP収録)も参考にして、現局面の 見方と今後の分析の考えをこのフォーラムかあるいは、私宛てのメールにいた だければ幸いです。 国立大学協会会長談話 国立大学の独立行政法人化問題の議論を越えて 高等教育の将来像を考える 1999年1月18日  蓮實重彦  設計図が不完全な場合、建築物は必然的に歪んだものとならざるをえない。 ところで、独立行政法人の通則法が明らかにされた段階から、それがそのまま のかたちでは、国立大学を真に変容せしめるにたる設計図たりえないことが明 らかになり始めていた。その事実は多くの人が指摘しており、国立大学協会も、 第一常置委員会の「中間報告」として、かりに独立行政法人化が現実のものと なった場合、設計図そのものの修正が不可欠であることをすでに指摘している。  設計図としての通則法の問題点が誰の目にも明らかになった以上、事態は、 賛成反対をとなえる以前の段階にとどまっているといわねばならない。にもか かわらず、昨今の行財政改革の流れの中で、国立大学の独立行政法人化の問題は にわかに現実味を帯びたかたちで議論されており、文部省も「検討の方向」にお いて、独立行政法人化の基本的な枠組みを提起している。勿論、国立大学も行財 政改革に協力を惜しむものではない。その意味で、文部省をはじめ関係省庁等と の真摯な意見交換が行われねばならないのは当然だが、「検討の方向」に対して の意見の表明をさしあたり避けているのは、こうした独立行政法人化が、現状で は、実現されるべき高等教育の改革にとって必ずしも有効な手段とはなりがたい と考えるからだ。  こうした状況下で、設計図の不備を改めて指摘することは、その修正の可能性 を模索することと同様、二十一世紀における教育研究のさらなる発展と人材養成 という見地からして本質的な問題の解決となりがたいし、かえって問題の所在を 隠蔽する振る舞いともなりかねない。いま、必要とされているのは、次世代の国 民への責任を踏まえての、国公私立を含めた高等教育総体の大胆な変革にほかな らないからである。だが、そのための設計図はいまだ描かれてさえおらず、真の 問題は、まさにそこにあるといわざるをえない。  一例を挙げるなら、高等教育・学術研究の財政環境の不備である。国民の納め る税金の何パーセントを高等教育に投入すべきかという国家的な合意さえいまだ 形成されていない。それ故、高等教育予算の国民総生産あたりの比率が、先進国 においては最も低いという異常な現実が常態化しかねないのが現状である。その 現実を深く憂慮せざるをえない私たちは、その改善のための新たな枠組みが必要 とされるなら、その設計に積極的に加担する意志があることをここに表明したい。 真の変化を実現しようとする者にとって、設計図の不備に対する肯定や否定の表 明など、二義的な意味しか持ちえないはずだからである。  あるアメリカの著名な学者は、「結局は何も変えずにおくことために、人びと はたえずすべてを変えるべきだと提言する」と述べている。私たちが危惧してい るのは、行財政改革の流れの中での国立大学の独立行政法人化が、「結局は何も 変えずにおくため」の口実として機能してしまうことにほかならない。それを避 けるために国民的な議論の高まりを期待せずにはいられない。大学は、その社会 的、国際的な役割にふさわしい真の変革の実現を強く望んでいるからである。 [he-forum 380(11月19日)] 蓮實談話の報道を二点お送りします。特に『東京新聞』の記事に ご注意下さい。 ---------------------- 『日本経済新聞』11月19日(朝刊) 独立法人化問題 賛否以前の段階 国大協会長が談話 国立大学協会(国大協、会長・蓮實重彦東大学長)は一八日総会を開き、国立 大の独立行政法人化問題に関する当面の見解を会長談話の形でまとめた。 談話では、独立行政法人の制度設計を定めた通則法について「国立大を真に 変容させる設計図たりえておらず、事態は賛成反対をとなえる以前の問題」と 改めて批判。文部省が九月に示した法人化検討方針についても、国立大の今後 の財政や資産に関する方向性が示されておらず、十分な判断ができないと指摘 した。 --------------------- 『東京新聞』11月19日(朝刊) 国立大独法化賛否表明せず 国大協の蓮實会長 国立大学協会は一八日、東京都千代田区の学士会館で総会を開き、独立行政 法人化問題について第一常置委員会(委員長・阿部博之東北大学長)で検討を進 め、早ければ年内にも結論を出す方針で一致した。終了後に会見した蓮實重彦 会長(東京大学長)は「設計図が不完全な場合、建築物は必然的にゆがんだもの となる。事態は賛成反対をとなえる以前の段階にとどまっている」として、文 部省の独法化案に対する判断を避ける談話を発表した。 蓮實会長は、独法化や高等教育の在り方をめぐる議論について「首都圏の大 学と地方の大学とで温度差がある」と指摘。「事によったら今後分かれるとい う予感がないではないが、近い将来起こることではない」と微妙な言い回しな がら、「独法化絶対反対」から「条件付き容認」まで各大学の考えに大きな隔 たりがあることを認めた。 その上で「さまざまな反応のすべてにこたえるべきではない。研究や教育の 水準を高めるようないくつもの保障を打ち出すことが必要だ」として、主要な 問題に限って早急に検討を進める意向を示した。 [he-forum 381(11月20日)] 国大協会長談話−11月19日付 「しんぶん赤旗」 佐々木(東職書記長代行)です。 「しんぶん赤旗」11月19日付 独立行政法人化を批判 国立大学協会会長 高等教育の改革強調 東京都内で開かれていた国立大学協会総会の論議をうけて、蓮實重彦会長(東 京大学学長)は十八日、「国立大学の独立行政法人化問題の議論を越えて高等 教育の将来像を考える」と題する談話を発表しました。  談話は、九月に文部省が発表した、特例措置によって国立大学の独立行政法 人化(独法化)をすすめる方針について「現状では、実現さるべき高等教育の 改革にとって必ずしも有効な手段とはなりがたい」からだと、現在の国立大学 の独法化案を批判しています。  そして、「いま必要とされているのは(中略)国公私立を含めた高等教育総 体の大胆な変革にほかならない」と指摘。とくに「高等教育予算の国民総生産 あたりの比率が、先進国においては最も低いという異常な現実」を「深く憂慮 せざるをえない」としたうえで、「その改善のための新たな枠組みが必要とさ れるなら、その設計に積極的に加担する意志がある」とのべています。  さらに、「国民的な議論の高まりを期待せずにはいられない。大学は、その 社会的、国際的な役割にふさわしい真の変革の実現を強く望んでいる」と、高 等教育の改善のための世論の高揚を期待しています。  記者会見で蓮實会長は質問に答えて、文部省方針発表以前に明らかにした、 独立行政法人通則法の大学への適用に反対するとの態度は変わらないことを表 明しました。  国立大学協会は、すべての国立大学の学長で構成される団体です。